JPH08190887A - イオン注入装置 - Google Patents

イオン注入装置

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JPH08190887A
JPH08190887A JP1981395A JP1981395A JPH08190887A JP H08190887 A JPH08190887 A JP H08190887A JP 1981395 A JP1981395 A JP 1981395A JP 1981395 A JP1981395 A JP 1981395A JP H08190887 A JPH08190887 A JP H08190887A
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JP
Japan
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plasma
ion beam
reflector electrode
beam scanning
plasma generation
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Application number
JP1981395A
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English (en)
Inventor
Yasuaki Nishigami
靖明 西上
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハイブリッドスキャン方式のイオン注入装置
において、そのイオンビームの走査位置にかかわらず常
に、プラズマをイオンビームの近傍に供給して、当該プ
ラズマ中の電子によってイオンビーム照射に伴う基板の
帯電を効果的に抑制することができるようにする。 【構成】 リフレクタ電極24を非磁性体で構成した。
筒状または環状をしていてその中心部においてイオンビ
ーム走査方向Xに沿う磁束であって互いに逆向きの磁束
42、44をそれぞれ発生させる二つの磁気ガイド3
4、36を、リフレクタ電極24の外側であってイオン
ビーム走査領域3の両端部付近に、イオンビーム走査領
域の中心軸3cに対してほぼ左右対称に設けた。かつプ
ラズマシャワー装置30aを、イオンビーム走査領域の
中心軸3c上に位置させ、それからのプラズマ32を、
イオンビーム走査方向にほぼ直交する方向からリフレク
タ電極24内に供給するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、イオンビームを電気
的に走査すると共に、基板をイオンビームの走査方向と
実質的に直交する方向に機械的に走査して基板にイオン
注入を行う、いわゆるハイブリッドスキャン方式のイオ
ン注入装置に関し、より具体的には、その基板の帯電
(チャージアップ)を抑制する手段の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッドスキャン方式のイオン注入
装置は、例えば特開平4−22900号公報等に開示さ
れているが、その一例を図2に示す。
【0003】このイオン注入装置は、図示しないイオン
源から引き出され、かつ必要に応じて質量分析、加速等
が行われたスポット状のイオンビーム2を、走査電源1
6から互いに180度位相の異なる走査電圧が印加され
る二組の走査電極4および6の協働によってX方向(例
えば水平方向。以下同じ)に静電的に高速度で、例えば
数百Hz程度で平行走査(パラレルスキャン)し、これ
をホルダ10に保持された基板(例えばウェーハ)8に
照射してイオン注入を行うよう構成されている。
【0004】走査電源16は、この例では、互いに18
0度位相の異なる三角波状の走査電圧+Vおよび−Vを
出力するものであり、三角波状の走査信号Sを発生する
走査信号発生器18と、それからの走査信号Sを昇圧し
て互いに逆極性の走査電圧+Vおよび−Vをそれぞれ出
