JPH08190907A - 二次電池 - Google Patents
二次電池Info
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- JPH08190907A JPH08190907A JP7001756A JP175695A JPH08190907A JP H08190907 A JPH08190907 A JP H08190907A JP 7001756 A JP7001756 A JP 7001756A JP 175695 A JP175695 A JP 175695A JP H08190907 A JPH08190907 A JP H08190907A
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- electrode active
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- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】アルカリ金属イオンより大きいイオン半径を有
する一価の陽イオンである異種金属イオンを含む正極活
物質を用いることによって、重量当りの正極活物質の放
電容量を増大させ、高容量のアルカリ金属を利用した二
次電池を提供する。 【構成】正極活物質としてLi元素以外にAg元素を含む材
料を用いたシート状の正極1と負極活物質としてグラフ
ァイト材等を用いたシート状の負極3との間に、セパレ
ーター2を挟んだ構造を有する電極群4が捲回され、底
部に絶縁シート5を敷いた電池容器6に収納される。負
極リード線7は電池容器6に、正極リード線9は容器蓋
10の上部に設けた正極端子11に接続され、電極群4
上部に絶縁板8が設置された後に容器蓋10が電池容器
6に溶接されて成る円筒型リチウム二次電池。
する一価の陽イオンである異種金属イオンを含む正極活
物質を用いることによって、重量当りの正極活物質の放
電容量を増大させ、高容量のアルカリ金属を利用した二
次電池を提供する。 【構成】正極活物質としてLi元素以外にAg元素を含む材
料を用いたシート状の正極1と負極活物質としてグラフ
ァイト材等を用いたシート状の負極3との間に、セパレ
ーター2を挟んだ構造を有する電極群4が捲回され、底
部に絶縁シート5を敷いた電池容器6に収納される。負
極リード線7は電池容器6に、正極リード線9は容器蓋
10の上部に設けた正極端子11に接続され、電極群4
上部に絶縁板8が設置された後に容器蓋10が電池容器
6に溶接されて成る円筒型リチウム二次電池。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ金属を利用し
た二次電池に係わり、特に、二次電池の高容量化に関す
る。
た二次電池に係わり、特に、二次電池の高容量化に関す
る。
【0002】
【従来の技術】本発明の対象となっている二次電池は、
負極にアルカリ金属またはアルカリ金属イオンを含有す
る活物質を利用することを特徴とする電池である。その
代表例はリチウム二次電池である。単位重量および単位
体積当りで、鉛畜電池やニッケル・カドミニウム電池に
比べ2〜3倍以上の大きな電気エネルギーを貯蔵するこ
とができるリチウム二次電池は、ポータブル用電気機
器、ポ−タブルコンピューターの駆動用並びにメモリー
バックアップ用の電源として普及しつつある。
負極にアルカリ金属またはアルカリ金属イオンを含有す
る活物質を利用することを特徴とする電池である。その
代表例はリチウム二次電池である。単位重量および単位
体積当りで、鉛畜電池やニッケル・カドミニウム電池に
比べ2〜3倍以上の大きな電気エネルギーを貯蔵するこ
とができるリチウム二次電池は、ポータブル用電気機
器、ポ−タブルコンピューターの駆動用並びにメモリー
バックアップ用の電源として普及しつつある。
【0003】リチウム二次電池の正極に、金属酸化物か
らなる活物質を用いることが多く、該金属酸化物は、結
晶格子内にアルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵、脱離す
る性質を有する物質である。また、負極には、アルカリ
金属、アルカリ金属を含む合金、あるいはアルカリ金属
イオンをインターカレートした化合物等の活物質が利用
される。電解液に、アルカリ金属イオンの塩を溶解させ
た非水電解液、あるいはアルカリ金属イオンの塩を含有
する固体高分子が使用される。
らなる活物質を用いることが多く、該金属酸化物は、結
晶格子内にアルカリ金属イオンを可逆的に吸蔵、脱離す
る性質を有する物質である。また、負極には、アルカリ
金属、アルカリ金属を含む合金、あるいはアルカリ金属
イオンをインターカレートした化合物等の活物質が利用
される。電解液に、アルカリ金属イオンの塩を溶解させ
た非水電解液、あるいはアルカリ金属イオンの塩を含有
する固体高分子が使用される。
【0004】そして、正極活物質の放電容量を増大させ
る目的で、開発された従来技術として、例えば、特開平
5−290890号公報にて、正極活物質中の遷移金属イオン
を異種金属イオンに置換させたLixCoyNi1-yO2の技術
が、また、特開平5−101828号公報に、LiNi1-xMnxO2な
どのCoの一部をV、Cr、Cuに置換したLiCoO2の技術が開
示されている。
る目的で、開発された従来技術として、例えば、特開平
5−290890号公報にて、正極活物質中の遷移金属イオン
を異種金属イオンに置換させたLixCoyNi1-yO2の技術
が、また、特開平5−101828号公報に、LiNi1-xMnxO2な
どのCoの一部をV、Cr、Cuに置換したLiCoO2の技術が開
示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、未だ、
電池活物質の重量当りまたは体積当りの放電容量は小さ
く、電池を占める電極の重量または体積は満足されるも
のではない。すなわち、アルカリ金属を用いた二次電池
が貯蔵できる電気エネルギー量、すなわちエネルギー密
度を増大するという課題は残されている。
電池活物質の重量当りまたは体積当りの放電容量は小さ
く、電池を占める電極の重量または体積は満足されるも
のではない。すなわち、アルカリ金属を用いた二次電池
が貯蔵できる電気エネルギー量、すなわちエネルギー密
度を増大するという課題は残されている。
【0006】従って、本発明の目的は、重量当りの正極
活物質の放電容量を増大させ、アルカリ金属を利用した
二次電池の容量密度を向上し、高容量の二次電池を提供
することにある。
活物質の放電容量を増大させ、アルカリ金属を利用した
二次電池の容量密度を向上し、高容量の二次電池を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、アルカ
リ金属イオンを含む正極活物質からなる正極と、負極
と、非水電解液とから構成される二次電池であって、正
極活物質は、アルカリ金属イオンとは異なる異種金属イ
オンを含み、該異種金属イオンは、アルカリ金属イオン
より大きいイオン半径を有する一価の陽イオン A+であ
り、かつ、次の式(1)で表される異種金属イオンについ
ての酸化還元反応の標準平衡電位が、式(2)で表される
酸素の酸化還元反応の標準平衡電位以下にあり、かつ、
異種金属イオンについての酸化還元反応の標準平衡電位
が、正極活物質が陽イオン A+を電気化学的に吸蔵、放
出するための作動電位の最低値より高いことにより達成
される。
リ金属イオンを含む正極活物質からなる正極と、負極
と、非水電解液とから構成される二次電池であって、正
極活物質は、アルカリ金属イオンとは異なる異種金属イ
オンを含み、該異種金属イオンは、アルカリ金属イオン
より大きいイオン半径を有する一価の陽イオン A+であ
り、かつ、次の式(1)で表される異種金属イオンについ
ての酸化還元反応の標準平衡電位が、式(2)で表される
酸素の酸化還元反応の標準平衡電位以下にあり、かつ、
異種金属イオンについての酸化還元反応の標準平衡電位
が、正極活物質が陽イオン A+を電気化学的に吸蔵、放
出するための作動電位の最低値より高いことにより達成
される。
【0008】 A+ + e- → A (1) O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O (2) また、正極活物質が、Li1-yAgyCoO2あるいはLi1-yCuyCo
O2なる化学式を有し、yは0.01から0.12の範囲にあるこ
とによっても達成される。
O2なる化学式を有し、yは0.01から0.12の範囲にあるこ
とによっても達成される。
【0009】
【作用】上記構成とすれば、アルカリ金属イオンと異種
金属イオンとを正極活物質に含有させることになり、放
電容量の大きな正極活物質が得られるので、アルカリ金
属を利用した二次電池の容量密度を向上させることがで
きる。
金属イオンとを正極活物質に含有させることになり、放
電容量の大きな正極活物質が得られるので、アルカリ金
属を利用した二次電池の容量密度を向上させることがで
きる。
【0010】以下、アルカリ金属を利用する二次電池の
代表例としてリチウム二次電池を取り上げ、原理と方法
から本発明の作用について詳説する。リチウム二次電池
に利用される正極活物質としては、 α−NaFeO2構造系
のLiCoO2、LiNiO2など、スピネル構造系のLiMn2O4な
ど、およびそれらの酸化物中に含まれるCo、Ni、Mn等の
一部を、他の遷移金属イオンと置換させた酸化物などが
ある。これらの正極活物質のLi+は、O2-に取り囲まれた
層状の部位に存在し、電気化学的に吸蔵、放出される。
本発明では、α−NaFeO2構造系の正極活物質に含まれる
Li+の一部を、異種金属イオンと置換させることによっ
て、Li+がインターカレートされる結晶部位を拡張し、L
i+吸蔵量を増大させることができた。以下、O2-と層状
構造を形成する遷移金属イオンを、ホスト金属イオンと
呼称する。
代表例としてリチウム二次電池を取り上げ、原理と方法
から本発明の作用について詳説する。リチウム二次電池
に利用される正極活物質としては、 α−NaFeO2構造系
のLiCoO2、LiNiO2など、スピネル構造系のLiMn2O4な
ど、およびそれらの酸化物中に含まれるCo、Ni、Mn等の
一部を、他の遷移金属イオンと置換させた酸化物などが
ある。これらの正極活物質のLi+は、O2-に取り囲まれた
層状の部位に存在し、電気化学的に吸蔵、放出される。
本発明では、α−NaFeO2構造系の正極活物質に含まれる
Li+の一部を、異種金属イオンと置換させることによっ
て、Li+がインターカレートされる結晶部位を拡張し、L
i+吸蔵量を増大させることができた。以下、O2-と層状
構造を形成する遷移金属イオンを、ホスト金属イオンと
呼称する。
【0011】上述の金属酸化物の層間にLi+がインター
カレートするとき、ホスト金属イオンとO2-からなる層
間隔の拡大を伴い、酸化物の体積が変化する。リチウム
