JP3387251B2 - イオン処理装置 - Google Patents
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Description
置のように、真空中で基板にイオンビームを照射してそ
れにイオン注入等の処理を施すイオン処理装置に関し、
より具体的には、その基板の帯電(チャージアップ)を
抑制する手段の改良に関する。 【0002】 【背景となる技術】プラズマ中の低エネルギー電子を利
用して、イオンビーム照射に伴う基板の帯電を効果的に
抑制することができるようにしたイオン処理装置が同一
出願人によって先に提案されている(特願平5−249
805号)。 【0003】それを図2を参照して説明すると、このイ
オン処理装置は、基本的には、真空容器(図示省略)内
に収納されたホルダ4に保持された基板(例えばウェー
ハ)6にイオンビーム2を照射してそれにイオン注入等
の処理を施すよう構成されている。 【0004】ホルダ4は、バッチ処理用のウェーハディ
スクの場合と、枚葉処理用のプラテンの場合とがあり、
図示のものは前者の場合の例であり、真空容器内で矢印
A方向に回転および紙面の表裏方向に並進させられる。 【0005】イオンビーム2の経路上には、ファラデー
系を構成するものとして、イオンビーム2がホルダ4等
に当たった際に放出される二次電子を受けてそれのアー
スへの逃げを防止するファラデーカップ8および同二次
電子の上流側への逃げを防止するサプレッサ電極22が
ホルダ4の上流側に、更にこの例ではホルダ4が外に並
進したときにそれの代わりにイオンビーム2を受けるキ
ャッチプレート14がホルダ4の下流側に、それぞれ設
けられている。サプレッサ電極22にはサプレッサ電源
24から負電圧が印加される。また、ホルダ4とキャッ
チプレート14は互いに電気的に並列接続されてビーム
電流計測器20に接続されており、それによってイオン
ビーム2のビーム電流の計測を正確に行えるようにして
いる。 【0006】イオンビーム2はファラデーカップ8内を
通してホルダ4上の基板6に照射され、それによって基
板6に対してイオン注入等の処理が施される。 【0007】その際に、イオンビーム2の照射に伴って
基板6の表面が、特に当該表面が絶縁物の場合、正に帯
電して放電等の不具合が発生するのを防止するために、
次のような第1プラズマ生成容器26、第2プラズマ生
成容器48、引出し電極56、コイル68およびリフレ
クタ電極78等を設けている。 【0008】第1プラズマ生成容器26は、ファラデー
カップ8の外側に設けられていて、ファラデーカップ8
側の部分に小孔28を有しており、かつガス導入管30
を経由して内部に例えばキセノンガス等の電離用のガス
32が導入される。この第1プラズマ生成容器26内に
は、フィラメント34が設けられており、その両端に
は、その加熱用のフィラメント電源38が接続されてい
る。36は絶縁物である。 【0009】第1プラズマ生成容器26の小孔28の出
口側近傍には、前後に小孔50および52を有する第2
プラズマ生成容器48が設けられている。46は絶縁物
である。 【0010】この第2プラズマ生成容器48のファラデ
ーカップ8側の小孔52の出口側近傍には、当該小孔5
2に対向する位置に小孔58を有する引出し電極56が
設けられている。この引出し電極56のファラデーカッ
プ側59は、この例ではファラデーカップ8に嵌め込ま
れており、それによって両者56、8は同電位にされて
いる。55は絶縁物である。 【0011】第1プラズマ生成容器26から第2プラズ
マ生成容器48にかけての部分の外側には、磁場電源7
0が接続されたコイル68が巻かれており、これによっ
て、第1プラズマ生成容器26の小孔28付近から引出
し電極56の小孔58付近にかけての領域に、それらの
軸方向に沿う磁束Bを発生させる。 【0012】ファラデーカップ8内には、筒状のリフレ
クタ電極78が絶縁物80を介して設けられている。こ
のリフレクタ電極78とファラデーカップ8との間に
は、前者を負側にして、直流のリフレクタ電源82が接
続されている。このリフレクタ電源82の出力電圧(即
ちリフレクタ電圧VR )は、ファラデーカップ8内に導
入されるプラズマ54中の電子を押し返すに足りる電
圧、例えば−30V程度にしている。 【0013】第2プラズマ生成容器48とフィラメント
