JP5819786B2 - 銅酸リチウム正極材料、同正極材料の製造方法、および同正極材料を正極活物質として含むリチウム二次電池 - Google Patents

銅酸リチウム正極材料、同正極材料の製造方法、および同正極材料を正極活物質として含むリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、大きな放電容量を有し、サイクル特性に優れた銅酸リチウム正極材料、同正極材料の製造方法、および同正極材料を含むリチウム二次電池に関するものである。
ポータブル小型端末の電源として多く使われているリチウム二次電池は、高エネルギー密度を有し、長サイクル寿命を有するため、バックアップ電源やエネルギーバッファーとしても期待されている。バックアップ電源やエネルギーバッファーが接続されるデバイスは、高駆動電圧であることが一般的である。従来の鉛電池を用いる場合には直列で繋げることにより、希望の電圧が満たされるが、多数電池が必要であった。しかし、リチウム電池は高い駆動電圧(3−4V級)を有するため、より少ない電池で済ませることができるため、実用化への期待が高まっている。
リチウム二次電池は、負極と正極の間に金属イオンがインサーションもしくはインターカレーション反応することで、繰り返し使用することが出来る。従来のリチウム二次電池は、LiCoOを正極材料として利用することで、4V級の高い放電電圧を発揮することができ、実用化されてきている。
しかしながら、コバルトは資源量が乏しくて価格が高く、また安全性の確保が難しいという問題点がある。そこで、大型電池の実用化のため、LiCoO正極の代替材料が必要とされている。高安全性、安価な代替材料として、ここ数年はリン酸鉄リチウム(LiFePO)が注目され、実用化されてきている。リン酸鉄リチウムの作動電圧は約3.5Vと高く、安全性の観点でも優秀な正極材料であり、大型電池用電極材料としても検討された。しかしながら、リン酸鉄リチウムは導電性が低いため、カーボンコートやナノ化をする必要があり、特殊な雰囲気下での焼結等により、生産コストが高いことが知られている。
また、鉄と同様な低価格材料の中でも、銅酸リチウムは導電性が良く、リチウムイオンの出入りも可能であり、正極材料として有望であることが報告されている(非特許文献1)。銅酸化物の導電性は鉄類よりも約10倍高く、合成も比較的単純なため、コストの面でも有望である。
しかしながら、高い理論容量(489mAh/g)を有する銅酸リチウムは、初期容量は同じような高い値(430mAh/g)を示すものの、二サイクル目以降の容量は約半分に減少し、実用可能な容量が小さく、エネルギー密度の向上が課題である。
特開平10−247496号公報
H.Arai, S. Okada, Y. Sakurai, J. Yamaki, Solid State Ionic 106 (1998) 45-53. N.Imanishi, K. Shizuka, T. Ikenishi, T. Matsumura, A. Hirano, Y. Takeda, Solid State Ionics 177 (2006) 1341-1346.
低コストリチウム二次電池用正極材料として有望な銅酸リチウムは、層構造であるニッケル系やコバルト系材料に比べると、実用可能な容量が小さく作動電圧も低いため、エネルギー密度向上の課題が残っている。そこで、銅酸リチウムの容量及び作動電圧を向上することが求められている。
大きな不可逆容量が生じる原因としては、サイクル中の銅酸リチウム(Li2CuO2)が準安定な構造であるLi3Cu2O4に一時的に変化することにより、出入り可能なリチウムイオンが減少し、安定した容量でのサイクルは不可能と報告されている(非特許文献1)。このような、銅酸リチウムの不可逆容量を減少させるために、充放電中に起きる結晶構造の変化を防ぐ目的で、ニッケルをドーパントとして銅の一部を置換する方法が報告されている(非特許文献2)。ニッケルは一般的に2価として安定しやすく、2価として存在する銅酸リチウム内の銅サイトに置換することで、容量やサイクルを改善できるからである。しかしながら、ニッケルといったレアメタル原料は、資減量が乏しく価格が高いという課題がある。一方、ニッケルと同様な遷移金属がすべて、銅酸リチウムの銅サイトに置換が可能というものではない。
例えば、遷移金属の中でも最も安価な材料である鉄の場合、銅やニッケルと同じ2価の状態を取りえるが、鉄は環境により、より安定した状態である3価や4価に酸化されやすい。鉄を今までの合成方法を用いて銅酸リチウムにドープすると、3価として存在し、銅のサイトにうまく置換することが出来なかったという問題がある。さらに、酸化した鉄は、リチウムと反応し、リチウムイオン二次電池の電極としては不活性であるスピネル型鉄酸リチウムを生成する。
