JPH0820325A - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

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Publication number
JPH0820325A
JPH0820325A JP6179511A JP17951194A JPH0820325A JP H0820325 A JPH0820325 A JP H0820325A JP 6179511 A JP6179511 A JP 6179511A JP 17951194 A JP17951194 A JP 17951194A JP H0820325 A JPH0820325 A JP H0820325A
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JP
Japan
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tire
vehicle
control
slip
wheel
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JP6179511A
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English (en)
Inventor
Haruki Okazaki
晴樹 岡崎
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンチスキッドブレーキ制御やトラクション
制御を、車両に装備した通常タイヤかスタッドレスタイ
ヤかに応じた特性で実行可能にすること。 【構成】 アンチスキッドブレーキ制御における前輪の
スキッド深さSDm1,SDm2 及び後輪のスキッド深さSDm
3,SDm4 を算出し、これらスキッド深さを所定値SD0と
比較することで、前輪と後輪のタイヤ種類を判別する
(S92〜S98)。アンチスキッドブレーキ制御で
は、車輪のタイヤがスタッドレスタイヤのときはブレー
キ油圧をロック気味に制御し、トラクション制御では、
車輪のタイヤがスタッドレスタイヤのときは駆動輪のス
リップ目標値を大きく変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両のスリップ制御
装置に関し、特に、通常のタイヤかスタッドレスタイヤ
かに応じた特性で以て、アンチスキッド制御やトラクシ
ョン制御を実行できるように改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の制動時における車輪のロッ
クを抑制して制動性を確保するために、車体速と車輪速
に基づいてブレーキ油圧を制御するアンチスキッドブレ
ーキ装置は、種々実用化されている。このアンチスキッ
ドブレーキ装置では、3又は4系統のブレーキ油圧系
に、油圧制御用の制御バルブ(増圧バルブと減圧バル
ブ)を設け、その制御バルブを介して車輪のスリップ率
が目標値となるようにブレーキ油圧を調整するが、増
圧、増圧保持、減圧・減圧保持の所定のパターンを複数
サイクル繰り返えしたり、増圧と減圧の所定のパターン
を複数サイクル繰り返えすのが一般的である。例えば、
特開平3−54061号公報には、ブレーキ油圧を減圧
する期間を、車輪減速度が車体減速度よりも大きい期間
に制限するようにしたアンチスキッドブレーキ制御回路
が記載されている。
【0003】一方、車両の加速時において、駆動輪が過
大駆動トルクによりスリップして走行性能が低下するこ
とを防止する為に、駆動輪のスリップ量を検出し、駆動
輪のスリップ値が目標スリップ値となるように、エンジ
ン駆動力や車輪に対する制動力を制御(エンジン駆動力
を低下させる、又は制動力を増大させる)ように構成し
た車両のトラクション制御技術は一般に実用化されてい
る。
【0004】この種の車両のトラクション制御において
は、4輪の車輪速を夫々検出する車輪速センサが設けら
れ、駆動輪速と従動輪速とから駆動輪のスリップ量が演
算され、また、車体速と路面摩擦係数とに応じて目標ス
リップ量が設定される。前記路面摩擦係数は、従動輪速
と、その加速度とから推定される(特開昭60−997
57号公報参照)。前記駆動輪のスリップ抑制の為に、
エンジン駆動力を抑制する技術としては、点火時期のリ
タード及び/又は燃料カット、又は、吸気通路の副スロ
ットル弁を介しての吸気量の調節、等が適用される。
【0005】ここで、車両の車輪のタイヤとしては、一
般的に、ラジアルタイヤ等の通常タイヤが適用される
が、最近ではスパイクタイヤに代わるスタッドレスタイ
ヤが実用化され、寒冷地で冬季等において使用されるこ
とが多い。前記通常タイヤでは、スリップ率約20〜2
5%の付近で最大グリップ力が発生するが、スタッドレ
スタイヤは、発泡ゴム等で構成されて比較的軟らかい構
造であるため、スリップ率約30〜35%の付近で最大
グリップ力が発生し、この最大グリップ力は通常タイヤ
の最大グリップ力よりかなり小さい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のアンチスキ
ッド制御は、通常タイヤを前提として構成してある関係
上、車輪のグリップ力が最大グリップ力となるスリップ
率よりも若干小さな5〜15%のスリップ率を目標とし
て制御するように構成されている。しかし、駆動輪又は
4輪にスタッドレスタイヤを装備した車両に、通常タイ
ヤを前提としたアンチスキッド制御を適用すると、スリ
ップ率5〜15%を目標とするアンチスキッド制御にな
るため、タイヤのグリップ力をスタッドレスタイヤの最
大グリップ力近くまで高めることができず、グリップ力
が最大グリップ力よりも格段に小さくなり、十分な制動
性能を確保できない。即ち、スタッドレスタイヤの場
合、タイヤのグリップ力に余裕があることから、ブレー
キ油圧を減圧すると、直ちに車輪速が回復してスキッド
深さが浅くなり、スリップ率を十分に高めて制動力を高
めることができないという問題がある。
【0007】本発明の目的は、通常タイヤかスタッドレ
スタイヤか判別可能にした車両のスリップ制御装置、タ
イヤの種類に応じたアンチスキッド制御を行い得る車両
のスリップ制御装置、タイヤの種類に応じたトラクショ
ン制御を行い得る車両のスリップ制御装置、を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の車両のスリッ
プ制御装置は、車両の制動中に、車輪のロックを抑制す
る為にブレーキ液圧を制御するアンチスキッド制御手段
を備えた車両のスリップ制御装置において、4輪の車輪
速を検出する車輪速検出手段と、前記車輪速検出手段で
検出された車輪速を用いて、車体速を検知する車体速検
知手段と、前記車輪速検出手段で検出された車輪速と、
車体速検知手段で検知された車体速とに基づいて、アン
チスキッド制御実行中におけるスキッド深さを求め、そ
のスキッド深さから、車輪のタイヤがスタッドレスタイ
ヤかスタッドレスタイヤ以外の通常タイヤか否かを判別
するタイヤ判別手段とを備えたものである。
【0009】請求項2の車両のスリップ制御装置は、請
求項1の車両のスリップ制御装置において、前記タイヤ
判別手段の判別結果を受け、スタッドレスタイヤの場合
には、通常タイヤの場合と比較して、ブレーキ液圧をロ
ック気味に変更する液圧変更手段を設けたものである。
【0010】請求項3の車両のスリップ制御装置は、車
両の制動中に、車輪のロックを抑制する為にブレーキ液
圧を制御するアンチスキッド制御手段を備えた車両のス
リップ制御装置において、車輪のタイヤがスタッドレス
タイヤかスタッドレスタイヤ以外の通常タイヤかを設定
する為のタイヤ種類設定手段と、前記タイヤ種類設定手
段からの出力を受け、車輪のタイヤがスタッドレスタイ
ヤの場合には、通常タイヤの場合と比較して、ブレーキ
液圧をロック気味に変更する液圧変更手段を設けたもの
である。
【0011】請求項4の車両のスリップ制御装置は、車
両の制動中に、車輪のロックを抑制する為にブレーキ液
圧を制御するアンチスキッド制御手段を備えた車両のス
リップ制御装置において、4輪の車輪速を検出する車輪
速検出手段と、前記車輪速検出手段で検出された車輪速
を用いて、車体速を検知する車体速検知手段と、前記車
輪速検出手段で検出された車輪速と、車体速検知手段で
検知された車体速とに基づいて、アンチスキッド制御実
行中におけるスキッド深さを求め、そのスキッド深さが
浅いときには、深いときに比較して、ブレーキ液圧をロ
ック気味に変更する液圧変更手段とを備えたものであ
る。
【0012】ここで、前記液圧変更手段は、前記スキッ
ド深さが設定値よりも浅いときに、ブレーキ液圧をロッ
ク気味に変更するように構成してもよい(請求項4に従
属の請求項5)。前記アンチスキッド制御手段が、通常
タイヤを前提として構成されている場合において、前記
液圧変更手段は、スキッド深さが設定値よりも浅いとき
に、ブレーキ液圧をロック気味に変更するように構成し
てもよい(請求項4に従属の請求項6)。前記アンチス
キッド制御手段が、スタッドレスタイヤを前提として構
成されている場合において、前記液圧変更手段は、スキ
ッド深さが設定値よりも深いときに、ブレーキ液圧をロ
ック浅めに変更するように構成してもよい(請求項4に
従属の請求項7)。
【0013】前記液圧変更手段は、路面摩擦検知手段で
検知された路面の摩擦係数が高い場合にだけ、ブレーキ
液圧を変更するように構成してもよい(請求項4〜請求
項6の何れか1項に従属の請求項8)。前記液圧変更手
段は、減圧フェーズへの移行時期を遅らせるとともに、
増圧フェーズへの移行時期を早めることにより、ブレー
キ液圧をロック気味に変更するように構成してもよい
(請求項6に従属の請求項9)。前記液圧変更手段は、
減圧フェーズへの移行時期を早めるとともに、増圧フェ
ーズへの移行時期を遅らせることにより、ブレーキ液圧
をロック浅めに変更するように構成してもよい(請求項
7に従属の請求項10)。
【0014】駆動輪のスリップを抑制する為にエンジン
の駆動力とブレーキ装置の制動力との少なくとも一方を
制御するトラクション制御手段を設けてもよい(請求項
1に従属の請求項11)。ここで、前記タイヤ判別手段