二次電池の充放電サイクルによって、電池の容量を増大
できない原因の一つに、正極活物質の体積変化によっ
て、結晶が崩壊し易くなることが挙げられる。従って、
充放電時にLiCoO2やLiNiO2などの層間距離の変化を抑制
できれば、正極活物質の容量増大が期待できる。
カレートするとき、ホスト金属イオンとO2-からなる層
間隔の拡大を伴い、酸化物の体積が変化する。リチウム
二次電池の充放電サイクルによって、電池の容量を増大
できない原因の一つに、正極活物質の体積変化によっ
て、結晶が崩壊し易くなることが挙げられる。従って、
充放電時にLiCoO2やLiNiO2などの層間距離の変化を抑制
できれば、正極活物質の容量増大が期待できる。
【0012】本発明では、LiCoO2、LiNiO2等の層状酸化
物の層間に、Li+よりも大きなイオン半径をもつ異種金
属イオンをインターカレートさせることによって、層間
隔が拡張した正極活物質を開発した。この様な正極活物
質を用いると、Li+のインターカレーション時の正極活
物質の体積変化を低減することができ、活物質の層間中
のLi+の拡散が容易となり、層間距離の変化が抑制され
るものである。
物の層間に、Li+よりも大きなイオン半径をもつ異種金
属イオンをインターカレートさせることによって、層間
隔が拡張した正極活物質を開発した。この様な正極活物
質を用いると、Li+のインターカレーション時の正極活
物質の体積変化を低減することができ、活物質の層間中
のLi+の拡散が容易となり、層間距離の変化が抑制され
るものである。
【0013】次に、正極活物質の層間隔の拡張に効果が
ある異種金属イオンの要件について説明する。 第1の
要件は、異種金属イオンが アルカリ金属イオンの1つ
であるLi+よりも大きなイオン半径を有し、一価の陽イ
オンであることである。このような一価の陽イオンは、
正極活物質にインターカレートしている同じ価数のLi+
と置換可能である。また、一価のイオンが層間にインタ
ーカレートしても、Li+に及ぼす静電気的反発力は、多
価イオンと比較して小さい。そのため、一価イオンを置
換した正極活物質は、多価イオンを置換した正極活物質
よりも多くのLi+をインターカレート可能である。
ある異種金属イオンの要件について説明する。 第1の
要件は、異種金属イオンが アルカリ金属イオンの1つ
であるLi+よりも大きなイオン半径を有し、一価の陽イ
オンであることである。このような一価の陽イオンは、
正極活物質にインターカレートしている同じ価数のLi+
と置換可能である。また、一価のイオンが層間にインタ
ーカレートしても、Li+に及ぼす静電気的反発力は、多
価イオンと比較して小さい。そのため、一価イオンを置
換した正極活物質は、多価イオンを置換した正極活物質
よりも多くのLi+をインターカレート可能である。
【0014】第2の要件は、異種金属イオンの酸化還元
反応の標準平衡電位が、酸素の酸化還元反応の標準平衡
電位よりも低いことである。この電位は標準水素電極基
準で1.23 V、標準状態のリチウム電極基準で4.27 Vに相
当する。この条件を満たす異種金属は、例えば、AgとCu
であり、これらの金属の酸化還元反応と平衡電位E0を下
に示した。
反応の標準平衡電位が、酸素の酸化還元反応の標準平衡
電位よりも低いことである。この電位は標準水素電極基
準で1.23 V、標準状態のリチウム電極基準で4.27 Vに相
当する。この条件を満たす異種金属は、例えば、AgとCu
であり、これらの金属の酸化還元反応と平衡電位E0を下
に示した。
【0015】 Ag+ + e- → Ag E0 = 0.7991 V(3.84 V) Cu+ + e- → Cu E0 = 0.521 V (3.56 V) ただし、上の反応式の右に示した括弧内の数値は、標準
状態におけるLi金属の酸化還元反応の平衡電位を基準に
したときの値である。仮に、異種金属の酸化還元反応の
平衡電位が、酸素の酸化還元反応の平衡電位よりも高い
場合、正極活物質に異種金属イオンをインターカレート
する際に、異種金属イオンによって大気中の水分が酸化
され、異種金属イオンが還元されてしまう。従って、異
種金属イオンの酸化還元反応の標準平衡電位が標準水素
電極基準で1.23 V以上のときは、大気中で異種金属イオ
ンを取り扱うことが難くなり好ましくない。そして、正
極活物質の製造コストについては、正極活物質を大気中
で製造できるプロセスの方が低減できるので、大気中で
化学的に安定なAg+、Cu+が適していると言える。
状態におけるLi金属の酸化還元反応の平衡電位を基準に
したときの値である。仮に、異種金属の酸化還元反応の
平衡電位が、酸素の酸化還元反応の平衡電位よりも高い
場合、正極活物質に異種金属イオンをインターカレート
する際に、異種金属イオンによって大気中の水分が酸化
され、異種金属イオンが還元されてしまう。従って、異
種金属イオンの酸化還元反応の標準平衡電位が標準水素
電極基準で1.23 V以上のときは、大気中で異種金属イオ
ンを取り扱うことが難くなり好ましくない。そして、正
極活物質の製造コストについては、正極活物質を大気中
で製造できるプロセスの方が低減できるので、大気中で
化学的に安定なAg+、Cu+が適していると言える。
【0016】第3の要件は、異種金属イオンの酸化還元
反応の標準平衡電位の下限値の条件を与えるものであ
る。すなわち、異種金属イオンについての酸化還元反応
の標準平衡電位が、正極活物質がアルカリ金属イオンを
電気化学的に吸蔵、放出するための作動電位(作動電圧)
の最低値より高いことである。
反応の標準平衡電位の下限値の条件を与えるものであ
る。すなわち、異種金属イオンについての酸化還元反応
の標準平衡電位が、正極活物質がアルカリ金属イオンを
電気化学的に吸蔵、放出するための作動電位(作動電圧)
の最低値より高いことである。
【0017】この作動電位の最低値とは、電池が限界ま
で放電し、電位が最低にまで低下した時の電位を指し、
放電終止電位(放電終止電圧)とも呼称されるものであ
る。そして、例えば、Ag+ + e- → Ag の平衡電位が、
正極の作動電位の最低値よりも高ければ、必ず、正極結
晶内にAg+がAgの状態で保持されることになる。
で放電し、電位が最低にまで低下した時の電位を指し、
放電終止電位(放電終止電圧)とも呼称されるものであ
る。そして、例えば、Ag+ + e- → Ag の平衡電位が、
正極の作動電位の最低値よりも高ければ、必ず、正極結
晶内にAg+がAgの状態で保持されることになる。
【0018】この条件の理論的説明は、未だ明確に与え
ることができないが、この条件を満たす異種金属イオン
を正極活物質の層間にインターカレートさせると、正極
の充放電時に一部の異種金属イオンが還元され、層間か
ら脱離しにくくなると推測される。例えば、本発明で対
象としている3 V以上の作動電圧をもつリチウム二次電
池の場合、上述の第2の要件で取り上げたAg+とCu+が第
3の要件を満たす異種金属イオンになることの知見を当
発明者は得ている。リチウム二次電池の放電時には、正
極電位がAg+、Cu+の平衡電位付近、またはそれ以下にな
ることがある。このとき、層間にインターカレートされ
たAg+、Cu+の電子密度が増加し、イオンが部分的に還元
された状態になる可能性がある。
ることができないが、この条件を満たす異種金属イオン
を正極活物質の層間にインターカレートさせると、正極
の充放電時に一部の異種金属イオンが還元され、層間か
ら脱離しにくくなると推測される。例えば、本発明で対
象としている3 V以上の作動電圧をもつリチウム二次電
池の場合、上述の第2の要件で取り上げたAg+とCu+が第
3の要件を満たす異種金属イオンになることの知見を当
発明者は得ている。リチウム二次電池の放電時には、正
極電位がAg+、Cu+の平衡電位付近、またはそれ以下にな
ることがある。このとき、層間にインターカレートされ
たAg+、Cu+の電子密度が増加し、イオンが部分的に還元
された状態になる可能性がある。
【0019】そして、リチウムを利用した二次電池の場
合であれば、上の3つの要件を満たす異種金属イオン
は、Ag+とCu+である。
合であれば、上の3つの要件を満たす異種金属イオン
は、Ag+とCu+である。
【0020】これらのイオンは、Li+のイオン半径0.073
nmと比べて、Li+よりも大きなイオン半径を有していて
おり、Cu+のイオン半径は0.074 nm、Ag+は0.116 nmであ
る。これらの異種金属イオンの酸化還元電位は、先に述
べたように正極作動電位近傍またはそれ以上であり、酸
素の酸化還元電位よりも低い。したがって、これらの異
種金属イオンはLi+の代わりに、LiCoO2、LiNiO2などの
層状構造をもつ正極活物質の層間にインターカレートす
ることが可能で、インターカレートした金属イオンは正
極酸化物の層間を拡大する。
nmと比べて、Li+よりも大きなイオン半径を有していて
おり、Cu+のイオン半径は0.074 nm、Ag+は0.116 nmであ
る。これらの異種金属イオンの酸化還元電位は、先に述
べたように正極作動電位近傍またはそれ以上であり、酸
素の酸化還元電位よりも低い。したがって、これらの異
種金属イオンはLi+の代わりに、LiCoO2、LiNiO2などの
層状構造をもつ正極活物質の層間にインターカレートす
ることが可能で、インターカレートした金属イオンは正
極酸化物の層間を拡大する。
【0021】後述の実施例で詳細に説明するが、本発明
ではAg+が最も容量増大の効果が大きかった。Ag+は低電
位で部分的に還元されるために、Ag+が正極活物質の高
容量化に最も効果的になると推測される。Ag+が部分的
に還元されると、Ag+のイオン半径が増大し、正極活物
質の層間を押し広げるために、層間でのLi+拡散が容易
になり、Ag+の価数が小さくなるので、結晶格子内に挿
入されたLi+との反発が小さくなる。その結果、正極結
晶内のLi+拡散が極めて容易となり、正極の充放電電流
を増加させても、容量低下率を低減することができる。
即ち、電池のレート特性が改善され電池が長寿命化され
る効果がある。
ではAg+が最も容量増大の効果が大きかった。Ag+は低電
位で部分的に還元されるために、Ag+が正極活物質の高
容量化に最も効果的になると推測される。Ag+が部分的
に還元されると、Ag+のイオン半径が増大し、正極活物
質の層間を押し広げるために、層間でのLi+拡散が容易
になり、Ag+の価数が小さくなるので、結晶格子内に挿
入されたLi+との反発が小さくなる。その結果、正極結
晶内のLi+拡散が極めて容易となり、正極の充放電電流
を増加させても、容量低下率を低減することができる。
即ち、電池のレート特性が改善され電池が長寿命化され
る効果がある。
【0022】また、リチウム金属以外のアルカリ金属を
電気化学的に吸蔵、放出する正極活物質の場合であって
も、前述の3つの要件を満たす異種金属イオンを、アル
カリ金属イオンの一部と置換させることにより、正極の
容量増大が可能になる。例えば、ナトリウム金属を用い