34との間には、前者を正側にして直流のプラズマ生成
用電源74が接続されている。このプラズマ生成用電源
74の出力電圧(即ちプラズマ生成電圧VA )は、この
例では0〜35Vの範囲で可変である。 【0014】第2プラズマ生成容器48と第1プラズマ
生成容器26との間には、制限抵抗72が接続されてい
る。この制限抵抗72の値は、例えば150Ω程度であ
る。 【0015】ファラデーカップ8とフィラメント34と
の間には、前者を正側にして、直流の引出し電源76が
接続されている。この引出し電源76の出力電圧(即ち
引出し電圧VE )は、この例では5〜20Vの範囲内で
調整後固定するようにしている。 【0016】フィラメント34を加熱することによって
それから放出された熱電子は、制限抵抗72を介して印
加されているプラズマ生成電圧VA によって第1プラズ
マ生成容器26側に引き寄せられ、その途中で、第1プ
ラズマ生成容器26内に導入されたガス32と衝突して
それを電離させ、これによって第1プラズマ生成容器2
6内にプラズマ40が生成される。このとき、コイル6
8による磁束Bがプラズマ40の発生および維持に寄与
する。 【0017】プラズマ40が生成されると、制限抵抗7
2に電流が流れてそこに電圧降下が生じ、第2プラズマ
生成容器48と第1プラズマ生成容器26間に例えば十
数V程度の電位差ΔVが生じる。これによって、第1プ
ラズマ生成容器26に印加される電圧が下がるので、プ
ラズマ40は比較的薄いものとなる。 【0018】上記電位差ΔVによる加速電界によって、
第1プラズマ生成容器26内のプラズマ40中の電子
は、第2プラズマ生成容器48内に引き出される。この
電子のエネルギーは、例えば20〜30eV程度の低エ
ネルギーであるが、当該電子はコイル68の磁束Bにガ
イドされて第2プラズマ生成容器48内に効率良く引き
出される。 【0019】第2プラズマ生成容器48内には、第1プ
ラズマ生成容器26側から小孔28および50を経由し
てガス32が流れ込んで来ており、第2プラズマ生成容
器48内に引き出された電子はこのガスと衝突してそれ
を電離させ、この第2プラズマ生成容器48内で再びプ
ラズマ54が作られる。ガス32の電離エネルギーは1
0eV程度であるので、20〜30eV程度のエネルギ
ーの電子によってそれを十分電離させることができる。
しかも、この第2プラズマ生成容器48内では、電子は
磁束Bの周りを旋回運動する過程でガス分子と多重衝突
するので、ガス32の電離能率が高く、従って第2プラ
ズマ生成容器48内では、第1プラズマ生成容器26内
のプラズマ40よりも高密度の(例えば3〜4倍程度
の)プラズマ54が生成される。 【0020】第2プラズマ生成容器48内で生成された
プラズマ54中のイオンは、第2プラズマ生成容器48
と引出し電極56との間の電位差(VA −VE 。これは
例えば10V程度)による加速電界およびコイル68に
よる磁束Bとの協働によって、ファラデーカップ8内に
引き出される。このとき、第2プラズマ生成容器48内
のプラズマ54中の電子は、上記のようにして引き出さ
れるイオンの電界によって引っ張られて、同イオンと共
にそれと同様にして引き出されてファラデーカップ8内
に導入される。即ち、ファラデーカップ8内には第2プ
ラズマ生成容器48内で生成されたプラズマ54が引き
出される。 【0021】ファラデーカップ8内に導入されたプラズ
マ54中のイオンは、負電位のリフレクタ電極78に吸
引され捕らえられる。一方、同プラズマ54中の電子
は、同リフレクタ電極78によってファラデーカップ8
の中央部に押し返され、ファラデーカップ8内を通過し
ているイオンビーム2内にその電界によって引き込まれ
る。 【0022】基板6が帯電している場合にそれによって
イオンビーム2の軸方向に電位勾配が生じるため、イオ
ンビーム2内に引き込まれた電子は、この電位勾配によ
って基板6に引き寄せられ、基板表面のイオンビーム照
射に伴う正電荷を中和する。正電荷が中和されれば、電
子の基板6への引き込みは自動的に止む。このようにし
て、電子が基板6に過不足なく供給されるので、イオン
ビーム照射に伴う基板6の正の帯電を効果的に抑制する
ことができる。 【0023】しかも、電子による基板表面の電位は、そ
こに入射される電子のエネルギーより負側に高くならな
