JPH0819122B2 - 7−(3−イソチオシアナトピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾールの新規光学活性誘導体およびアミン分析用蛍光標識試薬 - Google Patents

7−(3−イソチオシアナトピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾールの新規光学活性誘導体およびアミン分析用蛍光標識試薬

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JPH0819122B2
JPH0819122B2 JP33991093A JP33991093A JPH0819122B2 JP H0819122 B2 JPH0819122 B2 JP H0819122B2 JP 33991093 A JP33991093 A JP 33991093A JP 33991093 A JP33991093 A JP 33991093A JP H0819122 B2 JPH0819122 B2 JP H0819122B2
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利正 豊岡
一鳴 劉
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、一級アミノ基又は二級アミノ基
を含有する化合物を検出、定量する際に蛍光標識試薬と
して有用な新規な7−(3−イソチオシアナトピロリジ
ン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール
光学活性誘導体に関する。
【0002】
【背景技術】アミン類を検出、定量する際の蛍光標識試
薬としては、従来、フルオレッサミン〔Felix,
A.M.等Anal.Biochem.,60,78
(1974)、Bohlen,P.等Anal.Bio
chem.,67,438(1975)〕、DNS−C
l〔Tapuchi,Y.等Anal.Bioche
m.,115,123(1981)、Bayer,E.
等Anal.Chem.,48,1106(197
6)〕、NBD−F〔Watanabe,Y.等J.C
hromatogr.,239,723(1982),
Imai,K.等Anal.Chim.Acta,13
,377(1981)〕、フルオレッセインイソチオ
シアネート〔Kawauchi,H.等Int.J.P
eptide Protein Res.,12,31
8(1978),Muramoto,K.等Anal.
Biochem.,141,446(1984)〕等が
知られている。
【0003】一方、光学異性体の形で存在し得るアミン
類を分離、定量するための蛍光標識法としては、これま
でに、(−)−α−メトキシ−α−メチル−1−ナフタ
レン酢酸とジシクロヘキシルカルボジイミドを使用する
方法、オルトフタルアルデヒドとN−アセチル−L−シ
ステインとを使用する方法、(+)−1−(9−フルオ
レニル)エチルクロロホルメートを使用する方法などが
報告されている。上記の各方法は、その特異性は高く、
検出限界はサブピコモルのオーダーであって、優れてい
るものであるが、2種類の試薬の組合せを用いて行なう
ことが必要とされ、操作も繁雑であったり、また、試薬
の安定性および生成した物質の安定性が悪く、分離、定
量の結果が、常に一定しないという欠点が存在する。
【0004】
【発明の開示】本発明者等はアミン類に対し、選択的に
反応性が高く、光学異性体を識別できる物質を探究し、
種々合成ならびにスクリーニングにより研究を重ねた結
果、(+)−7−(3−イソチオシアナトピロリジン−
1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾールある
いは(−)−7−(3−イソチオシアナトピロリジン−
1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾールの4
位にジアルキルアミノスルホニル基あるいはニトロ基を
導入した新規な化合物がアミン類に対する蛍光試薬とし
て極めて優れた結果をもたらすことを見出した。この新
規化合物を使用して一級アミノ基又は、二級アミノ基を
含有する化合物を分離、定量すると、極めて高感度に、
分離、定量の目的が達成される。
【0005】すなわち本発明は、一般式〔I〕
【化3】 〔式中Rは、SONRまたはNOである。*
は不斉中心を意味する。〕で表される7−(3−イソチ
オシアナトピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベン
