JPH08189370A - 差動駆動過給装置およびその制御方法 - Google Patents

差動駆動過給装置およびその制御方法

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JPH08189370A
JPH08189370A JP2459695A JP2459695A JPH08189370A JP H08189370 A JPH08189370 A JP H08189370A JP 2459695 A JP2459695 A JP 2459695A JP 2459695 A JP2459695 A JP 2459695A JP H08189370 A JPH08189370 A JP H08189370A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、差動駆動過給装置およびその制御
方法に係わり、特に、建設機械等の車両用エンジンで、
加速性の良い、小型で高出力、かつ、低速トルクが大き
く、また、燃費が良く得られるための車両用のエンジン
の過給方法およびその装置に関するものである。 【構成】 差動駆動装置を介してエンジンの出力で駆動
される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置におい
て、差動駆動装置のプラネタリキャリアにエンジン出力
の動力軸を、サンギャに機械式過給機を、かつ、リング
ギャに回転負荷可変体を連結したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、差動駆動過給装置およ
びその制御方法に係わり、特に、建設機械等の車両用の
エンジンの給気を過給し、エンジン出力の増加を図るエ
ンジンの差動駆動過給装置およびその制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、乗用車、トラック、ホィールロー
ダ、クレーン車等、主に、車輪をもって走行する車両用
エンジンにおいては、加速性を確保しつつ、小型高出力
化するために過給機が用いられている。この過給機(ス
パーチャージャ)には、エンジンの出力の一部、あるい
は、他の機関の動力を用いる機械式過給方式と、排気ガ
スを用いるターボチャージャによる過給方式とがある。
機械式過給方式としては、過給機210をエンジン21
1から図72に示すように、ギヤー212、213ある
いはベルト等を介して機械的に直結駆動式にしている。
この直結駆動式では、図73に示すような空気供給状態
となり、エンジン回転速度の低速高負荷領域(A)では
エンジンへの空気の供給は不足状態となり、高速低負荷
領域(B)では供給は超過状態となり、過給機210の
駆動ロスが増大する。
【0003】これを解消するために、図74に示すよう
な差動駆動方式にて過給機210を駆動させる方法が提
案されている。図74の差動駆動方式(イ)では、エン
ジン211の出力軸211aにはプラネタリキャリア2
13が固設して連結され、プラネタリキャリア213に
は通常3個のプラネタリギャー214が等間隔に回転自
在に取着されている。3個のプラネタリギャー214の
内方にはサンギャー215が、また、外方にはリングギ
ャー216が噛合している。サンギャー215の内方に
はエンジン211の出力軸211aが回転自在に配設さ
れている。また、サンギャー215の一端にはギャー2
17が設けられ、このギャー217には機械式過給機2
10用の駆動ギヤー218が噛合している。リングギャ
ー216には車両の動力伝動系220の軸が連結され、
動力伝動系の負荷により機械式過給機210は変動して
回転している。
【0004】また、同じ差動駆動方式にて過給機を駆動
させる方法の図75の差動駆動方式(ロ)では上記とほ
ぼ同じ構成(同一部品には同一符号を付設)よりなり、
差動駆動方式(ロ)ではリングギャー216に、電気、
乾式、油圧等を利用したブレーキ216aを配設してい
る。このブレーキ216aによるひきずり抵抗の強弱で
機械式過給機210の回転力を制御している。
【0005】また、建設機械、運搬機械等では、使用す
る機械によりエンジンの出力性能は低速・中速回転速度
側で高出力を望もの、あるいは、高速回転速度側で高出
力を望ものがある。例えば、パワーショベル等のよう
に、図76に示すごとく、エンジンが高回転速度で高出
力のもの、すなわち、領域Qaで使用されるのでこの範
囲で高出力を出すエンジンが望まれている。また、ブル
ドーザ、ダンプトラック、ホィールローダ、モータグレ
ーダ、あるいは、オンロードトラック等のように、図7
7に示すごとく、特に中・低速回転時に高出力(実線E
L)を出すエンジンが望まれている。しかしながら、現
状のエンジンでは、図77の点線EL−1に示すごと
く、中・低速回転時の出力が低いという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようする課題】ところが、従来の差動駆
動方式(イ)では、ゼロ発進からの加速(車両停止から
の加速)の場合には車両負荷が大きいので、まず、機械
式過給機210の回転速度が高まり、エンジンに十分な
空気が入ってからやっと車両が動きだす。このため、オ
ペレータはアクセル踏み込み初期における停滞感、すな
わち、応答性が悪いという不満が生ずる。差動駆動方式
(ロ)では、エンジンの駆動力の一部がブレーキ等のひ
きずり抵抗により熱のロスとして失われ、燃費が悪化す
るという問題がある。現状のエンジンでは、図77の点
線ELに示すごとく、中・低速回転時に迅速に高出力を
出力するものがないという問題がある。
【0007】これは、現状のエンジンでは、次の問題が
あり達成されない。 中・低速回転域で吸入空気量の限界がある。 筒内圧の最大燃焼圧力にPmaxの限界がある。 低温時に圧縮比を低くとると始動が悪く、始動性に限
界がある。(始動性より、圧縮比は直接噴射式で15〜
17位である。) 図78に示すように、前記、の二つの問題を説明す
る図である。図78において、横軸にエンジンの回転速
度を、縦軸に正味平均有効圧力Pmeを示し、双曲線
(Ar1、Ar2、Ar3)でエンジンの要求する等空
気量の線を示している。また、一点鎖線(Ara)で現
在のエンジンの吸入空気量の限界を、二点鎖線(Pm
l)で現在のエンジンの設計の構造上のバランスからの
最大燃焼圧力(Pmax)の限界を示している。このた
め、現在では点線(Tca)に示す出力トルクが得られ
ている。
【0008】さらに、高出力を得るためにターボ過給機
を採用しているが、従来のターボ過給機は図79に示す
ようなトルクカーブ(Tca)では低速度時(Na)に
は働かない。従って、定格点(Ra)と最大トルク点
(Tmax )とのエンジンに供給されるべき要求空気量の
差が大きくなり、ワイドレンジのコンプレッサマップが
必要となる。このために、コンプレッサはベーンレスタ
イプとしてワイドレンジ化をはかるためコンプレッサ効
率が悪いとともに、空気量の差が大きいため図80に示
すように最高の効率範囲(Laa)を使えない。もし、
定格点(Ra)をこの最高の効率範囲(Laa)に入れ
ると最大トルク点(Tmax )がサージング域(サージン
グラインSaa)に入り使用不可となる。また、最大ト
ルク点(Tmax )をこの最高の効率範囲(Laa)に入
れると定格点(Ra)がチョーク域(チョークラインC
aa)に入りコンプレッサ効率が異常に低下するという
問題がある。また、機械式過給機により、低速で高いト
ルクを出力する高トルク型エンジンを作ると筒内圧力が
高くなり設計上の許容限界を越えてしまい信頼性、耐久
性を確保できない。これを解決するために圧縮比を低く
とると、低温始動性が悪くなるという相反する問題があ
る。さらに、低速領域で正味平均有効圧力を大きくとる
と、低速トルクが大幅に増加し主運動部分の潤滑不良、
あるいは、低速域出力増大に各部の冷却不足が生じ、耐
久性、信頼性が低下するという問題がある。
【0009】本発明は、上記従来の問題点に着目し、差
動駆動過給装置およびその制御方法に係わり、特に、建
設機械等の車両用エンジンで、加速性の良い、小型で高
出力、かつ、低速トルクが大きく、また、燃費が良く得
られるための車両用のエンジンの過給方法およびその装
置の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の第1の発明では、差動駆動装置を介してエ
ンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動駆
動過給装置において、差動駆動装置のプラネタリキャリ
アにエンジン出力の動力軸を、サンギャに機械式過給機
を、かつ、リングギャに回転負荷可変体を連結したこと
を特徴とする。
【0011】第1の発明を主体とする第2の発明では、
回転負荷可変体は、固定型あるいは可変容量型ポンプ、
固定型あるいは可変容量型モータ、固定型あるいは可変
容量型のポンプとモータ兼用のポンプ・モータ、発電
機、電動モータ、発電機と電動モータ兼用の発電機・モ
ータ、または、空気圧縮機のいずれかである。
【0012】第1の発明あるいは第2の発明を主体とす
る第3の発明では、リングギャに接続した回転負荷可変
体に回転を与えて機械式過給機を増減速し、あるいは/
および、リングギャに接続した回転負荷可変体を停止さ
せて機械式過給機を回転する。
【0013】第1の発明あるいは第2の発明を主体とす
る第4の発明では、プラネタリキャリアからのエンジン
の回転速度の変化に合わせてリングギャに接続した回転
負荷可変体を増減速し、機械式過給機をほぼ一定の回転
速度にする。
【0014】第1の発明あるいは第2の発明を主体とす
る第5の発明では、機械式過給機の回転速度を停止させ
たときに、回転負荷可変体のエネルギロスを低減するた
め回転負荷可変体への負荷を低減し回転負荷可変体を空
転するかあるいは回転負荷可変体のエネルギを蓄圧す
る。
【0015】第1の発明、第2の発明あるいは第5の発
明を主体とする第6の発明では、回転負荷可変体のエネ
ルギロスを低減するため回転負荷可変体の容量を低減
し、あるいは、回転負荷可変体の生ずるエネルギを蓄圧
器に蓄える。
【0016】第7の発明では、差動駆動装置を介してエ
ンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動駆
動過給装置において、差動駆動装置のプラネタリキャリ
アにエンジン出力の動力軸を、サンギャに機械式過給機
を、リングギャに回転負荷可変体を、かつ、エンジン出
力軸に回転負荷可変体を駆動する動力源を連結したこと
を特徴とする。
【0017】第7の発明を主体とする第8の発明では、
回転負荷可変体を駆動する動力源が固定型あるいは可変
容量型ポンプ、発電機、あるいは、空気圧縮機のいずれ
かであり、あるいは/および、回転負荷可変体と回転負
荷可変体を駆動する動力源との間に蓄圧器を設けてい
る。
【0018】第9の発明では、差動駆動装置を介してエ
ンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動駆
動過給装置において、差動駆動装置のプラネタリキャリ
アにエンジン出力の動力軸を、サンギャに機械式過給機
を、リングギャに回転負荷可変体を、かつ、回転負荷可
変体を駆動する動力源にアキュムレータあるいはバッテ
リ等の蓄圧器を連結したことを特徴とする。
【0019】第1の発明乃至第9の発明のいずれかを主
体とする第10の発明では、機械式過給機の回転速度を
停止させたときに、回転負荷可変体のエネルギロスを低
減するためリングギャと回転負荷可変体とをクラッチを
介して連結する。
【0020】第11の発明では、差動駆動装置を介して
エンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動
駆動過給装置において、差動駆動装置のプラネタリキャ
リアにエンジン出力の動力軸を、サンギャに機械式過給
機を、リングギャに回転負荷可変体を、かつ、車両の駆
動力伝達系の出力軸に回転負荷可変体により生ずる動力
源を受ける駆動装置を連結したことを特徴とする。
【0021】第11の発明を主体とする第12の発明で
は、回転負荷可変体が固定型あるいは可変容量型ポン
プ、発電機、あるいは、空気圧縮機のいずれかであり、
かつ、駆動装置が固定型あるいは可変容量型モータ、ま
たは、電動モータのいずれかである。
【0022】第1の発明、第7の発明、第9の発明、あ
るいは第11の発明を主体とする第13の発明では、機
械式過給機とエンジンとの間、および、大気とエンジン
との間のそれぞれの吸気管にエンジンへの空気を断続す
る開閉弁と、エンジンの回転速度を検出するエンジン回
転速度センサーと、エンジン回転速度センサーからの所
定の回転速度の信号を受けて開閉弁を開閉する信号を出
力する制御装置とからなる。
【0023】第13の発明を主体とする第14の発明で
は、機械式過給機の回転速度を停止させたときに、機械
式過給機とエンジンとの間の開閉弁を閉じ、大気とエン
ジンとの間の開閉弁を開き、エンジンへの空気を自然吸
気とする信号を開閉弁に出力する制御装置とからなる。
【0024】第1の発明、第7の発明、第9の発明、あ
るいは第11の発明を主体とする第15の発明では、エ
ンジンの回転速度を制御するアクセルと、アクセルの移
動量を検出するアクセル量検出センサーと、エンジンへ
の燃料の噴射量を制御する噴射ポンプのソレノイドと、
噴射ポンプの噴射量を検出するラック位置センサーと、
機械式過給機とエンジンとの間、および、大気とエンジ
ンとの間のそれぞれの吸気管にエンジンへの空気を断続
する開閉弁と、エンジンの回転速度を検出するエンジン
回転速度センサーと、回転負荷可変体の容量を増減する
サーボ体と、回転負荷可変体に動力を与える切換弁と、
アクセル量検出センサー、ラック位置センサーおよびエ
ンジン回転速度センサーからの所定の信号を受けて、噴
射ポンプのソレノイド、切換弁および回転負荷可変体の
サーボ体に信号を出力し、エンジンおよび機械式過給機
の回転速度を制御する制御装置とからなる。
【0025】第15の発明を主体とする第16の発明で
は、機械式過給機を増減速するときに、機械式過給機と
エンジンとの間の開閉弁を開き、大気とエンジンとの間
の開閉弁を閉じ、エンジンへの空気を過給する信号を開
閉弁に出力し、かつ、切換弁に切り換わる信号と、回転
負荷可変体のサーボ体に容量を増加する信号を出力する
制御装置とからなる。
【0026】第16の発明を主体とする第17の発明で
は、機械式過給機をほぼ一定の回転速度にするときに、
機械式過給機とエンジンとの間の開閉弁を開き、大気と
エンジンとの間の開閉弁を閉じ、エンジンへの空気を過
給する信号を開閉弁に信号を出力し、かつ、噴射ポンプ
のソレノイドにエンジンの回転速度の増減の信号と、切
換弁に切り換える信号と、および、回転負荷可変体のサ
ーボ体に回転速度の増減を与える信号を出力する制御装
置とからなる。
【0027】第18の発明では、エンジンの回転速度を
制御するアクセルと、アクセルの移動量を検出するアク
セル量検出センサーと、噴射ポンプの噴射量を検出する
ラック位置センサーと、エンジンの回転速度を検出する
エンジン回転速度センサーと、機械式過給機とエンジン
との間、および、大気とエンジンとの間のそれぞれの吸
気管にエンジンへの空気を断続する開閉弁と、リングギ
ャと回転負荷可変体あるいは回転負荷可変体を駆動する
動力源とを断続するクラッチと、からなり、アクセル量
検出センサー、ラック位置センサーおよびエンジン回転
速度センサーからの所定の信号を受けて、大気とエンジ
ンとの間の開閉弁に開きの信号と、クラッチに遮断する
信号を出力し、エンジンへの空気を自然吸気にし、か
つ、回転負荷可変体のエネルギロスを低減する信号を出
力する制御装置とからなることを特徴とする。
【0028】第19の発明では、エンジンの回転速度を
制御するアクセルと、アクセルの移動量を検出するアク
セル量検出センサーと、噴射ポンプの噴射量を検出する
ラック位置センサーと、エンジンの回転速度を検出する
エンジン回転速度センサーと、回転負荷可変体の容量を
増減するサーボ体と、車両の駆動力伝達系の出力軸に回
転負荷可変体により生ずる動力源を受ける駆動装置のサ
ーボ体と、回転負荷可変体と駆動装置とを断続する切換
弁と、エンジンの出力軸と動力伝達系の出力軸との間の
動力を断続するクラッチと、からなり、アクセル量検出
センサー、ラック位置センサーおよびエンジン回転速度
センサーからの所定の回転速度の信号を受けて、クラッ
チに遮断する信号と、切換弁に回転負荷可変体と駆動装
置とを接続する信号と、回転負荷可変体に容量を増減す
る信号と、駆動装置に容量を増減する信号とを出力し、
エンジンの出力を回転負荷可変体から駆動装置を経て車
両の駆動力伝達系の出力軸に出力する指令を出す制御装
置とからなることを特徴とする。
【0029】第20の発明では、差動駆動装置を介して
エンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動
駆動過給装置において、差動駆動装置のプラネタリキャ
リアにエンジン出力の動力軸を、サンギャに機械式過給
機を、リングギャにブレーキおよびクラッチを介してフ
ライホイールを配設したことを特徴とする。
【0030】第20の発明を主体とする第21の発明で
は、クラッチとフライホイールとの間に正転・逆転の切
換のリバースギャーを配設している。
【0031】第22の発明では、差動駆動装置を介して
エンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動
駆動過給装置において、差動駆動装置のプラネタリキャ
リアにエンジン出力の動力軸を、サンギャに機械式過給
機を、リングギャに車両の駆動力伝達系の変速機、ある
いは、変速機の後方の出力軸からの駆動軸を連結したこ
とを特徴とする。
【0032】第22の発明を主体とする第23の発明で
は、リングギャと、変速機あるいは変速機の後方の出力
軸と、の間に過給機用変速機を配設している。
【0033】第22の発明あるいは第23の発明を主体
とする第24の発明では、サンギャと機械式過給機との
間にワンウェイクラッチを配設している。
【0034】第23の発明を主体とする第25の発明で
は、過給機用変速機が歯車列、プーリ列、ベルト式無段
変速機、トロイダル式無段変速機、油圧ポンプと油圧モ
ータ、油圧ポンプと油圧モータと切換バルブ、発電機と
電気モータ、および可変容量型流体継手のいずれかであ
る。
【0035】第22の発明、第23の発明、第24の発
明あるいは第25の発明のいずれかの主体とする第26
の発明では、差動駆動過給装置において、変速機あるい
は変速機の後方の出力軸と、機械式過給機との間にクラ
ッチを配設している。
【0036】第27の発明では、差動駆動装置を介して
エンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動
駆動過給装置において、差動駆動装置のプラネタリキャ
リアにエンジン出力の動力軸を、サンギャに機械式過給
機を、エンジン出力の動力軸とリングギャとの間にリン
グギャー用無段変速機を配設したことを特徴とする。
【0037】第28の発明では、差動駆動装置を介して
エンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動
駆動過給装置において、差動駆動装置のプラネタリキャ
リアにエンジン出力の動力軸を、サンギャに機械式過給
機を、リングギャにブレーキを配設するとともに、ブレ
ーキを遮断、高速に断続、あるいは、接続のいずれかを
行う高速電磁バルブを設けている。
【0038】第29の発明では、差動駆動装置を介して
エンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動
駆動過給装置において、エンジンの排気回路中に付設さ
れたターボ過給機と、差動駆動装置によりほぼ等馬力を
出力し低速回転速度から高速回転速度までほぼ等しい排
気エネルギをターボ過給機に供給する機械式過給機と、
からなることを特徴とする。
【0039】第30の発明では、差動駆動装置を介して
エンジンの出力で駆動される機械式過給機を用いた差動
駆動過給装置において、エンジンの圧縮比が直接噴射式
で10〜15、あるいは、副室噴射式で10〜20、の
エンジンに付設され、エンジンの始動時に機械式過給機
の回転速度の増速し、機械式過給機により圧縮加熱され
た空気をエンジンに供給することを特徴とする。
【0040】第31の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、リングギャに外部より回転を与えて、サンギャに取
着した機械式過給機の回転速度の増減を制御し、あるい
は/および、リングギャを空転させて、サンギャに取着
した機械式過給機の回転速度の停止することを特徴とす
る。
【0041】第31の発明を主体とする第32の発明で
は、機械式過給機の回転速度の増速時に蓄えられたエネ
ルギを用いる。
【0042】第31の発明を主体とする第33の発明で
は、リングキャの空転時に、エンジンの動力を蓄える。
【0043】第34の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、エンジンの回転速度および負荷を検出し、所定の回
転速度および負荷のときにリングギャを空転させて、サ
ンギャに取着した機械式過給機の回転速度の停止し、あ
るいは/および、所定の回転速度および負荷のときに外
部の回転負荷可変体とリングギャとを遮断してリングギ
ャを空転させて、サンギャに取着した機械式過給機の回
転速度の停止することを特徴とする。
【0044】第35の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、プラネタリキャリアからのエンジンの回転速度の変
化に合わせてリングギャに外部より変化する回転を与え
て機械式過給機をほぼ一定の回転速度に制御することを
特徴とする。
【0045】第36の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、エンジンの動力より生じた動力源によりリングギャ
に外部より回転を与えて、サンギャに取着した機械式過
給機の回転速度の増減を制御することを特徴とする。
【0046】第37の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、エンジンの回転速度および噴射ポンプの噴射量を検
出し、回転速度および噴射ポンプの噴射量に応じて機械
式過給機とエンジンとの間、および、大気とエンジンと
の間のそれぞれの吸気管に設けた開閉弁を開閉し、エン
ジンへ供給する空気を自然吸気あるいは過給吸気に制御
することを特徴とする。
【0047】第38の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、エンジンの回転速度および噴射ポンプの噴射量を検
出し、回転速度および噴射ポンプが所定範囲内の値にあ
るときに、エンジンの出力軸と動力伝達系の出力軸との
間の動力を遮断し、エンジンの動力を差動駆動装置を経
て回転負荷可変体で圧力あるいは電力に変換し、駆動装
置で圧力あるいは電力より動力に戻して車両の駆動力伝
達系の出力軸に出力することを特徴とする。
【0048】第39の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、リングギャに外部より回転を与えて、サンギャに取