の判別結果を受け、駆動輪のタイヤがスタッドレスタイ
ヤの場合には、通常タイヤの場合と比較して、トラクシ
ョン制御手段によるトラクション制御における目標スリ
ップ値を大きく変更する目標値変更手段を設けてもよい
(請求項11に従属の請求項12)。
【0015】請求項13の車両のスリップ制御装置は、
請求項3の車両のスリップ制御装置において、駆動輪の
スリップを抑制する為にエンジンの駆動力とブレーキ装
置の制動力との少なくとも一方を制御するトラクション
制御手段を設け、前記タイヤ種類設定手段の出力を受け
て、駆動輪のタイヤがスタッドレスタイヤの場合には、
通常タイヤの場合と比較して、トラクション制御手段に
よるトラクション制御における目標スリップ値を大きく
変更する目標値変更手段を設けたものである。
【0016】
【発明の作用及び効果】請求項1の車両のスリップ制御
装置においては、アンチスキッド制御手段は、車両の制
動中に車輪のロックを抑制する為にブレーキ液圧を制御
し、車体速検知手段は、車輪速検出手段で検出された車
輪速を用いて車体速を検知し、タイヤ判別手段は、検出
車輪速と検知車体速とに基づいて、アンチスキッド制御
実行中におけるスキッド深さを求め、そのスキッド深さ
から、車輪のタイヤがスタッドレスタイヤかスタッドレ
スタイヤ以外の通常タイヤか否かを判別する。
【0017】即ち、アンチスキッド制御によりブレーキ
液圧を増圧してから減圧すると、車輪の車輪速は、車体
速よりも低い速度から、タイヤのグリップ力の大きさに
応じて回復していくことになるが、通常タイヤの場合に
はグリップ力に余裕がないため、車輪速の回復の応答性
が低く、スキッド深さが大きくなる。しかし、スタッド
レスタイヤは柔軟な構造でグリップ力に余裕があること
から、車輪速の回復の応答性が高く、スキッド深さが小
さくなる。従って、アンチスキッド制御実行中のスキッ
ド深さから、通常タイヤかスタッドレスタイヤかを判別
できる。このように、タイヤの種類を判別できるため、
アンチスキッド制御やトラクション制御の特性を、タイ
ヤの種類に応じて適切に変更することが可能となる。
【0018】請求項2の車両のスリップ制御装置におい
ては、液圧変更手段は、タイヤ判別手段の判別結果を受
け、スタッドレスタイヤの場合には、通常タイヤの場合
と比較してブレーキ液圧をロック気味に変更する。この
ように、スタッドレスタイヤの場合に、ブレーキ液圧を
ロック気味に変更することで、通常タイヤの場合により
もスリップ率を大きくし、スタッドレスタイヤの能力の
限度内でタイヤのグリップ力を極力高めて、制動性を高
めることができる。
【0019】請求項3の車両のスリップ制御装置におい
ては、アンチスキッド制御手段は、車両の制動中に、車
輪のロックを抑制する為にブレーキ液圧を制御する。ド
ライバーが、タイヤ種類設定手段を介して、車輪のタイ
ヤがスタッドレスタイヤかスタッドレスタイヤ以外の通
常タイヤかを設定すると、液圧変更手段は、タイヤ種類
設定手段からの出力を受け、車輪のタイヤがスタッドレ
スタイヤの場合には、通常タイヤの場合と比較して、ブ
レーキ液圧をロック気味に変更する。タイヤ種類設定手
段を設けたので、その出力から、タイヤの種類を簡単か
つ確実に判別できるうえ、請求項2と同様の作用・効果
が得られる。
【0020】請求項4の車両のスリップ制御装置におい
ては、アンチスキッド制御手段は、車両の制動中に、車
輪のロックを抑制する為にブレーキ液圧を制御し、車体
速検知手段は、車輪速検出手段で検出された車輪速を用
いて、車体速を検知し、液圧変更手段は、検出車輪速と
検知車体速とに基づいて、アンチスキッド制御実行中に
おけるスキッド深さを求め、そのスキッド深さが浅いと
きには、深いときに比較して、ブレーキ液圧をロック気
味に変更する。請求項1で説明したように、スタッドレ
スタイヤを装備している場合等には、スキッド深さが浅
くなるが、このような場合に、ブレーキ液圧をロック気
味に変更することで、スリップ率を大きくして、グリッ
プ力を高めることができる。つまり、スタッドレスタイ
ヤを装備している場合等、スキッド深さが浅い場合にお
ける制動性能を高めることができる。
【0021】請求項5の車両のスリップ制御装置におい
ては、液圧変更手段は、スキッド深さが設定値よりも浅
いときに、ブレーキ液圧をロック気味に変更する。それ
故、請求項4と同様の作用・効果が得られる。請求項6
の車両のスリップ制御装置においては、アンチスキッド
制御手段が、通常タイヤを前提として構成されている場
合において、液圧変更手段は、スキッド深さが設定値よ
りも浅いときに、ブレーキ液圧をロック気味に変更す
る。それ故、請求項4と同様の作用・効果が得られる。
【0022】請求項7の車両のスリップ制御装置におい
ては、アンチスキッド制御手段が、スタッドレスタイヤ
を前提として構成されている場合において、液圧変更手
段は、スキッド深さが設定値よりも深いときに、ブレー
キ液圧をロック浅めに変更する。つまり、スタッドレス
タイヤを前提としてアンチスキッド制御手段を構成した
場合、通常タイヤを装備すると、スキッド深さが過度に
深くなることから、ブレーキ液圧をロック浅めに変更す
ることで、スリップ率を下げてグリップ力を高め、制動
性能が低下するのを防止できる。
【0023】請求項8の車両のスリップ制御装置におい
ては、液圧変更手段は、路面摩擦検知手段で検知された
路面の摩擦係数が高い場合にだけ、ブレーキ液圧を変更
する。つまり、低摩擦路のときには、ブレーキ液圧をロ
ック気味に変更すると、ロックによりグリップ力が低下
するが、それを防止できる。
【0024】請求項9の車両のスリップ制御装置におい
ては、液圧変更手段は、減圧フェーズへの移行時期を遅
らせるとともに、増圧フェーズへの移行時期を早めるこ
とにより、ブレーキ液圧をロック気味に変更する。従っ
て、簡単な制御によりブレーキ液圧を確実にロック気味
に変更することができる。
【0025】請求項10の車両のスリップ制御装置にお
いては、液圧変更手段は、減圧フェーズへの移行時期を
早めるとともに、増圧フェーズへの移行時期を遅らせる
ことにより、ブレーキ液圧をロック浅めに変更する。従
って、簡単な制御によりブレーキ液圧を確実にロック浅
めに変更することができる。
【0026】請求項11の車両のスリップ制御装置にお
いては、トラクション制御手段は、駆動輪のスリップを
抑制する為にエンジンの駆動力とブレーキ装置の制動力
との少なくとも一方を制御する。そして、前記タイヤ判
別手段の判別結果を用いて、スタッドレスタイヤの場合
には、駆動輪の目標スリップ値を高く変更する等の制御
が可能になる。
【0027】請求項12の車両のスリップ制御装置にお
いては、目標値変更手段は、タイヤ判別手段の判別結果
を受け、駆動輪のタイヤがスタッドレスタイヤの場合に
は、通常タイヤの場合と比較して、トラクション制御手
段によるトラクション制御における目標スリップ値を大
きく変更する。このように、スタッドレスタイヤの場合
に、トラクション制御の目標スリップ値を大きく変更す
ることで、駆動輪のグリップ力を高めて加速性を確保で
きる。
【0028】請求項13の車両のスリップ制御装置にお
いては、トラクション制御手段は、駆動輪のスリップを
抑制する為にエンジンの駆動力とブレーキ装置の制動力
との少なくとも一方を制御し、目標値変更手段は、前記
タイヤ種類設定手段の出力を受けて、駆動輪のタイヤが
スタッドレスタイヤの場合には、通常タイヤの場合と比
較して、トラクション制御手段によるトラクション制御
における目標スリップ値を大きく変更する。つまり、請
求項12と同様の作用・効果が得られる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
つつ説明する。本実施例は、後輪駆動型の車両のスリッ
プ制御装置に、本発明を適用した場合の一例である。図
1に示すように、この車両においては、左右の前輪1,
2が従動輪、左右の後輪3,4が駆動輪とされ、車体の
前部に搭載されたV型6気筒のエンジン5の駆動トルク
が、トクルコンバータと遊星歯車式変速ギヤ機構を含む
自動変速機6からプロペラシャフト7、差動装置8及び
左右の後輪駆動軸9,10を介して左右の後輪3,4に
伝達されるように構成してある。
【0030】エンジン5の左右のバンク間の上側には、
吸気管11に接続されたサージタンク12が配設され、
6つの分岐吸気管13の夫々は、サージタンク12の側
部から延びて反対側のバンクの吸気ポートに接続され、
各分岐吸気管13には、分岐吸気管13又は吸気ポート
内へ燃料を噴射するインジェクタ14が装着され、吸気
管11には、アクセルペダル15に連動連結された主ス
ロットル弁16と、その上流側配設された副スロットル
弁17が設けられ、副スロットル弁17を回動駆動する
アクチュエータ18が設けられ、また、6つの点火プラ
グに対して所定の順序で所定のタイミングで点火信号を
出力するディストリビュータ19も設けられている。
【0031】左右の前輪1,2と後輪3,4には、車輪
と一体的に回転するディスク21a〜24aと、ブレー
キ油圧の供給を受けて、これらディスク21a〜24a
の回転を制動するキャリパ21b〜24bとからなるブ
レーキ装置21〜24が夫々設けられ、これらのブレー
キ装置21〜24を作動させる制動システム20が設け
られている。尚、本実施例における「油圧」という用語
は、一般的なブレーキ装置用作動液の液圧を意味する。
【0032】この制動システム20について、図2を参
照して説明する。図2に示すように、この制動システム
20には、基本的に、ブレーキペダル25で操作される
タンデム型のマスターシリンダ26、左後輪3のキャリ
パ23bのホイールシリンダ23c、右後輪4のキャリ
パ24bのホイールシリンダ24c、マスターシリンダ
22から延びるメイン油圧通路27、このメイン油圧通
路27から分岐点Aで分岐してホイールシリンダ23
c,24cに夫々接続された分岐油圧通路31,32、
左前輪1のキャリパ21bのホイールシリンダ21c、
右前輪2のキャリパ22bのホイールシリンダ22c、
マスターシリンダ26から延びるメイン油圧通路28、
このメイン油圧通路28から分岐点Bで分岐してホイー
ルシリンダ21c,22cに夫々接続された分岐油圧通
路51,52が設けられている。
