JPH081892Y2 - 中綴本 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、表紙紙葉と、本文頁など中身頁紙葉とを重
ね合わせて、その紙葉の中央折目部分を、針金綴（ステ
ッチ）、ミシン糸綴、あるいは接着糊にて中綴形式に綴
付けして製本される中綴本に関する。

（従来の技術） 一般に中綴本は、表紙と本文頁（中身頁）とを綴針金
にて綴付けしたものであり外側の表紙は比較的厚い用紙
が使用されているものの、細い針金、糸などによって中
身頁と接合しているただけであるため、表紙を繰り返し
開閉しているうちに、表紙と中身頁との接合個所が折り
曲げ疲労によって破断し、やがては、表紙が中身頁本体
から脱落し易いものである。また、一方、中綴本の中央
頁紙葉である最内側部にある中身頁紙葉もまた同様に、
中綴本本体に対して単一紙葉を針金、糸などの細い部材
によって取り付けられているのみであり、また、一般的
に中身頁は表紙に比較して薄い紙が使用されているた
め、中綴本本体から脱落し易いものである。

（考案の目的） 本考案は、中綴本の外側表紙あるいは最内側部の頁紙
葉が、綴部から脱落し易い現象を抑制し、中綴本の耐久
性を向上させること、また、中綴本を製本する場合に、
中身頁と同一の比較的薄い紙を素材として外側の表紙を
構成できるようにすること、また、中綴本の最内側部の
中身頁紙葉を脱落し難く補強するととを目的とするもの
である。

（考案の構成） 本考案は、表紙紙葉と中身頁紙葉とを重ね合わせ、中
綴形式にその中央折目にて綴付けして製本される中綴本
において、少なくとも中綴本本体の表紙紙葉及び／又は
最内側部の中身頁紙葉は、重ね合わせた２枚乃至数枚の
紙葉を全面的に貼り合わせて形成されていることを特徴
とする中綴本である。

また、本考案は、表紙紙葉と中身頁紙葉とを重ね合わ
せ、中綴形式にその中央折目にて綴付けして製本される
中綴本において、中綴本本体の表紙紙葉と中身頁紙葉の
全頁、あるいは大部分の頁に用いられる紙葉は全て同一
厚さであり、該表紙紙葉及び／又は少なくとも該表紙紙
葉と反対側の中綴最内側部の頁紙葉は、前記中綴本本体
の中身頁紙葉と同一の厚さを有する紙葉と２枚乃至数枚
全面的に貼り合わせて形成されていることを特徴とする
中綴本である。

また、本考案は、表紙紙葉と中身頁紙葉とを重ね合わ
せ、中綴形式にその中央折目にて綴付けして製本される
中綴本において、少なくとも中綴本本体の中身頁紙葉の
全頁、あるいは大部分の頁に用いられる紙葉は、全て同
一厚さであり、表紙紙葉と反対側の中綴最内側部の頁紙
葉は、前記中綴本本体の中身頁紙葉と同一の厚さを有す
る紙葉を２枚乃至数枚全面的に貼り合わせて形成されて
いることを特徴とする中綴本である。

（考案の作用） 本考案中綴本は、従来脱落し易かった中綴本の表紙、
最内側部の中身頁紙葉を、本文頁（中身頁）に使用され
る紙葉と同一の厚さの紙葉を数枚貼り合わせて用いるた
め、脱落のし易さを防ぐことができるようになり、ま
た、本考案を実施するにあたっては、表紙紙葉と中身頁
紙葉とのそれぞれ紙の厚さを同一の厚さに統一して印
刷、製本を行なうことが可能となるため、印刷工程にお
ける印刷機械調整作業の簡略化、及び印刷工程と造本工
程とを一ラインで行うインライン化の実現のために効果
的である。

（実施例） 本考案を実施例に従って詳細に説明する。

第１図は、本考案の一実施例の斜視図であり、表紙紙
葉１と、中身頁紙葉２は、二つ折目部分４を介して二つ
折りされ、その折目部分４にて綴じ針金３によって綴付
けされている。表紙紙葉１は、単一紙葉1aを二枚重ね合
わせて接着糊６にて全面的に張り合わせたものである。
また、中身頁紙葉２は、数枚の単一紙葉2aを二つ折目部
分４を介して二つ折りしたものである。そして、その二
つ折りされた最内側部の紙葉５は、前記単一紙葉2aを二
枚重ね合わせて接着糊６にて貼り合わせたものである。
そして、表紙紙葉１と中身頁紙葉２とを構成する単一紙
葉1a、及び最内側部の中身頁紙葉５を構成する単一紙葉
2aとは、少なくとも同一の厚さを有する用紙である。あ
るいは、同一厚さ、同一種類の用紙である。同一厚さを
有する紙葉とは、全く同一の厚さ及びほぼ同一の厚さ、
同一の用紙などを意味するものである。