着した機械式過給機の回転速度の増減を制御するとき、
エンジンの回転速度およびアクセルペタルの踏み込み量
を検出し、エンジンの回転速度およびアクセルペタルの
踏み込み量に応じて、リングギャに付設した回転負荷可
変体に最大負荷を掛けるか、リングギャに付設したフラ
イホイールにブレーキを掛けるか、リングギャに接続し
たクラツチを接続するか、あるいは、リングギャに接続
した無段変速機の減速比を最大にするか、のいずれかを
行うことを特徴とする。
【0049】第40の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、エンジンの回転速度およびアクセルペタルの踏み込
み量を検出し、エンジンの回転速度およびアクセルペタ
ルの踏み込み量に応じて機械式過給機の増速比を変更
し、エンジンの出力を可変にすることを特徴とする。
【0050】第41の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、エンジン回転速度の低速から高速まで定格出力とほ
ぼ同じ出力を出すことにより、低速から高速までほぼ等
しい排気エネルギをターボ過給機に供給することを特徴
とする。
【0051】第42の発明では、エンジンの回転速度を
差動駆動装置により増速して過給機を駆動し、エンジン
への空気を過給する差動駆動過給装置の制御方法におい
て、機械式過給機の回転速度、あるいは/および仕事量
に応じて、エンジンにより駆動される噴射ポンプや、エ
ンジンの潤滑用、冷却用のポンプ等の補機の回転速度と
エンジンの回転速度との比を可変にすることを特徴とす
る。
【0052】
【作用】上記構成によれば、機械式過給機を差動駆動方
式にて駆動し、プラネタリギヤーにエンジンの駆動力を
入力し、サンギャーに機械式過給機を、また、リングギ
ャーに回転負荷可変体、即ち、固定型あるいは可変容量
型ポンプ、固定型あるいは可変容量型モータ、固定型あ
るいは可変容量型のポンプとモータ兼用のポンプ・モー
タ、発電機、モータ、発電機とモータ兼用の発電機・モ
ータ、あるいは、空気圧縮機のいずれかを接続し、回転
負荷可変体を制御することにより機械式過給機の回転
力、回転速度を外部より制御する。これにより、 (1)ポンプあるいはモータの吐出容積の可変容量化
(例えば、斜板の制御により吐出量の可変化)あるいは
ポンプ、モータの吐出圧力の可変化、もしくは、発電機
あるいは空気圧縮機の負荷を可変化することにより、機
械式過給機の回転力、回転速度を外部より制御してエン
ジンへの空気の供給量を制御する。これにより、ゼロ発
進からの加速も含めて応答性の良い車両運動性能が得ら
れる。 (2)ポンプあるいはモータの吐出容積の可変容量化、
もしくは、油圧ポンプ、モータの吐出圧力の可変化、も
しくは、発電機の負荷の可変化により機械式過給機を外
部より制御するので、ひきずり抵抗がなく、エネルギー
ロスがほとんどない。さらに、エネルギーはアキュムレ
ータあるいはバッテリーに保存される。 (3)車両の急発進時に、例えば、機械式過給機を急激
に加速させたいときにはアキュムレータあるいはバッテ
リーに蓄えられたエネルギーを放出して機械式過給機の
加速を援助でき、エネルギーを有効に活用できる。 (4)所定の回転速度では、車両の駆動力に回転負荷可
変体を駆動源として用いることができるので、エネルギ
ーを有効に活用できる。 (5)産業車両、建設機械等の作業用の油圧源を用いる
ことにより、構造が簡単で、安価で、高効率の機械式過
給機の差動駆動方式が得られる。
【0053】(6)リングギャにブレーキおよびクラッ
チを介してフライホィール等の慣性体を付設することに
より、車両の低速時にフライホィール等の慣性体を用い
て機械式過給機を急激に加速することができ、低速時の
エンジンの出力を高くする。また、高速時には、クラッ
チを切断することに機械式過給機を停止することがで
き、高速時のエンジンの出力を低くして、燃費を向上す
る。また、車両の減速時にクラッチを接続して、フライ
ホィール等の慣性体にエネルギーを蓄え、再発進時にそ
のエネルギーを用いて機械式過給機をさらに急激に加速
することができ、低速時のエンジンの出力をさらに高く
する。また、長時間運転時、あるいは、登坂時にブレー
キを作動することにより、機械式過給機を回転すること
ができ、加速時のエンジンの出力を高くする。 (7)リングギャの駆動に車両駆動系の変速機の後方の
出力軸から駆動力をうることにより、低速時には、機械
式過給機を急激に加速することができ、高速時には機械
式過給機の回転を一定に保つことができる。また、機械
過給機にワンウェイクラッチを付設することにより、段
階的な変速機の変速にもかかわらず機械過給機の回転を
滑らかに変速する。 (8)リングギャの駆動に車両駆動系の変速機の後方の
出力軸から駆動力をうるとともに、過給機用変速機を介
して駆動することにより、作業等用途に応じて機械過給
機の回転を選択でき、最適の所要のエンジンの低速時の
出力が得られる。 (9)エンジンの出力軸とリングギャの間にリングギャ
用無段変速機を挿入することにより、差動駆動装置の増
速比を可変にでき、加速初期には増速比を大きくして加
速力を増し、また、加速後期には増速比を小さくして機
械過給機をゆっくり回し、定常走行への移行をスムーズ
にする。上記のごとく、低速高トルク型で、燃料経済性
の高い、しかも、小型で安価な応答性のよいパワーライ
ンを得ることができる。
【0054】(10)リングギャにクラッチを装着し
て、このクラッチを高速電磁バルブによりクラッチを遮
断、高速に断続、あるいは、接続のいずれかを行ない低
速高トルクをうるため、小型で安価な応答性のよいパワ
ーラインを得られるとともに、ゼロ発進からの加速も含
めて応答性の良い車両運動性能が得られる。また、高速
に遮断、あるいは、接続をしているので従来のようにブ
レーキをひきずることなく耐久性、信頼性がある。 (11)機械過給機とターボ過給機とを組み合わせると
ともに、差動駆動装置により機械過給機を駆動して等出
力を出力している。 (12)機械過給機とターボ過給機とを組み合わせると
ともに、差動駆動装置により機械過給機を駆動して等出
力を出力し排気エネルギを一定にしている。この一定の
排気エネルギによりターボ過給機の回転速度を一定で回
転することができるため、ブロウレンジのマップのディ
フューザ付きのコンプレッサが使用できる。従って、コ
ンプレッサ効率を最高の効率範囲(Laa)で使える。 (13)低速時に、高速で機械過給機により過給して、
亜断熱圧縮により吸気温度を上昇させるため、圧縮比を
下げても低温始動性を確保できる。 (14)圧縮比が下げられるために正味平均有効圧力は
高く設定でき、低速時の高トルクを出力するエンジンが
得られる。 (15)差動駆動装置により機械過給機が駆動され、常
に等量の空気を過給してエンジンに送り込むことができ
るので、低速域では従来のターボチャージャ付きエンジ
ンでは問題となるターボラグ、すなわち、加速時の初期
に過給遅れからくる停滞感を解消できる。また、中高速
ではターボチャージャにかわって機械過給機による高出
力化を実現できる。 (16)機械過給機の回転速度がエンジン回転速度によ
らず差動駆動装置により任意に制御することが可能とな
り、また、必要に応じた機械過給機の増・減速を行なう
ことで必要時の高い過給圧の確保と、軽負荷時の駆動ロ
ス低減を両立できる。これにより、高出力、高トルク化
と総合燃料消費率の低減を同時に実現できる。 (17)エンジンの回転速度が低速時に補機類を高速で
回転させるため、潤滑、冷却、あるいは、燃料噴射が十
分に行える。
【0055】
【実施例】以下に、本発明に係わる差動駆動過給装置お
よびその制御方法の実施例を図面を参照して詳細に説明
する。図1は、本発明に係る第1実施例を示す差動駆動
過給装置の概念図である。エンジン1の出力軸1Aには
差動遊星歯車装置10が付設され、差動遊星歯車装置1
0には機械式過給機20と可変容量型油圧モータ30
(以下、可変油圧モータ30という。)とが付設されて
いる。また、エンジン1の出力軸1Bには車両の駆動力
伝達系40が接続され、さらに、出力軸1Bからギャー
2、3を介して可変容量型油圧ポンプ50(以下、可変
油圧ポンプ50という。)が配設されている。可変油圧
ポンプ50からの配管51には可変油圧モータ30への
圧油を給排する電磁切換弁52が、また、配管51から
分岐した配管51aには掘削、積み込み等の作業機のシ
リンダ53への切換弁54が接続されている。また、可
変油圧モータ30と電磁切換弁52の間は配管33、3
5にて、シリンダ53と切換弁54の間は配管55にて
接続されている。可変油圧ポンプ50からの吸い込み配
管56と可変油圧モータ30からの戻り配管57は電磁
切換弁52を経て油圧タンク58に接続されている。可
変油圧モータ30と電磁切換弁52の間は配管33には
吸込弁34が、配管35には安全弁36が配設されてい
る。可変油圧ポンプ50と可変油圧モータ30には、油
圧ポンプおよび油圧モータの吐出容積を変えるサーボ弁
50a、30aがそれぞれに付設され、コントローラ等
の制御装置60からの指令によりサーボ弁50a、30
aが作動し吐出容積を変える。切換弁54(クローズド
センタ・ロードセンシング弁)は操作レバー59に接続
され、運転手の操作により切り替えられる。操作レバー
59は油圧パイロット方式を示しているが、直引レバ
ー、電気レバー等を用いても良い。
【0056】機械式過給機20の吸入側は図示しないフ
イルターを経て大気Uに、また、機械式過給機20と図
示しないフイルターの間の配管21より分岐した配管2
1aには開閉弁22が配設され、配管21aはエンジン
1の吸気管23に接続されている。機械式過給機20の
吐出側の配管24には開閉弁25が配設され、配管25
はエンジン1の吸気管23に接続されている。開閉弁2
2、開閉弁25は制御装置60に接続され、制御装置6
0からの指令により開閉し、大気から図示しないフィル
ターを介して配管21a、開閉弁22、吸気管23から
直ちに空気をエンジンに供給するか、あるいは、機械式
過給機20を経て配管24、開閉弁25、吸気管23か
ら空気をエンジン1に供給するの切り替えを行う。
【0057】制御装置60には、アクセル61の踏み込
み量を検出するアクセル量検出センサー62と、エンジ
ン1の回転数を検出するエンジン回転数センサー63
と、車両の駆動力伝達系40からタイヤの間の回転速度
を検出し車速を検出する車速検出センサー64と、エン
ジンの燃料の噴射量を制御する噴射ポンプ65のラック
位置を検出するラック位置センサー66と、操作レバー
59の位置を検出する操作レバー位置センサー67と、
シフトレバー68に付設してあるシフト位置センサー6
9とが入力信号として入る。また、制御装置60には、
エンジン1の燃料の噴射量を制御する噴射ポンプ65の
ソレノイド70と、前記の可変油圧ポンプおよび可変油
圧モータのサーボ弁50a、30aと、前記の機械式過
給機20の開閉弁22、開閉弁25とが接続され、制御
装置60からの指令によりそれぞれが作動する。
【0058】差動遊星歯車装置10は、サンギャー11
と、プラネタリギャー12と、プラネタリキャリア13
と、リングギャー14とからなり、差動遊星歯車装置1
0にはエンジン出力軸1Aに固設されたギヤー6と、ギ
ヤー6に噛みあい、かつ、プラネタリキャリア13に固
設されたギヤー7からエンジン1の動力が入力される。
プラネタリキャリア13には通常3個のプラネタリギャ
ー12が等間隔に回転自在に取着されている。3個のプ
ラネタリギャー12の内方にはサンギャー11が、ま
た、外方にはリングギャー14が噛合している。サンギ
ャー11には機械式過給機20が配設されている。リン
グギャー14の内方にはプラネタリキャリア13の軸1
3aが回転自在に配設されている。リングギャー14の
外方のギャー14aにはギヤー8が噛み合い、このギヤ
ー8には可変油圧モータ30が配設されている。
【0059】駆動力伝達系40は各種のミッション等が
あるが、遊星歯車装置と油圧クラッチ等のミッション、
あるいは、遊星歯車装置と電磁クラッチ等のミッション
でも良い。駆動力伝達系40は最約的にはタイヤ41に
伝達される。タイヤ部にはブレーキ42が付設されてい
る。
【0060】上記構成において、次に作動について説明
する。まず、図2および図3を用いて、エンジン1と、
差動遊星歯車装置10と、機械式過給機20と、可変油
圧モータ30の回転速度の相互の関係を説明する。図2
は差動遊星歯車装置10の噛み合いの側面図であり、真
ん中のサンギャー11に機械式過給機20が取着され、
その外側の3個のプラネタリギャー12には、プラネタ
リキャリア13を介して(図1では、さらにギャー6、
7を介している)エンジン1に連結され、外側のリング
ギャー14に可変油圧モータ30が取着されている(図
1では、ギャー14a、ギヤー8を介して、ギヤー8に
取着されている)。図3は相互の回転速度関係を示す図
であり、横軸に可変油圧モータ30の回転速度を、縦軸
に機械式過給機20の回転速度を示し、さらに、エンジ
ン1の回転速度の一部を実線の斜線で示している。
【0061】図3において、(1)の位置ではエンジン
1は回転速度700rpmで回転していることを示し、
このとき機械式過給機20の回転速度はゼロ(停止)で
あり、かつ、可変油圧モータ30は可変油圧ポンプ50
から電磁切換弁52の中立位置(チ)を介して油を供給
されて、所定の回転速度で空転していることを示す。こ
のとき、可変油圧モータ30は斜板を立てて押しのけ容
積(吐出容積)をゼロにしておくとエネルギーロスが低
減される。また、このとき、エンジン1への空気の供給
は開閉弁22が開き自然吸気(過給されない状態)によ
り行われている。この状態は図2では、エンジン1の回
転速度700rpmはプラネタリギャー12の回転速度
となり、図示では(Ee)にて表している。可変油圧モ
ータ30の回転速度はリングギャー14の回転速度とな
り、図示では(a)の位置で表している。機械式過給機
20の回転速度はサンギャー11の回転速度となり、図
示では(1)の位置で表している。
【0062】以下において、図3の位置の符号(1)、
(2)・・には、図2では機械式過給機20の回転速度
は(1)、(2)・・で示し、また、図3の位置の符号
(1)、(2)・・・に対応して、可変油圧モータ30
の回転速度は図2では符号(a)、(b)・・・で示し
ている。次に、エンジン1の回転速度を上昇させるため
アクセルペタル1を操作すると、アクセル量検出センサ
ー62の検出により制御装置60は油圧モータのサーボ
弁30aに指令を送るとともに、電磁切換弁52に指令
を出力する。サーボ弁30aは指令を受けて可変油圧モ
ータ30に所定量の押しのけ容積を出すために斜板を傾
け、電磁切換弁52は位置(リ)に切り換わる。これに
より、可変油圧モータ30からの戻りの配管35が電磁
切換弁52により遮断されて可変油圧モータ30に圧力
が掛かりモータの回転は停止する。モータの停止により
機械式過給機20は所定の回転速度で回転を始める。こ
のとき、機械式過給機20の吐出側の開閉弁25は制御
装置60からの指令により開く。この時の可変油圧モー
タ30の回転速度は図2では(b)の位置にあり、機械
式過給機20の回転速度は図3および図2では(2)の
位置にある。
【0063】機械式過給機20が回転しエンジン1に空
気を供給すると、さらにエンジン1はアクセルペタル6
1の操作量に応じて急速に回転速度を増す。エンジンの
回転速度が所定速度に増したのをエンジン回転数センサ
ー63で検出し、制御装置60は油圧ポンプのサーボ弁
50aに指令を送り、可変容量型油圧ポンプ50から圧
油を吐出させるとともに、サーボ弁30aは指令を受け
て可変油圧モータ30に所定量の押しのけ容積を出すた
めに斜板を傾ける。またこのとき、制御装置60は電磁
切換弁52に指令を出力し、電磁切換弁52は位置
(ヌ)に切り換える。可変容量型油圧ポンプ50からの
圧油は電磁切換弁52を介して可変油圧モータ30に送
り、所定の回転速度でモータを回転させる。この時の可
変容量型油圧モータ30の回転速度は図2では(c)の
位置にあり、機械式過給機20の回転速度は図3および
図2では(3)の位置にある。
【0064】さらに、エンジン1の回転速度が増し、例
えば、1400rpmに達すると、上記と同様に、エン
ジン回転数センサー63で検出し、制御装置60は油圧
ポンプのサーボ弁50aに指令を送り、可変油圧ポンプ
50から圧油を増加させ、さらに高い所定の回転速度で
モータを回転させる。これにより、エンジン1の回転速
度の増加とともに、モータの駆動により機械式過給機2
0の回転速度は急速に増加する。この位置は図2では
(d)の位置にあり、図3および図2では(4)の位置
にある。
【0065】さらに、エンジン1の回転速度が、例えば
1400rpm以上になると、上記と同様に、エンジン
回転数センサー63で検出し、制御装置60は可変油圧
ポンプのサーボ弁50aに指令を送り、可変油圧ポンプ
50からの圧油を減少させて、可変油圧モータの回転速
度を所定の回転速度に低下させる。これにより、可変油
圧モータの回転速度により駆動される機械式過給機20
の回転速度は減少するが、一方エンジン1の回転速度の
増加により機械式過給機20の回転速度は増加するた
め、機械式過給機20の回転速度はほぼ一定の回転速度
で回転し、エンジン1への空気の供給量はほぼ一定とな
る。このため、過剰な空気の供給がなくなりエネルギロ
スを低減できる。この位置は図2では(e)の位置にあ
り、図3および図2では(5)の位置にある。
【0066】さらに、エンジン1の回転速度が、例えば
2100rpmに達すると、上記と同様に、可変油圧ポ
ンプ50から圧油をさらに減少させて、可変油圧モータ
の回転速度をさらに低い所定の回転速度に低下させる。
これにより、機械式過給機20の回転速度も減少し、エ
ンジン1への空気の供給量はさらに少なくなる。この位
置は図2では(f)の位置にあり、図3および図2では
(6)の位置にある。
【0067】エンジン1の回転速度が、例えば2100
rpm以上で安定すると、過剰な空気の供給をなくすと
ともに、機械式過給機20の機械エネルギーの損失を防
止するため、機械式過給機20の回転速度はゼロ(停
止)にする。700rpmのときと同様に、可変油圧モ
ータ30は可変油圧ポンプ50から電磁切換弁52の中
立位置(チ)を介して油を供給されて、所定の回転速度
で空転していることを示す。このとき、可変油圧モータ
30は前記と同様に斜板を立てて押しのけ容積をゼロに
しておくとエネルギーロスが低減される。またこのと
き、機械式過給機20の吐出側の開閉弁25は制御装置
60からの指令により閉じるとともに、開閉弁22を開
き自然吸気をさせる。これにより過剰な空気の供給がな
くなりエネルギロスを低減できる。この位置は図2では
(g)の位置にあり、図3および図2では(7)の位置
にある。
【0068】次に、車両、例えばホイールローダ等の建
設車両、に用いた場合について説明する。図4は、ホイ
ールローダの作業状態を示す図であり、停止状態から砂
山等に突っ込み、ローデイング作業を行い、後退後に停
止し(1)、その後に前進加速し〔(2)から(6)〕
ながらダンプ等に接近し停止して(7)排土する作業を
示している。図5はホイールローダの作業状態時のエン
ジンと空気供給の状態を示し、横軸にエンジン回転速度
を、縦軸にエンジンの1サイクルにおける正味平均有効
圧Pmeをとり、実線にて機械式過給機20および自然
吸気による空気の供給量の区分を図示している。なお、
図2から図5に用いた記号のの位置(1)、(2)・・
は対応しているために、以下では、エンジンと過給機と
油圧モータの回転速度の相互の関係の説明は省略し、機
械式過給機の回転速度と正味平均有効圧Pmeについて
説明する。
【0069】図4において、(1)の位置ではホイール
ローダは後退後に停止している状態であり、機械式過給
機20の回転速度もゼロ(停止)になり、エンジン1は
自然吸気を行ない正味平均有効圧Pmeは線(イ)以下
である。次に、図4の(2)から(3)へ、エンジン1
の回転速度を上昇させるためアクセルペタル1を操作し
つつ、かつ、操作レバー59を操作し、切換弁54を作
動させてバケットを上昇して車両の加速を行うと、エン
ジン1には図5の自然吸気の領域の(1)の位置から二
点鎖線に沿って機械式過給機20からの空気の供給が始
まり、正味平均有効圧Pmeは(2)の領域から(3)
領域へと増加して、エンジンの回転速度および出力は急
速に増加し、車両の速度を増していく。
【0070】さらに、車両の速度を増し、一定の走行速
度になるまでは、機械式過給機20からの空気の供給を
増加して、正味平均有効圧Pmeを高めて(4)の領域
にいき、エンジンの回転速度および出力を増加し、車両
の速度も増していく。車両の速度が増し、エンジン回転
速度も高速になるにしたがい過剰な空気の供給をさける
ために機械式過給機20からの空気量をほぼ一定に保
つ。また、このときエンジンの回転速度と車両の速度と
の関係から制御装置60は噴射ポンプ65のソレノイド
70に指令を送りエンジンの燃料の噴射量を制御し、正
味平均有効圧Pmeを下げて(5)の領域に移行してい
く。
【0071】車両の速度を増し、一定の走行速度になる
と、エンジンの回転速度と車両の速度との関係から制御
装置60は機械式過給機20からの空気の供給を減少す
るために機械式過給機20の回転速度を減少していき、
正味平均有効圧Pmeを(6)の領域に移行し、そこか
らさらにエンジン1の回転速度が所定の回転速度に達す
ると、機械式過給機20を停止して自然吸気を行ない正
味平均有効圧Pmeは線(イ)以下のエンジン高速
(7)の領域に移行する。これにより、応答性、燃費の
良い車両が得られる。
【0072】図6は、本発明に係る第2実施例を示す差
動駆動過給装置の概念図である。第2実施例は第1実施
例と差動遊星歯車装置70の配置、および、機械式過給
機20はギヤーを介して駆動されている点が異なる。以
下、第2実施例について説明するが、以下では同様に第
1実施例あるいは他の実施例と同一部品には同一符号を
付して説明は省略する。また、以下では、差動遊星歯車
装置70の構成、可変油圧ポンプおよび可変油圧モータ
の配置のみを示し、他の構成部材は省略する。
【0073】差動遊星歯車装置70は車両の駆動力伝達
系40を駆動するエンジン1の出力軸1Bに配設されて
いる。差動遊星歯車装置70には、エンジン出力軸1B
に固設されたプラネタリキャリア71からエンジン1の
動力が入力される。プラネタリキャリア71には通常3
個のプラネタリギャー12が等間隔に回転自在に取着さ
れ、3個のプラネタリギャー12の内方にはサンギャー
72が、また、外方にはリングギャー14が噛合してい
る。サンギャー72の分岐したギヤー72aにはギヤー
73が噛み合い、ギヤー73には機械式過給機20が配
設されている。
【0074】上記構成において、作動については第1実
施例と同一のため説明は省略する。
【0075】図7は、本発明に係る第3実施例を示す差
動駆動過給装置の概念図である。第3実施例は第2実施
例に対してエンジン1の出力軸1Bで、かつ、差動遊星
歯車装置70と駆動力伝達系40の間にクラッチ80を
配設し、さらに、可変油圧ポンプ50を差動遊星歯車装
置70に、また、可変油圧モータ30をクラッチ80後
の駆動力伝達系40側のギヤー3に、互いに入れ換えて