た二次電池の場合、Na+のイオン半径が0.113 nmである
ので、Ag+を利用することができる。
電気化学的に吸蔵、放出する正極活物質の場合であって
も、前述の3つの要件を満たす異種金属イオンを、アル
カリ金属イオンの一部と置換させることにより、正極の
容量増大が可能になる。例えば、ナトリウム金属を用い
た二次電池の場合、Na+のイオン半径が0.113 nmである
ので、Ag+を利用することができる。
【0023】上述の本発明の原理に基づいて、アルカリ
金属を利用した二次電池の正極活物質に異種金属イオン
を導入する手段について説明する。層状構造をもつ正極
活物質の代表例を化学式で表すと、AxBO2となる。ただ
し、Aはアルカリ金属であり、Li、Naなどである。BはC
o、Niなどの遷移金属であり、xは0以上の数値である。
また、BはCoまたはNiの一部をCo、Ni、Mn、Vなどの遷移
金属に置換させたものでもよい。たとえば、yとzが0
以上の数値であるとすると、AxCo1-yNiyO2、AxNi1-yMny
O2、AxCo1-y-zNiyMnzO2などがある。これらの酸化物に
含まれるアルカリ金属を異種金属に置換させるために
は、熱分解法やイオン交換法などを応用すればよい。
金属を利用した二次電池の正極活物質に異種金属イオン
を導入する手段について説明する。層状構造をもつ正極
活物質の代表例を化学式で表すと、AxBO2となる。ただ
し、Aはアルカリ金属であり、Li、Naなどである。BはC
o、Niなどの遷移金属であり、xは0以上の数値である。
また、BはCoまたはNiの一部をCo、Ni、Mn、Vなどの遷移
金属に置換させたものでもよい。たとえば、yとzが0
以上の数値であるとすると、AxCo1-yNiyO2、AxNi1-yMny
O2、AxCo1-y-zNiyMnzO2などがある。これらの酸化物に
含まれるアルカリ金属を異種金属に置換させるために
は、熱分解法やイオン交換法などを応用すればよい。
【0024】熱分解法の場合、正極活物質を合成する際
に正極活物質の原料へ異種金属の塩を混合し、熱処理を
加えることにより、ランダムに異種金属イオンとアルカ
リ金属イオンが層間に配位される。例えば、xは銀イオ
ンの組成としてLi1-xAgxCoO2を合成するときには、モル
比1−x:x:1の原子比になる様に、Li、AgおよびCo
を含有する塩や酸化物を混合し、大気中または酸素気流
中で加熱する。使用できるLi塩にはLiOH、Li2CO3、LiNO
3、LiClO4などがあり、Ag塩にはAgNO3、AgCl、AgClO4、
CH3COOAgなどがあり、Co化合物にはCo(NO3)3、CoCl3、C
o(OH)3、Co2O3などがある。
に正極活物質の原料へ異種金属の塩を混合し、熱処理を
加えることにより、ランダムに異種金属イオンとアルカ
リ金属イオンが層間に配位される。例えば、xは銀イオ
ンの組成としてLi1-xAgxCoO2を合成するときには、モル
比1−x:x:1の原子比になる様に、Li、AgおよびCo
を含有する塩や酸化物を混合し、大気中または酸素気流
中で加熱する。使用できるLi塩にはLiOH、Li2CO3、LiNO
3、LiClO4などがあり、Ag塩にはAgNO3、AgCl、AgClO4、
CH3COOAgなどがあり、Co化合物にはCo(NO3)3、CoCl3、C
o(OH)3、Co2O3などがある。
【0025】Cu+を置換させる場合は、Cu2CO3、CuCl、C
uBr、CuI、CuSCNなどを使用する。熱分解温度は、使用
する塩の分解温度に依存し、硝酸塩を利用するときは、
250〜500℃程度の低温での分解が可能である。また、C
o系正極活物質の替わりにNi系正極活物質を合成する場
合、Li塩とAg塩にLi2O、Ag2Oなどの酸化物も利用可能で
ある。また、Li+をCu+に置換させる場合には、Cu2CO3、
CuCl、CuBr、CuI、CuSCNなどを使用する。Ni酸化物とし
てNi(OH)3やNi2O3などを使用する。Ni系酸化物は、Co系
酸化物よりも酸化性の強い雰囲気で合成しないと、3価
のNi3+が生成しないので、上述のLi塩、Ag塩、Ni酸化物
の混合物を酸素気流中、600℃以上の高温で合成する。
uBr、CuI、CuSCNなどを使用する。熱分解温度は、使用
する塩の分解温度に依存し、硝酸塩を利用するときは、
250〜500℃程度の低温での分解が可能である。また、C
o系正極活物質の替わりにNi系正極活物質を合成する場
合、Li塩とAg塩にLi2O、Ag2Oなどの酸化物も利用可能で
ある。また、Li+をCu+に置換させる場合には、Cu2CO3、
CuCl、CuBr、CuI、CuSCNなどを使用する。Ni酸化物とし
てNi(OH)3やNi2O3などを使用する。Ni系酸化物は、Co系
酸化物よりも酸化性の強い雰囲気で合成しないと、3価
のNi3+が生成しないので、上述のLi塩、Ag塩、Ni酸化物
の混合物を酸素気流中、600℃以上の高温で合成する。
【0026】イオン交換法を適用する場合、LiCoO2、Na
CoO2、LiNiO2、NaNiO2などの正極活物質を作製する。溶
液相でイオン交換をおこなうとき、上述の正極活物質と
異種金属の塩を、水、あるいはメタノール、エタノール
などのアルコール、アセトンなどのケトン、アセトニト
リルなどのニトリル系の極性溶媒に溶解させ、還流す
る。ここで使用可能な異種金属の塩は、Cu2CO3、CuCl、
CuBr、CuIの他に、CuN(CH3)4などの有機金属錯体も使用
できる。
CoO2、LiNiO2、NaNiO2などの正極活物質を作製する。溶
液相でイオン交換をおこなうとき、上述の正極活物質と
異種金属の塩を、水、あるいはメタノール、エタノール
などのアルコール、アセトンなどのケトン、アセトニト
リルなどのニトリル系の極性溶媒に溶解させ、還流す
る。ここで使用可能な異種金属の塩は、Cu2CO3、CuCl、
CuBr、CuIの他に、CuN(CH3)4などの有機金属錯体も使用
できる。
【0027】上記方法の他に、溶融塩を利用したイオン
交換法があり、異種金属の溶融塩と正極活物質を接触さ
せる方法である。AgNO3、CuNO3などの金属硝酸塩は150
℃以上で溶融するので、高温加熱の操作を要しない。し
たがって、金属硝酸塩とLiCoO2、LiNiO2などの正極活物
質の混合物を加熱し、溶融状態の硝酸塩を正極活物質に
接触させることにより、正極中のアルカリ金属の一部を
異種金属イオンに置換することができる。上述のイオン
交換法は、熱分解法で高温を要し、Ag+とCu+が高酸化数
の酸化物になりやすい場合に有効である。例えば、LiNi
O2のLi+をCu+で置換した正極活物質を熱分解法で合成す
るとき、600℃以上の高温を必要とし、Cu+がCu2+に酸化
されてしまう。この様な場合にイオン交換法が適してい
る。
交換法があり、異種金属の溶融塩と正極活物質を接触さ
せる方法である。AgNO3、CuNO3などの金属硝酸塩は150
℃以上で溶融するので、高温加熱の操作を要しない。し
たがって、金属硝酸塩とLiCoO2、LiNiO2などの正極活物
質の混合物を加熱し、溶融状態の硝酸塩を正極活物質に
接触させることにより、正極中のアルカリ金属の一部を
異種金属イオンに置換することができる。上述のイオン
交換法は、熱分解法で高温を要し、Ag+とCu+が高酸化数
の酸化物になりやすい場合に有効である。例えば、LiNi
O2のLi+をCu+で置換した正極活物質を熱分解法で合成す
るとき、600℃以上の高温を必要とし、Cu+がCu2+に酸化
されてしまう。この様な場合にイオン交換法が適してい
る。
【0028】
【実施例】以下、実施例1〜実施例5について説明す
る。
る。
【0029】実施例1 図1は、本発明による一実施例の円筒型リチウム二次電
池の半断面図である。まず、LiCoO2を以下に述べる方法
で作製した。LiNO3とCo2O3を、等モル比で混合する。こ
のとき少量の純水を添加すると、均一に混合ができる。
LiNO3の他に、LiOH、Li2CO3などもLi塩も利用可能であ
る。LiNO3とCo2O3の混合物を大気下で400〜500℃、5時
間熱処理を加えると黒色の粉末が得られる。この粉末が
LiCoO2であり、それを篩いで分級した後に使用した。化
学組成は、誘導結合プラズマ発光分析法によって、上の
化学式が正しいことを確認した。
池の半断面図である。まず、LiCoO2を以下に述べる方法
で作製した。LiNO3とCo2O3を、等モル比で混合する。こ
のとき少量の純水を添加すると、均一に混合ができる。
LiNO3の他に、LiOH、Li2CO3などもLi塩も利用可能であ
る。LiNO3とCo2O3の混合物を大気下で400〜500℃、5時
間熱処理を加えると黒色の粉末が得られる。この粉末が
LiCoO2であり、それを篩いで分級した後に使用した。化
学組成は、誘導結合プラズマ発光分析法によって、上の
化学式が正しいことを確認した。
【0030】ついで、LiCoO2に炭素粉末とバインダーを
混合し、その合剤をアルミニウム集電体に圧着して、シ
ート状の正極1を作製した。一方、負極活物質にはグラ
ファイト粉末を用い、それにバインダーを混合した合剤
を銅の集電体に圧着して、シート状の負極2を作製し
た。正極1と負極2のシートの間に、ポリプロピレン製
のセパレーター3を挟んだ電極群4を捲回した。この電
極群4を、底部に高分子材の絶縁シート5を敷いた金属
製の電池容器6に収納し、負極リード線7は電池容器6
に溶接した。ついで等体積比のエチレンカーボネートと
ジエチルカーボネートの混合溶媒に1モル濃度相当のLi
PF6を溶解させた非水電解液を電池容器6の内部へ注入
し、捲回した電極群4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板
8の中央孔を通して正極リード線9を容器蓋10の上部
にある正極端子11に接続した。最後に容器蓋10と電
池容器6を加締めて容器を封止し、円筒型電池を作製し
た。以下、上記のように作製した電池をタイプ1とす
る。
混合し、その合剤をアルミニウム集電体に圧着して、シ
ート状の正極1を作製した。一方、負極活物質にはグラ
ファイト粉末を用い、それにバインダーを混合した合剤
を銅の集電体に圧着して、シート状の負極2を作製し
た。正極1と負極2のシートの間に、ポリプロピレン製
のセパレーター3を挟んだ電極群4を捲回した。この電
極群4を、底部に高分子材の絶縁シート5を敷いた金属
製の電池容器6に収納し、負極リード線7は電池容器6
に溶接した。ついで等体積比のエチレンカーボネートと
ジエチルカーボネートの混合溶媒に1モル濃度相当のLi
PF6を溶解させた非水電解液を電池容器6の内部へ注入
し、捲回した電極群4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板
8の中央孔を通して正極リード線9を容器蓋10の上部
にある正極端子11に接続した。最後に容器蓋10と電
池容器6を加締めて容器を封止し、円筒型電池を作製し
た。以下、上記のように作製した電池をタイプ1とす
る。