力する高圧増幅器20および22とを備えている。
【0005】一方、基板8を保持するホルダ10をアー
ム12に取り付け、このアーム12を可逆転式のモータ
(例えばダイレクトドライブモータ)14によって矢印
Rのように往復旋回させることによって、ホルダ10を
イオンビーム2の走査領域3において、前記X方向と実
質的に直交するY方向(例えば垂直方向。以下同じ)に
機械的に往復走査するようにしている。これと、イオン
ビーム2の前記走査との協働(ハイブリッドスキャン)
によって、基板8の全面に均一にイオン注入が行われる
ようにしている。
【0006】なお、ハイブリッドスキャン方式の場合、
イオンビーム2を磁場によって走査する場合もある。ま
た、イオンビーム2を必ずしもこの例のように平行走査
しない場合もある。また、ホルダ10を前記Y方向に往
復直線運動させる場合もある。
【0007】ところで、基板にイオン注入を行う場合、
イオンビームの照射に伴って基板の表面が、特に当該表
面が絶縁物の場合、正に帯電して放電等の不具合が発生
する問題がある。
【0008】このような基板の帯電を防止する手段とし
ては、従来、例えば特開平1−279560号公報等に
も開示されているように、二次電子を利用する方式のも
のが提案されている。
【0009】これは、簡単に言えば、基板の上流側に設
けられているファラデーカップの側部に設けたフィラメ
ントから放出させた一次電子を高エネルギー(例えば3
00eV程度)に加速してそれをファラデーカップの対
向壁に衝突させてそこから二次電子を放出させ、この二
次電子をイオンビーム照射領域における基板に供給して
その表面でのイオンビームによる正電荷を中和させるも
のである。
【0010】ところが、この方式の場合、基板に入射す
る電子には、低エネルギーの二次電子の他に、ファラデ
ーカップ表面で跳ね返った高エネルギーの一次電子も混
ざっており、これが基板に逆に負の帯電を惹き起こし、
それによって基板上で絶縁破壊を生じさせる恐れがある
という問題がある。
【0011】このような高エネルギー電子が基板に入射
する問題を解決する手段として、イオンビームの近傍に
プラズマを供給し、このプラズマ中の低エネルギーの電
子をイオンビーム中に当該イオンビームの電位によって
引き込ませてイオンビームと共に基板に供給し、それで
基板の帯電を防止するという、いわゆるプラズマシャワ
ー方式が提案されている。
【0012】その一例を図3(この図はイオンビーム2
の進行方向の後ろから見た図である)を参照して説明す
ると、図2に示したホルダ10のすぐ上流側11の部分
に、イオンビーム2の前記X方向の走査領域3の外側を
取り囲む筒状のリフレクタ電極24を設けている。イオ
ンビーム2は、この例では細長いスポット状をしてお
り、図のようにその走査領域3の一端3aから他端3b
まで往復走査される。
【0013】このリフレクタ電極24の上記一端3a側
の外側近傍に、プラズマ32を生成してそれをリフレク
タ電極24の内側へ供給するプラズマシャワー装置30
が設けられている。このプラズマ32中の電子は、特に
加速が行われていないので、高くても20eV程度以下
の低エネルギーである。
【0014】このプラズマシャワー装置30とリフレク
タ電極24との間には、リフレクタ電極24に負電圧を
印加する直流のリフレクタ電源26が接続されている。
このリフレクタ電源26の出力電圧は、リフレクタ電極
24内に導入されるプラズマ32中の電子を押し返すに
足りる電圧、例えば−20V〜−30V程度にしてい
る。
【0015】上記のようにしてリフレクタ電極24内に
導入されたプラズマ32中のイオンは、負電位のリフレ
クタ電極24に吸引され捕らえられる。一方、同プラズ
マ32中の電子は、同リフレクタ電極24の負電圧によ
って押し返され、イオンビーム2内にその正電位によっ
て引き込まれる。
【0016】基板8(図2参照)が帯電している場合は
それによってイオンビーム2の軸方向に電位勾配が生じ
るため、イオンビーム2内に引き込まれた電子は、この
電位勾配によって基板8に引き寄せられ、基板表面のイ
オンビーム照射に伴う正電荷を中和する。正電荷が中和
