JPH08207500A - 転写シート - Google Patents

転写シート

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JPH08207500A
JPH08207500A JP1912195A JP1912195A JPH08207500A JP H08207500 A JPH08207500 A JP H08207500A JP 1912195 A JP1912195 A JP 1912195A JP 1912195 A JP1912195 A JP 1912195A JP H08207500 A JPH08207500 A JP H08207500A
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和宏 須賀
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、可撓性、成
形性、透明性などに優れた転写シートを提供すること。 【構成】 支持体シート2上に転写層を有する転写シー
ト1であって、該転写層が少なくとも、架橋硬化性樹脂
層4の架橋硬化物中に該架橋硬化物よりも高硬度の球状
粒子5が分散されてなる硬質塗膜層3を有する転写シー
ト1である。転写シート1の表面に他の接触物により応
力が加わった場合、球状粒子5は滑らかな表面を有する
ため、該粒子5の表面を接触物がすべり易く、応力が分
散される。従って、バインダーとしての架橋性樹脂層4
から球状粒子5が脱落したりする虞れがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐擦傷性、耐摩耗性など
の物性の優れた転写シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹脂成型品などの被転写体上に装飾性の
ある転写層を転写するための転写シートが各種の用途に
用いられている。転写シートは一般に支持体シート上に
転写層を設けたものからなり、該転写層は被転写体表面
に転写層を接着させるための接着層と該接着層上に設け
られた絵柄などからなる装飾層および被転写体上に転写
された装飾層を保護するための硬質塗膜層などから構成
されている。
【0003】転写シートの転写後に成型品の表面層とな
る前記硬質塗膜層の主成分として、従来次のようなもの
が主に知られている。 1.非架橋型樹脂から成るもの(実公昭17−3404
号など) 2.電離放射線架橋型樹脂から成るもの(特公昭61−
3272号、実公昭64−1114号など) 3.電離放射線架橋型樹脂中に不定多角形状のα−アル
ミナ粒子を減摩剤として分散させたもの(特開平3−7
6698号)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】硬質塗膜層の主成分と
して、前記1.の非架橋型樹脂から成るものは樹脂が架
橋していないので、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性など
の性能が十分発揮でない。また、前記2.の電離放射線
架橋型樹脂から成るものは耐擦傷性、耐薬品性に優れて
いるが、耐摩耗性、三次元成形性が未だ不十分である。
また、前記3.の発明は本願出願人の出願になるもので
あり、その転写シートは、転写後の被転写体の表面の耐
摩耗性や耐擦傷性を向上させる目的で、電離放射線硬化
型樹脂に該樹脂100重量部当たり10〜30重量部の
粒径1〜5μmの不定多角形状のα−アルミナ粉体を添
加して構成した樹脂層を、転写シートの転写後に被転写
体の表面に位置する表面保護層として構成したものであ
る。
【0005】しかし、表面保護層として上記α−アルミ
ナを含む樹脂層を用いる場合、あるいはその他に天然ガ
ラスの粉末などの無機材料を添加した樹脂を塗料として
用いる場合、転写シートの耐摩耗性はα−アルミナを添
加しないものと比較して向上するものの、いまだ不十分
なものである。また、例えば支持体シート表面に上記不
定多角形状のα−アルミナ粉体または天然ガラスの粉末
などの無機材料を添加した塗料を用いて塗工して耐摩耗
性を有する表面樹脂層を形成する際、例えばグラビアロ
ールコートを用いて塗工する場合には、グラビアロール
やドクターブレードが上記表面樹脂層形成用の塗料と直
接接する。その際、α−アルミナは菱面晶系の結晶であ
るため、塗料に研削材や研磨材などとして利用されるα
−アルミナや天然ガラスの粉末などは不定形ないしは多
角形状のカドの尖った形状のため、グラビアロールやド
クターブレードを摩耗させたり傷を付けたりするという
問題があった。なお、硬度の高いメラミン樹脂を表面樹
脂として用いた転写シートをその表面に転写し化粧材の
ような柔軟性が問題とならない場合でも、この塗工装置
の摩耗という問題は依然として残っている。
【0006】また、前記不定多角形状のα−アルミナ粉
体または天然ガラスの粉末などの無機材料粉末を添加し
た塗膜は白濁して透明性が低下して、転写シートの装飾
層の意匠が充分に生かせない。さらに硬質で多角形状の
粉末を添加した塗膜は、手で触り感が荒く、また、それ
に接する物体を摩耗させてしまうという問題もあった。
【0007】そこで、本発明の目的は耐擦傷性、耐摩耗
性、耐薬品性、可撓性、成形性、透明性などに優れた転
写シートを提供することである。また、本発明の目的
は、転写シートの表面保護層の塗工時に、塗工装置を損
なうおそれのない転写シートを提供することである。ま
た、本発明は耐擦傷性、耐摩耗性などの物性に優れ、な
おかつ転写シートに接する他の物体を摩耗させない転写
シートを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成によって達成される。すなわち、支持体シート上に
転写層を有する転写シートであって、該転写層が少なく
とも、架橋硬化性樹脂の架橋硬化物中に該架橋硬化物よ
りも高硬度の球状粒子が分散されてなる硬質塗膜層を有
する転写シートである。
【0009】本発明の転写シートは、一旦支持体シート
(剥離性基材)上に形成した絵柄層などの装飾層等より
なる転写層を、別の被転写体に転移させる印刷方法に用
いるものである。支持体シートには必要に応じて離型層
を設けてもよく、硬質塗膜層を必要とする。また、転写
層としてはこの他に絵柄層、金属蒸着層等の装飾層、接
着剤層なども含み、必要に応じてこれらの層の一種以上
を選択する。なお、ここで離型層とは転写後も支持体シ
ート側に残留し、転写層との剥離を容易ならしめる層を
言い、また硬質塗膜層とは転写後は被転写体側へ転移
し、転移層の表面保護層となる層を言う。剥離は離型層
と転写層との間で行われる。
【0010】また、絵柄層などの装飾層は支持体シート
(剥離性基材)の全面に設けても部分的に模様状に設け
ても良く、模様としては木目、石目、布目などの天然物
の意匠、文字、図形、記号、各種抽象模様のいずれでも
良い。
【0011】転写シートに用いる支持体シートとして
は、転写層と剥離性のよい10〜200μmのシートを
用いる。材料としては例えば、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレ
フタレート−イソフタレート共重合体などのポリエステ
ル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペ
ンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリ四フッ化エチレン、エチレン
