JPH08182554A - 椅子の座板と背もたれの揺動機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】座板の前方側又は後方側での沈み動作と背もた
れの前傾又は後傾動作の連動を円滑に実現する。 【構成】軸Ａを中心に前方への沈み込み動作が許容され
たア−ム部材３をブロック２の先端部より前方へ突出さ
せて設けると共に、座板プレ−ト４の先端部を水平な軸
Ｂにより枢着し、プレ−ト４とベ−スブロック２を軸Ｂ
を中心にして互に離反させる側に反撥力が作用する板バ
ネ５１，５２を軸Ｂに支持させた板バネ支持ブロック６
に支持させて配設する一方、背もたれ支持部材９の下端
側を支持部材９の延長部９１の中間を座板プレ−ト４の
後端部に水平な軸Ｄを通して枢着すると共に、延長部９
１の前端側を、長穴Ｃを通し水平軸Ｅによりア−ム部材
３に連結して成る椅子の座板と背もたれの揺動機構に於
て、座板プレ−ト４をア−ム部材３を枢着した軸Ａと、
背もたれ支持部材９の延長部９１の後端側に設けた軸Ｆ
とに、両軸間の距離を固定，開放自在にするガスプリン
グ１２を架設した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主としてオフィス用の
回転椅子の座板と背もたれの連動した揺動機構に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、回転椅子における座板と背も
たれの連動した揺動機構に関しては、特開昭61-172515
号、実公平5-20199号など多くの提案がなされ、実用に
供されているものもある。

【０００３】従来提案されている機構による座板と背も
たれの連動した揺動形態は、座板が人が掛けることによ
る荷重で沈み込めば、この沈み込みに連動して背もたれ
が後方へ傾く、或は、人が背もたれに背をあずければ，
背もたれが後傾すると同時にこれと連動して座板も沈み
込むようになっている。

【０００４】しかし乍ら、人が椅子に掛ける態様は、必
ずしも、従来の揺動機構で対応できる姿勢ばかりではな
い。例えば、座板の前方がその前方側へ沈み込むような
体重の掛け方で椅子に着く場合がある。一方、座の前方
側又は後方側での沈み込み動作と背もたれの前，後傾動
作を連動させたくない使用者もある。