【0033】更に、この制動システム20には、アンチ
スキッドブレーキ制御の為の後輪用ABS油圧系30及
び前輪用ABS油圧系50と、ブレーキトラクション制
御の為の後輪用TCS油圧系70と、これら油圧系3
0,50,70に共用されるポンプ駆動用モータ29と
が設けられている。
【0034】次に、後輪用ABS油圧系30について説
明する。分岐油圧通路31には、増圧バルブ33が設け
られ、増圧バルブ33よりも下流側で分岐油圧通路31
に接続された戻り油路35はリザーバー36に接続さ
れ、この戻り油路35には、減圧バルブ34が設けられ
ている。増圧バルブ33をバイパスするバイパス油路3
7には、戻り方向へ油圧の流れを許すチェックバルブ3
8が設けられている。
【0035】これと同様に、分岐油圧通路32には、増
圧バルブ39が設けられ、増圧バルブ39よりも下流側
で分岐油圧通路32に接続された戻り油路41は、リザ
ーバー36に接続され、この戻り油路41には、減圧バ
ルブ40が設けられている。増圧バルブ39をバイパス
するバイパス油路42には、戻り方向へ油圧の流れを許
すチェックバルブ43が設けられている。
【0036】油圧ポンプ44が設けられた油圧供給路4
5は、リザーバー36から延びて、メイン油圧通路27
の分岐点Aに接続され、この油圧供給路45には、リザ
ーバー36側から順に、チェックバルブ46、油圧ポン
プ44、チェックバルブ47、絞り弁48、チェックバ
ルブ49が接続され、油圧ポンプ44は、モータ29で
駆動される。増圧バルブ33,39と、減圧バルブ3
4,40は、油路を開閉可能で且つ開弁度合いを微調節
可能なデューティソレノイドバルブで構成されている。
【0037】次に、前輪用ABS油圧系50について説
明する。分岐油圧通路51には、増圧バルブ53が設け
られ、増圧バルブ53よりも下流側で分岐油圧通路51
に接続された戻り油路55はリザーバー56に接続さ
れ、この戻り油路55には、減圧バルブ54が設けられ
ている。増圧バルブ53をバイパスするバイパス油路5
7には、戻り方向へ油圧の流れを許すチェックバルブ5
8が設けられている。これと同様に、分岐油圧通路52
には、増圧バルブ59が設けられ、増圧バルブ59より
も下流側で分岐油圧通路52に接続された戻り油路61
はリザーバー56に接続され、この戻り油路61には、
減圧バルブ60が設けられている。増圧バルブ59をバ
イパスするバイパス油路62には、戻り方向へ油圧の流
れを許すチェックバルブ63が設けられている。
【0038】油圧ポンプ64が設けられた油圧供給路6
5は、リザーバー56から延びて、メイン油圧通路28
の分岐点Bに接続され、この油圧供給路65には、リザ
ーバー56側から順に、チェックバルブ66、油圧ポン
プ64、チェックバルブ67、絞り弁68、チェックバ
ルブ69が接続されている。油圧ポンプ64は、モータ
29で駆動される。増圧バルブ53,59と、減圧バル
ブ54,60は、油路を開閉可能で且つ開弁度合いを微
調節可能なデューティソレノイドバルブで構成されてい
る。
【0039】次に、後輪用TCS油圧系70について説
明する。前記メイン油圧通路27には、この通路を開閉
可能なカットバルブ71が設けられ、このカットバルブ
71をバイパスするバイパス油路72には、下流方向へ
の油圧の流れを許すチェックバルブ73が設けられ、ま
た、カットバルブ71をバイパスするバイパス油路74
には、ブレーキトラクション制御実行時に発生するブレ
ーキ油圧よりも高い油圧が作用した際に、上流方向への
油圧の流れを許すチェックバルブ75が設けられてい
る。
【0040】更に、ブレーキトラクション制御実行時
に、メイン油圧通路27の油圧を増圧させる為の増圧用
シリンダ76が設けられている。この増圧用シリンダ7
6の吐出口77は、増圧油路78を介してメイン油圧通
路27に接続され、増圧用シリンダ76の入力油室79
は、油圧ポンプ80を有する油圧入力路81によりリザ
ーバ82に接続され、この油圧入力路81には、リザー
バ82側から順に、チェックバルブ83、油圧ポンプ8
0、チェックバルブ84が設けられており、油圧ポンプ
80はポンプ駆動用モータ29で駆動される。
【0041】前記増圧用シリンダ76の入力油室79に
接続された戻り油路85はリザーバ82に接続され、こ
の戻り油路85には、この油路を開閉可能なコントロー
ルバルブ86が設けられている。尚、符号87は、所定
の高い油圧でリリーフ作動するリリーフバルブであり、
カットバルブ71とコントロールバルブ86とは、開閉
式のソレノイドバルブである。前記増圧用シリンダ76
のピストン88は、復帰バネ89で入力油室79の方へ
付勢され、入力油室79に油圧が供給されると、復帰バ
ネ89に抗して、ピストン88が吐出方向へ移動してメ
イン油圧通路27に油圧を吐出する。
【0042】図1に示すように、左右の前輪及び後輪1
〜4の車輪速V1〜V4を夫々検出する車輪速センサ9
1a〜94aと、操舵ハンドル92の舵角を検出する舵
角センサ93と、ブレーキペダル25の操作時にONと
なるブレーキスイッチ94、エンジン回転数センサ9
5、アクセルベダル15の踏込み量を検出するアクセル
センサ96、主スロットル弁16の開度を検出するスロ
ットルセンサ97、走行モード(スポーツモード、ノー
マルモード、セーフティモード)を設定するモードスイ
ッチ98等のセンサ類が設けられている。尚、車輪速セ
ンサ91a〜94aは、ブレーキディスク21a〜24
a又はその近傍部に形成された複数の検出部を電磁ピッ
クアップで検出する構成のものである。
【0043】更に、前記センサやスイッチ類からの検出
信号を受けて、エンジン5に対するエンジントラクショ
ン制御と、ブレーキ装置21〜24に対するアンチスキ
ッドブレーキ制御と、ブレーキ装置23,24に対する
ブレーキトラクション制御とを実行するスリップ制御ユ
ニット90が設けられており、エンジン5を制御するエ
ンジン制御ユニット110と、自動変速機6を制御する
変速機制御ユニット120も設けられている。但し、エ
ンジン制御ユニット110には、車速、主スロットル弁
の開度、エンジン回転数、吸入空気量、シフトレバーの
シフト位置、等の種々の検出信号が供給され、また、変
速機制御ユニット120には、車速、主スロットル弁1
6のスロットル開度、シフトレバーのシフト位置、変速
機6の油温度及び油圧、等の種々の検出信号が供給され
ている。尚、以下の説明において、トラクション制御を
「TCS制御」と略称し、アンチスキッドブレーキ制御
を「ABS制御」と略称することもある。
【0044】スリップ制御ユニット90からは、エンジ
ン制御ユニット110に対してエンジンTCS制御の制
御信号が供給され、エンジン制御ユニット110は、エ
ンジンTCS制御の制御信号に基いて、アクチュエータ
18を介して副スロットル弁17を制御する。また、ス
リップ制御ユニット90からは、制動システム20に、
ブレーキTCS制御の制御信号及びABS制御の制御信
号が供給される。スリップ制御ユニット90は、センサ
やスイッチ類からの検出信号を、必要に応じて波形整形
する波形整形回路、種々の検出信号を必要に応じてAD
変換するA/D変換器、入力出力インターフェース、マ
イクロコンピュータ、前記バルブ類及びモータ29の為
のの駆動回路、複数のタイマ等で構成され、マイクロコ
ンピュータのROMには、後述のトラクション制御とア
ンチスキッドブレーキ制御及びそれに付随する種々の制
御の制御プログラムやテーブルやマップ等が予め格納さ
れ、RAMには種々のワークメモリが設けられている。
【0045】次に、ABS制御の概要について説明する
と、車輪速センサ91a〜94aからの信号が示す車輪
速V1〜V4に基いて各車輪毎の減速度DV1〜DV4
および加速度AV1〜AV4を夫々算出する。この場
合、車輪速の前回値に対する今回値の差分をサンプリン
グ周期Δt (例えば8ms)で除算した上で、その結果
を重力加速度に換算した値を今回の加速度ないし減速度
として更新する。
【0046】また、所定の悪路判定処理により走行路面
が悪路か否かを判定する。この場合、従動輪1,2の車
輪加速度又は車輪減速度が、所定期間の間に、所定の悪
路判定しきい値以上となる回数をカウントし、その回数
が所定値以下のときには悪路フラグFakを0に設定し、
その回数が所定値よりも大きいときには悪路フラグFak
を1に設定する。アンチスキッドブレーキ制御は、後述
のように、各輪のブレーキ装置21〜24毎に実行され
るが、各輪の車輪速および路面摩擦状態値とから、各輪
毎の擬似車体速Vrが演算され、各輪のブレーキ装置毎
に、アンチスキッドブレーキ制御が実行される。尚、各
輪毎のスリップ率は、本実施例では、スリップ率=( 車
輪速/疑似車体速Vr)×100にて演算されるので、
車体速Vrに対する車輪速の偏差が大きくなるほどスリ
ップ率が小さくなって、車輪のスリップ傾向が大きくな
る。
【0047】次に、各輪毎のアンチスキッドブレーキ制
御のメインルーチンについて、左前輪1のブレーキ装置
21に対する制御を例として、図3のフローチャートを
参照しつつ説明するが、以下のフローチャート中符号S
i(i=1,2,3・・)は各ステップを示す。尚、こ
のメインルーチンは、所定微小時間(例えば、8ms)
おきに実行される処理である。最初に各種信号(ブレー
キSW信号、車輪速V1等)が読み込まれ(S1)、次
にブレーキスイッチ94がONか否か判定し(S2)、
その判定が No のときには、リターンし、ブレーキスイ
ッチ94がONのときは、路面摩擦状態値Mu1が演算さ
れる(S3)。次に、擬似車体速Vrが演算され(S
4)、次に制御しきい値が設定され(S5)、次に、制
御信号出力処理が実行される(S6)。
【0048】路面摩擦状態値Mu1の演算処理(図示略) 先ず、路面摩擦状態値Mu1を算出する場合、車輪速V1
とその加速度Vgとに基いて路面摩擦係数μを演算する
が、500msのタイマと100msのタイマとを用
い、加速開始後加速度Vgが十分に大きくならない50
0ms経過までは100ms毎に100ms間の車輪速
V1の変化から、次式により加速度Vgが演算される。 Vg=K1×〔V1(i)−V1(i−100)〕
【0049】前記加速度Vgが十分に大きくなった50
0ms経過後は100ms毎に500msの間の車輪速
