JPH08198981A - 2軸配向ポリアミドフィルム - Google Patents

2軸配向ポリアミドフィルム

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JPH08198981A
JPH08198981A JP954595A JP954595A JPH08198981A JP H08198981 A JPH08198981 A JP H08198981A JP 954595 A JP954595 A JP 954595A JP 954595 A JP954595 A JP 954595A JP H08198981 A JPH08198981 A JP H08198981A
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JP
Japan
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film
nylon
biaxially oriented
oriented polyamide
longitudinal direction
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Application number
JP954595A
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Inventor
Masanobu Hioki
正信 日置
Minoru Kishida
稔 岸田
Atsuhiro Ishikawa
敦浩 石川
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐屈曲ピンホール性や、寸法安定性に優れる
と共に、フィルムの長手方向および/または巾方向の引
裂直進性に優れたフィルムを提供する。 【構成】 ナイロン66(N66という)とN66以外
の脂肪族ポリアミド樹脂(PAという)との重量比75
〜99/25〜1の混合物を主原料とする2軸配向ポリ
アミドフィルムであって、N66とPAの表面張力(dy
ne/cm )の差が式(1)を満足することを特徴とするフ
ィルム長手方向および/またはフィルム巾方向に引裂直
進性を有する2軸配向ポリアミドフィルム。 3. 0≦γA −γB ≦15. 0 (1) ただし、γA はN66の表面張力、γB はPAの表面張
力を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ナイロン66と他の脂
肪族ポリアミド樹脂とからなる混合物を主原料とし、フ
ィルム長手方向および/またはフィルム巾方向の引裂直
進性に優れ、かつ、優れた機械的強度、耐熱性、耐油
性、耐溶剤性、寸法安定性を有し、食品、医薬品、雑貨
等の包装材料として好適な2軸配向ポリアミドフィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品、医薬品、雑貨などの包装には、各
種のプラスチックフィルム製包装袋が多く使用されてお
り、2軸延伸されたプラスチックフィルムとヒートシー
ル可能な無配向フィルムを2層あるいは3層以上ラミネ
ートした包装袋が広く使用されている。特に耐久性、耐
熱性、耐油性、耐溶剤性、力学的強度等が必要な分野で
は、2軸配向フィルムとしてフラット同時2軸延伸法、
フラット逐次2軸延伸法、チューブラ法等を用いて製造
した高強度の2軸配向ポリアミドフィルムが使用されて
いる。
【0003】これらの2軸配向ポリアミドフィルムを使
用した包装袋は、引裂開封性が悪いという問題点を有し
ており、その開封性を良くする工夫としてノッチが付さ
れている場合がある。ところが、このノッチから引き裂
いた際に、包装袋の縦あるいは横方向に容易に、あるい
は直線的に引き裂けない現象がしばしば発生する。この
ような場合には、開封が歪んだ線に沿って行われ、無理
に引き裂こうとするために余分な力がかかり、その結
果、内容物が飛散して無駄になるばかりでなく、内容物
が液体の場合には衣服を汚したりする事故が起こること
がある。このような問題を解決するため、2軸配向ポリ
アミドフィルムとヒートシール可能な無配向フィルムを
ラミネートしてそのシール強度を弱くして製袋し、シー
ル部から袋を引き裂いて開封する方法がとられることが
あるが、うまく開封できない場合や開封前の運搬中での
取扱いで、シール部から内容物が飛散することもあり、
改善が求められている。
【0004】フィルムを引き裂いた際に直進性に優れる
易開封性材料としては、1軸配向ポリオレフィンフィル
