JPH0819384A - 豆腐様水産練製品の製法 - Google Patents

豆腐様水産練製品の製法

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JPH0819384A
JPH0819384A JP6156936A JP15693694A JPH0819384A JP H0819384 A JPH0819384 A JP H0819384A JP 6156936 A JP6156936 A JP 6156936A JP 15693694 A JP15693694 A JP 15693694A JP H0819384 A JPH0819384 A JP H0819384A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】魚肉摺身に対して粉末状大豆蛋白、油脂、食塩
及び水を添加するに際して、(a)粉末状大豆蛋白を粉体
でかつ油脂を添加すること、及び(b)魚肉摺身100重
量部に対して食塩を1.55〜2.65重量部添加する
こと、を特徴とする豆腐様食感を有する水産練製品の製
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は豆腐様の食感を有する水
産練製品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、かまぼこ、ハンペン、竹輪、揚
蒲、刺身豆腐等の水産練製品は、摺身とその他の原料と
を混練し、成形し、加熱して得られる。
【0003】その他の原料には澱粉、蛋白、油脂、塩
類、調味料、着色料、着香料等がある。
【0004】この内、蛋白に関しては、従来から大豆蛋
白が利用されてきたが、その使用態様は、粉末状のまま
用いる方法、あらかじめ粉末状の大豆蛋白を水和してペ
ースト状にしてから用いる方法、粉末状の大豆蛋白と水
と水和させる際に油脂を加え大豆蛋白の乳化力を利用し
たO/W型エマルジョンペ−ストとして用いる方法があ
った。
【0005】その目的は大豆蛋白のゲル化力を利用する
ものであり、例えば坐りかまぼこの改質、魚肉のもどり
を防止して足を形成させる等魚肉のゲル化力を支えた
り、坐りを支える手段として大豆蛋白を利用するもので
あった。
【0006】従って、従来は大豆蛋白のゲル化力を阻害
する豆腐用凝固剤を用いることは考えられなかった。
【0007】又、水産練製品は一般に摺身に塩を加えて
塩摺りし魚肉蛋白を塩溶出して利用するが、そのための
食塩の量は摺身に対して一般には3〜3.5%が通常で
あった。塩量が少ないと十分なゲルが形成されないから
である。
【0008】ところで、食生活の多様化に伴い、かまぼ
このような弾性のある水産練製品から弾性の少ない水産
練製品が嗜好されるようになって、摺身に豆腐を混練す
る方法が試みられるようになった。
【0009】しかし、豆腐は水分が多い為、わざわざ脱
水して用いなければならないこと、腐敗しやすい為大量
に準備することが困難なこと等の問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、従来の
弾性を有する水産練製品とは異なり、サクッとした食感
を有し、いわゆるたわみの少ない食感(以下、このよう
な食感を「豆腐様食感」という)を有する水産練製品
を、脱水豆腐を用いないことにより、前記脱水豆腐の有
する問題を解決して、工業的に安定して豆腐様食感を有
する水産練製品を製造することを目的とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記目的を
粉末状大豆蛋白を用いて解決すべく鋭意研究を行った
が、得られる水産練製品はやはり弾性を有し目的の水産
錬製品を得ることが出来なかった。そこで、本発明者等
は更に鋭意研究を重ねた結果、摺身に粉末状で大豆蛋白
を添加するだけでなく油脂を併せて添すること、及び、
摺身に対する食塩の量を従来常識外であった低い範囲に
調節することにより目的の水産錬製品を得ることが出来
る知見を得て本発明を完成するに到った。
【0012】即ち、本発明は、魚肉摺身に対して粉末状
大豆蛋白、油脂、食塩及び水を添加するに際して、(a)
粉末状大豆蛋白を粉体でかつ油脂を添加すること、及び
(b)魚肉摺身100重量部に対して食塩を1.55〜
2.65重量部(好ましくは1.65〜2.45重量
部、更に好ましくは1.75〜2.25重量部)添加す
る豆腐様水産練製品の製法である。魚肉摺身100重量
部に対して粉末状大豆蛋白を4〜65重量部(好ましく
は4〜45重量部、更に好ましくは4〜13重量部)及