−四フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン
系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド、
ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビ
ニル重合体、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロ
ース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアク
リル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸
ブチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シー
トの単層体または複数の積層体、あるいは、上質紙、薄
葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙を用いる。
【0012】前述のように必要に応じて、転写シートの
転写層と支持体シート(剥離性基材)との離型性を促進
するために支持体シート上に離型層を設けてもよい。離
型層としては、フッ素系樹脂、各種ワックス、シリコー
ンなどからなる離型剤を公知のベヒクル、例えば、アク
リル系樹脂、繊維素系樹脂、ビニル系樹脂等に添加した
塗料の塗膜を形成したり、離型性樹脂、例えば、シリコ
ン樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、電離放
射性架橋型の多官能のアクリレート、ポリエステル、エ
ポキシ等の樹脂を塗工、エクストルージョンコート等で
製膜したものなどを用いる。
【0013】本発明において、硬質塗膜層は球状粒子を
架橋性樹脂からなるバインダー中に分散させたものから
形成される。前記球状粒子は、真球状、あるいは球を偏
平にした回転楕円体状ならびに該真球や回転楕円体状に
近い形状などのように、表面が滑らかな曲面で囲まれて
いればよい。球状粒子は、特に粒子表面に突起や角ある
いは谷間や凹陥部のない、いわゆるカッティングエッジ
のない球状が好ましい。球状粒子は同じ材質の不定形の
粒子と比較して、表面樹脂層それ自身の耐摩耗性を大き
く向上させると共に、塗工装置を摩耗させず、塗膜の硬
化後もこれと接する他の物を摩耗させず、さらに塗膜の
透明度も高くなるという特徴があり、カッティングエッ
ジがない場合、特にその効果が大きい。
【0014】球状粒子は平均粒径0.1〜30μmのも
のが好ましく、より好ましく平均粒径0.5〜3μmの
ものである。平均粒径が0.1μm未満であると硬質塗
膜層の耐摩耗性や耐擦傷性の向上に効果がなく、平均粒
径が3μmを超えると硬質塗膜層が白濁傾向にあり、表
面保護層としての透明性が低下してくる。また、平均粒
径が30μmを超えると塗膜の可撓性が不足し、転写時
の応力によって亀裂を発生する。特に被転写体が凹凸形
状のとき、この現象の発生が著しい。
【0015】また、球状粒子の添加量は架橋性樹脂に対
して1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%で
ある。添加量が1重量%未満では、硬質塗膜層の耐擦傷
性、耐摩耗性などが不十分となり、添加量が10重量%
を超えると、塗膜の透明性が劣り、20重量%を超える
と、塗膜の可撓性が不十分となる。
【0016】球状粒子は平均粒径0.1〜30μm、架
橋性樹脂に対して添加量1〜20重量%の範囲内で、硬
質塗膜層の膜厚に応じて適宜選定される。例えば、硬質
塗膜層の厚みを0.1〜5μmに形成する場合には、球
状粒子の平均粒子径は0.1〜8μmの範囲が好まし
い。
【0017】球状粒子の材質は架橋性樹脂よりも高硬度
であればよく、無機粒子および有機樹脂粒子のいずれも
用いることができる。球状粒子の架橋性樹脂との硬度の
差は、硬度はモース硬度、ビッカース硬度などの方法で
計測され、例えばモース硬度で表した場合1以上あるの
が好ましい。
【0018】球状粒子の材質は、具体的には、α−アル
ミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、黒
鉛などの無機粒子、および架橋アクリルなどの合成樹脂
ビーズなどの有機樹脂粒子が挙げられる。特に好ましい
球状粒子は、非常に硬度が高く耐摩耗性に対する効果が
大きいことと球形状のものが比較的容易に得やすいなど
の理由から、球形のα−アルミナを挙げることができ
る。球形のα−アルミナは、特開平2−55269号公
報に記載されているように、アルミナ水和物、ハロゲン
化合物、硼素化合物などの鉱化剤あるいは結晶剤を、電
融アルミナあるいは焼結アルミナの粉砕品に少量添加
し、1400℃以上の温度で2時間以上熱処理すること
で、アルミナ中のカッティングエッジが減少し同時に形
状が球形化したものが得られる。このような球形状のア
ルミナは、昭和電工(株)より「球状アルミナ(Sph
ericAl Alumina)AS−10、AS−2
0、AS−30、AS−40、AS−50」として各種
の平均粒子径のものが市販されている。
【0019】球状粒子はその粒子表面を処理することが
できる。例えばステアリン酸などの脂肪酸で処理するこ
とで分散性が向上する。また、表面をシランカップリン
グ剤で処理することで、バインダーとして使用する架橋
性樹脂との間の密着性や塗工組成物中での粒子の分散性
が向上する。シランカップリング剤としては、分子中に
ビニルやメタクリルなどのラジカル重合性不飽和結合を
有するアルコキシシランや、分子中にエポキシ、アミ
ノ、メルカプトなどの官能基を有するアルコキシシラン
が挙げられる。シランカップリング剤は、球状粒子と共
に使用する架橋性樹脂の種類に応じて、例えば(メタ)
アクリレートなどの電離放射線硬化性樹脂の場合にはラ
ジカル重合性不飽和結合を有するアルコキシシランを用
い、二液硬化型のウレタン樹脂の場合にはエポキシ基や
アミノ基を有するアルコキシシランを用いように、ラジ
カル重合性不飽和結合や官能基の種類などを選択するこ
とが好ましい。
【0020】ラジカル重合性不飽和結合を有するアルコ
キシシランは具体的には、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメ
チルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメ
チルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメトキ
シシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシランなどの分子中にラジカル
重合性不飽和結合を有するアルコキシシランや、分子中
にエポキシ、アミノ、メルカプトなどの官能基を有する
アルコキシシランなどがある。
【0021】球状粒子の表面をシランカップリング剤で
処理する方法には特に制限はなく、公知の方法が使用で
きる。例えば、乾式法として球状粒子を激しく撹拌しな
がら所定量のシランカップリング剤を吹き付ける方法
や、湿式法としてトルエンなどの溶剤中に球状粒子を分
散させた後に、所定量のシランカップリング剤を加え反
応させる方法が挙げられる。球状粒子に対するシランカ
ップリング剤の処理量(所定量)としては、球状粒子の
比表面積100に対してシランカップリング剤の最小被
覆面積が10以上となる処理量が好ましい。球状粒子の
最小被覆面積が球状粒子の比表面積100に対して10
