JPH08199323A - 溶融めっき鋼板のめっき付着量制御装置及び方法 - Google Patents

溶融めっき鋼板のめっき付着量制御装置及び方法

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JPH08199323A
JPH08199323A JP858795A JP858795A JPH08199323A JP H08199323 A JPH08199323 A JP H08199323A JP 858795 A JP858795 A JP 858795A JP 858795 A JP858795 A JP 858795A JP H08199323 A JPH08199323 A JP H08199323A
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Makoto Suenaga
真 末永
Nobuyoshi Okada
伸義 岡田
Chiaki Otani
千晶 大谷
Hiroshi Iida
寛 飯田
Shigeki Morii
茂樹 森井
Junji Inoue
淳司 井上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融めっき鋼板のめっき付着量の均一化。 【構成】 板幅方向走査式付着量計から得られる鋼板幅
方向の表裏面の各測定めっき付着量から鋼板形状を求
め、その鋼板形状を4次関数で近似する。その4次関数
の極大値と極小値及び両板端に、電磁石と変位計の組を
設置し、その鋼板形状が平坦になるように電磁石の励磁
電流を制御し、又変位計の測定変位によっても励磁電流
を制御することにより、付着量制御位置での鋼板を平坦
化する。これにより付着量の均一化を図る付着量制御装
置。 【効果】 極値を2個以上有する鋼板形状、例えばM型
のような複雑な鋼板形状においても鋼板の平坦度を高精
度に制御でき、めっき付着量の均一化を図ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼板さらにNiなどの
めっき金属を施した鋼板が亜鉛、鉛−錫、アルミニウム
などの耐食性金属の溶融めっき浴を通過して走行する、
溶融めっき鋼板の形状制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融めっき鋼板は比較的融点の低い亜
鉛、錫、アルミニウムなどその種類は多く、中でも亜鉛
めっき鋼板あるいはその合金化亜鉛めっき鋼板は、耐食
性や溶接性に優れている特性から、自動車や家電の素材
として多く使用されている。こうした溶融めっき鋼板
は、一般に熱間圧延さらには冷間圧延された鋼板は、予
備酸化炉次いで還元焼鈍炉さらには冷却炉を通り、溶融
めっき浴を通過して、表面に付着した溶融状態のめっき
金属をガスワイピングで払拭しながら所定の目付量に制
御し、必要によってはさらに合金化加熱炉を通って製造
されている。しかしながら、製造された溶融めっき鋼板
のめっき金属の目付量は、板幅方向で大きなばらつきが
生じ、溶接性あるいは密着塗装性に支障を来す問題があ
った。こうした問題は、鋼板とガスワイピングノズルと
の間隔に依存し、その間隔を常に一定に図ることで解決
できるが、鋼板は各種の形状に変化して走行するため解
決するに至っていない。
【0003】鋼板形状を平坦化する手段としては、操作
者が鋼板を目視して鋼板形状を判断し、めっき浴中のシ
ンクロール、サポートロール又はガスワイピング上方の
タッチロールを移動させたり、あるいは電磁力を使用し
て鋼板幅方向の形状を矯正したりするものがあるが。し
かし、高精度の形状自動制御を行なうには、実際の鋼板
形状に基づいて操作端の自動制御を行なう必要がある。
このような自動制御方法の要求から、特開平2−265
854号公報のように、ガスワイピングノズル上方で鋼
板幅方向の端部と中央部のめっき層の厚さを検出し、そ
の検出値の差が最低値になるようにシンクロール位置の
自動制御を実施し、形状を矯正する方法が開発されてい
る。
【0004】しかし、このような矯正方法は、左右対称
な単純反りを持つ鋼板の形状の場合のみ適用可能である
が、実際の鋼板形状は、左右対称な単純反りだけでなく
左右非対称な鋼板形状もある。左右非対称鋼板形状の場
合には、鋼板幅方向の端部と中央部のめっき層の厚さの
差を産出して、シンクロールなどの位置を制御しても、
鋼板は必ずしも平坦にならない。また例えば、特開平3