ムを中間層としてラミネートしたものがある。例えば、
2軸配向ポリアミドフィルム/1軸配向ポリオレフィン
フィルム/無配向ポリオレフィンフィルムの3層ラミネ
ートフィルムがある。しかし、この場合には1軸配向フ
ィルムの延伸方向の引裂直進性は改良されるものの、引
裂直進性改良のためだけに新たな中間層を設ける多層構
造になるため、高価になるなどの問題が残っており、用
途が限定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決しようとするものであり、優れた耐久性、耐熱
性、耐油性、耐溶剤性、力学的強度を有すると共に、食
品等の包装材料として乾熱または湿熱環境下での実用上
の耐熱寸法安定性を有し、フィルムの長手方向、巾方
向、あるいは長手方向と巾方向の両方向の引裂直進性を
有する易開封性包装袋用材料として好適な2軸配向ポリ
アミドフィルムを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達
した。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。ナ
イロン66(N66という)とN66以外の脂肪族ポリ
アミド樹脂(PAという)との重量比75〜99/25
〜1の混合物を主原料とする2軸配向ポリアミドフィル
ムであって、N66とPAの表面張力(dyne/cm )の差
が式(1)を満足することを特徴とするフィルム長手方
向および/またはフィルム巾方向に引裂直進性を有する
2軸配向ポリアミドフィルム。 3. 0≦γA −γB ≦15. 0 (1) ただし、γA はN66の表面張力、γB はPAの表面張
力を表す。
【0007】本発明において使用するN66は、N66
単独重合体のほか、N66を主たる構成成分とする共重
合体を含む。
【0008】本発明におけるPAとしては、たとえば、
ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン10、
ナイロン11、ナイロン12、ナイロン69、ナイロン
610、ナイロン612等を90モル%以上含有するも
のが挙げられ、これらを単独またはブレンドしたものが
用いられる。
【0009】また、ナイロン6と他のナイロンとの共重
合体を90モル%以上含有するものも使用することがで
きる。共重合体を構成するナイロン6と他のナイロンの
共重合モル比は、10〜90/90〜10であることが
最も好ましい。
【0010】これらの中で、特に好ましくは、ナイロン
11、ナイロン12、ナイロン69、ナイロン610、
ナイロン612、ナイロン6/11(ナイロン6とナイ
ロン11の共重合体)、ナイロン6/12(ナイロン6
とナイロン12の共重合体)を挙げることができる。
【0011】本発明の効果を損なわない範囲で、これま
でに掲げたN66やPA以外のポリアミド、たとえば、
ナイロン46等の脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミ
ド、芳香環含有ポリアミドや、ポリアミド以外のポリマ
ー、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン等を含有していてもよい。
【0012】また、本発明の効果を損なわない範囲で、
ポリアミド用の各種の添加剤を含有していてもよい。こ
のような添加剤としては、シリカ、炭酸カルシウム等の
無機系滑剤や有機系滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
劣化防止剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、充填
剤、顔料等が挙げられる。
【0013】本発明においては使用されるPAとして
は、N66と適度の相溶性を有することが必要である。
2種以上のポリマーの相溶性の指標としては、ポリマー
の表面張力が利用されるが、本発明における、N66と
PAの表面張力差Δγ=γA −γB (dyne/cm )は、
3. 0〜15. 0であることが必要であり、好ましくは
4. 0〜12. 0、さらに好ましくは5.0〜9.0で
あることが望ましい。
【0014】本発明で用いる表面張力(γ)は、数1に
より求めた物質の化学構造のみに基づく計算値である。
〔式中、ΔEi は各原子と各原子の相互作用によるモル
凝集エネルギーへの寄与(J/mol )、ΔVi は van d
er Waals体積の増分(Å3 )、Aは繰り返し単位中の原
子数を示す。〕
【0015】
【数1】
【0016】すなわち、N66の表面張力は45. 2で
