JPH08208237A - マグネタイト粒子およびその製造方法 - Google Patents

マグネタイト粒子およびその製造方法

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JPH08208237A
JPH08208237A JP7034684A JP3468495A JPH08208237A JP H08208237 A JPH08208237 A JP H08208237A JP 7034684 A JP7034684 A JP 7034684A JP 3468495 A JP3468495 A JP 3468495A JP H08208237 A JPH08208237 A JP H08208237A
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正親 橋内
Katsuhiko Yoshimaru
克彦 吉丸
Takeshi Miyazono
武志 宮園
Hiroyuki Watanabe
広幸 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 飽和磁化が高く、黒色度の度合を損なわず、
かつ粉体抵抗が高いマグネタイト粒子およびその製造方
法を提供する。 【構成】 粒子表面に鉄−亜鉛酸化物層が被覆され、亜
鉛の含有率がマグネタイト粒子に対して1〜10wt
%、粒子中のFeOが18wt%以上であり、飽和磁化
80emu/g以上、粉体抵抗1×104Ω・cm以
上、色差計による黒色度(L)20以下であることを特
徴とするマグネタイト粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマグネタイト粒子および
その製造方法に関し、詳しくはマグネタイト粒子の種晶
の上に鉄−亜鉛酸化物を成長させた微粒子で、黒色を呈
し、かつ飽和磁化が高く、さらに粉体抵抗の高い、特に
静電複写磁性トナー用磁性粉、塗料用黒色顔料粉の用途
に用いられるマグネタイト粒子およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】最近、乾式電子複写機、プリンタ等の磁
性トナー用材料として、水溶液反応によるマグネタイト
粒子が広く利用されている。磁性トナーとしては各種の
一般的現像特性が要求されるが、近年、電子写真技術の
発達により、特にデジタル技術を用いた複写機、プリン
ターが急速に発達し、要求特性がより高度になってき
た。すなわち、従来の文字以外にもグラフィックや写真
等の出力も要求されており、特にプリンターの中にはイ
ンチ当たり400ドット以上の能力のものも現われ、感
光体上の潜像はより精密になってきている。そのため、
現像での細線再現性の高さが強く要求されている。ま
た、静電気的な転写の際、画像濃度を安定させるために
マグネタイト粒子自身の電気抵抗が高いことが必要であ
る。
【0003】この磁性マグネタイトの製造方法は、一般
的に乾式法と湿式法に分類されているが、そのうち湿式
法においては第一鉄イオンを含む水溶液にアルカリ水溶
液を添加し、特定の条件下で酸化反応を行なう方法が主
流である。
【0004】この湿式法のうち、粉体の諸特性を改良す
る目的で、亜鉛を含有するマグネタイト粒子の製造方法
についての提案が幾つかなされている。
【0005】例えば、特開昭57−77031号公報
は、第一鉄塩を特定の範囲内で酸化後、亜鉛塩を添加し
ているが、得られた粒子は飽和磁化が低い。また、同公
報によれば、ZnO・Fe23が単独に存在すれば茶味
を帯び黒色度が低下するという記述がある。
【0006】特開昭62−91423号公報および特開
平3−1160号公報は、Znが粒子内部から表面へ均
一に分布したスピネル型フェライト粒子を開示してい
る。
【0007】また、Fe34は逆スピネル構造をとって
おり、八面体サイトのFe2+とFe3+との間に電子の交
換が起こり、高い電気電導性を示すことが知られてい
る。実際、得られているFe34粒子は102〜103Ω
・cmのものが多い。
【0008】また、特開平6−310318号公報には
粒子表面がZnxFe2+yzで被覆された粒状マグネタ
イト粒子を開示しているが、これはHc150Oe以下
で耐熱性がよく、着色のよいものである。しかし、本発