配設している。クラッチ80は制御装置60からの指令
により電磁バルブ81を介した油圧により断続を行う。
クラッチ80に接続された出力軸1Cには車両の駆動力
伝達系40が接続されている。
【0076】上記構成において、次に作動について説明
する。まず、図8および図9を用いて、エンジン1と、
差動遊星歯車装置70と、機械式過給機20と、可変油
圧モータ30の回転速度の相互の関係を説明する。図8
は差動遊星歯車装置70の噛み合いの側面図であり、本
実施例はサンギャー72の分岐したギヤー72aにギヤ
ー73が噛み合い、ギヤー73に機械式過給機20が取
着されているが、図示では真ん中のサンギャーに機械式
過給機20が取着されているように図示している。その
外側の3個のプラネタリギャー12には、プラネタリキ
ャリア71を介してエンジン1に連結され、外側のリン
グギャー14に可変油圧ポンプ50が取着(噛み合って
いる)されている。図9は相互の回転速度関係を示す図
であり、横軸に可変油圧ポンプ50の回転速度を、縦軸
に機械式過給機20の回転速度を示し、さらに、エンジ
ン1の回転速度の一部を実線の斜線で示している。
【0077】図9において、(1a)の位置ではエンジ
ン1は回転速度700rpmで回転していることを示
し、このとき機械式過給機20の回転速度はゼロ(停
止)であり、かつ、可変油圧ポンプ50は所定の回転速
度で空転していることを示す。このとき、可変油圧ポン
プ50は斜板を立てて押しのけ容積をゼロにしておくと
エネルギーロスが低減される。また、クラッチ80は制
御装置60からの指令により電磁バルブ81が中立位置
にあり、接続していない。また、このとき、エンジン1
への空気の供給は開閉弁22が開き自然吸気により行わ
れている。この状態は図8では、可変容量型油圧ポンプ
50の回転速度が(p)の位置で示され、機械式過給機
20の回転速度が(1a)の位置で示されている。
【0078】以下において、図8では機械式過給機20
の回転速度は(1a)、(2a)・・で示し、可変油圧
ポンプ50の回転速度は図2では符号(p)、(q)・
・・で示している。次に、エンジン1の回転速度を上昇
させるためアクセルペタル61を操作すると、アクセル
量検出センサー62の検出により制御装置60はサーボ
弁50aに指令を送る。サーボ弁50aは指令を受けて
可変油圧ポンプ50に所定量の押しのけ容積を出すため
に斜板を傾ける。これにより、可変油圧ポンプ50に圧
力が掛かりポンプの回転は停止する。可変油圧ポンプの
停止により機械式過給機20は所定の回転速度で回転を
始める。このとき、機械式過給機20の吐出側の開閉弁
25は制御装置60からの指令により開く。クラッチ8
0は制御装置60からの指令により電磁バルブ81は、
中立位置にあり、接続していない。エンジンの出力トル
クは駆動力伝達系40に伝達されていない。この時の可
変油圧ポンプ50の回転速度は図8では(q)の位置に
あり、機械式過給機20の回転速度は図9および図8で
は(2a)の位置にある。
【0079】機械式過給機20が回転しエンジン1に空
気を供給すると、さらにエンジン1はアクセルペタル6
1の操作量に応じて急速に回転速度を増す。エンジンの
回転速度が増加するのをエンジン回転数センサー63で
検出しながら、制御装置60はサーボ弁50aに指令を
送り、可変油圧ポンプ50から圧油を吐出させてポンプ
に負荷を掛けて、ポンプの回転を依然として停止させ続
ける。このとき、機械式過給機20の回転速度はエンジ
ン1の回転速度の増速に伴い増加する。これは、例え
ば、1400rpmに達するまで続けられる。この時の
可変油圧ポンプ50の回転速度は図8では(q)の位置
にあり、機械式過給機20の回転速度は図9および図8
では(3a)の位置にある。
【0080】さらに、エンジン1の回転速度が増し、例
えば、1400rpm以上になると、上記と同様に、エ
ンジン回転数センサー63で検出し、制御装置60はサ
ーボ弁50a、切換弁53、および、可変油圧モータの
サーボ弁30aに指令を送る。これにより、切換弁53
が作動して切り替わり、可変油圧ポンプ50は回転を始
めて圧油を可変油圧モータ30に送る。サーボ弁30a
は指令を受けて可変油圧モータ30の斜板を所定量の押
しのけ容積を出すために傾ける。これにより、可変油圧
モータ30は回転を始めて出力トルクをギャー2、3を
介して出力軸1Cから車両の駆動力伝達系40から出力
する。これにより車両へのトルク供給が急激に開始され
加速良く車両が発進する。また、このとき、エンジン1
の回転速度の増加と可変油圧ポンプ50の回転開始に伴
い機械式過給機20の回転速度はほぼ一定の回転速度に
なり、エンジン1への空気の供給量もほぼ一定になる。
このため、過剰な空気の供給がなくなりエネルギロスを
低減できる。この位置は図9および図8では(4a)の
位置にあり、図8では(r)の位置にある。
【0081】さらに、エンジン1の回転速度が、例えば
2100rpmに達すると、上記と同様に、エンジン回
転数センサー63で検出し、制御装置60からの指令に
より電磁バルブ81を操作位置に切り替え、クラッチ8
0を接続する。これにより、エンジン1の出力は、クラ
ッチ80を介して車両の駆動力伝達系40から出力する
直結駆動に切り替えられる。このため、油圧駆動よりも
効率がよくなる。また、このとき、車両駆動負荷が高い
うちは、機械式過給機20の回転速度はそれにみあう高
速で安定し、エンジン1への空気の供給量を確保しつづ
ける。この位置は図9および図8では(5a)、(r)
の位置にある。このとき可変油圧ポンプ50は斜板を立
てて、押しのけ容積をゼロとし、空転状態としておくこ
とでエネルギロスをゼロとしておく。
【0082】次に車両が一定走行となり、負荷の近い高
速運転、例えば2100rpm以上で安定すると、機械
式過給機20の負荷抵抗が相対的に増加するので、機械
式過給機20の回転速度はほぼゼロ(停止)となってバ
ランスする。またこのとき、機械式過給機20の吐出側
の開閉弁25は制御装置60からの指令により閉じると
ともに、開閉弁22を開き自然吸気をさせる。これによ
り過剰な空気の供給がなくなりエネルギロスを低減でき
る。この位置は図8、図9では(6a)、(S)の位置
にある。
【0083】次に、前記と同様に図4に示す車両に用い
た場合について説明する。図10は図5と同様に、横軸
にエンジン回転速度を、縦軸にエンジンの1サイクルに
おける正味平均有効圧Pmeをとり、実線にて機械式過
給機20および自然吸気による空気の供給量の区分を図
示しており、2点鎖線に沿ってエンジン1が上昇した場
合について説明する。なお、図9に用いた記号の位置
(1a)、(2a)・・と図10の記号は対応している
ために、以下では、エンジンと過給機と油圧モータの回
転速度の相互の関係の説明は省略し、機械式過給機の回
転速度と正味平均有効圧Pmeについて説明する。
【0084】(い)のエンジン1の回転速度が低い領域
では、ホイールローダは停止している状態であり、機械
式過給機20の回転速度もゼロ(停止)になり、エンジ
ン1は自然吸気を行ない正味平均有効圧Pmeは線
(い)以下である。 (ろ)領域では、機械式過給機20からの空気の供給が
始まり、正味平均有効圧Pmeは増加して、エンジンの
回転速度および出力は急速に増加し、車両の速度を増し
ていく。 (は)の領域では、車両の速度を増し、一定の走行速度
になるまでは、機械式過給機20からの空気の供給を増
加して、エンジンの回転速度および出力を増加し、車両
の速度も増し、さらに、一定の走行速度になると、エン
ジンの回転速度と車両の速度との関係から制御装置60
は機械式過給機20からの空気の供給を減少するために
機械式過給機20の回転速度を減少して行く。 エンジ
ン1の回転速度が所定の回転速度に達すると、機械式過
給機20を停止して自然吸気を行ない正味平均有効圧P
meは線(イ)以下のエンジン1の高速領域(い)に移
行する。
【0085】図11は、本発明に係る第4実施例を示す
差動駆動過給装置の概念図である。第3実施例は、リン
グギャー14の外方のギャー14aにはギヤー8が噛み
合い、このギヤー8には可変油圧モータ30が配設され
ているのに対して、第4実施例では可変油圧モータ30
の代わりに可変容量型油圧ポンプ・モータ90(以下、
油圧ポンプ・モータ90という。)が配設され、さら
に、油圧ポンプ・モータ90には電磁制御弁100を介
してアキュムレータ110が接続されている。
【0086】上記構成において、次に作動について説明
する。図12はエンジン1と、差動遊星歯車装置70
と、機械式過給機20と、油圧ポンプ・モータ90の回
転速度の相互の関係を示す。図11は差動遊星歯車装置
70の噛み合いの側面図である。図13の(1a)の位
置ではエンジン1は回転速度700rpmで回転してい
ることを示し、このとき機械式過給機20の回転速度は
ゼロ(停止)であり、かつ、油圧ポンプ・モータ90は
油圧ポンプとして所定の回転速度で回転し、アキュムレ
ータ110に蓄圧する。この状態は、油圧ポンプ・モー
タ90の回転速度が(s)の位置で示され、機械式過給
機20の回転速度が(1a)の位置で示されている。
【0087】次に、(2a)の位置では、エンジン1の
回転速度を上昇させるためアクセルペタル等を操作する
と、アクセル量検出センサー62の検出により制御装置
60は油圧ポンプ・モータ90のサーボ弁90aに指令
を送る。サーボ弁90aは指令を受けて油圧ポンプ・モ
ータ90に可変油圧ポンプとして所定量の押しのけ容積
を出すために斜板を傾ける。これにより、油圧ポンプ・
モータ90に圧力が掛かり油圧ポンプ・モータ90は油
圧ポンプとして作用しその回転は停止する。ポンプの停
止により機械式過給機20は所定の回転速度で回転を始
める。このとき、機械式過給機20の吐出側の開閉弁2
5は制御装置60からの指令により開く。この状態は、
油圧ポンプ・モータ90の回転速度が(t)の位置で示
され、機械式過給機20の回転速度が(2a)の位置で
示されている。
【0088】機械式過給機20が回転しエンジン1に空
気を供給すると、さらにエンジン1はアクセルペタル等
の操作量に応じて急速に回転速度を増す。エンジンの回
転速度が増加するのをエンジン回転数センサー63で検
出しながら、制御装置60は電磁制御弁100に指令を
出力し、油圧ポンプ・モータ90とアキュムレータ11
0を接続する。それと同時に油圧ポンプ・モータ90の
サーボ弁90aに指令を送り、サーボ弁90aは指令を
受けて油圧ポンプ・モータ90に可変油圧モータとして
所定量の押しのけ容積を出すために斜板を傾ける。これ
により、油圧ポンプ・モータ90はアキュムレータ11
0からの圧油を受けて油圧モータとして回転を始め、機
械式過給機20の回転速度を急加速で(2a)から(3
a)に増速する。この状態は、油圧ポンプ・モータ90
の回転速度が(v)の位置で示され、機械式過給機20
の回転速度が(3a)の位置で示されている。
【0089】さらに、エンジン1の回転速度が増し、例
えば2100rpm迄は、上記と同様に、エンジン回転
数センサー63で検出し、制御装置60は油圧ポンプ・
モータ90のサーボ弁90aに指令を送り、サーボ弁9
0aは斜板の傾きを大きくして押しのけ容積を多くし、
油圧ポンプ・モータ90の油圧モータとしての回転速度
を減速し、エンジン1への空気量を調整する。この状態
は、油圧ポンプ・モータ90の回転速度が(w)の位置
で示され、機械式過給機20の回転速度が(4a)の位
置で示されている。
【0090】エンジン1の回転速度が、例えば2100
rpm以上で安定すると、油圧ポンプ・モータ90は可
変油圧ポンプとして所定の回転速度で回転し、アキュム
レータに蓄圧する。アキュムレータの蓄圧が所定量に達
すると、油圧ポンプ・モータ90は空転する。この状態
は、油圧ポンプ・モータ90の回転速度が(y)の位置
で示され、機械式過給機20の回転速度が(5a)の位
置で示されている。このとき、機械式過給機20の機械
エネルギーの損失を防止するため、機械式過給機20の
回転速度はほぼゼロ(停止)にする。またこのとき、機
械式過給機20の吐出側の開閉弁24は制御装置60か
らの指令により閉じるとともに、開閉弁22を開き自然
吸気をさせる。これにより過剰な空気の供給がなくなり
エネルギロスを低減できる。または、機械式過給機20
からの過給圧力を電磁リリーフ弁にて低圧し、アンロー
ドさせる。
【0091】次に、図14に機械式過給機の回転速度と
正味平均有効圧Pmeについて示すが、前記と同様に図
4に示す車両に用いた場合についての機械式過給機20
および自然吸気による空気の供給量の区分は、第3実施
例に対して、区分を多くしたのみであるため説明は省略
する。
【0092】図15は、本発明に係る第5実施例を示す
差動駆動過給装置の概念図であり、第2実施例に第4実
施例で用いたアキュムレータを装着している。第5実施
例では、可変油圧ポンプ50と切換弁53との間にアキ
ュムレータ110が配設されている。機械式過給機20
の回転速度を急加速で増速するときには、制御装置60
は切換弁53を作動する図示しない電磁比例弁に指令を
出力し、可変油圧ポンプ50およびアキュムレータ11
0と可変油圧モータ30とを接続し、可変油圧ポンプ5
0からの圧油の供給とともに、アキュムレータ110か
らも圧油を供給して油圧モータを回転させ、リングギャ
ー14を介して機械式過給機20を回転させる。
【0093】機械式過給機20の回転速度がゼロのとき
は、可変油圧ポンプ50からの圧油はアキュムレータ1
10に蓄圧し、アキュムレータ110の蓄圧が所定量に
達すると、可変油圧ポンプ50は空転する。その他の相
互の回転速度関係、あるいは、車両に用いた場合につい
ての説明は第4実施例とほぼ同一のため省略する。
【0094】図16は、本発明に係る第6実施例を示す
差動駆動過給装置の概念図であり、第4実施例の油圧ポ
ンプ・モータを第6実施例では発電機・電動モータ12
0に、アキュムレータをバッテリ130に置き換えてい
る。発電機・電動モータ120の制御部121、およ
び、切換えスイッチ122は制御装置60に接続されて
作動し、発電あるいは電動モータの切り換えが行われ
る。切り換えは第4実施例と同様に、機械式過給機20
の回転速度を急加速で増速するときには、電動モータと
して作動する。 機械式過給機20の回転速度をゼロに
するときには、発電機として作動し作動装置に負荷を与
える。その他の相互の回転速度関係、あるいは、車両に
用いた場合についての説明は第4実施例とほぼ同一のた
め省略する。
【0095】図17は、本発明に係る第7実施例を示す
差動駆動過給装置の概念図である。例えば第1実施例で
はリングギャー14の外方のギャー14aと噛み合うギ
ヤー8に可変容量型油圧モータ30が配設されているの
に対して、第7実施例では、リングギャー14とギャー
8との間にクラッチ140とクラッチ140に連結され
たギヤー141が配設され、クラッチ140が接続して
いるときには可変油圧モータ30を回転する。また、ク
ラッチ140は制御装置60からの指令により電磁バル
ブ150を介した油圧により断続を行う。さらに、油圧
ポンプは固定容量型油圧ポンプ160を用いている。
【0096】クラッチ140の接続時は、可変油圧モー
タ30としてリングギャー14を介して回転を始め、機
械式過給機20の回転速度を急加速で増速する場合であ
る。この場合の可変油圧モータ30の回転速度の制御は
固定容量型油圧ポンプ160の一定の吐出量を受けて、
可変油圧モータ30の30aにより行われる。クラッチ
140の断絶時は、前記では可変油圧モータ30は所定
の回転速度で空転していたが、第7実施例ではクラッチ
140を切ることにより可変油圧モータ30を回転させ
ずにエネルギーロスを低減する。この場合は、エンジン
1の回転速度が低速か、あるいは高速時であり、このと
き、エンジン1への空気の供給は開閉弁22が開き自然
吸気(過給されない状態)により行われている。
【0097】図18は、本発明に係る第8実施例を示す
差動駆動過給装置の概念図である。例えば第7実施例で
は可変油圧モータ30が配設されているのに対して、第
8実施例では、固定容量型油圧ポンプ160が配設さ
れ、クラッチ140が接続しているときには固定容量型
油圧ポンプ160を回転する。また、クラッチ140は
制御装置60からの指令により電磁バルブ150を介し
た油圧により断続を行う。
【0098】クラッチ140の接続時は、可変油圧ポン
プ50に所定量の押しのけ容積を出し、可変油圧ポンプ
50に圧力が掛かりポンプの回転は停止し、ポンプの停
止により機械式過給機20は所定の回転速度で回転を始
める。また、油圧ポンプ・モータの場合には、可変油圧
ポンプを油圧モータとして回転させて機械式過給機20
を急加速する。さらに、エンジン1の回転速度が低速
か、あるいは高速時では、アキュムレータ110に蓄圧
し、アキュムレータ110の蓄圧が所定量に達すると、
クラッチ140を断絶する。
【0099】クラッチ140の断絶時は、前記では可変
油圧ポンプ50は所定の回転速度で空転していたが、第
7実施例ではクラッチ140を切ることにより固定容量
型油圧ポンプ160を回転させずにエネルギーロスを低
減する。この場合も、エンジン1の回転速度が低速か、
あるいは高速時であり、このとき、エンジン1への空気
の供給は開閉弁22が開き自然吸気(過給されない状
態)により行われている。
【0100】なお、上記の第7実施例あるいは第8実施
例において、固定容量型油圧ポンプを用いた回転負荷可
変体の例を示したが、回転負荷可変体は、固定型あるい
は可変容量型ポンプ、固定型あるいは可変容量型モー
タ、固定型あるいは可変容量型のポンプとモータ兼用の
ポンプ・モータ、発電機、モータ、発電機とモータ兼用
の発電機・モータ、あるいは、空気圧縮機のいずれかを
用いても良い。また、可変容量型で説明したが、固定型
を用いてもよく、さらに、油圧で説明したが空圧でも良
いことは言うまでもない。上記実施例を互いに組み合わ
せても良い。上記実施例では、主として油圧を用いて説
明したが、発電機と電動モータを別々に用いて第1実施
例の可変油圧ポンプに発電機を、また、可変油圧モータ
に電動モータを置換して使用すれば同一の作動が得られ
る。上記実施例では、一段の差動遊星駆動方式を用いた
が、2段以上の差動遊星駆動方式を用いても良い。
【0101】図19は、本発明に係る第9実施例を示す
差動駆動過給装置の概念図である。第1実施例では機械
式過給機20と可変油圧モータ30が付設されていたの
に対して、第9実施例は差動遊星歯車装置10に機械式
過給機20と、ブレーキ部172と、およびクラッチ部
170を介してフライホイール171が付設されてい
る。以下、第9実施例について説明するが、以下では同
様に第1実施例あるいは他の実施例と同一部品には同一
符号を付して説明は省略する。また、制御装置60に付
設されたセンサー等の部品は簡略化のため図示するのは
省略する。また、以下では、差動遊星歯車装置70の構
成、可変油圧ポンプおよび可変油圧モータの配置のみを
示し、他の構成部材は省略する。差動遊星歯車装置10
のリングギャー14の外方のギャー14aにはギヤー1
75を介してギヤー8が噛み合い、このギヤー8の軸8
aにはクラッチ部170が配設され、さらに、このクラ
ッチ部170を介してフライホイール171が配設され
ている。また、リングギャー14の外方には、ブレーキ
部172のブレーキ板172aがリングギャー14に、
さらに、ブレーキ板172aを挟んで固定側ブレーキ板
172bが固定ケース172cに、軸方向摺動自在に付
設されている。クラッチ170部は制御装置60からの
指令により、クラッチ用電磁バルブ173を介した油圧
によりクラッチ170aの断続を行ない、また、ブレー
キ部172はブレーキ用電磁バルブ174を介した油圧
により、ブレーキ板172aと固定側ブレーキ板172
bとの断続を行なう。
【0102】上記構成において、次に作動について説明
する。まず、図20および図21を用いて説明する。図
20はエンジン1と、差動遊星歯車装置10と、機械式
過給機20と、クラッチ部170と、フライホイール1
71と、および、ブレーキ部172の回転速度の相互の
関係を説明する。図21は相互の回転速度関係を示す図
であり、横軸に時間を、縦軸にエンジン1と、機械式過
給機20と、および、フライホイール171との回転速
度を示している。
【0103】(A−1)、車両停止の状態。図21にお
いて、(1)の時間では車両停止でエンジン1は、例え
ば、ローアイドルの回転速度700rpmで回転してい
ることを示し、このとき機械式過給機20およびフライ
ホイール171の回転速度はゼロ(停止)である。この
とき、制御装置60は、アクセル量検出センサー62
と、車速検出センサー64と、および、操作レバー位置
センサー67からの信号により、クラッチ用電磁バルブ
173に指令を出力してクラッチ170aを断絶して、
フライホイール171の回転はフリーにしている。ま
た、ブレーキ部172も同様に、ブレーキ用電磁バルブ
174に指令を出力してブレーキ部172を回転フリー
にしている。これにより、差動遊星歯車装置10のプラ
ネタリギャー12、プラネタリキャリア13およびリン
グギャー14はエンジン1の回転速度に応じるととも
に、ギヤー8とリングギャー14との割合により変化し
て空回転している。
【0104】(B−1)、停止状態から車両を発進する
ときの状態。次に、停止状態から車両を発進するときの
説明をする。(1)の時間の停止状態から発進するとき
には、オペレータは、操作レバー59を操作し、アクセ
ル61の踏み込みを実施しようとしている。この時間で
は、制御装置60は、アクセル量検出センサー62と、
車速検出センサー64と、および、操作レバー位置セン
サー67からの信号により、クラッチ用電磁バルブ17
3に指令を出力してクラッチ170aのクラッチを接続
する。クラッチ170aの接続により、フライホイール
171は回転を始めようとするが、慣性モーメントがあ
るので簡単には加速しないで回転はまだ位置1Fでは停
止している。これにより、エンジン1の回転速度700
rpmの位置1Eは、プラネタリキャリア13、プラネ
タリギャー12、およびサンギャー11を経て、機械式
過給機20を図20、図21に示すように位置1Sで回
転させ始める
【0105】(C−1)、発進状態から車両を加速する
ときの状態。(2)の時間の状態では、オペレータは、
アクセル61の踏み込みを増している。このときの
(2)の時間は、ローアイドルの回転速度700rpm
から加速しようとしている状態を示す。この時間では、
クラッチは接続されており、フライホイール171は回
転を始めようとしている。また、ブレーキ部172は、
前と同様に、ブレーキ用電磁バルブ174に指令を出力
してブレーキ部172を回転フリーにしている。クラッ
チ170aの接続により、フライホイール171は回転
を始めようとするが、慣性モーメントがあるので簡単に
は加速しないで回転はまだ位置2Fでは停止している。
これにより、エンジン1の回転速度700rpmの位置
2Eは、プラネタリキャリア13、プラネタリギャー1
2、およびサンギャー11を経て、機械式過給機20を
図20、図21に示すように急速に位置2Sで回転させ
る。
【0106】(D−1)、アクセルを踏み込み車両をさ
らに加速するときの状態。さらに、アクセル61を踏み
込み車両を加速すると、図21の(3)の時間の状態と
なる。このときの(3)の時間では、エンジン1の回転
