JPH10116614A - リチウム二次電池用正極材料 - Google Patents

リチウム二次電池用正極材料

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JPH10116614A
JPH10116614A JP8287550A JP28755096A JPH10116614A JP H10116614 A JPH10116614 A JP H10116614A JP 8287550 A JP8287550 A JP 8287550A JP 28755096 A JP28755096 A JP 28755096A JP H10116614 A JPH10116614 A JP H10116614A
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lithium
charge
site
discharge
secondary battery
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JP8287550A
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Jun Sugiyama
純 杉山
Itsuki Sasaki
厳 佐々木
Tatsuya Hatanaka
達也 畑中
Tatsuo Noritake
達夫 則竹
Tatsumi Hioki
辰視 日置
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Toyota Central R&D Labs Inc
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期充放電容量を確保し、かつ充放電の繰り
返しによっても充放電容量の低下が少ない充放電サイク
ル特性に優れたリチウム二次電池用正極材料を提供する
こと。 【解決手段】 スピネル型結晶構造をなすリチウムとマ
ンガンとの複合酸化物のリチウムサイトに1価の原子価
を有する陽イオン金属(リチウム及びマンガンを除く)
を含み、組成式Li1-XxMn24(ここでMはLiま
たはMn以外の陽イオンで、0<x≦0.2)で表され
る。酸素欠損を設けると結晶構造はさらに安定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム二次電池
用正極材料に関し、さらに詳しくは、スピネル型結晶構
造を持つリチウムとマンガンとの複合酸化物であるリチ
ウム二次電池用正極材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池は、安全でエネルギー
密度が高く、小型・軽量化が図れるということで、パソ
コンや携帯電話などの通信事務用機器、あるいは将来的
には電気自動車の電源などとしての用途が期待される。
【0003】ところでこのリチウム二次電池は、一般に
は正極にリチウム(Li)とコバルト(Co)、ニッケ
ル(Ni)、マンガン(Mn)などの遷移金属との複合
酸化物を用い、負極に金属リチウム、あるいはリチウム
原子を炭素に含有させたものを用いている。そして非水
系の有機電解液中でのリチウムイオンの正極への移動に
より放電が、また負極への移動により充電が行われ、こ
のような充放電を繰り返すことにより二次電池としての
特徴を発揮する。
【0004】このようなリチウム二次電池の電池特性に
おいて、電池としての高容量化を図るため正極材料は高
い充放電容量をもつことが要求される。そのためこの正
極材料として、従来一貫してコバルト酸リチウム(Li
CoO2 )が用いられてきた。そして昨今では、コスト
・資源の問題からこれに代わる材料として、ニッケル酸
リチウム(LiNiO2 )やマンガン酸リチウム(Li
Mn24)などの材料開発も行われてきた。
【0005】そうした中でスピネル型結晶構造を持つリ
チウムとマンガンとの複合酸化物であるマンガン酸リチ
ウム(LiMn24)が、コバルト酸リチウム(LiC
oO2 )とはそれ程遜色のない約4Vの放電ができると
いうことで正極活物質材料として注目を浴びている。
【0006】しかしこのリチウム・マンガン複合酸化物
による正極活物質は、初期放電容量はほぼ十分であるも
のの、充放電の繰り返しにより放電容量の低下が大き
く、充放電サイクル特性が劣るという問題がある。これ
は、充放電の繰り返しに伴う結晶構造中のリチウムイオ
ンのインターカレーション、デインターカレーション挙
動によって結晶格子が伸縮し、結晶の体積変化によって
格子破壊が生じるためである。
【0007】この充放電の繰り返しによる放電容量の低
下を抑制し、充放電サイクル特性を向上させるものとし
て、例えば、 スピネル型結晶構造を持つマンガン酸リチウム(Li
Mn24)のMnサイトを他の金属イオンで置換する、