【０００５】このような場合、従来の揺動機構では対応
した作動をしないか、或は、作動できる機構が付与され
ていても、構造が余りに複雑なため、構成部品のコスト
高を招いたり、組立てに手間取ったり、動作が円滑でな
いといった様々な問題がある。また、座板が前方へ沈み
込まないと、前傾姿勢で椅子に掛けた場合、その者の姿
勢が不自然になるため腹部が圧迫されたり、大腿部が座
面に押付けられることとなり、椅子の掛け心地も良好で
はなくなる。更には、上記のような座と背もたれの連動
をさせたくない使用者の場合には、それをロックできな
ければ、却って座り心地の悪いものとなる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題の一つは、簡潔な構造によって座板の
前方側での沈み込み又は後方側での沈み込みを可能にす
ると共に、これらの沈み込み動作と背もたれの前傾又は
後傾動作を連動させ、しかも、これらの動作を円滑に実
現することができる揺動機構を提供すると共に、上記の
揺動機構において、使用者の好みにより座と背もたれの
連動した揺動を任意にロックできる揺動機構を提供する
ことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
を目的としてなされた本発明の構成は、椅子の脚支柱１
の上端部に、ほぼ水平な向きでベ−スブロック２を取付
け、このベ−スブロック２における前記支柱１より前方
に、後部側が前記支柱１の上端近くに水平な軸Ａで枢着
され、かつ、この軸Ａを中心に前方への沈み込み動作が
許容されたア−ム部材３を前記ブロック２の先端部より
前方へ突出させて設けると共に、このア−ム部材３の先
端部に、座板プレ−ト４の先端部を水平な軸Ｂにより枢
着し、かつ、この座板プレ−ト４の下面と前記ブロック
２の上面の間に、当該プレ−ト４とベ−スブロック２を
前記軸Ｂを中心にして互に離反させる側に反撥力が作用
する板バネ５１，５２を前記軸Ｂに支持させた板バネ支
持ブロック６に支持させて配設する一方、背もたれが取
付けられる背もたれ支持部材９の下端側を前記座板プレ
−ト４の下面側に延長形成し、当該支持部材９の延長部
９１の中間を座板プレ−ト４の後端部に水平な軸Ｄを通
して枢着すると共に、前記延長部９１の前端側を、前記
ア−ム部材３又は延長部９１に形成した長穴Ｃを通し該
長穴Ｃ内で変位可能にした水平軸Ｅにより当該ア−ム部
材３に連結して成る椅子の座板と背もたれの揺動機構に
於て、前記座板プレ−ト４をア−ム部材３を枢着した軸
Ａと、背もたれ支持部材９の延長部９１の後端側に設け
た軸Ｆとに、両軸間の距離を固定，開放自在にするガス
プリング１２を架設したことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】座板プレ−ト４は、ベ−スブロック２に軸Ａに
よって下方へ揺動可能に取付けられたア−ム部材３の前
端において、板バネ５１，５２を支持した軸Ｂにより当
該ア−ム部材３に軸連結されているので、軸Ａの前，後
において上下揺動可能、つまり、沈み込み可能である。
また、ア−ム部材３と座板プレ−ト４に対しそれぞれ軸
Ｅ，軸Ｄによって枢着される背もたれの支持部材９が、
前記ア−ム部材３の長穴Ｃに軸Ｅを通して結合されてい
ることにより、座板プレ−ト４と背もたれ支持部材９と
は、いずれか一方の部材４又は９の揺動に連動して他方
の部材９又は４が揺動する。そして、上記座板プレ−ト
４の上下揺動、或は、前記プレ−ト４と背もたれ支持部
材６の連動した揺動は、板バネ５１，５２により緩衝さ
れるが、板バネ５１，５２は、それ自体のコスト，加工
手間，組立手間がねじりバネなど他のバネに比べ低廉か
つ容易であるため、この点でも優れた作用がある。更
に、前記ベ−スブロック２にア−ム部材３を枢着した軸
Ａと、背もたれ支持部材９の延長部９１の後端に設けた
軸Ｆとの間に、両軸間の距離を固定，開放自在にするガ
スプリング１２を架設したので、該ガススプリング１２
を、オフすることにより、前記連動を任意にロック状態
にすることができる。要するに、ガススプリング１２
は、軸Ｆとベ−スプレ−ト２の間に架設することによ
り、上記作用をするものである。

【０００９】

【実施例】次に、本発明の実施例を図に拠り説明する。
図１は本発明揺動機構の一例に荷重がかからない状態の
側断面図、図２は図１の機構の座板プレ−トの後方側が
最も沈み込み、且つ、背もたれ取付部材が最も後方へ傾
いた状態の側断面図、図３は図１の機構の前傾状態の側
断面図、図４は図１の機構の全体の構成を示す斜視図で
ある。

【００１０】図１〜図４に於て、１は例えば事務用の回
転椅子におけるポ−ル状をなす脚支柱で、支柱１に内挿
されているガススプリング（図に表われず）などによ
り、その高さをある範囲で自由に変更できるようにされ
ている。なお、支柱１は、その高さ調節を、ガススプリ
ング以外の、例えば、テレスコ−プ構造などにより行う
ようにしたものであってもよい。

【００１１】２は上記支柱１の上端部に取付けた断面が
大略箱状をなすベ−スブロックで、図の例では、本体２
ａの前方側がやゝ持上った皿状をなす受座２ｂに形成さ
れていると共に支柱１に近接した前方に、座板プレ−ト
４の幅方向と平行な向きの水平な軸受２ｃが形成されて
いる。

【００１２】３は正面からみて大略凹状をなすア−ム部
材で、ア−ム部材３は、その左，右側に立設した側壁３
ａの後端側を、前記ブロック２の軸受２ｃに水平な軸Ａ
により枢着する一方、前記側壁３ａの前端側が後述する
座板プレ−ト４の前端側と水平な軸Ｂにより枢着して連
結されている。

【００１３】而して、座板プレ−ト４は、上面に適宜の
座板シ−ト（図示せず）が設けられる平板状をなすプレ
−トであって、正面から見て両側に側壁４ａが垂下形成
されており、この側壁４ａの前端側が上記ア−ム部材３
の前端に軸Ｂにより枢着連結されていると共に、後端側
が後述する背もたれ支持部材９の延長部材９１の側壁91
aに、軸Ｄにより枢着して連結されている。なお、各軸
Ａ，Ｂ，Ｄはいずれも水平な向きで平行である。