の変化から、次式により加速度Vgが演算される。 Vg=K2×〔V1(i)−V1(i−500)〕 尚、前記の式中、V1(i)は現時点の車輪速、V1
(i−100)は100ms前の車輪速、V1(i−5
00)は500ms前の車輪速、K1、K2は夫々所定
の定数である。路面摩擦係数μは、前記車輪速V1とそ
の加速度Vgとを表1のμテーブルに適用し、3次元補
完により演算し、この路面摩擦係数μから路面摩擦状態
値Mu1を演算する。但し、路面摩擦係数=1.0 〜2.5 が
低摩擦状態(Mu1=1)に相当し、路面摩擦係数=2.5
〜3.5 が中摩擦状態(Mu1=2)に相当し、路面摩擦係
数=3.5 〜5.0 が高摩擦状態(Mu1=3)に相当する。
【0050】
【表1】
【0051】擬似車体速Vrの演算処理・・・図4、図
5参照 次に、擬似車体速Vrの演算処理について説明すると、
最初に、各種信号(車輪速V1〜V4、摩擦状態値Mu1
〜Mu4、前回の車体速Vr等)が読み込まれ(S2
0)、次に車輪速V1〜V4の中から最高車輪速Vwmが
演算され( S21)、次に最高車輪速Vwmのサンプリン
グ周期Δt 当りの最高車輪速変化量ΔVwmが演算される
(S22)。次に、図5に示すマップから摩擦状態値M
u1に対応する車体速補正値CVrが読み出され(S2
3)、次に最高車輪速変化量ΔVwmが車体速補正値CV
r以下か否か判定される(S24)。
【0052】その判定の結果、車輪速変化量ΔVwmが車
体速補正値CVr以下であると判定されると、車体速V
rの前回値から車体速補正値CVr減算した値が今回値
に置き換えられる(S25)。それ故、車体速Vrが車
体速補正値CVrに応じた所定の勾配で減少することに
なる。一方、車輪速変化量ΔVwmが車体速補正値CVr
より大きいとき、即ち、最高車輪速Vwmが過大な変化を
示したときには、疑似車体速Vrから最高車輪速Vwmを
減算した値が所定値V0 以上か否か判定される(S2
6)。
【0053】つまり、最高車輪速Vwmと車体速Vrとの
間に大きな開きがあるか否か判定され、大きな開きがあ
るときには、S25へ移行し、また、最高車輪速Vwmと
車体速Vrとの間に大きな開きがないときには、最高車
輪速Vwmが車体速Vrに置き換えられる(S27)。こ
うして、車両の擬似車体速Vrが各車輪速V1〜V4に
応じて時々刻々更新されていく。
【0054】制御しきい値設定処理・・・図6〜図10
参照 次に、制御しきい値設定処理について、図6〜図10参
照して説明する。最初に、各種信号(車体速Vr、摩擦
状態値Mu1〜Mu4、フラグFak、フラグFth、舵角θ
等)が読み込まれ(S30)、次に、図7に示すように
車速域と路面摩擦状態値と悪路フラグFakとをパラメー
タとするテーブルTB1から、摩擦状態値Muと車体速
Vr とに応じた走行状態パラメータを選択する(S3
1)。但し、図7のテーブルTB1に適用する摩擦状態
値Muとしては、摩擦状態値Mu1〜Mu4のうちの最小の
ものが適用され、例えば、最小の摩擦状態値Muが1の
ときに、車体速Vrが中速域のときは走行状態パラメー
タLM2が選択される。
【0055】一方、悪路フラグFak=1で、悪路状態で
あるときには、図7に示すように、車体速Vrに応じた
走行状態パラメータを選択する。即ち、悪路走行時には
車輪速の変動が大きいために、路面摩擦係数が小さく推
定される傾向があるからである。次に、後述のタイヤ種
類判別処理によりタイヤ種類判別が終了したことを指示
するフラグFthが1か否か判定し、タイヤ種類判別が完
了していないためにS32の判定が No のときには、S
34へ移行し、また、フラグFth=1のときはS33へ
移行する。
【0056】次に、左前輪1のタイヤがスタッドレスタ
イヤか否か判定するが(S33)、後述するタイヤの種
類判別処理の判別結果を用いてS33の判定が実行さ
れ、スタッドレスタイヤ以外の通常タイヤの場合(S3
3: No )のときには、S34において、図8に示すテ
ーブルTB2より、走行状態パラメータに対応する各種
制御しきい値が読み込まれてワークメモリに格納され、
また、スタッドレスタイヤの場合(S33:Yes )のと
きには、S35において、図9に示すテーブルTB3よ
り、走行状態パラメータに対応する各種制御しきい値が
読み込まれ、ワークメモリに格納される。但し、路面摩
擦が高摩擦のときだけ、S35を実行するように構成し
てもよい。
【0057】ここで、図8と図9に示すように、各種制
御しきい値として、図15におけるフェーズIからフェ
ーズIIへの切換判定用の1−2中間減速度しきい値B1
2、フェーズIIからフェーズIII への切換判定用の2−
3中間スリップ率しきい値Bsg、フェーズIII からフェ
ーズVへの切換判定用の3−5中間減速度しきい値B3
5、フェーズVからフェーズIへの切換判定用の5−1
スリップ率しきい値Bszなどが、走行状態パラメータ毎
に夫々設定されている。
【0058】そして、制動力に大きく影響する減速度し
きい値は、高摩擦状態のときのブレーキ性能と、低摩擦
状態のときの制御の応答性とを両立させる為に、摩擦状
態値が小さくなる(路面摩擦係数が小さくなる)ほど0
Gに近づくように設定してある。ここで、テーブルTB
2の例では、走行状態パラメータがLM2のときには、
1−2中間減速度しきい値B12、2−3中間スリップ率
しきい値Bsg、3−5中間減速度しきい値B35、5−1
スリップ率しきい値Bszとして、−0.5G,90%,
0G,90%の各値が夫々読み出されることになる。
【0059】テーブルTB2は、通常タイヤの場合にお
けるフェーズ切換えの為の各種制御しきい値を設定した
テーブルであり、テーブルTB3は、スタッドレスタイ
ヤの場合におけるフェーズ切換えの為の各種制御しきい
値を設定したテーブルである。テーブルTB3の2−3
中間スリップ率しきい値Bsgは、テーブルTB2のしき
い値Bsgに比較して2%だけ減少補正され、これによ
り、減圧フェーズIII への移行時期を遅らせて、ブレー
キ油圧がロック気味に補正される。テーブルTB3の5
−1スリップ率しきい値Bszは、テーブルTB2のしき
い値Bszに比較して、2%だけ減少補正され、これによ
り、増圧フェーズI への移行時期を早めて、ブレーキ油
圧がロック気味に補正される。
【0060】次に、S36において、摩擦状態値Mu
(ここでは、Mu=Mu1)が3か否か判定し、その判定
が No のときにはS38へ移行し、また、S36の判定
がYesのときには、S37において悪路フラグFakが0
か否か判定する。悪路フラグFak=0のときは、S38
において、舵角センサ93で検出された舵角θの絶対値
が90°未満か否かを判定し、舵角θの絶対値≧90°
のときは、S39において、舵角θに応じた制御しきい
値の補正処理を行う。この制御しきい値の補正処理は、
図10に例示した制御しきい値補正テーブル(テーブル
TB4)に基づいて実行される。尚、路面摩擦状態値M
u は、路面摩擦状態値Mu1〜Mu4の総称である。
【0061】図10のテーブルTB4においては、低摩
擦と、中摩擦と、高摩擦の悪路でないとき、ハンドル操
作量が大きいときの操舵性を確保する為に、2−3中間
スリップ率しきい値Bsgおよび5−1中間スリップ率し
きい値Bszに夫々5 %を加算した値が、最終のしきい値
として設定されると共に、その他のしきい値がそのまま
最終しきい値として設定されている。
【0062】高摩擦の悪路(フラグFak=1)のとき、
ハンドル操作量が小さいときの走破性を確保する為に、
2−3中間スリップ率しきい値Bsgおよび5−1中間ス
リップ率しきい値Bszから夫々5 %を減算した値が、最
終のしきい値として設定されている。次に、S38の判
定がYes のときには、各制御しきい値がそのまま最終の
制御しきい値として夫々設定される。
【0063】一方、S37で、悪路フラグFak=1と判
定したときには、S40に移行して図10の制御しきい
値補正テーブルにより、悪路フラグFakと舵角θに基づ
いて、舵角θ<90°のときだけ、2−3中間スリップ
率しきい値Bsgおよび5−1スリップ率しきい値Bszか
ら夫々5 %を減算した値が、最終のしきい値として設定
する補正処理が実行され、次に、S41において、図1
0の制御しきい値補正テーブルに基いて、1−2中間減
速度しきい値B12から1.0 Gを減算した値を最終のしき
い値として設定する補正処理を行う。これは、悪路の場
合には、車輪速センサ91a〜94aが誤検出を生じや
すいため、制御の応答性を遅らせて良好な制動力を確保
するためである。
【0064】制御信号出力処理・・・図11、図12、
図15参照 次に、各種しきい値によりフェーズを設定し、各フェー
ズの制動制御信号を増圧バルブ又は減圧バルブに出力す
る制御信号出力処理について、図11、図12のフロー
チャートを参照しつつ説明する。最初に、以下の演算処
理に必要な各種信号が読み込まれ(S50)、次にブレ
ーキスイッチ94がONか否か判定し(S51)、その
判定が No のときはS52を経てリターンし、ブレーキ
スイッチ94がONのときは、車体速Vrが所定値C1
(例えば、5.0 Km/H)以下で、かつ車輪速V1が所定値
(例えば、7.5 Km/H)以下か否か判定する(S53)。
S53の判定がYes のときは、十分に減速された状態
で、ABS制御の必要がないためS52を経てリターン
するが、S53の判定が No のときはS54へ移行す
る。
【0065】S52では、フェーズフラグP1、ロック
フラグFlok1、継続フラグFcn1 が夫々0にリセットさ
れ、その後リターンする。次に、S54では、ロックフ
ラグFlok1が0か否か判定し、ABS制御開始前で、フ
ラグFlok1が0のときはS55へ移行して、車輪速V1
の減速度DV1(但し、DV1≦0とする)が所定値D
0(例えば、−3G)以下か否か判定し、その判定がYe
s のときはS56へ移行する。一方、S54の判定が N
o のときはS59へ移行する。
【0066】次に、S55の判定がYes のときは、ロッ
クフラグFlok1が1にセットされ(S66)、次にフラ
グP1が2にセットされてフェーズII(増圧後保持フェ
ーズ)に移行し(S57)、次にフェーズII用に予め設
定された制動制御信号が増圧バルブ53と減圧バルブ5