あるいは マンガン酸リチウム(LiMnO4 )のLiサイトを
2価以上の金属イオンで置換する(特開平6−2157
72号公報参照)、等が挙げられる。
【0008】前者の例としては、例えば、MnをLiで
部分置換した、組成式(Li)8a[LiXMn2-X16c
4 で表されるものがその代表的なものとして挙げられ
る。これは結晶格子中の8個の四面体サイト(8aサイ
ト)にLiイオンが位置し、16個の八面体サイト(1
6cサイト)にMn2+イオンと部分的に置換されたLi
イオンとが位置する結晶構造をなしている。
【0009】一方後者の例としては、上述の特開平6−
215772号公報に示されるように、組成式Li1-X
XMn24(Mは2価の原子価を有するアルカリ土類
金属、例えば、マグネシウム)で表されるものが挙げら
れる。この組成式からもわかるように、2価の金属イオ
ンM2+はLiサイトに置換されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
例では、組成式LiMn24通りの結晶構造の場合、M
nイオンの平均価数は3.5であるが、通常置換元素の
価数は整数なので、Mnサイトが他の金属イオンで置換
されることによりMnイオンの平均価数は変化する。こ
のため耐久性は向上しても、電池の充放電容量、特に初
期充放電容量は低下してしまうという問題があった。
【0011】一方、後者の特開平6−215772号公
報の例では、組成式Li1-XXMn24で示されるよう
に、Liサイトを金属元素Mで置換するものの、その置
換金属Mは2価以上の金属元素を用いるので、置換量x
の増加に伴なってMnの価数が減少する。このため立方
晶スピネル構造が不安定になり、Li負極に対して約4
Vの充放電領域の容量は低下してしまうという問題があ
る。
【0012】本発明の解決しようとする課題は、初期充
放電容量を確保し、かつ充放電の繰り返しによっても充
放電容量の低下が少ない充放電サイクル特性に優れたリ
チウム二次電池用正極材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明のリチウム二次電池用正極材料は、スピネル型
結晶構造をなすリチウムとマンガンとの複合酸化物のリ
チウムサイトに1価の原子価を有する陽イオン金属(リ
チウム及びマンガンを除く)を含むことを要旨とするも
のである。
【0014】この場合Liサイトに含まれる1価の陽イ
オン金属としては、Liイオンとイオン半径があまり違
わないCu+、Ag+などが好ましいものとして挙げられ
る。例えば、Liサイトの置換元素MをCu+またはA
+とすると、結晶格子をほとんど歪ませることがな
く、これによりスピネル型結晶構造が安定する。そして
これにより充放電のサイクルを繰り返しても結晶格子の
伸縮が抑制され、格子破壊が回避されることにより充放
電サイクル特性が改善されるものである。またLiサイ
トの置換元素を1価の陽イオン金属とすることによりM
nイオンの平均価数は変化せず、したがって初期充放電
容量も低下しないことになる。
【0015】このように本発明の正極材料は、LiMn
24のMnサイトではなく、Liサイトを他の陽イオン
で置換するものであるから、結晶構造面での組成式は、
(Li1-XX8a[ Mn216c4で表される(Mは、
Li,Mn以外の1価の陽イオン金属)。そして繰り返
すが、今充電に伴いLi面からLiがデインターカレー
ト(脱離)するとすると、このLi面に1価の陽イオン
置換元素がいわば支柱のように位置することで、Liイ
オンの出入りに伴う結晶格子の伸縮が抑制される。した
がって結晶構造中のリチウムイオンのインターカレーシ
ョン・デインターカレーション挙動に伴う格子破壊が回
避され、これが耐久性の向上に大きく寄与するものであ
る。
【0016】またその場合に結晶構造中の全てのLiイ
オンを脱離させることはできず、十分に充電がなされた
状態での組成式は大略Li0.1Mn24 と書き表され
る。したがってLiサイトを10%程度他の元素で置換
しても、理論的には充放電容量はほとんど低下しない。
加えて、LiMn24の電子伝導はMnO2 面が担って
いるので、仮にMnサイトを置換すると電子伝導度の低
下をもたらし、その電子伝導度の低下が電極性能の低下
につながり好ましくないが、Liサイトの置換では、M
n−O−Mn間の相互作用のみを変化させ、伝導面に不
純物準位を形成しないので、電子伝導度はむしろ向上す
る。
【0017】これにより、耐久性の向上とともに充放電
電流密度を上昇させうる。したがって本発明にかかる正
極材料は、従来品とほぼ同様に高容量であり、さらに耐
久性はLiMn24正極の場合より大幅に向上すること
になる。
【0018】尚、Liサイトの陽イオン金属による置換
量が20%を越えると、Li量が少なくなり過ぎて充放
電容量が大幅に低下してしまう。置換量xは、0<x≦
0.2の範囲にあるのが望ましい。より望ましくは0.
