JPH08183654A - 低温焼成多層回路基板用ガラス−セラミック組成物 - Google Patents

低温焼成多層回路基板用ガラス−セラミック組成物

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Publication number
JPH08183654A
JPH08183654A JP6327244A JP32724494A JPH08183654A JP H08183654 A JPH08183654 A JP H08183654A JP 6327244 A JP6327244 A JP 6327244A JP 32724494 A JP32724494 A JP 32724494A JP H08183654 A JPH08183654 A JP H08183654A
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JP
Japan
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glass
substrate
glass frit
low
ceramic composition
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Application number
JP6327244A
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English (en)
Inventor
Masakazu Yasui
正和 安井
Kazumasa Furuhashi
和雅 古橋
Yoshiki Obana
芳樹 小花
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Iwaki Glass Co Ltd
Kyocera Corp
Original Assignee
Iwaki Glass Co Ltd
Kyocera Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、短時間で完全に脱バインダを行
うことができ、しかも基板の基本特性に優れた低温焼成
多層回路基板用ガラス−セラミック組成物を提供する。 【構成】本発明のガラス−セラミック組成物は、低融点
ガラスフリット、アルミナ粉末、脱バインダを促進する
酸化物が添加されており、前記低融点ガラスフリット
は、比表面積が10m2 /g以下であり、且つガラス屈
伏点が600℃以上であり、前記無機物フィラーは、比
表面積が10m2 /g以下でアルミナ粉末であり、前記
酸化物は、CeO2 、TiO2 、MnO2 、BaO2
Sb2 5 から選ばれる1種又は2種類以上からなり、
その添加量がガラスフリット、無機物フィラーの合計重
量に対して、0.1〜3.0重量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大気雰囲気などの酸化
性雰囲気で、低温(900℃以下)で焼成可能な多層回
路基板用ガラス−セラミック組成物に関し、特に焼成時
間が短かくても、基板の変色が起こらない低温焼成多層
回路基板用ガラス−セラミック組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、多層回路基板の内部配線は、
W、Moなどの高融点金属材料や銀などの低抵抗材料を
用いられていた。特に近年の回路動作の高速化の要求に
より、内部配線には低抵抗材料である銀などが有用とさ
れている。
【0003】このように、内部配線材料に銀を用いる場
合には、基板の材料は銀の融点よりも低い温度で焼成反
応が完了する材料である必要があり、例えば、低融点ガ
ラスフリットとアルミナなどの無機物フィラーからなる
ガラス−セラミック材が例示できる。
【0004】低温焼成多層回路基板は、例えばガラス−
セラミックから成る絶縁層を複数積層するとともに、各
絶縁層間に銀などの低抵抗材料から成る内部配線を形成
し、さらに、絶縁層の厚み方向に銀などの低抵抗材料か
ら成るビアホール導体を形成していた。即ち、複数の絶
縁層が積層されて成る積層体基板内には、内部配線及び
ビアホール導体から構成される所定回路が内装されてい
