JPH0665220A - 7−置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリ ル)イソチオシアネート及びそれを含むアミン、アミ ノ酸、ペプチド、タンパク質測定用組成物 - Google Patents

7−置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリ ル)イソチオシアネート及びそれを含むアミン、アミ ノ酸、ペプチド、タンパク質測定用組成物

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JPH0665220A
JPH0665220A JP23885492A JP23885492A JPH0665220A JP H0665220 A JPH0665220 A JP H0665220A JP 23885492 A JP23885492 A JP 23885492A JP 23885492 A JP23885492 A JP 23885492A JP H0665220 A JPH0665220 A JP H0665220A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】下記式 〔式中、RはSONR(R及びRは水素原
子又はC1〜3のアルキル基を示す〕で表される、7−
置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル)イ
ソチオシアネート又はその塩。当該化合物を発蛍光剤と
して含有するアミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質
の測定用組成物、ペプチド、タンパク質の配列分析用組
成物、及びこれらの組成物を使用し、蛍光分析により定
量、分析することからなる当該物質の定量、分析方法。 【効果】アミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質を高
感度に測定できると共に、ペプチド、タンパク質の配列
を高感度に分析することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アミン、アミノ酸、ペ
プチド、タンパク質を検出、定量するための試薬とし
て、あるいは、ペプチド、タンパク質のアミノ酸配列を
分析するための試薬として用いることの出来る7−置換
−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル)イソチ
オシアネ−ト又はその塩に関するものであり、更に詳し
くは、当該化合物を発蛍光剤として含有するアミン、ア
ミノ酸、ペプチド、タンパク質測定用組成物、又はペプ
チド、タンパク質の配列分析用組成物、更に、当該化合
物を発蛍光試薬として用いるアミン、アミノ酸、ペプチ
ド、タンパク質の検出、定量方法、及びペプチド、タン
パク質の配列分析法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アミン、アミノ酸、ペプチド、タ
ンパク質を検出、定量するための試薬、あるいは、ペプ
チド、タンパク質のアミノ酸配列を分析するための試薬
としては、フェニルイソチオシアネ−トが知られてお
り、これまで汎用されてきた〔P.Edman,Act
a Chim.Scand.,4,283(195
0);P.Edman,Acta Chim.Scan
d.,10,761(1956);P.Edman,
G.Begg,Eur.J.Biochem.,1,8
0(1967).〕。しかしながら、当該試薬は、吸光
度を検出をしなければならないため感度が悪いという難
点があり、更に高感度な検出、定量試薬の開発が望まれ
ていた。
【0003】一方、高感度な検出を目指して、これまで
に種々の蛍光試薬が開発されており、例えば、フルオレ
セインイソチオシアネ−ト〔H.Maeda,H.Ka
w−auchi,Biochim.Biophys.R
es.Commun.,31,188(1968)〕、
4−N,N−ジメチルアミノナフチルイソチオシアネ−
ト〔H.Ichikawa,T.Tanimura,
T.Nakajima,Z.Tamura,Chem.