【００１４】上記座板プレ−ト４は、前記ベ−スブロッ
ク２の受座２ｂに対向する上面板の裏面を受座４ｃと
し、両受座４ｃ，２ｂの間に、前記軸Ｂに支持させた合
成樹脂製又は金属製であって側面から見て大略楔状をな
し、かつ、支持ブロック６の上，下面に、２組の板バネ
５１と５２が、それぞれの始端側51a，52aをピン７１，
７２によって止着されていると共に、それぞれの終端部
51b，52bを前記受座４ｃ，２ｂに当接させた姿勢で設け
られている。

【００１５】８は前記の上，下２組の板バネ５１，５２
を、前記ピン７１，７２よりも先端側において支持ブロ
ック６に対して上下から挟持する態様で拘束するバイン
ダで、ここでは左，右２枚の支持プレ−ト８ａ，８ａの
上下に、軸Ｂに平行な拘束軸８ｂ，８ｃを架設して成る
バインダ８を、左右の支持プレ−ト８ａ，８ａを前記軸
Ｂに枢着支持させることによって設けられている。

【００１６】板バネ５１，５２は、それぞれの始端側51
a，52aが、支持ブロック６にピン７１，７２と拘束バイ
ンダ８によって固定されることにより、後端側51b，52b
を自由端とした板バネとして作用する。51cは板バネ51
の終端部51bに凸出させて形成した弯曲部で、座板プレ
−ト４の裏面の受座４ｃとのフリクションを軽減するた
めのものである。

【００１７】９は、上部側に背もたれ（図示せず）が取
付けられる背もたれ支持部材で、下部が座板プレ−ト４
の下面に沿った形で位置付けられるように弯曲延長した
延長部９１に形成されると共に、この延長部９１の下部
両側に側面扁平三角形状の側壁91aが延設形成されてお
り、この両側壁91aは、前記ベ−スブロック２の側壁２
ｄやア−ム部材３の側壁３ａを、ここでは外側から挟む
ことができるように形成されている。また、側壁91aの
先端は、ア−ム部材３と結合させるため、軸Ａより前方
まで形成されている。

【００１８】而して、上記支持部材９は、その延長部９
１の側壁91aの先端側において、ベ−スブロック２に軸
Ａにより枢着されたア−ム部材３に、前記軸Ａの前方に
形成した長穴Ｃを通した軸Ｅによって結合されていると
共に、当該延長部９１の側壁91aの中間部は軸Ｄによっ
て座板プレ−ト４の後端側の側壁４ａに枢着結合されて
いる。

【００１９】上記機構において、板バネ５２の終端側52
bの下面は、ベ−スブロック２の受座２ｂの上面におい
て、このベ−スブロック２の受座２ｂに形成したネジ受
１０に螺装した調節ネジ１１の半球状の頭頂部11aによ
り、下面から支持されている。11bは前記ネジ１１の下
端に設けたネジ回転操作用のノブであるが、このノブは
レバ−であってもよい。

【００２０】上記構成によって、調節ネジ１１を回転し
てその頭頂部11aを上方へ進出させると、板バネ５２の
後端側52bが座板プレ−ト４側へ押上げられることとな
り、このバネ５２の反撥力を強めにすることができる。

【００２１】以上の構成により、座板プレ−ト４の沈み
込み動作と背もたれ支持部材９の傾動動作とを連動させ
た揺動機構の一例を形成するが、本発明機構ではこの連
動した揺動動作をロックする機構を付加したので、次に
この点について説明する。

【００２２】本発明機構では連動した揺動動作をロック
できるようにするため、一例として軸Ａと背もたれ支持
部材９の延長部９１に設けた側壁91aに架設した軸Ｆと
を、ガススプリング１２により連結し、該ガススプリン
グ１２のシリンダ内の弁（図示せず）を開放させること
により、シリンダ12a内のピストンの前後にガスを自由
に流通させ、ガススプリング１２のピストンロッド12b
の進退を自由にし、前記弁を閉止させることにより、当
該スプリング１２のガス流通を阻止して前記ロッド12b
の進退を拘束し、座板プレ−ト４の沈み込みと背もたれ
支持部材９の傾動動作の連動を固定するようにした。