ゾオキサジアゾールの新規な光学活性誘導体とその製造
方法を提供するものであり、また、その新規化合物を用
いることを特徴とする蛍光標識試薬を提供するものであ
る。
【0006】本発明に係る上記一般式〔I〕で表される
化合物は、文献未載の新規化合物であり、その製造方法
としては、例えば下記の反応式1に従って(+)−7−
(3−アミノピロリジン−1−イル)一あるいは(−)
−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−2,1,
3−ベンゾオキサジアゾールとチオホスゲンとを反応さ
せることにより、本発明に係る化合物、(+)−7−
(3−イソチオシアナトピロリジン−1−イル)−ある
いは(−)−7−(3−イソチオシアナトピロリジン−
1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾールの誘
導体を得ることができる。
【0007】
【化4】 〔式中のRおよび*は、前述の意義を有する〕
【0008】上記の式で表される反応において使用しう
る溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、テト
ラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、アセト
ニトリル、ジオキサン、クロロホルム、ジクロルメタ
ン、酢酸エチル等のごとき不活性有機溶媒が挙げられ
る。上記反応は、通常0−200℃の範囲内で行うこと
ができるが、好ましくは20−150℃である。反応に
要する時間は、反応温度、反応に供せられる化合物、使
用される溶媒等に応じて異なるが、通常、5分−12時
間、好ましくは15分−3時間の範囲で行われる。
【0009】反応混合物からの目的物の単離、精製は常
法に従って簡便に行うことができる。例えば、ヘキサ
ン、ベンゼン、ジクロルメタン、クロロホルム、酢酸エ
チルのごとき有機溶媒による抽出、再結晶あるいはシリ
カゲル、活性炭素、イオン交換樹脂、デキストラン架橋
重合体、スチレンもしくはアクリル酸エステルの多孔質
重合体等を用いて行う各種のクロマトグラフィーなどの
方法が適用される。
【0010】出発物質の(+)−4−ニトロ−7−(3
−アミノピロリジン−1−イル)−、(−)−4−ニト
ロ−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−、
(+)−4−(N,N−ジメチルアミノスルフォニル)
−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−または
(−)−4−(N,N−ジメチルアミノスルフォニル)
−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−2,1,
3−ベンゾオキサジアゾールは、既知化合物であり、豊
岡等の方法〔Analyst117,727(199
2)〕に従って製造することができる。他方のチオホス
ゲンは市販されており、容易に入手可能である。
【0011】本発明に係る化合物は、下記の反応式2に
示すごとく塩基触媒等の存在下で、一級アミン類又は二
級アミン類と選択的に反応結合し、対応する蛍光性のチ
オ尿素誘導体を生成する(反応式2)。分離、定量を目
的とする対象アミン化合物がアミノ酸である場合には、
反応生成物は、酸性条件下において、チオカルバミル体
を経て、速やかにチオヒダントイン誘導体に変換され、
このものが顕著な蛍光を示す(反応式3)。したがっ
て、この現象を利用して、分離、定量を目的とする対象
物質中に存在する光学活性アミン化合物と本発明に係る
化合物とを反応させた後、生成する蛍光性物質を液体ク
ロマトグラフィーで分離し、測定することにより対象物
質中に存在する光学活性アミン類を各別に検出すること
ができ、また、標準物質により作成した検量線を用いて
その定量を行なうことができる。
【0012】分離、定量する物質がアミン類である場合
の反応式を下記に示す。
【化5】
【0013】分離、定量する物質がアミノ酸である場合
の反応式を下記に示す。
【化6】
【0014】前記反応式2で表される反応において使用
する塩基触媒としては、塩基性のホウ酸緩衝液、炭酸カ
リウム、トリエチルアミン、キヌクリジン、DBU等が
用いられる。また、前記反応式3で表される反応におけ
る酸性条件とする際に使用する酸性物質の例としては、
酢酸、塩酸、硫酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸
等があげられる。
【0015】本発明に係る新規化合物を用いて、これを
蛍光標識試薬として、アミン類の光学異性体を定量する
際の好ましい条件は以下のとおりである。1)本発明に