そこで、本発明は、鉄のような2価として安定な元素を銅と同様の原子価である2価として安定化させてドープする合成方法を提案するものである。したがって、本発明は上記従来の課題を解決するため、その目的は、安全性が高くサイクル安定性に優れたリチウム二次電池正極材料である銅酸リチウムの放電容量及び電極電位を改善し、リチウム二次電池の安全性やエネルギー密度、またはサイクル特性を改善するための安価な材料を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、本発明の一つの態様は、空間群Immmに帰属する結晶構造から構成され、化学式Li 2 Cu1-xx2(Mは、Ti、V、Cr、Mn、FeまたはCoの何れから選択される金属であり、0.01≦x≦0.45)で表される銅酸リチウムであることを特徴とするリチウム二次電池用正極材料に関するものである。本発明において、金属Mのドープ量xは、0.05≦x≦0.45であることが好ましく、0.1≦x≦0.40であることが更に好ましい
また、本発明の別の態様は、上記本発明のリチウム二次電池正極材料製造方法であって、銅酸化物の粉末、Ti、V、Cr、Mn、FeまたはCoの何れかである金属Mの粉末(Mの価数は0)、およびリチウム化合物を混合し、酸素雰囲気中で600℃以上の温度で、8時間〜15時間の加熱を行うことを特徴とするリチウム二次電池用正極材料の製造方法に関するものである。
さらに、本発明の別の態様は、上記本発明のリチウム二次電池正極材料を正極活物質として含有する正極と、リチウムの挿入脱離が可能な負極材料を含有する負極と、正極と負極の間に配置されたリチウムイオン伝導性電解質とを有することを特徴とするリチウム二次電池に関するものである。
本発明は、安全性が高くサイクル安定性に優れたリチウム二次電池正極材料である銅酸リチウムの放電容量及び電極電位を改善し、リチウム二次電池の安全性やエネルギー密度、またはサイクル特性を改善するための安価な材料を提供することが出来る。
本発明のテストセルの構成を表す電池断面図である。 本発明の実施例1試料のXRDパターンを示す図である。 本発明の実施例1と比較例1の試料の10サイクル目の充放電曲線である。
以下に、本発明によるリチウム二次電池用正極材料、およびその製造方法を説明する。
(1)リチウム二次電池用正極材料
本発明のリチウム二次電池用正極材料は、空間群Immmに帰属する結晶構造を有し、化学式LiCu1−x(Mは金属であり、0.01≦x≦0.45)で表される銅酸リチウムであることを特徴とするものである。
この化学式LiCu1−xの組成物は、銅酸リチウムに、2価より大きい原子価で安定性を有する金属、好ましくは遷移金属をドープすることにより合成される。金属Mは、遷移金属であることが好ましく、具体的には、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co等を挙げることができる。これらの金属の中では、Ti、VまたはFeの何れかであることがより好ましい。
化学式LiCu1−xにおける金属Mのドープ量xは、0.01≦x≦0.45であり、0.05≦x≦0.45が好ましく、0.1≦x≦0.40がより好ましく、0.1≦x≦0.35が特に好ましい。金属Mのドープ量xが少なすぎるとドープした遷移金属の効果が得られず、また、多すぎると銅酸リチウムの放電容量が小さくなりすぎてしまうためである。
本発明のリチウム二次電池用正極材料は、空間群Immmに帰属する結晶構造を有することも特徴とする。この結晶構造は、製造方法の説明で述べるように、銅酸化物の粉末、金属Mの粉末(Mの価数は0)、およびリチウム化合物を混合して加熱を行うことにより、銅酸リチウムに金属Mがドープされ、LiCu1−xという構成を有し、空間群Immmに帰属する結晶構造を有する銅酸リチウムを含む正極材料を得ることが出来る。
本発明においては空間群Immmに帰属される結晶構造を有していれば、結晶性はどんなようなものでも構わない。具体的には、既知のImmm構造を有する銅酸リチウムのパターン(PDF01−079−1975)と比較することにより、空間群Immmに帰属する結晶構造を有するか否かを判定することが出来る。
(2)リチウム二次電池用正極材料の製造方法
本発明のリチウム二次電池用正極材料は、以下の方法により製造することができる。
まず、本発明の上記リチウム二次電池用正極材料は、銅酸リチウムおよび金属Mの粉末(Mの価数は0)を原料として使用して、酸素雰囲気中で600℃以上の温度で少なくとも3時間の加熱を行うことで、銅酸リチウムに金属Mをドープさせることにより製造することが出来る。
本発明の製造方法は、金属Mが2価の状態で銅酸リチウムの銅サイトに置換するようにドープするために、Mの価数が0の状態である金属Mの粉末を使用することを特徴とするものである。銅酸リチウムにドープするためには、金属、好ましくは遷移金属であって、Ti、V、Cr、Mn、FeまたはCoの粉末(これらの金属の原子価が0であるもの)を使用することが好ましい。
銅酸リチウムを構成する原料としては、例えば、銅酸化物の粉末と、リチウム化合物の組合せを挙げることが出来る。銅酸化物の具体例としては、例えば、酸化第一銅、酸化第二銅を挙げることができ、リチウム化合物の具体例としては、融点が500℃以上のリチウム化合物を挙げることができ、例えば、炭酸リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム、リン酸リチウム、硫酸リチウム、水酸化リチウム、これらの中では水酸化リチウムを使用することが好ましい。なお、目指した組成の銅酸リチウムを得るために、リチウム化合物を量論比より多めに入れることが望ましい。
