JP3460755B2 - 熱間圧延鋼板の制御冷却方法および装置 - Google Patents

熱間圧延鋼板の制御冷却方法および装置

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  • Control Of Heat Treatment Processes (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延鋼板の制御冷
却方法及び装置に関する。 【0002】 【従来の技術】厚鋼板の製造プロセスとして、圧延直後
の熱間圧延鋼板を水冷により強制冷却する制御冷却方法
の適用が拡大している。この方法によれば、合金元素の
低減、省熱処理といったコスト削減効果だけでなく、溶
接時の予熱低減効果や焼入れによる高強度の付与といっ
た効果も得られる。 【0003】制御冷却においては、通常、圧延終了後の
鋼板は、その上下面に冷却水が噴射され、所定の温度ま
で冷却される。冷却水の噴射方式としては、ラミナー状
の冷却水流が冷却能力が高く、冷却速度を高められるの
で、鋼板を焼入れる上で有利である。 【0004】ところが、従来の制御冷却法では、制御冷
却後の鋼板の温度分布が以下のような原因で不均一にな
り、形状不良が発生したり材質が不均一になるといった
問題が発生している。 【0005】1.圧延中に発生した鋼板の面内温度の不
均一性が制御冷却後も残る。 2.圧延中に発生した耳波などの鋼板面の形状不良によ
り、制御冷却中に鋼板上面に水が滞留し、水流に不均一
性が生じ、鋼板の温度分布が不均一になる。 3.圧延直後では温度不均一性や板面形状不良のない鋼
板でも、制御冷却中に鋼板上面の水の滞留や水流の不均
一性等により、冷却過程で鋼板面内に耳波や中波などの
形状不良が発生して、鋼板の上面の水による冷却不均一
性がさらに助長される。 【0006】ここで、原因2及び原因3で発生する冷却
不均一性の発生状況を図5においてて説明する。図5
で、2は冷却水ヘッダー、3はノズルである。制御冷却
装置内で、熱間圧延鋼板6に一旦板の変形が発生する
と、鋼板上面の冷却水7は鋼板の凹部6bに滞留あるい
は集中して流れ、この部分を強冷却する。 【0007】一方、鋼板の凸部6aには板上面水の滞留
は起こらず、冷却水の流れも妨げられるため冷却効果が
低下する。その結果、鋼板の板変形は更に助長され、冷
却不均一性が強められる。この結果、冷却後の鋼板温度
分布は不均一となる。 【0008】制御冷却後の鋼板の温度分布が均一であれ
ば、仮に制御冷却直後に板形状不良が存在しても、次工
程のホットレベラーで容易に矯正することができる。し
かし、鋼板に面内温度の不均一性が残っていると、ホッ
トレベラーで矯正しても、鋼板が常温まで空冷される過
程で熱座屈し、形状不良となることがある。また温度不
均一性は材質の均一性を損なうことにもなる。 【0009】原因1で述べた圧延中に発生する鋼板の面
内温度の不均一性に起因する鋼板の形状不良や材質不均
一性を防止する方法として、特開昭60−36625号
公報には、熱間圧延直後の鋼板の上下面の温度分布を放
射温度計で測定し、その測定値を基に、鋼板の高温部分
を、圧延機と制御冷却装置の間に設置された冷却装置に
よって部分冷却し、鋼板全体の温度分布を一様にする方
法が開示されている。 【0010】原因2で述べた圧延中に発生した板面形状
不良による冷却不均一性を防止する方法として、特開昭
60−166117号公報には、圧延後の鋼板の板面形
状を予め板面形状検出器で検出し、それに基づき制御冷
却装置の板幅両端の冷却水遮蔽板の遮蔽時間を制御する
方法が開示されている。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
60−36625号公報に記載の方法によれば、制御冷
却装置に入る前の段階で鋼板の温度は均一になっている
ため、原因1に対しては有効であるが、原因2、3に対
しては効果がないばかりか、圧延機と制御冷却装置の間
に新たな冷却設備を設置する必要があるといった問題が
ある。 【0012】また、特開昭60−16617号公報に記
載の方法では、熱間圧延鋼板の板面形状を、鋼板が制御
冷却装置に入る前に計測するため、制御冷却装置内の冷
却過程で新たに発生、あるいは助長される形状不良(原
因3)には対処できないばかりか、圧延終了時に既に存
在する板温度分布(原因1)にも対応できないといった
問題がある。 【0013】本発明は、圧延中の鋼板に面内温度不均一