び油脂を2〜65重量部及び水を125〜400重量部
添加することが出来る。
【0013】又、豆腐用凝固剤を添加することができ、
粉末状大豆蛋白100部に対して豆腐用凝固剤を0.5
〜2.5重量部(好ましくは1.2〜2.2重量部)添
加することが出来る。
【0014】本発明の特徴は練身に対して特定割合(従
来より低い割合)の食塩を用いること、粉末状大豆蛋白
を粉体で添加すること及び油脂をエマルジョンとするこ
となく添加することの3つの条件を必須とすることであ
る。
【0015】以上の3つのいずれの構成要件を欠いても
豆腐様食感の水産練製品を得ることが出来ない。
【0016】本発明に用いる魚肉摺身は市販摺身(無塩
摺身が適当であり、加塩摺身を用いる場合は食塩含量が
2.6%以下のものが適当であり、これより食塩含有量
が多い場合は食塩含有量の低い摺身と併用することがデ
適当である)を用いることができ、グチ、スケソウダ
ラ、エソ、アジ、サバ、イワシ、ひらめ、イトヨリ、キ
ンメダイ、ホッケ、タラ、メルルーサ等の魚から常法に
より製造されたものを1種又は2種以上用いることが出
来る。好ましくはスケソウダラ由来の摺身を50%以上
用いることが目的の水産練製品の製造に好適である。
【0017】食塩は公知のものを利用することが出来、
魚肉摺身に対する量が多いとプリプリした蒲鉾的食感の
水産錬製品になってしまい、少ないと組織が形成され
ず、いずれも豆腐様食感を得ることが出来ない。
【0018】本発明に用いる粉末状大豆蛋白は分離大豆
蛋白が適当であり豆乳粉末、濃縮大豆蛋白等を併用する
ことも出来る。
【0019】粉末状大豆蛋白の摺身に対する添加時期
は、好ましい態様は豆腐用凝固剤を用いない場合は塩摺
り後の段階で、豆腐用凝固剤を用いる場合は塩摺り前の
段階で加えるほうが目的の食感が得られ易く好適であ
る。粉末状大豆蛋白が少なすぎると魚肉の強い弾性が発
現して目的の食感を得ることが困難となり、多すぎても
がんもどき的食感になる。
【0020】本発明に用いる油脂は動物油脂、植物油
脂、これら油脂を精製したり、分別したり、硬化した
り、エステル交換したりしたもの等食用油脂であればい
ずれも用いることが出来る。これら油脂は単独若しくは
組み合わせて用いることが出来るが、重要なことは油脂
を大豆蛋白とのエマルジョンとして用いないことであ
る。大豆蛋白は粉体で油脂は固形、液体を問わず大豆蛋
白とは予め乳化させないで添加することにより目的の食
感を有する水産練製品を得ることが出来る。
【0021】油脂の量が少なすぎると滑らかな豆腐様食
感が得られ難く、多すぎると油っぽくなる。
【0022】本発明は、豆腐用凝固剤を用いることが出
来、この豆腐用凝固剤は、硫酸カルシウム、塩化カルシ
ウム等の二価金属塩やこれらを含む塩田にがり等を併用
することが出来る。通常、豆腐用凝固剤は摺身の荒ずり
時から本ずり時のいずれかの時期に用いることが出来
る。
【0023】豆腐様凝固剤が少ないほど得られる水産錬
製品は柔らかくなり、多いほど食感が荒くなる傾向にあ
る。
【0024】豆腐様凝固剤を用いた本発明の豆腐様水産
練製品は煮込む等しても煮崩れしない効果を有する。
【0025】又、水の添加は摺身に粉末状大豆蛋白等を
添加する工程途中や水産錬製品を成形する前の工程の生
地を延ばす工程等で用いることが出来、前記水の量はこ
れらの水の合計量をさす。摺身の水分が多い場合や用い
る油脂の量が多い場合は水の量は少なく、摺身の水分が
少なく、用いる粉末状大豆蛋白等の吸水性物質の量が多
く、用いる油脂の量が少ないほど水の量は多く要する。
【0026】例えば、大豆蛋白1重量部に対して6〜2
8重量部用いることが出来る。又、食感の調整に澱粉を
併用することが出来る。加水量等により生地が柔らかい
場合に澱粉を併用することにより食感を硬くすることが
出来る。
【0027】その他調味料、着色料、着香料、その他の
食品添加物を用いることは自由である。
【0028】又、本発明の方法は、脱水豆腐を使用する
方法に比べ、水延ばしの幅が広く、脱水豆腐を用いる方
法に比べ歩留りも高く製造上の経済効果も大きい。
【0029】以上のようにして得られた水産練製品生地
は用途に応じた形に成形し、通常加熱して豆腐様水産練
製品とすることが出来る。
【0030】加熱は魚肉蛋白及び大豆蛋白が熱変性する
に十分な温度以上であれば特に限定するものではなく、
通常70℃以上の熱水加熱、油ちょう加熱、蒸気加熱等
利用できる。生地のまま流通させ調理時に加熱すること
も自由である。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明の実施態様を説明