速度は位置3Eに上昇し、フライホイール171は位置
3Fで回転を始める。このとき、機械式過給機20はエ
ンジン1の回転速度が位置3Eに上昇することにより、
さらに回転速度が位置でまで上昇し急速に回転してい
る。
【0107】(E−1)、アクセルをさらに踏み込み車
両が加速終了時点のときの状態。またさらに、アクセル
61を踏み込み車両を加速すると、図21の(4)の時
間の状態となる。この時間では、エンジン1の回転速度
は位置4Eに上昇し、フライホイール171は位置4F
で回転している。これにより、リングギャー14は、
(3)の時間では位置3Fで回転していたのが、より増
速した図20の位置4Fで回転しているため、機械式過
給機20は図21の(3)の位置3Sと同じ回転速度の
ほぼ同じ速度の位置4Sの状態で回転している。
【0108】(F−1)、エンジンの回転速度、あるい
は、車両の速度が所定のほぼ一定のときの状態。さらに
エンジン1の回転速度、あるいは、車両の速度が所定の
ほぼ一定の位置5Eまで上昇すると、制御装置60は、
アクセル量検出センサー62と、エンジン回転数センサ
ー63と、および、車速検出センサー64からの信号に
より、クラッチ用電磁バルブ173に指令を出力してク
ラッチ170aのクラッチを断絶し、フライホイール1
71への回転トルクの伝達を停止する。これにより、図
21の(6)の時間では、フライホイール171は慣性
モーメントによる回転を始め暫時停止していく。リング
ギャー14はフライホイール171を回転する駆動トル
クがなくなるためさらに増速され位置6Fで回転する。
このため、機械式過給機20は図20、図21に示すよ
うに急速に減速し、ほぼゼロの位置6Sで回転する。上
記のように、リングギャー14の回転速度をフライホイ
ール171により制御して差動遊星歯車装置10の増速
比を可変にしている。これにより、停止から加速までの
エンジン1の低速トルクが必要な所では、機械式過給機
20を急速に回転し、エンジン1のトルクがあまり必要
でない所では高速域では機械式過給機20を停止してい
る。
【0109】(G−1)、定常走行に入った直後にさら
に車両を加速するとき、あるいは、長い登坂などのとき
の状態。次に、定常走行に入った直後にさらに車両を加
速するとき、あるいは、長い登坂など長時間、機械式過
給機20を作動させたいときの説明をする。図21の
(5)と(6)の間の時間の状態では、フライホイール
171は慣性モーメントにより回転(リングギャー14
も回転している)しているため、機械式過給機20を急
速に増速することはできない。このため、制御装置60
は、アクセル量検出センサー62からの信号と、エンジ
ン回転数センサー63からの信号により、その随時の変
化率等により急加速の必要性を演算し、クラッチ用電磁
バルブ173に指令を出力してクラッチ170aのクラ
ッチを断絶する。また、同時に、制御装置60は、ブレ
ーキ用電磁バルブ174に指令を出力して、ブレーキ用
電磁バルブ174を介した油圧により、ブレーキ板17
2aと固定側ブレーキ板172bとの接続を行なう。こ
れにより、リングギャー14の回転速度は停止し、エン
ジン1の回転速度は、プラネタリキャリア13、プラネ
タリギャー12、およびサンギャー11を経て、機械式
過給機20を急速に回転させるとともに、長時間回転さ
せることができる。 上記によれば、ブレーキのみにた
よると、ブレーキの負荷、特に、過渡期に滑らせる状態
となり、摩擦熱の発生によるクリープ状態あるいは耐久
性の低下が発生する問題が、フライホィールの慣性力を
利用することでブレーキの負荷を軽減できる。また、車
両の加速時の機械式過給機20を急速に回転させること
ができる。
【0110】図22は、本発明に係る第10実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。第9実施例では、
差動遊星歯車装置10にブレーキ部172と、およびク
ラッチ部170を介してフライホイール171が付設さ
れているのに対して、第10実施例ではクラッチ部17
0とフライホイール171との間に、正転または逆転に
切り換えるリバースギャー180が配設されている。以
下では同様に第1実施例あるいは他の実施例と同一部品
には同一符号を付して説明は省略するが、特別記載しな
い限り以下も同様である。
【0111】上記構成において、次に作動について説明
するが、従来と同様に車両が長時間停止している状態か
ら発進、加速の状態のときの以下の各状態、すなわち、 (A−2)、車両停止の状態。 (B−2)、停止状態から車両を発進するときの状態。 (C−2)、発進状態から車両を加速するときの状態。 (D−2)、アクセルを踏み込み車両を加速するときの
状態。 (E−2)、アクセルをさらに踏み込み車両が加速終了
時点のときの状態。 (F−2)、エンジンの回転速度、あるいは、車両の速
度が所定のほぼ一定のときの状態。 は、第9実施例の次の各状態、(A−1)、(B−
1)、(C−1)、(D−1)、(E−1)、(F−
1)、と同一のために説明は省略する。
【0112】(H−2)減速時から車両停止までの状
態。まず、図23および図24を用いて説明するが、図
23は図21と、また図24は図22と同じ図示のため
に図示の縦軸、横軸の意味の説明は省略する。また、特
別記載しない限り以下も同様である。なお、図24にお
いて、フライホィール171の回転速度が横軸の下側に
あるのは、逆方向に回転していることを示す。
【0113】車両減速時が所定時間経過すると、制御装
置60は、アクセル量検出センサー62と、車速検出セ
ンサー64と、および、ブレーキペタル77の近傍に配
設されたブレーキ踏み込み量検出センサー77aからの
信号により、クラッチ用電磁バルブ173に指令を出力
してクラッチ170aのクラッチを接続する。これによ
り、エンジン1の回転速度をまず正転でフライホィール
171に蓄える。次に、車両が減速し所定の停止前の速
度になったことを車速検出センサー64により検出し
て、制御装置60は、クラッチ用電磁バルブ173に指
令を出力してクラッチ170aのクラッチを断絶し、フ
ライホィール171に慣性モーメントを蓄えたままとし
て停止する。この状態を(1)の時間、すなわち、車両
停止状態で示す。また、例えば、車両減速時が所定時間
経過しても、さらに、車速検出センサー64からの信号
により減速が続行しないときには、制御装置60は、ク
ラッチ用電磁バルブ173に指令を出力してクラッチ1
70aのクラッチを断絶する。
【0114】(J−2)減速時から車両を停止した後に
再発進する状態。次に、(1)の時間から再発進すると
きには、オペレータはアクセル61の踏み込みを実施し
ている。制御装置60はアクセル量検出センサー62
と、および車速検出センサー64と、フライホィール回
転センサー171aからの信号により、リバースギャー
180を逆転に切り換える。これにより、フライホィー
ル171、すなわち、リングギャー14を逆方向に回転
した状態にする。このときの状態を示す図24の(1)
の時間は、例えば、ディーゼルエンジン1はローアイド
ルの回転速度700rpmで回転し、フライホィール1
71は減速時の所定の回転速度で逆方向に回転し、さら
に、機械式過給機20はまだ停止している。
【0115】(K−2)、再発進状態から車両を加速す
るときの状態。(2)の時間の状態では、オペレータ
は、アクセル61の踏み込みを増している。このときの
(2)の時間は、ローアイドルの回転速度700rpm
から加速しようとしている状態を示す。この時間では、
クラッチは接続されており、フライホイール171は逆
方向の回転を減速を始めようとしている。また、ブレー
キ部172は、前と同様に、ブレーキ用電磁バルブ17
4に指令を出力してブレーキ部172を回転フリーにし
ている。機械式過給機20はフライホイール171の逆
方向の回転により、第9実施例を示す図21の回転上昇
よりも急勾配で、図24に示すように位置2Sまで増速
する。
【0116】(L−2)、再発進のときで、アクセルを
踏み込み車両をさらに加速するときの状態。さらに、ア
クセル61を踏み込み車両を加速すると、図24の
(3)の時間の状態となる。このときの(3)の時間で
は、エンジン1の回転速度は位置3Eに上昇し、フライ
ホイール171は、(2)の時間からの減速により位置
3Fになり、ほぼ停止の状態となる。このとき、機械式
過給機20はエンジン1の回転速度が位置3Eまで上昇
しても、フライホイール171の減速により、回転速度
は位置3Sまで低下して回転している。
【0117】(M−2)、再発進のときで、アクセルを
さらに踏み込み車両が加速終了時点のときの状態。また
さらに、アクセル61を踏み込み車両を加速すると、図
24の(4)の時間の状態となる。この時間では、エン
ジン1の回転速度は位置4Eに上昇し、フライホイール
171は正方向(同方向)に回転し、位置4Fで回転し
ている。これにより、リングギャー14は、(3)の時
間の位置3Fのほぼゼロから増速した図24の位置4F
で回転しているため、機械式過給機20は図24の
(3)の時間の位置3Sと同じ回転速度の位置4Sの状
態で回転している。
【0118】(N−2)の再発進のときで、エンジンの
回転速度、あるいは、車両の速度が所定のほぼ一定のと
きの状態、および(G−2)の再発進のときで、定常走
行に入った直後にさらに車両を加速するとき、あるい
は、長い登坂などのときの状態は、第9実施例の(F−
1)、(G−1)と同様なため説明は省略する。
【0119】次に、本発明に係る第11実施例と第12
実施例の差動駆動過給装置について説明する。第11実
施例と第12実施例は、エンジン1と駆動力伝達系40
とタイヤ41からなる駆動系において、機械式過給機2
0の駆動は第1実施例と同様に、エンジン1の出力軸1
Aから差動遊星歯車装置10を介して行い、また、差動
遊星歯車装置10のリングギャー14の回転は、駆動力
伝達系40の変速機40aから、あるいは、変速機40
aとタイヤ41の間から動力を得ている。なお、以下の
図示では、変速機40aとタイヤ41の間から動力をえ
ている例を示している。本実施例は、本来車両が持って
いる変速機を利用して機械式過給機20の増速比を可変
化しているため、構造が簡単になり、安価にできる。第
11実施例は、駆動力伝達系40は、トルクコンバータ
40bとオートマチックトランスミッション40cから
なっている。第12実施例は、駆動力伝達系40は、メ
インクラッチ40dとマニュアルトランスミッション4
0eからなっている。
【0120】図25は、本発明に係る第11実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。駆動力伝達系40
は、トルクコンバータ40bとオートマチックトランス
ミッション40cとタイヤ41との出力軸181には、
ギャー182が配設されている。ギャー182には、ギ
ャー183が噛み合い、ギャー183は軸184を介し
てリングギャー14を駆動するギャー185に結合して
いる。ギャー185は、差動遊星歯車装置10のリング
ギャー14の外方のギャー14aに噛み合っている。変
速時には、例えば、制御装置60はオートマチックミッ
ション用電磁バルブ40fに指令を出力して図示しない
各速度段のクラッチを接続する。またの例としては、シ
ンクロメッシュギャで接続しても良い。
【0121】上記構成において、次に作動について説明
する。まず、図26および図27を用いて説明する。図
26はエンジン1と、差動遊星歯車装置10と、機械式
過給機20の回転速度の相互の関係を説明する。図27
は相互の回転速度関係を示す図であり、横軸に時間を、
縦軸にエンジン1と、機械式過給機20と、および、リ
ングギャー14の回転速度を示している。
【0122】(A−3)の車両停止の状態は、第9実施
例の(A−1)車両停止の状態と同様にエンジン1は、
ローアイドルの回転速度で回転している。また、車両が
停止しているためにリングギャー14も停止している。
これにより、機械式過給機20も低速で回転している。
このため、発進時には、急速に機械式過給機20が加速
回転され、車両も良い加速が得られる。
【0123】(B−3)、停止状態から車両を発進する
ときの状態。(1)の時間の停止状態から発進するとき
には、オペレータは、操作レバー59(図1に示す。)
を操作し、アクセル61の踏み込みを実施しようとして
いる。この位置では、制御装置60は、アクセル量検出
センサー62と、車速検出センサー64と、および、操
作レバー位置センサー67からの信号により、オートマ
チックトランスミッション40cに指令を出力して図示
しないクラッチを1速に接続している。この1速の車速
の遅い位置では、トルクコンバータ40bに、図示しな
いエンジン側のポンプ・インペラーと出力軸側のタービ
ン・ライナーとの間に滑りがあり、エンジン1は回転し
ているが、当初はオートマチックトランスミッション4
0cの出力軸181は回転していない。このため、リン
グギャー14は回転せずに位置1Fで停止している。こ
れにより、例えばエンジン1の位置1Eの回転速度70
0rpmは、プラネタリキャリア13、プラネタリギャ
ー12、およびサンギャー11を経て、機械式過給機2
0を図26、図27に示すように位置1Sで上記(A−
3)によりさらに急速に回転させ始める。
【0124】(C−3)、発進状態から車両を加速する
ときの状態は、第9実施例の(C−1)発進状態から車
両を加速するときの状態と同様なため説明は省略する。
【0125】(D−3)、アクセルを踏み込み車両をさ
らに加速するときの状態。さらに、アクセル61を踏み
込み車両を加速すると、図27の(3)の時間の状態と
なる。このときの(3)の時間では、エンジン1の回転
速度は位置3Eに上昇し、この位置3Eでは、制御装置
60は、アクセル量検出センサー62と、および、車速
検出センサー64からの信号により、オートマチックミ
ッション用電磁バルブ40fに指令を出力して図示しな
いクラッチを2速に接続している。この2速の車速の位
置では、トルクコンバータ40bに、図示しないエンジ
ン側のポンプ・インペラーと出力軸側のタービン・ライ
ナーとの間に滑りがなくなり、オートマチックトランス
ミッション40cの出力軸181は所定の回転速度で回
転している。このため、リングギャー14は、出力軸1
81、ギャー182、ギャー183、および、軸184
を介して位置3Fで回転を始めている。これにより、エ
ンジン1の回転速度の位置3Eは、プラネタリキャリア
13、プラネタリギャー12、およびサンギャー11を
経て、機械式過給機20を図26、図27に示すように
位置3Sで回転させるが、回転の増加は低減している。
【0126】(E−3)、アクセルをさらに踏み込み車
両が加速終了時点のときの状態、第9実施例の(E−
1)と同様なため詳細な説明は省略する。なお、この実
施例では、制御装置60からの指令によりオートマチッ
クトランスミッション40cの出力軸181は自動的に
変化しているため、リングギャー14も自動的に変化し
ている。これにより、機械式過給機20は図26、図2
7に示すように位置3Sから速度が低減するとともに、
所定の所から一定の速度になる。
【0127】(F−3)、エンジンの回転速度、あるい
は、車両の速度が所定のほぼ一定のときの状態は、本実
施例では、機械式過給機20は6の位置以降でも、所定
の回転速度で回転している。
【0128】(G−3)、定常走行に入った直後にさら
に車両を加速するとき、あるいは、長い登坂などのとき
の状態。定常走行より、さらにアクセル61を踏み込み
車両を加速すると、オートマチックトランスミッション
40cのシフトダウンにより車両を加速する。このと
き、車両の加速の遅れにより、リングギャー14の回転
速度の加速がおくれる。このため、機械式過給機20は
増速され、多量の空気をエンジン1に供給し、エンジン
1の出力は増加する。これにより、車両の加速が増加さ
れる。また、長い登坂時も同様にシフトダウンによりエ
ンジン1の出力が増加され、オートマチックトランスミ
ッション40cのシフトダウンにより車両を加速する。
【0129】図28は、本発明に係る第12実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。駆動力伝達系40
のマニュアルトランスミッション40eとタイヤ41と
の出力軸181aには、第11実施例と同様に、ギャー
182が配設されている。以下は、機械式過給機20の
駆動は第11実施例と同様なため説明は省略する。
【0130】上記構成において、次に作動について説明
する。まず、図29および図30を用いて説明する。図
29はエンジン1と、差動遊星歯車装置10と、機械式
過給機20の回転速度の相互の関係を説明する。図30
は相互の回転速度関係を示す図であり、横軸に時間を、
縦軸にエンジン1と、機械式過給機20と、および、リ
ングギャー14の回転速度を示している。
【0131】(A−4)の車両停止の状態は、第11実
施例(A−3)車両停止の状態と同様なため説明は省略
する。
【0132】(B−4)、停止状態から車両を発進する
ときの状態。(1)の時間の停止状態から発進するとき
には、オペレータは、操作レバー59を操作し、アクセ
ル61の踏み込みを実施しようとしている。また、オペ
レータは、図示しないメインクラッチペタルから足を離
してメインクラッチを接続する。車両停止からの発進に
おいて、クラッチの繋ぎ始めでは、メインクラッチ40
dに滑りがあり、エンジン1は回転しているが、当初は
マニュアルトランスミッション40eの出力軸181a
は回転していない。このため、リングギャー14は回転
せずに位置1Fで停止している。これにより、エンジン
1の回転速度700rpmの位置1Eは、プラネタリキ
ャリア13、プラネタリギャー12、およびサンギャー
11を経て、機械式過給機20を図29、図30に示す
ように位置1Sで急速に回転させ始める。
【0133】(C−4)、発進状態から車両を加速する
ときの状態は、第11実施例の(C−3)発進状態から
車両を加速するときと同様なため説明は省略する。
【0134】(D−4)、アクセルを踏み込み車両をさ
らに加速するときの状態。さらに、アクセル61を踏み
込み車両を加速すると、図30の(3)の時間の状態と
なる。このときの(3)の時間では、エンジン1の回転
速度は位置3Eに上昇し、すでにメインクラッチ40c
に滑りがなくなり、マニュアルトランスミッション40
eの出力軸181aは所定の回転速度で回転している。
このため、リングギャー14は、出力軸181a、ギャ
ー182、ギャー183、および、軸184を介して位
置3Fで回転を始めている。これにより、エンジン1の
回転速度の位置3Eは、プラネタリキャリア13、プラ
ネタリギャー12、およびサンギャー11を経て、機械
式過給機20を図29、図30に示すように位置3Sで
回転をさせている。このとき、エンジン1の回転速度の
位置3Eへ急上昇しているため、機械式過給機20は位
置1Sから位置2Sまでの上昇よりは勾配が低下してい
るが、さらに回転を増して位置3Eまで上昇している。
また、この時間(3)では、オペレータは車速に合わせ
て操作レバーを1速から2速への切換操作を行う。この
2速への操作により、マニュアルトランスミッション4
0eは2速ギャーの噛み合わせが行なわれ、回転を接続
している。この2速のマニュアルトランスミッション4
0eへの切り換え過程において、ニュートラル状態が存
在し、この瞬間オペレータはアクセルペタル61の踏み
込みを解除するので、時間(3−a)までの瞬間におい
て、エンジン1は回転速度の位置3Eから減速し、回転
速度の位置3Eaまで低下する。 上記のエンジン1の
回転速度の瞬間の低下により、機械式過給機20は図3
0に示すように位置3Sで回転していたのが、位置3S
aの位置まで瞬間に低下して回転する。
【0135】(E−4)、アクセルをさらに踏み込み車
両が加速終了時点のときの状態。 またさらに、アクセル61を踏み込み車両を加速する
と、図30の(4)の時間の状態となる。この位置で
は、エンジン1の回転速度は、回転速度の位置3Eaか
ら位置4Eまで上昇して回転しているが、ほぼ、1速時
の回転速度3Eの位置と同じ位置まで上昇している。ま
た、マニュアルトランスミッション40eの出力軸18
1aはエンジン1の回転速度の増加に合わせて変化して
いるため、リングギャー14もこれに合わせて変化して
いる。これにより、リングギャー14は、(3)の時間
の位置3Fより増速した図30の位置4Fで回転してい
るため、機械式過給機20は図30の(3)の時間の位
置3Sよりも低い回転速度の位置4Sの状態で回転して
いる。また、この時間(4)では、オペレータは車速に
合わせて操作レバーを2速から3速への切換操作を行
う。これにより、エンジン1、マニュアルトランスミッ
ション40e、および、機械式過給機20は(D−4)
のアクセルを踏み込み車両をさらに加速するときの状態
と同様に変化するため説明は省略する。
【0136】(F−4)、エンジンの回転速度、あるい
は、車両の速度が所定のほぼ一定のときの状態は、第1
1実施例と同様なため、説明は省略する。
【0137】(G−4)、定常走行に入った直後にさら
に車両を加速するとき、あるいは、長い登坂などのとき
の状態、第11実施例では、オートマチックトランスミ
ッション40cの変速により車両を増速したが、第12
実施例では、マニュアルトランスミッション40eの変
速により車両を増速する。第12実施例では、オペレー
タの操作により、シフトアップ、シフトダウンの変速が
行われて増減速を行ない、それに合わせて機械式過給機
20も対応し、エンジン1の出力を増減速を行う。
【0138】図31は、本発明に係る第13実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。本発明は、第12
実施例の差動駆動過給装置に対して、差動遊星歯車装置
10と機械式過給機20との間にワンウェイクラッチ1
86を挿入している所が異なる。これにより、第12実
施例では、マニュアルトランスミッション40eを変速
すると機械式過給機20は一時的に回転が低下するが、
第13実施例では、ワンウェイクラッチ186により機
械式過給機20は一時的な回転の低下を回避している。
【0139】上記構成において、次に作動について説明
する。エンジン1と、差動遊星歯車装置10と、機械式
過給機20の回転速度の相互の関係は第12実施例の図
29と同じため図示しない。図32は相互の回転速度関
係を示す図であり、横軸に時間を、縦軸にエンジン1
と、機械式過給機20と、および、リングギャー14の
回転速度を示している。
【0140】(A−5)の車両停止の状態は、第12実
施例の(A−4)車両停止の状態と同様なため説明は省
略する。
【0141】(B−5)、停止状態から車両を発進する
ときの状態は、第12実施例の(B−4)の停止状態か
ら車両を発進するときの状態と同様なため説明は省略す
る。
【0142】(C−5)、発進状態から車両を加速する
ときの状態は、第12実施例の(C−4)車両停止の状
態と同様なため説明は省略する。
【0143】(D−5)、アクセルを踏み込み車両をさ
らに加速するときの状態。アクセル61を踏み込み車両
の加速により、図32の(3)の時間の状態まで第12
実施例と同様に、エンジン1、機械式過給機20、およ
びリングギャー14の回転速度は変化する。この時間
(3)でオペレータは車速に合わせて1速から2速への