−17249号公報のように、サポートロールの押込量
を調整する制御方法では、鋼板が単純C反りの場合のみ
鋼板形状の平坦化が可能であり、極値を2個以上有する
鋼板形状、例えばM型のような鋼板形状を完全に平坦化
することは困難である。即ち、極値を2個以上有する鋼
板形状においてはその極値を平坦化する操作が必要であ
り、鋼板の連続形状の検出が必要である。
【0005】鋼板幅方向の形状検出には、接触式の荷重
検出やエアーベアリング方式を使用した検出器がある
が、ガスワイピング位置前後では鋼板表面に未凝固の溶
融亜鉛が付着しており、接触式の形状検出器は使用でき
ないため、レーザー式と電磁式の非接触式の形状検出器
が使用されている。しかし、このような形状検出器も、
次のような問題があった。レーザー式形状検出器には、
レーザー光を照射する光切断方式や照射レーザー光の反
射光をスクリーンに投影し、画像処理する方法がある
が、前者においては、ガスワイピング位置での鋼板は鏡
面状態となっているために乱反射がおこりにくくなり、
感度が劣化し、測定不可能である。後者においては、鋼
板は振動している場合、反射像のずれが生じ測定精度に
欠ける。また、測定精度は鋼板上の照射位置とスクリー
ン間の距離に依存するため、高精度に形状を検出するに
は鋼板から照射レーザー光間の距離を大きくとる必要が
あるが、ガスワイピング装置周辺には多くの機器が備わ
っており、物理的に設置が不可能であるという問題点が
ある。
【0006】一方、電磁式形状検出器には、特公昭57
−6054号公報等で示されるように、鋼板に外部から
電磁石を印加して鋼板の張力分布を測定して形状を検出
する方法があるが、鋼板形状が変化して潜在化している
形状まで検出するため、ガスワイピング位置での鋼板形
状を検出することは不可能である。また、形状検出器
は、ガスワイピングノズル付近が高温であり、物理的に
設置することが不可能であるため、実際には、ガスワイ
ピングより離れた位置にしか設置できない。しかし、鋼
板形状はロールの拘束と張力影響により通板方向の位置
によって変化するため、ガスワイピング位置での鋼板形
状を捕らえることが困難である。
【0007】また、特開平6−128710号公報で示
されるめっき鋼板の形状制御装置では、ガスワイピング
位置での鋼板形状を捕らえ、非対称形状の鋼板を平坦化
できるという効果を発揮することができた。しかしなが
ら、鋼板幅方向の形状が、鋼板の片面側から見て凸な鋼
板の反り量と凹な鋼板の反り量が存在するいわゆるM型
のような形状、または極値を2個以上有する複雑な鋼板
の形状を平坦化するには到っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の難点を克服するもので、鋼板の連続形状の検
出を可能とし、極値を2個以上有する鋼板形状、例えば
M型のような鋼板形状においても、板幅方向に複数個配
置している位置センサーおよび電磁石の組の、鋼板幅方
向の設置位置および電磁石の電流を操作することによ
り、鋼板の平坦度を高精度に制御することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の通
りである。 (1)溶融めっき浴からガスワイピング域を通って走行
するめっき鋼板の幅方向に、γ線またはX線を照射して
受光する蛍光X線の強度を検出し、鋼板幅方向の表裏面
の各めっき付着量を測定する板幅方向走査めっき付着量
測定装置と、該鋼板の各幅方向の表裏面の各測定めっき
付着量から鋼板形状を求める形状演算装置と、これから
得られた鋼板形状がn次式の関数で近似し、この関数の
極大値と極小値を用いて、表裏板幅方向に移動可能に複
数組配置した位置センサーと電磁石の組の、鋼板幅方向
の設置位置及び電磁石の電流を決定する形状制御演算装
置と、これから演算された設定位置まで位置センサーと
電磁石の組を動かすための駆動装置と、電磁石の励磁電
流を制御する電流制御装置からなることを特徴とする溶
融めっき鋼板のめっき付着量制御装置。
【0010】(2)溶融めっき浴からガスワイピング域
を通って走行するめっき鋼板の幅方向に、γ線またはX
線を照射して受光する蛍光X線の強度を検出して、鋼板
幅方向の表裏面の各めっき付着量を測定し、該めっき付
着量から下記(1)式に基づいて鋼板形状を演算し、該
演算により得られた鋼板形状を4次関数で近似した下記
(2)式と、該関数の極大値と極小値を用いて下記