また、本発明の製造方法によれば、銅酸化物の粉末、リチウム化合物に、金属Mの粉末(Mの価数は0)、例えば、Ti粉末、V粉末、Cr粉末,Mn粉末,Fe粉末、Co粉末を混合して、酸素雰囲気中で600℃以上の温度で少なくとも3時間の加熱を行うことにより、上記の空間群Immmに帰属する結晶構造を有し、化学式LiCu1−x(Mは金属であり、0.01≦x≦0.45)で表される銅酸リチウム含有正極材料を製造することが出来る。
本発明の製造方法は、上述のように酸素雰囲気中で行うことを特徴とする。また、本発明の製造方法は、600℃以上の温度で反応を行うことを特徴とするものであるが、700℃〜1000℃で行うことが好ましく、800℃〜900℃で行うことがより好ましい。
また、本発明の製造方法では、3時間以上反応を行わせることを特徴とするが、5時間〜24時間の間行わせることが好ましく、8時間〜15時間の間行わせることがより好ましい。
その他の条件は、従来から公知の方法を使用することにより、本発明の銅酸リチウム含有リチウム二次電池用正極材料を製造することが出来る。
(3)電池正極の製造
本発明により製造された銅酸リチウム含有正極材料は、正極の活物質として、従来の正極材料と同様に、ペレット状、または塗布シート状に形成し、既知の炭素などの負極材料と既知の有機電解液を組み合わせて、コイン型、円筒型、角型、シート状等の形態にして、リチウム二次電池を構成することができる。
より具体的には、本発明の銅酸リチウム含有正極材料を、正極活物質に用いて電池正極を形成するには、正極材料とバインダー(ポリテトラフルオロエチレン:PTFE等)との混合物をステンレス等の支持体上に圧着成形する。または、活物質粉末に導電性を付与するため導電剤(アセチレンブラック等)を混合し、これをさらにバインダーを所要に応じて加え、この混合物を金属容器に入れる、またはステンレス等の支持体上に圧着成形する、または有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にして金属基板上に塗布する等の手段によって形成される。
導電剤としては、例えば、導電性カーボンを挙げることができ、より具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラックなどのカーボンブラック類、活性炭類、グラファイト類などが挙げられる。導電剤は粉末状であることが好ましく、銅酸リチウムに対して不活性であり、銅酸リチウム粒子と電池ケース間の導電性を十分確保するために適した粒子径であれば特に限定されない。一般的には銅酸リチウム粒子表面全域でカーボン粒子と接触していることが導電性の観点からは好ましい。また、カーボン粒子のサイズは銅酸リチウムの粒子サイズより小さい値を有しているものが望ましい。
バインダーとしては、特に限定されるものではなく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など通常のリチウムイオン二次電池に用いられているバインダーを用いることができる。また、バインダーの形状は、粉末状であることが好ましい。
(4)本発明の銅酸リチウム含有正極材料を用いたリチウム二次電池
本発明の銅酸リチウム含有正極材料を、正極活物質に用いる電池では、リチウムを可逆的に挿入・脱離あるいは吸蔵・放出できる物質を含む負極を有し、リチウムイオンが前記正極および前記負極と電気化学反応をするための移動を行い得る物質を電解質物質として有することにより、リチウムイオンが正極と負極の間を行き来する電池となる。例えば、負極活物質としては、黒鉛、合金系リチウムである、スズ、シリコン、アルミニウム、また酸化物である、チタン酸リチウムリチウム(LiTi12)、含有窒化物(Li2.4Co0.4N、Li2.4Fe0.4N)など、従来公知の材料を用いることができる。
本発明の銅酸リチウム含有正極活物質に用いる電池では、電解質として、例えばメトキシエタン、ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート、メチルホルメート、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、エチルメチルカーボネート等の有機溶媒に、リチウム塩を溶解した非水電解質溶媒、または固体電解質、高分子電解質、前記有機溶媒を担持させた高分子電解質等が使用できる。
非水電解溶媒(液)も、通常のリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液が利用可能であり、特に限定されるものではない。また、セパレータとしても通常のリチウムイオン二次電池に用いられているポリプロピレンまたはポリエチレンの多孔質フィルムを用いることができる。
さらに電池ケース等の構造材料等の他の要素についても従来公知の各種材料が使用でき、特に制限はない。
また、電池の放電・充電を繰り返し行うことで、これを二次電池として用いることもできる。