係る化合物とアミンとの反応を塩基触媒の存在下で行わ
せる。2)アミンの種類によっては、反応終了後、ただ
ちに、反応液を酸性とし、安定なチオヒダントイン誘導
体に変換する。3)この際の反応溶媒としては、ベンゼ
ン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、エタノー
ル、メタノール、水、好ましくはアセトニトリル、水お
よびアセトニトリル−水の混合溶液などを用いる。4)
反応温度は、15℃以上、好ましくは30−80℃であ
る。5)反応時間は、1分−6時間、好ましくは2分−
2時間である。6)光学活性アミンと結合して得られた
チオ尿素蛍光誘導体またはチオヒダントイン蛍光誘導体
の分離は、液体クロマトグラフ法、薄層クロマトグラフ
法、ろ紙クロマトグラフ法、キャピラリ電気泳動法によ
り、好ましくは液体クロマトグラフ法、キャピラリ電気
泳動法により行なう。その場合、用いるカラムは、オク
タデシル−、オクチル−、シアノプロピル−、アミノプ
ロピル−、ハイドロキシプロピル−、シリカゲル−カラ
ム、ヒドロキシアパタイトカラム、アルミナカラム等逆
相系、順相系いずれでもよく、オクタデシルカラム、シ
リカゲルカラムが好ましく使用される。また、溶離用溶
媒としては、水、メタノール、エタノール、アセトニト
リル、アセトン、ジエチルエーテル、クロロホルム、ジ
クロルメタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ベン
ゼン、ヘキサン等、好ましくは水、アセトニトリル、メ
タノールあるいはそれらの混合溶液、ヘキサン、ベンゼ
ン、酢酸エチルあるいはそれらの混合溶液が用いられ
る。7)蛍光誘導体を励起させ、生じた蛍光強度を測定
するための検出器の励起波長は、400−530nm、
好ましくは440−500nmであり、蛍光波長は51
0−600nm、好ましくは530−580nmであ
る。
【0016】本発明に係る化合物の特徴を列記すると次
のごとくである。 1) アミン類に対して選択的に反応し、かつ反応性が
高いので、光学異性体のすべてを同時に分離、かつ高感
度に検出、定量することができ、優れた蛍光標識試薬と
して極めて有用である。 2) 本発明に係る化合物の(+)体あるいは(−)体
を使い分けることにより、光学活性アミン〔(+)体あ
るいは(−)体〕の溶出位置を逆転させることができ、
微量混在する光学異性体の一方を、多量に存在する光学
異性体の他方よりクロマトグラムにおいて、早く溶出さ
せることができ、そのため、従来、多量に存在する光学
異性体の妨害によって分離、定量が不可能であった微量
の光学異性体の一方を、精度良く測定することができ
る。
【0017】3) 本発明に係る化合物を用いて、ペプ
チドのアミノ酸配列を決定することができ、しかも、そ
のペプチド中に混在するアミノ酸のD−体の分離、確
認、定量を行うことができる。この点については、後に
詳述する。 4) 本発明に係る化合物は溶液状態における安定性が
高く、室温では、約一週間、冷蔵庫中では一カ月以上も
安定性を保つ。 5) 本発明に係る化合物とアミン類との結合により生
成した蛍光誘導体は、pHに依存しない安定な蛍光強度
をあたえる。 6) 本発明に係る化合物とアミン類との結合により生
成した蛍光誘導体は安定性が高く、冷蔵庫中で一週間以
上も安定性を保つ。 7) 上記の蛍光誘導体は励起、蛍光極大波長が長波長
域にあるため、通常の蛍光検出法のみならず、化学発光
検出法(後記註1参照)やレーザー蛍光検出法(後記註
2参照)によっても、光学活性アミンの(+)体および
(−)体のすべてを高感度に分離、検出することができ
る。
【0018】註1:化学発光とは簡単にいえば、“化学
反応により分子が励起されて励起状態となり、そこから
基底状態にもどる際に光を放つ現象”である。従って化
学発光は、紫外線などの光エネルギーを与えて分子を励
起させる光化学反応とは本質的に異なるものである。化
学発光では、(1)反応で生成した励起分子から直接可
視光として放出されるものと、(2)励起分子のエネル
ギーを他の共存する蛍光物質に移行することにより蛍光
物質が励起され、それから光が放出される場合があり、
いずれも励起状態から基底状態へ光を放出して遷移する
が、この光の放出過程は光化学反応と同じであり、化学
発光スペクトルは蛍光スペクトルと一致することにな
る。この明細書でいう化学発光は上記(2)に該当す
る。本発明に係る蛍光標識試薬とアミンとの反応生成物
の場合を過シュウ酸化学発光を例にとり説明する。次の
反応式4に示すごとく、シュウ酸誘導体(I)と過酸化
水素(II)が存在する反応系内にある種の蛍光物質を
存在させると、キセノンランプ等を用いない状態であっ