あるので、N66と混合する場合のPAの表面張力は3
0. 2〜42. 2の範囲に入るポリマーである必要があ
る。
【0017】この場合には、N66とPAは互いに適度
な相溶性を有し、PAがN66中に適度な大きさで分散
し、引裂直進性が発現する。表面張力差が3. 0未満で
は両ポリマーの相溶性が良すぎて引裂直進性が得られ
ず、15. 0より大きくなると溶融張力と分子鎖の応力
緩和のバランス不良により、製膜した未延伸シートの厚
さむらが大きくなり、安定した引裂直進性が得られな
い。
【0018】また、本発明のフィルムは、N66とPA
との重量比が75〜99/25〜1の混合物を主原料と
することが必要である。PAの割合が1重量%未満で
は、引裂直進性が発現せず、25重量%を超えると、フ
ィルムの耐屈曲ピンホール性等の力学特性が低下するの
で望ましくない。
【0019】PAの割合の好ましい範囲としては、15
〜2重量%、さらに好ましくは10〜3重量%である。
【0020】本発明においては、N66中にPAが島状
に細かく分散しており、このPAの分散粒子の形状は、
フィルムの引裂直進性が発現する方向と密接に関連して
いる。
【0021】PAの分散粒子の形状を左右する要因とし
ては、ポリマーの種類や溶融粘度等のポリマーに起因す
るものと、フィルムの製造条件がある。
【0022】フィルムの製造条件としては、混合したポ
リアミド原料を押出機に投入し、加熱溶融した後、口金
からシート状に押し出し、冷却ドラムに巻きつけて急冷
する際の口金と冷却ドラムとの間での溶融シートの引張
変形と、フィルムの延伸倍率が大きな要因である。口金
孔の間隔とシート厚さとの比はドラフト比(DR)とよ
ばれ、この値を大きくするほど、PAの分散粒子の形状
が細長くなる。
【0023】本発明者らは、未延伸シートにおいて、N
66中のPAの分散状態を観察する手法として、図1に
示す装置を用いて測定した透過散乱光照度異方比(以
下、IARと記す)を用いた。すなわち、図1におい
て、暗室内で鏡筒等を取り外した光学顕微鏡2のステー
ジ5にフィルム長手方向がデジタル照度計4(科学共栄
社製DX−100)が置かれた方向と平行になるように
未延伸シート6を置き、光源1の光がミラー3で反射し
た反射光が未延伸シートに到達した点から距離40m
m、仰角30゜の位置に設置した照度計にて透過散乱光
照度(IM )を、レンジ1で測定した。次に、ステージ
を90゜回転させて、フィルム巾方向の透過散乱光照度
(IT )を同様に測定し、IARを次式より求めた。
【0024】IAR=IM /IT IARは、フィルム長手方向とフィルム巾方向の透過散
乱光照度の比であり、IARが0に近い程、PA分散粒
子の長軸方向がフィルム長手方向に強く配向しており、
IARが1に近い程、PA分散粒子が球状に近くなる。
このIARを用いれば、未延伸シート中のPAの分散粒
子の形状や分散状態を観察することができるため、本発
明の2軸延伸フィルムの引裂直進性との関連を考察する
上で有用である。
【0025】本発明においては、IARが0. 1〜1.
0の値を有する未延伸シートを、延伸工程において、縦
横の延伸倍率を変化させることにより、フィルムの長手
方向、巾方向、あるいは両方向に引裂直進性を有する2
軸配向ポリアミドフィルムを効率良く得ることができ
る。
【0026】すなわち、未延伸シートのIARが約0.
1〜0. 6で、PA分散粒子の長軸方向がフィルム長手
方向に比較的強く配向している場合、縦方向の延伸倍率
/横方向の延伸倍率を0.8〜1.2程度の同程度の延
伸比とすると、得られる2軸配向ポリアミドフィルムは
長手方向のみの引裂直進性を有する。また、縦方向の延
伸倍率/横方向の延伸倍率が0.8以下程度に横方向へ
の延伸倍率を高めると、得られる2軸配向ポリアミドフ
ィルムは、両方向の引裂直進性を有する。
【0027】未延伸シートのIARが約0. 6〜1. 0
程度で、PA分散粒子のフィルム長手方向への配向が小
さい場合は、縦方向の延伸倍率/横方向の延伸倍率が
0.8〜1.2の同程度の延伸比とすると、両方向の引
裂直進性が得られるが、縦方向の延伸倍率/横方向の延
伸倍率を1.2以上にすると長手方向のみの引裂直進性
が得られる。また、縦方向の延伸倍率/横方向の延伸倍
率を0.8以下に横方向への延伸倍率を高めると、巾方
向のみの引裂直進性が得られる。
【0028】本発明におけるPAの融点は、N66より
も低いことが望ましい。PAの融点がN66よりも高い
場合には、均一な未延伸シートが得られない場合があ
る。
【0029】本発明において、PAの溶融粘度は、N6
6に対して0. 1〜4. 0倍、好ましくは0. 2〜2.