(3)式に基づき鋼板の表裏幅方向に移動可能に設置し
た複数組の位置センサーと電磁石の組の鋼板幅方向の設
置位置及び電磁石の励磁電流を演算し、同演算結果に基
づき位置センサーと電磁石の組を移動させ電磁石の励磁
電流を制御することを特徴とする溶融めっき鋼板のめっ
き付着量制御方法。 ΔD=(lnW1 −lnW2 )/K (1) ただし、ΔD:表裏ガスワイピングノズル間距離の中心
を0とした時の鋼板の変位量(mm) W1 :鋼板の表の付着量(g/m2 ) W2 :鋼板の裏の付着量(g/m2 ) K :鋼板の種類によって決まる定数 G(X)=C0 +C1 ×X+C2 ×X2 +C3 ×X3 +C4 ×X4 (2) ただし、X :鋼板幅方向の座標 G(X) :板幅方向Xの座標での表裏ガスワイピング
ノズル間距離の中心を0とした時の鋼板の変位量の計算
値(mm) C0 〜C4 :鋼板形状によって決まる定数 A(Xn)=A0 ×(G(Xn)+Aln)2 +A2 (3) ただし、A(Xn):板幅方向Xnの座標に位置する電
磁石の励磁電流の計算値 G(Xn):板幅方向Xnの座標での表裏ガスワイピン
グノズル間距離の中心を0とした時の鋼板の変位量の上
記(2)式からの計算値(mm) Xn :両板端と、鋼板形状4次近似式(上記
(2)式)が極大および極小値をとる板幅方向の座標
で、位置センサーと電磁石の組の板幅方向設置位置 A0 、A2 :鋼板のサイズや張力によって決まる定数 Aln :ワイピングノズルと位置センサー設置位置
の板長さ方向の差に起因する、補正すべき鋼板の変位量 である。
【0011】
【作用】図1は、本発明の形状制御装置の一実施例を示
す。図中1は、亜鉛、鉛−錫などの耐食性金属がめっき
され、走行する鋼板である。鋼板1は溶融めっき浴中の
シンクロール2を転回してめっきされ、サポートロール
3で形状矯正されながら上昇し、ガスワイピングノズル
4さらには必要に応じて設置される(図示しない)電磁
ワイピングノズルで所定のめっき目付量に制御した後上
昇する。5は、変位計6の出力によりめっき鋼板1の形
状を平坦化する電磁石であり板幅方向に複数個設置され
る。7は、めっき鋼板1の板幅方向走査めっき付着量測
定装置で、ガスワイピングノズル4の上方に設置され
る。板幅方向走査めっき付着量測定装置7は、走行する
めっき鋼板1の板幅方向に、γ線またはX線を照射して
受光する蛍光X線強度を検出し、鋼板幅方向の表裏面の
各めっき付着量を測定する。8は、形状演算装置であ
り、板幅方向走査めっき付着量装置7から送信された鋼
板の各幅方向の表裏面のめっき付着量から以下で説明す
る式に基づき、鋼板1とガスワイピングノズル4間の距
離を算出し、鋼板形状を求める。
【0012】めっき付着量を決定する要因としては、通
板速度V(m/分)、鋼板1〜ガスワイピングノズル4
間距離D(mm)、ガスワイピング圧力P(kg/cm2 )、
鋼板表面性状、鋼中成分、めっき浴成分、めっき浴温
度、鋼板サイズ等があり、めっき付着量W( g/m2
は、 W=F(P,V,D,・・・) (4) なる関数であらわすことができる。Fはガスワイピング
ノズル形状、めっき成分、鋼板の成分に依存する関数で
あるので同一設備及びめっき成分を限定することによっ
て決定できる。さらに(4)式より(5)式を算出する
ことができる。 D=H(W,P,V,・・・) (5)
【0013】(5)式より片側の付着量計出力から鋼板
形状の算出が可能であるが、鋼板形状以外にも板幅方向
付着量変動の影響因子があると考えられ、鋼板形状によ
る付着量影響のみをとりだすために、付着量の板の形状
に対する表裏の反対称性を利用して、P,Vその他の説
明変数は表裏同一として表裏付着量計を用いて(6)式
のように算出できる。ただし、Pにおいては、表裏同一
の場合が多いが、表裏圧力差がある場合には圧力補正を
する必要がある。 ΔD=(D1 −D2 ) (6) ここで、ΔDは表裏ガスワイピングノズル4間距離の中
心を0とした時の変位量、D1 は表の鋼板1〜ガスワイ
ピングノズル4位置までの距離、W1 は鋼板1の表の付
着量、D2 は表の鋼板1〜ガスワイピングノズル4位置
までの距離、W2 は鋼板1の裏の付着量を表す。
【0014】この場合、Dを説明変数に持つ(5)式が
複雑な回帰式であり、数式処理により(6)式を求める
ことができなくても、板幅方向の各変数を使用して逐次
数値演算することにより(6)式を求めることが可能で
あり、さらには(7)式が求まる。