ても発光が見られる。このように、化学発光法において
は、光源を用いないため、ランプのちらつき等によるノ
イズが発生せず、分析の感度が向上する。本発明に係る
新規化合物の中でDBD−誘導体(後記実施例2参照)
は、化学発光に適した蛍光体であり、超微量10−15
〜10−16モルの検出が可能である。
【0019】
【化7】
【0020】註2:通常、蛍光物質を光化学反応により
励起するためには、紫外線ランプやキセノンランプ等が
使用される。しかし、最近では、これらの代りにレーザ
ー光源を用いることが可能となっている。レーザー光源
を使うとバンド幅を極端に狭くし微小なセルに集光する
ことができるため、キセノンランプ等の通常蛍光法に比
較して、10−100倍程度高感度で検出することがで
きる。しかし現在までのところ、アルゴンイオンレーザ
ーなら488nmというように多くの場合波長が固定し
ておりキセノンランプ等のように波長を自在に変えるこ
とができない。従って感度の良し悪しは、蛍光体の励起
波長と、個々のレーザー光源の波長とが接近しているか
否かによる。本発明に係る新規化合物のうち、NBDの
誘導体(後記実施例1参照)の励起波長はおよそ485
nmでありアルゴンイオンレーザーの波長488nmと
ほぼ一致しており、これにより、高感度の測定が可能で
ある。
【0021】本発明の化合物は前述のとおりの特性から
超微量(10−14〜10−16モル)で存在する個々
の光学活性アミンについて、その定性分析、定量分析に
応用できるばかりでなく、広く一級アミン類又は二級ア
ミン類を含有する蛋白質、ペプチドの一次構造の解析、
定量、酵素中のアミノ酸の機能の研究、細胞、膜、組織
等の生体中の光学活性アミンの分離、検出あるいは生体
構成部分の構造と機能の関係についての検討に際しての
種々の分泌液、その他の臨床試料中のアミン類の定量に
応用することができ、さらにこれらを基礎とした代謝、
臨床分析それらの自動化の基礎技術あるいは生化学、生
理学、および基礎、臨床にわたる医学的研究等等に非常
に広範囲にわたって応用することができる。
【0022】ペプチドのアミノ酸配列の決定について 下記の反応式5に示されているとおり、ペプチド(I
I)のN末端のアミノ基と本発明に係る化合物(I)と
が、アルカリ性の条件下において反応し、対応するチオ
尿素(III)誘導体が生成する。この反応溶液の液性
をアルカリ性から酸性とすることにより式(III)の
ペプチドの末端アミノ酸におけるアミド結合(Rアミ
ノ酸とRアミノ酸との結合部位)が解裂し、対応する
環状チオカルバミル−アミノ酸(IV)を生成する。
(IV)のアミノ酸は一般的には不安定であり、開環体
(V)を経て、対応する環状チオヒダントイン誘導体
(VI)を生成する。一方ペプチドについては、N末端
のアミノ酸(Rアミノ酸)が解裂してRアミノ酸が
末端となったペプチドとなる。Rアミノ酸は式(V
I)の化合物から同定できるので、上記の操作を繰り返
し行うことによりペプチドのアミノ酸配列をN末端のア
ミノ酸から順次に決定することができる。
【0023】
【化8】
【0024】近年バイオテクノロジーの急速な発展に伴
ってインシュリン等の生理活性ペプチドが微生物等を使
用したバイオテクノロジーにより盛んに開発されつつあ
る。しかしこの製造過程において人体に有用でないD−
アミノ酸が少なからず取込まれる可能性がある。この割
合が多いとペプチドの高次構造が変化し、生理活性がな
くなるばかりか、時には毒性を発現する可能性も考えら
れる。従って、ペプチド中に微量に取込まれたD−アミ
ノ酸を高感度で測定する方法を確立することは、医薬品
の有効性や安全性を確保する上できわめて重要である。
本発明に係る試薬はイソチオシアナート構造を有し、蛍
光性を有するため、ペプチドのアミノ酸配列を高感度に
決定することができ、また、本発明に係る試薬は、光学
活性化合物であるため、ペプチド中に微量混在するD−
アミノ酸を識別、定量することが可能であり、極めて利
用価値が大きい。
【0025】本願化合物の中から、4−ニトロ−7−
(3−イソチオシアナトピロリジン−1−イル)−2,
1,3−ベンゾオキサジアゾール(〔(+)−NBD−
PyNCS〕と略す)を代表例として取り上げ、光学活
性アミン類〔(+)および(−)体〕との反応性および
生成した蛍光誘導体の液体クロマトグラフィーでの分離
度(Rs)について行なった実験例を以下に示す。
【0026】〔実験例1〕 (+)−NBD−PyNCSと(−)−イソロイシンと
の反応性 1. 蛍光標識試液の調製 (+)−NBD−PyNCS 2.91mgを全量が
1.0mlになるようにアセトニトリルに溶解した。 2. 被検サンプルの調製 (−)−イソロイシン6.5mgを全量が10.0ml