01<x<0.10の範囲である。置換量xが少な過ぎ
ると充放電サイクル特性の改善があまり図れないことに
なる。
【0019】またさらに結晶構造の酸素の一部を欠損さ
せるとよい。それによりスピネル結晶構造の安定化が図
れ、充放電のサイクル特性が良好となる。酸素欠損を設
けることにより酸素を介したMnイオン間の長距離相互
作用が著しく弱められ、このために充放電を繰り返して
も結晶構造が変化しにくくなるからと推察される。組成
式Li1-XXMn24-yにおいて酸素欠損量yは、0≦
y≦0.2の範囲にあることが望ましい。酸素欠損yが
0.2を越える(0.2≦y)と結晶がスピネル構造を
保てずに分解してしまう。
【0020】さらに加えてLi1-XXMn24-yの結晶
構造は立方晶スピネル構造であることが望ましい。酸素
欠損量yを増加させると、y=0.07の近傍で結晶構
造が正方晶に変化する。正極材料中にこの正方晶相が出
現すると充放電電圧が低下してしまうので、酸素欠損を
導入しても立方晶スピネル構造を保っていることのでき
る範囲、すなわち酸素欠損量yは、0.07を越えない
範囲(y≦0.07)にあることがさらに望ましいと言
える。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により具体
的に説明する。初めにこの実施例では、スピネル型結晶
構造をなすマンガン酸リチウム(LiMn24)のLi
サイトの置換金属イオンとして1価の銅(Cu)イオン
を用いている。その組成式は、Li1-XCuXMn24
表される。Cuの置換量xとしては、0≦x≦0.2の
範囲で、0.05、0.02、0.10の3種類を合成
した。各試料を「本実施例試料1」、「本実施例試料
2」、「本実施例試料3」と称する。
【0022】ちなみにCu置換量xが0.05である本
実施例試料1、組成式Li0.95Cu0.05Mn24のもの
の合成について、その試作条件を述べると次の通りであ
る。すなわち、原料として炭酸リチウム(Li2
3)、二酸化マンガン(MnO2)および酸化銅(Cu
O)の粉末を用い、3.296gのLi2CO3と16.
330gのMnO2 と0.374gのCuOを、エタノ
ールを溶媒として、遊星ボールミルで混合する。
【0023】この混合粉末を乾燥後、ペレット状にプレ
ス成形して、700℃×8時間、静止大気中で仮焼す
る。このペレットを充分に粉砕してLi1-XCuXMn2
4-yを得た。組成分析によるとこの試料の組成式は、
実際にはLi0.95Cu0.05Mn23.99 であった。同様
に本実施例試料2、及び本実施例試料3についても組成
分析を行ったところ、それぞれLi0.98Cu0.02Mn2
3.99、Li0.90Cu0.10Mn23.99 の組成式が得ら
れることが確認された。いずれの試料も結晶構造中に一
部酸素の欠損が見られる。
【0024】一方、比較用の標準試料として、3.50
5gのLi2CO3と16.495gのMnO2とを加え
てよく混合し、同様の熱処理を行って組成式LiMn2
3.99で表される試料(標準試料S1)も合成した。図
1は、Li1-XCuXMn24のCu置換量xと格子定数
(a軸長)との関係を示している。横軸はLi1-XCuX
Mn24のCu置換量、縦軸は格子定数(a軸長)であ
る。
【0025】この図1では、通常スピネル型結晶構造の
LiMn24のMnサイトがCuにより置換されると格
子定数は破線(1)で示したように減少し、逆にLiサ
イトが置換されると点線(2)で示したように増加する
と予想されるが、実際には実線(3)のようにCu置換
量xが増すにつれて格子定数が大きくなる傾向を示すこ
とが確認された。これはCuがLiサイトに置換されて
いることを裏付けるものである。特にCu置換量xが0
<x<0.10の範囲ではその傾向が強い。
【0026】図2は、Li1-XCuXMn24のCu置換
量xと抵抗率(室温)との関係を示している。この室温
抵抗率の測定は直流4端子法で行った。横軸にやはりL
1- XCuXMn24のCu置換量xを採り、縦軸には室
温抵抗率を採っている。
【0027】この図2によれば、Li1-XCuXMn24
のCu置換量xが増すと抵抗率が低下する傾向にあるこ