0倍の範囲であることが望ましい。溶融粘度比(以下、
PRと記載する)が0. 1未満では、PAの分散粒子径
が小さくなりすぎてフィルムの引裂直進性が悪くなり、
また、PRが4. 0を超えると、均一なフィルムが得ら
れないので望ましくない。
【0030】また、本発明において、PAのガラス転移
温度は、N66の結晶化温度(N66単独は210℃)
よりも20℃以上、さらに好ましくは30℃以上低いこ
とが望ましい。この理由は、PAのガラス転移温度がN
66の結晶化温度よりも高い場合、フィルム製造工程に
おいて、N66が結晶化を開始する時点でPAはガラス
状態であり、延伸工程でのPAの分散粒子の形状のコン
トロールが困難となり、安定した引裂直進性が得られな
くなるからである。 本発明の2軸配向ポリアミドフィ
ルムの製造法としては、公知のチューブラインフレーシ
ョン法、テンター同時2軸延伸法、ロールとテンターに
よる逐次2軸延伸法が利用できるが、次に、本発明のフ
ィルムのテンター同時2軸延伸法について説明する。
【0031】N66とPAとの重量比が75〜99/2
5〜1の混合物を押出機に投入し、加熱溶融した後、T
ダイのダイオリフィスからシート状に押し出し吐出す
る。次いで、Tダイのダイオリフィスから吐出されて軟
化状態にあるシートを冷却ドラムに巻きつけて冷却す
る。続いて、得られた未延伸シートを水分率1〜6重量
%に調整し、150〜220℃の温度で、延伸倍率3.
0〜4. 0倍の範囲で同時2軸延伸する。
【0032】2軸延伸されたフィルムを、通常、引き続
きN66の融点以下、融点マイナス40℃以上の温度域
で熱処理して2軸配向を固定させる。
【0033】延伸、熱処理して得られた2軸配向フィル
ムは、必要に応じて、易接着性を付与するために、片面
または両面にコロナ放電処理やコーティング等の物理化
学的表面処理が施される。
【0034】本発明のフィルムは、優れた強靭性、実用
強度、耐熱寸法安定性に加え、フィルムの長手方向、巾
方向あるいは両方向の引裂直進性を有するので、食品、
医薬品、雑貨等の易開封性包装材料として好適である。
【0035】本発明のフィルムを包装袋用として使用す
る場合、通常、ヒートシール性を付与したり、ガスバリ
ヤー性を高めたりするために、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル
などの他のプラスチックフイルム、紙、アルミニウムな
どの金属箔などと積層して用いられる。この場合、本発
明のフィルムは、少なくとも1層に用いられ、積層フイ
ルムが引裂直進性を有する限り、積層数などは特に限定
されない。
【0036】このような積層フィルムを、本発明のフィ
ルムの長手方向が引裂方向となるように製袋することに
より、易開封性包装袋が得られる。そして、この包装袋
は、優れた引裂直進性を有するので、スープ、ジャム、
レトルトパウチなどの食品をはじめ、医薬品、日用品、
トイレタリーなどの包装袋として有用である。
【0037】
【作用】本発明においては、島状に分散したPAとマト
リックスを構成するN66の界面の相互作用が小さいた
め、引裂時の応力がこの部分に集中することにより引裂
直進性が発現するものと思われる。
【0038】2軸配向フィルム中のPAが、球状ないし
円盤状、または変形度の小さい楕円体として分散してい
る場合、破壊は引裂方向の両ポリマーの界面に沿って進
行するため、両方向に引裂直進性が発現するものと考え
られる。また、PAが、フィルムの長手方向あるいは巾
方向に長軸を持つ、変形度の大きい楕円体になっている
場合、楕円体の長軸方向に集中して破壊応力が伝わるの
で、楕円体の長軸方向のみに引裂直進性が発現するもの
と思われる。
【0039】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例および比較例の評価に用いた原料お