性や板面形状不良が発生しても、また制御冷却中の鋼板
に板面形状不良が新たに発生しても、鋼板の温度分布を
均一にし、且つ、鋼板の形状を平坦にする鋼板の制御冷
却方法及び装置を提供することを目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】熱間圧延後の鋼板の面温
度分布は、面温度計により測定できるが、鋼板の板形
状、即ち、板面の凹凸は鋼板面に水流が存在するため測
定できなかった。しかし、発明者等は鋼板を制御冷却す
る水流のラミナーフローは鋼板と冷却水ヘッダーとの間
を連続する媒体であることに着目し、冷却水ヘッダー内
に超音波センサーを設置することにより、鋼板との距離
を連続的に測定でき、この測定結果により鋼板の凹凸、
即ち、板形状を測定できるとの知見をえて下記の発明を
するに至った。 【0015】(1)請求項1の発明は、下記の工程を備
えた鋼板の制御冷却方法を提供する。 (a)熱間圧延後の鋼板の面温度分布を測定する工程
と、(b)前記鋼板の制御冷却中において鋼板の板形状
を超音波により測定する工程と、(c)前記面温度分布
の測定結果と、前記鋼板の面形状の測定結果とに基づい
て制御冷却水を制御する工程。 【0016】(2)請求項2の発明は、下記の部材を備
えた熱間圧延鋼板の制御冷却装置を提供する。 (a)圧延直後の鋼板の面温度分布を測定する温度測定
装置と、(b)冷却水ヘッダーまたは冷却水配水管内に
設置された鋼板の板形状を測定するための超音波センサ
ーと、(c)前記冷却水ヘッダーからの冷却水を制御す
る手段とこれに接続されたラミナー状の冷却水を供給す
るノズルからなる冷却装置と、(d)鋼板の前記温度測
定装置と前記超音波センサーからの信号を受けて記憶
し、所定の計算プログラムにしたがって鋼板を平坦に
し、かつ、鋼板の面温度分布を均一化するように冷却水
量を制御する冷却水量の制御装置。 【0017】 【作用】上記の課題を解決するためには、熱間圧延直後
の鋼板の温度分布を測定し、次いでこの温度分布と、鋼
板の少なくとも一次元方向、望ましくは二次元方向の凹
凸、即ち板形状を考慮して制御冷却を行う必要がある。
熱間圧延直後の鋼板の温度分布は従来市販の面走査型温
度計で測定できる。 【0018】他方、従来は鋼板の板形状を測定すること
ができなかったが、前述の通り冷却水ヘッダー内等に超
音波センサーを設置することにより、鋼板との距離を連
続的に測定でき、この測定結果により鋼板の凹凸、即
ち、板面形状を測定できる。 【0019】超音波センサーによる距離の測定、即ち、
鋼板の形状の測定にはラミナー状の冷却水流が必要なた
め、熱間鋼板の上下面いずれか一方はラミナー水流で冷
却することが必要であるが、もう一方の面の冷却方法は
特に制約されない。板面形状の測定面に制約はなく、鋼
板の上面下面のいずれか一方の面の板面形状を測定すれ
ばよい。 【0020】本発明における制御冷却の方法は下記の工
程より成立する。圧延直後の鋼板の面温度分布を測定
し、その温度分布をT(xi , yj ) とする。T
(xi , yj) は鋼板内の位置の関数である。ここでx
i は鋼板の幅方向の位置であり、yjは鋼板の圧延方向
の位置である。 【0021】また、鋼板の望ましい温度、または、基準
となる温度をT0 とする。 ΔT(xi , yj ) = T(xi , yj ) −T0 −−(1) ΔT(xi , yj ) は(xi , yj ) の位置における基
準温度からの偏差であるとする。 【0022】次に、基準となる冷却水量をV0 とし、
(xi , yj ) の位置において必要な水量をV(xi ,
j ) とする。 V(xi , yj ) =V0 +αΔT(xi , yj ) −−−(2) V(xi , yj ) は(xi , yj ) の位置における基準
温度T0 からの偏差を考慮した冷却水量である。αは実
験により定めればよい。 【0023】次に、鋼板の形状が基準位置、例えばロー
ル面からΔZ(xi , yj ) 変位している場合には、Δ
Zに基づく冷却水量を調節する必要がある。従って、必
要な冷却水量は下式により計算できる。 V(xi , yj ) =V0 +αΔT(xi , yj ) +βΔZ(xi , yj ) −−−(3) ここでβは実験により定めればよい。 【0024】上記の様な思想に基づいて熱間圧延鋼板の
制御冷却における冷却を制御する方法が請求項1に記載
した発明である。また、上記の様に制御冷却の冷却水量