【００２３】図示した例では、ガススプリング１２のシ
リンダ12aの後端を軸Ｆに連結し、ピストンロッド12bの
先端部を、連結ブラケット１３を介在させて軸Ａに連結
すると共に、前記ロッド12bの同軸上に前記弁の開閉を
操作するための操作ロッド12cを前記ロッド12bから突出
させて設けた。そして、この操作ロッド12cの前面に
は、該ロッド12cを操作する操作片１４を設け、ここで
はこの操作片１４を押し込むことにより前記操作ロッド
12cを後退させてシリンダ12a内の弁を開け、操作片１４
を押し込まないときは前記ロッド12cが進出状態を保持
して前記シリンダ12a内の弁の閉じ状態が維持されるよ
うになっている。

【００２４】上記のように構成される本発明の一例の機
構は、次のような動作をする。いま、座板プレ−ト４に
設けられた座シ−ト（図示せず）に人が掛けて、前記操
作片１４を後退させた状態にすると、その人の荷重は、
座シ−トを含む座板プレ−ト４にかかる。前記荷重を受
けたこの座板プレ−ト４は、その荷重が板バネ５１の撓
みに一部吸収されるが、その撓みと板バネ５２の撓みを
介してベ−スブロック２における受座２ｂに支持されて
いるので、前記バネ５１，５２の反撥力を伴ってベース
ブロック２に支持される。

【００２５】この状態での座板プレ−ト４は、その中間
より少し後方の位置が板バネ５１を介してア−ム部材３
に弾撥的に支持されると共に、ア−ム部材３が板バネ５
２を介して受座２ｂに支持される。一方、この座板プレ
−ト４は、前端がベ−スブロック２に軸Ａにより支持さ
れているア−ム部材３の前端側において軸Ｂにより軸支
されていること、及び、当該座板プレ−ト４の後端側
が、ベースブロック２に長穴Ｃと軸Ｅを介して支持され
ている背もたれ支持部材９の側壁91aの中間部辺に軸Ｄ
を介して連結されていることによって、座板プレ−ト４
はア−ム部材３を介在させると共に前記バネ５１，５２
の反撥力に支持され、軸Ｂ，軸Ａを中心にして当該プレ
−ト４の前，後いずれの側においても沈み込み揺動が可
能である。

【００２６】前記プレ−ト４の軸Ｂ，軸Ａに関する前後
での沈み込み揺動は、このプレ−ト４が、軸Ｂにおいて
支持ブロック６にピン７１，７２とバインダ８とにより
固定された板バネ５１，５２によってベ−スブロック２
に弾撥的に支持されていること、及び、座板プレ−ト４
の後端を軸Ｄにより支持した背もたれ支持部材９におけ
る延長部９１の側壁91aの前端側がア−ム部材３にその
長穴Ｃと軸Ｅを介して結合されていることにより、背も
たれ支持部材９の前，後傾動作を伴う。

【００２７】即ち、座板プレ−ト４がその前端側で沈み
込めば、この沈み込み動作は、ア−ム部材３と一体にな
り、軸Ａを中心にして板バネ５２の反撥力に抗したア−
ム部材３の前方側での沈み込みと当該プレ−ト４の後方
の持上りを招来すると同時に、この座板プレ−ト４とア
−ム部材３の前方側での沈み込み動作は、背もたれ支持
部材９における延長部９１の側壁91aの前端側の沈み込
みと後端側の持上り動作を招来するので、この支持部材
９の立上り部分が前方へ回動して傾斜することとなり、
これらの一連の動作によって座板プレ−ト４の後方の持
上り動作と背もたれ支持部材９の前傾動作が同期するこ
ととなる。

【００２８】一方、座板プレ−ト４がその後端側におい
て沈み込むとき、この沈み込み動作はア−ム部材３の軸
Ｂを中心に作動するので、当該プレ−ト４と背もたれ支
持部材９との連結関係により、この支持部材９の後方傾
斜動作を同期的にもたらす。

