JPH08205950A - 椅子の座板と背もたれの揺動機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 座板の前後での沈み込みと背もたれの傾動を
連動させ更に任意の位置でロックできる揺動機構。 【構成】 軸Ａを中心に前方への沈み込み動作が許容さ
れるア−ム部材３を設け、長穴Ｃ内で変位可能にした水
平軸Ｂを介して座板プレ−ト４の先端部をア−ム部材３
の先端部に枢着し、座板プレ−ト４の下面とブロック２
の上面の間に軸Ｂを中心にして互に離反させる側に反撥
力が作用する板バネ５１，５２を板バネ支持ブロック６
に支持させ、背もたれ支持部材９の下端側を座板プレ−
ト４の下面側に延長形成し延長部９１の中間部を座板プ
レ−トの後端部に水平な軸Ｄを通して枢着すると共に、
延長部９１の前端側を水平軸Ｅによってア−ム部材３に
連結してなる座板と背もたれの揺動機構に於て軸Ａか又
はベ−スブロック２の脚支柱１の後方に設けた水平軸Ｇ
と軸Ｆとに、両軸間の距離を固定、開放自在にするガス
スプリング１２を架設した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主としてオフィス用の
回転椅子の座板と背もたれの連動した揺動機構に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、回転椅子において座板と背も
たれを連動させる揺動機構は公知である。公知の座板と
背もたれの連動した揺動形態には、座板が人が掛けるこ
とによる荷重で沈み込めば、この沈み込みに連動して背
もたれが後方へ傾く、或は、人が背もたれに背をあずけ
れば，背もたれが後傾すると同時にこれと連動して座板
も沈み込むようにしたものがある。

【０００３】しかし乍ら、人が椅子に掛ける態様は、必
ずしも、従来の揺動機構で対応できる姿勢ばかりではな
い。例えば、座板の前方がその前方側へ沈み込むような
体重の掛け方で椅子に着く場合がある。このような場
合、従来の揺動機構では対応した作動をしないか、或
は、作動できる機構が付与されていても、構造が複雑に
なり、構成部品数がふえてコスト高を招いたり、組立て
に手間取ったり、或は、動作が円滑でないといった様々
な問題がある。また、座板が前方へ沈み込み動作をしな
い椅子では、その椅子に掛けて前傾姿勢をとった場合、
着座者の姿勢が不自然になって腹部が圧迫されたり、大
腿部が座面に押付けられることとなり、椅子の掛け心地
も良好ではなくなる。一方、上記のような座と背もたれ
の連動した揺動をさせたくない使用者の場合には、それ
をロックできなければ、却って座り心地が悪いものとな
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、簡潔な構造によって座板の前方側
での沈み込み、又は、前後両方の側での沈み込みを可能
にするのみならず、これらの沈み込み動作と背もたれの
前傾又は後傾動作を連動させ、しかも、これらの動作を
円滑に実現することができ、しかも上記の揺動機構にお
いて、使用者の好みにより座と背もたれの連動した揺動
運動のロックを、前傾側或は後傾側で選択して任意にロ
ックできるようにした揺動機構を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
を目的としてなされた本発明機構の一の構成は、椅子の
脚支柱１の上端部に、ほぼ水平な向きでベ−スブロック
２を取付け、このベ−スブロック２における前記支柱１
より前方に、後部側が水平な軸Ａで枢着されるとともに
該軸Ａを中心に前方への沈み込み動作が許容されたア−
ム部材３を前記ブロック２の先端部より前方へ突出させ
て設け、該ア−ム部材３の先端部又は座板プレ−ト４の
先端部に形成した長穴Ｃを通し該長穴Ｃ内で変位可能に
した水平軸Ｂを介して座板プレ−ト４の先端部を当該ア
−ム部材３の先端部に枢着し、かつ、該座板プレ−ト４
の下面と前記ブロック２の上面の間に、当該プレ−ト４
とベ−スブロック２を前記軸Ｂを中心にして互に離反さ
せる側に反撥力が作用する板バネ５１，５２を前記軸Ｂ
に支持させた板バネ支持ブロック６に支持させて配設す
る一方、背もたれが取付けられる背もたれ支持部材９の
下端側を前記座板プレ−ト４の下面側に延長形成し、当
該支持部材９の延長部９１の中間部を座板プレ−ト４の
後端部に水平な軸Ｄを通して枢着すると共に、前記延長
部９１の前端側を、前記ア−ム部材３の前記軸Ａの位置
より前方に水平軸Ｅによって当該ア−ム部材３に連結し
て成る椅子の座板と背もたれの揺動機構に於て、前記ベ
−スブロック２にア−ム部材３を枢着した軸Ａか又は該
ベ−スブロック２の脚支柱１の後方に設けた水平軸Ｇと
背もたれ支持部材９の延長部９１の後端側に設けた軸Ｆ
とに、両軸間の距離を固定，開放自在にするガスプリン
グ１２を架設したことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】座板プレ−ト４は、ベ−スブロック２に軸Ａに
よって下方へのみ揺動可能に取付けられたア−ム部材３
の前端において、板バネ５１，５２を支持した軸Ｂによ
り当該ア−ム部材３に軸連結されているので、軸Ａを中
心にして座板プレ−ト４の前方で下方揺動可能であると
共に、軸Ｂを中心にして座板プレ−ト４の後方で上下に
揺動可能である。また、背もたれ支持部材９がア−ム部
材３と座板プレ−ト４に対しそれぞれ軸Ｅ，軸Ｄによっ
て枢着されていることにより、座板プレ−ト４と背もた
れ支持部材９とは、いずれか一方の部材４又は９の揺動
に連動して他方の部材９又は４が揺動可能である。そし
て、上記座板プレ−ト４の上下揺動、或は、前記プレ−
ト４と背もたれ支持部材６の連動した揺動時、軸Ｂ又は
軸Ｄがこれらの軸を支持した長穴Ｃ又は長穴Ｈ内で変位
すると共に、前記揺動が板バネ５１，５２により緩衝さ
れる。前記ベ−スブロック２にア−ム部材３を枢着した
軸Ａ又はベ−スブロック２に設けた軸Ｇと、背もたれ支
持部材９の延長部９１の後端に設けた軸Ｆとの間に、両
軸間の距離を固定，開放自在にするガスプリング１２を
架設し、該ガススプリング１２をオフすることにより、
前記座板プレ−ト４と背もたれ支持部材９の揺動又は連
動を、前傾，後傾とも、或は、後傾のみをロック状態に
することができる。