(5)リチウム二次電池用正極材料の性能評価
次に、本発明のリチウム二次電池用正極材料の性能評価に用いたテストセルの構成について、以下、図1に示した電池断面図に基づいて説明する。
図1−1は負極ケース、図1−2は金属リチウムからなる負極本体、図1−3はガスケット、図1−4は正極材料ペレットからなる正極本体、図1−5は正極ケース、図1−6はセパレータ、および図1−7は非水電解液をそれぞれ示すものである。
負極ケース(図1−1)の内側にニッケルメッシュを溶接し、その上に金属リチウムシートを円形に打ち抜いた負極本体(図1−2)を圧着する。次に負極ケース(図1−1)の外周部にガスケット(図1−3)をセットする。
作用極本体(図1−4)を構成する正極材料ペレットは、本発明の銅酸リチウム含有正極材料と導電剤(アセチレンブラック)とバインダー(ポリテトラフルオロエチレン:PTFE)を、(正極材料:アセチレンブラック:PTFE=70:25:5の組成重量比で)加え、らいかい機により混合した後に、ロールプレスによりシート化したものを所定の大きさ(15mmの円型状)に打ち抜くことにより作製した。作製したペレットは真空で乾燥させた後に予めチタンメッシュを溶接した作用極ケース(図1−5)上にのせ、さらにチタンメッシュで覆い、チタンメッシュと作用極ケース(図1−5)を溶接した後にメッシュごと圧着することによりペレットを固定した。上記の正極材料ペレットを固定した作用極ケースに非水電解液(図1−7)とセパレータ(図1−6)を入れ、その上から負極本体とガスケットをセットした負極ケース(図1−1)をかぶせ、最後にケースをかしめることによりテストセルを作製した。
このように作製したテストセルを、電流密度1mA/cm、電圧範囲0.5−3.5Vの条件で充放電試験を行って、その結果を評価した。
なお、本発明により製造したリチウム二次電池用正極材料の性能評価に用いたテストセルを例として示したものであり、本発明をなんら限定するものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
以下に、本発明に係るリチウム二次電池用正極材料及び同正極材料を用いた電池についての実施例を、詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
(実施例1)
実施例1では、水酸化リチウムと酸化銅とFe粉末を、モル比でLi:Cu:Fe=2:0.9:0.1となるように秤量して混合して、酸素雰囲気中において800℃で、12時間加熱処理をすることにより、LiCu0.9Fe0.1を合成した。
得られた試料の結晶構造をX線回折装置(XRD)にて解析した結果を図2に示す。図2中に示した既知のImmm構造を有する銅酸リチウムのパターン(PDF01−079−1975)と一致することから、本試料は空間群Immmに帰属される結晶構造を有すると評価した。
次に、上記で作製した試料を正極として、金属リチウムを負極に用いたコインセル(2320サイズ)を作成し、上記(5)の性能評価で説明した評価方法により、電極特性の評価を行った。
具体的には、本発明の銅酸リチウム含有正極材料と導電剤(アセチレンブラック)とバインダー(ポリテトラフルオロエチレン:PTFE)を(正極材料:アセチレンブラック:PTFE=70:25:5の組成重量比で)加え、らいかい機で粉砕して混合した後、ロールプレスにより0.5mmの厚さになるまでシート状に圧延した。得られたシートを直径15mmの円型状に打ち抜き、一晩の真空乾燥を行うことにより、ペレットを作製した。
次に、テストセルの正極ケースの内側に直径15mmのチタンメッシュを溶接し、そのメッシュ上に上記のペレットを軽く圧着した。さらに正極材料ペレットの上を直径17mmのチタンメッシュで覆い、チタンメッシュを正極ケースに溶接した後に、さらに圧着することにより銅酸リチウムを含有するペレットを正極ケースに固定した。一方、負極ケースには内側にニッケルメッシュを溶接し、その上に直径17mmの金属リチウムシートを圧着し、負極ケースの外縁部にガスケットをセットした。
次に、正極材料ペレットを固定した正極ケースに、非水電解液(1mol/L LiPF/EC+DMC(EC:エチレンカーボネート、DMC:ジメチルカーボネート)を2mL程度注ぎ、ポリエチレン製セパレータを浸漬した後に、ガスケットをセットした負極ケースを正極ケースの上から覆い、全体をかしめることによりテストセルを作製した。
上記のようにして作製されたテストセルに、電流密度1mA/cm、電圧範囲0.5−3.5Vの条件で充放電試験を行った結果として、10回目の充放電曲線を図3に示す。金属ドープを行っていない銅酸リチウム(比較例1)の試料に比較し、放電容量が向上した。
表1は、初期放電容量および10サイクル目の放電容量を示すものである。実施例1の正極材料を使用したときには、初期放電容量が150mAh/gの場合には、145mAh/gという大きな放電容量を10サイクル目まで維持していた。
(実施例2-6)
実施例2では、原料として鉄粉の代わりにTi粉末を用いた他は、実施例1と同様の方法により、試料を合成して、得られた試料の結晶構造解析および電極特性評価を行った。