た。
【0005】従来の低温焼成多層回路基板は、概略以下
の方法で製造される。
【0006】まず、低融点ガラスフリット、セラミック
などの無機物フィラーなどの固形成分に、有機ビヒクル
(バインダ、溶剤)を均質混合してスラリーを作成し、
このスラリーを例えばドクターブレード法などによって
テープ化し、所定形状のシート(グリーンシート)を作
成する。
【0007】次に、積層体基板内に内装される所定回路
に応じて、各絶縁層となるグリーンシートにビアホール
導体となる貫通孔を形成するとともに、グリーンシート
上に例えば銀を主成分とする導電性ペーストを用いて、
内部配線となる所定形状の導体膜を形成する。尚、この
導体膜の形成と同時に、導電性ペーストを貫通孔に充填
してビアホール導体となる導体を形成する。
【0008】その後、上述のグリーンシートを複数枚熱
圧着して未焼成状態の積層体基板を作成し、最終形状を
規定する分割溝などを形成した後、この積層体基板を焼
成処理する。
【0009】この焼成処理は大気雰囲気中、ピーク温度
900℃程度で処理する。この昇温過程の例えば500
℃前後で、積層体基板内に含まれる有機ビヒクルを焼失
させ(脱バインダ工程)、これ以上の温度でガラスフリ
ットを軟化させて、アルミナなどの無機物フィラーの界
面に充填するとともに結晶化させて強固な基板とする。
これにより、積層体基板内に所定回路が形成された低温
焼成多層回路基板が達成される。尚、基板の表面には必
要に応じて表面配線が厚膜技法によって形成され、さら
に電子部品などが搭載される。
【0010】上述の低温焼成多層回路基板においては、
内部配線の周囲の基板部分が黄変することが多かった。
これは、内部配線の銀成分が基板に拡散してしまうため
で、この黄変によって、配線導体間のガラス−セラミッ
クから成る絶縁層の絶縁抵抗が大きく下がってしまうと
ともに、基板の強度が低下してしまう。
【0011】この黄変を防止するために、特開昭63−
201036号公報に示されているように、ガラス−セ
ラミックの組成材料に酸化剤を添加していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の特開昭
63−201036号のように、銀成分の拡散による基
板の黄変は酸化剤の添加により有効に防止できるもの
の、製造コストを考慮して短時間で焼成処理しようとす
ると、内部配線の有無に係わらず、基板の灰色変色が発
生してしまう。
【0013】本発明者らが種々実験を行った結果、基板
の灰色変色の発生は以下の状態に多いことを見出した。
【0014】(1)低融点ガラスフリットは、ガラスカ
レットをミルで粉砕して形成するが、ミル内に滞留する
時間、即ち粉砕時間が長くなると、灰色変色の傾向が大
きくなる。
【0015】(2)低融点ガラスフリット、無機物フィ
ラー、有機ビヒクルとを均質混練して、スラリーを作成
するが、混練時間を長くした場合や低粘度で混練する場
合で、灰色変色の傾向が大きくなる。
【0016】(3)焼成処理における脱バインダ時間が
短い場合、あるいは脱バインダの処理温度が低い場合
で、灰色変色の傾向が大きくなる。
【0017】以上のことから、基板の灰色変色は、ガラ
スカレット粉砕用ミル、スラリー混練用ミルでの粉砕、
混練処理中に熱分解性の悪い有機物が混入した場合、ま
た、焼成処理の脱バインダが不完全である場合、あるい
はこの2つの状態が重なった場合に、基板の灰色変色が
発生する。
【0018】したがって、上述のような基板の灰色変色
の原因である熱分解性の悪い有機物や有機バインダの残
存物を、焼成工程の比較的低温で完全に焼失・除去する
ことが重要であることを知見した。
【0019】本発明は上記知見に基づいて成されたもの
であり、その目的は焼成時間が短く、即ち脱バインダが
短時間であっても、基板の灰色変色が発生しない低温焼
成多層回路基板用ガラス−セラミックを提供するもので
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、低融点ガラス
フリットとセラミックなどの無機物フィラーと酸化物を
含有して成る低温焼成多層回路基板用ガラス−セラミッ
ク組成物において、前記低融点ガラスフリットは、比表
面積が10m2 /g以下で、且つガラス屈伏点が600