【0031】次に、 Li0.99Ag0.01CoO2、 Li0.98Ag
0.02CoO2、 Li0.95Ag0.05CoO2、Li0.90Ag0.10CoO2を合
成し、Ag添加正極活物質を利用した4種類の円筒型電池
を作製した。これらの4種類の正極活物質を合成するた
めに、 0.99:0.01:1、0.98:0.02:1、 0.95:0.0
5:1、 0.90:0.10:1 のモル比で混合した LiNO3、AgN
O3、およびCo2O3を、大気下で400〜500℃、5時間熱処
理することによって、それぞれの試料から粉末状の L
i0.99Ag0.01CoO2、 Li0.98Ag0.02CoO2、Li0.95Ag0.05C
oO2、Li0.90Ag0.10CoO2が得られた。その粉末を篩いで
分級した後使用した。各正極活物質の化学組成は、誘導
プラズマ発光法によって確認した。
0.02CoO2、 Li0.95Ag0.05CoO2、Li0.90Ag0.10CoO2を合
成し、Ag添加正極活物質を利用した4種類の円筒型電池
を作製した。これらの4種類の正極活物質を合成するた
めに、 0.99:0.01:1、0.98:0.02:1、 0.95:0.0
5:1、 0.90:0.10:1 のモル比で混合した LiNO3、AgN
O3、およびCo2O3を、大気下で400〜500℃、5時間熱処
理することによって、それぞれの試料から粉末状の L
i0.99Ag0.01CoO2、 Li0.98Ag0.02CoO2、Li0.95Ag0.05C
oO2、Li0.90Ag0.10CoO2が得られた。その粉末を篩いで
分級した後使用した。各正極活物質の化学組成は、誘導
プラズマ発光法によって確認した。
【0032】また、ここで合成したAg添加の正極活物質
の粉末X線回折パターンから、Co3+とO2-からなる層の
間隔がLiCoO2よりも増大していることが判った。 例
えば、Li0.95Ag0.05CoO2の場合、層間隔はLiCoO2よりも
約0.04nm増大していることが判った。この結果は、Ag+
がCo3+とO2-からなる層間に挿入されていることを示す
ものである。
の粉末X線回折パターンから、Co3+とO2-からなる層の
間隔がLiCoO2よりも増大していることが判った。 例
えば、Li0.95Ag0.05CoO2の場合、層間隔はLiCoO2よりも
約0.04nm増大していることが判った。この結果は、Ag+
がCo3+とO2-からなる層間に挿入されていることを示す
ものである。
【0033】Agを添加した4種類の正極活物質を用いた
円筒型電池の作製手順は、タイプ1と同じである。上述
の方法で作製した正極活物質のそれぞれに、炭素粉末と
バインダーを混合し、その混合物をアルミニウム集電体
に圧着して、各正極活物質毎にシート状の正極1を作製
した。
円筒型電池の作製手順は、タイプ1と同じである。上述
の方法で作製した正極活物質のそれぞれに、炭素粉末と
バインダーを混合し、その混合物をアルミニウム集電体
に圧着して、各正極活物質毎にシート状の正極1を作製
した。
【0034】ただし、それぞれの正極1枚当たりに含ま
れる正極活物質の重量は、タイプ1で使用したLiCoO2と
同じとした。その一方、負極活物質にはグラファイト粉
末を用い、それとバインダーの混合物を銅の集電体に圧
着して、シート状の負極2を作製した。正極1と負極2
のシートの間に、セパレーター3を挟んだ電極群4を捲
回した。この電極群4を、底部に絶縁シート5を敷いた
電池容器6に収納し、負極リード線7は電池容器6に溶
接した。ついで等体積比のエチレンカーボネートとジエ
チルカーボネートの混合溶媒に1モル濃度相当のLiPF6
を溶解させた非水電解液を電池容器6の内部へ注入し、
捲回した電極群4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板8の
孔を通して正極リード線9を容器蓋10にある正極端子
11に接続した。最後に容器蓋10と電池容器6を加締
めて容器を封止し、タイプ1と同一仕様の円筒型電池を
作製した。以下、Li0.99Ag0.01CoO2、Li0.98Ag0.02Co
O2、Li0.95Ag0.05CoO2、Li0.90Ag0.10CoO2を使用した電
池を、それぞれ タイプ2、タイプ3、タイプ4、タイ
プ5とする。
れる正極活物質の重量は、タイプ1で使用したLiCoO2と
同じとした。その一方、負極活物質にはグラファイト粉
末を用い、それとバインダーの混合物を銅の集電体に圧
着して、シート状の負極2を作製した。正極1と負極2
のシートの間に、セパレーター3を挟んだ電極群4を捲
回した。この電極群4を、底部に絶縁シート5を敷いた
電池容器6に収納し、負極リード線7は電池容器6に溶
接した。ついで等体積比のエチレンカーボネートとジエ
チルカーボネートの混合溶媒に1モル濃度相当のLiPF6
を溶解させた非水電解液を電池容器6の内部へ注入し、
捲回した電極群4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板8の
孔を通して正極リード線9を容器蓋10にある正極端子
11に接続した。最後に容器蓋10と電池容器6を加締
めて容器を封止し、タイプ1と同一仕様の円筒型電池を
作製した。以下、Li0.99Ag0.01CoO2、Li0.98Ag0.02Co
O2、Li0.95Ag0.05CoO2、Li0.90Ag0.10CoO2を使用した電
池を、それぞれ タイプ2、タイプ3、タイプ4、タイ
プ5とする。
【0035】図2は、実施例1で作製した5種類(タイ
プ1〜タイプ5)の円筒型電池の放電容量とサイクル数
の関係を示す図である。電池の作動電圧は3.0〜4.2 V
で、充電時と放電時の電流値は100 mAとした。
プ1〜タイプ5)の円筒型電池の放電容量とサイクル数
の関係を示す図である。電池の作動電圧は3.0〜4.2 V
で、充電時と放電時の電流値は100 mAとした。
【0036】Ag 0%添加のタイプ1の場合、1サイク
ル目で平均作動電圧3.6 V、放電容量1250 mAhが得られ
た。この電池の放電容量は200サイクルまでほぼ一定で
あり、200サイクル以降やや容量低下が認められた。500
サイクルまでの電池の容量低下率は、初期容量の28%で
あった。
ル目で平均作動電圧3.6 V、放電容量1250 mAhが得られ
た。この電池の放電容量は200サイクルまでほぼ一定で
あり、200サイクル以降やや容量低下が認められた。500
サイクルまでの電池の容量低下率は、初期容量の28%で
あった。
【0037】Ag 1%添加のタイプ2の場合、初期サイ
クル時において平均作動電圧は 3.6Vであり、タイプ1
と全く同じであったが容量がタイプ1より約50mAh増加
した。この容量増大は、LiCoO2に1%のAgを添加したた
めである。
クル時において平均作動電圧は 3.6Vであり、タイプ1
と全く同じであったが容量がタイプ1より約50mAh増加
した。この容量増大は、LiCoO2に1%のAgを添加したた
めである。
【0038】Ag添加量が大きいタイプ3とタイプ4の場
合、平均作動電圧は3.6 Vであったが、容量がタイプ2
よりも大きくなった。特に、Ag添加量が5%であるタイ
プ4の場合、放電容量は1400 mAhまで増大し、容量低下
率もAg無添加のタイプ1よりも大幅に低減された。一
方、Ag添加量を10%まで増加させたタイプ5の場合、平
均作動電圧は3.6 Vであったが、容量がタイプ2、タイ
プ3、タイプ4よりも小さくなった。しかしながらタイ
プ5の放電容量も、Ag無添加のタイプ1よりも大きくな
った。
合、平均作動電圧は3.6 Vであったが、容量がタイプ2
よりも大きくなった。特に、Ag添加量が5%であるタイ
プ4の場合、放電容量は1400 mAhまで増大し、容量低下
率もAg無添加のタイプ1よりも大幅に低減された。一
方、Ag添加量を10%まで増加させたタイプ5の場合、平
均作動電圧は3.6 Vであったが、容量がタイプ2、タイ
プ3、タイプ4よりも小さくなった。しかしながらタイ
プ5の放電容量も、Ag無添加のタイプ1よりも大きくな
った。
【0039】この結果、LiCoO2のLi+をAg+に置換するこ
とによって、正極活物質の放電容量密度が増大するこ
と、また、容量低下率も低減されることが確認された。
また、Agの添加%は1%〜12%の範囲が良いことが判明
した。なお、Agの添加%とは、LiCoO2に含まれるLiのモ
ル数に対して、LiをAgに置換したときのAgのモル数の比
を百分率(%)で表した値である。したがって、正極活物
質中に含まれるアルカリ金属イオンのモル数に対し、正
極活物質中に含まれる異種金属イオンのモル数の比が、
0.01から0.12までの範囲であるとなる。これは、『正極
活物質に含まれるLi+の一部を、Ag+と置換させることに
よって、Li+がインターカレートされる結晶部位を拡張
し、Li+吸蔵量を増大させる』に当たり、0.01 以下であ
れば置換されるAgが少な過ぎて拡張が満足に行われず、
また、0.12 以上であれば置換されるAgが多過ぎてLiが
減りLi本来の働きが減るからであると考えられる。
とによって、正極活物質の放電容量密度が増大するこ
と、また、容量低下率も低減されることが確認された。
また、Agの添加%は1%〜12%の範囲が良いことが判明
した。なお、Agの添加%とは、LiCoO2に含まれるLiのモ
ル数に対して、LiをAgに置換したときのAgのモル数の比
を百分率(%)で表した値である。したがって、正極活物
質中に含まれるアルカリ金属イオンのモル数に対し、正
極活物質中に含まれる異種金属イオンのモル数の比が、
0.01から0.12までの範囲であるとなる。これは、『正極
活物質に含まれるLi+の一部を、Ag+と置換させることに
よって、Li+がインターカレートされる結晶部位を拡張
し、Li+吸蔵量を増大させる』に当たり、0.01 以下であ
れば置換されるAgが少な過ぎて拡張が満足に行われず、
また、0.12 以上であれば置換されるAgが多過ぎてLiが
減りLi本来の働きが減るからであると考えられる。
【0040】実施例2 実施例2では、CoをNiに代え、Agの添加量の異なる5種
類のLi1-xAgxNiO2を熱分解法によって調製し、これらの
5種類を使用して、図1に示した円筒型リチウム二次電
池と同じものを作製した。本実施例2でのx値は、 0、
0.01、 0.02、0.05、 0.10である。
類のLi1-xAgxNiO2を熱分解法によって調製し、これらの
5種類を使用して、図1に示した円筒型リチウム二次電
池と同じものを作製した。本実施例2でのx値は、 0、
0.01、 0.02、0.05、 0.10である。
【0041】まず、LiOHとNi(OH)2を1:1のモル比で混
合し、それをるつぼに入れて、酸素を流通させた電気炉
で加熱した。熱処理の温度は700℃で、処理時間は5時
間とした。熱処理後に黒色の粉末が得られた。粉末X線
回折法によって、この粉末がLiNiO2であることを確認し
た。これを篩いに掛け、粒度を揃えてから正極活物質と