する。 実施例1 表1に示す原料配合にて、摺身に粉末状分離大豆蛋白
(フジピュリナプロテイン(株)販売「フジプロ55
1」)を粉体添加し、併せて大豆白絞油を添加し、サイ
レントカッターにかけながら食塩及び残りの原料を添加
して生地を製造し揚蒲生地に成形し、130℃で4分、
100℃で1分フライして揚蒲を製造した。
【0032】
【表1】 (単位は重量部) ---------------------------------------------------- No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 ---------------------------------------------------- 米国産陸上摺身 100 同左 同左 同左 同左 分離大豆蛋白 10 同左 同左 同左 同左 水 50 同左 同左 同左 同左 にがり 0.20 同左 同左 同左 同左 大豆白絞油 20 同左 同左 同左 同左 食 塩 1.6 1.7 1.8 2.0 2.2 澱粉 10 同左 同左 同左 同左 延ばし水 100 同左 同左 同左 同左 ------------------------------------------ ---------
【0033】表1の続き (単位は重量部) 官能評価の結果、No.1は粗い豆腐様食感を、No.
2は、やや粗い豆腐様食感、No.3、No.4及びN
o.5は滑らかな豆腐様食感、No.6及びNo.7は
やや弱い豆腐様食感、No.8及びNo.9は弱い豆腐
様食感をそれぞれ呈した。 比較例1 食塩添加割合の低いNo.1と食塩添加割合の多いN
o.2を表2記載の配合にて実施例1と同様にして揚蒲
を製造した。
【0034】
【表2】 (単位は重量部) 実施例1と同様に官能評価した結果、No.1は粗い組
織で豆腐様組織とは言えず離水もあった。No.2は豆
腐様食感とは言えず弾力のある蒲鉾的食感であった。 実施例2 表3の配合にて、洋上SA級摺身に食塩を加えて塩摺り
した後、粉末状分離大豆蛋白を加え、大豆白絞油以下残
りの原料を加え、にがりを用いない以外は後の工程は実
施例1と同様にして揚蒲を製造した。
【0035】
【表3】 (単位は重量部) 実施例1と同様にして官能評価した結果No.1は固い
豆腐的食感、No.2は木綿豆腐的食感、No.3及び
No.4は絹ごし豆腐的食感をそれぞれ呈した。 実施例3 表4に示すように摺身に粉末状分離大豆蛋白(フジピュ
リナプロテイン(株)販売「フジプロ551」)を粉体
添加し、併せて大豆白絞油を添加し、サイレントカッタ
ーにかけながら残りの原料を添加して生地を製造し揚蒲
に成形し130℃で4分、100℃で1分フライして揚
蒲を製造した。
【0036】
【表4】 (単位は重量部) ----------------------------------------------------- No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 ----------------------------------------------------- 洋上SA級摺身 100 100 100 100 100 分離大豆蛋白 5 10 15 20 30 水 25 50 75 100 150 にがり 0.1 0.2 0.3 0.4 0.45 大豆白絞油 24 27 30 33 39 食 塩 2 2 2 2 2 澱粉 10 10 10 10 10 延ばし水 100 100 100 100 100 ------------------------------------------------------
【0037】 食して官能検査を行った結果、N0.1及びNo.2は
柔らかい豆腐様食感を呈し、No.3、No.4、N
o.5及びNo.6はやや荒めの豆腐様食感を呈し、N
o.7及びNo.8は荒い豆腐様食感を呈した。 比較例2 表5に示すように大豆蛋白の少ない配合と多い配合によ
り、実施例3と同様にして揚蒲を製造した。
【0038】
【表5】 (単位は重量部) 大豆蛋白の少ないNo.1は柔らかいが弾性のある蒲鉾
的食感を呈し、大豆蛋白の多いNo.2はがんもどきの
様な食感を呈した。 実施例4 大豆蛋白の添加量を一定にして油脂の添加割合だけ変化
させて実施例1と同様にして揚蒲を製造した。配合は表
6に示した。
【0039】