【０００７】

【実施例】次に、本発明機構の実施例を図に拠り説明す
る。図１は本発明揺動機構の一例に荷重がかからない状
態の側断面図、図２は図１の機構の座板プレ−トの後方
側が最も沈み込み、且つ、背もたれ取付部材が最も後方
へ傾いた状態の側断面図、図３は図１の機構の前傾状態
の側断面図、図４は図１の本発明機構の全体の構成を示
す斜視図、図５は本発明機構の別例において、荷重がか
からない状態を示す側断面図である。

【０００８】図１〜図４に於て、１は、例えば事務用の
回転椅子におけるポ−ル状をなす脚支柱で、支柱１に内
挿されているガススプリング（図示せず）などにより、
その高さをある範囲で自由に変更できるようにされてい
る。なお、支柱１は、その高さ調節をガススプリング以
外のテレスコ−プ構造などにより行うようにしたもので
もよい。

【０００９】２は上記支柱１の上端部に取付けた断面が
大略箱状をなすベ−スブロックで、図の例では、本体２
ａの前方側がやゝ持上った皿状をなす受座２ｂに形成さ
れていると共に支柱１に近接した前方に、座板プレ−ト
４の幅方向と平行な向きの水平な軸受が形成されてい
る。

【００１０】３は正面からみて大略凹状をなすア−ム部
材で、ア−ム部材３は、その左，右側に立設した側壁３
ａの後端側を、前記ブロック２の軸受に水平な軸Ａによ
り枢着する一方、前記側壁３ａの前端側に長穴Ｃが形成
され、この長穴Ｃに通した水平な軸Ｂにより後述する座
板プレ−ト４の前端側が枢着連結されている。なお、長
穴Ｃは座板プレ−ト４の前端側に設けてもよい。いずれ
の側に設けるかは、任意である。