Pharm.Bull,18,1498(197
0).〕、N−ダンシルアニリノフェニルイソチオシア
ネ−ト〔S.−W.J−in,G.−X.Chen,
Z.Palacz,B.Wittmann−Li−eb
old,FEBS letters,198,150
(1986);H.Hirano,B.Wittman
n−Liebold,Biol.Chem.Hoppe
−Seyler,367,1259(1986)〕など
の蛍光試薬が開発されている。しかしながら、これらの
試薬についても、反応性、試薬の安定性などの点で各々
難点があり、また、試薬自体が蛍光を有しているなどの
欠点があり広く使われるには到っていないのが実情であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような現状の中
で、本発明者は、高感度な検出、定量の可能な化合物及
び分析試薬を開発することを目標に鋭意研究を積み重ね
た結果、驚くべきことに、本発明者が長年にわたり携わ
り創製してきたベンゾフラザン骨格を有する蛍光試薬
〔ABD−F,T.Toyo’oka,K.Imai,
56,2461(1984);DBD−F,T.Toy
o’oka,T.Suzuki,Y.Sai−to,
S.Uzu,K.Imai,Analyst,114,
413(1983).〕の4位又は7位をチオカルバミ
ル基で置換することにより得られる新規化合物が、アミ
ン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質のアミノ基に対
し、著しく高い反応性を有し、従って極微量のアミン、
アミノ酸、ペプチド、タンパク質が定量できることを見
出すと共に、更にペプチド、タンパク質のアミノ酸配列
の分析試薬としても用いられることを見出し、かかる知
見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は、下記の化11の構造式
【0006】
【化11】
【0007】〔式中Rは下記の化12(但しR1 、R2
は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基)である〕で
表わされる7−置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサ
ジアゾリル)イソチオシアネ−ト又はその塩を提供する
ことを目的とするものである。
【0008】
【化12】
【0009】また、本発明は、前記化11の構造式で表
される化合物を発蛍光剤として含有するアミン、アミノ
酸、ペプチド、タンパク質の定量用組成物を提供するこ
とを目的とするものである。
【0010】また、本発明は、前記化11の構造式で表
される化合物を含有するペプチド、タンパク質の配列分
析用組成物を提供することを目的とするものである。
【0011】更に、本発明は、前記11の構造式で表さ
れる7−置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾ
リル)イソチオシアネ−ト又はその塩を試料検体に加え
て反応させ、生じた蛍光誘導体の蛍光強度を測定するこ
とからなるアミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質の
定量方法、及びペプチド、タンパク質の配列分析方法を
提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の前記化合物は、
文献未載の新規化合物であり、例えば下記の反応式に沿
ってフルオロベンゾフラザンの中、4−フルオロ−7−
N,N−ジメチルアミノスルフォニル−2,1,3−ベ
ンゾオキサジアゾ−ル(以下DBD−Fと略す)(特開
昭60−72874号)、又は、4−フルオロ−7−ア
ミノスルフォニル−2,1,3−ベンゾオキサジアゾ−
ル(以下ABD−Fと略す)(特開昭60−72874
号)とアンモニアを反応させることにより、前記構造式
においてRが下記の化13である場合に該当する新規な
化合物4−アミノ−7−N,N−ジメチルアミノスルフ
ォニル−2,1,3−ベンゾオキサジアゾ−ル(DBD
−アミン)、又は前記構造式において、Rが−SO2
2 である場合に該当する新規な化合物4−アミノ−7
−アミノスルフォニル−2,1,3−ベンゾオキサジア
ゾ−ル(ABD−アミン)が得らる。
【0013】
【化13】
【0014】更に、当該化合物のアミノ基をチオカルバ
ミル基と置換することによって、前記構造式において、
Rが−N−R1 (但しR1 2 は前記定義に同じ)であ
る場合に該当する本発明の化合物7−N,N−ジメチル