℃以上であり、前記無機物フィラーは、比表面積が10
2 /g以下のアルミナ粉末であり、前記酸化物は、C
eO2 、TiO2 、MnO2 、BaO2 、Sb2 5
少なくとも1種類をガラスフリット、無機物フィラーの
合計重量に対して、0.1〜3.0重量%含む低温焼成
多層回路基板用ガラス−セラミック組成物である。
【0021】本発明におけるガラスフリットの比表面積
は、10m2 /g以下と設定する。
【0022】この比表面積によって、ガラスフリットの
屈伏点が概略規定されることになり、例えば、比表面積
が10m2 /gを越えると屈伏点600℃が見掛け上低
くなり、焼成処理における脱バインダ工程において、6
00℃以下の温度領域でガラスフリットが軟化流動を開
始し、焼失・除去されるべき有機成分が充分に除去され
ず、カーボンとして基板内に残存してしまい、その結
果、基板の灰色変色を惹起してしまう。尚、上述の作用
を充分にえようとすれば、比表面積は、8m2 /g以下
とすることが好ましい。
【0023】また、ガラスフリット自身の屈伏点を60
0℃以上とすることも重要である。
【0024】即ち、ガラスフリットの屈伏点が600℃
以下であると、たとえ比表面積が10m2 /g以下であ
っても、脱バインダ工程で焼失・除去されるべき有機成
分が基板内に残存してしまい、基板の灰色変色が発生し
てしまう。
【0025】また、アルミナ粉末の比表面積は、10m
2 /g以下と設定する。表面積が10m2 /gを越える
と、脱バインダ工程で焼失・除去されるべき有機成分が
基板の外部に安定的に抜けきれなくなるためである。
【0026】また、ガラスフリット、アルミナなどの無
機物フィラー以外に、CeO2 、TiO2 、MnO2
BaO2 、Sb2 5 の少なくとも1から選ばれる酸化
物が添加されている。この酸化物は、焼成処理において
比較的低い温度領域で酸素成分が遊離して、有機成分の
焼失・除去を促進させるものである。
【0027】以上のように、基板の灰色変色の原因であ
った製造過程で混入する有機成分、充分に除去できずに
残存してしまう有機成分が、酸化物の添加によって、脱
バインダの初期温度領域から積極的に焼失されるととも
に、さらに、外部に抜ける有機成分が、ガラス成分やア
ルミナなどの無機フィラーに阻害されないように設定し
ているため、容易に基板の外部に除去される。
【0028】その結果、脱バインダ工程が短くても、基
板の灰色変色を有効に防止でき、基板の強度を充分に高
く、且つ絶縁抵抗を充分に高くすることができる。
【0029】尚、基板の灰色変色の防止作用と基板の強
度を考慮した場合、酸化物の重量を充分に注意して設定
する必要がある。
【0030】例えば、酸化物の添加量は、固形成分、即
ちアルミナフィラー及びガラスフリットの合計重量に対
して、0.1〜3.0重量%とする。上限値の3.0重
量%は、ガラスの粉砕、スラリーの混練処理などに混入
する有機物がないものとすれば、もっと少なくともよ
い。この上限値は、ガラスフリットの結晶化反応の妨げ
ず、且つ基板の強度が充分に維持される限度の値であ
る。
【0031】また、0.1重量%未満となる焼失・除去
すべき有機成分が、短時間の脱バインダ工程で完全に焼
失できず、基板の灰色変色を防止することができない。
このような作用を充分に奏するためには、スラリーを形
成する際に添加する有機バインダについても条件などを
適切に設定することが望ましい。
【0032】まず、有機バインダの添加量は、無機物成
分、即ちガラスフリット、アルミナフィラー、酸化物の
合計重量に対して8〜15重量%の範囲で、その酸価は
0.1〜2.0で、ガラス転移温度は−50〜0℃、重
量平均分子量が300000〜500000の範囲で用
いる必要がある。
【0033】有機バインダの添加量が8重量%未満であ
ると、有機バインダの全体量が不足してしまい、グリー
ンシートが実質的に作成できない。また、15重量%を
越えると脱バインダ工程における基板の収縮率が大きく
なりすぎ、内部配線の接続信頼性が低下してまい、さら
に基板の外観不良などが発生してしまい。尚、好ましい
添加量は9重量%〜13重量%である。
【0034】また、酸価は0.1〜2.0が好ましく、
酸価が0.1未満であると、スラリー中に有機バインダ
が均一に分散されにくく、基板の焼成収縮率に偏りが発