になるようにアセトニトリルに溶解した。次いでその溶
液0.2mlを分取し、3%トリエチルアミンを加え、
全量を4.0mlとした。 3. 反応停止液の調製 酢酸6.0mlにアセトニトリル−水(1:1)の混合
溶液を加えて全量を100mlとした。
【0027】4. 上記2で調整したサンプルを1.0
ml分取し、これに、上記1で調製した蛍光標識試薬
1.0mlを加え、全体を55℃で5、10、15、2
0、30、50、80分間放置後、これらの各時間ごと
の反応溶液について、それぞれ一定量(20μl)をと
り、3で調製した酸性溶液480μlを加え、以下に示
す条件下に液体クロマトグラフ法により分離し、蛍光検
出を行なった。この結果を図1に示す。 装 置:島津LC−9A液体クロマトグラフ カラム:イナ−トシルODS−2(150×4.6m
m、i.d.,5μm) カラム温度:40℃ 溶出液:0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水/ア
セトニトリル(65/35) 注入量:5μl 流 速:毎分1.0ml 蛍光検出器:島津RF−550 検出波長:励起波長485nm、蛍光波長530nm 図1に示されているとおり、10−50分後に反応が最
大に達し、以後ほぼ一定の蛍光強度(収率)を示すこと
が認められた。
【0028】〔実験例2〕 蛍光標識試薬と(+)−アミンまたは(−)−アミンと
の反応により生成した蛍光誘導体の分離度(Rs)の検
討 1. 蛍光標識試薬の調製 (+)−NBD−PyNCS 2.91mgを全量が
1.0mlになるようにアセトニトリルに溶解した。 2. 被検サンプルの作製 (A) (+)−または(−)−フェニルアラニン1
6.5mgを全量が10mlになるようにアセトニトリ
ルに溶解した。次いでそれぞれ0.2mlを分取し、1
%トリエチルアミンを加え、全量を4.0mlとした。 (B) (+)−または(−)−トリプトファン20.
4mgを全量が10mlになるようにアセトニトリルに
溶解した。次いでそれぞれ0.2mlを分取し、1%ト
リエチルアミンを加え、全量を4.0mlとした。 (C) (+)−および(−)−1−(1−ナフチル)
エチルアミン12.3mgを全量が10mlになるよう
にアセトニトリルに溶解した。次いでそれぞれ0.2m
lを分取し、1%トリエチルアミンを加え、全量を4.
0mlとした。 (D) (+)−および(−)−プロプラノロール1
2.3mgを全量が10mlになるようにアセトニトリ
ルに溶解した。次いでそれぞれ0.2mlを分取し、1
%トリエチルアミンを加え、全量を4.0mlとした。
【0029】3. 反応停止液の調製 酢酸6.0mlにアセトニトリル−水(1:1)の混合
溶液を加えて全量を100mlとした。 4. 上記2のごとく作成したサンプルをそれぞれ10
μl分取したものに、1の蛍光標識試液10μlを加え
たものを50℃で5分間反応させた後、3で調製した酸
性溶液480μlを加え、〔実験例1〕と同様に液体ク
ロマトグラフ法により分離し、蛍光検出した。蛍光標識
された光学活性アミン類のピークの溶出時間を測定し、
下記の式に従って分離度(Rs)を計算した。その結果
を表1に示す。 装 置:島津LC−9A液体クロマトグラフ カラム:イナ−トシルODS−2(150×4.6m
m、i.d.,5μm) カラム温度:40℃
【0030】溶出液:フェニルアラニンまたはトリプト
ファンと(+)−NBD−PyNCSを反応させたと
き、0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水/アセト
ニトリル(65/35) 1−(1−ナフチル)エチルアミンと(+)−NBD−
PyNCSを反応させたとき、0.05%トリフルオロ
酢酸を含有する水/アセトニトリル(52/48) プロプラノロールと(+)−NBD−PyNCSを反応
させたとき、0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水
/アセトニトリル(45/55)。 注入量:5μl 流 速:毎分1.0ml 蛍光検出器:島津RF−550 検出波長:励起波長485nm、蛍光波長530nm
【0031】Rs=2(tR2−tR1)/W+WR1、tR2:それぞれ、蛍光標識されたジアステレ
オマーの溶出時間 W、W:それぞれ、蛍光標識されたジアステレオマ
ーのピーク幅 (図3参照)
【0032】
【表1】
【0033】〔実験例3〕 蛍光標識試薬と(+)−アミンまたは(−)−アミンと
の反応により生成した蛍光誘導体の検出能の検討 1. 蛍光標識試薬の調製 (+)−NBD−PyNCS 2.91mgを全量が