よび測定法等は、次のとおりである。
【0040】(1)原料 N66; ICI社製、商品名:Maranyl A125 ナイロン610(N610); (ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸とからの脂肪族
ポリアミド) 昭和電工社製、商品名:テクニールD316 ナイロン69(N69);次のようにして合成した。 オートクレーブ(容積68. 3l)に25. 5lの水と
945gのアゼライン酸を投入し、撹拌した。一方、7
5%ヘキサメチレンジアミン水溶液10. 5lを80
℃、pH7. 60〜7. 63に調整した後、前記オート
クレーブに投入し、窒素雰囲気下、閉鎖系で250℃で
6時間反応させた後、放圧し、13. 5kgのN69の
ポリマーを得た。
【0041】ナイロン6/11(N6/11);次のよ
うにして合成した。オートクレーブにε−カプロラクタ
ム5.0kg、11−アミノウンデカン酸8.9kg、
水1.0kgを投入し、260℃までゆっくり昇温し、
2時間後、内圧を4kg/cm2 に調整した。260℃
で2時間反応させた後、発生する水蒸気を徐々に除去
し、放圧して常圧に戻した後、減圧下で1.5時間反応
させ、N6/11のポリマーを得た。
【0042】ナイロン6/12(N6/12);次のよ
うにして合成した。オートクレーブにε−カプロラクタ
ム5.0kg、12−アミノドデカン酸9.5kg、水
1.0kgを投入し、260℃までゆっくり昇温し、2
時間後、内圧を4kg/cm2 に調整した。260℃で
2時間反応させた後、発生する水蒸気を徐々に除去し、
放圧して常圧に戻した後、減圧下で1.5時間反応さ
せ、N6/12のポリマーを得た。
【0043】ナイロン612(N612);次のように
して合成した。等モルのヘキサメチレンジアミンとドデ
カン二酸および水をオートクレーブ中に投入し、若干の
加圧下、150℃で約80%の塩濃度になるまで加熱、
濃縮し、15〜20気圧になるまで加熱した。その後、
15〜20気圧で250℃にまで加熱し、発生する水蒸
気を徐々に除去し、放圧して常圧に戻した後、さらに減
圧下で270〜280℃に加熱し、N612のポリマー
を得た。
【0044】ナイロン11(N11); (11−アミノウンデカン酸の重縮合による脂肪族ポリ
アミド) 東レ社製、商品名:リルサンBMNO ナイロン12(N12); (ω−ラウロラクタムの開環重合によって得られる脂肪
族ポリアミド) EMS Chemie社製、商品名:グリルアミドL16 ナイロン6(N6); ユニチカ社製、商品名:A1030BRF 共重合ナイロン(AN−1);次のようにして合成し
た。 オートクレーブにイソフタル酸2.68kg、4,4,
−ジアミノ−3,3,−ジメチルジシクロヘキシレンメ
タン3.89kg、アミノドデカン酸3.76kg、水
5kgを入れ、260℃、内圧18kg/cm2 で2時
間重合した。放圧して払い出し、透明なAN−1を得
た。
【0045】(2)測定法等 (a)ガラス転移温度 Perkin Elmer社製DSC7により各試料の熱特性分析を
行い、昇温、降温時のベースラインの変化より求めた。
実施例および比較例に用いたポリマーのガラス転移温度
を表1に示した。
【0046】(b)表面張力;三菱総合研究所製のソフ
トウェア「高分子材料設計支援システム EXPOD」
をソニー社製ワークステーション NET WORK
STATION NWS- 1860とNEWS- OS
R3. 3 上で動作させ、数1の式により求めた。実施
例および比較例に用いたポリマーの表面張力を表1に示
した。
【0047】(c)溶融粘度;100℃で10時間真空
乾燥した樹脂の溶融粘度を、直径0. 5mm、長さ2.