いので、プラズマ54中の低エネルギーの電子を利用す
ることにより、基板6の負の帯電をも抑制することがで
きる。 【0024】 【発明が解決しようとする課題】上記イオン処理装置に
おいては、第2プラズマ生成容器48内で生成したプラ
ズマ54は密度の高いものであるが、そこから引出し電
極56を経由してファラデーカップ8内に引き出される
プラズマ54中の電子には、第2プラズマ生成容器48
と引出し電極56間の電位差(VA −VE )分の減速電
界が印加されていて、それに打ち勝つエネルギーを持つ
電子しかファラデーカップ8内に引き出すことができな
いため、ファラデーカップ8内に引き出すことのできる
電子の量は大幅に少なくなる。従って効率が悪い。 【0025】イオンビーム2のビーム電流を大きくする
場合はそれに見合った量の電子を供給しなければならな
いが、ファラデーカップ8内に引き出す電子の量を増や
すためには、第2プラズマ生成容器48内で生成するプ
ラズマ54の密度を高める必要があり、そのためには第
1プラズマ生成容器26において、フィラメント34か
ら放出させる電子の量およびプラズマ生成用のガス32
の量を増加させて元となるプラズマ40の密度を高める
必要がある。しかしながら、そのようにすると、フィラ
メント34の消耗が早まってその寿命が短くなる。ま
た、ファラデーカップ8内へ漏れ出るガス32の量が多
くなってファラデーカップ8内の真空度が悪くなる。 【0026】そこでこの発明は、このような点を更に改
善して、第2プラズマ生成容器内で生成されるプラズマ
中の電子を効率良くファラデーカップ内に導入して利用
することができるようにしたイオン処理装置を提供する
ことを主たる目的とする。 【0027】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明のイオン処理装置は、簡単に言えば、前述
したような引出し電極を設けずに、第2プラズマ生成容
器をファラデーカップと同電位にし、かつ当該第2プラ
ズマ生成容器のファラデーカップ側の孔の部分をファラ
デーカップ内に挿入したことを特徴としている。 【0028】 【作用】上記構成によれば、第2プラズマ生成容器のフ
ァラデーカップ側の孔の部分をファラデーカップ内に挿
入しているので、当該孔から出たプラズマは損失するこ
となく全てファラデーカップ内に導入されることにな
る。また、引出し電極を設けておらず、第2プラズマ生
成容器はファラデーカップと同電位であり、第2プラズ
マ生成容器からファラデーカップ内に出て行く電子には
先行例の場合と違って減速電界が印加されないので、第
2プラズマ生成容器内からファラデーカップ内へ電子が
出やすい。しかも、第2プラズマ生成容器のファラデー
カップ側の孔の部分をファラデーカップ内に挿入してい
るので、ファラデーカップ内を通るイオンビームにその
すぐ近くからプラズマを供給することができ、イオンビ
ームの正電界によって第2プラズマ生成容器から電子を
積極的に引き出す作用も期待できる。更に、第2プラズ
マ生成容器内に磁束発生手段による軸方向の磁束が発生
されるので、当該磁束のガイド作用によっても第2プラ
ズマ生成容器からファラデーカップ内へプラズマが出や
すい。従って、第2プラズマ生成容器内で生成されるプ
ラズマ中の電子を非常に効率良くイオンビームの中和に
利用することができる。 【0029】 【実施例】図1は、この発明の一実施例に係るイオン処
理装置を示す概略図である。図2の先行例と同一または
相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該
先行例との相違点を主に説明する。 【0030】この実施例においては、前述した引出し電
極56およびそれ用の引出し電源76を設けずに、前述
した第2プラズマ生成容器48に相当する第2プラズマ
生成容器48aを第1プラズマ生成容器26とファラデ
ーカップ8との間に設けて、そのファラデーカップ側の
孔53の部分をファラデーカップ8内に挿入している。
しかもこの第2プラズマ生成容器48aは、ファラデー
カップ8に取り付けて、ファラデーカップ8と同電位に
している。 【0031】孔53の大きさは、1〜5mmφ程度が好
ましく、2〜3mmφ程度がより好ましい。これは、孔
53をあまり大きくすると、第1プラズマ生成容器26