を制御するのが請求項2に記載した制御冷却装置であ
る。この制御冷却装置は以下のような構成となってい
る。 【0025】鋼板の面温度分布T(xi , yj ) を測定
する温度測定装置と、鋼板の板面形状ΔZ(xi ,
j ) を測定する超音波センサーと、これらのデータを
記憶し、上記(1)〜(3)式を計算し、これらの計算
に基づきノズルからの冷却水を制御する手段を含む冷却
装置に指令を発信する冷却水制御装置とから構成され
る。冷却水を制御する手段は例えば電磁バルブ等があ
る。 【0026】なお、上記超音波センサーを冷却水ヘッダ
ー内の板幅方向に少なくとも1台は設けるが、更に板幅
方向或いは圧延方向に複数台設けると精度の高い板面形
状が求まり、制御性の向上が図られる。また、材質、板
厚が同様な鋼板を冷却する場合は、前回の鋼板の板温分
布と板変形測定結果を次回の冷却時にフィードフォワー
ドし、圧延直後の板温分布や冷却中に発生する板変形を
予測して冷却条件を決めることにより、制御性がさらに
向上する。 【0027】 【実施例】図1は本発明装置の一実施例を示したもので
ある。図1で、1は超音波センサー、2は冷却水ヘッダ
ーである。まず、制御冷却装置に入る前の鋼板6の温度
の面分布を予め温度分布測定装置12で計測し、その結
果を冷却水量制御装置11に記憶させておく。鋼板の温
度分布計測手段は特に限定しないが、鋼板全面の温度分
布を短時間に測定するには面走査型放射温度計が好適で
ある。 【0028】次に、制御冷却装置内で、鋼板上面に供給
されるラミナー状の冷却水流5を介して、鋼板6の板面
形状を超音波センサー1を用いて板面形状検出器10で
測定する。超音波センサー1は冷却水ヘッダー2の上部
で、冷却水ノズル3を通じて熱間鋼板6が直線的に視野
に入る位置に設置されており、その先端はヘッダー2内
において常に冷却水に浸されている。従って、超音波セ
ンサー1により鋼板の凹凸、即ち鋼板の形状が測定され
る。 【0029】冷却水はヘッダー2より冷却水ノズル3を
通ってラミナー状の冷却水5を形成し、搬送中の直下の
鋼板6に到達し、これを冷却する。超音波センサー1よ
り発信された超音波4は冷却水ラミナー5を介して鋼板
6に到達し、鋼板表面で反射された後、再び超音波セン
サー1に向かってラミナー状の冷却水5を介して伝達さ
れ、超音波センサー1で受信される。 【0030】超音波センサー1により超音波4の発信受
信間に要する時間を計測し、これを基に板面形状検出器
10において超音波センサー1と鋼板6の間の距離を求
め、圧延直後の板厚と比較演算して板面形状ΔZ
(xi , yj ) を求め、冷却水量制御装置11に記憶さ
せておく。 【0031】冷却水量制御装置11に記憶した温度分布
T(xi , yj ) と板面形状ΔZ(xi , yj ) の測定
結果を基に、鋼板6の板厚、板幅、搬送速度、実際に冷
却水量が変化するのに要する時間等を考慮して、実験的
に求められたα、βの値を用い(3)式により冷却水量
を調整することにより、制御冷却後の温度分布を均一に
できる。 【0032】これによって、冷却前から存在する温度不
均一性を解消しつつ、鋼板の凸部6aと凹部6bの冷却
不均一性を抑制し、冷却後の板温分布を均一にすること
ができる。 【0033】図1では超音波センサー1は冷却水ヘッダ
ー2の上部に取り付けられているが、ラミナー状の冷却
水流4を乱さなければ、冷却ノズル5の近傍あるいは内
部に置いてもかまわない。また、板面形状の測定面は鋼
板の上面に限るのものではなく、下面を測定しても構わ
ない。 【0034】また、図1と同様の冷却水供給機構を鋼板
の進行方向に複数台設置すれば、冷却制御性と冷却能力
が向上する。さらに鋼板の幅方向に超音波センサーを複
数台設けると、より形状が正確に測定でき、板温の均一
制御に有効となる。 【0035】なお、板面形状に超音波センサーを用いた
のは、他の方法(例えば光学的)では、水流が妨害して
形状を精度良く測定できないためである。また、超音波
センサーは水を介して測定するので、このような場合に
は非常に有効である。 【0036】図2は本発明装置の別の実施例を示したも
のである。図2で符号は図1と同様である。鋼板の長手
方向に複数の冷却水供給機構を有し、超音波センサー1
による板面変形測定結果を、板の長手方向後方の冷却水
供給機構に伝達し、制御する場合である。 【0037】鋼板の長手方向の冷却水供給機構の入口か
らn番目の超音波センサー1aで測定し、板面形状検出
器10aで検出した鋼板6の板面形状は、長手方向後方
