JPH0819264A - Pwmパルス発生装置 - Google Patents

Pwmパルス発生装置

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JPH0819264A
JPH0819264A JP6168808A JP16880894A JPH0819264A JP H0819264 A JPH0819264 A JP H0819264A JP 6168808 A JP6168808 A JP 6168808A JP 16880894 A JP16880894 A JP 16880894A JP H0819264 A JPH0819264 A JP H0819264A
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仲田  清
Kiyoshi Nakamura
中村  清
Mutsuhiro Terunuma
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 GTOなどの低速度スイッチング素子を用い
た電力変換器に適用して応答性が高く且つ希望の出力電
圧を得るに好適な小型化したPWMパルス発生装置を提
供することにある。 【構成】 インバータやコンバータなどの電力変換器を
駆動するための所定のパルスパターンを発生するPWM
パルス発生装置において、インバータの出力周波数指令
と出力電圧指令に基づいて前記電力変換器の各相の瞬時
出力電圧を算出する瞬時電圧演算手段と、この瞬時電圧
演算手段の演算結果に従ってパルス出力タイミングの演
算及びパルスの出力制御を行うパルス生成手段を設け、
瞬時電圧の演算及びパルス生成の演算の演算周期を前記
電力変換器の出力または入力電圧の周波数とは非同期に
短い値に設定する。また、PWMパルス発生装置は、瞬
時電圧演算手段及びパルス生成手段を同一チップ内に内
蔵したシングルチップマイコンとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PWMパルス発生装
置、特に、GTO(Gate Turn−Off Th
yristor)などの低速度スイッチング素子を用い
た電力変換器に適用するPWMパルス発生装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】本発明に関する従来技術として、例え
ば、特開平4−331471号公報に示されているマイ
コンによる正弦波PWM信号発生装置がある。この従来
技術は、出力変化タイミングを演算するマイクロプロセ
ッサと、実際にパルスを出力する出力制御手段を有し、
電力変換器の出力電圧に同期したPWMパルスを発生す
るため、三角波キャリアの最上点或いは最下点を含む近
傍で割り込み処理を発生し、この処理の中で各相のPW
Mパルスの出力変化タイミングを算出、設定するように
している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、割り込み発生間隔が上記出力電圧の周波数
に依存するため、出力電圧が低周波数になると、割り込
み処理の実行間隔も長くなり、応答性が低下するばかり
でなく、三角波キャリアの一周期間は正弦波データが変
化しないとしていることから、希望の出力電圧が得られ
ないといった問題がある。また、出力変化タイミングを
演算するマイクロプロセッサとパルスを出力する出力制
御手段が別々のハードウェアのため、装置規模が大きく
なるといった問題もある。
【0004】本発明の目的は、上述した事情に鑑み、G
TOなどの低速度スイッチング素子を用いた電力変換器
に適用して応答性が高く且つ希望の出力電圧を得るに好
適な小型化したPWMパルス発生装置を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、インバータ
の出力周波数指令と出力電圧指令に基づいて前記電力変
換器の各相の瞬時出力電圧を算出する瞬時電圧演算手段
と、この瞬時電圧演算手段の演算結果に従ってパルス出
力タイミングの演算及びパルスの出力制御を行うパルス