されれば、電子の基板8への引き込みは自動的に止む。
このようにして、電子が基板8に過不足なく供給される
ので、イオンビーム照射に伴う基板8の正の帯電を抑制
することができる。
【0017】しかも、電子による基板表面の電位は、そ
こに入射される電子のエネルギーより負側に高くならな
いので、プラズマ32中の低エネルギーの電子を利用す
ることにより、基板8の負の帯電をも抑制することがで
きる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記プラズマ32中の
電子をイオンビーム2中にその電位によって引き込ませ
るためには、プラズマ32をイオンビーム2のできるだ
け近傍に供給するのが好ましい。
【0019】ところが上記イオン注入装置のようにイオ
ンビーム2を高速で走査する場合、イオンビーム2がプ
ラズマシャワー装置30の近傍に走査されていた時は、
プラズマ32をイオンビーム2の近傍に供給することが
できるので、プラズマ32中の電子をイオンビーム2中
にその電位によって引き込ませることができるけれど
も、イオンビーム2が遠ざかった場所に走査された時
は、プラズマ32をイオンビーム2の近傍に供給するこ
とはできないので、プラズマ32中の電子をイオンビー
ム2中にその電位によって引き込ませることはできな
い。従ってその時は、イオンビーム照射に伴う基板8の
帯電をうまく抑制することはできない。
【0020】そこでこの発明は、ハイブリッドスキャン
方式の装置であって、そのイオンビームの走査位置にか
かわらず常に、プラズマをイオンビームの近傍に供給し
て、当該プラズマ中の電子によってイオンビーム照射に
伴う基板の帯電を効果的に抑制することができるように
したイオン注入装置を提供することを主たる目的とす
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明のイオン注入装置は、前記リフレクタ電極
を非磁性体で構成し、筒状または環状をしていてその中
心部においてイオンビーム走査方向に沿う磁束であって
互いに逆向きのものをそれぞれ発生させる二つの磁気ガ
イドを、リフレクタ電極の外側であってイオンビーム走
査領域の両端部付近に、イオンビーム走査領域の中心軸
に対してほぼ左右対称に設け、かつ前記プラズマシャワ
ー装置を、前記イオンビーム走査領域の中心軸上に位置
させ、それからのプラズマを、イオンビーム走査方向に
ほぼ直交する方向からリフレクタ電極内に供給するよう
にしたことを特徴とする。
【0022】
【作用】上記構成によれば、二つの磁気ガイドからの磁
束は、リフレクタ電極内のイオンビーム走査領域のほぼ
全域にほぼ左右対称に広がり、その中心部付近にプラズ
マシャワー装置からプラズマが供給される。このプラズ
マは、前記磁束に沿って拡散し、イオンビーム走査領域
のほぼ全域に拡散して充満する。
【0023】その結果、イオンビームがどこに来ても、
即ちイオンビームの走査位置にかかわらず常に、プラズ
マ中の電子がイオンビーム中にその電位によって引き込
まれるようになり、それによってイオンビーム照射に伴
う基板の帯電を効果的に抑制することができる。
【0024】
【実施例】図1は、この発明に係るイオン注入装置にお
けるプラズマシャワー装置周りの一例を示す断面図であ
る。この図はイオンビーム2の進行方向の後ろから見た
図である。図3の従来例と同一または相当する部分には
同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点
を主に説明する。なお、イオン注入装置としての構成
は、例えば先に図2で説明したものと同様であるので、
それを参照するものとする。
【0025】この実施例においては、前述したリフレク
タ電極24を、アルミニウム等の非磁性体で構成してい
る。
【0026】そして、筒状または環状をしていてその中
心部においてイオンビーム2の走査方向(即ちこの例で
はX方向)に沿う磁束であって互いに逆向きの磁束42
および44をそれぞれ発生させる二つの磁気ガイド34
および36を、リフレクタ電極24の外側であってイオ