側から第2プラズマ生成容器48a内に流入して来るガ
ス32が第2プラズマ生成容器48a内に充満しにくく
なって安定したプラズマ54が生成しにくくなり、孔5
3をあまり小さくすると、生成したプラズマ54が孔5
3を通してファラデーカップ8内へ出にくくなるからで
ある。ちなみにこの場合の第2プラズマ生成容器48a
の直径(外径)は10〜15mmφ程度である。 【0032】第2プラズマ生成容器48aは、第1プラ
ズマ生成容器26側に、その小孔28に対向する小孔5
0を有している。両小孔28および50の直径は、例え
ば2mmφ程度である。 【0033】前述したリフレクタ電極78は、少なくと
も、ファラデーカップ8内の第2プラズマ生成容器48
aが挿入された部分の周囲を、第2プラズマ生成容器4
8aの部分を除いて覆っておれば良いが、ファラデーカ
ップ8の軸方向を長く覆うほど、当該リフレクタ電極7
8の前述した作用、即ちプラズマ中のイオンを捕捉し低
エネルギーの電子を押し戻す作用は高くなる。そのため
この実施例では、ファラデーカップ8の内壁を、第2プ
ラズマ生成容器48aの部分を除いてほぼ完全に覆って
いる。 【0034】また、リフレクタ電源82からリフレクタ
電極78に印加する電圧VR は、−5V〜−15V程度
として、リフレクタ電極78によって、フィラメント3
4からの高エネルギー成分の電子を吸収しながら、プラ
ズマ54中の低エネルギーの電子をファラデーカップ8
の中央部へ押し戻すようにしている。 【0035】第1プラズマ生成容器26と第2プラズマ
生成容器48aとの間は、先行例の場合と同様に、リン
グ状の絶縁物46で電気的に絶縁されている。また、第
1プラズマ生成容器26、第2プラズマ生成容器48
a、ファラデーカップ8およびリフレクタ電極78は、
この例ではアルミニウム等の非磁性体から成る。 【0036】第1プラズマ生成容器26のファラデーカ
ップ8寄りの外側には、前述した磁場電源70が接続さ
れたコイル68が巻かれており、これによって、第1プ
ラズマ生成容器26の小孔28付近から第2プラズマ生
成容器48a内にかけての領域に、それらの軸方向に沿
う磁束Bを発生させる。即ちこの例では、このコイル6
8および磁場電源70によって、磁束発生手段を構成し
ている。なお、磁束Bの向きは、図示とは逆に第1プラ
ズマ生成容器26側へ向いていても良い。 【0037】また、第2プラズマ生成容器48aには、
前述した制限抵抗72およびプラズマ生成用電源74の
正側が接続されている。 【0038】このイオン処理装置においても、先行例の
場合と同様、第1プラズマ生成容器26内でプラズマ4
0が生成されると、制限抵抗72の電圧降下によって第
1プラズマ生成容器26と第2プラズマ生成容器48a
との間に電位差ΔVが生じ、これが、第2プラズマ生成
容器48a内に第1プラズマ生成容器26から小孔28
および50を経由して流れ込んでいるガス32の電離電
圧以上になると、第2プラズマ生成容器48a内でプラ
ズマ54が生成される。そのとき、磁束Bがプラズマ5
4の密度向上に寄与するのは前述のとおりである。 【0039】そして、第2プラズマ生成容器48aのフ
ァラデーカップ8側の孔53の部分をファラデーカップ
8内に挿入しているので、当該孔53から出たプラズマ
54は損失することなく全てファラデーカップ8内に導
入されることになる。また、引出し電極を設けておら
ず、第2プラズマ生成容器48aはファラデーカップ8
と同電位であり、第2プラズマ生成容器48aからファ
ラデーカップ8内に出て行く電子には先行例の場合と違
って減速電界が印加されないので、第2プラズマ生成容
器48a内からファラデーカップ8内へ電子が出やす
い。しかも、第2プラズマ生成容器48aのファラデー
カップ8側の孔53の部分を、ファラデーカップ8内に
挿入しているので、ファラデーカップ8内を通るイオン
ビーム2にそのすぐ近くからプラズマ54を供給するこ
とができ、イオンビーム2の正電界によって第2プラズ
マ生成容器48aから電子を積極的に引き出す作用も期
待できる。更に、第2プラズマ生成容器48a内にコイ
ル68による軸方向の磁束Bが発生されるので、当該磁
束Bのガイド作用によっても第2プラズマ生成容器48
aからファラデーカップ8内へプラズマ54が出やす
い。従って、第2プラズマ生成容器48a内で生成され
たプラズマ54中の電子を非常に効率良くイオンビーム
