JP3314788B2 - 粒状マグネタイト粒子粉末及びその製造法 - Google Patents

粒状マグネタイト粒子粉末及びその製造法

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JP3314788B2 JP12520993A JP12520993A JP3314788B2 JP 3314788 B2 JP3314788 B2 JP 3314788B2 JP 12520993 A JP12520993 A JP 12520993A JP 12520993 A JP12520993 A JP 12520993A JP 3314788 B2 JP3314788 B2 JP 3314788B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保磁力30〜150O
eを有しており、しかも、優れた耐熱性と高い着色力を
有する粒状マグネタイト粒子粉末及びその製造法に関す
るものである。
【0002】本発明に係る粒状マグネタイト粒子粉末の
主な用途は、塗料用・印刷インキ用・樹脂用着色顔料粉
末や磁性トナー用・磁性キャリア用材料粉末である。
【0003】
【従来の技術】粒状マグネタイト粒子粉末は、黒色を呈
している為、ビヒクル中に分散させたり、樹脂と混練し
たりする黒色着色顔料として広く使用されている。
【0004】粒状マグネタイト粒子粉末は、黒色を呈す
る強磁性粒子であることから、樹脂中に混合分散させて
複合粒子とすることにより静電複写の為の磁性トナー用
材料粒子粉末及び磁性キャリア用材料粒子粉末としても
広く使用されている。
【0005】粒状マグネタイト粒子粉末を黒色着色顔料
として使用する場合、あまりに保磁力が高すぎると粒子
相互間で磁気的再凝集が生じてビヒクルや樹脂への分散
が困難になるので、分散性を考慮すると保磁力は、でき
るだけ低く、150Oe以下であることが要求される。
【0006】粒状マグネタイト粒子粉末を磁性トナー用
材料粒子粉末として使用する場合、連続コピーにおける
画像の濃度低下、画像欠損現象等の改良を考慮すれば保
磁力ができるだけ低く、殊に、150Oe以下であるこ
とが要求される。この事実は特開昭57−46254号
公報の「‥‥保磁力170エルステッドの磁性粉を使用
したトナーにおいては画像欠損現象著しく、連続コピー
安定性が悪かった。また、保磁力300エルステッドの
場合は、非磁性円筒体上で磁気的に磁化し、凝集してし
まい流動性が損なわれ、穂立ちが生じなくなり、画像出
しが行なえなかった。‥‥」、「‥‥保磁力が150エ
ルステッド以上であると画像欠損現象が著しく、連続コ
ピー安定性が悪くなるからである。‥‥」なる記載の通
りである。
【0007】粒状マグネタイト粒子粉末は、前述した通
り、黒色着色顔料として汎用されているが、その使用に
際して150℃以上、殊に200℃以上の高温にさらさ
れることが多く、150℃以上、殊に200℃以上の温
度においても色調が安定している(以下、耐熱性とい
う.)ことが要求される。
【0008】この事実は、特公昭54−7292号公報
の「‥‥該顔料をポリエチレン、ポリプロピレン、スチ
レン、ABSなどの熱可塑性樹脂の着色剤として使用す
る場合、殊に黄色酸化鉄顔料においてはこれら熱可塑性
樹脂が殆んど200℃以上の高温で成型加工されている
ので、その際該顔料の褪変色は決定的となりその使用範
囲は著しく限定されている。‥‥」なる記載や特開昭5
5−65406号公報の「一般に、このような一成分方
式における磁性トナー用の磁性粉には次のような諸特性
が要求される。‥‥iv)実用に耐える黒さをもつこ
と。磁性トナー中には、着色剤を含有させることもでき
るが、粉体自身が黒色を有し、着色剤は使用しない方が
好ましい。v)耐熱性が高いこと。色調、特に黒さおよ
び電磁気的特性が0〜150℃程度の温度範囲内で充分
安定であることが必要である。‥‥」なる記載の通りで
ある。
【0009】色調が黒色から茶褐色に変化する現象は、
周知の通り、粒状マグネタイト粒子の黒色度がFe2+
含有量に依存しておりFe2+含有量が多い程黒色度が優