生成手段を設け、瞬時電圧の演算及びパルス生成の演算
の演算周期を前記電力変換器の出力または入力電圧の周
波数とは非同期に短い値に設定することによって、ま
た、瞬時電圧演算手段及びパルス生成手段を1個のシン
グルチップマイコンに内蔵することによって、達成され
る。
【0006】
【作用】瞬時電圧演算手段は、上位の演算手段からPW
Mパルス生成に必要なインバータの出力周波数指令と出
力電圧指令を受信し、電力変換器の出力または入力電圧
の各相の基本波の瞬時値を演算する。パルス生成手段
は、この瞬時電圧に基づきPWMパルスの出力変化タイ
ミングを算出すると共に、このタイミングにおいてPW
Mパルスを’1’または’0’に変化させる。そして、
瞬時電圧の演算及びパルス生成の演算の演算周期を電力
変換器の出力または入力電圧の周波数とは非同期に短い
値に設定し、高速応答性を可能とする。また、パルスセ
ット及びパルスリセットのタイミングは、従来のように
キャリアを用いることなく、演算周期毎に出力される瞬
時出力電圧とパルスセット期間及びパルスリセット期間
を基に演算により求め、希望の出力電圧を簡単に得るこ
とができる。また、瞬時電圧演算手段とパルス生成手段
を1個のシングルチップマイコンで実現し、装置の小型
化を図る。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。図2に、3レベルGTOインバータ制御装置の全体
構成を示す。図2において、力行、ブレーキ等の指令を
発するマスター制御器2、誘導電動機7に流れる電流1
1や速度信号12及びマスター制御器2の信号をデジタ
ル信号に変換する入出力インタフェース3、入出力イン
タフェース3の出力に基づき速度制御や電流制御を行う
上位演算手段4、上位演算手段4より出力されるインバ
ータの出力周波数指令(以下、周波数指令と略称)13
とインバータの出力電圧指令(以下、電圧指令と略称)
14に従ってU,V,W3相の基準となるPWMパルス
信号15〜20を発生するPWMパルス発生装置1、P
WMパルス信号15〜20を各相4本(パワー素子の
数)に分配すると共に、非ラップ時間、最小オン/オフ
時間を確保するゲート論理部5から成り、このゲート論
理部5の出力を主回路6の各GTOに接続する。
【0008】図3に、3レベルGTOインバータ制御装
置におけるV/f特性と変調方式を示す。インバータ周
波数F1のとき電圧E1(正規化した出力電圧を示
す。)、インバータ周波数F2のとき電圧1(正規化し
た出力電圧を示す。)を出力するV/f特性において、
図示のように、低速域(Fi*<F1)では微少電圧制
御が可能な非同期ダイポーラ変調、中速域(F1≦Fi
*≦F2)では同期ユニポーラ変調、高速域(F2<F
i*)では全電圧を出力する同期1パルス変調を行うよ
うにしている。
【0009】図4に、それぞれの変調方式における相電
圧波形を示す。ダイポーラ変調は、(a)の基本波成分
に対して、(b)のように、非同期かつ一定周波数で相
電圧が正,負交互に出力し、正,負のパルス幅の比によ
り出力電圧が決まる。また、ユニポーラ変調は、(c)
のように、基本波成分と同期で、かつ、半サイクル毎に
極性に応じたパルス状の電圧を出力する。さらに、1パ
ルス変調は、(d)のように、基本波成分と同期で、か
つ、半サイクル毎に極性に応じた矩形波状の電圧を出力
する。
【0010】以下、上記3種類の変調方式を実現する本
発明のPWMパルス発生装置について説明する。図1
は、本発明の一実施例を示すPWMパルス発生装置の構
成図である。PWMパルス発生装置1は、上位演算手段
4とのインターフェースであるデュアルポートRAM1
−1と瞬時電圧演算及びパルス生成処理を行うシングル
チップマイコン1−2を中心に構成される。デュアルポ
ートRAM1−1は、上位の演算手段より演算に必要な
インバータの出力周波数指令Fi*13とインバータの
出力電圧指令E*14を受信するための双方向から非同
期にアクセス可能な記憶手段であり、シングルチップマ
イコン1−2は、瞬時電圧演算手段1−20、周波数指
令13と電圧指令14に基づいてダイポーラ変調、ユニ
ポーラ変調、1パルス変調の何れの変調を行うかを判定