の(n+1)番目の冷却水供給系の冷却水制御装置11
bに伝達され、予め温度分布測定装置12で測定した鋼
板温度の面分布と合わせて、冷却水流5bを制御する。
冷却水量の制御に要する時間が鋼板の搬送速度に追随し
ない場合に効果的である。 【0038】材質、板厚、板幅等の仕様が同様な鋼板を
冷却する場合は、前回の鋼板の圧延後の板温分布と冷却
中の板変形測定結果を次回の冷却時にフィードフォワー
ドし、発生する板温分布と板変形を予測して鋼板の長手
方向の冷却水供給機構の入口から1番目の冷却水量供給
機構からの冷却水量を決めることにより制御性がさらに
向上する。 【0039】図3は本発明装置の別の実施例を示したも
のである。図3では鋼板の下面で測定した板面形状と鋼
板の上下面の温度分布を基に、制御冷却装置の上下冷却
水量を同時に制御する。鋼板の上下面の温度分布は、予
め鋼板上面の温度分布測定装置12aと鋼板下面の温度
分布測定装置12cで測定され、冷却水量制御装置11
cに記憶される。 【0040】鋼板の板面形状は下面冷却用冷却水ヘッダ
ー2内に設置された超音波センサー1cによって、冷却
水流5cを介して鋼板下面より計測される。この結果と
予め予測された鋼板の上下温度分布を基に、上下冷却水
量5a,5cを同時に制御する。予め設定した上下水量
比を考慮しながら、上下面の板温分布と板面形状に応じ
た水量制御を行うことにより、鋼板の反りを抑止しつつ
冷却不均一性を防止することも可能になる。 【0041】図4は本発明の他の実施例を示す図であ
る。図4で鋼板上面冷却用の冷却水ヘッダー2を板幅方
向に分割し、各冷却水ヘッダーに超音波センサー1を装
着し、ヘッダー単位で冷却水量を制御する例である。た
だし、この図では鋼板の温度分布を測定する計測系は図
示していない。 【0042】超音波センサー1で検出した鋼板6の表面
形状と本図に図示していない鋼板の温度分布計測系によ
って得られた鋼板温度の面分布に応じて、各ヘッダーに
入ってくる冷却水9は、各ヘッダー単位で電磁バルブ等
の流量制御機構8で調整される。本図では、ヘッダー単
位で板幅方向に分割され、冷却水量が調整されている
が、もちろん、冷却ノズル単位で分割制御してもかまわ
ない。分割の単位は細かい程制御性は向上するが、経済
性との兼ね合いで適当な数に分割される。 【0043】 【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の方法
及び装置によれば、圧延過程で発生した温度不均一性を
解消し、同時に耳波や中波などの形状不良に起因する冷
却不均一性を防止できるので、制御冷却後の板温分布を
均一にすることができる。その結果、板形状に優れ、均
一な材質の鋼板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例を示す図である。 【図2】本発明の別の実施例を示す図である。 【図3】本発明の別の実施例を示す図である。 【図4】本発明の他の実施例を示す図である。 【図5】現状の鋼板の冷却における問題点を説明する図
である。 【符号の説明】 1 超音波センサー 2 冷却水ヘッダー 3 冷却水ノズル 4 超音波 5 冷却水流 6 鋼板 7 水流 10 板面形状検出器 11 冷却水制御装置 12 温度分布測定装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 45/02 320 C21D 1/00 120 C21D 9/52 102 C21D 11/00 104 G01B 17/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記の部材を備えた熱間圧延鋼板の制御
    冷却装置。 (a)圧延直後の鋼板の面温度分布を測定する温度測定
    装置と、 (b)冷却水ヘッダーまたは冷却水配水管内に設置され
    た鋼板の板形状を測定するための超音波センサーと、 (c)前記冷却水ヘッダーからの冷却水を制御する手段
    とこれに接続されたラミナー状の冷却水を供給するノズ
    ルからなる冷却装置と、 (d)鋼板の前記温度測定装置と前記超音波センサーか
    らの信号を受けて記憶し、所定の計算プログラムにした
    がって鋼板を平坦にし、かつ、鋼板の面温度分布を均一
    化するように冷却水量を制御する冷却水量の制御装置。
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