0mmのノズルを付けたフローテスター(島津製作所製
CFT−500)を用い、温度280℃で予熱時間18
0sec の条件で、荷重を変えて4点測定した。
【0048】得られた剪断速度−溶融粘度曲線より、剪
断速度1000 sec-1時の見かけの溶融粘度を読みとっ
た。単位は N・ sec ・ m-2 実施例および比較例に用いたポリマーの溶融粘度を表1
に示した。
【0049】
【表1】
【0050】(d)透過散乱光照度異方比(IAR);
溶融押し出し後、冷却された未延伸シートのIARの測
定を次の様に行った。
【0051】暗室内で鏡筒等を取り外した光学顕微鏡の
ステージに未延伸シートを置き、未延伸シートにより観
察されるフィルム長手方向の方位の光源光のフィルム透
過散乱光照度(IM )を、光源からの距離40mm、仰
角30゜の位置に設置したデジタル照度計DX−100
(科学共栄社製)を用いてレンジ1で測定する。次に、
ステージを90゜回転させて、未延伸シートにより観察
されるフィルム巾方向の方位の光源光のフィルム透過散
乱光照度(IT )を同様に測定し、IARを次式より求
める。 IAR=IM /IT 散乱光照度異方比の測定系を図1に示す。
【0052】(e)引裂直進性; 長手方向 2軸配向フィルムより長手方向に205mm、巾方向に
40mmの短冊状のフィルム片を切り出し、このフィル
ム片の一方の短辺の中央部に長さ5mmの切り込みを入
れた試料を10本作製する(図2)。次に、切り込みよ
り長辺方向に手で引き裂き、図3(a) のように、引き裂
き伝播端が切り込みを入れた辺に向かい合う短辺に到達
した試料本数を長手方向の引裂直進性の評価値とした
(評価値:0〜10)。 巾方向 フィルムの巾方向に205mm、長手方向に40mmの
短冊状のフィルム片を切り出したものを試料とした以外
は、上記と同様に測定した。なお、評価は、延伸後巻き
取ったフィルムの左端部、中央部および右端部それぞれ
について実施した。
【0053】(f)曇度(ヘイズ);透明性を表す指標
として、15μm厚のフィルムのヘイズをASTMD
1003−61に準拠して測定を行った。フィルムの評
価は、ヘイズ≦10%を○、10%<ヘイズ≦20%を
△、ヘイズ>20%を×とした。
【0054】(g)耐屈曲ピンホール性;20℃、65
%RHの条件下で調湿した20.3mm×27.9mm
の長方形のフィルムをゲルボフレックステスター(理学
工学社製)に装着して、8.9mm直進中に440°回
転し、さらに6.4mm直進し、その後、逆の行程で元
の位置に戻るまでの動きを1回と数えて、10000回
の屈曲テストを行った。屈曲テスト後のフィルムについ
て、着色液(三菱瓦斯化学社製エージレスシールチェッ
ク)をフィルムの片面に塗布し、液が反対面に浸透した
個数をピンホール数として計測した(測定面積は497
mm2 )。
【0055】なお、実施例1〜14および比較例1〜4
の組成物の配合組成(重量%)を表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】実施例1 N66とN610を95/5の重量比で混合した組成物
を調製した。(Δγ=5. 6、PR=1. 1)この組成
物を、コートハンガータイプのTダイを具備した50m
mφ押出機を使用して樹脂温度260℃で溶融押出し
し、20℃に温調された冷却ドラムに密着急冷し、厚さ
約150μmの未延伸シートを得た。この時のTダイの
スリットの間隔は約1.3mmで、DR=8. 8、IA
R=0. 6であった。得られた未延伸シートを50℃に
調整した温水槽に送り、2分間の浸水処理を施して水分
率4. 9%とし、このシートの端部をテンター式同時2
軸延伸機のクリップに保持させ、175℃の条件下で縦
方向に3. 0倍、横方向に3. 3倍延伸した後、横方向
の弛緩処理を5%として、210℃で4秒間の熱処理を
施し、室温まで徐冷し、厚さ15μmの2軸配向フィル
ムを得た。得られた2軸配向フィルムについて、引裂直
線性と耐屈曲ピンホール性を測定し、その結果を表3に