して使用した。このLiNiO2粉末に炭素粉末とバインダー
を混合し、その混合物をアルミニウム集電体に圧着し
て、シート状の正極1を作製した。
合し、それをるつぼに入れて、酸素を流通させた電気炉
で加熱した。熱処理の温度は700℃で、処理時間は5時
間とした。熱処理後に黒色の粉末が得られた。粉末X線
回折法によって、この粉末がLiNiO2であることを確認し
た。これを篩いに掛け、粒度を揃えてから正極活物質と
して使用した。このLiNiO2粉末に炭素粉末とバインダー
を混合し、その混合物をアルミニウム集電体に圧着し
て、シート状の正極1を作製した。
【0042】一方、負極活物質にはグラファイト粉末を
用い、それとバインダーの混合物を銅の集電体に圧着し
て、シート状の負極2を作製した。正極1と負極2のシ
ートの間に、セパレーター3を挟んだ電極群4を捲回し
た。この電極群4を、底部に高分子材の絶縁シート5を
敷いた金属製の電池容器6に収納し、負極リード線7は
電池容器6に溶接した。ついで等体積比のエチレンカー
ボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒に1モル濃
度相当のLiPF6を溶解させた非水電解液を電池容器6の
内部へ注入し、捲回した電極群4の上部に絶縁板8を載
せ、絶縁板8の孔を通して正極リード線9を容器蓋10
上部にある正極端子11に接続した。最後に容器蓋10
と電池容器6をかしめて容器を封止し、円筒型電池を作
製した。上記の電池をタイプ6とする。
用い、それとバインダーの混合物を銅の集電体に圧着し
て、シート状の負極2を作製した。正極1と負極2のシ
ートの間に、セパレーター3を挟んだ電極群4を捲回し
た。この電極群4を、底部に高分子材の絶縁シート5を
敷いた金属製の電池容器6に収納し、負極リード線7は
電池容器6に溶接した。ついで等体積比のエチレンカー
ボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒に1モル濃
度相当のLiPF6を溶解させた非水電解液を電池容器6の
内部へ注入し、捲回した電極群4の上部に絶縁板8を載
せ、絶縁板8の孔を通して正極リード線9を容器蓋10
上部にある正極端子11に接続した。最後に容器蓋10
と電池容器6をかしめて容器を封止し、円筒型電池を作
製した。上記の電池をタイプ6とする。
【0043】つぎに、正極活物質として Li0.99Ag0.01
NiO2、 Li0.98Ag0.02NiO2、Li0.95Ag0.10NiO2、Li0.90
Ag0.10NiO2を用いた円筒型電池を作製した。まず目的の
正極活物質のそれぞれに対して、LiOH、Ag2OおよびNi(O
H)3を0.99:0.01:1、0.98:0.02:1、0.95:0.05:1、
0.90:0.10:1のモル比で混合し、その混合物を別々の
るつぼに入れた。酸素を流通させた電気炉内に、試料を
入れたるつぼを置き、700℃、5時間熱処理することに
よって、黒色の粉末を得た。それぞれの試料の結晶構造
と化学組成を粉末X線回折法と誘導結合プラズマ発光分
析法によって調べた結果、各試料が目的の正極活物質で
ある Li0.99Ag0.01NiO2、Li0.98Ag0.02NiO2、Li0.95Ag
0.10NiO2、Li0.90Ag0.10NiO2であることを 確認した。
使用の前に、試料を篩いで粒径を揃えた。
NiO2、 Li0.98Ag0.02NiO2、Li0.95Ag0.10NiO2、Li0.90
Ag0.10NiO2を用いた円筒型電池を作製した。まず目的の
正極活物質のそれぞれに対して、LiOH、Ag2OおよびNi(O
H)3を0.99:0.01:1、0.98:0.02:1、0.95:0.05:1、
0.90:0.10:1のモル比で混合し、その混合物を別々の
るつぼに入れた。酸素を流通させた電気炉内に、試料を
入れたるつぼを置き、700℃、5時間熱処理することに
よって、黒色の粉末を得た。それぞれの試料の結晶構造
と化学組成を粉末X線回折法と誘導結合プラズマ発光分
析法によって調べた結果、各試料が目的の正極活物質で
ある Li0.99Ag0.01NiO2、Li0.98Ag0.02NiO2、Li0.95Ag
0.10NiO2、Li0.90Ag0.10NiO2であることを 確認した。
使用の前に、試料を篩いで粒径を揃えた。
【0044】上で合成した4種類のAg添加正極活物質
に、炭素粉末とバインダーを混合し、その混合物をアル
ミニウム集電体に圧着して、それぞれの活物質ごとにシ
ート状の正極1を作製した。正極1枚当りの活物質重量
は、タイプ1で使用したLiNiO2と同じ重量にした。一
方、負極活物質にはグラファイト粉末を用い、それとバ
インダーの混合物を銅の集電体に圧着して、シート状の
負極2を作製した。正極1と負極2のシートの間に、セ
パレーター3を挟んだ電極群4を捲回した。この電極群
4を、底部に絶縁シート5を敷いた電池容器6に収納
し、負極リード線7は電池容器6に溶接した。ついで等
体積比のエチレンカーボネートとジエチルカーボネート
の混合溶媒に、1モル濃度相当のLiPF6を溶解させた非
水電解液を電池容器6の内部へ注入し、捲回した電極群
4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板8の孔を通して正極
リード線9を容器蓋10にある正極端子11に接続し
た。最後に容器蓋10と電池容器6を加締めて容器を封
止し、上述のLiNiO2を用いた電池と同一仕様の円筒型電
池を作製した。以下Li0.99Ag0.01NiO2、Li0.98Ag0.02Ni
O2、Li0.95Ag0.10NiO2、Li0.90Ag0.10NiO2を使用した円
筒型電池を、それぞれタイプ7、タイプ8、タイプ9、
タイプ10とする。
に、炭素粉末とバインダーを混合し、その混合物をアル
ミニウム集電体に圧着して、それぞれの活物質ごとにシ
ート状の正極1を作製した。正極1枚当りの活物質重量
は、タイプ1で使用したLiNiO2と同じ重量にした。一
方、負極活物質にはグラファイト粉末を用い、それとバ
インダーの混合物を銅の集電体に圧着して、シート状の
負極2を作製した。正極1と負極2のシートの間に、セ
パレーター3を挟んだ電極群4を捲回した。この電極群
4を、底部に絶縁シート5を敷いた電池容器6に収納
し、負極リード線7は電池容器6に溶接した。ついで等
体積比のエチレンカーボネートとジエチルカーボネート
の混合溶媒に、1モル濃度相当のLiPF6を溶解させた非
水電解液を電池容器6の内部へ注入し、捲回した電極群
4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板8の孔を通して正極
リード線9を容器蓋10にある正極端子11に接続し
た。最後に容器蓋10と電池容器6を加締めて容器を封
止し、上述のLiNiO2を用いた電池と同一仕様の円筒型電
池を作製した。以下Li0.99Ag0.01NiO2、Li0.98Ag0.02Ni
O2、Li0.95Ag0.10NiO2、Li0.90Ag0.10NiO2を使用した円
筒型電池を、それぞれタイプ7、タイプ8、タイプ9、
タイプ10とする。
【0045】表1はサイクル数が10、100、200、500に
おけるタイプ6、7、8、9、10の放電容量の低下率
(レート特性)についてまとめた結果である。電池の作
動電圧は、3.0〜4.2 Vで、充電時と放電時の電流値は10
0 mAとした。
おけるタイプ6、7、8、9、10の放電容量の低下率
(レート特性)についてまとめた結果である。電池の作
動電圧は、3.0〜4.2 Vで、充電時と放電時の電流値は10
0 mAとした。
【0046】Ag無添加のタイプ6の場合、10サイクル目
のとき放電容量は、1230mAhであった。この電池の放電
容量は、100サイクルまで容量低下は30%以内であった
が、200サイクル後、500サイクル後の容量低下率は、そ
れぞれ49%と68%であった。
のとき放電容量は、1230mAhであった。この電池の放電
容量は、100サイクルまで容量低下は30%以内であった
が、200サイクル後、500サイクル後の容量低下率は、そ
れぞれ49%と68%であった。
【0047】タイプ7の場合、10サイクル時において、
タイプ1よりも容量が30 mAh増加した。この容量増大
は、LiNiO2のLi+の1%をAg+に置換したための効果であ
る。タイプ7の放電容量は、100サイクルまで容量低下
率は13%以内であり、200サイクルと500サイクル後の低
下率は、37%と56%であった。
タイプ1よりも容量が30 mAh増加した。この容量増大
は、LiNiO2のLi+の1%をAg+に置換したための効果であ
る。タイプ7の放電容量は、100サイクルまで容量低下
率は13%以内であり、200サイクルと500サイクル後の低
下率は、37%と56%であった。
【0048】Ag+置換量がさらに多いタイプ8とタイプ
9の場合、放電容量がAg添加量が1%であるタイプ6よ
りも大きなった。容量低下もタイプ7よりも抑制され、
200サイクル時の容量低下率は7%、500サイクル時の容
量低下率も20%以下に低減することができた。ところ
が、Ag+置換量10%の正極活物質を用いたタイプ10の
場合、容量がタイプ7、タイプ8、タイプ9よりも小さ
くなった。しかしながら、タイプ10の容量低下率もAg
+無添加のタイプ1より小さくなった。
9の場合、放電容量がAg添加量が1%であるタイプ6よ
りも大きなった。容量低下もタイプ7よりも抑制され、
200サイクル時の容量低下率は7%、500サイクル時の容
量低下率も20%以下に低減することができた。ところ
が、Ag+置換量10%の正極活物質を用いたタイプ10の
場合、容量がタイプ7、タイプ8、タイプ9よりも小さ
くなった。しかしながら、タイプ10の容量低下率もAg
+無添加のタイプ1より小さくなった。
【0049】
【表1】
【0050】この結果は、LiNiO2のLi+をAg+に置換する
ことによって、正極活物質の放電容量密度が増大し、容
量低下率も低減された。
ことによって、正極活物質の放電容量密度が増大し、容
量低下率も低減された。
【0051】一方、実施例2で作製した5種類の円筒型
電池、すなわち、タイプ6、タイプ7、タイプ8、タイ
プ9、タイプ10の電池を用い、それぞれの電池の放電
容量と放電電流の関係を調査した。
電池、すなわち、タイプ6、タイプ7、タイプ8、タイ
プ9、タイプ10の電池を用い、それぞれの電池の放電
容量と放電電流の関係を調査した。
【0052】図3は、実施例2で作製した5種類の円筒
型電池の放電電流値に対する放電容量の関係を示す図で
ある。
型電池の放電電流値に対する放電容量の関係を示す図で
ある。
【0053】本調査では、電池の作動電圧は3.0〜4.2 V
で、充電電流と放電の電流値は等しくした。Ag添加量1
%のタイプ7、Ag添加量2%のタイプ8、Ag添加量5%の
タイプ9のいずれの放電容量も、Ag無添加のタイプ6よ
りも大きくなった。特にタイプ9の電池は、いずれの電