第２図は、二つ折目部分４を綴針金３にて綴付けする
以前の二つ折り中綴本の丁合折丁の模式図である。第２
図に従って紙葉の丁合順序を説明すれば、中綴用単一紙
葉2aを二枚重ね合わせて貼り合わせした最内側部の中身
頁紙葉５の上に、まず、単一紙葉2aを、最内側部の中身
頁紙葉を含めて中綴本の設定頁枚数に対応する枚数にな
るように頁順に順次適宜枚数重ね合わせて丁合し、最後
に単一紙葉1aを二枚重ね合わせて貼り合わせた表紙紙葉
１を重ねあわせて丁合を終了し、続いて、丁合した前記
全紙葉の折目部分４を綴針金３にて中綴じすることによ
り、第１図の中綴本を製本するものである。

第３図は、本考案の他の実施例であり、単一紙葉2aの
中身頁紙葉２を頁順に対応して設定枚数順次重ね合わせ
丁合し、最後に単一紙葉1aを二枚重ね合わせて接着糊６
にて貼り合わせた表紙紙葉１をその上に重ね合わせて丁
合を終了し、それらの全紙葉1,2の二つ折目部分４にて
綴針金によって綴付けすることによって中綴じして、中
綴本を製本するものである。この場合、第３図の中綴本
の最内側部の頁紙葉５は、この中綴本の他の中身頁紙葉
２と同じように貼り合わせをしない単一紙葉2aが中身頁
紙葉として構成される。第４図は、上記第３図の中綴本
の綴付け前の模式図であり、表紙紙葉１を形成する単一
紙葉1a、及び中身頁紙葉２を形成する単一紙葉2aは同一
厚さを有する紙を使用するものである。

第５図は、本考案のその他の実施例であり、この場
合、表紙紙葉１は、貼り合わせ無しの単一紙葉1aを使用
するものである。そして、中身頁紙葉２は、貼り合わせ
無しの単一紙葉2aと、単一紙葉2aを二枚重ね合わせ貼り
合わせた最内側部の中身頁紙葉５を用いて、前記同様の
丁合順序に従った中綴体を構成するものである。そし
て、この場合も、使用する素材としての単一紙葉1aと単
一紙葉2aは同一の厚さを有する紙を使用するものであ
る。

なお、前記表紙紙葉１あるいは前記最内側部中身頁紙
葉５の単一紙葉の貼り合わせ枚数は、二枚に限定される
ものではなく、二枚以上適宜枚数を重ね合わせ貼り合わ
せたものを採用することは可能である。また、本考案中
綴本の表紙紙葉、あるいは中身頁紙葉として使用する素
材としての単一紙葉1a,2aは、適宜、アート紙、コート
紙、上質紙、更紙、インディアン紙、特殊合成紙など種
々の用紙を使用できる。また少なくとも同一厚さを有す
る前記単一紙葉1a,2a内に、必要に応じて適宜、アート
紙、コート紙、上質紙、更紙、インディアン紙、特殊合
成紙など、適宜厚さ、紙質を有する用紙を併用して製本
することは可能である。

第６図（ａ）〜（ｃ）は、表紙紙葉１又は中身頁紙葉
２における最内側部中身頁紙葉５として単一紙葉1aある
いは2aを貼り合わせる場合の接着糊６を塗布する領域の
一例を示した平面図であり、（ａ）は単一紙葉1aあるい
は2aの重ね合わせ内部に線条に接着糊６を塗布して単一
紙葉を全面的に貼り合わせて表紙紙葉１又は最内側部中
身頁紙葉５を形成したものである。（ｂ）は単一紙葉に
対して点状、あるいは破線状に接着糊６を塗布して二枚
の重ね合わせ単一紙葉を全面的に貼り合わせ、表紙紙葉
１あるいは最内側中身頁紙葉５を形成したものである。
また、（ｃ）は単一紙葉に対してベタ状に接着糊６を塗
布して、単一紙葉を貼り合わせ、表紙紙葉１あるいは最
内側部の中身頁紙葉５を形成したものである。