とがわかる。これは逆に電子伝導度が上昇することを意
味する。仮にMnサイトがCuにより置換されると電子
伝導度の低下をもたらすことがわかっており、したがっ
て本実施例の場合にはMnサイトが置換されたのではな
く、Liサイトが置換されたことを裏付けるものであ
る。そしてこの電子伝導度が上昇することは、充放電電
流密度を上昇させ得ることとなり、従来品とほぼ同様の
高い充放電容量が得られるものである。
【0028】次に正極材料に上記した本実施例試料1〜
3と標準試料S1をそれぞれ用いたリチウム二次電池の
試験用セルを組み立てて、そのリチウム二次電池の特性
を評価した。
【0029】まずリチウム二次電池の構成につき説明す
る。このリチウム二次電池の正極は、いずれも上記のよ
うにして得られた活物質90wt%と導電性結着剤10
wt%とを配合したものを用いた。導電性結着剤は導電
材料であるカーボン粉末を結着材料であるフッ素ゴム材
料中に等重量比で混ぜたものである。
【0030】また負極には厚さ0.4mmの金属Li箔
を1枚用いた。正極と負極との間に設けたセパレータに
はポリプロピレン不織布を用いた。さらに上記リチウム
二次電池における電解液は1規定のリンフッ素リチウム
(LiPF6 )溶液で、その溶媒はポリカーボネート
(PC)とジメトキシエタン(DME)の1:1混合液
とした。
【0031】このリチウム二次電池の、初期放電特性及
びサイクル特性の測定における充放電条件について説明
する。まずそれぞれのリチウム二次電池を、4.3Vま
で1mA/cm2の定電流で充電する。そして電圧が4.
3Vに到達後は、この電圧で定電圧充電を行なう。この
定電流及び定電圧の充電時間の合計は2時間とした。次
いでこの充電完了直後に放電を開始する。放電条件は1
mA/cm2の定電流で放電を行い3.5Vに到達した時
点で放電を終了する。そしてその直後に再度充電を開始
するもので、充放電を1サイクルとして、これを繰り返
すものである。
【0032】図3に、本実施例試料1と標準試料S1を
正極としたリチウム二次電池の初期放電特性を示す。横
軸に放電容量(mAh/g)、縦軸に放電電圧(V)を
採っている。この図3のデータより標準試料S1と比較
しても本実施例試料1を用いたリチウム二次電池は、放
電容量がほとんど変わらないことが理解できる。
【0033】図4は、本実施例の各試料1〜3と標準試
料S1をそれぞれ正極としたリチウム二次電池のサイク
ル特性を示す。縦軸は図2に示した標準試料S1の初期
放電容量を基準とした相対値である。また横軸は繰り返
した回数すなわちサイクル数である。
【0034】この図4よりわかるように、標準試料S1
は、サイクルを繰り返すと容量が急激に減少するのに対
して、本実施例試料1を用いたリチウム二次電池では、
初期容量はほぼ同等で、充放電の繰り返しによる放電容
量の低下は極めて少ないことがわかる。また本実施例試
料3も充放電サイクル特性に優れていることが示されて
いる。ただこの本実施例試料3の場合は初期放電特性が
若干劣る傾向にあることがわかる。
【0035】一方本実施例試料2については、標準試料
S1と同じように充放電の繰返しにより容量が低下する
傾向にあるが、その低下の度合いは標準試料S1よりも
小さく若干良いとの結果となっている。ちなみに特開平
6−215772号公報の比較試料1及び2は、本実施
例試料1〜3と較べて初期放電特性も充放電サイクル特
性も劣ることがわかる。
【0036】以上の結果をまとめると、本実施例試料
1:組成式Li0.95Cu0.05Mn23 .99のものが初期
放電特性に優れているのみならず、充放電サイクル特性
においても最も優れていると言える。そしてこの本実施
例試料1よりもCu置換量xの少ない(Cu置換量x:
0.02)本実施例試料2:組成式Li0.98Cu0.02
23.99 の場合は、初期放電特性は優れているもの
の、充放電サイクル特性がやや劣る。しかしそれでも標
準試料S1よりは充放電サイクル特性に優れるとの傾向
を示し、LiサイトのCu置換による充放電サイクル特
性の改善に寄与していると言える。
【0037】一方、LiサイトのCu置換量xの多い
(Cu置換量x:0.10)本実施例試料3:組成式L
0.90Cu0.10Mn23.99 の場合は、初期放電特性が