未満の場合はあまり効果がない。
【0022】前記バインダーとして用いる架橋性樹脂
は、電離放射線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂(常温硬
化型樹脂、二液反応硬化型樹脂を含む)などの従来の公
知の転写シートの硬質塗膜層の架橋性樹脂として用いら
れる樹脂が利用できる。架橋性樹脂としては電離放射線
硬化性樹脂が、硬化速度が速く作業性も良好であり、し
かも柔軟性や硬度などの樹脂の物性の調節も容易であり
好ましい。また、上記の架橋性樹脂の選択は転写シート
の用途に応じて適宜選択することができる。該架橋性樹
脂は、未架橋状態で球状粒子を分散させて塗工した後、
架橋させ、重合、硬化させて塗膜は完成される。
【0023】前記架橋性樹脂は、その架橋密度が高くな
るほど耐摩耗性は向上するが、可撓性、柔軟性は低下す
る。そのため架橋性樹脂の架橋密度は、転写シートの用
途等によって耐摩耗性と柔軟性に応じて、基材の種類等
と合わせて適宜選定するのが好ましい。架橋密度は例え
ば下記の数式(1)に示す平均架橋間分子量で表すこと
ができる。
【0024】 平均架橋間分子量=全体の分子量/架橋点の数 (1) 但し、全体の分子量は、Σ(各成分の配合モル数×各成
分の分子量)であり、架橋点の数は、Σ[{(各成分の
官能基数−1)×2}×各成分のモル数]である。
【0025】架橋性樹脂の平均架橋間分子量を変化させ
た場合の耐摩耗性と可撓性の関係をみた実験例を下記の
表1に示した。表1は、架橋性樹脂としてウレタンアク
リレートオリゴマーと2種類のアクリレートモノマーを
用い、その成分の混合比を変えて平均架橋間分子量を各
々調節し、球状粒子として平均粒径3μm球状のα−ア
ルミナを、架橋性樹脂100重量部に対し11重量部添
加した組成物を塗布量25g/m2として支持体シート
上に塗工したものを硬化させ、これを合成樹脂板に感熱
接着剤を用いて転写した場合の耐摩耗性と可撓性を比較
したものである。耐摩耗性試験はJIS、K6902に
準じて行い、硬質塗膜層の厚みが半分になるまでの回数
を示した。
【0026】また可撓性は、硬化した架橋性樹脂が非常
に柔軟であるのを◎、良好を〇、やや柔軟性が低いのを
△、柔軟性がかなり低いものを×で示した。なお、実験
No.6は、球状粒子を用いずに平均粒子径3μmの不
定形のカドを有する従来型のα−アルミナを実験No.
1〜5と同じ量を添加したものである。上記の樹脂系で
は平均架橋間分子量は100〜1000の範囲で用いる
ことができるが、より好ましくは150〜700であ
る。また、柔軟性を有する基材を用いた場合には平均架
橋間分子量が300〜700のものを用いるのがさらに
好ましく、上記範囲であれば柔軟性および耐摩耗性とも
に良好な転写シートが得られる。
【0027】
【表1】
【0028】上記表1の実験結果は、架橋性樹脂の種類
が同じ場合、平均架橋間分子量が小さいほど(すなわ
ち、架橋密度が大きい)、バインダーである架橋性樹脂
が球状粒子をしっかりと保持し、耐摩耗性がさらに向上
することを示すものである。したがって、可撓性を損な
わない範囲で架橋性樹脂の平均架橋間分子量を小さく調
節することで、さらに耐摩耗性を向上させることができ
る。
【0029】架橋性樹脂として用いる電離放射線硬化性
樹脂は、具体的には、分子中に重合性不飽和結合または
カチオン重合性官能基を有するプレポリマー、オリゴマ
ーおよび/またはモノマーを適宜混合した、電離放射線
により硬化可能な組成物が用いられる。なお、ここで電
離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重
合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意
味し、通常紫外線または電子線が用いられる。
【0030】硬質塗膜を形成する電離放射線硬化性樹脂
としては、分子中に、(メタ)アクリロイル基、(メ
タ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性不飽和
基、エポキシ基などのカチオン重合性官能基あるいはチ
オール基を2個以上有する単量体、プレポリマーまたは
ポリマー(以下これらを総称して化合物とも呼称する)
からなる。これら単量体、プレポリマーまたはポリマー
は単体で用いるか、あるいは複数種混合して用いる。な
お、本明細書で(メタ)アクリレートとはアクリレート
またはメタクリレートの意味で用いる。
【0031】ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリ
マーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレー
ト、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)
アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリア
ジン(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0032】分子量としては、通常大体100〜100
00程度のものが用いられる。アクリレート、メタクリ
レート共に使用し得るが、電離放射線での架橋硬化速度
の点ではアクリレートの方が早いため、高速度、短時間
で能率よく硬化させるという目的ではアクリレートの方
が有利である。ラジカル重合性不飽和基を有するポリマ
ーとしては、上記ポリマーの重合度を10000程度以
上としたものが用いられる。
【0033】カチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、脂肪族型
エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエ
ーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエ
ーテル、エステル系ビニルエーテルなどのビニルエーテ
ル系樹脂、環状エーテル系化合物、スピロ化合物などの
プレポリマーがある。
【0034】ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の
例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量
体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブ
チル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)ア
クリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、
フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、テトラヒドキシフルフリル(メタ)クリレート、メ
トキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレー
ト、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒド
ロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルハイドロゲンフタレートなどがある。
【0035】ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単