【表6】 (単位は重量部) --------------------------------------------------- No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 --------------------------------------------------- 米国産陸上摺身 100 100 100 100 100 分離大豆蛋白 7 7 7 7 7 水 35 35 35 35 35 にがり 0.14 0.14 0.14 0.14 0.14 大豆白絞油 3 5 10 20 28 食 塩 2 2 2 2 2 澱粉 10 10 10 10 10 延ばし水 100 100 100 100 100 --------------------------------------------------- 食して官能検査を行った結果、No.1は柔らかく豆腐
様食感を呈し、No.2は少し荒い豆腐様食感を呈し、
No.3はなめらかな豆腐様食感を呈し、No.4及び
No.5は少し油っぽい感じはするものの豆腐様食感を
呈した。 実施例5 実施例1と同様にして表7の配合にて、にがりの添加割
合を変化させて揚蒲を製造した。
【0040】
【表7】 (単位は重量部) 食して官能検査を行った結果、N0.1は柔らかく豆腐
様食感を呈し、No.2は丁度豆腐の様な食感を呈し、
No.3は荒い豆腐様食感を呈した。
【0041】次に、一晩冷蔵庫に保存後85℃で1時間
だし汁で煮込み官能検査した。食して官能検査を行った
結果、N0.1、No.2共に滑らかな食感とある程度
の固さ(保形性)を有していた。No.3は少し荒い食
感が残ったものの固さ(保形性)を有したものであっ
た。 実施例6 実施例1と同様にして表8の配合にて延ばし水の添加量
を変化させて揚蒲を製造した。
【0042】
【表8】 (単位は重量部) 食して官能検査を行った結果、N0.1は硬めの豆腐様
食感を呈し、サクッとする感じは少し弱く、No.3は
木綿豆腐様食感を呈し、少しサクッとした食感がありた
わみの少ないものであった、No.3は絹ごし豆腐様食
感を呈し、サクッとした感じで、No.4は少し柔らか
い絹ごし豆腐様食感を呈し、サクッとした感じであっ
た。
【0043】延ばし幅が広くても豆腐様食感の揚蒲が製
造出来ることが分かった。 比較例3 大豆蛋白を用いないNo.1及び大豆白絞油を用いない
No.2を下記表9の配合にて実施例1と同様にして揚
蒲を製造した。
【0044】
【表9】 (単位は重量部) 食して官能検査を行った結果、大豆蛋白もにがりも用い
ないN0.1は柔らかい練製品の食感を呈し、サクッと
する食感はなく、大豆白絞油を用いないNo.2は豆腐
的食感はなく柔らかいが弾性のある練製品の食感を呈
し、サクッとする食感はないものであった。 比較例4 実施例1の表1のNo.3及び実施例2の表3のNo.
2の配合にて、分離大豆蛋白、大豆白絞油及び水を予め
サイレントカッターでエマルジョンのペーストとして調
製しておき、これに摺身以下残りの原料を加え、後の工
程は実施例1と同様にして揚蒲を製造した。
【0045】官能検査の結果、両者共弾力のある食感を
呈した。
【0046】
【効果】本発明により、豆腐様食感(サクッとしてたわ
みの少ない豆腐の様な食感)を有した水産練製品を高歩
留で容易かつ安定的に製造出来るようになったものであ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】魚肉摺身に対して粉末状大豆蛋白、油脂、
    食塩及び水を添加するに際して、(a)粉末状大豆蛋白を
    粉体でかつ油脂を添加すること、及び(b)魚肉摺身10
    0重量部に対して食塩を1.55〜2.65重量部添加
    すること、を特徴とする豆腐様水産練製品の製法。
  2. 【請求項2】魚肉摺身100重量部に対して粉末状大豆
    蛋白を4〜65重量部及び油脂を2〜65重量部及び水
    を125〜400重量部添加する請求項1の製法。
  3. 【請求項3】粉末状大豆蛋白100部に対して豆腐用凝
    固剤を0.5〜2.5重量部添加する請求項1又は請求
    項2の製法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002101854A (ja) * 2000-09-29 2002-04-09 Fuji Oil Co Ltd 肉加工食品の製造方法
JP2003102440A (ja) * 2001-09-28 2003-04-08 Fuji Oil Co Ltd 煮込用練製品及びその製造法
CN112568387A (zh) * 2020-12-08 2021-03-30 海南热带海洋学院 一种发酵鱼糜豆腐及其制备方法

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