【0015】これにより(7)式を用いた形状演算装置
8により鋼板形状が得られる。9は形状制御演算装置で
あり、形状演算装置8により求まった鋼板形状から、以
下に説明する式に基づいて電磁石5の電流値及び変位計
6と電磁石5の組の設置位置が決定され制御される。
【0016】形状演算装置8で得られた鋼板形状は、
(7)式のようなn次式の関数で近似できる。 G(X)=C0 +C1 ×X+C2 ×X2 +C3 ×X3 +・・・+Cn×Xn (7) ここで、C0 〜Cnは定数、Xは鋼板形状の板幅方向位
置を表す。付着量検出器により出力された付着量を用い
て算出されたΔDとその時のXを使って、C0〜Cnの
定数を決定することにより、鋼板形状の関数近似が可能
となる。(7)式において1階微分により導関数(8)
式を得る。 G′(X)=C1 +2×C2 ×X+3×C3 ×X2 +4×C4 ×X3 +・・・ +n×Cn×Xn-1 (8) C1 +2×C2 ×X+・・・+n×Cn×Xn-1 =0の
実数解α1,α2,・・・,αnを求める。又、鋼板の
両エッジのX座標をβ1,β2として、α1,α2,・
・・,αn,β1,β2を(7)式に代入することでG
(β1),G(β2),G(α1),G(α2),G
(α3),・・・,G(αn)を得る。
【0017】変位計6と電磁石5の組はα1,α2,・
・・,αn,β1,β2の地点に、電磁石および変位計
板幅方向駆動装置11により設置される。各電磁石の電
流値A(Xn)は、各変位計で検出する鋼板の変位量が
(9)式で求められるS(Xn)となるように、フィー
ドバック制御される。 S(Xn)=H(G(Xn),P,V・・・)−H(W0 ,P,V・・・) (9) ただし、Xnはα1,α2,・・・,αn,β1,β2
の値をとり、W0 は付着量の狙い値である。
【0018】さらに、Alnをワイピングノズル4の設
置位置と変位計6の設置位置の板長さ方向ずれによる補
正係数とすると、電磁石5の電流値は、変位計6で検出
される距離がAlnになるように、フィードバック制御
される。
【0019】なお、電磁石及び変位計板幅方向駆動装置
11の代わりに、極短い間隔で変位計と電磁石の組を設
置し、α1,α2,・・・,αn,β1,β2の位置に
最も近い変位計と電磁石の組を使用する方法、或いは最
外側の変位計と電磁石の組のみ駆動化する方法、もしく
はこれらを組み合わせる方法もある。
【0020】上記のごとく、板幅方向に設置した電磁石
5の電流を操作することにより、鋼板の平坦度を高精度
に制御することが可能である。
【0021】本発明で、付着量回帰モデル式を前述の
P,V,Dのみで表わせ、かつ、鋼板形状が4次関数に
近似できる場合を、以下に説明する。めっき付着量を決
定する要因としては、通板速度V(m/分)、鋼板1〜
ガスワイピングノズル4間距離D(mm)、ガスワイピン
グ圧力P(kg/cm2 )、鋼板表面性状、鋼中成分、めっ
き浴成分、めっき浴温度、鋼板サイズ等があるが、前述
のP,V,D以外の要因においては、鋼種によって同一
視できるか又は、変動に対する付着量影響が小さいため
P,V,Dから付着量を精度良く算出でき、めっき付着
量Wは、 W=F(P,V,D) (10) なる関数であらわすことができる。Fはガスワイピング
ノズル形状、めっき成分、鋼板の成分に依存する関数で
あるので同一設備及びめっき成分を限定することによっ
て決定できる。溶融亜鉛めっきで、付着量30〜80(g
/m2 )の場合には(11)式のような付着量回帰モデル
式を得ることができる。 W= exp(K0 +K1 ×P+K2 ×V+K3 ×D) (11)
【0022】ここでK0 〜K3 は定数であり、鋼板1の
種類によってその値が決まる。(11)式により片側の
付着量計出力から鋼板形状の算出が可能であるが、鋼板
形状以外にも板幅方向付着量変動の影響因子があると考
えられ、鋼板形状による付着量影響のみをとりだすため
に、付着量の板の形状に対する表裏の反対称性を利用し
て、P,Vは表裏同一として表裏付着量計を用いて
(1)式のように算出できる。ただし、Pにおいては、
表裏同一の場合が多いが、表裏圧力差がある場合には圧
力補正をしてやる必要がある。 ΔD=(D1 −D2 )/2 =(lnW1 −lnW2 )/2K3 =(lnW1 −lnW2 )/K (1) ここで、ΔDは表裏ガスワイピングノズル4間距離の中
心を0とした時の変位量、D1 は表の鋼板1〜ガスワイ
ピング4位置までの距離、W1 は鋼板1の表の付着量、