アミノスルフォニル−4−(2,1,3−ベンゾオキサ
ジアゾリル)イソチオシアネート(DBD−NCS)が
得られ、前記構造式において、Rが−SO2 NH2 であ
る場合に該当する本発明の化合物7−アミノスルフォニ
ル−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル)イソ
チオシアネ−ト(ABD−NCS)が得られる。 〔反応式〕
【0015】
【化14】
【0016】〔式中Rは下記の化15(但しR1 、R2
は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基)である〕
【0017】
【化15】
【0018】上記反応に於いて、反応−Iに使用しうる
溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テ
ル、アセトニトリル、ジオキサン、クロロホルム、ジク
ロルメタン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル等の不活
性有機溶媒が挙げられる。
【0019】また、反応−IIにおいて使用し得る溶媒
としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、ア
セトニトリル、ジオキサン、クロロホルム、ジクロルメ
タン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル等の不活性有機
溶媒が挙げられる。
【0020】上記反応−Iは、通常−10℃〜100℃
の範囲内で行うことができるが、好ましくは0℃〜60
℃である。反応−IIは、通常10℃〜200℃の範囲
内で行うことができるが、好ましくは30℃〜150℃
である。反応に要する時間は、反応温度、反応に供せら
れる化合物、溶媒等によって異なるが、反応−Iは、通
常は1分〜30時間、好ましくは1時間〜25時間の範
囲で、反応−IIは、通常は30分〜20時間、好まし
くは1時間〜10時間の範囲で適宜選択される。
【0021】反応混合物からの目的物の単離、精製は、
常法に従って容易に行うことができる。例えば、生じる
沈殿の濾取、ジクロルメタン、クロロホルム 酢酸エチ
ル、アセトニトリルのごとき有機溶媒による抽出、ある
いは活性炭素、シリカゲル、イオン交換樹脂、テキスト
ラン架橋重合体、スチレンもしくはアクリル酸エステル
の多孔質重合体等を用いた各種のクロマトグラフィ−を
適用して行うことができる。
【0022】出発物質のフルオロベンゾフラザンは既知
化合物であり、例えばDBD−F、ABD−Fは、To
yo’oka等の方法〔Analyst,114,41
3(1989);Anal.chem.,56,246
1(1984)〕に従って製造することができる。
【0023】当該イソチオシアネ−トは、測定系に影響
を与えなければ、本発明化合物のイソチオシアネ−ト基
とイオン的に結合して塩を形成する基をすべて含み、そ
の塩としては硝酸、塩酸、過塩素酸などの塩を挙げるこ
とができる。
【0024】本発明化合物は、それ自身では蛍光を示さ
ず、アミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質のアミノ
基と選択的に反応結合した後、顕著な蛍光を示すことか
ら、その蛍光強度を測定すれば検体試料中のアミン、ア
ミノ酸、ペプチド、タンパク質を検出、定量することが
できる。
【0025】本発明化合物又はその塩それ自体、あるい
は本発明化合物又はその塩を発蛍光剤として含有する組
成物を用いてアミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質
を定量する際、良好な反応性を期待するための好ましい
条件としては、試料に対し添加する本発明化合物又はそ
の塩の量は、アミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質
のアミノ基1モルに対し、1モル以上、特に10〜10
4 モルが好ましく、反応液は無水又は含水量の少ないア
セトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが望まし
く、好ましくは無水であること、液性は酸性であるこ
と、好ましくは0〜7、反応温度は1分〜4時間、好ま
しくは1〜120分である。
【0026】反応中の酸性度を維持するためには、トリ
フルオロ酢酸、塩酸、過塩素酸を用いることが挙げられ
る。アミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質のアミノ