量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグ
リコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキシルジ
オールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリプロリレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイ
ドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレンオキサ
イドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルフォスフェート等がある。
【0036】カチオン重合性官能基を有する単量体の例
としては、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリ
マーの単量体が利用できる。チオール基を有する単量体
の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコ
レート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート
等がある。
【0037】これらの化合物の中で、転写後の表面物
性、伸び、および可撓性の点ではラジカル重合型ウレタ
ン(メタ)アクリレート化合物が好ましい。また被転写
体と接着性及び空気中の酸素での硬化阻害を起こしにく
いことからカチオン重合型エポキシ化合物が好ましい。
【0038】紫外線または可視光線にて硬化させる場合
には、電離放射線硬化性樹脂中に光重合開始剤を添加す
る。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、
光重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン
類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラー
ケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルフ
ァイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾ
ール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエ
ート等を単独または混合して用いることができる。
【0039】またカチオン重合性官能基を有する樹脂系
の場合は、光重合開始剤として芳香族ジアゾニウム塩、
芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロ
セン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリール
オキシスルホキソニウム塩、ジアリルヨードシル塩など
の単独または混合物として用いることができる。なお、
これらの光重合開始剤の添加量としては該電離放射線硬
化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程
度である。また、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブ
チルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を必要に応
じて、さらに添加しても良い。
【0040】通常、以上の化合物を必要に応じて1種も
しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性
樹脂に通常の塗工適性を付与するために、前記プレポリ
マーまたはポリチオールを5重量%以上、前記モノマー
を95重量%以下とするのが好ましい。
【0041】モノマーの選定に際しては、硬化物の可撓
性が要求される場合は塗工適性上支障のない範囲でモノ
マーの量を少なめにしたり、1官能または2官能アクリ
レートモノマーを用い、比較的低架橋密度の構造とす
る。また、硬化物の耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性などが
要求される場合には、塗工適性上支障のない範囲でモノ
マーの量を多めにしたり、3官能以上のアクリレートモ
ノマーを用いることで高架橋密度の構造とすることがで
きる。なお、1、2官能モノマーと3官能以上のモノマ
ーを混合し塗工適性と硬化物の物性とを調整することも
できる。
【0042】以上のような1官能性アクリレートモノマ
ーとしては、2−ビドロキシアクリレート、2−ヘキシ
ルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートなどが
挙げられる。また、2官能アクリレートとしてはエチレ
ングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジアクリレートなどが、また3官能以上のアクリレー
トとしては、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(テトラ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙
げられる。
【0043】さらに、電離放射線硬化性樹脂には、硬化
物の可撓性、表面硬度などの物性を調整するための電離
放射線非硬化性樹脂を添加することができる。なお、該
電離放射線非硬化物樹脂としてはウレタン系、繊維素
系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラール系、ポリ
塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が用いら
れ、特に繊維素系、ウレタン系、ブチラール系が可撓性
の点から好ましい。
【0044】硬質塗膜層の可撓性(転写シート作成時、
あるいは転写時の変形、わん曲による亀裂防止)と耐擦
傷性、耐摩耗性との両立および塗膜を溶剤乾燥させた
際、未硬化状態でも指触乾燥し、その上に装飾層、接着
剤層等を重ね刷りできる点から電離放射線硬化型樹脂硬
質塗膜が、平均分子量50,000〜600,000、
ガラス転移温度50〜130℃である非架橋型熱可塑性
アクリル樹脂と、1分子中に2個以上のアクリロイル基
またはメタクリロイル基を有するプレポリマーを含有す
るものを用いることが好ましい。
【0045】前記非架橋型熱可塑性アクリル樹脂として
は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プ
ロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)ア
クリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸−n−アミル、(メタ)アクリ
ル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸−2−クロ
ルエチル、(メタ)アクリル酸−3−クロルプロピルな
どの(メタ)アクリル酸ハロゲン化アルキル、(メタ)
アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル
酸−2−ヒドロキシプロピルなどのOH基を持つ(メ
タ)アクリル酸エステル、α−クロル(メタ)アクリル
酸メチル、α−クロル(メタ)アクリル酸エチルなどの