D2 は表の鋼板1〜ガスワイピングノズル4位置までの
距離、W2 は鋼板1の裏の付着量、Kは鋼板の種類によ
って決まる定数を表す。
【0023】これにより(1)式を用いた形状演算装置
8により鋼板形状が得られる。9は形状制御演算装置で
あり、形状演算装置8により求まった鋼板形状から、以
下に説明する式に基づいて電磁石5の電流値及び変位計
6と電磁石5の組の設置位置が決定され制御される。
【0024】形状演算装置8で得られた鋼板形状は、
(2)式のような4次式の関数で近似できる。 G(X)=C0 +C1 ×X+C2 ×X2 +C3 ×X3 +C4 ×X4 (2) ここで、C0 〜C4 は定数、Xは鋼板形状の板幅方向位
置を表す。(2)式はn次の多項式による近似も可能で
あるが、実際に確認されるワイピングノズル位置での鋼
板形状及び演算速度の観点より4次式を使用する。付着
量検出器により出力された付着量を用いて算出されたΔ
Dとその時のXを使って、C0 〜C4 の定数を決定する
ことにより、鋼板形状の関数近似が可能となる。(2)
式において1階微分により導関数(12)式を得る。 G′(X)=C1 +2×C2 ×X+3×C3 ×X2 +4×C4 ×X3 (12) C1 +2×C2 ×X+3×C3 ×X2 +4×C4 ×X3
=0の実数解α1,α2,α3を求める。また、鋼板の
両エッジのX座標をβ1,β2として、α1,α2,α
3,β1,β2を(2)式に代入することでG(β
1),G(β2),G(α1),G(α2),G(α
3)を得る。
【0025】変位計6と電磁石5の組はα1,α2,α
3,β1,β2の地点に、電磁石および変位計板幅方向
駆動装置11により設置される。電流値A(X)は
(3)式により決定され、電磁石電流制御装置10によ
り制御される。 A(Xn)=A0 ×(G(Xn)+Aln)2 +A2 (3) ただし、Xnはα1,α2,α3,β1,β2の値をと
る。
【0026】A0 ,Aln,A2 は定数であり、A0 ,
A2 は鋼板サイズや張力によって決定される。Alnは
ワイピングノズル4の設置位置と変位計6の設置位置の
板長さ方向ずれによる補正係数である。鋼板表裏の電磁
石は、通常鋼板を吸引する側のみ使用するが、鋼板の振
動の低減を目的に表裏とも使用する場合がある。この場
合には、表裏電磁石の電流値の差がA(X)となるよう
な電流値を選択する。さらに電磁石5の電流値は、プリ
セット設定後変位計6で検出される距離がAlnになる
ように、フィードバック制御される。
【0027】なお、電磁石及び変位計板幅方向駆動装置
11の代わりに、極短い間隔で変位計と電磁石の組を設
置し、α1,α2,α3,β1,β2の位置に最も近い
変位計と電磁石の組を使用する方法、あるいは最外側の
変位計と電磁石の組のみ駆動化する方法、もしくはこれ
らを組み合わせる方法もある。
【0028】上記のごとく、板幅方向に設置した電磁石
5の電流を操作することにより、鋼板の平坦度を高精度
に制御することが可能である。
【0029】
【実施例】上記の実施例装置を用い溶融めっき鋼板の形
状を制御した例について以下に述べる。板厚0.76m
m,板幅1823mmの溶融亜鉛めっき鋼板において、付
着量回帰モデル式(11)式の係数は次のような値をと
る。 K0 =3.02,K1 =−0.8,K2 =0.01,K
3 =0.06
【0030】板幅方向走査めっき付着量測定装置と形状
演算装置を用いて求まった図2に示すような鋼板形状に
対し、形状制御演算装置から電磁石の設置位置及び電流
値を算出し、形状矯正を行った結果、鋼板形状は図3
(5個の電磁石を用いた例)および図4(9個の電磁石
を用いた例)のようになり、極値を2個以上有する鋼板
形状、例えばM型のような複雑な鋼板形状においても、
鋼板の平坦度を高精度に制御できる。なお、図3および
図4の点線の矢印は、電磁石の磁力の作用する位置と方
向、大きさを表わす。
【0031】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、複雑な鋼
板形状であっても、その平坦度を高精度に制御すること
ができ、これによってメッキ付着量の均一化を図ること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いる形状制御装置の構造例を
示すものである。
【図2】板厚0.76mm,板幅1823mmの溶融亜鉛め
っき鋼板の矯正を行わない場合の形状例を示す図。