切換操作を行なうとエンジン1、およびリングギャー1
4は第12実施例と同様に、エンジン1、およびリング
ギャー14の回転速度は瞬間に低下する。このとき、第
12実施例では機械式過給機20は位置3Saまで瞬間
に低下していた。しかし、第13実施例では差動遊星歯
車装置10の回転速度は低下するが、ワンウェイクラッ
チ186により機械式過給機20は差動遊星歯車装置1
0から分離されるとともに、差動遊星歯車装置10によ
る駆動が無くなる。このとき、機械式過給機20は慣性
モーメントにより回転を維持し回転速度はほとんど低下
しない。次に、2速時のエンジン1およびリングギャー
14の回転速度が増加することにより差動遊星歯車装置
10の回転速度が増す。この差動遊星歯車装置10の回
転速度が機械式過給機20の回転速度より早くなると、
再び、ワンウェイクラッチ186により機械式過給機2
0は差動遊星歯車装置10に接続するとともに、差動遊
星歯車装置10により駆動される。このため、機械式過
給機20は第12実施例のように瞬間的に変化すること
がなくなり、スムーズな回転が維持されるとともに、加
速時間の短縮、エネルギーの節約が図れる。
【0144】(E−5)のアクセルをさらに踏み込み車
両が加速終了時点のときの状態、(F−5)のエンジン
の回転速度、あるいは、車両の速度が所定のほぼ一定の
ときの状態、および、(G−4)の定常走行に入った直
後にさらに車両を加速するとき、あるいは、長い登坂な
どのときの状態は、機械式過給機20の回転速度の瞬間
的の低下が無くなることを除き、第11実施例と同様な
ため説明は省略する。
【0145】図33は、本発明に係る第14実施例、第
15実施例を示す差動駆動過給装置の概念図である。第
11実施例と第12実施例の差動駆動過給装置が駆動力
伝達系40の変速機40aから、あるいは、変速機40
aとタイヤ41の間から動力をえて、ギャー、軸、およ
びギャーを介して差動遊星歯車装置10のリングギャー
14を回転していた。これに対して、本発明は、ギャ
ー、過給機用変速機190、および、ギャーを介して差
動遊星歯車装置10のリングギャー14を可変に回転す
る。制御装置60は、過給機用変速機190の過給機用
変速機用電磁バルブ191に指令を出力して図示しない
変速用の各クラッチを接続する。制御装置60は走行速
度あるいは作業負荷に合わせて制御信号を出力し、過給
機用変速機190に減速比の選択の指令を出力する。ま
た他の例として、オペレータが過給機用変速機190の
回転速度を過給機選択用スイッチ192により、高速時
に用いるか、あるいは、用いないかを選択する。このよ
うに、過給機用変速機190を使い分けることにより、
高速道路等の高速走行の機械式過給機20の必要でない
所では変速比を大きくし、あるいは、市街地等のような
低速走行の機械式過給機20の必要な所では変速比を小
さくする等の使いわけができる。また、建設機械等で
も、発進、停止、あるいは低速・中速での作業の多い作
業現場では機械式過給機20を使用し、自走時のように
高速で走行する必要でない所では使用しない等の使い分
けができる。これにより、作業効率が向上するととも
に、燃費が向上する。
【0146】図34は第14実施例であり、駆動力伝達
系40が、第11実施例と同様に、トルクコンバータ4
0bとオートマチックトランスミッション40cを用い
た場合のエンジン1と、機械式過給機20と、および、
リングギャー14の相互の回転速度関係を示す図であ
る。
【0147】図35は第15実施例であり、駆動力伝達
系40が、第12実施例と同様に、メインクラッチ40
dとマニュアルトランスミッション40eを用いた場合
の相互の回転速度関係を示す図である。また、この実施
例では、第13実施例と同様に、差動遊星歯車装置10
と機械式過給機20との間にワンウェイクラッチ186
を挿入している。図34、図35では、横軸に時間を、
縦軸にエンジン1と、機械式過給機20と、および、リ
ングギャー14の回転速度を示している。
【0148】上記構成において、次にオートマチックト
ランスミッション40cを用いた場合の第14実施例の
作動について図34を用いて説明する。(A−6)の車
両停止の状態は、第11実施例の(A−3)車両停止の
状態と、また、(B−6)の停止状態から車両を発進す
るときの状態は、第11実施例の(B−3)の停止状態
から車両を発進するときの状態と、同様なため説明は省
略する。
【0149】(C−6)、発進状態から車両を加速する
ときの状態。(2)の時間の状態では、オペレータは、
アクセル61の踏み込みを増している。このときの
(2)の時間は、ローアイドルの回転速度700rpm
から加速しようとしている状態を示す。この(2)の時
間では、制御装置60は走行速度あるいは作業負荷に合
わせて制御信号を出力し、過給機用変速機190に減速
比の選択の指令を出力する。この減速比に応じて、過給
機用変速機190は、オートマチックトランスミッショ
ン40cで変速された出力軸181からの回転速度をさ
らに変速し、軸184を介してリングギャー14を回転
させる。このときの(2)の時間では、図34に示すよ
うに、機械式過給機20の回転速度は線SC−1が、ま
た、リングギャー14の回転速度は、線SF−1にい
く。上記の図34では、過給機用変速機190の回転速
度の線SC−1はリングギャー14の回転速度の線3F
−1に、回転速度の線SC−2はリングギャー14の回
転速度の線3F−2に、および、回転速度の線SC−3
はリングギャー14の回転速度の線3F−3に、対応し
ている。
【0150】(D−6)、アクセルを踏み込み車両をさ
らに加速するときの状態。さらに、アクセル61を踏み
込み車両を加速すると、図34の(3)の時間の状態と
なる。このときの(3)の時間では、エンジン1の回転
速度は位置3Eに上昇し、また、リングギャー14も過
給機用変速機190の減速比に合わせた回転速度3F−
3で回転している。これにより、エンジン1の回転速度
の位置3Eは、プラネタリキャリア13、プラネタリギ
ャー12、およびサンギャー11を経て、機械式過給機
20を図34に示すように、高速の回転速度の線SC−
3で回転する。
【0151】(E−6)、アクセルをさらに踏み込み車
両が加速終了時点のときの状態。制御装置60からの指
令によりオートマチックトランスミッション40cの出
力軸181は自動的に変化し、かつ、過給機用変速機1
90も車両の速度に合わせて減速比を変化させるため
に、リングギャー14も自動的に変化している。これに
より、機械式過給機20は図34に示すように、それぞ
れ、走行速度あるいは作業負荷等に合わせて選択された
制御装置60の指令により、リングギャー14は低速の
回転速度の線SF−3(点5F)から、中速の回転速度
の線SF−2(点5Fa)に切り換わる。また、これに
より、機械式過給機20は高速の回転速度の線SC−3
(点5S)から、中速の回転速度の線SC−2(点5S
a)に切り換わる。
【0152】(F−6)、エンジンの回転速度、あるい
は、車両の速度が所定のほぼ一定のときの状態。本実施
例では、機械式過給機20は(6)の時間以降では、
(E−6)と同様に、リングギャー14は中速の回転速
度の線SF−2(点6Fa)から、高速の回転速度の線
SF−1(点6Fb)に切り換わる。これにより、機械
式過給機20は中速の回転速度の線SC−2(点6S
a)から、低速の回転速度の線SC−1(点6Sb)に
切り換わる。このため、車両の速度が所定のほぼ一定の
ときには、機械式過給機20は余分な空気の供給を行わ
ず、エンジン1の出力は制限され、燃費が向上する。
【0153】(G−6)、定常走行に入った直後にさら
に車両を加速するとき、あるいは、長い登坂などのとき
の状態。第11実施例の(G−3)、定常走行に入った
直後にさらに車両を加速するとき、あるいは、長い登坂
などのときの状態と同様なため説明は省略する。
【0154】なお、上記において、途中で車両の速度に
合わせて過給機用変速機190の減速比を変化させた
が、機械式過給機20は、回転速度の線SC−1、線S
C−2、あるいは、線SC−3をそのまま継続しても良
い。このとき、(2)の時間で、制御装置60はオペレ
ータの機械式過給機20の速度を選択する過給機選択用
スイッチ192からの信号により、過給機用変速機19
0に減速比の選択の指令を出力する。これにより、
(2)の時間で、例えば、線SC−1A、線SC−2
A、あるいは、線SC−3Aのいずれかが選択される。
また、リングギャー14の回転速度は、同様に例えば、
線SF−1A、線SF−2A、あるいは、線SF−3A
のいずれかが選択される。
【0155】上記構成において、次にマニュアルトラン
スミッション40eを用いた場合の第15実施例の作動
について図35を用いて説明する。(A−7)の車両停
止の状態は、第12実施例の(A−4)車両停止の状態
と、また、(B−7)の停止状態から車両を発進すると
きの状態は、第12実施例の(B−4)の停止状態から
車両を発進するときの状態と、同様なため説明は省略す
る。
【0156】(C−7)、発進状態から車両を加速する
ときの状態。(2)の時間の状態では、オペレータは、
アクセル61の踏み込みを増している。このときの
(2)の時間は、ローアイドルの回転速度700rpm
から加速しようとしている状態を示す。オペレータは、
車速に合わせて操作レバー59を操作し、アクセル61
の踏み込みを実施している。この(2)の時間では、オ
ペレータの操作レバーの操作により、マニュアルトラン
スミッション40eの1速ギャーの噛み合わせを継続し
て行い接続している。制御装置60は、アクセル量検出
センサー62と、車速検出センサー64、および、操作
レバー位置センサー67からの信号により、過給機用変
速機190に減速比の選択の指令を出力する。この減速
比に応じて、過給機用変速機190は、オートマチック
トランスミッション40cで変速された出力軸181か
らの回転速度をさらに変速し、軸184を介してリング
ギャー14を回転させる。このときの(2)の時間で
は、図35に示すように、機械式過給機20の回転速度
は線SC−1Aが、また、リングギャー14の回転速度
は、同様に例えば、線SF−1Aに行く。上記におい
て、過給機用変速機190の回転速度の線SC−1Aは
リングギャー14の回転速度の線3F−1Aに、回転速
度の線SC−2Aはリングギャー14の回転速度の線3
F−2Aに、および、回転速度の線SC−3Aはリング
ギャー14の回転速度の線3F−3Aに、対応してい
る。
【0157】(D−7)のアクセルを踏み込み車両をさ
らに加速するときの状態は、第14実施例の(D−6)
のアクセルを踏み込み車両をさらに加速するときの状態
と、同様なため詳細な説明は省略する。この時間(3)
でオペレータは車速に合わせて1速から2速への切換操
作を行なうとエンジン1、およびリングギャー14は第
12実施例と同様に、エンジン1、リングギャー14、
および、機械式過給機20の回転速度は瞬間に低下す
る。これを図35では、鋸歯の形状の点線(Aap)で
図示している。第14実施例では、第13実施例と同様
に、機械式過給機20と差動遊星歯車装置10の間にワ
ンウェイクラッチ186を挿入して、機械式過給機20
の回転速度の瞬間の低下を防いでいる。これを図35で
は、機械式過給機20の回転速度は線SC−1A、線S
C−2A、あるいは、線SC−3Aで図示している。
【0158】(E−7)、アクセルをさらに踏み込み車
両が加速終了時点のときの状態。オペレータの車速に合
わせた車速の切換操作により、マニュアルトランスミッ
ション40eの出力軸181aは変化し、かつ、制御装
置60はアクセル量検出センサー62と、車速検出セン
サー64と、および、操作レバー位置センサー67から
の信号により、過給機用変速機190に減速比の選択の
指令を出力する。この減速比に応じて、過給機用変速機
190は、マニュアルトランスミッション40eで変速
された出力軸181aからの回転速度をさらに変速し、
軸184を介してリングギャー14を回転させる。これ
により、機械式過給機20は図35に示すように、それ
ぞれ、走行速度あるいは作業負荷等に合わせて選択され
た制御装置60の指令により、リングギャー14は低速
の回転速度の線SF−3A(点5F)から、中速の回転
速度の線SF−2A(点5Fa)に切り換わる。また、
これにより、機械式過給機20は高速の回転速度の線S
C−3A(点5S)から、中速の回転速度の線SC−2
A(点5Sa)に切り換わる。
【0159】(F−7)、エンジンの回転速度、あるい
は、車両の速度が所定のほぼ一定のときの状態。本実施
例では、機械式過給機20は(6)の時間以降では、
(F−6)と同様に、リングギャー14は中速の回転速
度の線SF−2A(点6Fa)から、高速の回転速度の
線SF−1A(点6Fb)に切り換わる。これにより、
機械式過給機20は中速の回転速度の線SC−2A(点
6Sa)から、低速の回転速度の線SC−1A(点6S
b)に切り換わる。このため、車両の速度が所定のほぼ
一定のときには、機械式過給機20は余分な空気の供給
を行わず、エンジン1の出力は制限され、燃費が向上す
る。
【0160】(G−7)、定常走行に入った直後にさら
に車両を加速するとき、あるいは、長い登坂などのとき
の状態。第12実施例の(G−4)、定常走行に入った
直後にさらに車両を加速するとき、あるいは、長い登坂
などのときの状態と同様なため説明は省略する。なお、
上記において、過給機用変速機190の減速比の変化
は、第12実施例と同様に、オペレータの選択する過給
機選択用スイッチ192によっても良い。
【0161】次に、第14実施例、第15実施例に示す
差動駆動過給装置の過給機用変速機190の具体例を概
念図で説明する。図36は過給機用変速機190に歯車
列301、302、303の組合せを用いた例を示す。
減速比は制御装置60からの指令によりシンクロメッシ
ュ等により歯車列301、302、および303のいず
れかの噛み合いを選択し行われる。図37は過給機用変
速機190にプーリ列301a、302a、303aの
組合せを用いた例を示す。減速比は制御装置60からの
指令によりクラッチ等の接合によりプーリ列301a、
302a、303aのいずれかの選択により行われる。
図38は過給機用変速機190にベルト式無段変速機
(CVT)304を用いた例を示す。減速比は制御装置
60からの指令により、ベルト式無段変速機304のプ
ーリ径304a、304bの変化により行われる。図3
9は過給機用変速機190にトロイダル式無段変速機3
05を用いた例を示す。減速比は制御装置60からの指
令により、トロイダル式無段変速機305の接触子30
5aの変化により行われる。図40は過給機用変速機1
90に油圧式を用いた例であり、切換バルブ306、固
定型ポンプ307、および、固定型モータ308の組合
せにより行う。減速比は制御装置60からの指令によ
り、切換バルブ306の切換、あるいは、流量制御を行
い、固定型モータ308の回転速度を変化させて行な
う。図41は過給機用変速機190に油圧式を用いた例
であり、可変型ポンプ309、および、固定型モータ3
08の組合せにより行う。減速比は制御装置60からの
指令により、可変型ポンプ309の吐出容積の制御を行
い、固定型モータ308の回転速度を変化させて行な
う。図42は過給機用変速機190に油圧式を用いた例
であり、可変型ポンプ309、および、可変型モータ3
10の組合せにより行う。減速比は制御装置60からの
指令により、可変型ポンプ309あるいは可変型モータ
310の吐出容積の制御を行い、可変型モータ310の
回転速度を変化させて行なう。図43は過給機用変速機
190に可変容量型流体継手311を用いた例である。
減速比は制御装置60からの指令により、流体継手への
作動油量の制御を行い、可変容量型流体継手311の回
転速度を変化させて行なう。図44は過給機用変速機1
90に電気式を用いた例であり、発電機312、およ
び、電気モータ313の組合せにより行う。減速比は制
御装置60からの指令により、発電機312、あるい
は、電気モータ313の電流あるいは電圧の制御を行
い、電気モータ313の回転速度を変化させて行なう。
【0162】次に、本発明に係る第16実施例と第17
実施例の差動駆動過給装置について説明する。第11実
施例と第12実施例において、差動遊星歯車装置10の
リングギャー14の回転には、駆動力伝達系40の変速
機40aから、あるいは、変速機40aとタイヤ41の
間から動力をえている例を説明している。また、第13
実施例と第14実施例では、第11実施例と第12実施
例に過給機用変速機190を挿入した例を説明してい
る。本発明の第16実施例と第17実施例においては、
上記実施例にさらに差動遊星歯車装置10のリングギャ
ー14の回転の接続・切断を制御する過給機用クラッチ
315を挿入している。以下の図示では、変速機40a
とタイヤ41の間から動力をえている例を示している。
本実施例は、定常走行時の車両負荷は低く、機械式過給
機20によるエンジンの出力トルクのアップは不要であ
ることに着目し、定常走行時に過給機用クラッチ315
を切断する。これにより、リングギャー14の負荷が軽
くなり、リングギャー14が空転し、機械式過給機20
の回転は停止し、駆動力の損失がなくなる。
【0163】図45は、本発明に係る第16実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。駆動力伝達系40
は、変速機40aとタイヤ41との出力軸181には、
ギャー182が配設されている。ギャー182には、ギ
ャー183が噛み合い、ギャー183は軸184、過給
機用クラッチ315を介してリングギャー14を駆動す
るギャー185に結合している。ギャー185は、差動
遊星歯車装置10のリングギャー14の外方のギャー1
4aに噛み合っている。
【0164】上記構成において、次に図27を参照して
作動について説明する。(A−8)の車両停止の状態、
(B−8)の停止状態から車両を発進するときの状態、
(C−8)の発進状態から車両を加速するときの状態、
および、(D−8)のアクセルを踏み込み車両をさらに
加速するときの状態では、制御装置60はアクセル量検
出センサー62と、車速検出センサー64と、あるいは
/および、操作レバー位置センサー67からの信号によ
り過給機用クラッチ315を接続する。これにより、低
速・中速時に機械式過給機20は回転し、エンジンの出
力トルクのアップが図られる。
【0165】(E−8)のアクセルをさらに踏み込み車
両が加速終了時点のときの状態、あるいは、(F−8)
のエンジンの回転速度、あるいは、車両の速度が所定の
ほぼ一定のときの状態では、制御装置60はアクセル量
検出センサー62と、車速検出センサー64と、あるい
は/および、操作レバー位置センサー67からの信号に
より過給機用クラッチ315を切断する。これにより、
リングギャー14の駆動力はなくなり、リングギャー1
4が空転し、機械式過給機20の回転は停止し、機械式
過給機20の駆動力の損失がなくなり、燃費の向上が図
れる。
【0166】図46は、本発明に係る第17実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。駆動力伝達系40
は、変速機40aとタイヤ41との出力軸181には、
ギャー182が配設されている。ギャー182には、ギ
ャー183が噛み合い、ギャー183は軸184、過給
機用変速機190、および、過給機用クラッチ315を
介してリングギャー14を駆動するギャー185に結合
している。ギャー185は、差動遊星歯車装置10のリ
ングギャー14の外方のギャー14aに噛み合ってい
る。
【0167】上記構成において、次に図34を参照して
作動について説明する。(A−9)の車両停止の状態、
(B−9)の停止状態から車両を発進するときの状態、
(C−9)の発進状態から車両を加速するときの状態、
および、(D−9)のアクセルを踏み込み車両をさらに
加速するときの状態では、制御装置60はアクセル量検
出センサー62と、車速検出センサー64と、操作レバ
ー位置センサー67と、あるいは/および、過給機選択
用スイッチ192からの信号により、過給機用変速機1
90の減速比を選択するとともに、過給機用変速機19
0および過給機用クラッチ315を接続する。これによ
り、低速・中速時に機械式過給機20は回転し、エンジ
ンの出力トルクのアップが図られる。
【0168】(E−9)のアクセルをさらに踏み込み車
両が加速終了時点のときの状態、あるいは、(F−9)
のエンジンの回転速度、あるいは、車両の速度が所定の
ほぼ一定のときの状態では、制御装置60はアクセル量
検出センサー62と、車速検出センサー64と、操作レ
バー位置センサー67と、あるいは/および、過給機選
択用スイッチ192からの信号により過給機用クラッチ
315を切断する。これにより、リングギャー14の駆
動力はなくなり、リングギャー14が空転し、機械式過
給機20の回転は停止し、機械式過給機20の駆動力の
損失がなくなり、燃費の向上が図れる。上記実施例で
は、変速機40aについては特定していないが、オート
マチックトランスミッション40cおよびマニュアルト
ランスミッション40eのいずれにも用いることができ
る。また、機械式過給機20と差動遊星歯車装置10の
間にワンウェイクラッチ186を挿入している例で図示
しているが、省略してもよい。
【0169】次に、本発明に係る第18実施例の差動駆
動過給装置について、図47を参照して説明する。第1
8実施例において、差動遊星歯車装置10は、サンギャ
ー11と、プラネタリギャー12と、プラネタリキャリ
ア13と、リングギャー14とからなる。この差動遊星
歯車装置10には、エンジン出力軸1Aに固設されたギ
ヤー6と、ギヤー6に噛みあい、かつ、プラネタリキャ
リア13に固設されたギヤー7からエンジン1の動力が
入力される。また、ギヤー7とリングギャー14の間に
はリングギャー用無段変速機320が配設され、このリ
ングギャー用無段変速機320はギヤー7に固設されて
いる。リングギャー用無段変速機320は制御装置60
からの指令により、リングギャー用電磁バルブ320a
を介した油圧により、ベルト式無段変速機(CVT)の
プーリ、あるいは、トロイダル式無段変速機の接触子の
制御を行ないリングギャーの回転速度を可変にしてい
る。
【0170】また、プラネタリキャリア13には通常3
個のプラネタリギャー12が等間隔に回転自在に取着さ
れている。3個のプラネタリギャー12の内方にはサン
ギャー11が、また、外方にはリングギャー14が噛合
している。サンギャー11には機械式過給機20が配設
されている。また、リングギャー14の外方には、ブレ
ーキ部172のブレーキ板172aがリングギャー14
に、さらに、ブレーキ板172aを挟んで固定側ブレー
キ板172bが固定ケース172cに、軸方向摺動自在
に付設されている。クラッチ170部は制御装置60か
らの指令により、クラッチ用電磁バルブ173を介した
油圧によりクラッチ170aの断続を行ない、また、ブ
レーキ部172はブレーキ用電磁バルブ174を介した
油圧により、ブレーキ板172aと固定側ブレーキ板1
72bとの断続を行なう。上記のように、エンジン1と
差動遊星歯車装置10のリングギャー14の間にリング
ギャー用無段変速機320を挿入することにより、差動
遊星歯車装置10の減速比が利用でき、リングギャー用
無段変速機320を小容量で、小型で安価にできる。
