JPH08199164A - 希土類酸化物・マグネシウム蛍光体 - Google Patents

希土類酸化物・マグネシウム蛍光体

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JPH08199164A
JPH08199164A JP2332295A JP2332295A JPH08199164A JP H08199164 A JPH08199164 A JP H08199164A JP 2332295 A JP2332295 A JP 2332295A JP 2332295 A JP2332295 A JP 2332295A JP H08199164 A JPH08199164 A JP H08199164A
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phosphor
oxide
europium
yttrium
magnesium
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JP2332295A
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English (en)
Inventor
Bunzo Moriyama
文三 森山
Hirofumi Moriyama
浩文 森山
Tomofumi Moriyama
智文 森山
Tsutomu Kanda
力 神田
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Tokyo Kagaku Kenkyusho KK
Original Assignee
Tokyo Kagaku Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の3価のユーロピウム(Eu3+)で付活
した希土類酸化物の蛍光体の発光特性を維持しながら蛍
光体の比重を小さくすることのできる蛍光体を得る。 【構成】 組成式が、 ([L]1-x・Eux23 ・y[M]O (ただし、0<x≦0.30,0<y≦18.0、
[L]はY,Gd,Laの何れか、[M]はマグネシウ
ム単独又はマグネシウムと2価の金属との混合物であ
る)で表わされる3価のユーロピウムで付活した蛍光体
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は3価のユーロピウム(E
3+)で付活した希土類酸化物・マグネシウム蛍光体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】3価のユーロピウム(Eu3+)で付活し
た希土類酸化物蛍光体は、x線,電子線,紫外線等の刺
激により赤色に蛍光発光し、現在、三波長域発光形ラン
プ等の赤色蛍光体として広く用いられている。
【0003】この三波長域発光形ランプに使用されてい
る蛍光体は、具体的には、青色のEu2+付活バリウム・
マグネシウム・アルミネイト、緑色のTb3+付活セリウ
ム・マグネシウム・アルミネイトが使用されている。ま
た、赤色としてはEu3+付活イットリウム・オキサイド
((Y0.96Eu0.0423 ),Eu3+付活ガドリニウ
ム・オキサイド((Gd0.92Eu0.08)23 ),Eu3+
付活イットリウム・ガドリニウム・オキサイド((Y
0.80Gd0.12Eu0.08)23 ),Eu3+付活イットリウ
ム・ランタン・オキサイド((Y0.80La0.12
0.08)23 )が使用されている。
【0004】夫々の蛍光体の比重は、青色蛍光体が3.
75、緑色蛍光体が4.20であり、赤色蛍光体では、
(Y0.96Eu0.0423 =5.12,(Gd0.92Eu
0.08)23 =8.02,(Y0.80Gd0.12Eu0.08)2
3 =5.26,(Y0.80La0.12Eu0.08)23 =5.
20である。ところで、三波長域発光形ランプで使用さ
れている蛍光体を蛍光灯の内管壁面に3種類の蛍光体を
塗布する場合には、夫々を一定の割合で均一に混合して
塗布する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、3種類の蛍
光体を蛍光灯の内管壁面に塗布するには、一般的には、
3種類の蛍光体をスラリー状にしてガラス管の上部から
落下付着させる。その時に3種類の蛍光体の比重差が大
きいと落下速度が異なるので、ガラス管の上部と下部と
では発光色に差が生じる。具体的には、上部は中心部よ