れる傾向にあるが、150℃以上、殊に200℃程度の
高温にさらされるとマグネタイト粒子中のFe2+が酸化
されてFe3+となってマグヘマイトに変態することに起
因するものである。
【0010】更に、粒状マグネタイト粒子粉末は、でき
るだけ少量で着色することができれば、取扱い等の作業
性の面からはもちろん省資源・省エネルギー化の面から
も有利であることから加熱前における黒色度をできるだ
け維持することにより着色力ができるだけ高いことが要
求される。
【0011】従来、粒状マグネタイト粒子粉末は、第一
鉄塩水溶液と水酸化アルカリや炭酸アルカリ等のアルカ
リ水溶液とを反応させて得られるFe(OH)2 コロイ
ドやFe含有沈澱物を含む懸濁液中に酸素含有ガスを通
気する、所謂、湿式法により得られている。
【0012】粒状マグネタイト粒子粉末の諸特性を改良
する為の試みは種々なされており、粒状マグネタイト粒
子を水酸化亜鉛、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸ア
ルミニウム、シリカ等の可溶性無機化合物で被覆する方
法(米国特許第4082905号公報)、粒状マグネタ
イト粒子をFe以外の二価金属を1.5〜13モル%有
するフェライトで被覆する方法(特開平3−67265
号公報)、粒状マグネタイト粒子粉末の生成反応時に、
Zn、Mn、Ni、Co、Mg、CuまたはCdの酸化
物を共沈させる方法(特公昭59−43408号公報、
特公平3−48505号公報)等がある。
【0013】ところで、マグネタイト粒子粉末等の磁性
粒子粉末の諸特性を改良する方法として磁気記録の分野
においては、例えば、特開昭60−165703号公報
に見られるように針状磁性粒子粉末の粒子表面を亜鉛フ
ェライト等で被覆することが行われているが当該技術を
顔料分野で行うことはいまだ提案されていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】保磁力ができるだけ低
く、殊に150Oe以下を有しており、しかも、優れた
耐熱性と高い着色力を有する粒状マグネタイト粒子粉末
は、現在最も要求されているところであるが、前出公知
の湿式法で得られた粒状マグネタイト粒子粉末は、保磁
力が40〜130Oe程度と低いものではあるが、耐熱
性や着色力が悪いものであった。
【0015】即ち、これら粒状マグネタイト粒子粉末
は、後出比較例に示す通り、130℃程度の温度でマグ
ヘマイトへの変態が生起しはじめる為、黒色から茶褐色
に変色し、その結果、着色力も低いものであった。
【0016】前出米国特許第4082905号公報に記
載の粒子は、耐熱性を改良するものであるが未だ充分と
は言い難いものである。
【0017】前出特開平3−67265号公報に記載の
粒子は、帯電量を制御するものであり、耐熱性を改良す
るものではなく、事実後出の比較例4に示す通り、14
0℃付近の温度でマグヘマイトへの変態が生起しはじめ
耐熱性が悪いものである。
【0018】前出特公昭59−43408号公報や前出
特公平3−48505号公報に記載の粒状マグネタイト
粒子は、耐熱性や着色力を改良するものではない。
【0019】前出磁気記録分野において行われている針
状磁性粒子粉末の亜鉛フェライトによる被覆は、高密度
記録化の要求に応えて、磁性粒子粉末の飽和磁化値を高
め、経時変化を改良するものであり、耐熱性や着色力に
ついては全く意図されておらず、事実、後出比較例に示
す通り、120〜145℃程度の温度でマグヘマイトへ
の変態が生起しはじめ耐熱性が悪いものであった。
【0020】そこで、本発明は、保磁力ができるだけ低
く、殊に、150Oe以下を有しており、しかも、優れ
た耐熱性と高い着色力を有する粒状マグネタイト粒子粉
末を得ることを技術的課題とする。
【0021】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0022】即ち、本発明は、粒子表面がZnx Fe
2+y z (但し、0.4≦x≦1.0、x+y=1、
4.0≦z≦4.3)で表わされる亜鉛フェライトで
覆されている粒状マグネタイト粒子であって、前記Zn