ハロゲン化(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アク
リル酸−1−クロル−2−ヒドロキシエチルなどのOH
基を持つα−アルキル(メタ)アクリル酸エステル、お
よび(メタ)アクリル酸グリシジルなどの(メタ)アクリ
ル系モノマーの1種または2種以上からなる単独重合体
または共重合体であり、かつ、平均分子量50,000
〜600,000、ガラス転移温度50〜130℃、好
ましくはガラス転移温度80〜110℃であるものが使
用できる。
【0046】ここで、平均分子量50,000以下の場
合には、電離放射線硬化型樹脂硬質塗膜層の硬化後の耐
擦傷性が極度に低下する。一方、平均分子量600,0
00以上の場合には、転写時の電離放射線硬化型樹脂硬
質塗膜層の伸びが減少し、そのため転写時の変形によ
り、塗膜層の亀裂が発生する。
【0047】また、ガラス転移温度50℃以下の場合に
は、電離放射線硬化型樹脂硬質塗膜層の硬化後の耐擦傷
性が極度に低下し、また溶剤乾燥後、未硬化状態での非
粘着性(指触乾燥性)が不十分となる。一方、ガラス転
移温度130℃以上の場合には、転写時の電離放射線硬
化型樹脂硬質塗膜層の伸びが減少する。
【0048】電離放射線硬化型樹脂硬質塗膜層の構成成
分であるプレポリマーとしては、電離放射線で架橋し得
るプレポリマーであり、一分子中に2個以上の(メタ)
アクリロイル基を有する分子量100〜10,000、
より好ましくは100〜5,000の前記プレポリマー
が使用できる。
【0049】分子量が上記下限値未満の場合は、硬化し
た硬質塗膜層の伸び、可撓性が不足し、また分子量が上
記上限値超過の場合は、硬化した硬質塗膜層の耐擦傷性
が不足する。これらの中で、転写時の伸びと転写後の表
面の耐擦傷性の両性質を併せ持つウレタン(メタ)アク
リレートが好ましい。
【0050】本発明の電離放射線硬化型樹脂塗膜層中の
プレポリマーの含有量としては、アクリル樹脂100の
重量部に対して、プレポリマー30〜90重量部が好ま
しい。ここで、プレポリマーが30重量部以下であれ
ば、電離放射線硬化型樹脂硬質塗膜層の電離放射線によ
る架橋密度が極度に粗になり、硬質塗膜層自体の強度が
不十分で耐擦傷性が低下する。
【0051】一方、プレポリマーが90重量部以上あれ
ば、溶剤乾燥後、未硬化状態での塗膜の非粘着性が不十
分となる。また、電離放射線硬化型樹脂硬質塗膜層の電
離放射線による架橋密度が密となり過ぎるため、硬質塗
膜層自体の伸び率が減少し、転写時に変形、破損、亀裂
などが生じる。
【0052】上記した転写シートの場合は、硬質塗膜層
が平均分子量50,000〜600,000、ガラス転
移温度50〜130℃である非架橋型可塑性アクリル樹
脂と1分子中に2個以上の(メタ)アクロイル基を有す
るプレポリマーとが相溶した電離放射線硬化型樹脂組成
物から形成されたものであり、転写前または転写後に電
離放射線照射により架橋硬化するものである。
【0053】前記非架橋型可塑性アクリル樹脂は、支持
体シート上に塗布し希釈溶剤を乾燥揮発させた状態にお
いて、前記プレポリマーと相溶して未硬化の電離放射線
硬化型樹脂硬質塗膜層を形成する。この相溶状態では、
前記アクリル樹脂分子単体対前記プレポリマー分子単体
で絡み合っている部分、前記アクリル樹脂分子集団対前
記プレポリマー分子集団とが絡み合っている部分、前記
アクリル樹脂分子集団中に前記プレポリマー分子単体が
侵入している部分、および前記プレポリマー分子集団中
に前記アクリル樹脂分子単体が侵入している部分と混成
から成り立っていると推測される。
【0054】この段階の硬質塗膜層は、常温において適
度の弾性限度と十分な塑性変形性(すなわち可撓性)、
柔軟性を有する固体膜として挙動する。また該硬質塗膜
層は熱可塑性を有する。
【0055】これは、前記アクリル樹脂分子ないしは分
子集団と前記プレポリマー分子同士は、互い接近して絡
み合い分子間力で固定されているために流動性が抑えら
れ、非粘着固体になっているが、相互に化学結合は無い
からである。そのため、硬質塗膜層に応力が加わった場
合、各分子間に分子間力を超過しない範囲の力が加わっ
ているうちは、弾性変形によって硬質塗膜層は容易に撓
み、変形し、応力が消失すれば再び元の形状に復元す
る。また、各分子間に分子間力を超過する力が加わった
場合は、分子あるいは分子集団同志に滑りが生じ、塑性
変形を生じると考えられる。よって、硬質塗膜層は未硬
化状態において、外部応力により十分な可撓性を有す
る。
【0056】さらに該硬質塗膜層が高温に加熱される
と、分子の熱運動エネルギーにより、各分子は分子間力
のポテンシャルエネルギーの束縛から次第に開放され
て、分子同志の弾性復元力が低下してくる。そのため、
より一層塑性変形性の方が強まり、さらに高温になり、
完全に分子の熱運動エネルギーが分子間力のポテンシャ
ルエネルギーに打ち勝つと硬質塗膜層は流動性を生じ
る。そのため該硬質塗膜層は熱可塑性を有する。この可
撓性、塑性変形性、および熱可塑性のため、未硬化状態
の硬質塗膜層は十分な成型性を有するものである。
【0057】また、前記電離放射線硬化型樹脂組成物は
塗布後、未硬化状態でも、溶剤を揮発、乾燥させれば、
非粘着性の固体となる。その理由は前記した分子間力に
よる前記アクリル樹脂分子、および前記プレポリマー分
子同志の絡み合い、束縛によるものである。
【0058】上記前記アクリル樹脂と前記プレポリマー
を有する硬質塗膜層は、電離放射線で架橋硬化した後も
なお、従来技術の電離放射線硬化型樹脂の硬化層に比べ
て、より大きな可撓性、弾性、および塑性を有してい
る。その上、従来の電離放射線硬化型樹脂の硬化層に比
べて、同等程度の耐熱性、耐薬品性および耐摩耗性を有
する。
【0059】これは、架橋硬化後の硬質塗膜層が、該非
架橋型熱可塑性アクリル樹脂分子と該プレポリマー分子
の3次元架橋構造とが相互に入り込み、絡み合った構造
部分(いわゆるインターポリマーネットワーク)と、該
プレポリマー分子の3次元架橋構造のみからなる部分
と、及び該非架橋型熱可塑性アクリル樹脂分子集団のみ
からなる部分との混成体から構成されるためと考えられ
る。
【0060】該プレポリマー分子の3次元架橋構造体の
持つ力学的強度と、該アクリル樹脂分子集団の持つ変形
性、滑り性、衝撃吸収性との協同効果により摩耗時の外
部応力に対抗し、且つその一部を吸収、緩和することに
より十分な耐摩耗性を生じると考えられる。
【0061】又、成型時の外部応力に対して、該アクリ
ル樹脂分子集団、該アクリル樹脂分子と該プレポリマー
分子の3次元架橋構造とが相互に入り込み、絡み合った
構造部分が変形追従する事により、従来技術の電離放射
線硬化型樹脂の硬化層に比べて、より大きな成型性を発
現することができると考えられる。
【0062】特公昭62−3272号公報記載のよう
な液状のモノマー及びプレポリマーを電離放射線硬化さ
せる転写シートに比べ、本発明の転写シートは、塗布さ
れた保護層が、希釈溶剤の乾燥の後には、未硬化状態に
おいても非粘着性の固体塗膜となる点に特徴がある。そ
のため、本発明の転写シートを保護層が未硬化状態で可
撓性、熱可塑性がある状態のまま転写し、而る後電離放
射線で硬化させる状態で利用することができる。
【0063】よって、本発明の転写シートは、液状のモ
ノマー及びプレポリマーを電離放射線硬化させる転写シ
ートに比べ、凹凸形状を有する被転写体に対して、亀裂
等を生ずることなしに、凹凸形状に追従して転写を行う
ことが可能である。
【0064】また、その場合未硬化状態の保護層は非粘