示した。表3に示すとおり、N66の2軸配向フィルム
と同等の耐屈曲ピンホール性と透明性を示し、フィルム
の長手方向と巾方向の両方向の引裂直進性を有してい
た。
【0058】実施例2 DRを15.0とした以外は実施例1と同様にして2軸
配向フィルムを得た。
【0059】得られたフィルムは、表3に示すとおり、
優れた耐屈曲ピンホール性、透明性を有し、フィルムの
長手方向の引裂直進性を有していた。
【0060】実施例3〜4 N610の混合重量比を表2のように変えた以外は実施
例1と同様にして2軸配向フィルムを得た。得られたフ
ィルムは、表3に示すとおり、優れた耐屈曲ピンホール
性、透明性を有し、フィルムの長手方向と巾方向の両方
向の引裂直進性を有していた。
【0061】実施例5〜12 N610の代わりに、N69、N6/12、N6/1
1、N612、N11、N12を使用する以外は実施例
1と同様にして2軸配向フィルムを得た。得られたフィ
ルムは、表3および表4に示すように、優れた耐屈曲ピ
ンホール性、透明性を有し、フィルムの長手方向と巾方
向の両方向の引裂直進性を有していた。
【0062】実施例13 DRを3. 3とした以外は実施例1と同様にして2軸配
向フィルムを得て、引裂直進性と耐屈曲ピンホール性を
測定した。得られたフィルムは、表4に示すように、優
れた耐屈曲ピンホール性、透明性を有し、フィルムの長
手方向と巾方向の両方向の引裂直進性を有していた。
【0063】実施例14 延伸倍率を縦方向5. 0倍、横方向3. 3倍とした以外
は実施例13と同様にして2軸配向フィルムを得て、引
裂直進性と耐屈曲ピンホール性を測定した。得られたフ
ィルムは、表4に示すように、優れた耐屈曲ピンホール
性、透明性を有し、フィルムの長手方向に良好な引裂直
進性を有していた。
【0064】実施例15 延伸倍率を縦方向3. 0倍、横方向5. 5倍とした以外
は実施例14と同様にして2軸配向フィルムを得て、引
裂直進性と耐屈曲ピンホール性を測定した。得られたフ
イルムは、表4に示すように、優れた耐屈曲ピンホール
性、透明性を有し、フィルムの巾方向に良好な引裂直進
性を有していた。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】比較例1、2 N610との配合比を表2の様に変更した以外は実施例
1と同様にして2軸配向フィルムを得た。表5に示すよ
うに、比較例1のN6単体フィルムは、引裂直進性がな
く、比較例2のフィルムは、良好な引裂直進性を有して
いたが、透明性が不良で、しかも耐屈曲ピンホール性が
非常に悪かった。
【0068】比較例3 N610の代わりにN6を表2に示す重量比で混合した
組成物を調製し、実施例1と同様にして2軸配向フィル
ムを得た。得られたフィルムは、表5に示すように、引
裂直進性を有しなかった。
【0069】比較例4 N610の代わりに、AN−1を表2に示す重量比で混
合した組成物を調製し、実施例1と同様にして2軸配向
フィルムを得た。得られたフィルムは、表5に示すよう
に、引裂直進性を有しなかった。
【0070】
【表5】
【0071】実施例16〜23および比較例5〜10 表6に示した包材構成の複層フィルムをドライラミネー
ト法で作成し、耐屈曲ピンホール性の評価を実施した。
次に、これらの複層フィルムを用いて、長手方向および
巾方向に各200mmからなる4方シール袋を作製し、
引裂直進性の評価を実施した。
【0072】包材構成の略号は、次のものを示す。 ON1:実施例1で得られた2軸配向フィルム ON6:実施例6で得られた2軸配向フィルム ON(1):比較例1で得られた2軸配向フィルム ON(2):比較例2で得られた2軸配向フィルム LLDPE:線状低密度ポリエチレン(東京セロファン
紙社製、TUX−TC、厚さ60μm) PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチ
カ社製、厚さ12μm) CPP:無配向ポリプロピレンフィルム(東レ社製、厚