実施例3では、鉄粉の代わりにV粉末を用いて同様に行った。さらに、実施例4ではCr粉末を用いて、実施例5ではMn粉末を用いて、実施例6ではCo粉末を用い同様に行った。上記実施例2−6において得られた試料の結晶構造は、XRDによる解析の結果、すべて空間群Immmに帰属される結晶構造を有するものと評価できた。
表1は、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示すものである。電極特性評価の結果によると、実施例2の試料は、初期放電容量が139mAh/gであり、10サイクル目においても127mAh/gであった。実施例3の試料は、初期放電容量が152mAh/gであり、10サイクル目においても147mAh/gであった。実施例4の試料は初期放電容量が146mAh/gであり、10サイクル目においても129mAh/gであった。また、実施例5の試料は、初期放電容量が149mAh/gであり、10サイクル目においても131mAh/gであった。実施例6の試料は、初期放電容量が151mAh/gであり、10サイクル目においても140mAh/gと大きな放電容量を10サイクル目まで維持していた。
Figure 0005819786
(実施例7)
実施例7では、800℃の熱処理温度より、低い温度の600℃でLiCu0.9Fe0.粉末を合成して、X線結晶構造分析および電極特性評価を行った。XRDによる解析で、Immmの空間群に帰属したことを確認した。電極特性評価の結果は、表2に示すように、初期放電容量が119mAh/gであり、10サイクル目においても86mAh/gと大きな放電容量を10サイクル目まで維持した。
Figure 0005819786
(実施例8−10)
実施例8−10では、熱処理時間の影響を検討した。実施例8では3時間、実施例9では5時間、実施例10は24時間の間、熱処理してLiCu0.9Fe0.1粉末を合成し、得られた試料をXRDによる解析により、Immmの空間群に帰属することを確認した。
表3は、熱処理時間が異なる条件で作製された試料について、初期放電容量と10サイクル目の放電容量の結果を示すものである。実施例8の試料は、初期放電容量が125mAh/gであり、10サイクル目においても111mAh/gであった。実施例9の試料は、初期放電容量が123mAh/gであり、10サイクル目においても90mAh/gであった。実施例10の試料は、初期放電容量が121mAh/gであり、10サイクル目においても88mAh/gと大きな放電容量を10サイクル目まで維持した。
Figure 0005819786
(実施例11−13)
実施例11−13では、ドープ濃度の影響を検討した。即ち、実施例11では、鉄ドープ量を、x=0.01とした以外は実施例1と同様の条件で、鉄をドープした銅酸リチウムLiCu1−xFe(x=ドープ濃度)粉末を同様な熱処理条件により合成した。また、実施例12では、鉄のドープ量をx=0.25、実施例13では鉄のドープ量をx=0.35とした以外は実施例1と同様の条件で合成を行った。得られた試料のそれぞれの結晶構造はXRDにより解析し、すべてImmmの空間群に帰属することを確認した。
表4は、異なるドープ濃度のFeで作製された試料について、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示すものである。電極特性評価の結果、実施例11の試料は、初期放電容量が143mAh/gであり、10サイクル目においても137mAh/gであった。実施例12の試料は、初期放電容量が168mAh/gであり、10サイクル目においても159mAh/gであった。実施例13の試料は、初期放電容量が172mAh/gであり、10サイクル目においても168mAh/gと大きな放電容量を10サイクル目まで維持した。
Figure 0005819786
実施例14−28では、鉄の代わりに、鉄以外の遷移金属をドーパントとして使用して、それぞれのドーパントについて、その濃度の影響を検討した。
即ち、実施例14−16では、鉄の代わりにTiを使用して銅酸リチウムにドープしてその影響を検討した。また、各ドーパントについて、それぞれドープ濃度の影響を検討した。同様に、実施例17−19ではVを使用し、実施例20−22ではCrを使用し、実施例23−25ではMnを使用し、実施例26−28ではCoを使用して、同様に、銅酸リチウムにドープさせた場合の影響の検討を行った。それぞれのドーパントについて、ドーパント濃度の影響を検討した。
(実施例14−16)Tiをドープした銅酸リチウム/LiCu1−xTi(x=ドープ濃度)粉末
実施例14では、Tiを使用した場合において、ドープ量がx=0.1、実施例15ではx=0.25、実施例16ではx=0.35となるように、Tiをドープした銅酸リチウムを作製した。得られた試料のそれぞれの結晶構造はXRDにて解析し、すべてImmmの空間群に帰属することを確認した。