するパルスモード判定手段1−31、瞬時出力電圧e
u,ev,ewとパルスモード信号PMを用いて各変調
方式におけるPWMパルス信号15〜20を生成するパ
ルス生成手段1−32からなる。瞬時電圧演算手段1−
20は、周波数指令Fi*13を基に位相θnを求める位
相演算手段1−21、正弦波テーブル1−22、U,
V,W各相の正弦値ku,kv,kwを求めるU,V,W
各相の正弦値算出手段1−23〜25、変調率テーブル
1−26、電圧指令E*14に応じた変調率Aを算出す
る変調率算出手段1−27、掛け算器1−28〜30か
らなる。
【0011】まず、上位演算手段4がデュアルポートR
AM1−1に0〜300Hz相当の周波数指令Fi*1
3と0〜1に規格化された電圧指令E*14を書き込む
と、シングルチップマイコン1−2は、これらの情報を
読み込み、U,V,W各相の正電位を出力するためのパ
ルス信号15,17,19と負電位を出力するためのパ
ルス信号16,18,20を出力するための各種演算及
び処理を行う。以下、シングルチップマイコン1−2の
各種演算及び処理について詳細に説明する。まず、瞬時
電圧演算手段1−20において、位相演算手段1−21
は周波数指令Fi*13を基に(数1)により、その時点
の位相θnを求める。
【数1】 Δθ=2・π・Fi* θn =θn-1+Δθ (数1) ここで、 θn-1:1演算周期前の位相 Fi*:周波数指令 U,V,W各相の正弦値算出手段1−23〜25は、位
相θnと正弦波テーブル1−22から(数2)に示す正弦
値ku,kv,kwを求める。
【数2】 ku=Sin(θn) kv=Sin(θn−2π/3) kw=Sin(θn+2π/3) (数2) 一方、変調率算出手段1−27は、電圧指令E*14に
応じた変調率Aを変調率テーブル1−26を参照して算
出する。この変調率Aと前記正弦値ku,kv,kwを掛
け算器1−28〜30により乗算し、(数3)に示すよ
うに、電力変換器の出力または入力電圧の各相の基本波
の瞬時電圧eu,ev,ewを求める。
【数3】 eu=A・ku=A・Sin(θn) ev=A・kv=A・Sin(θn−2π/3) ew=A・kw=A・Sin(θn+2π/3) (数3) 次に、パルスモード判定手段1−31は、周波数指令F
*13と電圧指令E*14に基づき、ダイポーラ変調、ユ
ニポーラ変調、1パルス変調の何れの変調を行うかを判
定し、パルスモード信号PMを出力する。続いて、パル
ス生成手段1−32は、以上の結果得られた瞬時出力電
圧eu,ev,ewとパルスモード信号PMを用いて各
変調方式におけるPWMパルス信号15〜20を生成す
る。
【0012】次に、図5に、パルス生成手段1−32の
構成を示す。パルス生成手段1−32は、切り替え手段
1−32−1、ダイポーラパルス演算手段1−32−
2、ユニポーラパルス演算手段1−32−3、1パルス
演算手段1−32−4、記憶手段1−32−5、パルス
出力手段1−32−0から構成される。パルス出力手段
1−32−0は、スケジューラ1−32−6、フリーラ
ンニングタイマー1−32−7、タイミングレジスタ1
−32−8〜13、比較器1−32−14〜19、イベ
ントレジスタ1−32−20〜25からなる。まず、瞬
時出力電圧eu,ev,ewは、パルスモード信号PM
により制御される切り替え手段1−32−1を介して各
変調方式に対応するパルス演算手段1−32−2〜4の
何れかに入力される。瞬時出力電圧eu,ev,ewが
入力されたパルス演算手段は、後述する所定の処理を実
行し、PWMパルス信号15〜20を生成するのに必要
な6つのパルス出力タイミング(以下、イベント発生時
間と呼ぶ。)と6つの’1’または’0’のパルス状態
(以下、イベント情報と呼ぶ。)を算出し、記憶手段1
−32−5に格納する。パルス出力手段1−32−0の
スケジューラ1−32−6は、記憶手段1−32−5に
格納されたイベント発生時間22〜27を各PWMパル
ス信号15〜20に対応するタイミングレジスタ1−3
2−8〜13に、イベント情報28〜33をイベントレ
ジスタ1−32−20〜25に格納する。一方、一定周
期の基準クロック21により増加するフリーランニング