【００２９】このとき、上記座板プレ−ト４の後半側が
軸Ｂを中心に下方へ沈み込み動作するのは、ア−ム部材
３の底壁３ｂがベースブロック２の受座２ｂの外面に当
接してしまい、当該ア−ム部材３の軸Ａを中心とする時
計方向角回転を阻止するからである。尚、上記の同期的
動作は、背もたれ支持部材９に荷重をかけそれを後方に
傾斜させたときも、この傾斜に従動する座板プレ−ト４
の後方の沈み込む動作をもたらす。

【００３０】以上の座板プレ−ト４と背もたれ支持部材
９の連動した揺動は、軸Ａ，Ｆの間に架設したガススプ
リング１２をロックすることにより、連動させないよう
にすることができる。即ち、上記例においてガススプリ
ング１２のロックは、そのシリンダ12aの弁を開いてい
た操作片１４の押し込みを止めることにより、操作ロッ
ド12cを進出（図の左方へ進出）させて行う。操作ロッ
ド12cが進出すると、当該ガススプリング１２はシリン
ダ12a内でのガスの流通が阻止され、ピストンの進退が
不能なロック状態になる。そして、ガススプリング１２
がロック状態となると、軸Ｄを中心に回転可能であった
延設部９１の先端側が長穴Ｃ内で軸Ｅが固定されてしま
うこととなるので、これにより座板プレ−ト４と支持部
材９との同期した後傾が固定されるのである。

【００３１】前記延設部９１の軸Ｄを中心とした回転が
固定されることにより、背もたれ支持部材９はその延長
部９１が軸Ｄと軸Ａの２箇所で変位不能に固定されるこ
とになり、また、前記延長部９１の側壁91aと軸Ｄで連
結されていると共に、ベ−スブロック２の受座２ｂによ
って軸Ａを中心とする後傾が阻止されているア−ム部材
３に軸Ｂにおいて連結された座板プレ−ト４も後方での
沈み込みが阻止された状態になるので、座板プレ−ト４
と背もたれ支持部材９との同期した後傾揺動ができない
ように固定されるのである。

【００３２】一方、上記の同期した座の沈み込みと背の
後傾が固定された座板プレ−ト４と背もたれ支持部材９
とは、一体のまま軸Ａを中心とした座板プレ−ト４の前
方での沈み込み動作と、この沈み込み動作と一体の背も
たれ支持部材の前傾動作を、板バネ５２の作用を受けつ
つ許容する。

【００３３】上記のように、本発明機構では、ガススプ
リング１２の動作をロックしたりロック解除することに
よって、座板プレ−ト４と背もたれ支持部材９との同期
した揺動状態を、使用者の意思によりロックしたり、そ
のロック状態を解除したりできるので、使用者の好みに
応じた座板プレ−ト４の沈み込み状態とこれに連動した
背もたれ支持部材９の後傾状態とを、好みの状態におい
て固定することが可能となる。また、上記のガススプリ
ング１２の作用は、当該ガススプリング１２を軸Ｆとベ
−スプレ−ト２の間に架設することによっても得られ
る。ここで、ベ−スプレ−ト２における支柱１の右側に
軸Ａと平行な軸（図示せず）を設け、この軸と軸Ｆの間
にガススプリング１２を設ければ、連結ブラケット１３
が不要になる。

【００３４】図１〜図４により説明した実施例の本発明
機構は、上，下２組の板バネ５１，５２を、板バネ支持
ブロック６に、ピン７１，７２とバインダ８によって固
定したものであるが、本発明機構は、図示しないが上記
板バネ５１，５２を、一組の板バネをヘアピン状に曲
げ、このヘアピン状部において支持ブロック６に固定し
ても、上記例と同等の作用する揺動機構が得られる。

【００３５】また、図示した実施例においては、板バネ
５１，５２は、２枚以上（図では３枚）の板バネ部材を
積層して形成した板バネを使用したが、板バネ５１，５
２は積層構造のものではなくてもよい。積層バネ或は単
葉バネのいずれであっても、板バネ５１，５２の板厚を
固定端と自由端とで連続的に異なる板厚、又は、板幅、
或は、板厚と板幅を変えて形成したものを使用してもよ
い。更に、積層した板バネ５１，５２は、各層の板バネ
部材の後端側の長さが順次ずれた形になるように形成し
て、板バネ５１，５２の反撥力をその撓み度合により異
なるようにしてもよい。