【００１１】而して、座板プレ−ト４は、上面に適宜の
座板シ−ト（図示せず）が設けられる平板状をなすプレ
−トであって、正面から見て左右側に側壁４ａが垂下形
成されており、この側壁４ａの前端側におい前上記ア−
ム部材３の前端側の長穴Ｃに通した軸Ｂによってア−ム
部材３に対し変位可能に枢着連結されていると共に、該
側壁4a後端側が後述する背もたれ支持部材９における延
長部９１の側壁91aの中間部に、軸Ｄにより枢着連結さ
れている。なお、各軸Ａ，Ｂ，Ｄはいずれも水平な向き
で平行である。

【００１２】ここで、座板プレ−ト４の前，後を、ア−
ム部材３と背もたれ支持部材９の延長部９１とに、それ
ぞれ軸Ｂ，Ｄを介して連結するに当り、上記例では、ア
−ム部材３の側壁3aの先端側に長穴Ｃを形成したが、本
発明ではこの長穴Ｃに代え、背もたれ支持部材９におけ
る延長部９１の側壁91a、又は、座板プレ−ト４の側壁4
aの後部に長穴Ｈを設け、この長穴Ｈに前記軸Ｄを支持
させるようにしてもよい。本発明において長穴Ｃ又は長
穴Ｈのいずれを設けるかは、任意である。

【００１３】上記座板プレ−ト４には、前記ベ−スブロ
ック２の受座２ｂに対向する上面板の裏面がバネの受座
４ｂに形成され、両受座４ｂ，２ｂの間において前記軸
Ｂに支持させた合成樹脂製又は金属製であって側面から
見て大略楔状をなす支持ブロック６が前記軸Ｂの近傍に
配設されている。該支持ブロック６の上，下面には、２
組の板バネ５１と５２が、それぞれの始端側51a，52aを
ピン７１，７２によって止着されていると共に、それぞ
れの終端側51b，52bを前記受座４ｂ，２ｂに当接させた
姿勢で設けられている。

【００１４】８は前記の上，下２組の板バネ５１，５２
を、前記ピン７１，７２よりも先端側において支持ブロ
ック６に対して上下から挟持する態様で拘束するバイン
ダで、ここでは左，右２枚の支持プレ−ト８ａ，８ａの
上下に、軸Ｂに平行な拘束軸８ｂ，８ｃを架設して成る
バインダ８を、左右の支持プレ−ト８ａ，８ａを前記軸
Ｂに枢着支持させることによって設けられている。

【００１５】板バネ５１，５２は、それぞれの始端側51
a，52aが、支持ブロック６にピン７１，７２と拘束バイ
ンダ８によって固定されることにより、後端側51b，52b
を自由端とした板バネとして作用する。51cは板バネ51
の終端部51bに凸出させて形成した弯曲部で、座板プレ
−ト４の裏面の受座４ｂとのフリクションを軽減するた
めのものである。

【００１６】９は、上部側に背もたれ（図示せず）が取
付けられる背もたれ支持部材で、下部が座板プレ−ト４
の下面に沿った形で位置付けられるように弯曲延長した
延長部９１に形成されると共に、この延長部９１の左右
両側に側面からみて長い腕状をなす側壁91aが延設形成
されており、この両側壁91aは、前記ベ−スブロック２
の上方において、前記ア−ム部材３の側壁３ａの後部
を、ここでは外側から挟むことができるように形成され
ている。また、側壁91aの先端は、ア−ム部材３と結合
させるため、軸Ａより前方に位置する長さに形成されて
いる。

【００１７】而して、上記背もたれ支持部材９は、その
延長部９１の側壁91aの先端側において、ベ−スブロッ
ク２に軸Ａにより枢着され該軸Ａを中心にして図の反時
計回り方向にのみ回転が許されたア−ム部材３に、水平
な軸Ｅによって結合されていると共に、当該延長部９１
の側壁91aの中間部は軸Ｄによって座板プレ−ト４の後
端側の側壁４ａに枢着結合されている。