【0171】上記構成において、次に図34を参照して
作動について説明する。(A−10)の車両停止の状
態、(B−10)の停止状態から車両を発進するときの
状態、(C−10)の発進状態から車両を加速するとき
の状態、および、(D−10)のアクセルを踏み込み車
両をさらに加速するときの状態では、制御装置60はア
クセル量検出センサー62と、車速検出センサー64
と、操作レバー位置センサー67と、あるいは/およ
び、過給機選択用スイッチ192からの信号により、リ
ングギャー用無段変速機320の減速比を選択し、機械
式過給機20を高速で回転する。これにより、低速・中
速時には機械式過給機20は高速回転し、エンジンの出
力トルクのアップが図られる。
【0172】(E−10)のアクセルをさらに踏み込み
車両が加速終了時点のときの状態、あるいは、(F−1
0)のエンジンの回転速度、あるいは、車両の速度が所
定のほぼ一定のときの状態では、制御装置60はアクセ
ル量検出センサー62と、車速検出センサー64と、操
作レバー位置センサー67と、あるいは/および、過給
機選択用スイッチ192からの信号によりリングギャー
用無段変速機320を回転し、機械式過給機20を低速
で回転する。上記において、加速初期には増速比を大き
くして機械式過給機20を早く回して加速力をあげる。
また、加速後期には増速比を小さくして機械式過給機2
0をゆっくり回し定常走行へ移行するとともに、機械式
過給機20の駆動力の損失がすくなくし、燃費の向上を
図る。
【0173】次に、第18実施例に示す差動駆動過給装
置のリングギャー用無段変速機320の具体例を概念図
で説明する。図48はリングギャー用無段変速機320
にトロイダル式無段変速機321を用いた例を示す。減
速比は制御装置60からの指令により、トロイダル式無
段変速機321の接触子321aの変化により行われ
る。図49はリングギャー用無段変速機320にベルト
式無段変速機(CVT)322を用いた例を示す。減速
比は制御装置60からの指令により、ベルト式無段変速
機322のプーリ径322a、322bの変化により行
われる。
【0174】上記の差動駆動過給装置の作動を纏める
と、図50に示すフローチャートが得られる。 ステッ
プ1では、エンジン回転数センサー63からの回転速度
の信号によりエンジン1の回転速度を検出する。ステッ
プ2では、オペレータからエンジン1への負荷指令を、
アクセルペタル61の踏み込み量を検出するアクセル量
検出センサー62からの信号、あるいは、噴射ポンプ6
5のラック位置センサー66からの信号により検出す
る。ステップ3では、エンジン回転数センサー63から
の回転速度の信号、および、アクセル量検出センサー6
2(あるいは、ラック位置センサー66)からの信号に
より、制御装置60は機械式過給機20よりエンジン1
への過給空気量、すなわち、機械式過給機20の回転速
度の目標値を図示しない記憶装置に記憶されているマッ
プより求める。ステップ4では、制御装置60は、求め
た機械式過給機20の回転速度に応じて、リングギャ1
4に付設した油圧モータ30等の回転負荷可変体に最大
負荷を掛けるか、リングギャ14に付設したフライホイ
ール171にブレーキを掛けるか、リングギャ14に接
続したクラツチ186等を接続するか、あるいは、リン
グギャ14に接続した無段変速機320の減速比を最大
にするか、のいずれかを行う指令を前記の回転負荷可変
体、フライホイール171、クラツチ186、あるい
は、無段変速機320に出力する。ステップ5では、制
御装置60は、大気Uとエンジン1の吸気配管23を接
続する開閉弁22を閉じる指令と、機械式過給機20と
エンジン1の吸気配管23を接続する開閉弁25を開く
指令とを、開閉弁22、および開閉弁25に出力する。
【0175】図51は、本発明に係る第19実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。第9実施例が差動
遊星歯車装置10に機械式過給機20と、リングギャー
14に付設されたブレーキ部72と、およびクラッチ部
170を介してフライホイール171が付設されている
のに対して、第19実施例はリングギャー14にクラッ
チ部355が付設されている。また、第9実施例がブレ
ーキ部72をブレーキ用電磁バルブ174を介した油圧
により、ブレーキ板172aと固定側ブレーキ板172
bとの断続を行っているのに対して、第19実施例はク
ラッチ部355を高速電磁バルブ350を介した油圧に
より、リングギャー14側に付設され可動するクラッチ
板356と、リングギャー14の外方のケースに固定さ
れている固定側クラッチ板357との接続、高速での接
続および遮断の切り換え、あるいは、遮断を行ってい
る。高速電磁バルブ350は制御装置60に接続され、
指令を受けて図示しないパイロットポンプからの油圧を
クラッチ部355に供給する。制御装置60には、エン
ジン1に付設されているエンジン回転数センサー63か
らの回転速度の信号、および、噴射ポンプ65のラック
位置を検出するラック位置センサー66からの信号が入
力されている。
【0176】上記構成において、次に作動について説明
する。図52を用いて説明する。図52は横軸にエンジ
ン1の回転速度を、縦軸にエンジン1の正味平均有効圧
力を示す。図52において、エンジン回転数センサー6
3からの回転速度の信号により回転速度が定格負荷回転
速度位置(Na点)てあることを検出し、かつ、噴射ポ
ンプ65のラック位置センサー66からの信号により、
エンジン1への負荷指令が定格無過給最大出力点近傍
(Pma点)であることを制御装置60が判断すると、
制御装置60は高速電磁バルブ350に指令を出力せず
に、ポート位置350aに位置させて、パイロットポン
プ351からの油圧をクラッチ部355に供給しない。
このため、クラッチ板356と固定側クラッチ板357
との遮断を行っている。これにより、リングギャー14
は自在に回転するため、差動遊星歯車装置10の減速比
はゼロとなり機械式過給機20は停止し、エンジン1へ
の空気の過給はおこなわれない。次に、エンジン1の回
転速度が中速回転速度位置近傍(Nb点)であり、か
つ、ラック位置センサー66からの信号により、エンジ
ン1への負荷指令がさらに高い出力点近傍(Pmb点)
であることを制御装置60が判断すると、制御装置60
は高速電磁バルブ350に、図53の0N−OFFの高
速切換制御の指令を出力して、ポート位置350aと3
50bとを高速で切り換えて、パイロットポンプ351
からの油圧をクラッチ部355に高速に断続して供給す
る。このため、クラッチ板356と固定側クラッチ板3
57とは高速で遮断と接続とを繰り返し、リングギヤー
14を高速電磁バルブ350の切換の制御速度に応じて
減速して回転する。これにより、リングギャー14の回
転は規制され、差動遊星歯車装置10の減速比は中減速
となり機械式過給機20は中速度で回転し、エンジン1
への空気の過給はおこなう。これにともない、エンジン
1の正味平均有効圧力は、定格無過給最大出力点近傍よ
り高い中速回転速度位置(Pmb点)まで高まり、発生
トルクも上昇する。さらに、エンジン1の回転速度が低
速回転速度位置近傍(Nc点)であり、かつ、ラック位
置センサー66からの信号により、エンジン1への負荷
指令がさらに高い出力点近傍(Pmc点)であることを
制御装置60が判断すると、制御装置60は高速電磁バ
ルブ350に一定の指令を出力してポート位置350b
に切り換え、パイロットポンプ351からの油圧をクラ
ッチ部355に連続して供給する。このため、クラッチ
板356と固定側クラッチ板357とは常に接続し、ク
ラッチ板356の回転は停止する。これにより、リング
ギャー14の回転は停止し、差動遊星歯車装置10の減
速比は最高減速となり機械式過給機20はさらに回転を
増して高速回転し、エンジン1への空気の過給を増して
おこなう。これにともない、エンジン1の正味平均有効
圧力は、さらに、中速回転速度位置より低速回転速度位
置(Pmc点)まで高まり、発生トルクもさらに上昇す
る。
【0177】上記の結果により、従来では、図52の無
過給エンジンの出力トルクの上限カーブは点線Tcaで
あったのが、本発明により、差動遊星歯車装置10によ
り可変の回転速度で駆動される機械式過給機20のた
め、正味平均有効圧力は図52に示す斜線部範囲が拡大
する。図52においては、機械式過給機20の作動範囲
は、定格無過給最大出力点を通る出力一定カーブ(実線
Haa)を上限とし、下限は本来の無過給エンジンの出
力上限カーブ付近(点線Tca)、もしくは、本来の無
過給エンジンのスモーク悪化手前(空気過剰率低下によ
るもの)の出力上限カーブ付近として、この二つの出力
カーブに挟まれる領域として差動遊星歯車装置10によ
り制御される。上記において、定格無過給最大出力点近
傍(Pma点)ではクラッチ部355を遮断し、低速回
転速度位置近傍(Nc点)ではクラッチ部355を接続
している。また、定格無過給最大出力点近傍(Pma
点)と低速回転速度位置近傍(Nc点)との間の中速回
転速度位置(Pmb点)では、例えば、高速電磁バルブ
350の遮断の時間を一定とし、接続している時間を可
変としてリングギャー14に制動トルクを与え、リング
ギャー14の回転速度を可変とする。これにより、定格
無過給最大出力点近傍(Pma点)から低速回転速度位
置近傍(Nc点)までのリングギャー14の回転速度を
一次曲線、あるいは、二次曲線により可変として変化さ
せる。このリングギャー14の回転速度の変化により機
械式過給機20の回転速度も変化させる。
【0178】上記の制御は纏めると、図54に示すフロ
ーチャートとなる。ステップ1では、エンジン回転数セ
ンサー63からの回転速度の信号によりエンジン1の回
転速度を検出する。ステップ2では、オペレータからエ
ンジン1への負荷指令を噴射ポンプ65のラック位置セ
ンサー66からの信号により検出する。ステップ3で
は、エンジン回転数センサー63からの回転速度の信
号、および、ラック位置センサー66からの信号によ
り、制御装置60は機械式過給機20よりエンジン1へ
の過給空気量、すなわち、機械式過給機20の回転速度
の目標値を図示しない記憶装置に記憶されているマップ
より求める。ステップ4では、制御装置60は機械式過
給機20よりエンジン1への過給空気量をもとに、機械
式過給機20の回転速度を可変とする差動遊星歯車装置
10の減速比を図示しない記憶装置に記憶されているマ
ップより求める。ステップ5では、制御装置60は求め
た差動遊星歯車装置10の減速比から高速電磁バルブ3
50に指令を出力し、ブレーキ板172aと固定側ブレ
ーキ板172bとの接続、滑り、あるいは、断絶を行な
う。ステップ6では、機械式過給機回転数センサー35
2からの回転速度の信号により機械式過給機20の回転
速度を検出する。ステップ7では、ステップ3で求めた
機械式過給機20の回転速度の目標値とステップ6で測
定した機械式過給機回転数センサー352からの回転速
度を照合する。ステップ7で一致している場合には、ス
テップ1に戻る。一致していない場合には、ステップ8
にいき補正値を求め、ステップ5に戻る。
【0179】図55は、本発明に係る第20実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。図55において、
エンジン1には出力軸1Aに接続された差動遊星歯車装
置10が付設され、差動遊星歯車装置10には機械式過
給機20と、可変油圧モータ30等の回転負荷可変体と
が付設されている。機械式過給機20の吸入側の配管2
1にはターボ過給機400を経て図示しないフイルター
を経て大気Uに、また、機械式過給機20とターボ過給
機400の間の配管21より分岐した配管21aには開
閉弁22が配設され、配管21aはエンジン1の吸気管
23に接続されている。機械式過給機20の吐出側の配
管24には開閉弁25が配設され、配管25はエンジン
1の吸気管23に接続されている。開閉弁22、開閉弁
25は制御装置60に接続され、制御装置60からの指
令により開閉し、大気から図示しないフィルターを介し
て配管21a、開閉弁22、吸気管23から直ちに空気
をエンジンに供給するか、あるいは、機械式過給機20
を経て配管24、開閉弁25、吸気管23から空気をエ
ンジン1に供給するの切り替えを行う。エンジン1から
の排気ガス管401はターボ過給機400に接続されて
いる。また、その他の構成部品、例えば、制御装置6
0、エンジン回転数センサー63、車速検出センサー6
4、噴射ポンプ65、ラック位置センサー66、操作レ
バー位置センサー67、あるいは、シフト位置センサー
69等は図示していないが、図1と同様に構成されてい
る。
【0180】上記構成において、次に作動について説明
する。機械過給機20は、前記第10実施例と同様に、
エンジン1の回転速度の変化に対して差動駆動装置10
により可変に駆動され、エンジン1の回転速度が低くな
るにしたがい、図56に示すように、正味平均有効圧力
(Pme)を大きくしてエンジン1の出力を等出力(実
線Haa)にしている。図57では、横軸にエンジン1
の回転速度を、縦軸にエンジン1への過給した空気量を
示す。図中の一点鎖線は機械式過給機20からの過給し
た空気量を、二点鎖線はターボ過給機400からの過給
した空気量を示す。図57において、エンジン1の低速
回転領域(Na点近傍)では、差動駆動装置10により
機械過給機20が高速に増速されて図57に示す等馬力
の空気量を過給している。このとき、ターボ過給機40
0は排気ガスを受けて一定の回転速度で回転し、空気を
機械過給機20に供給している。エンジン1の中速回転
領域(Nb点近傍)では、差動駆動装置10により機械
過給機20が中速に増速されて所定の空気量(Amc)
を過給している。このとき、ターボ過給機400は排気
ガスを受けて一定の回転速度で回転し、所定の空気量
(Atc)を機械過給機20に供給している。これによ
り、エンジン1は一定の空気量(実線Acc)を得てい
る。エンジン1の高速回転領域(Nc点近傍)では、差
動駆動装置10により機械過給機20は停止している。
このとき、ターボ過給機400は排気ガスを受けて一定
の回転速度で回転し、ターボ過給機400からの空気は
配管21a、開閉弁22、吸気管23から直ちにエンジ
ンに供給されている。これにより、エンジン1は一定の
空気量Accを得ている。このように、図57に示す本
発明の機械式過給機20とターボ過給機400により過
給するハイブリッド過給は空気量Accが一定となる。
このハイブリッド過給で、エンジン1の必要空気量およ
び供給する燃料流量を一定にすることにより、排気ガス
エネルギを一定にする。ターボ過給機400の回転速度
を一定にする。この一定の排気エネルギによりターボ過
給機400の回転速度を一定で回転することができるた
め、図58に示すように、ナロウレンジのマップのディ
フューザ付きのコンプレッサが使用できる。従って、コ
ンプレッサ効率を最高の効率範囲(Laa)で使え、ワ
イドレンジのターボに比べるとターボ効率を約5%アッ
プすることができる。また、定格点と最大トルクとの効
率の差まで考慮すると、従来に比してターボ効率を約1
0%アップすることができる。
【0181】上記の制御は纏めると、図59に示すフロ
ーチャートとなる。ステップ1では、エンジン回転数セ
ンサー63からの回転速度の信号によりエンジン1の回
転速度を検出する。ステップ2では、オペレータからエ
ンジン1への負荷指令を噴射ポンプ65のラック位置セ
ンサー66からの信号により検出する。ステップ3で
は、エンジン回転数センサー63からの回転速度の信
号、および、ラック位置センサー66からの信号によ
り、制御装置60は機械式過給機20よりエンジン1へ
の過給空気量、すなわち、機械式過給機20の回転速度
の目標値を図示しない記憶装置に記憶されているマップ
より求める。ステップ4では、制御装置60は機械式過
給機20よりエンジン1への過給空気量をもとに、機械
式過給機20の回転速度を可変とする差動遊星歯車装置
10の減速比を図示しない記憶装置に記憶されているマ
ップより求める。ステップ5では、制御装置60は求め
た差動遊星歯車装置10の減速比から回転負荷可変体に
指令を出力し、機械式過給機20を所定の回転速度で回
転させる。ステップ6では、制御装置60はステップ3
で求めた空気量に応じて、開閉弁22に所定の開度量を
開く指令を出力する。ステップ7では、機械式過給機回
転数センサー352からの回転速度の信号により機械式
過給機20の回転速度を検出する。ステップ8では、ス
テップ3で求めた機械式過給機20の回転速度の目標値
とステップ7で測定した機械式過給機回転数センサー3
52からの回転速度を照合する。ステップ8で一致して
いる場合には、ステップ1に戻る。一致していない場合
には、ステップ9にいき補正値を求め、ステップ5に戻
る。上記発明において、ハイブリッド過給で、エンジン
1の必要空気量および供給する燃料流量を一定にするこ
とにより、図56に示すように、ターボ過給機400に
よりさらに正味平均有効圧力は機械式過給機20のみの
正味平均有効圧力(Haa)からターボ過給機400も
加えた高い正味平均有効圧力(Hbb)に増すことがで
きる。
【0182】次に、本発明では、差動遊星歯車装置10
により可変の回転速度で駆動される機械式過給機20
で、低速時にも所定の過給空気をエンジン1に供給する
ことにより、吸入空気の限界がなくなるとともに、圧縮
比εを低くとれるので図60に示すように軸平均有効圧
力を高くとれるという効果が得られる。図60では、横
軸に軸平均有効圧力Pmeを、縦軸に気筒内の最大燃焼
圧力Pmaxを示している。また、実線はエンジン1の
圧縮比εを示している。図中の圧縮比ε=10以下、で
はガソリンエンジンと同一であり、ディーゼルエンジン
としての熱効率の良さを発揮できない領域である。ま
た、ディーゼルエンジンでは、最大燃焼圧力Pmax
は、約150Kg/cm2 程度であり、それ以上では、
クランクシャフト、コンロッド等の軸受が大きくなり、
設計バランスが崩れ効率的な構成が形成できない領域で
ある。また、従来では、低温始動性を確保する目的から
設計上の圧縮比εは直接噴射式で15〜19、あるい
は、副室噴射式で19〜24である。
【0183】これに対して、本発明では、低速時にも機
械式過給機20で所定の過給空気をエンジン1に供給す
ることにより、低温時でもし過給空気として温度が上昇
することがテスト結果より本出願人により確認された。
例えば、エンジン1の回転速度が80rpm程度の始動
時のエンジンクランキング速度であっても、機械過給機
20が増速比6程度(機械過給機20の回転速度は48
0rpm程度)あれば、機械式過給機20の前に対して
後では、亜断熱圧縮により約45℃の給気温度の上昇が
確認された。これにより、機械式過給機20で過給する
ことにより、気温マイナス20℃の低温吸気であって
も、機械式過給機20の後では、プラス25℃まで上昇
する。これにより、設計上の圧縮比εは低くても、従来
機のエンジン1と同程度の始動性が得られる。
【0184】図61は横軸に圧縮比εを、縦軸に吸入温
度を示し、実線では無過給時のエンジン1の始動性を示
す。例えば、圧縮比ε=17では、気温マイナス20℃
でエンジン1が始動可能限界に達する(図中のA点で示
す)。しかし、吸入空気を機械式過給機20により圧縮
して吸気することにより、圧縮比εが10程度と低くて
も従来機のエンジン1と同程度の始動可能限界能力が得
られる(図中B点で示す)。このため、本発明によれ
ば、圧縮比εは、直接噴射式で10〜15、あるいは、
副室噴射式で10〜20、あれば良い。これは、下限の
圧縮比ε=10は、ガソリンエンジンと同一でありディ
ーゼルエンジンとしての熱効率の良さを発揮できない領
域である。上限の圧縮比εは、直接噴射式で圧縮比ε=
15、および、副室噴射式で圧縮比ε=20、は従来機
と、同一となることより規制される領域である。
【0185】次に、本発明の車載したときの実施例を示
す。図62は本発明に係る第21実施例を示す差動駆動
過給装置の概念図である。図55とほぼ同じであるが、
図62においては、第9実施例と同様に、制御装置60
に、エンジン1に付設されているエンジン回転数センサ
ー63からの回転速度の信号、および、噴射ポンプ65
のラック位置を検出するラック位置センサー66からの
信号が入力されている。また、制御装置60には、オペ
レータが踏み込むアクセルペタル61と、アクセル量検
出センサー62と、車速検出センサー64、および、操
作レバー位置センサー67が付設されている。また、ア
クセルペタル61には、例えば、アクセル量の領域、領
域A、領域B、領域C、領域Dが設けられている。図6
3は、横軸にエンジン1の回転速度を、縦軸に正味平均
有効圧力Pmeをとり、横の実線でアクセル量の領域の
一例を示す。また、正味平均有効圧力Pmeの領域Pm
A、領域PmB、領域PmC、領域PmDには、差動遊
星歯車装置10の増速比βが設定されている。例えば、
領域PmAでは増速比β=1、領域PmBでは増速比β
=2、領域PmCでは増速比β=4、領域PmDでは増
速比β=6のごとく設定され図示しない記憶装置に記憶
されている。また、この正味平均有効圧力Pmeの領域
PmA、領域PmB、領域PmC、領域PmDは、アク
セル量の領域、領域A、領域B、領域C、領域Dに対応
して設定されている。
【0186】次に作動について、図64のフローチャー
ト図で説明する。例えば、ステップ1では、エンジン回
転数センサー63からの回転速度の信号によりエンジン
1の回転速度を検出する。ステップ2では、オペレータ
が踏み込むアクセルペタル61がアクセル量の領域のい
ずれにあるかをアクセル量検出センサー62より検出す
る。また、領域A、領域B、領域C、領域Dがいずれに
あるかは、エンジン1への負荷指令を受ける噴射ポンプ
65に付設されているラック位置センサー66からも検
出することができる。ステップ3では、エンジン回転数
センサー63からの回転速度の信号、および、アクセル
量の領域のいずれかにあるかの信号により、機械式過給
機20の回転速度を可変とする差動遊星歯車装置10の
増速比を図示しない記憶装置に記憶されているマップよ
り求める。例えば、領域Dにあると、軸平均有効圧力P
meが図64に示すように、所定の領域PmDになるよ
うに差動遊星歯車装置10の増速比を(例えば増速比
6)図示しない記憶装置に記憶されているマップより求
める。ステップ4では、制御装置60は求めた差動遊星
歯車装置10の増速比から回転負荷可変体に指令を出力
して差動遊星歯車装置10を所定の増速比とし、機械式
過給機20を所定の回転速度で回転させる。これによ
り、ステップ3の増速比6倍の時には、機械式過給機2
0の回転速度は6倍で早く回転する。ステップ5では、
制御装置60はステップ3で求めた空気量に応じて、開
閉弁22に所定の開度量を開く指令を出力する。このと
き、ステップ5はステップ4と入れ換えても良い。ステ
ップ6では、機械式過給機回転数センサー352からの
回転速度の信号により機械式過給機20の回転速度を検
出する。ステップ7では、ステップ3で求めた機械式過
給機20の回転速度の目標値とステップ6で測定した機
械式過給機回転数センサー352からの回転速度を照合
する。ステップ7で一致している場合には、ステップ1
に戻る。一致していない場合には、ステップ8にいき補
正値を求め、ステップ4に戻る。