り青色が強く、下部には赤色の強いランプになる。
【0006】それを解決するため、青色蛍光体と比重の
相違する緑色蛍光体は、粒径を小さくすることで、比重
の最も小さい青色蛍光体と均一に混練することができ
た。
【0007】しかしながら、同様に、赤色蛍光体の粒径
を小さくすることが試行されたが、赤色蛍光体は粒径を
小さくすると輝度に発光強度が低下する欠点を有してい
る。従って、赤色の蛍光体の比重を青色の蛍光体の比重
に近付けることが課題とされていた。
【0008】一方、イットリウム,ユーロピウム等の希
土類原料は国内生産が殆どなく、輸入に頼らざるを得な
い状況にあり、しかも希少価値から高価な原料である
(Y23 :7,000 円/kg,Eu23 :45,000円/k
g;出願時現在)。従って、希土類原料の使用は極力下
げる方が、価格の低下につながる。
【0009】また、近年、蛍光灯は、コンパクト化が進
み、蛍光体は製造時の耐熱性が要求されており、耐熱性
の高い蛍光体が望まれている。更に、蛍光体の比重につ
いては、小さいものの方が、同一塗布量であれば蛍光体
の膜厚が厚くなり、蛍光体の光束の向上が期待できる。
【0010】本発明は、従来の3価のユーロピウム(E
3+)で付活した希土類酸化物の蛍光体の発光特性を維
持しながら蛍光体の比重を小さくすることのできる蛍光
体を得ることを目的とするものである。また、本発明
は、原料コストの低減を達成することのできる蛍光体を
得ることを目的とするものである。更に、本発明で、製
造時の耐熱性を充分に満足できる蛍光体を得ることを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載された
発明に係る希土類酸化物・マグネシウム蛍光体では、組
成式が、 ([L]1-x・Eux23 ・y[M]O (ただし、0<x≦0.30,0<y≦18.0、
[L]はY,Gd,Laの何れか、[M]はマグネシウ
ム単独又はマグネシウムと2価の金属との混合物であ
る)で表わされる3価のユーロピウムで付活した蛍光体
である。
【0012】本請求項2に記載された発明に係る希土類
酸化物・マグネシウム蛍光体では、請求項1に記載の希
土類酸化物・マグネシウム蛍光体において、[M]Oの
組成割合yが、3<≦y≦16.0としたものである。
【0013】本請求項3に記載された発明に係る酸化イ
ットリウム・マグネシウム蛍光体では、組成式が、 (Y1-x Eux23 ・yMgO (ただし、0.10<x≦0.23,3<y≦16.0
である)で表わされる3価のユーロピウムで付活したも
のである。
【0014】
【作用】本発明においては、組成式が、 ([L]1-x・Eux23 ・y[M]O (ただし、0<x≦0.30,0<y≦18.0、
[L]はY,Gd,Laの何れか、[M]はマグネシウ
ム単独又はマグネシウムと2価の金属との混合物であ
る)で表わされる3価のユーロピウムで付活した蛍光体
である。
【0015】即ち、3価のユーロピウムで付活した例え
ば酸化イットリウム((Y0.96Eu0.0423 )蛍光
体等の希土類酸化物の特性を母体とし、これに酸化マグ
ネシウム又は酸化マグネシウムと他の2価の金属の酸化
物を混入させた本発明の蛍光体は、従来の3価のユーロ
ピウム(Eu3+)で付活したイットリウム塩蛍光体の発
光特性を維持しながら蛍光体の比重を小さくすることが
できる。これにより、三波長域発光形ランプで使用され
ている他の青色及び緑色蛍光体と、均一に混練すること
ができ、蛍光灯の内管壁面に3種類の蛍光体を塗布する
ことができる。また、蛍光体の膜厚が厚くなり、蛍光体
の光束の向上が期待できる。
【0016】また、本発明の蛍光体において特筆すべき
点は、混入される酸化マグネシウム又は酸化マグネシウ
ムと他の2価の金属の酸化物の量に従って、蛍光体当た
りの発光強度は低下するが、その低下の度合が、発光に
何も関与しない通常の増量剤を混入する場合に比べて遥
かに小さい。これは、混入される酸化マグネシウム又は
酸化マグネシウムと他の2価の金属の酸化物が、何らか
の形で、3価のユーロピウム(Eu3+)の付活効果を増
大させためであると考える。このため、所望の発光を得
るためのユーロピウム及び希土類(イットリウム,ガド
リニウム,ランタン)の使用量を減少させることがで
き、原料コストの低減を達成することができる。
【0017】即ち、単に得られる蛍光体の比重を小さく
するのであれば、蛍光体の嵩を増加させる増量剤を混入
することによって可能である。しかしながら、この場合