本実施例試料1、2及び標準試料S1よりも劣る。しか
し充放電サイクル特性は最も優れており、Liサイトの
Cu置換量を増す程充放電サイクル特性が改善されるこ
とを示している。
【0038】そして以上の結果から、LiMn24のL
iサイトを1価の金属イオンにより部分的に置換するこ
とにより充放電サイクル特性が改善されること確認され
たが、その場合に1価の金属イオンの置換量xが多過ぎ
ると初期充放電容量が低下してしまうし、少な過ぎると
充放電サイクル特性の改善にそれ程寄与しないことにな
る。したがってLiサイトの1価の金属イオンによる置
換量xとしては、0<x≦0.2の範囲、望ましくは、
0.01<x<0.10の範囲にあることがよいと言え
る。
【0039】この図では、特開平6−215772号公
報に示される組成式Li1-XMgXMn24(x=0.
1,0.3)の放電容量のサイクル数依存性も「比較試
料1」及び「比較試料2」として併せて示した。比較試
料1の組成式はLi0.9Mg0.1Mn24、比較試料2の
組成式はLi0.7Mg0.3Mn24で表される。
【0040】尚、本実施例ではLi1-XXMn24の置
換元素MとしてCu+ イオンを用いたが、それ以外にも
Ag+ イオンなどLi以外の1価の陽イオンを用いても
同様の結果が得られる。1価の陽イオンでLiを置換し
ても、Mnイオンの平均価数は変化しないので、充放電
容量は低下しないし、Li1-XXMn24の置換元素M
をCu+またはAg+とすると、これらの陽イオンはLi
イオンとイオン半径がほとんど変わらないので結晶格子
をあまり歪ませることなくLiサイトを置換でき、した
がって結晶構造の安定性化が図られるものである。
【0041】図5は、Liサイトに1価の銅イオンを置
換導入したマンガン酸リチウムの結晶格子中の酸素欠損
量yと充放電サイクル1回当りの容量維持率αとの関係
を示している。銅イオンの置換導入量xは、x=0.0
5とし、その組成式はLi0. 95Cu0.05Mn24-yで表
される。横軸に酸素欠損量yの値を採り、縦軸に容量維
持率α(%)の値を採っている。ここで容量維持率α
(%)とは、充放電を繰り返した時の1サイクル毎の放
電容量が1つ前のサイクルに較べてどの程度維持されて
いるかの割合をパーセントで示したものをいい、次の表
1の式で表される。
【0042】
【表1】
【0043】図5より、酸素欠損量yの値が、0<y<
0.05の範囲までは酸素欠損量yが増加しても容量維
持率α(%)は99%以上の高い値が保たれている。そ
して酸素欠損量yの値がy=0.07の当たりから容量
維持率αの値は低下する傾向を示し、酸素欠損量yの値
がy=0.08を越えた当たりでは容量維持率の値が9
0%程度にまで大幅に低下してしまった。
【0044】このことから本発明ではスピネル型結晶構
造の安定化を図る上で結晶格子の酸素の一部を欠損させ
ることが有効ではあるが、その酸素欠損量yは0<y≦
0.07の範囲にとどめることが望ましく、より好まし
くは、0<y<0.05の範囲である。酸素欠損量yを
増加させると、y=0.07の当たりで結晶構造が立方
晶に変化し、これが充放電電圧の低下に影響を及ぼした
ものと考えられる。本発明では結晶格子中に適度の酸素
欠損を設けることにより立方晶スピネル型の結晶構造を
保つことができて充放電電圧の低下を回避できるし、充
放電サイクルの一層の向上が図れることになる。
【0045】本発明は上記した実施の形態に何ら限定さ
れるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種
々の改変が可能である。例えば上記実施例では、いわゆ
る固相法により組成式Li1-XCuXMn24を試作して
いるが、これに把われず、その他LiMn24を酸処理
してLiイオンを所定量放出させた後、1価の置換イオ
ンの水溶液に浸漬してLiサイトにその1価の陽イオン
をドープさせる方法、あるいは、特開平7−14206
5号公報に示される技術の応用として、リチウムとマン
ガンとの非晶質クエン酸錯体をいわゆる液相法により生
成し、これを焼成する過程でLiサイトに1価の陽イオ
ンを置換する等によって得られる正極材料についても同