4へ出力され(S58)、その後リターンする。この場
合、増圧バルブ53及び減圧バルブ54は閉弁状態(デ
ューティ率=0)に保持される。ABS制御開始後は、
フラグFlok1=1であるため、S54からS59へ移行
し、フラグP1が2か否か判定し(S59)、フラグP
1=2のときはS60へ移行し、フラグP1=2でない
ときはS63へ移行する。S60では、スリップ率S1
が2−3スリップ率しきい値Bsg以下か否か判定し、最
初のうちは No と判定されるため、S60からS58へ
移行するが、それを繰り返して、スリップ率S1≦しき
い値Bsgになると、S60からS61へ移行する。次
に、フラグP1が3にセットされてフェーズIII (減圧
フェーズ)に移行する(S61)。
【0067】次に、S62では、フェーズIII 用に予め
設定された制動制御信号が増圧バルブ53と減圧バルブ
54へ出力され、その後リターンする。フェーズIII で
は、増圧バルブ53が閉弁状態(デューティ率=0)に
保持され、減圧バルブ54が所定のデューティ率にて駆
動される。S59の判定により、フラグP1が2でない
ときは、S59からS63へ移行し、フラグP1が3か
否か判定され(S63)、フラグP1=3のときはS6
4へ移行し、S63の判定が No のときはS67へ移行
する。
【0068】次に、S64では、減速度DV1が3−5
中間減速度しきい値B35に等しいか否か判定され、最初
のうちは No と判定されるためS64からS62へ移行
するが、それを繰り返して、減速度DV1=しきい値B
35になると、S65へ移行し、フラグP1が5にセット
されてフェーズV(減圧後保持フェーズ)に移行する
(S65)。次に、S66において、フェーズV用に予
め設定された制動制御信号が増圧バルブ53と減圧バル
ブ54へ出力され、その後リターンする。この場合、増
圧バルブ53及び減圧バルブ54は、閉弁状態に保持さ
れる。次に、S63の判定が No のときは、S67にお
いてフラグP1=5か否か判定し、フラグP1=5のと
きはS68へ移行し、また、フラグP1=5でないとき
はS74へ移行する。フラグP1=5のときには、スリ
ップ率S1が5−1スリップ率しきい値Bsz以上か否か
判定される(S68)。
【0069】最初のうちは No と判定されるため、S6
8からS66へ移行するのを繰り返えす。フェーズVに
おいて、スリップ率S1が増大して、S68の判定がYe
s になるとS69へ移行し、フラグP1が1にセットさ
れてフェーズI(増圧のフェーズ)に移行し、かつ継続
フラグFcn1 が1にセットされる(S69)。次に、S
70において、フェーズIの開始後の経過時間をカウン
トするタイマT1がリセット後スタートされ、次にS7
1においてタイマT1のカウント時間T1が予め設定さ
れた急増圧時間Tpz以下か否か判定され、最初のうち急
増圧時間Tpz以下のときは、S71からS72へ移行
し、S72においてフェーズIの初期急増圧の為に予め
設定された制動制御信号が、増圧バルブ53と減圧バル
ブ54へ出力され、その後リターンする。この場合、増
圧バルブ53が所定のデューティ率で駆動され、減圧バ
ルブ54が閉弁状態に保持される。
【0070】次に、フェーズIに移行後には、S67の
判定が No となるため、S67からS74へ移行し、S
74においてフラグP1=1か否か判定し、フラグP1
=1のときは、S75において、減速度DV1が、1−
2中間減速度しきい値B12以下か否か判定し、最初のう
ちは、その判定が No となるため、S75からS71へ
移行し、急増圧時間Tpzの経過前にはS71からS72
へ移行するのを繰り返す。これを繰り返えすうちに、フ
ェーズIに移行後、急増圧時間Tpzが経過すると、S7
1の判定が No となるため、S71からS73へ移行し
てフェーズIの緩増圧の為に予め設定された制動制御信
号が、増圧バルブ53と減圧バルブ54へ出力され、そ
の後リターンするのを繰り返す。この場合、増圧バルブ
53が所定のデューティ率で駆動され、減圧バルブ54
が閉弁状態に保持される。
【0071】次に、S75の判定がYes となると、S7
6においてフラグP1が2にセットされ、その後S58
へ移行する。こうして、ABS制御の開始後、フェーズ
II、フェーズIII 、フェーズV、フェーズI、フェーズ
II、フェーズIII 、・・・の順に複数サイクルに亙って
実行され、S53の判定でYes となったり、ブレーキス
イッチ25がOFFになったりすると、一連のABS制御
が終了する(図15参照)。尚、以上のABS制御は、
左前輪1のブレーキ装置21のABS制御を例として説
明したが、その他のブレーキ装置22〜24に対して
も、同様に並行的にABS制御が実行される。
【0072】スキッド深さ検知処理・・・図13参照 次に、前記ABS制御の実行中に、各輪毎に所定微小時
間(例えば、8ms)毎に実行されるスキッド深さ検知
処理について、左前輪1を例として、図13を参照しつ
つ説明する。最初に、以下の処理に必要な各種信号(フ
ラグP1、車輪速V1、カウンタi等)が読み込まれ
(S80)、次にフラグP1が1又は5か否か、つまり
減圧フェーズIII 又は減圧後保持フェーズV か否か判定
し(S82)、その判定が Noのときはリターンする。
S81の判定がYes のときには、車輪速変化率の絶対値
|dV1/dt|≦δ(δは、略0に等しい所定値)か否
か判定し(S82)、その判定が No のときはリターン
するが、S82の判定がYes のときは、カウンタiが1
だけインクリメントされる(S83)。尚、カウンタi
は、スリップ制御ユニット90を初期設定する初期設定
において0にリセットされるため、S83を最初に実行
後には、i=1となる。
【0073】次に、スキッド深さSDi(最初はSDi=S
D1)が、SDi=(Vr−V1)として演算されてワーク
メモリに記憶され(S84)、次にカウンタiがi≧3
か否か判定し(S85)、i<3のときはリターンし、
その後同様にS80〜S84が繰り返されて、SD1,S
D2,SD3が演算されると、i≧3となるので、S86へ
移行し、平均スキッド深さSDm1 が、SD1,SD2,SD3
の平均値として演算されてワークメモリに記憶され(S
86)、次にカウンタiが0にリセットされ(S8
7)、次に、平均スキッド深さSDm1 の演算完了を示す
フラグFsd1 が1にセットされ(S88)、その後リタ
ーンする。尚、フラグFsd1 が1にセットされた後に
は、平均スキッド深さSDm1 を演算する必要がないた
め、左前輪1の為のスキッド深さ検知処理が繰り返され
ることはない。つまり、S80は、フラグFsd1 =0を
条件として開始される。尚、その他の車輪2〜4につい
ても、同様にスキッド深さ検知処理が実行され、平均ス
キッド深さSDm2,SDm3,SDm4 が演算され記憶される。
【0074】タイヤ種類判別処理・・・図14参照 次に、前記平均スキッド深さSDm1,SDm2,SDm3,SDm4
から、4輪のタイヤの種類を判別するタイヤ種類判別処
理について、図14を参照して説明する。最初に、各種
信号(フラグFsd1 〜Fsd4 ,平均スキッド深さSDm1,
SDm2,SDm3,SDm4 等)が読み込まれ(S90)、次に
フラグFsd1 〜Fsd4 が全て1か否か判定し(S9
1)、その判定が No のときはリターンしてS90、S
91を繰り返していき、S91の判定がYes になると、
S92において、SDm1 ≧SD0かつSDm2 ≧SD0か否か
判定する。但し、SD0は、スタッドレスタイヤ以外のラ
ジアルタイヤ等の通常タイヤの場合のフェーズIII とフ
ェーズV における最大スキッド深さに、所定の定数( 例
えば、0.8 〜0.9 )を乗算した値である。
【0075】S92の判定がYes のときは、S93にお
いて、SDm3 ≧SD0かつSDm4 ≧SD0か否か判定し、そ
の判定がYes のときには、4輪とも、ABS制御におけ
るスキッド深さが深いことから、4輪共通常タイヤであ
ると判定され、次にタイヤ種類判別完了を示すフラグF
thを1にセット(S99)して終了する。これに対し
て、S93の判定が No のときは、前輪1,2のスキッ
ド深さは深いが、後輪3,4のスキッド深さが浅いこと
から、前輪1,2は通常タイヤ、後輪3,4はスタッド
レスタイヤであると判定し(S95)、次にフラグFth
を1にセット(S99)して終了する。
【0076】一方、S92の判定が No のときは、S9
6において、SDm3 ≧SD0かつSDm4 ≧SD0か否か判定
し、その判定がYes のときには、前輪1,2のスキッド
深さは浅いが、後輪3,4のスキッド深さが深いことか
ら、前輪1,2はスタッドレスタイヤ、後輪3,4は通
常タイヤであると判定し(S97)、次にフラグFthを
1にセット(S99)して終了する。これに対して、S
96の判定が No のときには、4輪ともスキッド深さが
浅いことから、4輪ともスタッドレスタイヤであると判
定し、次にフラグFthを1にセット(S99)して終了
する。
【0077】次に、以上説明したABS制御の作用につ
いて、左前輪1のブレーキ装置21を例にして、図15
を参照しつつ説明する。減速時のABS制御非実行状態
において、ブレーキぺダル25の踏込操作によって発生
したブレーキ油圧が徐々に増圧し、車輪速V1の変化率
(減速度DV1)が−3Gに達すると、そのロックフラ
グFlok1が1にセットされ、その時刻taからABS制
御が実質的に開始される。この制御開始直後の第1サイ
クルにおいては、摩擦状態値Mu1は3(高摩擦状態)に
セットされており、走行状態パラメータに応じた各種の
制御しきい値が設定される。
【0078】次に、前輪1のスリップ率S1と車輪減速
度DV1と車輪加速度AV1とが、各種の制御しきい値
とが比較され、フェーズ0からフェーズIIに変更され、
ブレーキ油圧は、増圧後のレベルに保持される。スリッ
プ率S1が、2−3中間スリップ率しきい値Bsgより低
下すると、フェーズIIからフェーズIII (減圧フェー
ズ)に移行し、その時刻tbから、ブレーキ油圧が所定
の勾配で減少され、前輪1の回転値が回復し始める。更
に、減圧が続いて車輪減速度DV1がしきい値B35(0
G) まで低下すると、フェーズIIIからフェーズV(減