池よりも放電容量が大きくなった。Ag添加量が10%であ
るタイプ10の場合、250 mAよりも低電流密度の領域で
タイプ6よりも放電容量が大きかったが、それ以上の高
電流密度のときはほぼ同程度の容量になった。
で、充電電流と放電の電流値は等しくした。Ag添加量1
%のタイプ7、Ag添加量2%のタイプ8、Ag添加量5%の
タイプ9のいずれの放電容量も、Ag無添加のタイプ6よ
りも大きくなった。特にタイプ9の電池は、いずれの電
池よりも放電容量が大きくなった。Ag添加量が10%であ
るタイプ10の場合、250 mAよりも低電流密度の領域で
タイプ6よりも放電容量が大きかったが、それ以上の高
電流密度のときはほぼ同程度の容量になった。
【0054】以上の調査結果から、LiNiO2中のLiをAgに
置換することによって、正極活物質中のLiイオンの拡散
速度が速くなったと推定され、従って、CoをNiに代えた
実施例2によっても、実施例1と同様に、二次電池の高
容量化とレート特性の向上が得られることが判明した。
尚、LiCoO2中のLiイオンをAgイオンに置換した実施例1
に対してのレート特性は、図2の横軸に沿って容量低下
率を読み取り確認される。
置換することによって、正極活物質中のLiイオンの拡散
速度が速くなったと推定され、従って、CoをNiに代えた
実施例2によっても、実施例1と同様に、二次電池の高
容量化とレート特性の向上が得られることが判明した。
尚、LiCoO2中のLiイオンをAgイオンに置換した実施例1
に対してのレート特性は、図2の横軸に沿って容量低下
率を読み取り確認される。
【0055】実施例3 実施例3は、実施例2に記述した方法で予めLiNiO2を作
製し、AgClO4、AgNO3などを溶解させた有機溶媒中で還
流させ、LiNiO2中に含まれるLi+をAg+に交換させたもの
である。本実施例3で使用した溶媒は、メタノール、エ
タノールなどのアルコール、アセトン等のケトン、アセ
トニトリルなどのニトリル系の溶媒である。イオン交換
処理後に内容物を蒸留し固形物を洗浄後に400℃で熱処
理した。これを粉砕し、篩いで粒径を揃え、黒色の粉末
を得た。これを粉末X線回折法と誘導結合プラズマ発光
分析法によって、実施例3で得られたLi0.95Ag0.05NiO2
と同一の構造で、化学組成もほぼ等しい化合物であるこ
とを確認した。Ag+濃度と還流時間を調節すると、LiNiO
2のAg+置換量の異なる酸化物が得られる。
製し、AgClO4、AgNO3などを溶解させた有機溶媒中で還
流させ、LiNiO2中に含まれるLi+をAg+に交換させたもの
である。本実施例3で使用した溶媒は、メタノール、エ
タノールなどのアルコール、アセトン等のケトン、アセ
トニトリルなどのニトリル系の溶媒である。イオン交換
処理後に内容物を蒸留し固形物を洗浄後に400℃で熱処
理した。これを粉砕し、篩いで粒径を揃え、黒色の粉末
を得た。これを粉末X線回折法と誘導結合プラズマ発光
分析法によって、実施例3で得られたLi0.95Ag0.05NiO2
と同一の構造で、化学組成もほぼ等しい化合物であるこ
とを確認した。Ag+濃度と還流時間を調節すると、LiNiO
2のAg+置換量の異なる酸化物が得られる。
【0056】本実施例3で得られたLi0.95Ag0.05NiO2を
用い、以下の手順に従って実施例2のタイプ9と同一形
状の円筒型リチウム二次電池を作製した。
用い、以下の手順に従って実施例2のタイプ9と同一形
状の円筒型リチウム二次電池を作製した。
【0057】まず、Li0.95Ag0.05NiO2に炭素粉末とバイ
ンダーを混合し、その混合物をアルミニウム集電体に圧
着してシート状の正極1を作製した。正極活物質の重量
は、タイプ9で使用したLi0.95Ag0.05NiO2と等しくし
た。一方、負極活物質にはグラファイト粉末を用い、そ
れとバインダーの混合物を銅の集電体に圧着して、シー
ト状の負極2を作製した。正極1と負極2のシートの間
に、セパレーター3を挟んだ電極群4を捲回した。この
電極群4を、底部に絶縁シート5を敷いた電池容器6に
収納し、負極リード線7は電池容器6に溶接した。つい
で等体積比のエチレンカーボネートとジエチルカーボネ
ートの混合溶媒に1モル濃度相当のLiPF6を溶解させた
非水電解液を電池容器6の内部へ注入し、捲回した電極
群4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板8の孔を通して正
極リード線9を容器蓋10にある正極端子11に接続し
た。最後に、容器蓋10と電池容器6を加締めて容器を
封止し、円筒型電池を作製した。この電池をタイプ11
とする。
ンダーを混合し、その混合物をアルミニウム集電体に圧
着してシート状の正極1を作製した。正極活物質の重量
は、タイプ9で使用したLi0.95Ag0.05NiO2と等しくし
た。一方、負極活物質にはグラファイト粉末を用い、そ
れとバインダーの混合物を銅の集電体に圧着して、シー
ト状の負極2を作製した。正極1と負極2のシートの間
に、セパレーター3を挟んだ電極群4を捲回した。この
電極群4を、底部に絶縁シート5を敷いた電池容器6に
収納し、負極リード線7は電池容器6に溶接した。つい
で等体積比のエチレンカーボネートとジエチルカーボネ
ートの混合溶媒に1モル濃度相当のLiPF6を溶解させた
非水電解液を電池容器6の内部へ注入し、捲回した電極
群4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板8の孔を通して正
極リード線9を容器蓋10にある正極端子11に接続し
た。最後に、容器蓋10と電池容器6を加締めて容器を
封止し、円筒型電池を作製した。この電池をタイプ11
とする。
【0058】表1に、サイクル数10、100、200、500に
おけるタイプ11の放電容量の結果を示す。電池の作動
電圧は3.0〜4.2 Vで、充電電流と放電電流は100 mAとし
た。10サイクル時でのタイプ11の放電容量は1280 mAh
であり、平均出力電圧は3.6Vであった。この電池の放電
容量の低下率は、100サイクル後で3%以下、200サイク
ル後で7%、500サイクル後で20%以下に低減された。
おけるタイプ11の放電容量の結果を示す。電池の作動
電圧は3.0〜4.2 Vで、充電電流と放電電流は100 mAとし
た。10サイクル時でのタイプ11の放電容量は1280 mAh
であり、平均出力電圧は3.6Vであった。この電池の放電
容量の低下率は、100サイクル後で3%以下、200サイク
ル後で7%、500サイクル後で20%以下に低減された。
【0059】従って、実施例3のイオン交換法によって
合成したAg置換型LiNiO2を使用しても、容量低下の小さ
なリチウム二次電池を得ることができることが判明し
た。
合成したAg置換型LiNiO2を使用しても、容量低下の小さ
なリチウム二次電池を得ることができることが判明し
た。
【0060】実施例4 本実施例4では、 Li0.95Ag0.05Co0.9Mn0.1O2、 Li0.95
Ag0.05Ni0.9Mn0.1O2、Li0.95Ag0.05Ni0.9Co0.1O2の化学
式で表される3種類の正極活物質を合成し、それらの活
物質を正極に利用したリチウム二次電池を作製した。
Ag0.05Ni0.9Mn0.1O2、Li0.95Ag0.05Ni0.9Co0.1O2の化学
式で表される3種類の正極活物質を合成し、それらの活
物質を正極に利用したリチウム二次電池を作製した。
【0061】まず、Li0.95Ag0.05Co0.9Mn0.1O2は、LiO
H、AgNO3、Co2O3、MnCO3を、モル比0.95:0.05:0.90:
0.10で混合し、空気中400〜500℃で熱処理をおこなっ
た。上記のリチウム塩、銀塩の他に、LiNO3、Li2CO3、C
H3COOAgなども使用することができる。熱分解時間は5
時間とした。分解後に得られた粉末を篩いによって分級
した後、正極活物質として使用した。
H、AgNO3、Co2O3、MnCO3を、モル比0.95:0.05:0.90:
0.10で混合し、空気中400〜500℃で熱処理をおこなっ
た。上記のリチウム塩、銀塩の他に、LiNO3、Li2CO3、C
H3COOAgなども使用することができる。熱分解時間は5
時間とした。分解後に得られた粉末を篩いによって分級
した後、正極活物質として使用した。
【0062】次に、Li0.95Ag0.05Ni0.9Mn0.1O2は、LiO
H、Ag2O、Ni(OH)2、MnCO3を モル比0.95:0.05:0.90:
0.10で混合し、酸素気流中、700℃で熱処理をおこなっ
た。熱分解時間は5時間とした。分解後に得られた粉末
を篩いによって分級した後に正極活物質として使用し
た。
H、Ag2O、Ni(OH)2、MnCO3を モル比0.95:0.05:0.90:
0.10で混合し、酸素気流中、700℃で熱処理をおこなっ
た。熱分解時間は5時間とした。分解後に得られた粉末
を篩いによって分級した後に正極活物質として使用し
た。
【0063】そして、同様にLi0.95Ag0.05Ni0.9Co0.1O2
は、LiOH、Ag2O、Ni(OH)2、Co2O3をモル比 0.95:0.0
5:0.90:0.10で混合し、酸素気流中、700℃で熱処理を
おこなった。熱分解時間は5時間とした。分解後に得ら
れた粉末を篩いによって分級した後、正極活物質として
使用した。
は、LiOH、Ag2O、Ni(OH)2、Co2O3をモル比 0.95:0.0
5:0.90:0.10で混合し、酸素気流中、700℃で熱処理を
おこなった。熱分解時間は5時間とした。分解後に得ら
れた粉末を篩いによって分級した後、正極活物質として
使用した。
【0064】これら3種類の正極活物質を粉末X線回折
法と誘導結合プラズマ発光分析法によって、本実施例4
で得られた3種類の正極活物質が、LiCoO2やLiNiO2と同
じように六方晶系の層状結晶であり、化学組成が、 Li
0.95Ag0.05Co0.9Mn0.1O2、Li0.95Ag0.05Ni0.9Mn0.1O2、
Li0.95Ag0.05Ni0.9Co0.1O2であることを確認した。
法と誘導結合プラズマ発光分析法によって、本実施例4
で得られた3種類の正極活物質が、LiCoO2やLiNiO2と同
じように六方晶系の層状結晶であり、化学組成が、 Li
0.95Ag0.05Co0.9Mn0.1O2、Li0.95Ag0.05Ni0.9Mn0.1O2、
Li0.95Ag0.05Ni0.9Co0.1O2であることを確認した。
【0065】上記で作製した3種類の正極活物質を用
い、図1に示した円筒型電池と同様なものを作製した。
まずLi0.95Ag0.05Co0.9Mn0.1O2を、実施例1のタイプ1
で使用したLiCoO2と同じ重量だけ採取し、この粉末に炭
素粉末とバインダーを混合し、その混合物をアルミニウ
ム集電体に圧着して、シート状の正極1を作製した。
い、図1に示した円筒型電池と同様なものを作製した。
まずLi0.95Ag0.05Co0.9Mn0.1O2を、実施例1のタイプ1