様の効果が得られるものである。
【0046】また上記実施例では、試作品を作製するの
に「静止大気中」で仮焼し、これにより2価のCu2+
1価Cu+ に還元させて、Liサイトに置換させている
が、勿論還元性雰囲気あるいは不活性雰囲気を用いても
よいことは言うまでもない。尚、本発明ではリチウム・
マンガン複合酸化物の正極材料について説明したが、こ
のリチウム二次電池の開発経緯からしてコバルト酸リチ
ウム(LiCoO2 )やニッケル酸リチウム(LiNi
2 )等にも適用し得るものである。
【0047】
【発明の効果】本発明のリチウム二次電池用正極材料
は、スピネル型結晶構造を持つリチウム・マンガン複合
酸化物のリチウムサイトが1価の陽イオン金属元素で置
換されたものであるから、マンガンイオンの価数は変化
しないことより高い初期充放電容量が確保される上に、
スピネル型結晶構造も安定状態が維持されて充放電サイ
クル特性も格段に向上するものである。したがってこれ
を今後の普及が期待されるパソコンや携帯電話などの通
信事務用機器用のリチウム二次電池の正極材料として、
あるいは近い将来の需要が期待される電気自動車用電源
としてのリチウム二次電池の正極材料に適用されれば、
安全でエネルギー密度が高く、かつ長寿命であることの
ニーズに十分応え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかるスピネル型結晶構造の
Li1-XCuXMn24の置換量xと格子定数(a軸長)
との関係を示した図である。破線(1)はCuがMnを
置換した場合に予想される変化;点線(2)はCuがL
iを置換した場合に予想される変化;実線(3)が実際
に得られたデータを示す。
【図2】本発明の実施例にかかるLi1-XCuXMn24
の置換量xと抵抗率の関係を示した図である。
【図3】本実施例試料1と比較試料C1をそれぞれ正極
材料として用いたリチウム二次電池の初期放電特性を比
較して示した図である。
【図4】本実施例試料1〜3と標準試料S1をそれぞれ
正極材料として用いたリチウム二次電池のサイクル特性
を示した図である。さらに比較のために、Li1-XMgX
Mn24(x=0.1,0.3)を正極材料として用い
たリチウム二次電池のサイクル特性も示している。
【図5】本発明品:組成式Li0.95Cu0.05Mn24-y
について結晶格子中の酸素欠損量yと充放電サイクル1
回当りの容量維持率α(%)との関係を示した図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑中 達也 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 則竹 達夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 日置 辰視 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピネル型結晶構造をなすリチウムとマ
    ンガンとの複合酸化物のリチウムサイトに1価の原子価
    を有する陽イオン金属(リチウム及びマンガンを除く)
    を含むことを特徴とするリチウム二次電池用正極材料。
JP8287550A 1996-10-09 1996-10-09 リチウム二次電池用正極材料 Pending JPH10116614A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6790560B2 (en) 1999-12-10 2004-09-14 Nissan Motor Co., Ltd. Positive electrode material for lithium secondary battery
JP2013045560A (ja) * 2011-08-23 2013-03-04 Toyota Motor Corp 焼結型電極、及び電池
CN106229476A (zh) * 2016-08-11 2016-12-14 湖南杉杉新能源有限公司 一种阴阳离子复合掺杂尖晶石锰酸锂及其制备方法

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