【0187】図65は、本発明に係る第22実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。エンジン1には、
蓄圧式噴射系の噴射ポンプ421と、潤滑系のオイルポ
ンプ422と、冷却系の水ポンプ423と、および発電
機424等の補機420が付設されている。従来では、
これらの補機420はエンジン1の回転に一定比で連動
して回転している。以下の第22実施例を始めとする実
施例においては、これらの補機420は、低速域におい
てより増速するエンジン回転反比例型、もしくは、可変
型の装置を介して駆動されている。 図65において、
エンジン1の出力軸1Aには、第1実施例と同様に差動
遊星歯車装置10が一方に接続されて、差動遊星歯車装
置10には機械式過給機20と、可変油圧モータ30等
の回転負荷可変体とが付設されている。また、出力軸1
Aの他方には、可変増速比装置430を介して、補機4
20の噴射ポンプ421と、オイルポンプ422と、冷
却系の水ポンプ423と、および、発電機424等が付
設されている。ここで、可変増速比装置430は詳細は
図示されていないが、前記の差動遊星歯車装置10と回
転負荷可変体との組合せで、エンジン1の低速域におい
てより増速し、噴射ポンプ421と、オイルポンプ42
2と、冷却系の水ポンプ423と、および、発電機42
4等の回転速度を早くしている。補機420には、補機
用回転数センサー425が付設され、各補機420の回
転速度を検出している。また、その他の構成部品、例え
ば、制御装置60、エンジン回転数センサー63、車速
検出センサー64、噴射ポンプ65、ラック位置センサ
ー66、操作レバー位置センサー67、あるいは、シフ
ト位置センサー69等は図示していないが、図1と同様
に構成されている。
【0188】次に、作動について説明する。例えば、図
66、および、図67に示す図でエンジン1の出力と、
潤滑系のオイルポンプ422との関係を説明する。図6
6では、横軸にエンジン1の回転速度を、縦軸に正味有
効平均出力Pmeを示し、実線で本発明の等出力Haa
を、点線で従来の出力Tcaを示す。図67では、横軸
にエンジン1の回転速度を、縦軸にオイルポンプ422
の吐出量Qを示し、実線で本発明のオイルポンプ422
の吐出量Qaaを、点線で従来のオイルポンプ422a
の吐出量Qtaを示す。図66において、従来では、例
えば、エンジン1の低速回転領域(Na点近傍)の20
馬力(Pm1点)では、図67において、オイルポンプ
422aの吐出量Qtsも少なく、中速回転領域(Nb
点近傍)の50馬力(Pm2点)で所定量Qtcを吐出
している。また、高速回転領域(Nc点近傍)の100
馬力(Pm3点)で所定量Qtcを吐出している。これ
に対して、本発明では、エンジン1の低速回転領域(N
a点近傍)の100馬力(Pm4点)では、図67にお
いて、オイルポンプ422の吐出量Qadは大きく、中
速回転領域(Nb点近傍)の100馬力(Pm5点)で
は、低速回転領域の吐出量Qadよりも少ない所定量Q
aeを吐出している。また、高速回転領域(Nc点近
傍)の100馬力(Pm6点)で所定量Qafを吐出し
ている。このように、差動駆動装置により増速して機械
式過給機を駆動し、エンジンが等馬力を出力するとき
に、機械式過給機の回転速度、あるいは/および仕事量
に応じて、オイルポンプ422の回転速度を増速してい
る。このように、補機420が可変増速比装置430に
より低速域で増速されることにより、従来エンジンに比
較して、低速トルクの大幅増加に伴う必要潤滑油量、お
よび必要冷却水量の増加を補うことができる。また、同
様に低速時に高い噴射圧が要求される本発明の高トルク
型エンジン1では、低速域で増速することにより、これ
らの要求に対応することができる。これにより、主運動
部分の潤滑不良(特に、低速域での油膜の形成)、およ
び、低速域の出力増大による各部の冷却不良が解消さ
れ、信頼性、耐久性が従来機と同等以上の高トルク型エ
ンジン1が得られる。
【0189】次に、図68のフローチャート図にしたが
って作動について説明する。ステップ1では、エンジン
回転数センサー63からの回転速度の信号によりエンジ
ン1の回転速度を検出する。ステップ2では、オペレー
タからエンジン1への負荷指令を噴射ポンプ65のラッ
ク位置センサー66からの信号により検出する。ステッ
プ3では、エンジン回転数センサー63からの回転速度
の信号、および、ラック位置センサー66からの信号に
より、制御装置60は機械式過給機20よりエンジン1
への過給空気量、すなわち、機械式過給機20の回転速
度の目標値を図示しない記憶装置に記憶されているマッ
プより求める。ステップ4では、制御装置60は機械式
過給機20よりエンジン1への過給空気量に応じて補機
420を回転駆動する可変増速比装置430の増速比を
図示しない記憶装置に記憶されているマップより求め
る。ステップ5では、制御装置60は求めた所定の増速
となるように可変増速比装置430に指令を出力する。
ステップ6では、補機用回転数センサー425からの回
転速度の信号により補機420の回転速度を検出する。
ステップ7では、ステップ3で求めた補機420の回転
速度の目標値とステップ6で測定した補機用回転数セン
サー425からの回転速度を照合する。ステップ7で一
致している場合には、ステップ1に戻る。一致していな
い場合には、ステップ8にいき補正値を求め、ステップ
5に戻る。
【0190】図69は、本発明に係る第23実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。なお、第22実施
例と同一部品には同一符号を付して説明は省略する。図
69において、エンジン1の出力軸1Aには、第1実施
例と同様に差動遊星歯車装置10が一方に接続されて、
差動遊星歯車装置10には機械式過給機20と、可変油
圧モータ30等の回転負荷可変体とが付設されている。
また、この差動遊星歯車装置10には、補機420の噴
射ポンプ421と、オイルポンプ422と、冷却系の水
ポンプ423と、および、発電機424等が付設されて
いる。また、その他の構成部品、例えば、制御装置6
0、エンジン回転数センサー63、車速検出センサー6
4、噴射ポンプ65、ラック位置センサー66、操作レ
バー位置センサー67、あるいは、シフト位置センサー
69等は図示していないが、図1と同様に構成されてい
る。作動については第22実施例と同一のため説明は省
略する。
【0191】図70は、本発明に係る第24実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。なお、第22実施
例と同一部品には同一符号を付して説明は省略する。図
70において、エンジン1の出力軸1Aには、第1実施
例と同様に差動遊星歯車装置10が一方に接続されて、
差動遊星歯車装置10には機械式過給機20と、可変油
圧モータ30等の回転負荷可変体とが付設されている。
また、この差動遊星歯車装置10には、補機420のオ
イルポンプ422と、冷却系の水ポンプ423とが付設
されている。さらに、エンジン1の出力軸1Aには、従
来と同様に、補機420の噴射ポンプ421と、オイル
ポンプ422aと、冷却系の水ポンプ423aと、およ
び、発電機424等とが、エンジン1に一定比で連動し
て回転するように付設されている。また、その他の構成
部品、例えば、制御装置60、エンジン回転数センサー
63、車速検出センサー64、噴射ポンプ65、ラック
位置センサー66、操作レバー位置センサー67、ある
いは、シフト位置センサー69等は図示していないが、
図1と同様に構成されている。
【0192】作動について、第24実施例では、エンジ
ン1の低速域で差動駆動装置により増速して機械式過給
機を駆動するとともに、差動駆動装置により補機420
のオイルポンプ422と、冷却系の水ポンプ423を増
速して、必要潤滑油量、および、必要冷却水量の増加を
補うことができる。
【0193】図71は、本発明に係る第25実施例を示
す差動駆動過給装置の概念図である。第25実施例は、
第20実施例と同様に、差動遊星歯車装置10に機械式
過給機20と、可変油圧モータ30等の回転負荷可変体
とが付設されている。また、機械式過給機20の吸入側
の配管21にはターボ過給機400が配設されている。
さらに、第16実施例では、ターボ過給機400の排出
口400aに配管430が接続され、配管430にはタ
ービン431が接続されている。タービン431には、
補機420を駆動するとともに、エネルギーを回収する
可変増速切換装置440が付設されている。可変増速切
換装置440は、補機420のオイルポンプ422と、
冷却系の水ポンプ423とが付設されているとともに、
エンジン1の出力軸1Bに連結されている。また、その
他の構成部品、例えば、制御装置60、エンジン回転数
センサー63、車速検出センサー64、噴射ポンプ6
5、ラック位置センサー66、操作レバー位置センサー
67、あるいは、シフト位置センサー69等は図示して
いないが、図1と同様に構成されている。
【0194】作動について、第16実施例では、エンジ
ン1の低速域では、エンジン回転数センサー63および
ラック位置センサー66からの信号により、制御装置6
0が可変増速切換装置440に指令を出力し、タービン
431の駆動力を補機420のオイルポンプ422と、
冷却系の水ポンプ423に伝えて回転駆動する。これに
より、エンジン1の低速域では、補機420のオイルポ
ンプ422と、冷却系の水ポンプ423を増速して、必
要潤滑油量、および必要冷却水量の増加を補うことがで
きる。また、エンジン1が高速域では、制御装置60が
可変増速切換装置440に指令を出力し、タービン43
1の駆動力を補機420から出力軸1Bに切り換えて、
補機420のオイルポンプ422と、冷却系の水ポンプ
423を停止するとともに、タービン431の駆動力を
出力軸1Bに伝えてエネルギーを回収する。
【0195】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる機
械式過給機の差動駆動方式では、回転負荷可変体を制御
することにより機械式過給機の回転力、回転速度を外部
より制御することができ、ゼロ発進からの加速も含めて
応答性の良い車両運動性能が得られ、さらに、ひきずり
抵抗がなく、エネルギーロスがほとんどない、エネルギ
ーを有効に活用できる、低速高トルク型で、燃料経済性
の高い、しかも、応答性のよいパワーラインを得ること
ができる。また、産業車両、建設機械等の作業用の油圧
源を用いることにより、構造が簡単で、安価で、高効率
の機械式過給機を差動駆動方式が得られる。
【0196】リングギャにブレーキおよびクラッチを介
してフライホィール等の慣性体を付設しているので車両
の低速時に機械式過給機を急激に加速することができ、
低速時のエンジンの出力を高くすることができる。ま
た、高速時には、クラッチを切断することに機械式過給
機を停止することができ、高速時のエンジンの出力を低
くして、燃費を向上している。また、車両の減速時にフ
ライホィール等の慣性体にエネルギーを蓄え、再発進時
にそのエネルギーを用いて機械式過給機をさらに急激に
加速することができ、低速時のエンジンの出力をさらに
高くできる。長時間運転時、あるいは、登坂時にブレー
キを作動することにより、機械式過給機を回転すること
ができ、加速時のエンジンの出力を高くする。従来のよ
うにブレーキのみにたよると、ブレーキの負荷、特に、
過渡期に滑らせる状態となり、摩擦熱の発生によるクリ
ープ状態あるいは耐久性の低下が発生する問題が、フラ
イホィールの慣性力を利用することでブレーキの負荷を
軽減できる。リングギャの駆動に車両駆動系の変速機の
後方の出力軸から駆動力をうることにより、変速機の変
速を用いて、低速時には、機械式過給機を急激に加速す
ることができ、高速時には機械式過給機の回転を一定に
保つことができる。また、機械過給機にワンウェイクラ
ッチを付設することにより、段階的な変速機の変速にも
かかわらず機械過給機の回転を滑らかに変速することが
できる。リングギャの駆動に車両駆動系の変速機の後方
の出力軸から駆動力をうるとともに、過給機用変速機を
介して駆動することにより、作業等用途に応じて機械過
給機の回転を選択でき、最適の所要のエンジンの低速時
の出力が得られる。エンジンの出力軸とリングギャの間
にリングギャ用無段変速機を挿入することにより、差動
駆動装置の増速比を可変にでき、加速初期には増速比を
大きくして加速力を増し、また、加速後期には増速比を
小さくして機械過給機をゆっくり回し、定常走行への移
行をスムーズにする。上記のごとく、低速高トルク型
で、燃料経済性の高い、しかも、小型で安価な応答性の
よいパワーラインを得ることができる。
【0197】リングギャにクラッチを装着して、このク
ラッチを高速電磁バルブにより遮断、高速に遮断および
接続、あるいは、接続のいずれかを行ない低速高トルク
をうるため、小型で安価な応答性のよいパワーラインを
得られる。機械過給機とターボ過給機とを組み合わせる
とともに、差動駆動装置により機械過給機を駆動して等
出力を出力し、さらに、その上にターボ過給機の出力を
加えることができ、高出力のエンジンがえられる。ま
た、差動駆動装置により機械過給機を駆動して排気エネ
ルギを一定にしているためにターボ過給機の回転速度を
一定で回転することができ、コンプレッサ効率を最高の
効率範囲で使え、効率を約10%アップすることができ
る。これに伴い、燃費が約3グラム/馬力・時間の節約
ができる。また、低速時に、高速で機械過給機により過
給して、亜断熱圧縮により吸気温度を上昇させるため、
圧縮比を下げても低温始動性が確保できるとともに、圧
縮比が下げられるために正味平均有効圧力は高く設定で
き、低速時高トルクを発生するエンジンが得られる。ま
た、常に等量の空気を過給してエンジンに送り込むこと
ができるので、低速域でのターボラグ、すなわち、加速
時の初期に過給遅れからくる停滞感を解消できる。ま
た、エンジンの回転速度が低速時に補機類を高速で回転
させるため、潤滑、冷却、あるいは、燃料噴射が十分に
行え、高い耐久性、信頼性の高トルク型のエンジンが得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例を示す差動駆動過給装
置の概念図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る差動遊星歯車装置の
噛み合いの側面図であり、エンジンと機械式過給機と可
変油圧モータの回転速度を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例に係わるエンジンと機械式
過給機と可変油圧モータの回転速度の相互の関係を説明
する図である。
【図4】ホイールローダの作業状態を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例車両の作業状態時のエンジ
ンと空気供給の状態を示し、横軸にエンジン回転速度
を、縦軸にエンジンの1サイクルにおける正味平均有効
圧Pmeをとり、実線にて機械式過給機および自然吸気
による空気の供給量の区分を示すである。
【図6】本発明に係る第2実施例を示す差動駆動過給装
置の概念図である。
【図7】本発明に係る第3実施例を示す差動駆動過給装
置の概念図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る差動遊星歯車装置の
噛み合いの側面図であり、エンジンと機械式過給機と可
変油圧モータの回転速度を示す図である。
【図9】本発明の第3実施例に係わるエンジンと機械式
過給機と可変油圧モータの回転速度の相互の関係を説明
する図である。
【図10】本発明の第3実施例車両の作業状態時のエン
ジンと空気供給の状態を示す図である。
【図11】本発明に係る第4実施例を示す差動駆動過給
装置の概念図である。
【図12】本発明の第4実施例に係る差動遊星歯車装置
の噛み合いの側面図であり、エンジンと機械式過給機と
可変油圧モータの回転速度を示す図である。
【図13】本発明の第4実施例に係わるエンジンと機械
式過給機と可変油圧モータの回転速度の相互の関係を説
明する図である。
【図14】本発明の第4実施例車両の作業状態時のエン
ジンと空気供給の状態を示す図である。
【図15】本発明に係る第5実施例を示す差動駆動過給
装置の概念図である。
【図16】本発明に係る第6実施例を示す差動駆動過給
装置の概念図である。
【図17】本発明に係る第7実施例を示す差動駆動過給
装置の概念図である。
【図18】本発明に係る第8実施例を示す差動駆動過給
装置の概念図である。
【図19】本発明に係る第9実施例を示す差動駆動過給
装置の概念図である。
【図20】本発明の第9実施例に係る差動遊星歯車装置
の噛み合いの側面図であり、エンジンと機械式過給機と
フライホィール(リングギャー)の回転速度を示す図で
ある。
【図21】本発明の第9実施例に係わるエンジンと機械
式過給機とフライホィールの回転速度の相互の関係を説
明する図である。
【図22】本発明に係る第10実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。
【図23】本発明の第10実施例に係る差動遊星歯車装
置の噛み合いの側面図であり、エンジンと機械式過給機
とフライホィール(リングギャー)の回転速度を示す図
である。
【図24】本発明の第10実施例に係わるエンジンと機
械式過給機とフライホィールの回転速度の相互の関係を
説明する図である。
【図25】本発明に係る第11実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。(オートマチックトランスミッ
ション)
【図26】本発明の第11実施例に係る差動遊星歯車装
置の噛み合いの側面図であり、エンジンと機械式過給機
とリングギャーの回転速度を示す図である。
【図27】本発明の第11実施例に係わるエンジンと機
械式過給機とリングギャーの回転速度の相互の関係を説
明する図である。
【図28】本発明に係る第12実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。(マニュアルトランスミッショ
ン)
【図29】本発明の第12実施例に係る差動遊星歯車装
置の噛み合いの側面図であり、エンジンと機械式過給機
とリングギャーの回転速度を示す図である。
【図30】本発明の第12実施例に係わるエンジンと機
械式過給機とリングギャーの回転速度の相互の関係を説
明する図である。
【図31】本発明に係る第13実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。(ワンウェイクラツチ)
【図32】本発明の第13実施例に係わるエンジンと機
械式過給機とリングギャーの回転速度の相互の関係を説
明する図である。
【図33】本発明に係る第14実施例、第15実施例、
を示す差動駆動過給装置の概念図である。(過給機用変
速機)
【図34】本発明の第14実施例に係わるエンジンと機
械式過給機とリングギャーの回転速度の相互の関係を説
明する図である。(オートマチックトランスミッショ
ン)
【図35】本発明の第15実施例に係わるエンジンと機
械式過給機とリングギャーの回転速度の相互の関係を説
明する図である。(マニュアルトランスミッション)
【図36】過給機用変速機に歯車列の組合せを用いた図
を示す。
【図37】過給機用変速機にプーリ列の組合せを用いた
図を示す。
【図38】過給機用変速機にベルト式無段変速機(CV
T)を用いた図を示す。
【図39】過給機用変速機にトロイダル式無段変速機を
用いた図を示す。
【図40】過給機用変速機に油圧式で、切換バルブ、固
定型ポンプ、および、固定型モータの組合せを用いた図
を示す。
【図41】過給機用変速機に油圧式で、可変型ポンプ、
および、固定型モータの組合せを用いた図を示す。
【図42】過給機用変速機に油圧式で、可変型ポンプ、
および、可変型モータの組合せを用いた図を示す。
【図43】過給機用変速機に可変容量型流体継手を用い
た図を示す。
【図44】過給機用変速機に電気式で、発電機、およ
び、電気モータの組合せを用いた図を示す。
【図45】本発明に係る第16実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。(過給機用クラッチ)
【図46】本発明に係る第17実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。(過給機用クラッチと過給機用
変速機)
【図47】本発明に係る第18実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。(リングギャー用無段変速機)
【図48】リングギャー用無段変速機にトロイダル式無
段変速機を用いた図を示す。
【図49】リングギャー用無段変速機にベルト式無段変
速機(CVT)を用いた図を示す。
【図50】本発明に係る第1実施例から第18実施例に
示す主要な差動駆動過給装置の作動を説明するフローチ
ャート図である。
【図51】本発明に係る第19実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。
【図52】エンジン回転速度に対し本発明に係る正味平
均有効圧力と従来の正味平均有効圧力を説明する図であ
る。
【図53】高速電磁バルブの0N−OFFの高速切換制
御の作動を説明する図である。
【図54】本発明に係る第19実施例の作動を示すフロ
ーチャート図である。
【図55】本発明に係る第20実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。
【図56】エンジン回転速度に対し本発明に係る機械式
過給機および機械式過給機にターボ過給機とを加えた正
味平均有効圧力と従来の正味平均有効圧力を説明する図
である。
【図57】エンジン回転速度に対し本発明に係る機械式
過給機とターボ過給機とからエンジンへの過給した空気
量を供給する説明する図である。
【図58】本発明の機械式過給機とターボ過給機とを用
いたハイブリッド方式のターボ過給機のコンプレッサ効
率を説明する図である。
【図59】本発明に係る第20実施例の作動を示すフロ
ーチャート図である。
【図60】軸平均有効圧力Pmeと気筒内の最大燃焼圧
力Pmaxとに対する圧縮比εおよび最大燃焼圧力Pm
axの設計許容限界の関係を説明する図である。
【図61】圧縮比εと吸入空気温度に対するディゼルエ
ンジンの着火性を説明する図である。
【図62】本発明に係る第21実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。
【図63】エンジン回転速度とアクセル量の領域に対し
て所定の正味平均有効圧力が得られるのを説明する図で
ある。
【図64】本発明に係る第21実施例の作動を示すフロ
ーチャート図である。
【図65】本発明に係る第22実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。
【図66】エンジン回転速度に対し本発明に係るエンジ
ンの等馬力と従来のエンジンの馬力とを説明する図であ
る。
【図67】エンジン回転速度に対し本発明に係るエンジ
ンのオイルポンプの吐出量と従来のエンジンのオイルポ
ンプの吐出量との関係を説明する図である。
【図68】本発明に係る第22実施例の作動を示すフロ