着性の固体塗膜のため、インライン多色刷りで保護層上
に絵柄層、接着剤層等を重刷りすることが出来る。ま
た、保護層が未硬化状態のまま、ロールに巻き取って転
写シートを保管、搬送することが出来る。これは液状の
モノマー及びプレポリマーを用いた転写シートでは不可
能な事であった。
【0065】得られた転写シートは、硬質塗膜層が上
述した組成であるため、転写シート上で硬質塗膜層を硬
化させ、しかる後に転写する態様で用いた場合であって
も、特公昭62−3272号公報記載のような液状のモ
ノマーおよびプレポリマーを電離放射線硬化させる転写
シートに比べ、硬質塗膜層の可撓性は高く(熱可塑性は
失われているが)、凹凸形状を有する被転写体に対して
転写した際に、より亀裂、損傷の発生が少なく、また凹
凸形状への追従性も良好である。
【0066】特公平5−57120号公報記載のよう
な硬質塗膜層が、未硬化状態では常温で固体であり、か
つ熱可塑性であるラジカル重合性不飽和基を有する架橋
性ポリマーから構成される転写シートに比べ、得られた
転写シートは、硬質塗膜層が上述の組成であるため、印
刷・塗工し溶剤乾燥後に指触乾燥する点では同様である
が、一方硬化した硬質塗膜層の耐擦傷性、耐熱性、耐薬
品性および耐摩耗性と、凹凸形状成型性とを両立させる
ことができる点においてより優れる。
【0067】また、本発明の硬質塗膜層の架橋性樹脂と
して用いられる熱硬化性樹脂は、具体的には、フェノー
ル樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン
樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポ
リウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹
脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキ
サン樹脂などがある。これらに必要に応じて架橋剤、重
合開始剤などの硬化剤、重合促進剤などを添加して用い
る。
【0068】上記の硬化剤として通常、イソシアネート
または有機スルホン酸塩が不飽和ポリエステル系樹脂や
ポリウレタン系樹脂に、アミンがエポキシ樹脂に、メチ
ルエチルケトンパーオキサイドなどの過酸化物やアゾイ
ソブチルニトリルなどのラジカル開始剤が不飽和ポリエ
ステルなどによく使用される。
【0069】上記のイソシアネートとしては、2価以上
の脂肪族または芳香族イソシアネートを使用できるが、
熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望
ましい。具体的なイソシアネートとしてトリレンジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げら
れる。
【0070】上記の硬質塗膜層としての架橋性樹脂と球
状粒子とからなる塗工組成物には、上記の成分以外に、
染料や顔料などの着色剤、その他のCaCO3、BaS
4、ナイロン樹脂ビーズなどの公知の艶消調整剤や増
量剤といった充填剤、その他の添加剤を添加することが
できる。
【0071】該硬質塗膜層のコーティング法は、グラビ
アコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセッ
トコート、スピンナーコート、ロールコート、リバース
ロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップ
コート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤー
バーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコ
ート、刷毛塗り、スプレーコートなどを用いることがで
きるが、好ましいのはグラビアコートである。
【0072】なお、硬質塗膜層の硬化のタイミングとし
ては、該塗膜層が未硬化状態でも溶剤乾燥後は指触乾燥
(非粘着、非流動)になる場合は、転写前、転写と同
時、あるいは転写後のいずれでも良い。また該硬質塗膜
層が未硬化状態において溶剤乾燥後も指触乾燥しない場
合は転写シート上で硬化後、転写する。
【0073】一旦離型性支持体シート上に塗膜と必要に
応じて接着剤層など他の層を転写層として形成し、塗膜
を架橋硬化させてなる転写シートを、その塗膜側を被転
写物に接着後、支持体シートのみ剥離する。
【0074】転写法には以下のような各種転写法が有
る。 (a)特公平2−42080号公報、特公平4−199
24号公報などに開示されるような射出成形同時転写
法。 (b)特開平4−288214号公報、特開平5−57
786号公報に開示されるような真空成形同時転写法。 (c)特公昭59−51900号公報、特公昭61−5
895号公報、特公平3−2666号公報などに開示さ
れるようなラッピング同時転写法。 (d)特公昭56−7866号公報などに開示されてい
るようなVカット加工同時転写法。 (e)被転写物表面に転写シートの転写層側を重ね、加
熱ローラーで加圧して転写層を被転写物に接着するいわ
ゆるホットスタンプ法。
【0075】本発明の転写シートは装飾層を硬質塗膜層
の上(転写後は裏面となる)に設けることが好ましい。
装飾層は絵柄などによる装飾を行うが、この絵柄印刷は
グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷などの
手法により行う。例えばグラビア印刷インキではポリメ
チルメタクリレート、ポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリアクリ
レートなどの単独または混合物をベヒクルとしたインキ
を用いて所望の図柄を硬質塗膜層上に印刷すれば良い。
装飾層は隠蔽層や導電性インキによる帯電防止層を含む
こともできる。その他に、金属蒸着層(全面またはパタ
ーン状)でも形成しても良い。
【0076】また、本発明の構成において、接着剤を該
電離放射線硬化型樹脂硬質塗膜層の上、または前記装飾
層の上に設けることができる。この接着剤層は、転写層
を被転写体に転移、接着させるための層として、感熱接
着剤、粘着剤、溶剤活性型接着剤、電離放射線硬化性接
着剤などの中から用途に応じて選定できる。
【0077】なお、転写層が装飾層など接着剤層以外の
層を備え、これらの層が被転写体に転写シートを転写す
る際の被転写体と接する側にあり、当該層自身が充分な
接着性を有する時、あるいは被転写体側に接着剤層を設
ける時は接着剤層を省略することもできる。
【0078】感熱接着剤は加熱によって接着性が発現す
るものであり、通常、熱で熔融して接着力を発現する熱
可塑性樹脂、アイオノマーなどが用いられる。熱可塑性
樹脂としては、例えば、硝酸セルロース、酢酸セルロー
スなどのセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリα−メ
チルスチレンなどのスチレン樹脂またはスチレン共重合
体、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アク
リル酸エチルなどのアクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニ
ル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体などの
ビニル重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂など