2.0mlになるようにアセニトリルに溶解した。 2. 被検サンプルの作製 (A) (+)−および(−)−フェニルアラニン1
6.5mgをそれぞれ全量が50mlになるようにアセ
トニトリルに溶解した。次いでこの液0.5mlを分取
し、5%トリエチルアミンを加え、全量を1.0mlと
した。 3. 反応停止液の調製 酢酸6.0mlにアセトニトリル−水(1:1)の混合
溶液を加えて全量を100mlとした。
【0034】4. 上記2のごとく作成したサンプルを
それぞれ10μl分取したものに、1の蛍光標識試液1
0μlを加えたものを50℃で5分間反応させた後、3
で調製した酸性溶液480μlを加え、反応を停止し
た。次いでこの液10μlを量りアセトニトリルを加え
全量を1.0mlとし、〔実験例1〕と同様に液体クロ
マトグラフ法により分離し、レーザー蛍光検出した。そ
の時のクロマトグラムを図2に示す。 装 置:島津LC−9A液体クロマトグラフ カラム:イナ−トシルODS−80A(150×4.6
mm、i.d.,5μm) カラム温度:40℃ 溶出液:0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水/ア
セトニトリル(62/38) 注入量:1μl(0.2ピコモルに相当する) 流 速:毎分1.0ml アルゴンイオンレーザー蛍光検出器:LF−8010
(東ソ−製) 検出波長:波長488nm
【0035】本発明に係る化合物とアミン類との反応に
より生成した蛍光誘導体は、励起波長および蛍光波長が
共に長波長であるため、生体試料を取扱う場合には、励
起波長および蛍光波長が比較的短波長域(400nm以
下)にある生体成分の影響を受けにくく、微量物質の測
定に際し、再現性の良いデータを得ることができる。ま
た未反応の蛍光試薬や縮合剤等をあらかじめ除去すると
いった繁雑な前処理操作が不要であることも優れた特徴
の一つである。さらに順相系、逆相系の両方で分離、検
出することができ、表1から明らかなようにRsが1.
5以上であり、ベースラインセパレーションが得られた
ときのRsが1.25と言われていることから考える
と、本発明の化合物の光学活性アミンの分離識別能が極
めて優れていることがわかる。また通常蛍光法での検出
限界は約10フェムトモル(10−14モル)と十分高
感度であるが、化学発光法やレーザー蛍光法により更に
10−100倍感度の向上がはかられる。次に実施例に
よって本発明の化合物の合成法を説明する。
【0036】
【実施例】〔実施例1〕 (−)−4−ニトロ−7−(3−イソチオシアナトピロ
リジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾ
ール(以下〔(−)−NBD−PyNCS〕と略す)お
よび(+)−4−ニトロ−7−(3−イソチオシアナト
ピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジ
アゾール(以下〔(+)−NBD−PyNCS〕と略
す)の合成 (+)−4−ニトロ−7−(3−アミノピロリジン−1
−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下
〔(+)−NBD−APy〕と略す)100mgを10
0mlのアセトンに溶かし、これにチオホスゲン100
μlを含有するベンゼン溶液10mlを滴下した。還流
下で1時間反応させた後、溶媒を減圧留去した。残渣に
水100mlを加え、ベンゼン25mlで3回抽出し
た。ベンゼン層を合せ無水硫酸ナトリウムで脱水後濾過
し、濾液を減圧下留去した。得られた残渣にn−ヘキサ
ン/ベンゼン(1:2)を加え再結晶して、(+)−N
BD−PyNCSの赤色結晶75mgを得た(収率65
%)。(+)−NBD−PyNCSの主な物性値は次の
とおりである。 融点165−170℃(分解);IR(KBr)216
0,2100,1610,1550,1495,132
0,1290cm−1H−NMR(重クロロホル
ム)PPM,8.46(1H,d),6.08(1H,
d),4.69(1H,m),3.6−4.7(4H,
m),2.52(2H,m)
【0037】(−)−4−ニトロ−7−(3−イソチオ
シアナトピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾ
オキサジアゾール(以下〔(−)−NBD−PyNC
S〕と略す)も(−)−4−ニトロ−7−(3−アミノ
ピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジ
アゾール(以下〔(−)−NBD−APy〕と略す)か
ら同様に合成することができる。
【0038】〔実施例2〕 (−)−4−(N,N−ジメチルアミノスルフォニル)