第７図は、上記表示紙葉１あるいは最内側部の中身頁
紙葉５を折丁形成して中綴製本する場合の説明図であ
り、（ａ）は枚葉状、あるいはウエブ状の紙葉Ａの1/2
折目７より一方側に接着糊６を塗布したもので、（ｂ）
該紙葉Ａを該折目７を介して1/2折りし、続いて折目８
を介して折り畳んで1/4折りして折丁状態に形成するこ
とによって、単一紙葉1aを互いに重ね合わせて貼りあわ
せた表紙紙葉１と、（ｃ）単一紙葉2aを互いに重ねあわ
せて貼り合わせた最内側部中身頁紙葉５がそれぞれ形成
される。また、（ｄ）紙葉Ａを、接着糊６を塗布せずに
前記同様に1/4折りすることによって、単一紙葉1aのみ
からなる表紙紙葉１、あるいは単一紙葉2aのみからなる
最内側部中身頁紙葉を含む中身頁紙葉２を形成するため
の折丁が形成される。この第７図上記折丁を中綴本製本
用折丁として使用する場合は、第７図（ｂ）（ｃ）
（ｄ）の各折丁を1/4折目８にて一旦開放し、（ｃ）の
折丁（最内側部の中身頁紙葉５）、（ｄ）の折丁（中身
頁紙葉２）、（ｂ）の折丁（表紙紙葉１）の順に上側に
重ね合わせて丁合し、折目８にて綴針金などによって綴
付けして中綴製本するものである。

（考案の効果） 本考案は、中綴本の表紙あるいは最内側部の中身頁紙
葉となる紙葉に、二枚以上の貼り合わせ紙葉を用いてい
るため、１冊の本の表紙及び中身頁に同一厚さを有する
薄い紙を用いて製本することができ、針金綴などにより
中綴じされた綴じ部分から表紙、あるいは最内側部の中
身頁紙葉が脱落し易い現象を抑制でき、中綴本の耐久性
を向上させることができる。また、本考案は、表紙と中
身頁とを同じ用紙を用いて印刷し、折丁形成して製本で
きるため、表紙と中身頁の用紙の種類に応じて版式や印
刷機種を選定したり調整するなどの必要がなく、同一の
版式（例えばオフセット印刷方式のみ、グラビア印刷方
式のみなど）あるいは同一の印刷機種（例えばウエブ印
刷用輪転機のみ）によって印刷加工が可能であり、ま
た、同一インラインによって印刷、製本加工できるなど
の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案中綴本の斜視図、第２図は第１図の中綴
本の綴付け以前の丁合模式図、第３図は本考案の他の実
施例の斜視図、第４図は第３図の中綴本綴付け以前の丁
合模式図、第５図は本考案のその他の実施例の斜視図、
第６図は本考案における紙葉貼り合わせのための接着糊
塗布の領域を示す平面図、第７図は本考案において使用
する中綴製本用折丁の一例を示す説明図である。 １……表紙紙葉、1a……単一紙葉、２……中身頁紙葉、
2a……単一紙葉、３……綴針金、４……中綴綴付け折
目、５……最内側部中身頁紙葉、６……接着糊、７……
1/2折目、８……1/4折目、Ａ……紙葉

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表紙紙葉と中身頁紙葉とを重ね合わせ、中
   綴形式にその中央折目にて綴付けして製本される中綴本
   において、少なくとも中綴本本体の表紙紙葉及び／又は
   最内側部の中身頁紙葉は、重ね合わせた２枚乃至数枚の
   紙葉を全面的に貼り合わせて形成されていることを特徴
   とする中綴本。
2. 【請求項２】表紙紙葉と中身頁紙葉とを重ね合わせ、中
   綴形式にその中央折目にて綴付けして製本される中綴本
   において、中綴本本体の表紙紙葉と中身頁紙葉の全頁、
   あるいは大部分の頁に用いられる紙葉は全て同一厚さで
   あり、該表紙紙葉及び／又は少なくとも該表紙紙葉と反
   対側の中綴最内側部の頁紙葉は、前記中綴本本体の中身
   頁紙葉と同一の厚さを有する紙葉を２枚乃至数枚全面的
   に貼り合わせて形成されていることを特徴とする中綴
   本。
3. 【請求項３】表紙紙葉と中身頁紙葉とを重ね合わせ、中
   綴形式にその中央折目にて綴付けして製本される中綴本
   において、少なくとも中綴本本体の中身頁紙葉の全頁、
   あるいは大部分の頁に用いられる紙葉は、全て同一厚さ
   であり、表紙紙葉と反対側の中綴最内側部の頁紙葉は、
   前記中綴本本体の中身頁紙葉と同一の厚さを有する紙葉
   を２枚乃至数枚全面的に貼り合わせて形成されているこ
   とを特徴とする中綴本。