には、増量剤の混入割合に応じて、反比例的に発光強度
が低下する。しかしながら、本発明の蛍光体は、混入さ
れる酸化マグネシウム又は酸化マグネシウムと他の2価
の金属の酸化物に応じた蛍光体の実質的な発光強度の低
下が少ないことが本発明で確認されたものである。従っ
て、混入される酸化マグネシウム又は酸化マグネシウム
と他の2価の金属の酸化物は単なる増量剤ではないと考
える。
【0018】これは、次のことからも裏付けされる。即
ち、例えば母体となる3価のユーロピウムで付活した酸
化イットリウム蛍光体((Y0.96Eu0.0423
と、本発明の蛍光体との結晶を比較したところ、母体と
なる蛍光体の楕円又は球状結晶が、本発明の蛍光体では
僅かに立方晶系状のものに変化していることが観察され
たことより、酸化マグネシウム又は酸化マグネシウムと
他の2価の金属の酸化物の混入により、母体の酸化イッ
トリウム・ユーロピウム蛍光体とは別の蛍光体となった
と考える。
【0019】更に、この本発明の蛍光体は、耐熱性が例
えば母体とした3価のユーロピウムで付活した酸化イッ
トリウム((Y0.96Eu0.0423 )等の希土類酸化
物蛍光体と同等であるため、製造時の耐熱性を充分に満
足できることが確認されている。
【0020】尚、本発明の蛍光体における具体的な希土
類(L;イットリウム,ガドリニウム,ランタン)とユ
ーロピウム(Eu)の含量は、化学量論的に([L]
1-x Eux23 となるように混合する。この場合、
xの数値は、0より大きくなければ、付活剤としてのユ
ーロピウムが含まれないこととなり、蛍光を発すること
ができないためである。ところで、本発明の蛍光体は、
例えば酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体((Y
0.96Eu0.0423 )等の希土類酸化物蛍光体を母体
として、これに酸化マグネシウム又は酸化マグネシウム
と他の2価の金属の酸化物を混入するものであるため、
蛍光体の単位当りの発光強度は減少する。従って、好ま
しくは付活剤のユーロピウム含量xは、その母体となる
蛍光体のユーロピウム含量x(x=0.04)よりも増
やす。
【0021】また、xの数値(付活剤Euの含量)の上
昇に伴い、得られる蛍光体の発光強度は、ある許容点ま
では上昇するが、それ以降は徐々に低下することが認め
られる。ユーロピウムの含量の増加は、高価なユーロピ
ウムを多量に使用することとなり、得られる蛍光体のコ
ストを上昇させる。従って、本発明において、xの数値
(付活剤Euの含量)を0.30以下としたのは、この
数値を越えた場合には、発光強度が充分に上昇せず、原
料コストが高くなり過ぎるためである。
【0022】また、酸化マグネシウム(MgO)の組成
割合yは、0より大きくなければ(混入されなけれ
ば)、母体となる例えば酸化イットリウム・ユーロピウ
ム蛍光体((Y0.96Eu0.0423 )等の希土類酸化
物蛍光体と同じになる。また、酸化マグネシウムの組成
割合yの増加に伴い得られる蛍光体の比重が減少する
が、18.0よりも多く混入すると実質的に発光強度が
低下する。
【0023】また、母体となる例えば酸化イットリウム
・ユーロピウム蛍光体((Y0.96Eu0.0423 )等
の希土類酸化物蛍光体ではなく、本発明の蛍光体のう
ち、同じユーロピウム含量を増加させたユーロピウム付
活酸化イットリウム蛍光体(Y1-x Eux23 を比
較の対象にして、同じ重さの蛍光体を用いた場合を想定
すると、好ましくは、[M]Oの組成割合yが、3<≦
y≦16.0とした場合に、同じ重さでは、高い発光強
度が得られる。
【0024】更に、本発明の酸化イットリウム・マグネ
シウム蛍光体では、組成式が、 (Y1-x Eux23 ・yMgO (ただし、0.10<x≦0.23,3<y≦16.0
である)で表わされる3価のユーロピウムで付活したも
のであるため、比重が小さくされるのは勿論のこと、実
質的に良好な発光強度と、高価なイットリウム及びユー
ロピウムの含量を低減することができるため、安価に得
られる。また、製造時の耐熱性を充分に満足できる。
【0025】
【実施例】実施例A.蛍光体の製造 本蛍光体は、以下に述べる方法により製造した。例えば
高純度の酸化イットリウム(Y23 )及び酸化ユーロ
ピウム(Eu23 )を化学量論的に(Y1-x Eux2
3 となるように混合し、これを硝酸に溶解した後、
シュウ酸溶液を加えてシュウ酸イットリウム・ユーロピ
ウムを得る。それの900℃〜1000℃で焼成して酸