で使用したLiCoO2と同じ重量だけ採取し、この粉末に炭
素粉末とバインダーを混合し、その混合物をアルミニウ
ム集電体に圧着して、シート状の正極1を作製した。
【0066】一方、負極活物質にはグラファイト粉末を
用い、それとバインダーの混合物を銅の集電体に圧着し
て、シート状の負極2を作製した。正極1と負極2のシ
ートの間に、セパレーター3を挟んだ電極群4を捲回し
た。この電極群4を、電池容器底部に絶縁シート5を敷
いた電池容器6に収納し、負極リード線7は電池容器6
に溶接した。ついで等体積比のエチレンカーボネートと
ジエチルカーボネートの混合溶媒に1モル濃度相当のLi
PF6を溶解させた非水電解液を電池容器6の内部へ注入
し、捲回した電極群4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板
8の孔を通して正極リード線9を容器蓋10にある正極
端子11に接続した。最後に容器蓋10と電池容器6を
加締めて容器を封止し、円筒型電池を作製した。以下、
この電池をタイプ12とする。
用い、それとバインダーの混合物を銅の集電体に圧着し
て、シート状の負極2を作製した。正極1と負極2のシ
ートの間に、セパレーター3を挟んだ電極群4を捲回し
た。この電極群4を、電池容器底部に絶縁シート5を敷
いた電池容器6に収納し、負極リード線7は電池容器6
に溶接した。ついで等体積比のエチレンカーボネートと
ジエチルカーボネートの混合溶媒に1モル濃度相当のLi
PF6を溶解させた非水電解液を電池容器6の内部へ注入
し、捲回した電極群4の上部に絶縁板8を載せ、絶縁板
8の孔を通して正極リード線9を容器蓋10にある正極
端子11に接続した。最後に容器蓋10と電池容器6を
加締めて容器を封止し、円筒型電池を作製した。以下、
この電池をタイプ12とする。
【0067】同様に、実施例3で使用したLiNiO2と同じ
重量のLi0.95Ag0.05Ni0.9Mn0.1O2とLi0.95Ag0.05Ni0.9C
o0.1O2を使用し、2種類の正極1を作製した。それぞれ
の正極1を用い、タイプ12と同一仕様の円筒型電池を
作製した。
重量のLi0.95Ag0.05Ni0.9Mn0.1O2とLi0.95Ag0.05Ni0.9C
o0.1O2を使用し、2種類の正極1を作製した。それぞれ
の正極1を用い、タイプ12と同一仕様の円筒型電池を
作製した。
【0068】Li0.95Ag0.05Ni0.9Mn0.1O2を使用した電池
をタイプ13、 Li0.95Ag0.05Ni0.9Co0.1O2を使用した
電池をタイプ14とする。
をタイプ13、 Li0.95Ag0.05Ni0.9Co0.1O2を使用した
電池をタイプ14とする。
【0069】表1に、サイクル数10、100、200、500に
おけるタイプ12、13、14の放電容量の結果を示
す。電池の作動電圧は3.0〜4.2 Vで、充電電流と放電電
流は、100 mAとした。タイプ12の場合、10サイクル後
における放電容量は1245 mAhであった。この電池の放電
容量は、100サイクルまで容量低下は13%であり、200サ
イクル後、500サイクル後での容量低下率はそれぞれ27
%と33%であった。
おけるタイプ12、13、14の放電容量の結果を示
す。電池の作動電圧は3.0〜4.2 Vで、充電電流と放電電
流は、100 mAとした。タイプ12の場合、10サイクル後
における放電容量は1245 mAhであった。この電池の放電
容量は、100サイクルまで容量低下は13%であり、200サ
イクル後、500サイクル後での容量低下率はそれぞれ27
%と33%であった。
【0070】容量増加はわずかであった実施例2のタイ
プ6と比較すると、本発明のLi0.95Ag0.05Co0.9Mn0.1O2
を用いれば、容量低下率を大幅に低減することができ
る。
プ6と比較すると、本発明のLi0.95Ag0.05Co0.9Mn0.1O2
を用いれば、容量低下率を大幅に低減することができ
る。
【0071】タイプ13の場合、10サイクル目のとき放
電容量は1212 mAhであった。100サイクルまでの容量低
下率は16%であり、200サイクル後、500サイクル後での
容量低下率はそれぞれ20%と23%であった。またタイプ
14の場合、10サイクル目のとき放電容量は1217 mAhで
あったが、電池の放電容量の低下率は、100サイクルの
時で8%であった。200サイクル後、500サイクル後の容
量低下率はそれぞれ14%と24%である。
電容量は1212 mAhであった。100サイクルまでの容量低
下率は16%であり、200サイクル後、500サイクル後での
容量低下率はそれぞれ20%と23%であった。またタイプ
14の場合、10サイクル目のとき放電容量は1217 mAhで
あったが、電池の放電容量の低下率は、100サイクルの
時で8%であった。200サイクル後、500サイクル後の容
量低下率はそれぞれ14%と24%である。
【0072】この結果、本実施例4で合成した正極活物
質を用いて、放電容量の低下を著しく抑制することがで
きた。すなわち、遷移金属として、CoやNiの単体元素以
外にMnを添加したものまたはCoとNiとの2元素を含んだ
ものを用いても、実施例1などと同様の効果が得られる
ことが判明した。
質を用いて、放電容量の低下を著しく抑制することがで
きた。すなわち、遷移金属として、CoやNiの単体元素以
外にMnを添加したものまたはCoとNiとの2元素を含んだ
ものを用いても、実施例1などと同様の効果が得られる
ことが判明した。
【0073】実施例5 本実施例5は、異種金属イオンとしてCu+を採用したも
のである。Cu置換型正極活物質の合成方法を述べる。Cu
+は大気中で高温加熱すると、酸化されてCu2+になる。
そこで、Cu+の酸化を避けるために、イオン交換法によ
って、Li+とCu+に交換する方法を採用した。まず、実施
例1と実施例2で述べた方法に従って、LiCoO2とLiNiO2
との2種類を合成した。これらのそれぞれの粉末とCuC
l、CuBrなどのCu+の塩を混合した有機溶媒を還流させ、
LiCoO2またはLiNiO2中に含まれるLi+をCu+に交換させ
た。本実施例5で使用できる溶媒は、メタノール、エタ
ノールなどのアルコール、アセトン等のケトン、アセト
ニトリルなどのニトリル系の溶媒である。
のである。Cu置換型正極活物質の合成方法を述べる。Cu
+は大気中で高温加熱すると、酸化されてCu2+になる。
そこで、Cu+の酸化を避けるために、イオン交換法によ
って、Li+とCu+に交換する方法を採用した。まず、実施
例1と実施例2で述べた方法に従って、LiCoO2とLiNiO2
との2種類を合成した。これらのそれぞれの粉末とCuC
l、CuBrなどのCu+の塩を混合した有機溶媒を還流させ、
LiCoO2またはLiNiO2中に含まれるLi+をCu+に交換させ
た。本実施例5で使用できる溶媒は、メタノール、エタ
ノールなどのアルコール、アセトン等のケトン、アセト
ニトリルなどのニトリル系の溶媒である。
【0074】イオン交換処理後に内容物を蒸留し、固形
物を洗浄後に400℃で熱処理した。これを粉砕し、篩い
で粒度を揃え、黒色の粉末を得た。上記2種類の試料を
粉末X線回折法と誘導結合プラズマ発光分析法によって
分析した結果、得られた試料がLiCoO2とLiNiO2と同じ層
状の結晶構造をもち、化学組成がLi0.95Cu0.05CoO2とLi
0.95Cu0.05NiO2であることを確認した。
物を洗浄後に400℃で熱処理した。これを粉砕し、篩い
で粒度を揃え、黒色の粉末を得た。上記2種類の試料を
粉末X線回折法と誘導結合プラズマ発光分析法によって
分析した結果、得られた試料がLiCoO2とLiNiO2と同じ層
状の結晶構造をもち、化学組成がLi0.95Cu0.05CoO2とLi
0.95Cu0.05NiO2であることを確認した。
【0075】上記の2種類の試料それぞれに炭素粉末と
バインダーを混合し、その混合物をアルミニウム集電体
に圧着して、各正極活物質ごとにシート状の正極1を作
製した。正極1枚当りのLi0.95Cu0.05CoO2の重量は、実
施例1のタイプ1で使用したLiCoO2と等しくした。同様
に正極1枚当りのLi0.95Cu0.05NiO2の重量も、実施例2
のタイプ6で使用したLiNiO2と等しくした。負極活物質
にはグラファイト粉末を用い、それとバインダーの混合
物を銅の集電体に圧着して、シート状の負極2を作製し
た。正極1と負極2のシートの間に、セパレーター3を
挟んだ電極群4を捲回した。この電極群4を底部に絶縁
シート5を敷いた電池容器6に収納し、負極リード線7
は電池容器6に溶接した。ついで等体積比のエチレンカ
ーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒に1モル
濃度相当のLiPF6を溶解させた非水電解液を電池容器6
の内部へ注入し、捲回した電極群4の上部に絶縁板8を
載せ、絶縁板8の中央の孔を通して正極リード線9を容
器蓋10上部にある正極端子11に接続した。最後に容
器蓋10と電池容器6を加締めて容器を封止し、円筒型
電池を作製した。上記のLi0.95Cu0.05CoO2、Li0.95Cu
0.05NiO2を使用した円筒型電池を、それぞれタイプ1
5、タイプ16とする。
バインダーを混合し、その混合物をアルミニウム集電体
に圧着して、各正極活物質ごとにシート状の正極1を作
製した。正極1枚当りのLi0.95Cu0.05CoO2の重量は、実
施例1のタイプ1で使用したLiCoO2と等しくした。同様
に正極1枚当りのLi0.95Cu0.05NiO2の重量も、実施例2
のタイプ6で使用したLiNiO2と等しくした。負極活物質
にはグラファイト粉末を用い、それとバインダーの混合
物を銅の集電体に圧着して、シート状の負極2を作製し
た。正極1と負極2のシートの間に、セパレーター3を
挟んだ電極群4を捲回した。この電極群4を底部に絶縁
シート5を敷いた電池容器6に収納し、負極リード線7
は電池容器6に溶接した。ついで等体積比のエチレンカ
ーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒に1モル
濃度相当のLiPF6を溶解させた非水電解液を電池容器6
の内部へ注入し、捲回した電極群4の上部に絶縁板8を
載せ、絶縁板8の中央の孔を通して正極リード線9を容
器蓋10上部にある正極端子11に接続した。最後に容
器蓋10と電池容器6を加締めて容器を封止し、円筒型
電池を作製した。上記のLi0.95Cu0.05CoO2、Li0.95Cu
0.05NiO2を使用した円筒型電池を、それぞれタイプ1
5、タイプ16とする。
【0076】表1に、サイクル数10、100、200、500に
おけるタイプ15、16の放電容量の結果を示す。電池
の作動電圧は3.0〜4.2 Vで、充電時と放電時の電流値は
100mAとした。Cu置換型LiCoO2のタイプ15の場合、10
サイクル時の放電容量は1275mAhであった。この電池の
容量低下率は、100サイクル時で7%、200サイクル時で1