−7−(3−イソチオシアナトピロリジン−1−イル)
−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(以下〔(−)
−DBD−PyNCS〕と略す)および(+)−4−
(N,N−ジメチルアミノスルフォニル)−7−(3−
イソチオシアナトピロリジン−1−イル)−2,1,3
−ベンゾオキサジアゾール〔(+)−DBD−PyNC
S〕と略す)の合成 (−)−4−(N,N−ジメチルアミノスルフォニル)
−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−2,1,
3−ベンゾオキサジアゾール(以下〔(−)−DBD−
APy〕と略す)50mgを60mlのアセトンに溶か
し、これにチオホスゲン100μlを含有するベンゼン
溶液10mlを滴下した。還流下で2時間反応させた
後、溶媒を減圧留去した。残渣に水50mlを加え、ベ
ンゼン25mlで3回抽出した。ベンゼン層を合せ無水
硫酸ナトリウムで脱水後濾過し、濾液を減圧下留去し
た。得られた残渣にn−ヘキサン/ベンゼン(1:2)
を加え再結晶して、(−)−DBD−PyNCSの黄色
結晶30mgを得た(収率53%)。(−)−DBD−
PyNCSの主な物性値は次のとおりである。 (分解点160−170℃);IR(KBr)217
0,2110,1600,1560,1420,133
5,1140,970cm−1H−NMR(重クロ
ロホルム)PPM,7.88(1H,d),6.01
(1H,d),4.61(1H,m),3.9−4.3
(4H,m),2.87(6H,s),2.46(2
H,m)
【0039】(+)−4−(N,N−ジメチルアミノス
ルフォニル)−7−(3−イソチオシアナトピロリジン
−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール
(以下〔(+)−DBD−PyNCS〕と略す)も
(+)−4−(N,N−ジメチルアミノスルフォニル)
−7−(3−アミノピロリジン−1−イル)−2,1,
3−ベンゾオキサジアゾール(以下〔(+)−DBD−
APy〕と略す)から同様に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物の一つ(+)−NBD−PyN
CSと(−)−イソロイシンを反応させたときの反応時
間と蛍光強度(収率)の関係を示すグラフである。
【図2】本発明の化合物の一つ(−)−NBD−PyN
CSと(−)−フェニルアラニンおよび(+)−フェニ
ルアラニンの当量混合体を反応させたときに得られた誘
導体のクロマトグラムであり、それぞれのピークは0.
2ピコモル(2×10−13モル)に相当する。このク
ロマトグラムより算出した検出限界は、およそ8フェム
トモル(8×10−15モル)であった。
【図3】本発明の化合物とアミンとの反応により生成し
た蛍光標識アミンのピークの溶出時間と、蛍光標識され
たジアステレオマーのピーク幅を示す参考グラフであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔I〕 【化1】 (式中Rは、SONR、またはNOであり、
    *は不斉中心を意味する。)で表される7−(3−イソ
    チオシアナトピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベ
    ンゾオキサジアゾールの新規光学活性誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式〔I〕 【化2】 (式中Rは、SONR、またはNOであり、
    *は不斉中心を意味する。)で表される7−(3−イソ
    チオシアナトピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベ
    ンゾオキサジアゾールの新規光学活性誘導体からなるこ
    とを特徴とするアミン分析用蛍光標識試薬。
JP33991093A 1993-11-26 1993-11-26 7−(3−イソチオシアナトピロリジン−1−イル)−2,1,3−ベンゾオキサジアゾールの新規光学活性誘導体およびアミン分析用蛍光標識試薬 Expired - Lifetime JPH0819122B2 (ja)

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CN112946157B (zh) * 2021-02-08 2023-10-27 武汉轻工大学 荧光硫脲衍生化试剂在3-氯-1,2-丙二醇检测中的应用

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