化イットリウム・ユーロピウム共沈物を得た。
【0026】酸化イットリウム・ユーロピウム共沈物
と、酸化マグネシウム又は高温で容易に酸化マグネシウ
ムに変わるマグネシウム化合物(例えば、塩基性炭酸マ
グネシウム)と(場合によっては2価の金属の酸化物又
は高温で容易に2価の金属酸化物に変わる化合物)と、
アルカリ土類のホウ酸塩(例えば、ホウ酸バリウム)等
とを酸化物に対して0.2%位添加して混合する。
【0027】尚、ホウ酸塩を添加するのは、蛍光体を焼
成する場合に結晶成長を促進させるため、又は焼成温度
を下げるために融剤(flux)として用いるためであ
る。これは、蛍光体の焼成について、一般に用いられる
手法である。
【0028】得られた混合物を大気中で1300〜13
50℃で3時間焼成する。以上の操作に則って、従来か
ら用いられている酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光
体及び種々の本発明の蛍光体を製造した。
【0029】実施例B.蛍光体の特性1(母体蛍光体量
一定) 蛍光体の一単位当りの嵩を増すことにより比重を軽減し
ようとする意図で、従来から用いられている酸化イット
リウム・ユーロピウム蛍光体((Y0.96Eu0. 042
3 )のイットリウム/ユーロピウムの組成比を変更せず
に、酸化マグネシウムの混入量を増加させた蛍光体を実
施例Aに沿って製造した。
【0030】得られた蛍光体試料1〜13の組成及び特
性(相対発光強度,x,y)を測定した。尚、相対発光
強度は従来から用いられている試料1の酸化マグネシウ
ムを含まない酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体
(試料1;(Y0.96Eu0.0423 )の発光強度を1
00%とした。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示す通り、酸化マグネシウム(Mg
O)の混入に応じて相対発光強度が低下することが示さ
れている。しかも、母体となる酸化イットリウム・ユー
ロピウム蛍光体(試料1;(Y0.96Eu0.0423
の特性(x,y)は維持されていることが判る。更に、
得られた蛍光体試料2〜13については、混入される酸
化マグネシウムに応じて、蛍光体の実質的な発光強度は
低下するが、その低下の割合は酸化マグネシウムの混入
モル比やユーロピウムの重量比の低下ほどは、低下しな
い。
【0033】ところで、母体となる酸化イットリウム・
ユーロピウム蛍光体(試料1;(Y0.96Eu0.042
3 )は、紫外線のエネルギーをY3+→Eu3+に遷移さ
せ、Eu3+の赤色発光を利用したものである。このた
め、発光強度はユーロピウムの組成割合に影響される
が、得られた蛍光体試料2〜13ユーロピウムの組成割
合に比べて発光強度の減少が少ない。
【0034】実施例C.蛍光体の特性2(酸化マグネシ
ウム一定) 更に、酸化マグネシウムが混入された蛍光体の特性を検
証した。酸化マグネシウムを一定(16モル)にして、
母体となる酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体のイ
ットリウム/ユーロピウムの組成比を変化させた蛍光体
を実施例Aに沿って製造した。
【0035】得られた蛍光体試料14〜20の特性(相
対発光強度,x,y,比重)を測定した。結果を次の表
2に示す。尚、相対発光強度は、同様に試料1の発光強
度を100%として表わした。更に、酸化マグネシウム
を同割合混入した表1の試料12のデータも合わせて記
載した。
【0036】
【表2】
【0037】表2に示す通り、ユーロピウムの組成割合
が増えるにつれて、相対発光強度が上昇するが、この上
昇もユーロピウムが0.22がピークとなり、それ以上
ユーロピウムの組成割合を増やしても、発光強度は上昇
しないことが示された。従って、酸化マグネシウムの添
加によって発光強度は低下するが、この低下を補うため
に、発光に寄与する付活剤であるユーロピウムの組成割
合を上昇させることにも限度があることが示された。
【0038】実施例D.蛍光体の特性3(ユーロピウム
含量一定) ところで、イットリウム及びユーロピウムは高価な蛍光
体原料である。そこで、母体となる酸化イットリウム・
ユーロピウム蛍光体(試料1;(Y0.96Eu0. 042
3 )に酸化マグネシウムを添加することにより、発光特
性(x,y)と相対発光強度とをなるべく低下させず、