タイマー1−32−7の出力とタイミングレジスタ1−
32−8〜13の内容は、比較器1−32−14〜19
により常時比較され、一致した時点でイベントレジスタ
1−32−20〜25の内容が信号として出力される。
【0013】以下、各変調方式におけるパルス生成手段
1−32の処理をU相を例にとり説明する。まず、ダイ
ポーラパルスの生成方法について説明する。図6は、ダ
イポーラパルスを生成するための概念図である。すなわ
ち、正側パルスSpuは、(数4)及び図中実線で示す
ように(数3)で求めた瞬時電圧euを更に2分の1し
てバイアス量Bを加算したeu’と非同期のキャリアC
pとの比較により生成する。一方、負側パルスSnu
は、図中点線で示すように瞬時電圧euを2分の1して
反転し、バイアス量Bを加算したeu”とキャリアCp
を反転したCnとの比較により生成する。この結果、U
相の相電圧Euは、正側の電圧と負側の電圧が交互に発
生するダイポーラの波形となる。V,W相についても瞬
時電圧の位相をずらして同様に生成する。
【数4】 eu’=eu/2+B eu”=−eu/2+B (数4)
【0014】図7は、本実施例によるダイポーラパルス
生成方法を示す図である。なお、図7は、図6の期間T
における正側パルスSpuに関してのみ記載してある。
本実施例では、キャリアの周期(Tcs+Tcr)より
演算周期(=Δt)が短い(周波数の高い)演算起動信
号Soで起動されるプログラムにより瞬時電圧eu’と
キャリアCpとの交点を算出し、できるだけ図示の理想
的な出力信号に近いPWMパルスを生成するようにして
いる。ここで、演算周期(=Δt)つまり演算周波数
は、電力変換器の出力または入力電圧の周波数より高
く、また、電力変換器の出力または入力電圧の周波数よ
り高い関係にあるPWMパルスの周波数より高く設定す
る。例えば、パルスセット期間Tcsにおいては、演算
期間毎に瞬時電圧eu’(図中▲点)を求め、キャリア
Cpとの交点(図中●点)までの時間(イベント発生時
間)txN及びタイミングレジスタ1−32−8へのパル
スセットの設定時間tsを(数5)により幾何学的に求
める。
【数5】 txN=(1−eu’)・Tcs ts =txN−tnN (数5) ここで、N:1,2 これを、図8の三角形ABCを例にとり、幾何学的に図
中dを求める場合について説明する。三角形ABCにお
いては、相似の関係から(数6)が成り立つ。ここで、
aは図7におけるキャリアのピーク値”1”、bはパル
スセット期間Tcs、dはイベント発生時間txN、fは
瞬時電圧eu’を代入すると、(数5)のイベント発生
時間txN及びパルスセットの設定時間tsが得られる。
したがって、先に算出した瞬時電圧eu’と既知である
パルスセット期間Tcsを用いた簡単な演算により、従
来のようにキャリアを用いることなく、パルスセットの
タイミングを求めることができる。このようにして求め
たパルスセットの設定時間tsがts≦△tとなった時点
でタイミングレジスタ1−32−8とイベントレジスタ
1−32−20の内容を更新する。
【数6】 a:(a−f)=b:d a・d=(a−f)・b d=((a−f)・b)/a (数6) 一方、パルスリセット期間Tcrにおいては、図8
(ロ)の三角形ABCを用いて同様に求めると、(数
7)が得られ、
【数7】 a:f=b:d a・d=f・b d=(f・b)/a (数7) ここで、前記と同様にaは図7におけるキャリアのピー
ク値”1”、bはパルスリセット期間Tcr、dはイベ
ント発生時間txN、fは瞬時電圧eu’を代入すること
により、(数8)のイベント発生時間tx3及びパルスリ
セットの設定時間trが得られる。したがって、先に算
出した瞬時電圧eu’と既知であるパルスリセット期間
Tcrを用いた簡単な演算により、従来のようにキャリ
アを用いることなく、パルスリセットのタイミングを求
めることができる。このようにして求めたパルスリセッ
トの設定時間trがtr≦△tとなった時点でタイミング
レジスタ1−32−8とイベントレジスタ1−32−2
0の内容を更新する。