ンビーム走査領域3の両端部付近に、イオンビーム走査
領域3の中心軸3cに対してほぼ左右対称に設けてい
る。
【0027】両磁気ガイド34、36からの磁束42、
44は、図示例のように、それらの一端側から出て、そ
れらの中心部を通り、それらの他端側に戻る。但し、両
磁束42、44の向きは、図示例とは逆向きでも良い。
【0028】両磁気ガイド34、36は、この例ではコ
イルであり、それに接続された直流電源38、40によ
ってそれぞれ励磁されて上記のような磁束42、44を
それぞれ発生させる。但し、共通の直流電源で両磁気ガ
イド34、36を励磁するようにしても良い。また、両
磁気ガイド34、36は、上記のような磁束42、44
を発生させる永久磁石であっても良い。
【0029】更に、前述したプラズマシャワー装置30
に相当するプラズマシャワー装置30aを、イオンビー
ム走査領域3の中心軸3c上に位置させ、それからのプ
ラズマ32を、イオンビーム2の走査方向にほぼ直交す
る方向(即ちこの例ではY方向)からリフレクタ電極2
4内に供給するようにしている。このプラズマシャワー
装置30aの位置は、図1の例とは反対側、即ち図の上
側に設けても良い。
【0030】上記構成によれば、二つの磁気ガイド3
4、36からの磁束42、44は、リフレクタ電極24
内のイオンビーム走査領域3のほぼ全域に、その中心軸
3cに対してほぼ左右対称に広がり、その中心部付近に
プラズマシャワー装置30aからプラズマ32が供給さ
れる。このプラズマ32は、上記磁束42、44に沿っ
て左右に拡散して、イオンビーム走査領域3のほぼ全域
に拡散して充満する。
【0031】その結果、イオンビーム2がどこに来て
も、即ちイオンビーム2の走査位置にかからわず常に、
プラズマ32中の電子がイオンビーム2中にその電位に
よって引き込まれるようになり、それによってイオンビ
ーム照射に伴う基板8(図2参照)の帯電を効果的に抑
制することができる。即ち、イオンビーム2の高速走査
にもうまく対応することができる。なお、イオンビーム
2中に引き込まれた電子が基板8の帯電を抑制する作用
は前述のとおりである。
【0032】プラズマシャワー装置30aは、この実施
例では、2段階でプラズマを生成するものであり、第1
プラズマ生成容器46、第2プラズマ生成容器64、コ
イル68およびそれら用の各種電源を備えている。第1
プラズマ生成容器46および第2プラズマ生成容器64
は、この例ではアルミニウム等の非磁性体から成る。
【0033】第1プラズマ生成容器46は、リフレクタ
電極24の外側に設けられていて、リフレクタ電極24
側の部分に小孔48を有しており、かつガス導入管50
を経由して内部に例えばキセノンガス等の電離用のガス
52が導入される。この第1プラズマ生成容器46内に
は、フィラメント54が設けられており、その両端に
は、その加熱用のフィラメント電源58が接続されてい
る。56は絶縁物である。
【0034】第1プラズマ生成容器46とリフレクタ電
極24との間に第2プラズマ生成容器64を設けて、そ
のリフレクタ電極24側の孔67をリフレクタ電極24
内に直接(即ち連結筒等の他の物を介することなく)通
じさせている。孔67の大きさは、1〜5mmφ程度が
好ましく、2〜3mmφ程度がより好ましい。これは、
孔67をあまり大きくすると、第1プラズマ生成容器4
6側から第2プラズマ生成容器64内に流入して来るガ
ス52が第2プラズマ生成容器64内に充満しにくくな
って安定したプラズマ32が生成しにくくなり、孔67
をあまり小さくすると、生成したプラズマ32が孔67
を通してリフレクタ電極24内へ出にくくなるからであ
る。
【0035】更に第2プラズマ生成容器64は、第1プ
ラズマ生成容器46側に、その小孔48に対向する小孔
66を有している。両小孔48および66の直径は、例
えば2mmφ程度である。この第2プラズマ生成容器6
4とリフレクタ電極24とは、絶縁物28で電気的に絶
縁されている。
【0036】第1プラズマ生成容器46と第2プラズマ
生成容器64との間は、リング状の絶縁物62で電気的