比重を軽くすることのできる蛍光体を模索した。即ち、
酸化マグネシウムを変化させながら、付活剤であるイッ
トリウム含量(10重量%)を一定にした蛍光体を実施
例Aに沿って製造した。
【0039】得られた蛍光体試料21〜32の特性(相
対発光強度,x,y,比重)を測定した。結果を次の表
3に示す。尚、相対発光強度は従来から用いられている
試料1の酸化マグネシウムを含まない酸化イットリウム
・ユーロピウム蛍光体(試料1;(Y0.96Eu0.042
3 )の発光強度を100%とした。また、ユーロピウ
ム含量を10重量%とした酸化マグネシウムを含まない
酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体(試料1a;
(Y0.93Eu0.0723 )のデータも合わせて記載し
た。
【0040】
【表3】
【0041】表3に示す通り、蛍光体試料21〜32で
は、酸化マグネシウムの添加量に応じて比重が小さくな
ることが示されている。更に、発光特性(x,y)は、
母体となる酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体(試
料1及び試料1a;(Y0.96Eu0.0423 及び(Y
0.93Eu0.0723 )と殆ど変化がないことが示され
た。
【0042】図1は得られた蛍光体試料21〜32と相
対発光強度との関係を示す線図である。表3及び図1に
示す通り、発光特性は、酸化イットリウム・ユーロピウ
ム蛍光体に対して、酸化マグネシウムの添加量が、1.
0モルから5.0モルまでは徐々に輝度が高くなり、
5.0モルを境に徐々に低下した。
【0043】また、図2は得られた蛍光体試料21〜3
2と比重との関係を示す線図である。比重の変化は酸化
マグネシウムの添加量が多くなると3モルくらいまでは
徐々に低下し、4〜5モルで急激に小さくなり、その後
は徐々に小さくなることが確認された。
【0044】ここで、表3では、得られた蛍光体試料2
1〜32の比重換算における発光強度比を求めた。即
ち、従来の酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体を1
00%として、個々の蛍光体試料の発光強度を比重換算
して、発光強度比を求めた。具体的には、個々の蛍光体
試料の相対発光強度に対して、その蛍光体試料の比重を
5.12で割ったものを個々の相対発光強度で割って求
めた。また、図3は得られた蛍光体試料21〜32と比
重換算による発光強度比との関係を示す線図である。
【0045】表3及び図3に示す通り、蛍光体試料21
〜32は何れも比重換算による発光強度比は、酸化マグ
ネシウムを添加しない従来の蛍光体(試料1;(Y0.96
Eu0.0423 )よりも向上することが示された。即
ち、同じ重量の蛍光体試料では、母体となる酸化イット
リウム・ユーロピウム蛍光体(試料1;(Y0.96Eu
0.0423 )よりも高い発光強度が得られること、更
には、ユーロピウム含量を10重量%とした酸化イット
リウム・ユーロピウム蛍光体(試料1a;(Y0. 93Eu
0.0723 )よりも高い発光強度が得られることが示
された。
【0046】更に、得られた蛍光体試料21〜32につ
いて、製造に必要なコストを計算してみた。用いる原料
の単価をY23 = 7,000円/kg、Eu23 =45,000
円/kg、MgO= 2,500円/kg(出願時現在)として計
算し、歩留りを95%として計算した。結果を次の表4
に示す。
【0047】尚、比較として、酸化イットリウム・ユー
ロピウム蛍光体(試料1;(Y0.96Eu0.0423
の発光強度を100%とした。また、ユーロピウム含量
を10重量%とした酸化イットリウム・ユーロピウム蛍
光体(試料1a;(Y0.93Eu0.0723 )のデータ
も合わせて記載した。
【0048】
【表4】
【0049】蛍光体試料21〜32では、ユーロピウム
の含量は、蛍光体試料1aと同等であるが、酸化マグネ
シウムの混入量の増加に従い、イットリウムの含量が減
少する。このイットリウムの減少に伴い、コストが低減
される。出願時現在の各原料コストによれば、コスト減
となるのは、酸化マグネシウムが4モル以上添加される
場合である。
【0050】実施例E.蛍光体の特性4(酸化マグネシ
ウムと2価の金属酸化物との混合) 母体となる酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体(試
料1;(Y0.96Eu0. 0423 )に添加される酸化マ