基と結合して得られた蛍光誘導体を励起させ、生じた蛍
光強度を測定するための励起波長及び蛍光波長として、
励起波長は410〜490nm、好ましくは450〜4
70nm、蛍光波長は530〜600nm、好ましくは
548〜570nmを選ぶことができる。
【0027】本発明化合物は、更に、アミノ酸、ペプチ
ド、タンパク質のアミノ基と反応結合した後、酸処理す
ることにより遊離チオカルバミルアミノ酸を生じるの
で、これを検出することによりアミノ酸、ペプチド、タ
ンパク質のN−末端アミノ酸の高感度検出、又は定量が
出来る。
【0028】この反応の結果生じたアミノ酸が一個欠け
たペプチド、又はタンパク質のアミノ基は、更に、DB
D−NCS、ABD−NCSと反応し、これは上記酸処
理によりチオカルバミルアミノ酸を遊離する。このよう
にして、当該試薬をペプチド、又はタンパク質の高感度
なアミノ酸配列分析試薬として用いることがで出来る。
【0029】当該アミノ酸の配列分析を行う際、良好な
閉環開裂反応を期待するための好ましい条件は、無水ト
リフルオロ酢酸などを用いること、反応液は、無水又は
含水量の少ないアセトニトリル、ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミドが望ましく、好ましくは無水であること、反応温度
は、1分〜4時間、好ましくは1〜120分である。
【0030】得られたチオカルバミルアミノ酸の蛍光誘
導体を励起させ、生じた蛍光強度を測定するための励起
波長及び蛍光波長として、励起波長は350〜450n
m、好ましくは370〜420nm、蛍光波長は480
〜530nm、好ましくは490〜520nmを選ぶこ
とができる。
【0031】本発明の化合物は多くの特徴を有するが、
列記すると次の如くである。 (1)アミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質のアミ
ノ基との反応性が高いために、検出限界を大幅に低下さ
せることができる。 (2)溶液状態での安定性が高い。有機溶媒中では室温
中1週間以上も安定である。
【0032】(3)アミン、アミノ酸、ペプチド、タン
パク質との誘導体の安定性が高い。反応液中の条件下で
は冷蔵庫中で一週間以上も安定である。 (4)アミノ酸、ペプチド、タンパク質との誘導体を酸
にて閉環開裂させて得たチオカルバミルアミノ酸も安定
性が高く、更に、当該チオカルアミルアミノ酸を高感度
に検出、定量出来る。 (5)超微量のペプチド、タンパク質のアミノ酸配列分
析が出来る。
【0033】本発明化合物は、前述の特性から10-10
ないし10-8Mのアミン、アミノ酸、ペプチド、タンパ
ク質の蛍光定量分析、ならびにペプチド、タンパク質の
アミノ酸配列分析に応用できるばかりでなく、広く生体
組織試料を対象とし、顕微鏡の視野内でアミン、アミノ
酸、ペプチド、タンパク質を検出するような組織学的検
査、膜、細胞、組織等の生体中のアミン、アミノ酸、ペ
プチド、タンパク質の検出と配列分析、これら生体構成
部分の構造と機能の関係についての検討、種々の分泌液
その他の臨床試料中のアミン、アミノ酸、ペプチド、タ
ンパク質の定量を基礎とした代謝、臨床分析それらの自
動化の基礎等、生化学、分子遺伝学、生理学及び基礎、
臨床にわたる医学的研究、ヒュ−マンゲノム解析など非
常に広範囲の応用が可能である。
【0034】
【実施例】本発明の化合物について、次に実施例をあげ
て更に具体的に本発明を説明するが、本発明はその要旨
を越えない限り以下の実施例に制約されるものではな
い。
【0035】実施例14−アミノ−7−N,N−ジメチルアミノスルフォニル
−2,1,3−ベンゾオキサジアゾ−ルの合成 4−フルオロ−7−N,N−ジメチルアミノスルフォニ
ル−2,1,3−ベンゾオキサジアゾ−ル50mgを1
5mlのアセトニトリルに溶解させた後、室温にて0.
1mlの28%アンモニアを加えた。室温にて一晩攪拌
反応させた後、反応液を減圧凝縮し、黄色結晶を得た。
これをアセトニトリルにて再結晶し、融点214−21
7℃の淡黄色の結晶28mgを得た。
【0036】 元素分析値 C8 104 3 Sとして C H N S 理論値(%) 39.67 4.16 23.14 13.23 実測値(%) 39.89 4.02 23.07 13.17
【0037】EI−MS m/z 242(M+ ) NMR(CD3 CN,90MHz)λ(ppm):2.
74(6H,s),6.03(2H,broad
s),6.43(1H,d,J=7.91Hz) UV λethanol max nm(ε):229(19.0×
103 ),252(11.4×103 ),424(7.