に絶縁されている。
【0037】第1プラズマ生成容器46のリフレクタ電
極24寄りの外側には、磁場電源70が接続されたコイ
ル68が巻かれており、これによって、第1プラズマ生
成容器46の小孔48付近から第2プラズマ生成容器6
4内にかけての領域に、それらの軸方向に沿う磁束Bを
発生させる。即ちこの例では、このコイル68および磁
場電源70によって、磁束発生手段を構成している。な
お、磁束Bの向きは、図示とは逆に第1プラズマ生成容
器46側へ向いていても良い。
【0038】第2プラズマ生成容器64とフィラメント
54との間には、前者を正側にして直流のプラズマ生成
用電源74が接続されている。このプラズマ生成用電源
74の出力電圧(即ちプラズマ生成電圧VA )は、この
例では0〜35Vの範囲で可変である。
【0039】第2プラズマ生成容器64と第1プラズマ
生成容器46との間には、制限抵抗72が接続されてい
る。この制限抵抗72の値は、例えば150Ω程度であ
る。
【0040】前述したリフレクタ電源26は、第2プラ
ズマ生成容器64とリフレクタ電極24との間に後者を
負側にして接続されている。
【0041】フィラメント54を加熱することによって
それから放出された熱電子は、制限抵抗72を介して印
加されているプラズマ生成電圧VA によって第1プラズ
マ生成容器46側に引き寄せられ、その途中で、第1プ
ラズマ生成容器46内に導入されたガス52と衝突して
それを電離させ、これによって第1プラズマ生成容器4
6内にプラズマ60が生成される。このとき、コイル6
8による磁束Bがプラズマ60の発生および維持に寄与
する。
【0042】プラズマ60が生成されると、制限抵抗7
2に電流が流れてそこに電圧降下が生じ、第2プラズマ
生成容器64と第1プラズマ生成容器46間に例えば十
数V程度の電位差ΔVが生じる。これによって、第1プ
ラズマ生成容器46に印加される電圧が下がるので、プ
ラズマ60は比較的薄いものとなる。
【0043】上記電位差ΔVによる加速電界によって、
第1プラズマ生成容器46内のプラズマ60中の電子
は、第2プラズマ生成容器64内に引き出される。この
電子のエネルギーは、例えば20eV程度の低エネルギ
ーであるが、当該電子はコイル68の磁束Bによってガ
イドされて第2プラズマ生成容器64内に効率良く引き
出される。
【0044】第2プラズマ生成容器64内には、第1プ
ラズマ生成容器46側から小孔48および66を経由し
てガス52が流れ込んで来ており、第2プラズマ生成容
器64内に引き出された電子はこのガスと衝突してそれ
を電離させ、この第2プラズマ生成容器64内で再びプ
ラズマ32が作られる。ガス52の電離エネルギーは1
0eV程度であるので、20eV程度のエネルギーの電
子によってそれを十分電離させることができる。しか
も、この第2プラズマ生成容器64内では、電子はコイ
ル68による磁束Bの周りを旋回運動する過程でガス分
子と多重衝突するので、ガス52の電離能率が高く、従
って第2プラズマ生成容器64内では、第1プラズマ生
成容器46内のプラズマ60よりも高密度の(例えば3
〜4倍程度の)プラズマ32が生成される。
【0045】そして、第2プラズマ生成容器64の孔6
7はリフレクタ電極24内に直接通じているので、第2
プラズマ生成容器64内で生成されその孔67から出た
プラズマ32は、損失することなく全てリフレクタ電極
24内に導入されることになる。従って、第2プラズマ
生成容器64内で生成されたプラズマ中の電子を非常に
効率良くイオンビーム2の中和に利用することができ
る。
【0046】その場合、前述したように、リフレクタ電
極24内に導入されたプラズマ32中のイオンは、負電
位のリフレクタ電極24に捕捉される。一方、同プラズ
マ32中の電子は、リフレクタ電極24の負電位によっ
てその中央部に押し返されると共に、前述した磁束4
2、44にガイドされてイオンビーム走査領域3のほぼ
全域に拡散して充満し、イオンビーム2内にその電位に
よって引き込まれ、基板8の帯電防止作用をする。
【0047】なお、上記のようにしてリフレクタ電極2