【００１８】上記構成において、板バネ５２の終端側52
bの下面は、ベ−スブロック２の受座２ｂの上面におい
て、このベ−スブロック２の受座２ｂに形成したネジ受
１０に螺装した調節ネジ１１の半球状の頭頂部11aによ
り、下面から支持されている。11bは前記ネジ１１の下
端に設けたネジ回転操作用のノブであるが、このノブは
レバ−であってもよい。

【００１９】上記構成によって、調節ネジ１１を回転し
てその頭頂部11aを上方へ進出させると、板バネ５２の
後端側52bが座板プレ−ト４側へ押上げられることとな
り、このバネ５２の反撥力を強めにすることができる。

【００２０】以上の構成により、座板プレ−ト４は、軸
Ａを中心としたア−ム部材３と一体の前方での沈み込
み、及び、軸Ｂを中心とした後方での沈み込み動作と、
背もたれ支持部材９の傾動動作とを連動させた揺動機構
の一例を形成するが、本発明機構ではこの連動した揺動
動作をロックする機構を付加したので、次にこの点につ
いて説明する。

【００２１】本発明機構では連動した揺動動作をロック
するため、一例として軸Ａと背もたれ支持部材９の延長
部９１に設けた側壁91aの手前側に架設した水平な軸Ｆ
とを、ガススプリング１２により連結し、該ガススプリ
ング１２のシリンダ内の弁（図示せず）を開放させるこ
とにより、シリンダ12a内のピストンの前後にガスを自
由に流通させてガススプリング１２のピストンロッド12
bの進退を自由にし、前記弁を閉止させることにより、
当該スプリング１２のガス流通を阻止して前記ロッド12
bの進退を拘束し、座板プレ−ト４の軸Ｂを中心とした
後方での沈み込みと背もたれ支持部材９の後傾動作の連
動を固定するようにした。

【００２２】図１〜図４に示した実施例では、ガススプ
リング１２のシリンダ12aの後端を軸Ｆに連結し、ピス
トンロッド12bの先端側を、連結ブラケット１３を介在
させて軸Ａに連結すると共に、前記ロッド12bの同軸上
に前記弁の開閉を操作するための操作ロッド12cを前記
ロッド12bから突出させて設けた。そして、この操作ロ
ッド12cの前面には、該ロッド12cを操作する操作片１４
を設け、ここではこの操作片１４を押し込むことにより
前記操作ロッド12cを後退させてシリンダ12a内の弁を開
け、操作片１４を押し込まないときは前記ロッド12cが
進出状態を保持して前記シリンダ12a内の弁の閉じ状態
が維持されるようになっている。

【００２３】上記のように構成される本発明の一例の機
構は、次のように作動する。いま、座板プレ−ト４に設
けられた座シ−ト（図示せず）に人が掛けて、前記操作
片１４を後退させた状態にすると、その人の荷重は、座
シ−トを含む座板プレ−ト４にかかる。即ち、荷重を受
けたこの座板プレ−ト４にかかる荷重は、板バネ５１の
撓みにより一部吸収されるが、その撓みと板バネ５２の
撓みを介してベ−スブロック２における受座２ｂに支持
されているので、前記バネ５１，５２の反撥力を伴って
ベースブロック２に支持されることとなる。これを、換
言すると、縦荷重を受けた座板プレ−ト４は、その中間
より少し後方の位置が板バネ５１を介してア−ム部材３
に弾撥的に支持されると共に、このア−ム部材３が板バ
ネ５２を介して受座２ｂに支持されていることにより、
前記荷重を弾力的に支持することができるのである。

【００２４】上記座板プレ−ト４は、後端がベ−スブロ
ック２に軸Ａにより支持されているア−ム部材３の前端
側において長穴Ｃを通した軸Ｂにより軸支されているこ
と、及び、当該座板プレ−ト４の後端側が、ア−ム部材
３に軸Ｅを介して支持されている背もたれ支持部材９の
延長部の側壁91aの中間に軸Ｄを介して連結されている
ことによって、当該座板プレ−ト４がア−ム部材３を介
在させて前記バネ５１，５２の反撥力に支持され、軸
Ａ，軸Ｂを中心にして当該プレ−ト４の前，後いずれの
側においても沈み込み揺動が可能なのである。