x Fe2+y z 中のZn量が前記粒状マグネタイト粒子
中の全Feに対し0.5〜4.0mol%であることを
特徴とする粒状マグネタイト粒子粉末及び粒状マグネタ
イト粒子粉末を含む水分散液中に、非酸化性雰囲気下に
おいて前記粒状マグネタイト粒子中の全Feに対しFe
2+換算で1.0〜26mol%の第一鉄塩水溶液とZn
換算で0.5〜4.0mol%の亜鉛塩水溶液と水酸化
アルカリ水溶液とを添加・混合して分散液中のOH基濃
度が0.3〜1.0mol/lになるように調整した
後、50℃以上の温度において酸素含有ガスを通気し
て、前記粒状マグネタイト粒子の粒子表面をZnx Fe
2+y z (但し、0.4≦x≦1.0、x+y=1、
4.0≦z≦4.3)で表わされる亜鉛フェライトで
覆することからなる粒状マグネタイト粒子粉末の製造法
である。
【0023】次に、本発明実施にあたっての諸条件につ
いて述べる。
【0024】本発明における被処理粒子である粒状マグ
ネタイト粒子粉末は、湿式法により得られたFe2+を1
2〜24wt%含有する黒色を呈する粒子であり、その
形状は球状、立方状、八面体等いずれの形状のものでも
よい。また、粒子サイズは、分散性を考慮すれば、BE
T比表面積で3〜15m2 /gの範囲であることが好ま
しい。
【0025】Fe2+を12〜24wt%含有する粒状マ
グネタイト粒子粉末は、通常、黒色を呈してはいるが、
より黒色度が優れており、より着色力が高い目的物粒子
を得ようとすれば、被処理粒子としてFe2+を多量に含
有する、殊に、Fe2+を14wt%以上、より好ましく
は、17wt%以上含有する粒状マグネタイト粒子を使
用すればよい。
【0026】本発明における被覆物の種類は、Znx
2+y z (但し、0.4≦x≦1.0、x+y=1、
4.0≦z≦4.3)で表わされる亜鉛フェライトで
る。xが0.4未満の場合には、耐熱性の改良が十分で
はなく、発熱開始温度が低下する。xが1.0を越える
場合には、被覆物の生成に寄与しないZnイオンがZn
(OH)2 微粒子として単独で分離析出する。
【0027】本発明におけるZnx Fe2+y z 中のZ
n量は、粒状マグネタイト粒子中の全Feに対して0.
5〜4.0mol%である。0.5mol%未満の場合
には、耐熱性の改良が十分ではなく、発熱開始温度が低
下する。4.0mol%を越える場合にも、耐熱性の改
良はできるが必要以上に含有させる意味がない。
【0028】Znx Fe2+y z 中のZn量が多くなる
程、また、x値が1に近づく程、得られる粒状マグネタ
イト粒子の耐熱性が向上する傾向にある。
【0029】本発明におけるZnx Fe2+y z 中のF
2+は、Znx Fe2+y z を生成する為に必要な量で
あればよい。
【0030】本発明に係る粒状マグネタイト粒子粉末
は、粒状マグネタイト粒子粉末を含む水分散液中に、非
酸化性雰囲気下において前記粒状マグネタイト粒子中の
全Feに対しFe2+換算で1.0〜26mol%の第一
鉄塩水溶液とZn換算で0.5〜4.0mol%の亜鉛
塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを添加・混合して分
散液中のOH基濃度が0.3〜1.0mol/lになる
ように調整した後,50℃以上の温度において酸素含有
ガスを通気して、前記粒状マグネタイト粒子の粒子表面
をZnx Fe2+y z (但し、0.4≦x≦1.0、x
+y=1、4.0≦z≦4.3)で被覆することにより
得ることができる。
【0031】本発明における添加・混合時の雰囲気は、
非酸化性雰囲気である。非酸化性雰囲気とする為には、
窒素ガス等を反応容器中に通気すればよい。非酸化性雰
囲気でない場合には、粒状マグネタイト粒子表面にZn
x Fe2+y z が十分成長せず、Znx Fe2+y z
粒子が単独で分離析出する。
【0032】本発明における第一鉄塩水溶液としては、
硫酸第一鉄、塩化第一鉄等を使用することができる。
【0033】第一鉄塩水溶液の量は、Znx Fe2+y
z を生成する為に必要な量であればよく、粒状マグネタ
イト粒子中の全Feに対しFe2+換算で1.0〜26m