表5は、Tiを異なる濃度でドープした場合について、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示すものである。電極特性評価の結果によると、実施例14の試料は、初期放電容量が139mAh/gであり、10サイクル目においても135mAh/gであった。実施例15の試料は、初期放電容量が146mAh/g,10サイクル目においても139mAh/gであった。実施例16の試料は、初期放電容量141mAh/g,10サイクル目においても135mAh/gと大きな放電容量を10サイクル目まで維持した。
Figure 0005819786
(実施例17−19)Vをドープした銅酸リチウム/LiCu1−x(x=ドープ濃度)粉末
実施例17では、Vを使用した場合において、ドープ量がx=0.1、実施例18ではx=0.25、実施例19ではx=0.35となるように、Vをドープした銅酸リチウムを合成した。得られた試料のそれぞれの結晶構造はXRDにより解析し、すべてImmmの空間群に帰属することを確認した。
表6は、Vを異なる濃度でドープした場合について、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示す。電極特性評価の結果によると、実施例17の試料は、初期放電容量が152mAh/gであり、10サイクル目においても147mAh/gであった。実施例18の試料は、初期放電容量が153mAh/gであり、10サイクル目においても150mAh/gであった。実施例19の試料は、初期放電容量が156mAh/gであり、10サイクル目においても151mAh/gと大きな放電容量を10サイクル目まで維持した。
Figure 0005819786
(実施例20−22)Crをドープした銅酸リチウム/LiCu1−xCr(x=ドープ濃度)粉末
実施例20では、Crを使用した場合において、ドープ量がx=0.1、実施例21ではx=0.25、実施例22ではx=0.35となるように、Crをドープした銅酸リチウムを合成した。得られた試料のそれぞれの結晶構造はXRDにより解析し、すべてImmmの空間群に帰属することを確認した。
表7は、Crを異なる濃度でドープした場合について、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示すものである。電極特性評価の結果によると、実施例20の試料は、初期放電容量が144mAh/gであり、10サイクル目においても128mAh/gであった。実施例21の試料は、初期放電容量が151mAh/gであり、10サイクル目においても136mAh/gであった。実施例22の試料は、初期放電容量が152mAh/gであり、10サイクル目においても141mAh/gと大きな放電容量を10サイクル目まで維持した。
Figure 0005819786
(実施例23−25)Mnをドープした銅酸リチウム/LiCu1−xMn(x=ドープ濃度)粉末
実施例23では、Mnを使用した場合において、ドープ量がx=0.1、実施例24ではx=0.25、実施例25ではx=0.35となるように、Mnをドープした銅酸リチウムを合成した。得られた試料のそれぞれの結晶構造はXRDにより解析し、すべてImmmの空間群に帰属することを確認した。
表8は、Mnを異なる濃度でドープした場合について、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示すものである。電極特性評価の結果によると、実施例23の試料は、初期放電容量が136mAh/gであり、10サイクル目においても121mAh/gであった。実施例24の試料は、初期放電容量が146mAh/gであり、10サイクル目においても140mAh/gであった。実施例25の試料は、初期放電容量が151mAh/gであり、10サイクル目においても141mAh/gと大きな放電容量を10サイクル目まで維持した。
Figure 0005819786
(実施例26−28)Coをドープした銅酸リチウム/LiCu1−xCo(x=ドープ濃度)粉末
実施例26では、Coを使用した場合において、ドープ量がx=0.1、実施例27ではx=0.25、実施例28ではx=0.35となるように、Coをドープした銅酸リチウムを合成した。得られた試料のそれぞれの結晶構造はXRDによる解析し、すべてImmmの空間群に帰属することを確認した。
表9は、Coを異なる濃度でドープした場合について、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示すものである。電極特性評価の結果によると、実施例26の試料は、初期放電容量が139mAh/gであり、10サイクル目においても127mAh/gであった。実施例27の試料は、初期放電容量が144mAh/gであり、10サイクル目においても137mAh/gであった。実施例28の試料は、初期放電容量が170mAh/gであり、10サイクル目においても134mAh/gと大きな放電容量を10サイクル目まで維持した。
Figure 0005819786
(比較例1)
比較例1では、水酸化リチウムと酸化銅を、モル比でLi:Cu=2:1となるように秤量して混合し、酸素雰囲気中において、800℃で12時間加熱処理をすることにより、LiCuOを合成した。
得られた試料の結晶構造をXRDにて解析した結果、本試料は空間群Immmに帰属される結晶構造を有することを確認した。