圧後保持フェーズ)に移行し、その時刻tcからブレー
キ油圧が減圧後のレベルに保持される。
【0079】このフェーズVにおいてスリップ率S1が
5−1スリップ率しきい値Bsz以上になると、継続フラ
グFcnl が1にセットされ、ABS制御は、時刻tdか
ら第2サイクルに移行する。このとき、強制的にフェー
ズI(増圧フェーズ)に移行し、フェーズIへの移行直
後には、予め設定された急増圧時間Tpzの間、ブレーキ
油圧が急勾配で増圧され、この急増圧後は、ブレーキ油
圧がより緩やか勾配で徐々に上昇していく。こうして、
第2サイクルへの移行直後においては、ブレーキ油圧が
確実に増圧され、良好な制動圧が確保される。
【0080】一方、第2サイクル以降においては、適切
な摩擦状態値Muが決定され、摩擦状態値Muと車体速
Vrとで決まる走行状態パラメータに対応する各種制御
しきい値が図8又は図9の制御しきい値設定テーブル及
び図10の制御しきい値補正テーブルに基づいて設定さ
れるので、走行状態に応じた緻密なブレーキ油圧の制御
が行われることになる。その後、第2サイクルにおける
フェーズVにおいて、スリップ率S1がしきい値Bszよ
り大きいときには第3サイクルのフェーズIに移行す
る。
【0081】ここで、本願のABS制御においては、最
初のABS制御(これは、通常タイヤを前提として実行
される)におけるスキッド深さからタイヤの種類を判別
し、その後のABS制御では、通常タイヤの場合は、図
8のテーブルTB2から各種制御しきい値を設定し、ま
た、スタッドレスタイヤの場合は、図9のテーブルTB
3から各種制御しきい値を設定するので、スタッドレス
タイヤの場合には、通常タイヤの場合と比べて、ブレー
キ油圧がロック気味に制御される。
【0082】即ち、通常タイヤを前提とするABS制御
では、スリップ率しきい値、85〜95%を目標として
実行されるが、これと同様のABS制御をスタッドレス
タイヤに適用すると、スリップ率が大きい(スリップ傾
向が小さい)ので、スタッドレスタイヤのグリップ力の
余裕が大きく、その結果、ブレーキ油圧を減圧した際、
車輪速が速やかに回復する。その結果、図15に点線で
示すように、スタッドレスタイヤの場合のスキッド深さ
が、実線で示す通常タイヤの場合のスキッド深さに比べ
て、格段に浅くなってしまい、グリップ力を高めること
が出来ない。しかし、以上のように、スタッドレスタイ
ヤの場合には、テーブルTB3から各種制御しきい値を
設定し、ブレーキ油圧をロック気味に制御するので、ス
キッド深さを点線の図示のものよりも格段に深くして、
スタッドレスタイヤの最大グリップ力に近いグリップ力
を発生させることができ、制動性能を高めることができ
る。
【0083】次に、前記タイヤ種類判別処理の結果を適
用するトラクション制御について、図16以降の図面を
参照しつつ説明する。スリップ制御ユニット90で実行
される以下のトラクション制御は、エンジンTCS制御
とブレーキTCS制御とを含むものであり、最初に、こ
のトラクション制御の概要について説明しておく。
【0084】車両の走行状態や路面摩擦状態に応じた駆
動輪3,4の目標スリップ量(スロットル制御用の目標
スリップ量、ブレーキ制御用の目標スリップ量)を設定
し、駆動輪3,4のスリップ量を4輪の車輪速を用いて
算出し、車両の加速走行時等において、スリップ量がス
ロットル制御用目標スリップ量以下となるように、副ス
ロットル弁17を制御するとともに、スリップ量がブレ
ーキ制御用目標スリップ量以下となるように、増圧バル
ブ33,39及び減圧バルブ34,40を介してブレー
キ装置23,24のブレーキ油圧を制御する。
【0085】次に、トラクション制御のルーチンについ
て、図16以降のフローチャートにより説明する。尚、
図16に示すメインルーチンは、所定微小時間(例え
ば、8ms)毎に繰り返し実行される。
【0086】図16において、エンジンの起動により制
御が開始されると、スリップ量検知処理が実行され(S
101 )、次に目標スリップ量設定処理が実行され(S10
2 )、次にスリップ判定処理が実行され(S103 )、次
にスロットル制御用目標制御量演算処理が実行され(S
104 )、次にブレーキ制御用目標制御量演算処理が実行
され(S105 )、次に、スロットル制御用スリップフラ
グFe=1を条件として、スロットル制御用制御信号が
エンジン制御ユニット110に出力され(S106 )、次
に、左後輪3のブレーキ制御用スリップフラグFb1=1
を条件として、左後輪ブレーキ制御用制御信号が出力さ
れ、また、右後輪4のブレーキ制御用スリップフラグF
b2=1を条件として、右後輪ブレーキ制御用制御信号が
出力され(S107 )、その後リターンする。
【0087】次に、S101 〜S105 の各サブルーチンに
ついて順々に説明する。 スリップ量検知処理・・・図17参照 このスリップ量検知処理のサブルーチンが開始される
と、最初に、車輪速センサ91a〜94aから左右の前
輪1,2と後輪3,4の車輪速V1〜V4が読み込まれ
(S110 )、次に車体速である車速Vが、左右の従動輪
速V1,V2の平均値として演算され、また、最大駆動
輪速Vmが左右の駆動輪速V3,V4の最大値として演
算される(S111 )。次に、S112 において、スロット
ル制御用スリップ量Se、左後輪ブレーキ制御用スリッ
プ量Sb1、右後輪ブレーキ制御用スリップ量Sb2が、図
示の式で夫々演算され、これらスリップ量のデータはワ
ークメモリに更新しつつ格納される。
【0088】目標スリップ量設定処理・・・図18参照 この目標スリップ量設定処理のサブルーチンが開始され
ると、以下の演算に必要な各種信号(路面摩擦係数μ、
車速V、アクセル踏込量、検出舵角θ、モードスイッチ
98からのモード信号、ブレーキスイッチ94からのブ
レーキスイッチ信号、等)が読み込まれる(S120 )。
【0089】次に、S121 において、図22のマップM
0に路面摩擦係数μを適用して、スロットル制御用目標
スリップ量基本値SETo と、ブレーキ制御用目標スリッ
プ量基本値SBTo とが演算される。但し、前記路面摩擦
係数μは、従動輪速V1,V2の平均値である車速V
と、その加速度Vgとを、前記実施例と同様に求めて、
表1のμテーブルから3次元補完により演算される。マ
ップM0に示すように、基本値SETo を、基本値SBTo
よりも小さく設定してあるのは、スリップ量が小さい状
態では、エンジントラクション制御によりスリップを抑
制し、スリップ量が大きい状態では、エンジントラクシ
ョン制御とブレーキトラクション制御とでスリップを抑
制を図ることで、ブレーキ装置23,24の負荷増大を
防止する為である。
【0090】次に、S122 において、前記基本値SETo
と基本値SBTo とを、車両の走行状態等に応じて補正す
る為の係数k1〜k4が演算される。即ち、図23のマ
ップM1に車速Vを適用して係数k1が演算され、図2
4のマップM2にアクセル踏込量を適用して係数k2が
演算され、図25のマップM3に舵角θを適用して係数
k3が演算され、図26のマップM4とモード信号とか
ら係数k4が演算される。次に、S123 において、前記
の係数k1〜k4を乗算した係数KDが演算され、次に
S124 において、スロットル制御用目標スリップ量SET
が、SET=基本値SETo ×KDとして演算され、ブレー
キ制御用目標スリップ量SBTが、SBT=基本値SBTo ×
KDとして演算される。
【0091】次に、フラグFthが1か否か判別して、タ
イヤ種類判別が完了したか否か判別し(S125 )、その
判定が No のときには、S126 をスキップしてS103 ヘ
移行し、S125 の判定がYes のときには、S126 におい
て、前記タイヤ種類判別処理の結果に基づいて、駆動輪
3,4がスタッドレスタイヤか否か判別し、その判定が
No のときは、S103 ヘ移行するが、駆動輪3,4がス
タッドレスタイヤの場合には、S127 において、目標ス
リップ量SET, SBTに、夫々所定値Δ(例えば、Δ=2
〜4Km/H)を加算することで、目標スリップ量SET, S
BTが補正され、その後、S103 ヘ移行する。即ち、スタ
ッドレスタイヤでは、通常タイヤの場合よりも大きなス
リップ率のときに、最大グリップ力が得られることに鑑
み、以上のように、目標スリップ率SET, SBTを大きく
補正する。
【0092】スリップ判定処理・・・図19参照 スリップ判定処理が開始されると、各種信号(スリップ
量Se,Sb1,Sb2,、目標スリップ量SET,SBT、ブ
レーキスイッチ信号等)が読み込まれ(S130)、その
後、S131 〜S134 において、エンジントラクション制
御の要否を識別するスリップフラグFeと、左後輪3の
ブレーキ装置23に対するブレーキトラクション制御の
要否を識別するスリップフラグFb1と、右後輪4のブレ
ーキ装置24に対するブレーキトラクション制御の要否
を識別するスリップフラグFb2とが設定される。
【0093】S131 において、スリップ量Se>目標ス
リップ量SETの場合には、フラグFeが1にセットさ
れ、また、スリップ量Se≦目標スリップ量SETの状態
が所定時間(例えば、1500ms)継続した場合には、フ
ラグFeが0にリセットされる。尚、所定時間継続につ
いては、実際には、タイマーとタイマーフラグを介して
判定されることになる。次に、S132 において、スリッ
プ量Sb1>目標スリップ量SBTの場合には、フラグFb1
が1 にセットされ、スリップ量Sb1≦目標スリップ量S
BTの場合には、フラグFb1が0にリセットされ、また、
同様に、スリップ量Sb2>目標スリップ量SBTの場合に
は、フラグFb2が1 にセットされ、スリップ量Sb2≦目
標スリップ量SBTの場合には、フラグFb2が0にリセッ
トされる。次に、S133 において、ブレーキスイッチ9
4がONか否か判定し、それがONのときには、フラグ
Fb1,Fb2が0にリセットされ(S134 )、また、OF
Fのときには、フラグFe,Fb1,Fb2が変更なしに保
持される。
【0094】スロットル制御用目標制御量演算処理・・
・図20参照 この演算処理が開始されると、各種信号(スリップ量S
e、目標スリップ量SET、スリップ量Seの目標スリッ