【図3】図2に示された鋼板形状において、5個の電磁
石により形状矯正された後の鋼板形状及び磁力分布を示
す図。
【図4】図2に示された鋼板形状において、9個の電磁
石により形状矯正された後の鋼板形状及び磁力分布を示
す図。
【符号の説明】
1 鋼板 2 シンクロール 3 サポートロール 4 ワイピングノズル 5 電磁石 6 変位計 7 板幅方向走査式めっき付着量測定装置 8 形状演算装置 9 形状制御演算装置 10 電磁石電流制御装置 11 電磁石及び変位計板幅方向駆動装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大谷 千晶 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 飯田 寛 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 森井 茂樹 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 井上 淳司 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融めっき浴からガスワイピング域を通
    って走行するめっき鋼板の幅方向に、γ線またはX線を
    照射して受光する蛍光X線強度を検出し、鋼板幅方向の
    表裏面の各めっき付着量を測定する板幅方向走査めっき
    付着量測定装置と、該鋼板の各幅方向の表裏面の各測定
    めっき付着量から鋼板形状を求める形状演算装置と、こ
    れから得られた鋼板形状がn次式の関数で近似し、この
    関数の極大値と極小値を用いて、表裏板幅方向に移動可
    能に複数組配置した位置センサーと電磁石の組の、鋼板
    幅方向の設置位置及び電磁石の電流を決定する形状制御
    演算装置と、これから演算された設定位置まで位置セン
    サーと電磁石の組を動かすための駆動装置と、電磁石の
    励磁電流を制御する電流制御装置からなることを特徴と
    する溶融めっき鋼板のめっき付着量制御装置。
  2. 【請求項2】 溶融めっき浴からガスワイピング域を通
    って走行するめっき鋼板の幅方向に、γ線またはX線を
    照射して受光する蛍光X線の強度を検出して、鋼板幅方
    向の表裏面の各めっき付着量を測定し、該めっき付着量
    から下記(1)式に基づいて鋼板形状を演算し、該演算
    により得られた鋼板形状を4次関数で近似した下記
    (2)式と、該関数の極大値と極小値を用いて下記
    (3)式に基づき鋼板の表裏幅方向に移動可能に設置し
    た複数組の位置センサーと電磁石の組の鋼板幅方向の設
    置位置及び電磁石の励磁電流を演算し、同演算結果に基
    づき位置センサーと電磁石の組を移動させ電磁石の励磁
    電流を制御することを特徴とする溶融めっき鋼板のめっ
    き付着量制御方法。 ΔD=(lnW1 −lnW2 )/K (1) ただし、ΔD:表裏ガスワイピングノズル間距離の中心
    を0とした時の鋼板の変位量(mm) W1 :鋼板の表の付着量(g/m2 ) W2 :鋼板の裏の付着量(g/m2 ) K :鋼板の種類によって決まる定数 G(X)=C0 +C1 ×X+C2 ×X2 +C3 ×X3 +C4 ×X4 (2) ただし、X :鋼板幅方向の座標 G(X) :板幅方向Xの座標での表裏ガスワイピング
    ノズル間距離の中心を0とした時の鋼板の変位量の計算
    値(mm) C0 〜C4 :鋼板形状によって決まる定数 A(Xn)=A0 ×(G(Xn)+Aln)2 +A2 (3) ただし、A(Xn):板幅方向Xnの座標に位置する電
    磁石の励磁電流の計算値 G(Xn):板幅方向Xnの座標での表裏ガスワイピン
    グノズル間距離の中心を0とした時の鋼板の変位量の上
    記(2)式からの計算値(mm) Xn :両板端と、鋼板形状4次近似式(上記
    (2)式)が極大および極小値をとる板幅方向の座標
    で、位置センサーと電磁石の組の板幅方向設置位置 A0 、A2 :鋼板のサイズや張力によって決まる定数 Aln :ワイピングノズルと位置センサー設置位置
    の板長さ方向の差に起因する、補正すべき鋼板の変位量
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