【００３６】以上のような作動をする本発明機構の各構
成部材は、板バネ５１，５２に、市販品を使用し、また
支柱１，ベースブロック２，ア−ム部材３，座板プレ−
ト４，支持ブロック６、及び、背もたれの支持部材９等
の各部材は、それらの形態がシンプルゆえに金属の鋳
造，鍛造，プレス加工等、或は、合成樹脂の成形などの
いずれかの手段により容易に製造することができる。

【００３７】

【発明の効果】本発明は以上の通りであって、座板プレ
−トを、その前端をベ−スブロックに枢着したア−ム部
材に、また座板プレ−トの後端を背もたれ支持部材を介
して前記ア−ム部材に、それぞれ軸連結することによ
り、その前後において揺動可能に支持形成すると共に、
このような作動が許容される座板プレ−トに、背もたれ
が取付けられる支持部材が軸連結され、かつ、該支持部
材が前記ア−ム部材に長穴を通した軸により連結される
一方、座板プレ−トをア−ム部材に枢着した軸と背もた
れ支持部材の延長部の後端側設けた軸とに、両軸間の距
離を固定，開放自在にするガスプリングを架設したか
ら、椅子に掛けた人の姿勢に応じた座板プレ−トの沈み
込みとこれに連動する背もたれ側の傾斜、或は、背もた
れの傾斜に対応連動した座板プレ−トの沈み込みを円滑
に実現することができることは勿論、座板の沈み込みと
これに連動した背もたれの後傾状態を、前記ガススプリ
ングをロックすることによって固定保持できるから、着
座者の好みに応じた座板と背もたれの傾斜状態を作り出
すことができ、使用する上できわめて有用であり、しか
も、このような動作をするための機構は部品点数が少な
くシンプルであるから、製造する上でも有利である。

【００３８】また、本発明における座板プレ−トの前後
での沈み込み動作は、このプレ−トとベ−スブロックの
間に介装させた板バネの反撥力による緩衝を伴う作動で
あるから、座板プレ−トに人が掛けた前傾又は後傾姿勢
に円滑かつ柔軟に従動できると共に、使用者の好みに応
じた沈み込み状態をその状態で固定することができると
いう固有の特性を示す。また、板バネを使用した緩衝機
構であるから、その緩衝機構を上下方向に嵩張ることが
少なく、従って、椅子の座板の下面に、座板と背もたれ
とを連動させる機構を、椅子の下側への出張りを少なく
して配備でき、外見上スマ−トな態様に形成することが
できる。特に、ガススプリングを背もたれ支持部材の延
長部とベ−スプレ−トの間に配置したことにより、板バ
ネ，ガススプリングとも、それらの組立てが容易にな
り、組立性やメインテナンス性に優れた構造を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の揺動機構の一例に荷重がかからない状
態の側断面図。

【図２】図１の機構の座板プレ−トの後方側が最も沈み
込み、且つ、背もたれ取付部材が最も後方へ傾いた状態
の側断面図。

【図３】図１の機構の前傾状態の側断面図。

【図４】図１の機構の全体の構成を示す斜視図。

【符号の説明】

１ 支柱 ２ ベ−スブロック ３ ア−ム部材 ４ 座板プレ−ト ５１，５２ 板バネ ６ 板バネ支持ブロック ７１，７２ ピン ８ 拘束バインダ ９ 背もたれ支持部材 ９１ 延長部 １２ ガスシリンダ Ａ，Ｂ，Ｄ，Ｅ，Ｆ 軸 Ｃ 長穴