【数8】 tx3=eu’・Tcs tr =tx3−tn3 (数8) 図7において、Spuは本実施例によって生成した正側
パルスであり、図示した理想的な出力信号に近いパルス
を生成することができる。
【0015】図9は、ダイポーラパルス演算手段1−3
2−2が1演算期間で行う処理手順を示すパド図であ
る。ただし、U相分であり、V,W相については同様の
処理となる。なお、ここでは、イベント情報を格納する
変数をPFU(正側),NFU(負側)、イベント発生
時間を格納する変数をTsとする。図9において、ま
ず、ステップ100で正側のイベント情報変数PFUを
参照し、演算期間がパルスセット期間かパルスリセット
期間かを判定する。パルスセット期間の場合(PFU=
1)、ステップ101において(数5)の演算によりパ
ルスセットの設定時間tsを求め、ステップ102でts
>Δtの場合、変数Ts,PFUは現状維持とする。し
かし、ts≦Δtの場合、ステップ104においてtsの
範囲を判定し、tsが最大設定時間Tmax以上の場
合、ステップ105においてTs=Tmaxとし、ts
が最小設定時間Tmin以下の場合、ステップ107に
おいてTs=Tminとする。tsが上記以外の場合、
ステップ106においてTs=tsとする。最後に、ス
テップ108において変数PFUを’0’として正側の
処理を終了する。一方、ステップ100においてパルス
リセット期間(PFU=0)の場合、パルスリセットの
設定時間trに関して、ステップ109〜115におい
て前記パルスセット期間のステップ101〜107と同
様の処理を行い、最後に、ステップ116において変数
PFUを’1’として正側の処理を終了する。続いて、
ステップ117〜121において、負側に対して上記正
側と同様の処理を行い、処理を終了する。
【0016】次に、ユニポーラパルスの生成方法につい
て説明する。図10は、ユニポーラパルス生成方法の概
念図である。すなわち、瞬時電圧euと、図中実線で示
す瞬時電圧euと同期したキャリアCpとの交点を求め
ることにより、正側パルスSpuを生成し、瞬時電圧e
uと、図中点線で示す瞬時電圧euと同期したキャリア
Cnとの交点を求めることにより、負側パルスSnuを
生成する。この結果、U相電圧Euは、図示のように瞬
時電圧euの極性に応じたパルス状の電圧となる。
【0017】図11は、本実施例によるユニポーラパル
ス生成方法を示す。なお、図11は、図10の期間θに
おける正側パルスSpuに関してのみ記載してある。基
本的な考え方は、前記ダイポーラパルスの生成方法と同
じであるが、ユニポーラパルスは、瞬時電圧euと同期
したパルスを生成する必要があることから、ダイポーラ
パルス生成方法が直接時間で演算したのに対し、まず位
相で演算し、最終的に時間に変換するようにした。例え
ば、パルスセット期間θcsでは、演算期間毎に瞬時電
圧eu(図中▲点)を求め、キャリアCpとの交点(図
中●点)までの位相(イベント発生位相)θxN及びパ
ルスセットの設定位相θsを(数9)により幾何学的
(図8の三角形ABCの相似の関係を利用して)に求め
る。この結果、θs≦Δθとなった時点でイベント発生
時間及びイベント情報を更新する。ここで、演算起動信
号Soの一周期分の位相Δθは、周波数指令Fi*によ
り変化するため、演算毎に(数10)により求める。
【数9】 θxN=(1−eu)・θcs θs=θxN−θnN (数9) ここで、N:1,2
【数10】 Δθ=ω・Δt=2・π・Fi*・Δt (数10) また、パルスセットの設定位相θsからパルスセットの
設定時間tsへの変換は、(数11)により行う。
【数11】 ts=θs/(2・π・Fi*) (数11) 一方、パルスリセット期間θcrにおいては、イベント
発生時間θx3及びθrを(数12)により求め、θr≦Δ
θとなった時点でイベント発生時間及びイベント情報を
更新する。
【数12】 θx3=eu・θcs θr=θx3−θn3 (数12) また、パルスリセットの設定位相θrからパルスリセッ
トの設定時間trへの変換は、(数13)により行う。
【数13】 tr=θr/(2・π・Fi*) (数13) 図11において、Spuは本実施例によって生成した正