ol%が好ましい。
【0034】本発明における亜鉛塩水溶液としては、硫
酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸亜鉛等を使用する
ことができる。
【0035】亜鉛塩水溶液中のZn量は、粒状マグネタ
イト粒子中の全Feに対し0.5〜4.0mol%であ
る。0.5mol%未満の場合には、耐熱性の改良が十
分ではなく、発熱開始温度が低下する。4.0mol%
を越える場合にも、耐熱性の改良はできるが必要以上に
添加する意味がない。
【0036】本発明における水酸化アルカリ水溶液は、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することが
できる。
【0037】水酸化アルカリ水溶液の量は、分散液中の
OH基濃度が0.3〜1.0mol/lになるように調
整すればよい。0.3mol/l未満の場合には、粒状
マグネタイト粒子表面にZnx Fe2+y z が十分成長
せず、Znx Fe2+y z 微粒子が単独で分離析出す
る。粒状マグネタイト粒子表面にZnx Fe2+y z
成長させる為には1.0mol/lで十分である。
【0038】本発明において使用される酸素含有ガスと
しては、空気が最適である。
【0039】本発明における酸化反応時の温度は50℃
以上である。50℃未満の場合には、添加した第一鉄塩
の全量がZnフェライト被覆層の生成に寄与することな
く、その一部が針状ゲータイト粒子や針状レピッドクロ
サイト粒子が生成し、粒状マグネタイト粒子と混在す
る。
【0040】
【作用】先ず、本発明において最も重要な点は、粒状マ
グネタイト粒子粉末を含む水分散液中に、非酸化性雰囲
気下において前記粒状マグネタイト粒子中の全Feに対
しFe2+換算で1.0〜26mol%の第一鉄塩水溶液
とZn換算で0.5〜4.0mol%のコバルト塩水溶
液と水酸化アルカリ水溶液とを添加・混合して分散液中
のOH基濃度が0.3〜1.0mol/lになるように
調整した後、50℃以上の温度において酸素含有ガスを
通気した場合には、粒子表面がZnx Fe2+y z (但
し、0.4≦x≦1.0、x+y=1、4.0≦z≦
4.3)で表わされる亜鉛フェライトで被覆されている
粒状マグネタイト粒子であって、前記Znx Fe2+y
z 中のZn量が前記粒状マグネタイト粒子中の全Feに
対し0.5〜4.0mol%である粒状マグネタイト粒
子粉末を得ることができ、当該粒状マグネタイト粒子粉
末は、保磁力30〜150Oeを有しており、しかも、
耐熱性と着色力が優れているという事実である。
【0041】本発明に係る粒状マグネタイト粒子粉末の
前記諸特性の改良機構についての理論的解明はいまだ行
っていないが、本発明者は、後出比較例に示す通り、添
加・混合時における雰囲気を酸化性雰囲気にした場合や
OH基濃度が0.3〜1.0mol/lの範囲外である
場合には本発明の目的とする諸特性を有する粒状マグネ
タイト粒子粉末を得ることができないことから、添加・
混合時における雰囲気を非酸化性にするにより酸化反応
の生起を制御して系内における酸化反応を均一に行わせ
ることと、OH基濃度を特定範囲に調整することによ
り、水酸化物の溶解度を低下させて新たな核が単独で析
出分離することを制御することとの相乗効果により、粒
状マグネタイト粒子の粒子表面に均一、且つ、緻密な被
膜が形成されていることによるものと考えている。
【0042】本発明に係る粒状マグネタイト粒子粉末
は、後出実施例に示す通り、発熱開始温度が150℃以
上、好ましくは200℃以上であり、耐熱性が極めて優
れたものであった。そして、温度200℃という高温に
おいてさえも加熱前後におけるFe2+の変化率が8%以
下、殊に6%以下であり、加熱前におけるFe2+量を略
維持していた。そして、その結果、ΔEも0.8以下、
殊に0.6以下であり、十分黒色度を維持しており、耐
熱性が極めて優れていることが確認された。
【0043】
【実施例】次に、実施例及び比較例により、本発明を説
明する。尚、以下の実施例及び比較例における粒子の粒