【手続補正書】

【提出日】平成７年２月９日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００７

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
を目的としてなされた本発明の構成は、椅子の脚支柱１
の上端部に、ほぼ水平な向きでベースブロック２を取付
け、このベースブロック２における前記支柱１より前方
に、後部側が前記支柱１の上端近くに水平な軸Ａで枢着
され、かつ、この軸Ａを中心に前方への沈み込み動作が
許容されたアーム部材３を前記ブロック２の先端部より
前方へ突出させて設けると共に、このアーム部材３の先
端部に、座板プレート４の先端部を水平な軸Ｂにより枢
着し、かつ、この座板プレート４の下面と前記ブロック
２の上面の間に、当該プレート４とベースブロック２を
前記軸Ｂを中心にして互に離反させる側に反撥力が作用
する板バネ５１，５２を前記軸Ｂに支持させた板バネ支
持ブロック６に支持させて配設する一方、背もたれが取
付けられる背もたれ支持部材９の下端側を前記座板プレ
ート４の下面側に延長形成し、当該支持部材９の延長部
９１の中間を座板プレート４の後端部に水平な軸Ｄを通
して枢着すると共に、前記延長部９１の前端側を、前記
アーム部材３又は延長部９１に形成した長穴Ｃを通し該
長穴Ｃ内で変位可能にした水平軸Ｅにより当該アーム部
材３に連結して成る椅子の座板と背もたれの揺動機構に
於て、前記ベースブロック２にアーム部材３を枢着した
軸Ａと、背もたれ支持部材９の延長部９１の後端側に設
けた軸Ｆとに、両軸間の距離を固定，開放自在にするガ
スプリング１２を架設したことを特徴とするものであ
る。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 椅子の脚支柱１の上端部に、ほぼ水平な
   向きでベ−スブロック２を取付け、このベ−スブロック
   ２における前記支柱１より前方に、後部側が前記支柱１
   の上端近くに水平な軸Ａで枢着され、かつ、この軸Ａを
   中心に前方への沈み込み動作が許容されたア−ム部材３
   を前記ブロック２の先端部より前方へ突出させて設ける
   と共に、このア−ム部材３の先端部に、座板プレ−ト４
   の先端部を水平な軸Ｂにより枢着し、かつ、この座板プ
   レ−ト４の下面と前記ブロック２の上面の間に、当該プ
   レ−ト４とベ−スブロック２を前記軸Ｂを中心にして互
   に離反させる側に反撥力が作用する板バネ５１，５２を
   前記軸Ｂに支持させた板バネ支持ブロック６に支持させ
   て配設する一方、背もたれが取付けられる背もたれ支持
   部材９の下端側を前記座板プレ−ト４の下面側に延長形
   成し、当該支持部材９の延長部９１の中間を座板プレ−
   ト４の後端部に水平な軸Ｄを通して枢着すると共に、前
   記延長部９１の前端側を、前記ア−ム部材３又は延長部
   ９１に形成した長穴Ｃを通し該長穴Ｃ内で変位可能にし
   た水平軸Ｅにより当該ア−ム部材３に連結して成る椅子
   の座板と背もたれの揺動機構に於て、前記ベ−スブロッ
   ク２にア−ム部材３を枢着した軸Ａと、背もたれ支持部
   材９の延長部９１の後端側に設けた軸Ｆとに、両軸間の
   距離を固定，開放自在にするガスプリング１２を架設し
   たことを特徴とする椅子の座板と背もたれの揺動機構。
2. 【請求項２】 ガススプリング１２は、そのシリンダ12
   aの後端側を軸Ｆに連結すると共に、ピストンロッド12b
   の先端側を軸Ａに連結するにあたり、該ピストンロッド
   12の先端側と軸Ａの間に、連結ブラケット１３を介在さ
   せた請求項１の椅子の座板と背もたれの揺動機構。
3. 【請求項３】 ガススプリング１２は、そのピストンロ
   ッド12bの中心に弁開閉用の操作ロッド12cを有すると共
   に、該操作ロッド12cの先端を連結ブラケット１３内に
   突出させて、該ロッド12cの先端を外部から操作するよ
   うにした請求項１又は２の椅子の座板と背もたれの揺動
   機構。
4. 【請求項４】 ガススプリング１２は、ベ−スプレ−ト
   ２と軸Ｆとの間に架設した請求項１の椅子の座板と背も
   たれの揺動機構。
5. 【請求項５】 板バネ５１，５２は、２枚以上の板バネ
   部材を積層した請求項１〜４のいずれかの椅子の座板と
   背もたれの揺動機構。
6. 【請求項６】 板バネ５１，５２は、その支持ブロック
   ６の側に比べその反対側の幅又は厚み若しくは両者を小
   さくした請求項１〜５のいずれかの椅子の座板と背もた
   れの揺動機構。