側パルスであり、図示した理想的な出力信号に近いパル
スを生成することができる。ユニポーラパルス生成処理
については、上記のように位相で演算し、最終的に位相
を時間に変換する点がダイポーラの場合と異なるが、他
は、図9に示すダイポーラの場合と同様のため、説明を
省略する。
【0018】最後に、1パルスの生成方法について説明
する。図12は、1パルス生成方法の概念図である。す
なわち、1パルスは瞬時電圧euのほぼ半周期の間、極
性に応じた矩形波を出力すれば良いため、キャリアとの
交点を求めるのではなく、電圧指令E*に応じて一意的
に定まる位相でパルスのセット或いはリセットを行うよ
うにする。例えば、正側パルスSpuにおいて、瞬時電
圧euのゼロクロス点からパルスセットまでの位相をθ
xs、パルスリセットまでの位相をθxrとすると、θxsは
図13に示すように電圧指令E*に応じて減少するCO
S~1関数テーブル(ただし、0<θxs≦30゜)より求
め、θxrはθxsを基に(数14)より求める。
【数14】 θxr=180゜−θxs (数14) この結果、U相電圧Euは、図示のように瞬時電圧eu
の極性に応じた矩形波状の電圧となる。図14は、本実
施例による1パルス生成方法を示す。なお、図14は、
図12の期間θにおける正側パルスSpuに関してのみ
記載してある。基本的な考え方は、前記ユニポーラパル
スの生成方法と同じであるが、ユニポーラパルス生成方
法では、演算周期毎に瞬時電圧euに応じてキャリアと
の交点位相θxNが変化したのに対し、1パルス生成方法
では、電圧指令E*が一定であれば、イベント発生位相
θxsが一定である点が異なる。例えば、パルスセット時
は、演算周期毎に位相θnN(図中▲点)を求め、イベン
ト発生位相(図中●点)までの差つまりパルスセットの
設定位相θsを(数15)により求める。この結果、θs
≦Δθとなった時点でイベント発生時間及びイベント情
報を更新する。なお、演算起動信号Soの一周期分の位
相Δθの算出及びtsへの変換はユニポーラと同様に演
算周期毎に(数10)、(数11)により求める。
【数15】 θs=θxs−θnN (数15) ここで,N:1,2 また、パルスリセットについては、パルスリセットの設
定位相θrをθxsからθxrに置き換えて同様に求める。
【0019】以上、本実施例の基本的な動作について述
べたが、実際に主回路を動作させる場合は、主回路のパ
ワー素子の破壊を防止するため、PWMパルスの最小オ
ン時間Tonを確保する必要がある。図15に、本実施
例による最小オンパルス生成方法について、ダイポーラ
パルスを例にとり説明する。本実施例では、算出した瞬
時電圧eu’に下限値eminを設定することにより、
図示のような理想的な出力信号を得るようにしている
が、この場合演算周期が問題となる。すなわち、図示の
演算起動信号1のように、最小オン時間Tonに比べて
演算周期Δt1を大きく設定すると、パルスをセットす
るイベント発生時間つまりパルスセットの設定時間につ
いてはts1(=tx1−tn11)となり、希望のタイミング
でセットすることができる。しかし、リセットするタイ
ミングつまりパルスリセットの設定時間tr1について
は、事前検出が不可能なため、(数16)に示すΔtr
の誤差が発生する。なお、Tminはソフトによるオーバ
ーヘッドのため最低限確保しなければならない時間であ
る。
【数16】 Δtr=|tx2−tn21|+Tmin (数16) このため、図示のSpu1の正側パルスは、最小オン時
間Tonに比べて大きくなる。そこで、図示の演算起動
信号2のように、演算周期Δt2を最小オン時間Ton
より小さく設定すると、パルスセットの設定時間ts2と
パルスリセットの設定時間tr2は希望の値となり、図示
のSpu2の正側パルスが生成され、最小オン時間To
nに相当するより正確なパルスを生成することができ
る。
【0020】以上説明したように、本実施例における瞬
時電圧演算及びパルス生成演算の演算周期は、電圧変換
器の出力または入力電圧の周波数と非同期に且つ短い周
期に設定することができるため、応答性の低下を招くこ
とがない。また、パルス出力タイミングを三角波キャリ