プ量SETに対するスリップ量偏差EN(i-1)、エンジン回
転数Ne、主スロットル弁16のスロットル開度TVO 、
最終目標制御量FTetg (i-1)、スリップフラグFe、車
速V等)が読み込まれる(S140 )。但し、添字(i-1)
は前回の値、添字(i) は今回の値を示す。
【0095】次に、S141 において、スリップ量偏差E
N であって今回の偏差EN(i)が、スリップ量Seと目標
スリップ量SETとの差として演算され、スリップ量偏差
変化率DENであって今回の偏差変化率DEN(i) が、今回
の偏差EN(i)と前回の偏差EN(i-1)の差として演算され
る。次に、S142 において、今回の偏差EN(i)及び偏差
変化率DEN(i) を表2に適用して、基本制御量基本値T
eoが演算され、また、その基本制御量基本値Teoを表3
に適用して、基本制御量基本値Teoが数値化される。
【0096】
【表2】
【表3】
【0097】エンジントラクション制御において、表2
のテーブルにおいて、ZOは副スロットル弁17の開度
保持を示し、Nは副スロットル弁17の閉動、Pは副ス
ロットル弁17の開動を示し、また、添字S,M,B
は、制御量の大きさを示すもので、Sは「制御量小」、
Mは「制御量中」、Bは「制御量大」を示す。表3のテ
ーブルは、表2のテーブルにおける制御量を数値化した
ものであり、表3中の数値は、副スロットル弁17を開
閉する速度(%/s)である。
【0098】次に、エンジンの運転状態に応じて制御量
を補正する為に、S143 において、表4に、エンジン回
転数Neとスロットル開度TVO を適用して、補正係数K
eが演算され、前記基本制御量基本値Teo×Keが、今
回の基本制御量Te (i) として設定される。
【0099】
【表4】
【0100】次に、S144 において、今回の最終目標制
御量FTegt(i)が、前回の最終目標制御量FTegt(i-1)に今
回の基本制御量Te (i) を加算した値に設定される。次
に、S145 において、前回のスリップフラグFe(i-1)
=0、且つ今回のスリップフラグFe(i) =1 か否か、
つまり、今回一連のエンジントラクション制御実行状態
に入ったか否か判定され、その判定がYes のときには、
S146 において、図27のマップM5に、車速Vと、路
面摩擦係数μを適用して、副スロットル弁17の初期閉
動量SMが演算され、また、今回の最終目標制御量FTe
tg(i)が、γ×SMに設定される。尚、γは、正の所定
の定数である。また、S145 の判定が No の場合には、
S146 がスキップされる。
【0101】ブレーキ制御用目標制御量演算処理・・・
図21参照 この目標制御量演算処理が開始されると、最初に各種信
号(スリップ量Sb1,Sb2、目標スリップ量SBT、スリ
ップ量Sb1, Sb2の目標スリップ量SBTに対するスリッ
プ量偏差ENb1(i-1),ENb2(i-1)、最終目標制御量FTb
tg1(i-1), FTbtg2(i-1)等)が読み込まれる(S150
)。尚、添字「1」は左後輪3のブレーキ装置23の
為の増圧バルブと減圧バルブを示し、添字「2」は右後
輪4のブレーキ装置24の為の増圧バルブと減圧バルブ
を示す。
【0102】次に、S151 において、スリップ量偏差E
N であって今回の偏差ENb1(i),ENb2(i)と、スリップ
量偏差変化率DENであって今回の偏差変化率DENb1(i)
,DENb2(i) が、図示の演算式のように、前記と同様
に演算される。次に、S152 において、今回のスリップ
量偏差ENb1(i)と、今回のスリップ量偏差変化率DENb1
(i) を、表2のテーブルに適用して今回の基本制御量基
本値Tb1(i) が演算され、また、今回のスリップ量偏差
ENb2(i)と、今回のスリップ量偏差変化率DENb2(i)
を、表2のテーブルに適用して今回の基本制御量基本値
Tb2(i) が演算される。次に、前記基本制御量基本値T
b1(i) ,Tb2(i) を表5のテーブルに夫々適用して、こ
れらが数値化される(S153 )。
【0103】
【表5】
【0104】表5中の正負の符号を除く数値は、増圧バ
ルブ33,39及び減圧バルブ34,40のデューティ
ソレノイドのデューティ率(%)であり、このデューテ
ィ率は、増圧時には増圧バルブ33,39のデューティ
率、減圧時には減圧バルブ34,40のデューティ率を
示す。尚、増圧時には減圧バルブ34,40が全閉(デ
ューティ率=0)に設定され、また、減圧時には増圧バ
ルブ33,39が全閉(デューティ率=0)に設定され
る。次に、S154 において今回の最終目標制御量FTbtg
1(i),FTbtg2(i)が、図示の演算式に示すように、前回
の最終目標制御量FTbtg1(i-1),FTbtg2(i-1)に今回の
基本制御量基本値Tb1(i) ,Tb2(i) を夫々加算した値
として設定される。
【0105】以上のようにして、エンジントラクション
制御の最終目標制御量FTetg (i)と、ブレーキトラクシ
ョン制御の最終目標制御量FTbtg1(i),FTbtg2(i)が演
算されると、メインルーチンのS106 においては、スリ
ップフラグFe=1を条件として、最終目標制御量FTe
tg (i)に相当する制御信号をエンジン制御ユニット11
0に出力し、次に、S107 においては、スリップフラグ
Fb1=1を条件として、左後輪3のブレーキ装置23の
為の増圧バルブ33と減圧バルブ34に対して、最終目
標制御量FTbtg1(i)に相当する制御信号を出力するとと
もに、スリップフラグFb2=1を条件として、右後輪4
のブレーキ装置24の為の増圧バルブ39と減圧バルブ
40に対して、最終目標制御量FTbtg2(i)に相当する制
御信号を出力する。
【0106】次に、以上説明したトラクション制御に係
るタイムチャートを図28に図示してあり、時刻t1に
おいてエンジントラクション制御が開始され、また、時
刻t2においてブレーキトラクション制御が開始され、
従動輪と駆動輪の車輪速、スロットル開度、ブレーキ油
圧、モータ29、バルブ71,86等が図示のような挙
動となる。そして、駆動輪3,4のタイヤがスタッドレ
スタイヤの場合には、目標スリップ量SET,SBTが、2
点鎖線で図示のように、増加補正されるので、駆動輪
3,4のグリップ力を高めて、スリップの収束を促進
し、走行安定性と加速性を回復するまでの期間を短縮す
ることができる。
【0107】次に、前記実施例を部分的に変更した種々
の変更態様について説明する。 1〕 前記テーブルTB3を省略して通常タイヤを前提
としたABS制御となるように構成し、スタッドレスタ
イヤの場合には、テーブルTB2から各種制御しきい値
を読込み、2−3中間スリップ率しきい値Bsg及び5−
1スリップ率しきい値Bszを、夫々2〜4%だけ減少補
正するように構成してもよい。 2〕 前記テーブルTB2を省略してスタッドレスタイ
ヤを前提としたABS制御となるように構成し、通常タ
イヤの場合には、テーブルTB3から各種制御しきい値
を読込み、2−3中間スリップ率しきい値Bsg及び5−
1スリップ率しきい値Bszを、夫々2〜4%だけ増加補
正するように構成してもよい。
【0108】3〕 前記スキッド深さ検知処理(図13
の処理)と、前記タイヤ種類判別処理(図14の処理)
を省略し、その代わりに、インストルメントパネルに、
前輪のタイヤが通常タイヤかスタッドレスタイヤかを設
定可能な前輪用タイヤ種類設定スイッチと、後輪のタイ
ヤが通常タイヤかスタッドレスタイヤかを設定可能な後
輪用タイヤ種類設定スイッチとを設け、それらのスイッ
チ信号をスリップ制御ユニット90に供給し、それらの
スイッチ信号から前輪と後輪のタイヤ種類を検知するよ
うに構成してもよい。この場合、図6のS32のステッ
プを省略する。
【0109】4〕 前記実施例のABS制御では、増
圧、増圧保持、減圧、減圧保持の4つのフェーズからな
るサイクルを繰り返すように構成したが、増圧と減圧の
2つのフェーズからなるサイクルを繰り返すようなAB
S制御に構成してもよい。 5〕 前記エンジントラクション制御として、前記のも
のに代えて、燃料カット及び/又は点火時期リタードを
介して行うエンジントラクション制御や、燃料噴射量の
調節を介して行うエンジントラクション制御を適用して
もよいし、エンジンの代わりに電動モータを設けた場合
のエンジントラクション制御を適用してもよい。その
他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更
を付加した態様で本発明を実施し得ることは勿論であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る車両のスリップ制御装置
の概略構成図である。
【図2】制動システムの油圧系の回路図である。
【図3】アンチスキッドブレーキ制御のメインルーチン
のフローチャートである。
【図4】擬似車体速の演算処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図5】車体速補正値のマップの線図である。
【図6】制御しきい値設定処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図7】走行状態パラメータを設定したテーブルの図表
である。
【図8】通常タイヤ用の各種制御しきい値を設定したテ
ーブルの図表である。
【図9】スタッドレスタイヤ用の各種制御しきい値を設
定したテーブルの図表である。
【図10】制御しきい値の補正値を設定した制御しきい
値補正テーブルの図表である。
【図11】制御信号出力処理のサブルーチンのフローチ
ャートの一部である。
【図12】制御信号出力処理のサブルーチンのフローチ
ャートの残部である。
【図15】アンチスキッドブレーキ制御の動作タイムチ
ャートである。
【図16】トラクション制御のメインルーチンのフロー
チャートである。
【図17】スリップ量検知処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図18】目標スリップ量設定処理のサブルーチンのフ
ローチャートである。
【図19】スリップ判定処理のサブルーチンのフローチ
ャートである。
【図20】スロットル制御用目標制御量演算処理のサブ
ルーチンのフローチャートである。