4内に導入されるプラズマ32中の電子のエネルギー
は、プラズマ32を生成させた時のエネルギーのままで
あり、その後何ら加速が行われていないので、例えば数
eV〜十eV程度の低エネルギーである。
【0048】このプラズマシャワー装置30aのよう
に、二つのプラズマ生成容器46および64を用いるこ
とによって次のような効果が得られる。即ち、リフレク
タ電極24内に十分な量の電子を供給するためには、プ
ラズマの密度も濃いものにしなければならない。その場
合仮に、第2プラズマ生成容器64を設けずに、第1プ
ラズマ生成容器46内で濃いプラズマ60を作りこれを
リフレクタ電極24内へ供給しようとすると、そのため
にはフィラメント54から放出させる電子の量およびプ
ラズマ生成用のガス52の量を増加させる必要がある。
しかしながら、そのようにすると、フィラメント54の
消耗が早まり、しかも多量のガス52がリフレクタ電極
24内へ漏れ出るため、リフレクタ電極24内の真空度
も悪化してしまう。
【0049】これに対して、このプラズマシャワー装置
30aでは、第1プラズマ生成容器46内で生成するプ
ラズマ60は薄いもので良く、このプラズマ60中の電
子を利用して第2プラズマ生成容器64内で濃いプラズ
マ32を生成させ、しかも第2プラズマ生成容器64の
孔67をリフレクタ電極24内に直接通じさせていてこ
の濃いプラズマ32を効率良くリフレクタ電極24内へ
導入するようにしている。その結果、フィラメント54
から放出させる電子の量を少なくすることができるの
で、フィラメント54の消耗を遅くしてその寿命を長く
することができる。しかも、第1プラズマ生成容器46
内に供給するガス52の量を少なくすることができると
共に、第1プラズマ生成容器46から第2プラズマ生成
容器64内へ漏れ出たガス52をそこで再びプラズマ化
するので、また小孔48および66においてガスに対す
るコンダクタンスが十分に低下するので、リフレクタ電
極24内へ漏れ出るガスの量は非常に少なく、従ってリ
フレクタ電極24内の、即ちイオンビーム2の通過領域
の真空度低下(即ちガス圧上昇)を非常に小さく抑える
ことができる。その結果、イオンビーム2とガス分子と
が衝突して中性粒子が発生して注入量誤差等の不具合が
生じるのを防止することができる。
【0050】なお、上記コイル68および磁場電源70
の代わりに、複数または単一の永久磁石を第1プラズマ
生成容器46の外側に設けて上記のような磁束Bを発生
させるようにし、これによって磁束発生手段を構成して
も良い。
【0051】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0052】請求項1のイオン注入装置によれば、上記
のような磁気ガイドを設け、かつプラズマシャワー装置
からのプラズマをイオンビーム走査方向にほぼ直交する
方向からリフレクタ電極内に供給するようにしたので、
プラズマシャワー装置からのプラズマは、磁気ガイドに
よる磁束によって拡散し、イオンビーム走査領域のほぼ
全域に拡散して充満する。その結果、イオンビームの走
査位置にかかわらず常に、プラズマ中の電子がイオンビ
ーム中にその電位によって引き込まれるようになり、そ
れによってイオンビーム照射に伴う基板の帯電を効果的
に抑制することができる。
【0053】請求項2のイオン注入装置によれば、プラ
ズマを第1プラズマ生成容器内と第2プラズマ生成容器
内との2段階で発生させるようにしていて、第1プラズ
マ生成容器内のプラズマが薄くても第2プラズマ生成容
器内で濃いプラズマを生成することができるので、しか
も第2プラズマ生成容器の孔をリフレクタ電極内に直接
通じさせていてこの濃いプラズマを効率良くリフレクタ
電極内に導入することができるので、第1プラズマ生成
容器内のフィラメントから放出させる電子の量を少なく
することができ、フィラメントの寿命を長くすることが
できる。また、第1プラズマ生成容器内に供給するガス
の量を少なくすることができると共に、第2プラズマ生
成容器内へ漏れ出たガスをそこで再びプラズマ化するの
で、また第1プラズマ生成容器および第2プラズマ生成