アを用いずに簡単な演算により求めるため、瞬時電圧演
算手段とパルス生成手段を1個のシングルチップマイコ
ンで実現することが可能となり、装置の小型化が図れ
る。なお、以上、本発明を3レベルGTOインバータ装
置に適用する場合について説明したが、本発明は、3レ
ベルGTOコンバータ装置、2レベルGTOインバータ
装置及びコンバータ装置に適用できる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、瞬時電圧演算及びパル
ス生成演算の演算周期を電力変換器の出力または入力電
圧の周波数とは非同期に短い値に設定するため、高速応
答性が可能となる。また、パルスセット及びパルスリセ
ットのタイミングは、従来のようにキャリアを用いるこ
となく、演算周期毎に出力される瞬時出力電圧とパルス
セット期間及びパルスリセット期間を基に演算により求
めるため、希望の出力電圧を簡単に得ることができる。
また、瞬時電圧演算手段とパルス生成手段を1個のシン
グルチップマイコンで実現できるため、装置の小型化が
図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すPWMパルス発生装置の
構成図
【図2】3レベルGTOインバータ制御装置の全体構成
を示す図
【図3】3レベルGTOインバータのV/f特性と変調
方式を示す図
【図4】各変調方式における相電圧波形
【図5】本発明の実施例を示すパルス生成手段の構成図
【図6】ダイポーラパルス生成方法の概念図
【図7】本発明の実施例による本発明のダイポーラパル
ス生成方法説明図
【図8】本発明の実施例によるイベント発生時間算出方
法説明図
【図9】本発明の実施例によるダイポーラパルス生成処
理を示すパド図
【図10】ユニポーラパルス生成方法の概念図
【図11】本発明の実施例によるユニポーラパルス生成
方法説明図
【図12】1パルス生成方法の概念図
【図13】COS~ 1関数テーブルの内容を示す図
【図14】本発明の実施例による1パルス生成方法説明
【図15】本発明の実施例による最小オンパルス生成方
法説明図
【符号の説明】
1 PWMパルス発生装置 1−1 デュアルポートRAM 1−2 シングルチップマイコン 1−20 瞬時電圧演算手段 1−32 パルス生成手段 1−32−0 パルス出力手段 1−32−2 ダイポーラパルス演算手段 1−32−3 ユニポーラパルス演算手段 1−32−4 1パルス演算手段 eu,eu’,eu” 瞬時出力電圧 Cp,Cn キャリア Spu,Snu U相出力パルス Eu U相出力電圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 照沼 睦弘 茨城県勝田市市毛1070番地 株式会社日立 製作所水戸工場内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インバータやコンバータなどの電力変換
    器を駆動するための所定のパルスパターンを発生するP
    WMパルス発生装置において、インバータの出力周波数
    指令と出力電圧指令に基づいて前記電力変換器の各相の
    瞬時出力電圧を算出する瞬時電圧演算手段と、この瞬時
    電圧演算手段の演算結果に従ってパルス出力タイミング
    の演算及びパルスの出力制御を行うパルス生成手段を設
    け、瞬時電圧の演算及びパルス生成の演算の演算周期を
    前記電力変換器の出力または入力電圧の周波数とは非同
    期に短い値に設定することを特徴とするPWMパルス発
    生装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、電力変換器の出力ま
    たは入力電圧の周波数f1とPWMパルスの周波数f2
    とパルス生成手段の演算周波数f3は、f1<f2<f
    3の関係にあることを特徴とするPWMパルス発生装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、パルス生成手段は、
    電力変換器の出力または入力の交流電圧と非同期で且つ