明で課題とする高い飽和磁化、高抵抗でありながら、黒
色を損なわないという点では十分ではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の課題を解消し、飽和磁化が高く、黒色度の度合を
損なわず、かつ粉体抵抗が高いマグネタイト粒子および
その製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、F
2+を一定量以上、かつ亜鉛含有率を所定量とすること
によって達成される。
【0011】すなわち、本発明のマグネタイト粒子は、
粒子表面に鉄−亜鉛酸化物層が被覆され、亜鉛の含有率
がマグネタイト粒子に対して1〜10wt%、粒子中の
FeOが18wt%以上であり、飽和磁化80emu/
g以上、粉体抵抗1×104Ω・cm以上、色差計によ
る黒色度(L)20以下であることを特徴とする。
【0012】本発明のマグネタイト粒子では、亜鉛の含
有率がマグネタイト粒子に対して1〜10wt%である
ことが必要である。亜鉛の含有率が1wt%未満では粉
体抵抗および飽和磁化が改善されず、また10wt%を
超えると粒子の色味が黄味を帯び、かつ飽和磁化が低下
するという問題が生じる。
【0013】また、本発明のマグネタイト粒子中のFe
2+はFeOとして18wt%以上である。FeOが18
wt%未満では、種晶の上に成長した鉄−亜鉛酸化物層
がFe23中にZnが固溶したフェライトであることが
推定される。
【0014】次に、本発明のマグネタイト粒子の製造方
法は、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液を混合し、水酸
化第一鉄の酸化率が10%になる以降の一定時期から酸
化率が100%になるまで亜鉛塩を連続的に添加し、酸
化反応を行なうことを特徴とする。
【0015】これによって、本発明の課題である飽和磁
化が高く、かつ高抵抗ありながら、黒色を損なわないマ
グネタイト粒子が得ることができた。
【0016】以下、本発明の製造方法を説明する。ま
ず、本発明では、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液と混
合して水酸化第一鉄を生成させる。第一鉄塩水溶液とし
ては硫酸第一鉄水溶液等が挙げられる。また、アルカリ
水溶液としては水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられ
る。
【0017】この第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液を混
合して、水酸化第一鉄スラリーを生成後、この水酸化第
一鉄スラリーに、酸素含有ガス、望ましくは空気を吹き
込み、60〜100℃、好ましくは80〜90℃で酸化
反応を行なう。この際の酸化率の調整は、反応中に未反
応の水酸化第一鉄の分析値を見ながら行ない、特定の酸
化率から亜鉛塩の水溶液を酸化反応終了まで、連続して
絶えることなく添加し、酸化反応を継続する。亜鉛塩と
しては、水酸化亜鉛等が挙げられる。すなわち、水酸化
第一鉄の酸化率が10%になる以降の一定時期、好まし
くは15〜50%から酸化率が100%になるまで亜鉛
塩を連続的に添加し、酸化反応を行なう。
【0018】また、亜鉛塩の連続添加の方法は、水酸化
第一鉄の酸化反応中の未反応の水酸化第一鉄の分析値か
ら、(1)酸化反応率と同じ割合で亜鉛塩を添加する均
一添加型と、(2)亜鉛塩の添加割合を亜鉛塩添加の間
の後半に水酸化第一鉄の酸化反応率に比して、亜鉛の割
合を増加する後半増量型の2つの方法で行なうことがで
きる。
【0019】酸化反応終了後、さらに通常行なう洗浄、
濾過、乾燥、粉砕の各工程を経て、マグネタイト粒子を
得る。このようにして上記した特性を有するマグネタイ
ト粒子が得られる。
【0020】
【実施例】以下、実施例等に基づいて本発明を具体的に
説明する。
【0021】実施例1 表1に示すように、Fe2+2.0mol/lを含む硫酸
第一鉄水溶液50リットルと5.0mol/lの水酸化
ナトリウム水溶液36リットルを混合、撹拌し、温度9
0℃を維持しながら65リットル/minの空気を吹き
込み反応を行なった。反応中、未反応の水酸化第一鉄の
分析値をみながら、第一鉄の酸化反応率20%の時点か
らZn0.6mol/lを含む水酸化亜鉛水溶液11.