【００２５】即ち、座板プレ−ト４がその前端側で沈み
込めば、この沈み込み動作は、軸Ｂ，長穴Ｃを介してア
−ム部材３と一体になり、軸Ａを中心にして板バネ５２
の反撥力に抗したア−ム部材３の前方側での沈み込みと
当該プレ−ト４の後方の持上りを招来すると同時に、こ
の座板プレ−ト４とア−ム部材３との軸Ａを中心とした
前方側での沈み込み動作は、背もたれ支持部材９におけ
る延長部９１の側壁91aの前端側（軸Ｅの部位）の軸Ａ
を中心とした沈み込みと当該側壁91aの後端側の持上り
動作を招来するので、この支持部材９の立上り部分が前
方へ回動して傾斜することとなり、これらの一連の動作
によって座板プレ−ト４の後方の持上り動作と背もたれ
支持部材９の前傾動作が同期することとなる。

【００２６】一方、座板プレ−ト４がその後端側におい
て沈み込む、つまり、図の時計回り方向へ回転すると
き、この沈み込み動作は、ベ−スブロック２の受座２ｂ
の作用で時計回り方向へ回転できないア−ム部材３にお
ける長穴Ｃを通された軸Ｂを中心に作動するので、当該
ア−ム部材３と座板プレ−ト４及び背もたれ支持部材９
との軸Ｄ，Ｅによる連結関係により、この支持部材９の
後方傾斜動作を同期的にもたらす。このとき、上記座板
プレ−ト４が軸Ｂを中心にして後端側だけが下方へ沈み
込み動作するのは、ア−ム部材３の底壁３ｂがベースブ
ロック２の受座２ｂの外面に当接してしまい、当該ア−
ム部材３の軸Ａを中心とする時計回り方向への回転を阻
止するからである。尚、上記の同期的動作は、背もたれ
支持部材９に荷重をかけそれを後方に傾斜させたとき
も、この傾斜に従動する座板プレ−ト４の後方の沈み込
む動作をもたらす。

【００２７】以上の座板プレ−ト４と背もたれ支持部材
９の連動した揺動のうち、座板プレ−ト４の軸Ｂを中心
とした後方での沈み込み動作は、軸Ａ，Ｆの間に架設し
たガススプリング１２をロックすることにより、連動さ
せないようにすることができる。即ち、上記例において
ガススプリング１２のロックは、そのシリンダ12aの弁
を開いていた操作片１４の押し込みを止めることによ
り、操作ロッド12cを進出（図の左方へ進出）させて行
うが、操作ロッド12cが進出すると、当該ガススプリン
グ１２はシリンダ12a内でのガスの流通が阻止され、ピ
ストンの進退が不能なロック状態になり、ガススプリン
グ１２がロック状態となると、軸Ｅを中心に回転可能で
あった延長部９１の後端側、つまり、軸Ｆの側が固定さ
れてしまうこととなるので、これにより座板プレ−ト４
と支持部材９との同期した後傾が固定されるのである。

【００２８】前記延長部９１の軸Ｅを中心とした回転の
固定は、背もたれ支持部材９の延長部９１が軸Ｆと軸Ａ
の２箇所で変位不能に固定されることによりもたらさ
れ、また、前記延長部９１の側壁91aと軸Ｄで連結され
ていると共に、ベ−スブロック２の受座２ｂによって軸
Ａを中心とする後傾が阻止されているア−ム部材３に軸
Ｂにおいて連結された座板プレ−ト４も後方での沈み込
みが阻止された状態になるので、座板プレ−ト４と背も
たれ支持部材９とは、両者の同期した後傾揺動ができな
いように固定されるのである。

【００２９】一方、上記の同期した座の沈み込みと背の
後傾とがガススプリング１２のロックによって固定され
た座板プレ−ト４と背もたれ支持部材９とは、両部材
４，９がガススプリング１２によりロックされて一体の
まま、軸Ａを中心とした座板プレ−ト４の前方での沈み
込み動作と、この沈み込み動作と一体の背もたれ支持部
材９の前傾動作を、板バネ５２の作用を受けつつ許容す
る。