ーチャート図である。
【図69】本発明に係る第23実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。
【図70】本発明に係る第24実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。
【図71】本発明に係る第25実施例を示す差動駆動過
給装置の概念図である。
【図72】従来の歯車駆動による機械式過給方式を示す
図である。
【図73】従来の機械式過給方式によるエンジンへの空
気供給状態を示す図である。
【図74】従来の第1の差動駆動過給装置の概念図であ
る。
【図75】従来の第2の差動駆動過給装置の概念図であ
る。
【図76】使用条件に合わせて、高速回転速度時に高出
力を望まれるエンジンの出力を説明する図である。
【図77】使用条件に合わせて、低・中速回転速度時に
高出力を望まれるエンジンの出力を説明する図である。
【図78】エンジン回転速度の回転速度に対する吸入空
気量の限界、および、最大燃焼圧力の設計上の限界値か
ら現在のエンジンの出力トルクの限界を説明する図であ
る。
【図79】エンジン回転速度に対し従来のエンジンの出
力トルクを説明する図である。
【図80】従来のターボ過給機のみを用いた場合コンプ
レッサ効率を説明する図である。
【符号の説明】
1…エンジン、1A,1B,1C…出力軸、10,70
…差動遊星歯車装置、11,72…サンギャー、12…
プラネタリギャー13,71…プラネタリキャリア、1
4…リングギャー、20…機械式過給機、22,25…
開閉弁、23…吸気管、30…可変容量型油圧モータ、
30a…可変容量型油圧モータのサーボ弁40…車両の
駆動力伝達系、40b…トルクコンバータ、40c…オ
ートマチックトランスミッション、40d…メインクラ
ッチ、40e…マニュアルトランスミッション、50…
可変容量型油圧ポンプ、50a…可変容量型油圧ポンプ
のサーボ弁53…切換弁、60…制御装置、62…アク
セル量検出センサー、63…エンジン回転数センサー、
64…ラック位置センサー、77…ブレーキ踏み込み量
検出センサー、80…駆動力伝達系のクラッチ、90…
可変容量型油圧ポンプ・モータ、110…アキュムレー
タ、120…発電機・電動モータ、130…バッテリ
ー、140…クラッチ、170…クラッチ部、171…
フライホイール、172…ブレーキ部、180…リバー
スギャー、186…ワンウェイクラッチ、190…過給
機用変速機、192…過給機選択用スイッチ、301,
302,303…歯車列、301a,302a,303
a…プーリ列、304…ベルト式無段変速機(CV
T)、305…トロイダル式無段変速機、306…切換
バルブ、307…固定型ポンプ、308…固定型モー
タ、309…可変型ポンプ、310…可変型モータ、3
11…可変容量型流体継手、312…発電機、313…
電気モータ、315…過給機用クラッチ、320…リン
グギャー用無段変速機、321…トロイダル式無段変速
機、322…ベルト式無段変速機(CVT)、350…
高速電磁バルブ、351…パイロットポンプ、355…
クラッチ部、 400…ターボ過給機、420…補機、
421…蓄圧式噴射系の噴射ポンプ、422…潤滑系の
オイルポンプ、423…冷却系の水ポンプ、424…発
電機、425…補機用回転数センサー、430…可変増
速比装置、431…タービン、440…可変増速切換装
置。

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 差動駆動装置を介してエンジンの出力で
    駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置にお
    いて、差動駆動装置のプラネタリキャリアにエンジン出
    力の動力軸を、サンギャに機械式過給機を、かつ、リン
    グギャに回転負荷可変体を連結したことを特徴とする差
    動駆動過給装置。
  2. 【請求項2】 回転負荷可変体は、固定型あるいは可変
    容量型ポンプ、固定型あるいは可変容量型モータ、固定
    型あるいは可変容量型のポンプとモータ兼用のポンプ・
    モータ、発電機、電動モータ、発電機と電動モータ兼用
    の発電機・モータ、または、空気圧縮機のいずれかであ
    る請求項1記載の差動駆動過給装置。
  3. 【請求項3】 リングギャに接続した回転負荷可変体に
    回転を与えて機械式過給機を増減速し、あるいは/およ
    び、リングギャに接続した回転負荷可変体を停止させて
    機械式過給機を回転する請求項1あるいは請求項2記載
    の差動駆動過給装置。
  4. 【請求項4】 プラネタリキャリアからのエンジンの回
    転速度の変化に合わせてリングギャに接続した回転負荷
    可変体を増減速し、機械式過給機をほぼ一定の回転速度
    にする請求項1あるいは請求項2記載の差動駆動過給装
    置。
  5. 【請求項5】 機械式過給機の回転速度を停止させたと
    きに、回転負荷可変体のエネルギロスを低減するため回
    転負荷可変体への負荷を低減し回転負荷可変体を空転す
    るかあるいは回転負荷可変体のエネルギを蓄圧する請求
    項1あるいは請求項2記載の差動駆動過給装置。
  6. 【請求項6】 回転負荷可変体のエネルギロスを低減す
    るため回転負荷可変体の容量を低減し、あるいは、回転
    負荷可変体の生ずるエネルギを蓄圧器に蓄える請求項
    1、請求項2、あるいは、請求項5記載の差動駆動過給
    装置。
  7. 【請求項7】 差動駆動装置を介してエンジンの出力で
    駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置にお
    いて、差動駆動装置のプラネタリキャリアにエンジン出
    力の動力軸を、サンギャに機械式過給機を、リングギャ
    に回転負荷可変体を、かつ、エンジン出力軸に回転負荷
    可変体を駆動する動力源を連結したことを特徴とする差
    動駆動過給装置。
  8. 【請求項8】 回転負荷可変体を駆動する動力源が固定
    型あるいは可変容量型ポンプ、発電機、あるいは、空気
    圧縮機のいずれかであり、あるいは/および、回転負荷
    可変体と回転負荷可変体を駆動する動力源との間に蓄圧
    器を設けた請求項7記載の差動駆動過給装置。
  9. 【請求項9】 差動駆動装置を介してエンジンの出力で
    駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置にお
    いて、差動駆動装置のプラネタリキャリアにエンジン出
    力の動力軸を、サンギャに機械式過給機を、リングギャ
    に回転負荷可変体を、かつ、回転負荷可変体を駆動する
    動力源にアキュムレータあるいはバッテリ等の蓄圧器を
    連結したことを特徴とする差動駆動過給装置。
  10. 【請求項10】 機械式過給機の回転速度を停止させた
    ときに、回転負荷可変体のエネルギロスを低減するため
    リングギャと回転負荷可変体とをクラッチを介して連結
    する請求項1乃至請求項9記載のいずれかの差動駆動過
    給装置。
  11. 【請求項11】 差動駆動装置を介してエンジンの出力
    で駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置に
    おいて、差動駆動装置のプラネタリキャリアにエンジン
    出力の動力軸を、サンギャに機械式過給機を、リングギ
    ャに回転負荷可変体を、かつ、車両の駆動力伝達系の出
    力軸に回転負荷可変体により生ずる動力源を受ける駆動
    装置を連結したことを特徴とする差動駆動過給装置。
  12. 【請求項12】 回転負荷可変体が固定型あるいは可変
    容量型ポンプ、発電機、あるいは、空気圧縮機のいずれ
    かであり、かつ、駆動装置が固定型あるいは可変容量型
    モータ、または、電動モータのいずれかである、請求項
    11記載の差動駆動過給装置。
  13. 【請求項13】 機械式過給機とエンジンとの間、およ
    び、大気とエンジンとの間のそれぞれの吸気管にエンジ
    ンへの空気を断続する開閉弁と、エンジンの回転速度を
    検出するエンジン回転速度センサーと、エンジン回転速
    度センサーからの所定の回転速度の信号を受けて開閉弁
    を開閉する信号を出力する制御装置とからなる請求項
    1、7、9、あるいは11記載の差動駆動過給装置。
  14. 【請求項14】 機械式過給機の回転速度を停止させた
    ときに、機械式過給機とエンジンとの間の開閉弁を閉
    じ、大気とエンジンとの間の開閉弁を開き、エンジンへ
    の空気を自然吸気とする信号を開閉弁に出力する制御装
    置とからなる請求項13記載の差動駆動過給装置。
  15. 【請求項15】 エンジンの回転速度を制御するアクセ
    ルと、アクセルの移動量を検出するアクセル量検出セン
    サーと、エンジンへの燃料の噴射量を制御する噴射ポン
    プのソレノイドと、噴射ポンプの噴射量を検出するラッ
    ク位置センサーと、機械式過給機とエンジンとの間、お
    よび、大気とエンジンとの間のそれぞれの吸気管にエン
    ジンへの空気を断続する開閉弁と、エンジンの回転速度
    を検出するエンジン回転速度センサーと、回転負荷可変
    体の容量を増減するサーボ体と、回転負荷可変体に動力
    を与える切換弁と、アクセル量検出センサー、ラック位
    置センサーおよびエンジン回転速度センサーからの所定
    の信号を受けて、噴射ポンプのソレノイド、切換弁およ
    び回転負荷可変体のサーボ体に信号を出力し、エンジン
    および機械式過給機の回転速度を制御する制御装置とか
    らなる請求項1、7、9、および11記載の差動駆動過
    給装置。
  16. 【請求項16】 機械式過給機を増減速するときに、機
    械式過給機とエンジンとの間の開閉弁を開き、大気とエ
    ンジンとの間の開閉弁を閉じ、エンジンへの空気を過給
    する信号を開閉弁に出力し、かつ、切換弁に切り換わる
    信号と、回転負荷可変体のサーボ体に容量を増加する信
    号を出力する制御装置とからなる請求項15記載の差動
    駆動過給装置。
  17. 【請求項17】 機械式過給機をほぼ一定の回転速度に
    するときに、機械式過給機とエンジンとの間の開閉弁を
    開き、大気とエンジンとの間の開閉弁を閉じ、エンジン
    への空気を過給する信号を開閉弁に信号を出力し、か
    つ、噴射ポンプのソレノイドにエンジンの回転速度の増
    減の信号と、切換弁に切り換える信号と、および、回転
    負荷可変体のサーボ体に回転速度の増減を与える信号を
    出力する制御装置とからなる請求項16記載の差動駆動
    過給装置。
  18. 【請求項18】 エンジンの回転速度を制御するアクセ
    ルと、アクセルの移動量を検出するアクセル量検出セン
    サーと、噴射ポンプの噴射量を検出するラック位置セン
    サーと、エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速
    度センサーと、機械式過給機とエンジンとの間、およ
    び、大気とエンジンとの間のそれぞれの吸気管にエンジ
    ンへの空気を断続する開閉弁と、リングギャと回転負荷
    可変体あるいは回転負荷可変体を駆動する動力源とを断
    続するクラッチと、からなり、アクセル量検出センサ
    ー、ラック位置センサーおよびエンジン回転速度センサ
    ーからの所定の信号を受けて、大気とエンジンとの間の
    開閉弁に開きの信号と、クラッチに遮断する信号を出力
    し、エンジンへの空気を自然吸気にし、かつ、回転負荷
    可変体のエネルギロスを低減する信号を出力する制御装
    置とからなることを特徴とする差動駆動過給装置。
  19. 【請求項19】 エンジンの回転速度を制御するアクセ
    ルと、アクセルの移動量を検出するアクセル量検出セン
    サーと、噴射ポンプの噴射量を検出するラック位置セン
    サーと、エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速
    度センサーと、回転負荷可変体の容量を増減するサーボ
    体と、車両の駆動力伝達系の出力軸に回転負荷可変体に
    より生ずる動力源を受ける駆動装置のサーボ体と、回転
    負荷可変体と駆動装置とを断続する切換弁と、エンジン
    の出力軸と動力伝達系の出力軸との間の動力を断続する
    クラッチと、からなり、アクセル量検出センサー、ラッ
    ク位置センサーおよびエンジン回転速度センサーからの
    所定の回転速度の信号を受けて、クラッチに遮断する信
    号と、切換弁に回転負荷可変体と駆動装置とを接続する
    信号と、回転負荷可変体に容量を増減する信号と、駆動
    装置に容量を増減する信号とを出力し、エンジンの出力
    を回転負荷可変体から駆動装置を経て車両の駆動力伝達
    系の出力軸に出力する指令を出す制御装置とからなるこ
    とを特徴とする差動駆動過給装置。
  20. 【請求項20】 差動駆動装置を介してエンジンの出力
    で駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置に
    おいて、差動駆動装置のプラネタリキャリアにエンジン
    出力の動力軸を、サンギャに機械式過給機を、リングギ
    ャにブレーキおよびクラッチを介してフライホイールを
    配設することを特徴とする差動駆動過給装置。
  21. 【請求項21】 請求項20の差動駆動過給装置におい
    て、クラッチとフライホイールとの間に正転・逆転の切
    換のリバースギャーを配設した差動駆動過給装置。
  22. 【請求項22】 差動駆動装置を介してエンジンの出力
    で駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置に
    おいて、差動駆動装置のプラネタリキャリアにエンジン
    出力の動力軸を、サンギャに機械式過給機を、リングギ
    ャに車両の駆動力伝達系の変速機、あるいは、変速機の
    後方の出力軸からの駆動軸を連結したことを特徴とする
    差動駆動過給装置。
  23. 【請求項23】 請求項22の差動駆動過給装置におい
    て、リングギャと、変速機あるいは変速機の後方の出力
    軸と、の間に過給機用変速機を配設した差動駆動過給装
    置。
  24. 【請求項24】 請求項22あるいは請求項23の差動
    駆動過給装置において、サンギャと機械式過給機との間
    にワンウェイクラッチを配設した差動駆動過給装置。
  25. 【請求項25】 過給機用変速機が歯車列、プーリ列、
    ベルト式無段変速機、トロイダル式無段変速機、油圧ポ
    ンプと油圧モータ、油圧ポンプと油圧モータと切換バル
    ブ、発電機と電気モータ、および可変容量型流体継手の
    いずれかである請求項23の差動駆動過給装置。
  26. 【請求項26】 請求項22、23、24、あるいは、
    25のいずれかの差動駆動過給装置において、変速機あ
    るいは変速機の後方の出力軸と、機械式過給機との間に
    クラッチを配設した差動駆動過給装置。
  27. 【請求項27】 差動駆動装置を介してエンジンの出力
    で駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置に
    おいて、差動駆動装置のプラネタリキャリアにエンジン
    出力の動力軸を、サンギャに機械式過給機を、エンジン
    出力の動力軸とリングギャとの間にリングギャー用無段
    変速機を配設したことを特徴とする差動駆動過給装置。
  28. 【請求項28】 差動駆動装置を介してエンジンの出力
    で駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置に
    おいて、差動駆動装置のプラネタリキャリアにエンジン
    出力の動力軸を、サンギャに機械式過給機を、リングギ
    ャにブレーキを配設するとともに、ブレーキを遮断、高
    速に断続、あるいは、接続のいずれかを行う高速電磁バ
    ルブを設けたことを特徴とする差動駆動過給装置。
  29. 【請求項29】 差動駆動装置を介してエンジンの出力
    で駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置に
    おいて、エンジンの排気回路中に付設されたターボ過給
    機と、差動駆動装置によりほぼ等馬力を出力し低速回転
    速度から高速回転速度までほぼ等しい排気エネルギをタ
    ーボ過給機に供給する機械式過給機と、からなることを
    特徴とする差動駆動過給装置。
  30. 【請求項30】 差動駆動装置を介してエンジンの出力
    で駆動される機械式過給機を用いた差動駆動過給装置に
    おいて、エンジンの圧縮比が直接噴射式で10〜15、
    あるいは、副室噴射式で10〜20、のエンジンに付設
    され、エンジンの始動時に機械式過給機の回転速度の増
    速し、機械式過給機により圧縮加熱された空気をエンジ
    ンに供給することを特徴とする差動駆動過給装置。
  31. 【請求項31】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、リングギャ
    に外部より回転を与えて、サンギャに取着した機械式過
    給機の回転速度の増減を制御し、あるいは/および、リ
    ングギャを空転させて、サンギャに取着した機械式過給
    機の回転速度の停止することを特徴とする差動駆動過給
    装置の制御方法。
  32. 【請求項32】 機械式過給機の回転速度の増速時に蓄
    えられたエネルギを用いる請求項31の差動駆動過給装
    置の制御方法。
  33. 【請求項33】 リングキャの空転時に、エンジンの動
    力を蓄える請求項31の差動駆動過給装置の制御方法。
  34. 【請求項34】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、エンジンの
    回転速度および負荷を検出し、所定の回転速度および負
    荷のときにリングギャを空転させて、サンギャに取着し
    た機械式過給機の回転速度の停止し、あるいは/およ
    び、所定の回転速度および負荷のときに外部の回転負荷
    可変体とリングギャとを遮断してリングギャを空転させ
    て、サンギャに取着した機械式過給機の回転速度の停止
    することを特徴とする差動駆動過給装置の制御方法。
  35. 【請求項35】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、プラネタリ
    キャリアからのエンジンの回転速度の変化に合わせてリ
    ングギャに外部より変化する回転を与えて機械式過給機
    をほぼ一定の回転速度に制御することを特徴とする差動
    駆動過給装置の制御方法。
  36. 【請求項36】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、エンジンの
    動力より生じた動力源によりリングギャに外部より回転
    を与えて、サンギャに取着した機械式過給機の回転速度
    の増減を制御することを特徴とする差動駆動過給装置の
    制御方法。
  37. 【請求項37】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、エンジンの
    回転速度および噴射ポンプの噴射量を検出し、回転速度
    および噴射ポンプの噴射量に応じて機械式過給機とエン
    ジンとの間、および、大気とエンジンとの間のそれぞれ
    の吸気管に設けた開閉弁を開閉し、エンジンへ供給する
    空気を自然吸気あるいは過給吸気に制御することを特徴
    とする差動駆動過給装置の制御方法。
  38. 【請求項38】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、エンジンの
    回転速度および噴射ポンプの噴射量を検出し、回転速度
    および噴射ポンプが所定範囲内の値にあるときに、エン
    ジンの出力軸と動力伝達系の出力軸との間の動力を遮断
    し、エンジンの動力を差動駆動装置を経て回転負荷可変
    体で圧力あるいは電力に変換し、駆動装置で圧力あるい
    は電力より動力に戻して車両の駆動力伝達系の出力軸に
    出力することを特徴とする差動駆動過給装置の制御方
    法。
  39. 【請求項39】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、リングギャ
    に外部より回転を与えて、サンギャに取着した機械式過
    給機の回転速度の増減を制御するとき、エンジンの回転
    速度およびアクセルペタルの踏み込み量を検出し、エン
    ジンの回転速度およびアクセルペタルの踏み込み量に応
    じて、リングギャに付設した回転負荷可変体に最大負荷
    を掛けるか、リングギャに付設したフライホイールにブ
    レーキを掛けるか、リングギャに接続したクラツチを接
    続するか、あるいは、リングギャに接続した無段変速機
    の減速比を最大にするか、のいずれかを行うことを特徴
    とする差動駆動過給装置の制御方法。
  40. 【請求項40】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、エンジンの
    回転速度およびアクセルペタルの踏み込み量を検出し、
    エンジンの回転速度およびアクセルペタルの踏み込み量
    に応じて機械式過給機の増速比を変更し、エンジンの出
    力を可変にすることを特徴とする差動駆動過給装置の制
    御方法。
  41. 【請求項41】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、エンジン回
    転速度の低速から高速まで定格出力とほぼ同じ出力を出
    すことにより、低速から高速までほぼ等しい排気エネル
    ギをターボ過給機に供給することを特徴とする差動駆動
    過給装置の制御方法。
  42. 【請求項42】 エンジンの回転速度を差動駆動装置に
    より増速して過給機を駆動し、エンジンへの空気を過給
    する差動駆動過給装置の制御方法において、機械式過給
    機の回転速度、あるいは/および仕事量に応じて、エン
    ジンにより駆動される噴射ポンプや、エンジンの潤滑
    用、冷却用のポンプ等の補機の回転速度とエンジンの回
    転速度との比を可変にすることを特徴とする差動駆動過
    給装置の制御方法。
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