    正極電圧と負極電圧を交互に出力するダイポーラパルス
    演算手段と、前記交流電圧と同期で且つ交流電圧の極性
    に応じた複数のパルス状の電圧を出力するユニポーラパ
    ルス演算手段と、前記交流電圧と同期で且つ交流電圧の
    極性に応じた矩形波状の電圧を出力する1パルス演算手
    段のうち、1つ以上のパルス演算手段を備えたことを特
    徴とするPWMパルス発生装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、ダイポーラパルス演
    算手段は、パルス生成手段の演算周期毎に瞬時電圧演算
    手段から出力される瞬時出力電圧とパルスセット期間を
    基にパルスセットの設定時間を求め、この設定時間が前
    記演算周期より小さくなったとき、パルスをセットし、
    一方、前記瞬時出力電圧とパルスリセット期間を基にパ
    ルスリセットの設定時間を求め、この設定時間が前記演
    算周期より小さくなったとき、パルスをリセットするこ
    とを特徴とするPWMパルス発生装置。
  5. 【請求項5】 請求項3において、ユニポーラパルス演
    算手段は、パルス生成手段の演算周期毎に瞬時電圧演算
    手段から出力される瞬時出力電圧とパルスセット位相を
    基にパルスセットの設定位相を求め、この設定位相が前
    記演算周期から定まる一周期分の位相より小さくなった
    とき、パルスをセットし、一方、前記瞬時出力電圧とパ
    ルスリセット位相を基にパルスリセットの設定位相を求
    め、この設定位相が前記一周期分の位相より小さくなっ
    たとき、パルスをリセットするタイミングとし、前記パ
    ルスセット及びパルスリセットの設定位相を時間に変換
    することを特徴とするPWMパルス発生装置。
  6. 【請求項6】 請求項3において、1パルス演算手段、
    パルス生成手段の演算周期毎に瞬時電圧演算手段から出
    力される瞬時出力電圧とこの瞬時出力電圧のゼロクロス
    点からパルスセットまでの位相を基にパルスセットの設
    定位相を求め、この設定位相が前記演算周期から定まる
    一周期分の位相より小さくなったとき、パルスをセット
    し、一方、前記瞬時出力電圧とこの瞬時出力電圧のゼロ
    クロス点からパルスリセットまでの位相を基にパルスリ
    セットの設定位相を求め、この設定位相が前記一周期分
    の位相より小さくなったとき、パルスをリセットするタ
    イミングとし、前記パルスセット及びパルスリセットの
    設定位相を時間に変換することを特徴とするPWMパル
    ス発生装置。
  7. 【請求項7】 請求項1、請求項4、請求項5または請
    求項6において、少なくとも、パルス生成手段の演算周
    期は、電力変換器の主回路に用いるパワー素子により制
    限される最小オン時間より短く設定することを特徴とす
    るPWMパルス発生装置。
  8. 【請求項8】 請求項1において、PWMパルス発生装
    置は、上位の演算手段より演算に必要な情報を受信する
    ための双方向から非同期にアクセス可能な記憶手段と、
    瞬時電圧演算手段及びパルス生成手段を同一チップ内に
    内蔵したシングルチップマイコンとを備えたことを特徴
    とするPWMパルス発生装置。
  9. 【請求項9】 請求項8において、シングルチップマイ
    コンは、基準タイマーと、PWMパルスを生成するに必
    要なタイミングを出力するタイミングレジスタと、前記
    タイマーの内容と前記タイミングレジスタの内容を逐次
    比較し、一致した場合に信号を出力する少なくとも6組
    のコンペアマッチレジスタと、該コンペアマッチレジス
    タにそれぞれ対応し、且つ前記信号に呼応して予めセッ
    トされた’1’または’0’の信号を出力するイベント
    レジスタを備えることを特徴とするPWMパルス発生装
    置。
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