次に、上記で作成した試料を正極として、金属リチウムを負極に用いたコインセル(2320サイズ)を作製し、電極特性の評価を行った。電流密度1mA/cm、電圧範囲0.5−3.5Vの条件で充放電試験を行った銅酸リチウム(実施例1)の試料に比較して、放電容量は小さい。比較例1の試料材料は、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示すものである。初期放電容量125mAh/g、10サイクル目においては110mAh/gであった(表11)。
(比較例2−7)
比較例2−7では、実施例1に使われた原料として、金属の粉末の代わりに酸化物粉末状態の金属原料を利用した。比較例3ではTiOを、比較例4ではVOを、比較例5ではCrOを、比較例6ではMnOを、比較例7ではCoOを用いたほかは、実施例1と同様にして試料を合成し、得られた試料の結晶構造を解析し、そして電極特性評価を行った。
得られた試料の結晶構造は、XRD解析の結果、空間群Immmに帰属される結晶構造が主層として存在するが、不純物を有する混合相であった。
表10は、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示すものである。電極特性評価の結果によると、比較例2の試料材料は、初期放電容量が90mAh/gであり、10サイクル目においては63mAh/gであった。比較例3の試料材料は、初期放電容量が83mAh/gであり、10サイクル目においては78mAh/gであった。比較例4の試料材料は、初期放電容量が81mAh/gであり、10サイクル目においては73mAh/gであった。比較例5の試料材料は、初期放電容量が88mAh/gであり、10サイクル目においては70mAh/gであった。比較例6の試料材料は、初期放電容量が75mAh/gであり、10サイクル目においては55mAh/gであった。比較例7の試料材料は、初期放電容量が108mAh/gであり、10サイクル目においては88mAh/gであった。
Figure 0005819786
(比較例8−11)
比較例8−11では、合成雰囲気の影響を調べた。即ち、実施例1と同様に、ドープ量がx=0.1となるように、鉄ドープ銅酸リチウムを合成したが、比較例8では、酸素雰囲気の代わりに窒素雰囲気中で、800℃、12時間で合成を行った。比較例9ではArガス中で、比較例10では空気中で、比較例11では5%H−Nガス中で、それぞれ合成を行った。
5%H−Nガス中で処理した試料は、合金が発生してしまうため、XRDによるデータ取得及び電気化学特性評価を行わなかった。それ以外の試料はXRDによる解析の結果を図4にまとめた。全て空間群Immmに帰属される結晶構造が主層として存在するが、不純物を有する混合相であった。比較のために、実施例1の酸素雰囲気で合成した試料を同様に示した。酸素雰囲気で合成した試料が高い結晶性を用いることが分かった。
表11は、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を示すものである。電極特性評価の結果によると、比較例8の試料材料は、初期放電容量が120mAh/gであり、10サイクル目においては97mAh/gであった。比較例9の試料材料は、初期放電容量が100mAh/gであり、10サイクル目においては32mAh/gであった。比較例10の試料材料は、初期放電容量が105mAh/gであり、10サイクル目においては40mAh/gであった。いずれの比較例の場合も酸素雰囲気中の熱処理に比較すると低い値であった。
Figure 0005819786
(比較例12)
比較例12では、鉄粉を原料として使用して、ドープ量がx=0.1となるように鉄ドープ銅酸リチウムの合成を行った。熱処理は、12時間の酸素雰囲気中で、実施例1より低い温度の400℃で行った。
XRDによる評価結果では、少量の酸化銅原料のピークが確認した。低い温度での熱処理したため、融点の高い酸化銅の一部が未反応し、不純物として存在していた。
合成した試料の電気化学特性を同様に評価し、その結果は、表2の熱処理温度効果として示した。初期放電容量は、62mAh/gであり、10サイクル目の放電容量は37mAh/gという低い値の容量であった。また、容量減少が15サイクル目より急激に起こった。
(比較例13)
比較例13では、鉄粉を原料として使用して、ドープ量がx=0.1となるように鉄ドープ銅酸リチウムの合成を行った。合成については、800℃で酸素雰囲気の中で、実施例1より短時間の1時間で熱処理した。
XRDによる評価結果では、少量の酸化銅原料のピークが確認した。低い温度での熱処理したため、融点の高い酸化銅の一部が未反応し、不純物として存在していた。合成した試料の電気化学特性は同様に評価した。結果は、表3の熱処理の時間効果のまとめとして示した通り、初期放電容量は61mAh/gであり、10サイクル目の放電容量は38mAh/gという低い値の容量であった。また、14サイクル目以降に急激な容量の減少が起こった。
(比較例14−19)