2の中和に利用することができる。 【0040】その場合、前述したように、ファラデーカ
ップ8内に導入されたプラズマ54中のイオンは、負電
位のリフレクタ電極78に捕捉される。一方、同プラズ
マ54中の低エネルギーの電子は、リフレクタ電極78
によってファラデーカップ8の中央部に押し返されてイ
オンビーム2内にその電界によって引き込まれ、基板6
の帯電防止作用をする。また、フィラメント34からの
高エネルギー成分の電子は、リフレクタ電極78に吸収
される。 【0041】なお、上記のようにしてファラデーカップ
8内に導入されるプラズマ54中の電子のエネルギー
は、プラズマ54を生成させたときのエネルギーのまま
であり、その後何ら加速が行われていないので、例えば
数eV〜十eV程度の低エネルギーである。 【0042】このようにこのイオン処理装置では、第2
プラズマ生成容器48a内で生成されるプラズマ54中
の電子を非常に効率良く利用することができるので、イ
オンビーム2のビーム電流を大きくする場合でも、第2
プラズマ生成容器48a内で生成するプラズマ54の密
度を、ひいてはその元となる第1プラズマ生成容器26
中のプラズマ40の密度を、先行例の場合ほど高くする
必要はない。従って、フィラメント34の負担が軽くな
りその寿命を延ばすことができる。また、第1プラズマ
生成容器26内に導入するガス32の量を減らすことが
できるので、ファラデーカップ8内へ漏れ出るガス32
の量を少なくしてファラデーカップ8内の真空度低下
(即ちガス圧上昇)を小さく抑えることができる。その
結果、イオンビーム2とガス分子とが衝突して中性粒子
が発生して注入量誤差等の不具合が生じるのを防止する
ことができる。 【0043】なお、上記コイル68および磁場電源70
の代わりに、複数または単一の永久磁石を第1プラズマ
生成容器26の外側に設けて上記のような磁束Bを発生
させるようにし、これによって磁束発生手段を構成して
も良い。 【0044】 【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、先行例の効果に加えて、次のような効果を奏す
ることができる。 【0045】即ち、第2プラズマ生成容器のファラデー
カップ側の孔の部分をファラデーカップ内に挿入してい
るので、当該孔から出たプラズマは損失することなく全
てファラデーカップ内に導入されることになる。また、
引出し電極を設けておらず、第2プラズマ生成容器はフ
ァラデーカップと同電位であり、第2プラズマ生成容器
からファラデーカップ内に出て行く電子には先行例の場
合と違って減速電界が印加されないので、第2プラズマ
生成容器内からファラデーカップ内へ電子が出やすい。
しかも、第2プラズマ生成容器のファラデーカップ側の
孔の部分をファラデーカップ内に挿入しているので、フ
ァラデーカップ内を通るイオンビームにそのすぐ近くか
らプラズマを供給することができ、イオンビームの正電
界によって第2プラズマ生成容器から電子を積極的に引
き出す作用も期待できる。更に、第2プラズマ生成容器
内に磁束発生手段による軸方向の磁束が発生されるの
で、当該磁束のガイド作用によっても第2プラズマ生成
容器からファラデーカップ内へプラズマが出やすい。従
って、第2プラズマ生成容器内で生成されるプラズマ中
の電子を非常に効率良くイオンビームの中和に利用する
ことができる。 【0046】その結果、イオンビームのビーム電流を大
きくする場合でも、第2プラズマ生成容器内で生成する
プラズマの密度を、ひいてはその元となる第1プラズマ
生成容器内で生成するプラズマの密度をあまり高くする
必要がなくなるので、フィラメントの負担が軽くなりそ
の寿命を延ばすことができる。また、第1プラズマ生成
容器内に導入するガスの量を減らすことができるので、
ファラデーカップ内へ漏れ出るガスの量を少なくしてフ
ァラデーカップ内の真空度低下を小さく抑えることがで
き、その結果、イオンビームとガス分子とが衝突して中
性粒子が発生して注入量誤差等の不具合が生じるのを防
止することができる。
す概略図である。 【図2】この発明の背景となるイオン処理装置の一例を