【００３０】上記実施例の本発明機構では、ガススプリ
ング１２の動作をロックしたりロック解除することによ
って、座板プレ−ト４と背もたれ支持部材９との同期し
た後傾揺動状態を、使用者の意思によりロックしたり、
そのロック状態を解除したりできるので、使用者の好み
に応じた座板プレ−ト４後方の沈み込み状態とこれに連
動した背もたれ支持部材９の後傾状態とを、好みの状態
において固定することが可能となる。

【００３１】次に、本発明機構は、図５に例示するよう
に、前記プレ−ト４の軸Ａ，軸Ｂを中心とする前，後い
ずれかの側での沈み込み揺動を、このプレ−ト４が、位
置固定に設けた軸Ｂにおいて支持ブロック６にピン７
１，７２とバインダ８とにより固定された板バネ５１，
５２によってベ−スブロック２に弾撥的に支持されてい
る一方で、座板プレ−ト４の後端側を長穴Ｈを通した軸
Ｄを介して背もたれ支持部材９における延長部９１の側
壁91aの中間部に支持させると共に該側壁91aの前端側を
ア−ム部材３に軸Ｅを介して結合させることによって
も、背もたれ支持部材９の前，後傾動作を伴うようにす
ることができる。

【００３２】また、本発明機構においては、図５に示す
ように、前記ガススプリング１２を軸Ｆとベ−スブロッ
ク２の脚支柱１より後方の間に架設することによって、
前記の座板プレ−ト４後方の沈み込みのロックのみなら
ず、当該プレ−ト４前方の沈み込みもロックできる。即
ち、図５に示すように、ベ−スブロック２における脚支
柱１の右側に軸Ａと平行な軸Ｇを設け、この軸Ｇと軸Ｆ
の間にガススプリング１２を架設することにより、この
ガススプリング１２のロックによって座板プレ−ト４後
方の沈み込みは勿論のこと、該プレ−ト４の前方での沈
み込みもロックされることとなる。なお、図５において
図１〜図４と同一符号は、同一部材又は同一部分を示し
ている。

【００３３】図１〜図５により説明した実施例の本発明
機構は、上，下２組の板バネ５１，５２を、板バネ支持
ブロック６に、ピン７１，７２とバインダ８によって固
定したものであるが、本発明機構は、図示しないが上記
板バネ５１，５２を、一組の板バネをヘアピン状に曲
げ、このヘアピン状部において支持ブロック６に固定し
ても、上記例と同等の作用する揺動機構が得られる。

【００３４】また、図示した実施例においては、板バネ
５１，５２は、２枚以上（図では３枚）の板バネ部材を
積層して形成した板バネを使用したが、板バネ５１，５
２は積層構造のものではなくてもよい。積層バネ或は単
葉バネのいずれであっても、板バネ５１，５２の板厚を
固定端と自由端とで連続的に異なる板厚、又は、板幅、
或は、板厚と板幅を変えて形成したものを使用してもよ
い。更に、積層した板バネ５１，５２は、各層の板バネ
部材の後端側の長さが順次ずれた形になるように形成し
て、板バネ５１，５２の反撥力をその撓み度合により異
なるようにしてもよい。

【００３５】以上のような作動をする本発明機構の各構
成部材は、板バネ５１，５２に、市販品を使用し、また
支柱１，ベースブロック２，ア−ム部材３，座板プレ−
ト４，支持ブロック６、及び、背もたれの支持部材９等
の各部材は、それらの形態がシンプルゆえに金属の鋳
造，鍛造，プレス加工等、或は、合成樹脂の成形などの
いずれかの手段により容易に製造することができる。