4リットルを反応終了まで、未反応の水酸化第一鉄を分
析しながら第一鉄の酸化反応率と同じ割合になるよう
に、水酸化亜鉛水溶液を添加した。反応の終了したスラ
リーは、通常の洗浄、濾過、乾燥、粉砕工程により処理
した。
【0022】この反応における亜鉛添加率と水酸化第一
鉄酸化反応率との関係を図1に示す。
【0023】こうして得られたマグネタイト粒子につい
て、下記に示す方法等で比表面積、FeO含有率、亜鉛
含有率、磁気特性(飽和磁化、保磁力)、粉体抵抗、黒
色度、粒子形状について評価した。結果を表2に示す。
【0024】[測定方法] (1)比表面積 島津−マイクロメリティックス製2200型BET計使
用。
【0025】(2)磁気特性 飽和磁化:東英工業製振動資料型磁力計VSM−P7
型を使用し、10KOe、1KOeでの飽和磁化を測
定。
【0026】保磁力:東英工業製振動資料型磁力計V
SM−P7型を使用し、10KOe、1KOeで保磁力
を測定。
【0027】(3)粉体抵抗 試料10gをホルダーに入れ600kg/cm2の圧力
を加えて25mmφの錠剤型に成型後、電極を取り付
け、150kg/cm2の加圧状態で測定した。測定に
使用した試料の厚さおよび断面積と抵抗値から算出し
て、マグネタイト粒子の粉体抵抗を求めた。
【0028】(4)黒色度(L値) マグネタイト粒子0.5gとアマニ油0.7gをフーバ
ー式マーラーで練った後、これにクリヤラッカー4.5
gを加えさらによく練り合わせた。これをミラーコート
紙上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥
後、色差計で測色した。
【0029】(5)粒子形状 走査型電子顕微鏡により観察した。
【0030】実施例2〜9 表1に示すように、水酸化ナトリウム水溶液液量、温
度、水酸化亜鉛の添加時期と添加割合を種々変化させ、
実施例1と同様に反応させ、処理してマグネタイト粒子
を得た。
【0031】実施例2の反応における亜鉛添加率と水酸
化第一鉄酸化反応率との関係を図1に示す。
【0032】また、このようにして得られたマグネタイ
ト粒子の特性、性状を実施例1と同様に評価し、その結
果を表2に示す。
【0033】比較例1〜2 表1に示すように、水酸化ナトリウム水溶液液量、温度
を変化させ、水酸化亜鉛を添加せず、マグネタイト粒子
を得た。
【0034】また、このようにして得られたマグネタイ
ト粒子の特性、性状を実施例1と同様に評価し、その結
果を表2に示す。
【0035】比較例3 表1に示すように、特開平6−310318号公報の実
施例1に基づいてマグネタイト粒子を得た。
【0036】また、このようにして得られたマグネタイ
ト粒子の特性、性状を実施例1と同様に評価し、その結
果を表2に示す。
【0037】比較例4 表1に示すように、特開昭57−77031号公報の実
施例1に基づいてマグネタイト粒子を得た。また、この
ようにして得られたマグネタイト粒子の特性、性状を実
施例1と同様に評価し、その結果を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】水酸化第一鉄の酸化反応を行う際、亜鉛
塩の添加時期を所定時期に調整することにより得られる
本発明のマグネタイト粒子は、従来のマグネタイト粒子
に比較し、飽和磁化が大きく、粉体抵抗の大きなマグネ
タイト粒子が得られる。しかも、黒色度の度合いを損な
うことがないため、静電複写磁性トナー用として好適で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜2の亜鉛添加率と水酸化第一鉄酸
化反応率との関係を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子表面に鉄−亜鉛酸化物層が被覆さ
    れ、亜鉛の含有率がマグネタイト粒子に対して1〜10
    wt%、粒子中のFeOが18wt%以上であり、飽和
    磁化80emu/g以上、粉体抵抗1×104Ω・cm
    以上、色差計による黒色度(L)20以下であることを
    特徴とするマグネタイト粒子。
  2. 【請求項2】 第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液を混合
    し、水酸化第一鉄の酸化率が10%になる以降の一定時
    期から酸化率が100%になるまで亜鉛塩を連続的に添
    加し、酸化反応を行なうことを特徴とするマグネタイト
    粒子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7470494B2 (en) 2004-10-08 2008-12-30 Canon Kabushiki Kaisha Magnetic toner

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