2×103 ) 1R(KBr)(cm-1):3450,3350,16
30,1555
【0038】実施例24−アミノ−7−アミノスルフォニル−2,1,3−ベ
ンゾオキサジアゾ−ルの合成 4−アミノスルフォニル−7−フルオロ−2,1,3−
ベンゾオキサジアゾ−ル100mgを、30mlのアセ
トニトリルに溶解させた後、室温にて0.2mlの28
%アンモニア水を加えた。室温にて一晩反応させた後、
反応液を減圧凝縮した。残渣をアセトニトリル−クロロ
ホルムにて再結晶し、融点237−238℃の黄橙色の
結晶60mgを得た。
【0039】 元素分析値 C6 6 4 3 4 Sとして C H N S 理論値(%) 33.65 2.82 26.17 14.97 実測値(%) 33.73 2.81 26.00 14.94
【0040】EI−MS m/z 214(M+ ) NMR(CD3 CN,90MHz)λ(ppm):5.
66(2H,broad s),6.08(2H,br
oad s),6.39(1H,d,J=7.91H
z),7.73(1H,d,7.91Hz) UV λethanol max nm(ε):229(20.4×
103 ),421(6.3×103 ) 1R(KBr)(cm-1):3480,3360,32
50,1640,1550
【0041】実施例37−N,N−ジメチルアミノスルフォニル−4−(2,
1,3−ベンゾオキサジアゾリル)イソチオシアネ−ト
(DBD−NCS)の合成 4−アミノ−7−N,N−ジメチルアミノスルフォニル
−2,1,3−ベンゾオキサジアゾ−ル200mgを、
15mlのアセトニトリルに溶解させた後、室温にて1
mlの30%チオホスゲン−ベンゼン溶液を滴下した。
これを5時間還流した後、反応液を減圧凝縮した。残渣
を20mlのクロロホルムで2回抽出し、これを濾過、
濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ
ゲルG200、15g、溶離液クロロホルム)に付し
た。DBD−NCSに相当する分画を集め、濃縮し、得
られた黄白色残渣をベンゼン−n−ヘキサンにて再結晶
し、融点122−124℃の淡黄白色の結晶61mgを
得た。
【0042】 元素分析値 C9 8 4 3 2 として C H N S 理論値(%) 38.03 2.84 19.72 22.56 実測値(%) 38.40 2.86 19.57 22.47
【0043】EI−MS m/z 284(M+ ) NMR(CDCl3 ,90MHz)λ(ppm):2.
95(6H,s),7.17(1H,d,J=7.47
Hz),7.98(1H,s,J=7.47Hz) UV λethanol max nm(ε):221(15.7×
103 ),266(11.5×103 ),376(1
1.7×103 ) 1R(KBr)(cm-1):2050,1970,16
10,1540
【0044】実施例47−アミノスルフォニル−4−(2,1,3−ベンゾオ
キサジアゾリル)イソチオシアネ−ト(ABD−NC
S)の合成 4−フルオロ−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾオキサ
ジアゾ−ル300mgを、15mlのアセトニトリルに
溶解させた後、室温にて2mlの40%チオホスゲン−
ベンゼン溶液を滴下した。これを2時間還流した後、反
応液を減圧凝縮した。残渣を20mlのクロロホルムで
2回抽出し、これを濾過、濃縮し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィ−(シリカゲルG200、15g、溶離
液クロロホルム)に付した。DBD−NCSに相当する
分画を集め、濃縮し、残渣をベンゼン−nヘキサンにて
再結晶し、融点179−181℃の淡黄白色の結晶72
mgを得た。
【0045】 元素分析値 C7 4 4 3 2 として C H N S 理論値(%) 32.82 1.57 21.88 25.02 実測値(%) 32.94 1.71 21.80 24.78
【0046】EI−MS m/z 256(M+ ) NMR(CDCl3 ,90MHz)λ(ppm):5.