比較例14−19では、実施例1と同様の条件において、ドープ量をx=0.005に減少させて、銅酸リチウムの合成を行った。比較例14では、金属ドーパントとしてFeを、比較例15ではTiを、比較例16ではVを、比較例17ではCrを、比較例18ではMnを、比較例19ではCoを、それぞれ使用してドープした銅酸リチウムを合成した。XRDによる評価結果では、全ての試料が空間群Immmに帰属される結晶構造が主層として存在することが確認された。合成した試料の電気化学特性は同様に評価し、その結果として、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を電気化学特性として示す(表4−9)。電極特性評価の結果によると、比較例14の試料材料は、初期放電容量が133mAh/gであり、10サイクル目においては123mAh/gであった(表4)。比較例15の試料材料は、初期放電容量が126mAh/gであり、10サイクル目においては118mAh/gであった(表5)。比較例16の試料材料は、初期放電容量が128mAh/gであり、10サイクル目においては113mAh/gであった(表6)。比較例17の試料材料は、初期放電容量が129mAh/gであり、10サイクル目においては119mAh/gであった(表7)。比較例18の試料材料は、初期放電容量が127mAh/gであり、10サイクル目においては114mAh/gであった(表8)。比較例19の試料材料は、初期放電容量が131mAh/gであり、10サイクル目においては119mAh/gであった(表9)。
(比較例20−25)
比較例20−25では、実施例1と同様の条件において、ドープ量をx=0.5に増加させて、金属ドープした銅酸リチウムの合成を行った。比較20では金属ドーパントとしてFeを,比較例21ではTiを、比較例22ではVを、比較例23ではCrを、比較例24ではMnを、比較例25ではCoをドープした銅酸リチウムを合成した。
XRDによる評価結果では、全ての試料が空間群Immmに帰属される結晶構造が主層として存在することが確認された。合成した試料の電気化学特性は同様に評価し、その結果として、初期放電容量と10サイクル目の放電容量を電気化学特性として示す(表4−9)。電極特性評価の結果によると、比較例20の試料材料は、初期放電容量が99mAh/gであり、10サイクル目においては86mAh/gであった(表4)。比較例21の試料材料は、初期放電容量が110mAh/gであり、10サイクル目においては89mAh/gであった(表5)。比較例22の試料材料は、初期放電容量が89mAh/gであり、10サイクル目においては79mAh/gであった(表6)。比較例23の試料材料は、初期放電容量が91mAh/gであり、10サイクル目においては77mAh/gであった(表7)。比較例24の試料材料は、初期放電容量が88mAh/gであり、10サイクル目においては67mAh/gであった(表8)。比較例25の試料材料は、初期放電容量が101mAh/gであり、10サイクル目においては98mAh/gであった(表9)。
本発明は、安全性が高くサイクル安定性に優れたリチウム二次電池正極材料である銅酸リチウムの放電容量及び電極電位を改善し、リチウム二次電池の安全性やエネルギー密度、またはサイクル特性を改善するための安価な材料を提供するものであるから、産業上の利用可能性を有するものである。
1:負極ケース
2:金属リチウム
3:ガスケット
4:正極活物質ペレット
5:正極ケース
6:セパレータ
7:非水電解液

Claims (5)

  1. 空間群Immmに帰属する結晶構造から構成され、化学式Li 2 Cu1-xx2(Mは、Ti、V、Cr、Mn、FeまたはCoの何れから選択される金属であり、0.01≦x≦0.45)で表される銅酸リチウムであることを特徴とするリチウム二次電池用正極材料。
  2. 前記金属Mのドープ量xが0.05≦x≦0.45であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用正極材料。
  3. 前記金属Mのドープ量xが0.1≦x≦0.40であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用正極材料
  4. 空間群Immmに帰属する結晶構造から構成され、化学式Li 2 Cu 1-x x 2 (Mは金属であり、0.01≦x≦0.45)で表される銅酸リチウムであることを特徴とするリチウム二次電池用正極材料の製造方法であって、
    銅酸化物の粉末、Ti、V、Cr、Mn、FeまたはCoの何れかである金属Mの粉末(Mの価数は0)、およびリチウム化合物を混合し、
    酸素雰囲気中で600℃以上の温度で、8時間〜15時間の加熱を行うことを特徴とするリチウム二次電池用正極材料の製造方法。
  5. 請求項1〜3の何れか1項に記載のリチウム二次電池用正極材料を正極活物質として含有する正極と、リチウムの挿入脱離が可能な負極材料を含有する負極と、正極と負極の間に配置されたリチウムイオン伝導性電解質とを有することを特徴とするリチウム二次電池。
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