のロジンエステル樹脂、ポリイソプレンゴム、スチレン
ブタジエンゴムなどの天然、または合成ゴム類、およ
び、各種アイオノマーなどが使用される。
【0079】その他、熱により架橋重合、付加重合など
を起こし硬化して接着力を発現する熱硬化性樹脂も感熱
接着剤として使用される。熱硬化性樹脂としては例え
ば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂
などが使用される。
【0080】粘着剤としては、従来公知の粘着テープや
シール類に使用されている粘着剤がいずれも使用でき、
例えば、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチルゴム、ス
チレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴ
ムなどのゴム系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹
脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹
脂、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリ
ビニルブチラール系樹脂などの一種または2種以上の混
合体を主成分とした任意の樹脂系に、適当な粘着付与
剤、クマロン−インデン系樹脂などを適当量添加したも
のであり、さらに、必要に応じて、軟化剤、充填剤、老
化防止剤、架橋剤などを添加する。
【0081】また、帯電防止層を独立層として設ける場
合は、硬質塗膜層と接着剤層との間、硬質塗膜層と装飾
層との間、装飾層と接着層との間など硬質塗膜層の最外
表面以外に設ける。これは硬質塗膜層の持つ耐擦傷性、
耐薬品性などの表面物性を阻害しないためである。
【0082】独立層として設ける帯電防止層は、装飾層
と同様なベヒクルに帯電防止剤を添加して構成する。帯
電防止剤としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケ
ルなどの金属、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫ドープ
酸化インジウム(ITO)などの金属酸化物、黒鉛など
からなる導電性物質の粉末または微薄片、あるいは界面
活性剤などである。
【0083】また前記帯電防止剤を硬質塗膜層、接着剤
層、装飾層など、または離型層には添加することも可能
である。但し、転写層の表面物性を低減させないため、
硬質塗膜層には添加しない方が好ましい。帯電防止層は
転写シートの転写時、あるいは転写後の転写層を有する
製品の使用時に塵埃を吸引・付着したり、電撃や火花放
電を生じることを防止することが目的である。
【0084】転写時の帯電を防止するのみであれば、離
型層、または支持体シートに帯電防止剤を添加しても良
い。しかし、転写後の被転写体の帯電までも防止するた
めには、転写層のいづれかの層に帯電防止剤を添加する
必要がある。
【0085】本発明の被転写体としては、ポリ塩化ビニ
ル樹脂、アクリル樹脂、ABS、フェノール樹脂などの
合成樹脂、鉄、銅、アルミニウムなどの金属、ガラス、
土器、陶磁器、セメント、珪酸カルシウムなどのセラミ
ックス、木質合板、木質単板、パーティクルボードなど
の木質材、紙、布、不織布等のものが対象と成り得る。
被転写体の形態としてはシート(あるいはフィルム)、
平板、曲面板、柱状体、シート、各種三次元形状の立体
物等である。
【0086】
【作用】図2は本発明の転写シートを用いて、硬質塗膜
層を含む転写層を転写してなる被転写体の表面の作用に
ついて説明するための図であり、図2(a)は本発明の
球状粒子を用いた転写された転写シートの表面に外部か
ら応力が加わった場合の表面付近を拡大した状態を表
し、また図2(b)は従来の不定形ないし多角形状粒子
を用いた転写シートの表面に応力が加わった場合の表面
付近を拡大した状態を表している。図2(a)に示すよ
うに本発明の転写シートの表面に他の接触物9により応
力が加わった場合、球状粒子5は滑らかな表面を有する
ため、該粒子5の表面を接触物がすべり易く、応力が該
粒子に伝達されにくい。従って、バインダーとしての架
橋性樹脂層4から球状粒子5が脱落したりする虞れがな
い。これに対し、図2(b)に示すように従来の不定形
粒子10を使用した場合には、該粒子10の表面の突起
状に形成された部分に接触物9が引っ掛かり応力が該粒
子に伝達し易くなって、不定形粒子10が架橋性樹脂層
4から脱落し易い。そのため本発明の転写シートの表面
にある架橋性樹脂層4は滑りがよく耐摩耗性が著しく向
上する。また、表面の球状粒子5は不定形粒子10と比
較してぞうきんがけなどの際に、引っ掛かる虞れがなく
他の接触物の表面を傷つけたり、摩耗させたりすること
がない。
【0087】また、熱可塑性樹脂のような非架橋性樹脂
である軟質の樹脂にそれより格段に硬い粒子を添加分散
させた場合は、粒子外力が加わった際に、樹脂が硬質粒
子により破壊されて脱落したり、あるいは摩耗物に引き
ずられて鍬が畑を耕すように樹脂表面を傷つける作用が
あり、耐摩耗性は期待した程向上しない。これに対し本
発明においては、バインダー樹脂が架橋性樹脂層4であ
るため、強度が高く、このような硬質粒子(球状粒子
5)の脱落、傷付けを起こさず、よって著しく塗膜の耐
摩耗性を向上させることができる。
【0088】さらに、図2(b)に示すように、従来の
不定形粒子10を使用した場合には、架橋性樹脂層4と
不定形粒子10との間に空隙11などが存在し易くなる
が、本発明の場合には球状粒子5であるため、そのよう
な空隙が発生しにくい。従って、耐摩耗性樹脂層(架橋
性樹脂層4)には空気の層ができにくく、表面が白化し
ないので意匠性を低下させない。また、隙間ができない
ことは球状粒子5とバインダーの架橋性樹脂層4との結
合強度も強まり上記の耐摩耗性の向上にも寄与してい
る。
【0089】
【実施例】本発明の具体的実施例を示し、本発明をさら
に説明する。図1に示すように25μm厚の離型性2軸
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(麗光(株)
製)を支持体シート2として、その片面に下記表2に示
す組成物(混合割合は重量比)からなる塗料をグラビア
コートにて1g/m2の量で塗布した。40℃の温風を
吹き付け溶剤を乾燥したところ塗膜表面を指触乾燥状態
となった。ただし、この時点ではこの塗膜は未硬化状態
であるが、本発明で言う、架橋性樹脂からなるバインダ
ー(架橋性樹脂層4)と球状粒子5からなる硬質塗膜層
3とからなるものである。
【0090】
【表2】
【0091】1)三菱レーヨン(株)製の熱可塑性アク
リル樹脂、商品名:ダイヤナールBR−88、平均分子
量430,000、ガラス転移温度105℃ 2)日本合成(株)製のウレタンアクリレートプレポリ
マー、商品名:UV−7210B、平均分子量2,00
0、分子中の平均アクリロイル基数2.5 3)日本シリカ(株)製の粒径0.1μm以下のマイク
ロシリカ 4)メチルエチルケトン+トルエンからなる混合溶剤
【0092】ついで、上記指触乾燥状態の塗膜層の上に
絵柄印刷適性向上のためアクリル樹脂をプライマー用樹
脂(ザ・インクテック(株)製、商品名:MHO−3
0)で1g/m2グラビアコートした(このプライマー
層は図示せず)。その後、昭和インキ(株)製のアクリ
ル系インキを用いて絵柄として抽象柄をグラビア印刷し