【００３６】

【発明の効果】本発明は以上の通りであって、座板プレ
−トが、その前端をベ−スブロックに枢着したア−ム部
材に、また該座板プレ−トの後端が背もたれ支持部材の
延長部での軸着を介して前記ア−ム部材に、それぞれ軸
連結されると共に、座板プレ−トの前，後いずれか一方
の端部は、長穴を通した軸を介して相手側部材に軸連結
されることにより、当該座板プレ−トの前後において
上，下揺動可能に支持形成されており、このような作動
が許容された座板プレ−トに軸連結された背もたれ支持
部材は、ア−ム部材をベ−スブロックに枢着した軸、又
は、ベ−スブロックの脚支柱の後方に設けた軸と背もた
れ支持部材の延長部の手前側に設けた軸とに、両軸間の
距離を固定，開放自在にするガスプリングを架設したか
ら、椅子に掛けた人の姿勢に応じた座板プレ−ト後方の
沈み込みとこれに連動する背もたれ側の後傾、或は、座
板プレ−トの前後両方での沈み込みとこれに連動した背
もたれの前後傾を連動させて座板プレ−トの沈み込みを
円滑に実現することができることは勿論、座板プレ−ト
の後方、又は、前，後両方での沈み込みとこれに連動す
る背もたれの後傾又は前，後傾を、前記ガススプリング
をロックすることによって固定できるから、着座者の好
みに応じた座板と背もたれの傾斜状態を作り出すことが
でき、使用する上できわめて有用であり、しかも、この
ような動作をするための機構は部品点数が少なくシンプ
ルであるから、製造する上でも有利である。

【００３７】また、本発明における座板プレ−トの前方
又は後方での沈み込み動作は、この座板プレ−トとベ−
スブロックの間に介装させた板バネの反撥力による緩衝
を伴う作動であるから、座板プレ−トに人が掛けた前傾
又は後傾姿勢に円滑かつ柔軟に従動できると共に、使用
者の好みに応じた沈み込み状態をその状態で固定するこ
とができるという固有の特性を示す。

【００３８】また、板バネを使用した緩衝機構であるか
ら、その緩衝機構は上下方向に嵩張ることが少なく、従
って、椅子の座板の下面に、座板と背もたれとを連動さ
せたり固定する機構を、椅子の下側への出張りを少なく
して配備でき、外見上スマ−トな態様に形成することが
できる。特に、ガススプリングは背もたれ支持部材の延
長部とベ−スブロックの間の適宜位置に選択して配置す
ることにより、板バネ，ガススプリングとも、それらの
組立てが容易になる構造で配置できるので、組立性やメ
インテナンス性に優れた構造であるのみならず、座板プ
レ−トの沈み込みを後方だけのロック状態、或は、前，
後両方でのロック状態を選択的に実現できる椅子を容易
に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の揺動機構の一例に荷重がかからない状
態の側断面図。

【図２】図１の機構の座板プレ−トの後方側が最も沈み
込み、且つ、背もたれ取付部材が最も後方へ傾いた状態
の側断面図。

【図３】図１の機構の前傾状態の側断面図。

【図４】図１の機構の全体の構成を示す斜視図。

【図５】本発明機構の別例において、荷重がかからない
状態を示す側断面図。

【符号の説明】

１ 支柱 ２ ベ−スブロック ３ ア−ム部材 ４ 座板プレ−ト ５１，５２ 板バネ ６ 板バネ支持ブロック ７１，７２ ピン ８ 拘束バインダ ９ 背もたれ支持部材 ９１ 延長部 １２ ガススプリング Ａ，Ｂ，Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ｇ 軸 Ｃ，Ｈ 長穴