9%、500サイクル後で27%であった。Cu+置換型LiNiO2
のタイプ16の放電容量低下も、Cu+無添加のタイプ6
と比較して著しく抑制され、500サイクル時においても
容量低下率が26%であった。
おけるタイプ15、16の放電容量の結果を示す。電池
の作動電圧は3.0〜4.2 Vで、充電時と放電時の電流値は
100mAとした。Cu置換型LiCoO2のタイプ15の場合、10
サイクル時の放電容量は1275mAhであった。この電池の
容量低下率は、100サイクル時で7%、200サイクル時で1
9%、500サイクル後で27%であった。Cu+置換型LiNiO2
のタイプ16の放電容量低下も、Cu+無添加のタイプ6
と比較して著しく抑制され、500サイクル時においても
容量低下率が26%であった。
【0077】この結果、本実施例5の如き、異種金属イ
オンとしてCu+を採用したものであっても、Ag+と同様の
効果が得られることが判明した。また、Agの添加%の場
合と同じ理由から、アルカリ金属イオンのモル数に対
し、正極活物質中に含まれる異種金属イオンのモル数の
比が、0.01から0.12までの範囲が良いと言える。
オンとしてCu+を採用したものであっても、Ag+と同様の
効果が得られることが判明した。また、Agの添加%の場
合と同じ理由から、アルカリ金属イオンのモル数に対
し、正極活物質中に含まれる異種金属イオンのモル数の
比が、0.01から0.12までの範囲が良いと言える。
【0078】
【発明の効果】以上のように、アルカリ金属イオンとは
異なる異種金属イオンを含む正極活物質を用いることに
よって、アルカリ金属を用いた二次電池の高容量化と長
寿命化が図れるという効果が得られる。
異なる異種金属イオンを含む正極活物質を用いることに
よって、アルカリ金属を用いた二次電池の高容量化と長
寿命化が図れるという効果が得られる。
【0079】また、二次電池の高容量化により、ポータ
ブル電気機器などの軽量化と小形化に結び付く効果も得
られる。
ブル電気機器などの軽量化と小形化に結び付く効果も得
られる。
【図1】本発明による一実施例の円筒型リチウム二次電
池の半断面図である。
池の半断面図である。
【図2】実施例1で作製した5種類の円筒型電池の放電
容量とサイクル数の関係を示す図である。
容量とサイクル数の関係を示す図である。
【図3】実施例2で作製した5種類の円筒型電池の放電
電流値に対する放電容量の関係を示す図である。
電流値に対する放電容量の関係を示す図である。
1…正極、2…セパレーター、3…負極、4…電極群、
5…絶縁シート、6…電池容器、7…負極リード線、8
…絶縁板、9…正極リード線、10…容器蓋、11…正
極端子。
5…絶縁シート、6…電池容器、7…負極リード線、8
…絶縁板、9…正極リード線、10…容器蓋、11…正
極端子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 正則 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 堀場 達雄 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 村中 廉 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内
Claims (5)
- 【請求項1】アルカリ金属イオンを含む正極活物質から
なる正極と、負極と、非水電解液とから構成される二次
電池であって、 前記正極活物質は、前記アルカリ金属イオンとは異なる
異種金属イオンを含み、該異種金属イオンは、前記ア
ルカリ金属イオンより大きいイオン半径を有する一価の
陽イオン A+であり、かつ、次の式(1)で表される前記
異種金属イオンについての酸化還元反応の標準平衡電位
が、式(2)で表される酸素の酸化還元反応の標準平衡電
位以下にあり、かつ、前記異種金属イオンについての酸
化還元反応の標準平衡電位が、前記正極活物質が前記陽
イオン A+を電気化学的に吸蔵、放出するための作動電
位の最低値より高いことを特徴とする二次電池。 A+ + e- → A (1) O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O (2) - 【請求項2】請求項1において、前記正極活物質中に含
まれる前記アルカリ金属イオンのモル数に対し、前記正
極活物質中に含まれる前記異種金属イオンのモル数の比
が、0.01から0.12までの範囲であることを特徴とする二
次電池。 - 【請求項3】請求項1において、前記正極活物質は、Li
x-yAyBO2なる化学式を有し、xはyより大きく、yは
0.01から0.12の範囲にあり、 Aは、AgまたはCu元素であり、Liのモル数に対する A
の全モル数の比は、y/(x−y)であり、Bは、Co元素
であることを特徴とする二次電池。 - 【請求項4】アルカリ金属イオンを含む正極活物質から
なる正極と、負極と、非水電解液とから構成される二次
電池であって、 前記正極活物質は、Li1-yAgyCoO2なる化学式を有し、y
は0.01から0.12の範囲にあることを特徴とする二次電
池。 - 【請求項5】アルカリ金属イオンを含む正極活物質から
なる正極と、負極と、非水電解液とから構成される二次
電池であって、 前記正極活物質は、Li1-yCuyCoO2なる化学式を有し、y
は0.01から0.12の範囲にあることを特徴とする二次電
池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7001756A JP2845150B2 (ja) | 1995-01-10 | 1995-01-10 | 二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP7001756A JP2845150B2 (ja) | 1995-01-10 | 1995-01-10 | 二次電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08190907A true JPH08190907A (ja) | 1996-07-23 |
JP2845150B2 JP2845150B2 (ja) | 1999-01-13 |
Family
ID=11510433
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7001756A Expired - Fee Related JP2845150B2 (ja) | 1995-01-10 | 1995-01-10 | 二次電池 |
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JP (1) | JP2845150B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1132985A2 (en) * | 2000-03-03 | 2001-09-12 | Nissan Motor Company, Limited | Positive electrode material for nonaqueous electrolyte secondary battery and battery using the same |
WO2002054511A1 (fr) * | 2000-12-27 | 2002-07-11 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Materiau actif d'electrode positive pour cellule secondaire electrolytique non aqueuse et cellule faisant appel a ce materiau |
JP2007035283A (ja) * | 2005-07-22 | 2007-02-08 | Sanyo Electric Co Ltd | 正極および非水電解質二次電池 |
JP2021527921A (ja) * | 2018-06-20 | 2021-10-14 | エルジー・ケム・リミテッド | リチウム二次電池用正極活物質及びリチウム二次電池 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02139861A (ja) * | 1988-11-17 | 1990-05-29 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 非水電解質二次電池 |
JPH05190177A (ja) * | 1992-01-09 | 1993-07-30 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 非水電解液二次電池 |
JPH05242891A (ja) * | 1991-11-13 | 1993-09-21 | Sanyo Electric Co Ltd | 非水系電池 |
-
1995
- 1995-01-10 JP JP7001756A patent/JP2845150B2/ja not_active Expired - Fee Related
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EP1132985A3 (en) * | 2000-03-03 | 2005-11-23 | Nissan Motor Company, Limited | Positive electrode material for nonaqueous electrolyte secondary battery and battery using the same |
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US6991752B2 (en) | 2000-12-27 | 2006-01-31 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Positive electrode active material for non-aqueous electrolyte secondary cell and cell using the same |
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JP2021527921A (ja) * | 2018-06-20 | 2021-10-14 | エルジー・ケム・リミテッド | リチウム二次電池用正極活物質及びリチウム二次電池 |
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JP2845150B2 (ja) | 1999-01-13 |
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