て装飾層6として、その装飾層6の上に塩化ビニル/酢
酸ビニル系接着剤(昭和インク(株)製の商品名FVH
S)の1g/m2をグラビア印刷で塗布して接着剤層7
とした。
【0093】こうして、得られた塗膜に電子線(EB)
を照射させた。このとき用いた電子線は加速電圧175
KV、照射量8Mradで硬質塗膜層3を架橋、硬化さ
せた。得られた転写シート1はポリメチルメタクリレー
ト(旭化成工業(株)製、商品名:デルペット80N)
を成形機(松田製作所(PM−150DM射出成形
機))により、ゲート温度240℃、金型温度40℃で
成形した成形樹脂として用いる射出成形同時転写により
転写層(硬質塗膜層3(=架橋性樹脂層4+球状粒子
5)+装飾層6+接着剤層7)の転写を行った。得られ
た転写後の塗膜の性能テストの結果を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】なお、上記各種テストの評価方法は次のと
おりである。 鉛筆硬度:JIS−K5400 6.14の手法を用い
た(荷重500g)。 スチールウールラビング試験:#0000のスチールウ
ールを用いて表面を500g荷重で10往復後表面を観
察し、傷の有無をチェックした。 透明性:(株)東洋精機製作所製の直読ヘイズメータに
より測定した。 △Hz=Hz1−Hz0 △Hz:ヘイズ差 Hz1:転写後のヘイズ値 Hz0:被転写基材のみのヘイズ値 伸度(破断):試験片長10cmの転写箔状態で引張試
験機テンシロンで20mm/分の速度で延伸して、クラ
ック発生時点までの伸度を測定した。成形性:10mm
Rの形状でインモールド成形した時のR部でのクラック
発生の有無を判定した。
【0096】実施例2〜6、比較例4〜6 厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートの
シートの表面にメラミン樹脂とアクリル樹脂との混合樹
脂を焼付塗装して、離型層を形成した。次いで、その表
面に、表4に示すウレタンアクリレートオリゴマー、2
官能アクリレートモノマーa及び2官能アクリレートモ
ノマーbの混合比を各々変化させた組成物からなる架橋
性樹脂A〜Cに、表5に示す球状粒子(実施例2〜6、
球状のα−アルミナ)または不定形粒子(比較例4〜
6)を分散した塗工組成物を30g/m2dry(膜厚
15μm)塗工し、電子線を8Mrad(175kv)
照射して、転写紙の表面に耐摩耗性樹脂層を形成した転
写シートを得た。得られた各転写シートの耐摩耗試験を
行った結果を表5に示す。
【0097】耐摩耗性試験は前記実験例と同様の方法で
行った。また、可撓性の試験の評価も実験例と同様に行
った。耐摩耗性試験方法はテーパー摩耗試験機を用い、
1kg荷重(摩耗輪はCF−10F使用)で被転写基材
が露出するまでの回転数により評価する方法により行っ
た。
【0098】また、可撓性試験方法は屈曲試験機によ
り、0.5mmRで屈曲した後の表面の目視による観察
で評価する方法により行った。折り曲げた時に亀裂があ
れば×、わずかに亀裂らしきものがあれば△、まったく
ないと○とした。
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】表5に示したように、球状α−アルミナを
使用した実施例2は、比較例4の不定形α−アルミナを
同量添加した場合と比較して、耐摩耗性が明らかに高
く、不定形α−アルミナを使用した場合、添加量を2倍
に増やしても、球状α−アルミナと同じ耐摩耗性は得ら
れなかった。また、不定形α−アルミナを使用した比較
例5の場合には、塗工装置のロールの摩耗が見られた
が、比較例6のシリカを用いた場合と実施例2〜6のい
ずれの塗工装置のロールの摩耗は見られなかった。
【0102】また、実施例3と実施例4は架橋性樹脂の
平均架橋間分子量の相違について比較したものである
が、この場合、平均架橋間分子量が小さい程、耐摩耗性
が良好であり、平均架橋間分子量が大きくなると耐摩耗
性は低下する。しかし、架橋間分子量を実施例2の2倍
以上の520とした実施例4の場合であっても、比較例
5の不定形α−アルミナを2倍量使用したものよりも耐
摩耗性が良好である。また、実施例5の結果は、平均粒
径を30μmの球状粒子(実施例2)を10μmの球状
粒子に代えた場合、耐摩耗性が低下することを示してい
るが、その場合でも不定形の粒子を使用した場合よりも
耐摩耗性は良好である。また、比較例6のシリカを使用
した場合には、ロールを摩耗させないが実施例2〜6と
比較して耐摩耗性が著しく低い。また、参考例として現
在市販されている一般的な各種化粧材の耐摩耗性試験を
表5の実施例と同様に行った結果を下記の表6に示す。
表6と上記実施例2〜6の転写シートとを比較した場
合、上記の実施例2〜6の転写シートは薄膜の転写であ
りながら、いずれも従来のものよりも優れた耐摩耗性を
示すものであった。
【0103】
【表6】
【0104】
【発明の効果】本発明は次のような効果がある。 (請求項1〜2) 耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性に優れ、また硬質塗膜
の可撓性成形性が良好で透明性に秀れた転写シートを得
ることができる。 転写シートの硬質塗膜層の塗布時にグラビアロールや
ドクターブレードを損傷、摩耗させない。 従来の転写シートでは両立しなかった耐摩耗性、耐擦
傷性に優れていながら、しかも、それに接する他の物体
を摩耗させ難い性質がある。 バインダーとしての架橋性樹脂の架橋密度を高くしな
くても、耐摩耗性を球状粒子によって向上させることが
できるため、柔軟な基材を用いた転写シートであっても
架橋性層に充分な柔軟性を付与し、耐摩耗性も向上させ
る。
【0105】(請求項3) 上記〜記載事項に加え、塗工後、溶剤乾燥すれば
未硬化(未架橋)でも指触乾燥するため、可撓性、柔軟
性のある未硬化の硬質塗膜のまま装飾層、接着剤層を印
刷できる。そのため、未硬化のまま転写シートを転写で
きるため、凹凸被転写体へも亀裂を生じることなしに転
写できる。しかも転写後架橋硬化させることにより、十
分な耐擦傷性等の表面物性を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の転写シートの一実施例の断面図であ
る。
【図2】 本発明の転写シートの被転写体への転写後の
表面の作用を説明する図である。
【符号の説明】
1…転写シート、2…支持体シート、3…硬質塗膜層、
4…架橋性樹脂層、5…球状粒子、6…装飾層、7…接
着剤層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体シート上に転写層を有する転写シ
    ートであって、該転写層が少なくとも、架橋硬化性樹脂
    の架橋硬化物中に該架橋硬化物よりも高硬度の球状粒子
    が分散されてなる硬質塗膜層を有することを特徴とする
    転写シート。
  2. 【請求項2】 架橋性樹脂として、その平均架橋間分子
    量が100〜1000の範囲のものを用いることを特徴
    とする請求項1記載の転写シート。
  3. 【請求項3】 架橋硬化性樹脂は平均分子量50,00
    0〜600,000、ガラス転移温度50〜130℃で
    ある非架橋型熱可塑性アクリル樹脂と、1分子中に2個
    以上のアクリロイル基又はメタアクリロイル基を有する
    プレポリマーを含有することを特徴とする請求項1記載
    の転写シート。
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