子径は、BET法により測定した値で示した。
【0044】粒子粉末中のZn量及びFe量は、「高周
波プラズマ発光分光分析装置ICAP−575」(日本
ジャーレル・アッシュ(株)製)により測定した値で示
した。
【0045】粒子の磁気測定は、「振動試料型磁力計
VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を用いて磁
場10kOe下で測定した値である。
【0046】粒子の耐熱性は、「示差走査熱量計DSC
−200」(セイコー電子工業(株)製)を用いて測定
した示差熱分析による発熱開始温度(℃)で示した。
【0047】そして、粒状マグネタイト粒子粉末を20
0℃で1時間加熱処理した場合における加熱前後におけ
るFe2+の変化率(%)を示すとともに加熱処理前のL
1 *、a1 * 及びb1 * と加熱処理後のL2 * 、a2 *
及びb2 * とをそれぞれ測定し、加熱処理前後における
色相の変化を数1で示した。
【0048】
【数1】
【0049】尚、色相は、L* 値(明度)、a* 値及び
* 値で示され、これらは、測色用試験片を光源分光測
色計MSC−IS−2D(スガ試験機(株)製)を用い
てHunterのLab空間によりL* 値、a* 値、b
* 値をそれぞれ測色し、国際証明委員会(Commis
sion Internationale de l’
Eclairage、CIE)1976(L* 、a*
* )均等知覚色空間に従って表示した値で示した。
【0050】色相の測定用試料片は、粒状マグネタイト
粒子粉末0.5gとヒマシ油0.5ccをフーバー式マ
ーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリヤ
ラッカー4.5gを加え混練し塗料化して、キャストコ
ート紙上に6milのアプリケータを用いて塗布するこ
とによって得た。
【0051】実施例1 水溶液中から生成させた八面体状マグネタイト(平均粒
径0.26μm、保磁力120Oe、BET比表面積
5.5m2 /g、Fe2+含有量20.1wt%)185
6gを水に分散させた温度90℃の分散液に、N2 ガス
を20l/分の割合で通気しながら、0.24molの
ZnSO4 溶液と0.50molのFeSO4 溶液と3
7.0molのNaOH水溶液とを添加し、全容量を3
9.5lとした。この分散液中のZn2+量及びFe2+
はそれぞれ粒状マグネタイト粒子中の全Feに対し1.
00mol%及び2.09mol%であり、OH基濃度
は0.94mol/lであった。
【0052】その後、N2 ガスを空気に切り換え、10
0l/分の割合で通気しながら温度90℃で20分間溶
液を攪拌して亜鉛フェライトによる被覆反応を行った。
得られた黒色沈澱物を濾過、水洗した後、60℃で乾
燥して、黒色粒子粉末を得た。
【0053】得られた黒色粒子粉末は下記の方法により
測定したZn及びFeの組成分析の結果、粒子表面の組
成が一般式Znx Fe2+y z においてx=0.97、
2+y=2.03(但し、被覆物中のZn量は被処理粒
子中の全Feに対し1.0mol%、被覆物中の全Fe
量は被処理粒子中の全Feに対し2.1mol%)であ
った。この黒色粒子粉末は、BET比表面積が4.9m
2 /gであって、Fe2+含有量が20.5wt%であ
り、磁気特性は、保磁力Hcが124Oe、残留磁化σ
rが12.8emu/g、飽和磁化σsが85.4em
u/gであった。
【0054】示差熱分析による発熱開始温度は219℃
であり、耐熱性に優れたものであった。そして、200
℃で60分間加熱した後のFe2+含有量は19.6wt
%であって、加熱前のFe2+量20.5wt%に対する
変化率は4.4%であり、加熱前のFe2+含有量と比べ
大巾な変化はみられず、青みがかった黒色を呈してい
た。その結果、着色力も優れていることが認められた。
また、ΔEは0.42であった。
【0055】尚、組成分析は、上記黒色粒子粉末10g
を100mlの水に懸濁させ、該懸濁液を反応容器に入
れ60℃に加熱した後、攪拌しながら1−NのHCl溶
液200mlを加え、溶液中に溶解したZn量及びFe