示す概略図である。 【符号の説明】 2 イオンビーム 4 ホルダ 6 基板 8 ファラデーカップ 26 第1プラズマ生成容器 28 小孔 32 ガス 34 フィラメント 38 フィラメント電源 40 プラズマ 48a 第2プラズマ生成容器 50 小孔 53 孔 54 プラズマ 68 コイル 72 制限抵抗 74 プラズマ生成用電源 78 リフレクタ電極 82 リフレクタ電源
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板を保持するホルダと、このホルダの
上流側に設けられていて二次電子のアースへの逃げを防
止するファラデーカップとを備え、このファラデーカッ
プ内を通してイオンビームをホルダ上の基板に照射して
当該基板を処理するイオン処理装置において、前記ファ
ラデーカップの外側に設けられていて、内部にガスが導
入され、かつファラデーカップ側に小孔を有する第1プ
ラズマ生成容器と、この第1プラズマ生成容器内に設け
られたフィラメントと、前記第1プラズマ生成容器とフ
ァラデーカップとの間に設けられていて、第1プラズマ
生成容器側にその小孔に対向する小孔を有し、かつファ
ラデーカップ側に孔を有していてその孔の部分がファラ
デーカップ内に挿入されており、かつファラデーカップ
と同電位にされた第2プラズマ生成容器と、前記第1プ
ラズマ生成容器の小孔付近から第2プラズマ生成容器内
にかけての領域に、それらの軸方向に沿う磁束を発生さ
せる磁束発生手段と、前記ファラデーカップ内にそれか
ら絶縁して設けられていて、少なくとも、当該ファラデ
ーカップ内の前記第2プラズマ生成容器が挿入された部
分の周囲を当該第2プラズマ生成容器の部分を除いて覆
うリフレクタ電極と、前記フィラメントを加熱するフィ
ラメント電源と、前記第2プラズマ生成容器とフィラメ
ントとの間に前者を正側にして接続された直流のプラズ
マ生成用電源と、前記第2プラズマ生成容器と第1プラ
ズマ生成容器との間に接続された制限抵抗と、前記リフ
レクタ電極とファラデーカップとの間に前者を負側にし
て接続された直流のリフレクタ電源とを備えることを特
徴とするイオン処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01981495A JP3387251B2 (ja) | 1995-01-11 | 1995-01-11 | イオン処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP01981495A JP3387251B2 (ja) | 1995-01-11 | 1995-01-11 | イオン処理装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08190888A JPH08190888A (ja) | 1996-07-23 |
JP3387251B2 true JP3387251B2 (ja) | 2003-03-17 |
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ID=12009802
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP01981495A Expired - Fee Related JP3387251B2 (ja) | 1995-01-11 | 1995-01-11 | イオン処理装置 |
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JP (1) | JP3387251B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008016209A (ja) * | 2006-07-03 | 2008-01-24 | Hitachi High-Technologies Corp | 集束イオンビーム装置 |
-
1995
- 1995-01-11 JP JP01981495A patent/JP3387251B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
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---|---|
JPH08190888A (ja) | 1996-07-23 |
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