さ60μm) AL:アルミ箔(昭和アルミニウム社製、厚さ7μm) 耐ピンホール性および引裂直進性を評価した結果を表6
に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、優れた強靭性、耐屈曲
ピンホール性を有すると共に、フィルムの長手方向およ
び/または巾方向に引裂直進性を有するフィルムが提供
される。また、本発明のフィルムを包装袋を構成するフ
ィルムの1層以上に用いることによって、優れた開封性
を有する包装袋が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透過散乱光照度異方比(IAR)の測定装置を
示す説明図である。
【図2】フィルムの長手方向の引裂直進性評価に用いた
試験片の形状を示す図である。
【図3】引き裂き試験における引き裂き後の試験片の形
状を示す図であり、(a)は引裂直進性が良好な試験片
の例、(b)は引裂直進性が不良な試験片の例を示す。
【符号の説明】
1 光源 2 鏡筒を取り外した光学顕微鏡 3 ミラー 4 照度計 5 ステージ 6 未延伸シート 7 切り込み

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナイロン66(N66という)とN66
    以外の脂肪族ポリアミド樹脂(PAという)との重量比
    75〜99/25〜1の混合物を主原料とする2軸配向
    ポリアミドフィルムであって、N66とPAの表面張力
    (dyne/cm )の差が式(1)を満足することを特徴とす
    るフィルム長手方向および/またはフィルム巾方向に引
    裂直進性を有する2軸配向ポリアミドフィルム。 3. 0≦γA −γB ≦15. 0 (1) ただし、γA はN66の表面張力、γB はPAの表面張
    力を表す。
  2. 【請求項2】 N66とPAとの重量比が75〜99/
    25〜1である混合物を主原料とし、透過散乱光照度異
    方比(IAR)が式(2)を満足する未延伸シートを延
    伸して得られた、請求項1記載の2軸配向ポリアミドフ
    ィルム。 0. 1≦IAR≦1. 0 (2)
  3. 【請求項3】 10%以下のヘイズを有する請求項1ま
    たは2記載の2軸配向ポリアミドフィルム。
  4. 【請求項4】 PAがナイロン11、ナイロン12、ナ
    イロン69、ナイロン610およびナイロン612のう
    ちの一種以上を90モル%以上含有するポリアミド樹脂
    である請求項1〜3のいずれかに記載の2軸配向ポリア
    ミドフィルム。
  5. 【請求項5】 PAが共重合モル比10/90〜90/
    10のナイロン6/12およびナイロン6/11のうち
    の一種以上を90モル%以上含有するポリアミド樹脂で
    ある請求項1〜3のいずれかに記載の2軸配向ポリアミ
    ドフィルム。
  6. 【請求項6】 少くとも1層に請求項1〜3のいずれか
    に記載の2軸配向ポリアミドフィルムを使用した引裂直
    進性を有する複層フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の複層フィルムを使用し、
    製袋して得られた易開封性包装袋。
JP954595A 1995-01-25 1995-01-25 2軸配向ポリアミドフィルム Pending JPH08198981A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012031268A (ja) * 2010-07-30 2012-02-16 Ube Industries Ltd ポリアミド樹脂組成物
WO2021039259A1 (ja) * 2019-08-28 2021-03-04 東洋紡株式会社 ガスバリア性ポリアミドフィルム

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