グネシウムについて、酸化マグネシウム以外のものを混
合した場合を検討した。尚、相対発光強度は従来から用
いられている試料1の酸化マグネシウムを含まない酸化
イットリウム・ユーロピウム蛍光体(試料1;(Y0.96
Eu0.0423 )の発光強度を100%とした。ま
た、ユーロピウム含量を10重量%とした酸化イットリ
ウム・ユーロピウム蛍光体(試料1a;(Y0.93Eu
0.0723 )のデータも合わせて記載した。結果を次
の表5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】表5に示す通り、酸化マグネシウムと2価
の金属との混合物の場合も、従来の3価のユーロピウム
(Eu3+)で付活したイットリウム塩蛍光体の発光特性
を維持しながら蛍光体の比重を小さくすることができ
る。
【0053】実施例F.蛍光体の特性5(希土類の選
択) 前述の実施例A〜Eまでは、希土類としてはイットリウ
ムを用いた。比重の大きい赤色蛍光体は、酸化イットリ
ウム・ユーロピウム蛍光体以外にも酸化ガドリニウム・
ユーロピウム蛍光体((Gd0.92Eu0.08)23 ),酸
化イットリウム・酸化ガドリニウム・ユーロピウム蛍光
体((Y0.80Gd0.12Eu0.08)23 ),酸化イットリ
ウム・酸化ランタン・ユーロピウム蛍光体((Y0.80
0.12Eu0.08)23 )が知られている。
【0054】これらの蛍光体についても、同様に酸化マ
グネシウムを混合したした場合を検討した。尚、相対発
光強度は従来から用いられている試料1の酸化マグネシ
ウムを含まない酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体
(試料1;(Y0.96Eu0.0423 )の発光強度を1
00%とした。結果を次の表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】表6に示す通り、希土類が相違する蛍光体
に対しても、実施例A〜Eと同様に酸化マグネシウムを
混合すると、酸化マグネシウムの混合に応じて比重が小
さくなる。しかしながら、混入される酸化マグネシウム
に応じた蛍光体の実質的な発光強度の低下が少ない。従
って、希土類が相違しても、実施例A〜Eと同様に酸化
マグネシウムと他の2価の金属の酸化物を混合させても
同様の結果が得られるものと考えられる。
【0057】実施例G.蛍光体の特性6(熱安定性) 得られた蛍光体試料について、熱安定性を検証した。具
体的には実施例Dで得られた蛍光体試料21〜32を空
気中で600℃×15分間加熱して、酸化マグネシウム
が4〜5モルでは色変化がほとんどなく輝度も高くなっ
ている。それを表7に示す。
【0058】
【表7】
【0059】近年、蛍光灯は、コンパクト化が進み、蛍
光体は製造時の耐熱性が要求されている。酸化マグネシ
ウムを混入した蛍光体は、それを充分に満足できるもの
であることが示された。
【0060】実施例H.酸化イットリウム・ユーロピウ
ム蛍光体との相違 図4は従来の酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体と
本発明の蛍光体との分光分布を示す線図である。図4に
示す通り、従来の酸化マグネシウムを添加しない3価の
ユーロピウムで付活した酸化イットリウムを母体とする
蛍光体と比較すると535nmの弱い発光が消えて58
0〜600nmの副波が低くなり赤味の強い赤色蛍光体
になることが確認された。
【0061】図5は電子顕微鏡で撮影した従来の酸化イ
ットリウム・ユーロピウム蛍光体と本発明の蛍光体との
結晶の状態を示す図面代用写真である。図5に示す通
り、結晶の形を、電子顕微鏡で観察すると、酸化マグネ
シウムを加えると従来の楕円又は球状結晶が、僅かに立
方晶系状のものに変化していることが観察できる。
【0062】以上の結果から、特に酸化マグネシウムが
4〜5モルであれば、従来の3価のユーロピウムで付活
した酸化イットリウムを母体とする蛍光体よりも原料原
価の低減が可能となる。それは、酸化マグネシウムが酸
化イットリウムより1/2以下の価格のためである。ま
た、酸化イットリウムの原料を輸入に頼らなければなら
ない現状では、安価な国内資源を活用することも有効で
ある。
【0063】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、組成式
が、 ([L]1-x・Eux23 ・y[M]O (ただし、0<x≦0.30,0<y≦18.0、