34(2H,broad s),7.12(1H,d,
J=7.25Hz),8.02(1H,d,J=7.2
5Hz), UV λethanol max nm(ε):214(21.0×
103 ),263(14.2×103 ),371(1
1.8×103 ) 1R(KBr)(cm-1):2050,1980,16
20,1540
【0047】実施例5アミノ酸の高速液体クロマトグラフィ−による分析 アミノ酸(50μM)を含む緩衝液(pH10.0)9
0μlとDBD−NCS10mMを含むアセトニトリル
溶液10μlとを混合した検体試料を用意した。この検
体試料を55℃で2分間反応させ、次に、これに1M酢
酸180μlを加えて反応を止めた。この検体試料を5
μl採り、TSK Gel ODS−80Tmカラムに
て、0、05%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル
−水の容量比23:77の溶離液から容量比52:48
の溶離液にて30分間の勾配溶離し、蛍光光度計F−1
000(日立製作所製)を用いて励起波長385nm、
蛍光波長505nmで蛍光強度を測定した。結果を図1
に示す。
【0048】なお、アミノ酸として次の5種類のアミノ
酸を対象として、その検出限界を求めた。 ・アスパラギン酸 ・アラニン ・チロシン ・イソロイシン ・フェニルアラニン
【0049】図1は、本発明の化合物の一つであるDB
D−NCSと、アミノ酸であるアスパラギン酸、アラニ
ン、チロシン、イソロイシン、フェニルアラニンと反応
させた際に得られた高速液体クロマトグラムである。図
中、1は、アスパラギン酸、2は、アラニン、3は、チ
ロシン、4は、イソロイシン、5は、フェニルアラニ
ン、の各々DBD−チオカルバミン酸誘導体である。
【0050】図1から明らかなように、本発明化合物
は、アミノ酸を高感度に検出、定量するための試薬とし
て有用であることが分った。本発明化合物のABD−N
CSについても、同様の結果が得られた。また、アミ
ン、ペプチド、タンパク質についても、同様の結果が得
られた。
【0051】実施例6ペプチドの高速液体クロマトグラフィーによる分析 本発明の化合物の一つであるDBD−NCSを発蛍光剤
として、ペプチドであるアラニル−アラニル−アラニン
と反応させ、酸にて閉環開裂、遊離アミノ酸検出という
手順を繰り返して、ペプチドのアミノ酸配列を分析し
た。
【0052】すなわち、1mMのアラニル−アラニル−
アラニン溶液(20μl)に100mMのDBD−NC
S(20μl、アセトニトリル溶液)を加え、50℃で
2分間加熱する。これにベンゼン100μlを加え、攪
拌後遠心し、ベンゼン層を取り除く。水層を窒素ガスに
て乾燥する。これをトリフルオロ酢酸50μlにて溶解
し、50℃にて15分間加熱する。
【0053】次いで、窒素ガスにてトリフルオロ酢酸を
蒸発乾燥させる。これに蒸留水50μl、ベンゼン50
μlを加え攪拌後、上層のベンゼン層を採取し、これを
窒素ガスにて乾燥する。残渣を50%トリフルオロ酢酸
水溶液20μlにて溶解し、80℃にて10分間加熱す
る。溶媒を窒素ガスにて乾燥した後、残渣をアセトニト
リル−水(100μl)にて溶解し、そのうち10μl
を高速液体クロマトグラフィーに注入する。カラムは、
逆相用カラムを用い、溶離は、イミダゾール・硝酸緩衝
液とアセトニトリルとの混液によるグラジエント溶離に
よった。検出波長は、500nmであり、励起波長は、
380nmとした。
【0054】図2は、アラニル−アラニル−アラニンの
アミノ酸配列を決定する際に得られた一回目の手順に於
ける高速液体クロマトグラムであり、図中1は、遊離し
たアラニンのDBD−チオカルバミン酸である。本発明
化合物のABD−NCSについても、同様の結果が得ら
れた。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明化合物は、
それ自身では蛍光を示さず、アミン、アミノ酸、ペプチ
ド、タンパク質のアミノ基と選択的に反応結合した後、
顕著な蛍光を示すことから、その蛍光強度を測定するこ
とによって、検体試料中のアミン、アミノ酸、ペプチ
ド、タンパク質を高感度に検出、定量することができ
る。
【0056】また、本発明化合物は、前記のアミノ基と
反応結合した後、酸処理することにより遊離チオカルバ
ミルアミノ酸を生じるので、これを検出することにより
アミノ酸、ペプチド、タンパク質のN−末端のアミノ酸
を高感度に検出、定量することができる。
【0057】更に、本発明のアミン、アミノ酸、ペプチ