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 椅子の脚支柱１の上端部に、ほぼ水平な
   向きでベ−スブロック２を取付け、このベ−スブロック
   ２における前記支柱１より前方に、後部側が水平な軸Ａ
   で枢着されるとともに該軸Ａを中心に前方への沈み込み
   動作が許容されたア−ム部材３を前記ブロック２の先端
   部より前方へ突出させて設け、該ア−ム部材３の先端部
   又は座板プレ−ト４の先端部に形成した長穴Ｃを通し該
   長穴Ｃ内で変位可能にした水平軸Ｂを介して座板プレ−
   ト４の先端部を当該ア−ム部材３の先端部に枢着し、か
   つ、該座板プレ−ト４の下面と前記ブロック２の上面の
   間に、当該プレ−ト４とベ−スブロック２を前記軸Ｂを
   中心にして互に離反させる側に反撥力が作用する板バネ
   ５１，５２を前記軸Ｂに支持させた板バネ支持ブロック
   ６に支持させて配設する一方、背もたれが取付けられる
   背もたれ支持部材９の下端側を前記座板プレ−ト４の下
   面側に延長形成し、当該支持部材９の延長部９１の中間
   部を座板プレ−ト４の後端部に水平な軸Ｄを通して枢着
   すると共に、前記延長部９１の前端側を、前記ア−ム部
   材３の前記軸Ａの位置より前方に水平軸Ｅによって当該
   ア−ム部材３に連結して成る椅子の座板と背もたれの揺
   動機構に於て、前記ベ−スブロック２にア−ム部材３を
   枢着した軸Ａか又は該ベ−スブロック２の脚支柱１の後
   方に設けた水平軸Ｇと背もたれ支持部材９の延長部９１
   の後端側に設けた軸Ｆとに、両軸間の距離を固定，開放
   自在にするガスプリング１２を架設したことを特徴とす
   る椅子の座板と背もたれの揺動機構。
2. 【請求項２】 椅子の脚支柱１の上端部に、ほぼ水平な
   向きでベ−スブロック２を取付け、このベ−スブロック
   ２における前記支柱１より前方に、後部側が前記支柱１
   の上端近くに水平な軸Ａで枢着されるとともに該軸Ａを
   中心に前方への沈み込み動作が許容されたア−ム部材３
   を前記ブロック２の先端部より前方へ突出させて設け、
   該ア−ム部材３の先端部に座板プレ−ト４の先端部を水
   平な軸Ｂにより枢着し、かつ、該座板プレ−ト４の下面
   と前記ブロック２の上面の間に、当該プレ−ト４とベ−
   スブロック２を前記軸Ｂを中心にして互に離反させる側
   に反撥力が作用する板バネ５１，５２を前記軸Ｂに支持
   させた板バネ支持ブロック６に支持させて配設する一
   方、背もたれが取付けられる背もたれ支持部材９の下端
   側を前記座板プレ−ト４の下面側に延長形成し、当該支
   持部材９の延長部９１の中間部を、座板プレ−ト４の後
   端部又は前記延長部の中間部に形成した長穴Ｈを通し該
   長穴Ｈ内で変位可能にした水平軸Ｄを介して当該座板プ
   レ−ト４の後端部に枢着すると共に、前記延長部９１の
   前端側を、前記ア−ム部材３の前記軸Ａより前方に水平
   軸Ｅによって当該ア−ム部材３に連結して成る椅子の座
   板と背もたれの揺動機構に於て、前記ベ−スブロック２
   にア−ム部材３を枢着した軸Ａか又は該ベ−スブロック
   ２の脚支柱１の後方に設けた水平軸Ｇと背もたれ支持部
   材９の延長部９１の後端側に設けた軸Ｆとに、両軸間の
   距離を固定，開放自在にするガスプリング１２を架設し
   たことを特徴とする椅子の座板と背もたれの揺動機構。
3. 【請求項３】 ガススプリング１２は、そのシリンダ12
   aの後端側を軸Ｆに連結すると共に、ピストンロッド12b
   の先端側を軸Ａ又は軸Ｇに連結するにあたり、該ピスト
   ンロッド12の先端側と軸Ａの間に、連結ブラケット１３
   を介在させた請求項１又は２の椅子の座板と背もたれの
   揺動機構。
4. 【請求項４】 ガススプリング１２は、そのピストンロ
   ッド12bの中心に弁開閉用の操作ロッド12cを有すると共
   に、該操作ロッド12cの先端を連結ブラケット１３内に
   突出させて、該ロッド12cの先端を外部から操作するよ
   うにした請求項３の椅子の座板と背もたれの揺動機構。
5. 【請求項５】 板バネ５１，５２は、２枚以上の板バネ
   部材を積層した請求項１〜４のいずれかの椅子の座板と
   背もたれの揺動機構。
6. 【請求項６】 板バネ５１，５２は、その支持ブロック
   ６の側に比べその反対側の幅又は厚み若しくは両者を小
   さくした請求項１〜５のいずれかの椅子の座板と背もた
   れの揺動機構。