[L]はY,Gd,Laの何れか、[M]はマグネシウ
ム単独又はマグネシウムと2価の金属との混合物であ
る)で表わされる3価のユーロピウムで付活した蛍光体
は、この蛍光体の母体となった従来の3価のユーロピウ
ム(Eu3+)で付活した希土類酸化物蛍光体の発光特性
を維持しながら蛍光体の比重を小さくすることができ
る。また、混入される酸化マグネシウム又は酸化マグネ
シウムと他の2価の金属の酸化物の量に従って、蛍光体
当たりの発光強度は低下するが、その低下の度合が、発
光に何も関与しない通常の増量剤を混入する場合に比べ
て遥かに小さい。
【0064】これにより、三波長域発光形ランプで使用
されている他の青色及び緑色蛍光体と、均一に混練する
ことができ、蛍光灯の内管壁面に3種類の蛍光体を塗布
することができる。また、蛍光体の膜厚が厚くなり、蛍
光体の光束の向上が期待できる。
【0065】更に、所望の発光を得るためのユーロピウ
ム及び希土類(イットリウム,ガドリニウム,ランタ
ン)の使用量を減少させることができ、原料コストの低
減を達成することができる。また、耐熱性が、母体とし
た例えば3価のユーロピウムで付活した酸化イットリウ
ム((Y0.96Eu0.0423 )等の希土類酸化物蛍光
体と同等であるため、製造時の耐熱性を充分に満足でき
る。
【0066】また、好ましくは、[M]Oの組成割合y
が、3<≦y≦16.0とした場合には、同じ重さで
は、本発明の蛍光体と同じユーロピウム含量を増加させ
たユーロピウム付活酸化イットリウム(Y1-x Eux
23 と比較しても、高い発光強度が得られる。
【0067】更に、本発明の酸化イットリウム・マグネ
シウム蛍光体では、組成式が、 (Y1-x Eux23 ・yMgO (ただし、0.10<x≦0.23,3<y≦16.0
である)で表わされる3価のユーロピウムで付活したも
のであるため、比重が小さくされるのは勿論のこと、実
質的に良好な発光強度と、高価なイットリウム及びユー
ロピウムの含量を低減することができるため、安価に得
られる。また、製造時の耐熱性を充分に満足できるとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】得られた蛍光体試料21〜32と相対発光強度
との関係を示す線図である。
【図2】得られた蛍光体試料21〜32と比重との関係
を示す線図である。
【図3】得られた蛍光体試料21〜32と比重換算によ
る発光強度比との関係を示す線図である。
【図4】従来の酸化イットリウム・ユーロピウム蛍光体
と本発明の蛍光体との分光分布を示す線図である。
【図5】電子顕微鏡で撮影した従来の酸化イットリウム
・ユーロピウム蛍光体と本発明の蛍光体との結晶の状態
を示す図面代用写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神田 力 神奈川県大和市下鶴間2丁目2番1号 株 式会社東京化学研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式が、 ([L]1-x・Eux23 ・y[M]O (ただし、0<x≦0.30,0<y≦18.0、
    [L]はY,Gd,Laの何れか、[M]はマグネシウ
    ム単独又はマグネシウムと2価の金属との混合物であ
    る)で表わされる3価のユーロピウムで付活した希土類
    酸化物・マグネシウム蛍光体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の希土類酸化物・マグネ
    シウム蛍光体において、 [M]Oの組成割合yが、3<y≦16.0としたこと
    を特徴とする希土類酸化物・マグネシウム蛍光体。
  3. 【請求項3】 組成式が、 (Y1-x Eux23 ・yMgO (ただし、0.10<x≦0.23,3<y≦16.0
    である)で表わされる3価のユーロピウムで付活した酸
    化イットリウム・マグネシウム蛍光体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100357392C (zh) * 2003-11-24 2007-12-26 三星Sdi株式会社 用于等离子体显示面板的绿色磷光体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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