ド、タンパク質測定用組成物、及びペプチド、タンパク
質の配列分析用組成物は、前記本発明の特性を利用し
て、これらの物質を簡便、かつ高感度に検出、定量する
ための試薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明化合物のDBD−NCSとアミノ酸を反
応させて得られた高速液体クロマトグラムを示す。
【符号の説明】
1 アスパラギン酸のDBD−チオカルバミン酸誘導体 2 アラニンのDBD−チオカルバミン酸誘導体 3 チロシンのDBD−チオカルバミン酸誘導体 4 イソロイシンのDBD−チオカルバミン酸誘導体 5 フェニルアラニンのDBD−チオカルバミン酸誘導
【図2】アラニル−アラニル−アラニンのアミノ酸配列
を決定する際に得られた高速液体クロマトグラムを示
す。
【符号の説明】
1 遊離したアラニンのDBD−チオカルバミン酸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (54)【発明の名称】 7−置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリ ル)イソチオシ アネート及びそれを含むアミン、アミ ノ酸、ペプチド、タンパク質測 定用組成物

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化1の構造式 【化1】 〔式中Rは下記の化2(但しR1 、R2 は水素原子又は
    炭素数1〜3のアルキル基)である〕で表わされる7−
    置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル)イ
    ソチオシアネート又はその塩。 【化2】
  2. 【請求項2】 下記の化3の構造式 【化3】 〔式中Rは下記の化4(但しR1 、R2 は水素原子又は
    炭素数1〜3のアルキル基)である〕で表わされる7−
    置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル)イ
    ソチオシアネ−ト又はその塩を発蛍光剤として含有する
    ことを特徴とするアミン、アミノ酸、ペプチド、タンパ
    ク質測定用組成物。 【化4】
  3. 【請求項3】 下記の化5の構造式 【化5】 〔式中Rは下記の化6(但しR1 、R2 は水素原子又は
    炭素数1〜3のアルキル基)である〕で表わされる7−
    置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル)イ
    ソチオシアネ−ト又はその塩を発蛍光剤として含有する
    ことを特徴とするペプチド、タンパク質の配列分析用組
    成物。 【化6】
  4. 【請求項4】 下記の化7の構造式 【化7】 〔式中Rは下記の化8(但しR1 、R2 は水素原子又は
    炭素数1〜3のアルキル基)である〕で表わされる7−
    置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル)イ
    ソチオシアネ−ト又はその塩を試料検体に加えて反応さ
    せ、生じた蛍光誘導体の蛍光強度を測定することを特徴
    とするアミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質の定量
    方法。 【化8】
  5. 【請求項5】 下記の化9の構造式 【化9】 〔式中Rは下記の化10(但しR1 、R2 は水素原子又
    は炭素数1〜3のアルキル基)である〕で表わされる7
    −置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル)
    イソチオシアネ−ト又はその塩を試料検体に加えて反応
    させ、次いで、酸処理して遊離した蛍光誘導体の蛍光強
    度を測定することを特徴とするペプチド、タンパク質の
    配列分析方法。 【化10】
JP23885492A 1992-08-17 1992-08-17 7−置換−4−(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル)イソチオシアネート及びそれを含むアミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質測定用組成 Expired - Lifetime JPH0694461B2 (ja)

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