【図21】ブレーキ制御用目標制御量演算処理のサブル
ーチンのフローチャートである。
【図22】マップM0を示した線図である。
【図23】マップM1を示した線図である。
【図24】マップM2を示した線図である。
【図25】マップM3を示した線図である。
【図26】マップM4を示した図表である。
【図27】マップM5を示した線図である。
【図28】トラクション制御の動作タイムチャートであ
る。
【符号の説明】
1,2 前輪(従動輪) 3,4 後輪(駆動輪) 5 エンジン 20 制動システム 21〜24 ブレーキ装置 30 後輪用ABS油圧系 50 前輪用ABS油圧系 70 後輪用TCS油圧系 90 スリップ制御ユニット 91a〜94a 車輪速センサ 110 エンジン制御ユニット
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年11月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る車両のスリップ制御装置
の概略構成図である。
【図2】制動システムの油圧系の回路図である。
【図3】アンチスキッドブレーキ制御のメインルーチン
のフローチャートである。
【図4】擬似車体速の演算処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図5】車体速補正値のマップの線図である。
【図6】制御しきい値設定処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図7】走行状態パラメータを設定したテーブルの図表
である。
【図8】通常タイヤ用の各種制御しきい値を設定したテ
ーブルの図表である。
【図9】スタッドレスタイヤ用の各種制御しきい値を設
定したテーブルの図表である。
【図10】制御しきい値の補正値を設定した制御しきい
値補正テーブルの図表である。
【図11】制御信号出力処理のサブルーチンのフローチ
ャートの一部である。
【図12】制御信号出力処理のサブルーチンのフローチ
ャートの残部である。
【図13】スキッド深さ検知処理のサブルーチンのフロ
ーチャートである。
【図14】タイヤ種類判別処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図15】アンチスキッドブレーキ制御の動作タイムチ
ャートである。
【図16】トラクション制御のメインルーチンのフロー
チャートである。
【図17】スリップ量検知処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図18】目標スリップ量設定処理のサブルーチンのフ
ローチャートである。
【図19】スリップ判定処理のサブルーチンのフローチ
ャートである。
【図20】スロットル制御用目標制御量演算処理のサブ
ルーチンのフローチャートである。
【図21】ブレーキ制御用目標制御量演算処理のサブル
ーチンのフローチャートである。
【図22】マップM0を示した線図である。
【図23】マップM1を示した線図である。
【図24】マップM2を示した線図である。
【図25】マップM3を示した線図である。
【図26】マップM4を示した図表である。
【図27】マップM5を示した線図である。
【図28】トラクション制御の動作タイムチャートであ
る。
【符号の説明】 1,2 前輪(従動輪) 3,4 後輪(駆動輪) 5 エンジン 20 制動システム 21〜24 ブレーキ装置 30 後輪用ABS油圧系 50 前輪用ABS油圧系 70 後輪用TCS油圧系 90 スリップ制御ユニット 91a〜94a 車輪速センサ 110 エンジン制御ユニット

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の制動中に、車輪のロックを抑制す
    る為にブレーキ液圧を制御するアンチスキッド制御手段
    を備えた車両のスリップ制御装置において、 4輪の車輪速を検出する車輪速検出手段と、 前記車輪速検出手段で検出された車輪速を用いて、車体
    速を検知する車体速検知手段と、 前記車輪速検出手段で検出された車輪速と、車体速検知
    手段で検知された車体速とに基づいて、アンチスキッド
    制御実行中におけるスキッド深さを求め、そのスキッド
    深さから、車輪のタイヤがスタッドレスタイヤかスタッ
    ドレスタイヤ以外の通常タイヤか否かを判別するタイヤ
    判別手段と、 を備えたことを特徴とする車両のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記タイヤ判別手段の判別結果を受け、
    スタッドレスタイヤの場合には、通常タイヤの場合と比
    較して、ブレーキ液圧をロック気味に変更する液圧変更
    手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両の
    スリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 車両の制動中に、車輪のロックを抑制す
    る為にブレーキ液圧を制御するアンチスキッド制御手段
    を備えた車両のスリップ制御装置において、 車輪のタイヤがスタッドレスタイヤかスタッドレスタイ
    ヤ以外の通常タイヤかを設定する為のタイヤ種類設定手
    段と、 前記タイヤ種類設定手段からの出力を受け、車輪のタイ
    ヤがスタッドレスタイヤの場合には、通常タイヤの場合
    と比較して、ブレーキ液圧をロック気味に変更する液圧
    変更手段を設けたことを特徴とする車両のスリップ制御
    装置。
  4. 【請求項4】 車両の制動中に、車輪のロックを抑制す
    る為にブレーキ液圧を制御するアンチスキッド制御手段
    を備えた車両のスリップ制御装置において、 4輪の車輪速を検出する車輪速検出手段と、 前記車輪速検出手段で検出された車輪速を用いて、車体
    速を検知する車体速検知手段と、 前記車輪速検出手段で検出された車輪速と、車体速検知
    手段で検知された車体速とに基づいて、アンチスキッド
    制御実行中におけるスキッド深さを求め、そのスキッド
    深さが浅いときには、深いときに比較して、ブレーキ液
    圧をロック気味に変更する液圧変更手段と、 を備えたことを特徴とする車両のスリップ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記液圧変更手段は、前記スキッド深さ
    が設定値よりも浅いときに、ブレーキ液圧をロック気味
    に変更するように構成されたことを特徴とする請求項4
    に記載の車両のスリップ制御装置。
  6. 【請求項6】 前記アンチスキッド制御手段が、通常タ
    イヤを前提として構成されている場合において、前記液
    圧変更手段は、スキッド深さが設定値よりも浅いとき
    に、ブレーキ液圧をロック気味に変更するように構成さ
    れたことを特徴とする請求項4に記載の車両のスリップ
    制御装置。
  7. 【請求項7】 前記アンチスキッド制御手段が、スタッ
    ドレスタイヤを前提として構成されている場合におい
    て、前記液圧変更手段は、スキッド深さが設定値よりも
    深いときに、ブレーキ液圧をロック浅めに変更するよう
    に構成されたことを特徴とする請求項4に記載の車両の
    スリップ制御装置。
  8. 【請求項8】 前記液圧変更手段は、路面摩擦検知手段
    で検知された路面の摩擦係数が高い場合にだけ、ブレー
    キ液圧を変更するように構成されたことを特徴とする請
    求項4〜請求項6の何れか1項に記載の車両のスリップ
    制御装置。
  9. 【請求項9】 前記液圧変更手段は、減圧フェーズへの
    移行時期を遅らせるとともに、増圧フェーズへの移行時
    期を早めることにより、ブレーキ液圧をロック気味に変
    更するように構成されたことを特徴とする請求項6に記
    載の車両のスリップ制御装置。
  10. 【請求項10】 前記液圧変更手段は、減圧フェーズへ
    の移行時期を早めるとともに、増圧フェーズへの移行時
    期を遅らせることにより、ブレーキ液圧をロック浅めに
    変更するように構成されたことを特徴とする請求項7に
    記載の車両のスリップ制御装置。
  11. 【請求項11】 駆動輪のスリップを抑制する為にエン
    ジンの駆動力とブレーキ装置の制動力との少なくとも一
    方を制御するトラクション制御手段を設けたことを特徴
    とする請求項1に記載の車両のスリップ制御装置。
  12. 【請求項12】 前記タイヤ判別手段の判別結果を受
    け、駆動輪のタイヤがスタッドレスタイヤの場合には、
    通常タイヤの場合と比較して、トラクション制御手段に
    よるトラクション制御における目標スリップ値を大きく
    変更する目標値変更手段を設けたことを特徴とする請求
    項11に記載の車両のスリップ制御装置。
  13. 【請求項13】 駆動輪のスリップを抑制する為にエン
    ジンの駆動力とブレーキ装置の制動力との少なくとも一
    方を制御するトラクション制御手段を設け、 前記タイヤ種類設定手段の出力を受けて、駆動輪のタイ
    ヤがスタッドレスタイヤの場合には、通常タイヤの場合
    と比較して、トラクション制御手段によるトラクション
    制御における目標スリップ値を大きく変更する目標値変
    更手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載の車両
    のスリップ制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005280476A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Advics:Kk 車両の自動制動制御装置
JP2020040531A (ja) * 2018-09-11 2020-03-19 横浜ゴム株式会社 空気入りタイヤユニット

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