容器の各小孔においてガスに対するコンダクタンスが十
分に低下するので、第1プラズマ生成容器内へガスを導
入することによるリフレクタ電極内の、即ちイオンビー
ム通過領域の真空度低下を非常に小さく抑えることがで
きる。その結果、イオンビームとガス分子とが衝突して
中性粒子が発生して注入量誤差等の不具合が生じるのを
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るイオン注入装置におけるプラズ
マシャワー装置周りの一例を示す断面図である。
【図2】ハイブリッドスキャン方式のイオン注入装置の
一例を部分的に示す斜視図である。
【図3】従来のイオン注入装置におけるプラズマシャワ
ー装置周りの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
2 イオンビーム 3 イオンビーム走査領域 8 基板 24 リフレクタ電極 26 リフレクタ電源 30a プラズマシャワー装置 32 プラズマ 34,36 磁気ガイド 42,44 磁束 46 第1プラズマ生成容器 54 フィラメント 58 フィラメント電源 60 プラズマ 64 第2プラズマ生成容器 68 コイル 72 制限抵抗 74 プラズマ生成用電源

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオンビームを一方向に電気的に往復走
    査すると共に、基板を保持するホルダをイオンビーム走
    査方向と実質的に直交する方向に機械的に往復走査し
    て、ホルダ上の基板にイオン注入を行う構成の装置であ
    って、ホルダの上流側近傍に設けられていてイオンビー
    ム走査領域の外側を取り囲む筒状のリフレクタ電極と、
    このリフレクタ電極に負電圧を印加する直流のリフレク
    タ電源と、プラズマを生成してそれをリフレクタ電極内
    に供給するプラズマシャワー装置とを備えるイオン注入
    装置において、前記リフレクタ電極を非磁性体で構成
    し、筒状または環状をしていてその中心部においてイオ
    ンビーム走査方向に沿う磁束であって互いに逆向きのも
    のをそれぞれ発生させる二つの磁気ガイドを、リフレク
    タ電極の外側であってイオンビーム走査領域の両端部付
    近に、イオンビーム走査領域の中心軸に対してほぼ左右
    対称に設け、かつ前記プラズマシャワー装置を、前記イ
    オンビーム走査領域の中心軸上に位置させ、それからの
    プラズマを、イオンビーム走査方向にほぼ直交する方向
    からリフレクタ電極内に供給するようにしたことを特徴
    とするイオン注入装置。
  2. 【請求項2】 前記プラズマシャワー装置が、前記リフ
    レクタ電極の外側に設けられていて、内部にガスが導入
    されかつリフレクタ電極側に小孔を有する第1プラズマ
    生成容器と、この第1プラズマ生成容器内に設けられた
    フィラメントと、前記第1プラズマ生成容器とリフレク
    タ電極との間に設けられていて、第1プラズマ生成容器
    側にその小孔に対向する小孔を有し、かつリフレクタ電
    極側に孔を有していてその孔がリフレクタ電極内に直接
    通じている第2プラズマ生成容器と、前記第1プラズマ
    生成容器の小孔付近から第2プラズマ生成容器内にかけ
    ての領域に、それらの軸方向に沿う磁束を発生させる磁
    束発生手段と、前記フィラメントを加熱するフィラメン
    ト電源と、前記第2プラズマ生成容器とフィラメントと
    の間に前者を正側にして接続された直流のプラズマ生成
    用電源と、前記第2プラズマ生成容器と第1プラズマ生
    成容器との間に接続された制限抵抗とを備えており、か
    つ前記リフレクタ電源はその正側が前記第2プラズマ生
    成容器に接続されその負側が前記リフレクタ電極に接続
    されている請求項1記載のイオン注入装置。
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