量を測定することにより行った。即ち、測定試料を6点
用意しHClを加えた瞬間をt=0として1、5、1
0、30、60、120分の各時間を経過するごとに試
料を1点ずつとり出し、黒色粒子を濾別して得られた濾
液中のZn及びFe量をそれぞれ分析した。
【0056】実施例2〜10、比較例1〜4 被処理粒子である粒状マグネタイト粒子粉末の種類、混
合工程における亜鉛塩水溶液の種類及び量、第一鉄塩水
溶液の量、NaOH水溶液の量、並びに酸化反応工程に
おける温度を種々変化させた以外は、実施例1と同様に
して被覆処理済マグネタイト粒子粉末を得た。
【0057】この時の主要製造条件と被覆処理済マグネ
タイト粒子粉末の諸特性を表1乃至表3に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】実施例2〜10で得られた被覆処理済粒状
マグネタイト粒子粉末は、いずれも耐熱性が優れたもの
であった。
【0062】尚、比較例2は添加混合時における雰囲気
をN2 ガスを通気することなく空気中で実施した以外は
実施例1と同様に実施したものであり、被覆処理後に得
られた粒子は、電子顕微鏡観察の結果、八面体状マグネ
タイト粒子以外に亜鉛フェライト微粒子が単独で分離析
出していることが確認された。また、比較例3において
も同様に被覆処理後に得られた粒子は、電子顕微鏡観察
の結果、八面体状マグネタイト粒子以外に亜鉛フェライ
ト微粒子が単独で分離析出していることが確認された。
【0063】
【発明の効果】本発明に係る粒状マグネタイト粒子粉末
は、前出実施例に示した通り、保磁力30〜150Oe
を有しており、しかも、優れた耐熱性と高い着色力を有
しているので、塗料用・印刷インキ用・樹脂用着色顔料
粉末、磁性トナー用・磁性キャリア用材料として好適で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 1/11 C04B 35/26 C (72)発明者 三澤 浩光 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号 戸田工業株式会社創造センター内 (72)発明者 好澤 実 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号 戸田工業株式会社創造センター内 合議体 審判長 松本 邦夫 審判官 橋本 武 審判官 浅野 清 (56)参考文献 特開 昭58−60753(JP,A) 特開 昭60−165703(JP,A) 特開 平3−67265(JP,A) 特公 昭59−43408(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子表面がZnx Fe2+y z (但し、
    0.4≦x≦1.0、x+y=1、4.0≦z≦4.
    3)で表わされる亜鉛フェライトで被覆されている粒状
    マグネタイト粒子であって、前記Znx Fe2+y z
    のZn量が前記粒状マグネタイト粒子中の全Feに対し
    0.5〜4.0mol%であることを特徴とする粒状マ
    グネタイト粒子粉末。
  2. 【請求項2】 粒状マグネタイト粒子粉末を含む水分散
    液中に、非酸化性雰囲気下において前記粒状マグネタイ
    ト粒子中の全Feに対しFe2+換算で1.0〜26mo
    l%の第一鉄塩水溶液とZn換算で0.5〜4.0mo
    l%の亜鉛塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを添加・
    混合して分散液中のOH基濃度が0.3〜1.0mol
    /lになるように調整した後、50℃以上の温度におい
    て酸素含有ガスを通気して、前記粒状マグネタイト粒子
    の粒子表面をZnx Fe2+y z (但し、0.4≦x≦
    1.0、x+y=1、4.0≦z≦4.3)で表わされ
    る亜鉛フェライトで被覆することを特徴とする粒状マグ
    ネタイト粒子粉末の製造法。
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