生してしまう。また、酸価が大きくなることは、例えば
カルボキシル基が多くなり、このカルボキシル基が粉体
表面に強固に固着してしまい溶解しにくくなる。この現
象は、酸価が2.0を越えると顕著となる。
【0035】また、ガラス転移温度は−50℃〜0℃が
好ましく、例えばガラス転移温度が−50℃未満である
と、常温での伸びの少ないグリーンシートとなり、例え
ばテープ成型時にクラックが発生する。ガラス転移温度
が0℃を越えると伸びが大きくなりすぎ、例えばビアホ
ール導体となる貫通穴がずれてしまい、グリーンシート
の積層工程で接続不良が発生する。
【0036】さらに、重量平均分子量は300000〜
500000が好ましく、例えば重量平均分子量が30
0000未満では、熱分解性に優れるものの、グリーン
シートの引張強度が劣化し、例えば、グリーンシートに
内部配線となる導体膜を印刷形成した際に、グリーンシ
ートが破損してしまう。重量平均分子量が500000
を越えると、熱分解性が損なわれ、バインダがカーボン
として基板内に取り込まれてしまうことになる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の低温焼成回路基板用ガラス−
セラミック組成物を図面を用いて説明する。
【0038】図1は、本発明に係る低温焼成多層回路基
板の断面構造図である。
【0039】低温焼成多層回路基板は、ガラス−セラミ
ック層(以下、絶縁層という)1a〜1d、各内部配線
2b〜2d、ビアホール導体3a〜3dから成る積層体
基板1と、該積層体基板1の主面に配置された表面配線
4、5と、必要に応じて配置され電子部品6とから構成
されている。
【0040】絶縁層1a〜1dは、低融点ガラスフリッ
トと無機物フィラーであるアルミナ粉末などから成り、
その絶縁層1a〜1dの各絶縁層間に内部配線2b〜2
d、各絶縁層1a〜1dの厚み方向を貫くビアホール導
体3a〜3dから成っている。
【0041】内部配線2b〜2dは、低抵抗材料、例え
ば銀、銅、金などを主成分とする導体からなる。また、
ビアホール導体3a〜3dも、低抵抗材料、例えば銀、
銅、金などを主成分とする導体から成り、内部配線2b
〜2d間を接続し、また、内部配線2b〜2dの一部と
表面配線4、5との間を接続する。
【0042】この内部配線2b〜2d、ビアホール導体
3a〜3dによって、積層体基板1内に所定回路網を構
成することができる。また、隣接する2つの絶縁層間に
配置された内部配線を所定形状に設定して、両者を絶縁
層を挟んで所定面積で対向させるようにして容量素子
を、また複数の内部配線をビアーホル導体によって螺旋
状になるように接続すればインダクタンス素子を形成す
ることができる。
【0043】表面配線4、5は、銀、銅などを主成分と
する導体によって形成され、ビアホール導体3a、3d
の露出部分を覆うように形成されている。この表面配線
4、5は、外部のプリント配線基板と接続するための端
子電極や電子部品6を搭載するためのパッドとして用い
られる。また、表面配線4、5の一部に、抵抗体材料、
例えば、酸化ルテニウムなどの金属酸化物や珪化タンタ
ル、モリブデンなどの金属珪化物を用いて抵抗体膜を形
成しても構わない。
【0044】電子部品6は、ICベアチップ、チップ抵
抗器、チップコンデンサーなどのチップ部品や、トラン
ジスタ、発振器などのリード部品などが例示でき、所定
表面配線4、5の一部に半田によって接続されたり、ワ
イヤボンディングによって接続されたりする。
【0045】さて、上述の内部配線2b〜2d、ビアホ
ール導体3a〜3dを有する積層体1は、概略以下のよ
うにして形成される。
【0046】まず、ガラス−セラミックからなる絶縁層
1a〜1dとなる基板材料を作成する。
【0047】例えば、SiO2 −Al2 3 −CaO−
ZnOなどの屈伏点が600℃以上の低融点ガラスカッ
レトをミルで粉砕して低融点ガラスフリットを作成す
る。この時のガラスフリットの粒径は、1.0〜3.0
μmであり、比表面積が10m2 /g以下とする。
【0048】次に、無機物フィラーとして、アルミナセ
ラミックをミルで粉砕して、比表面積が10m2 /g以
下となるようにする。
【0049】さらに、CeO2 、TiO2 、MnO2
BaO2 、Sb2 5 から少なくとも1種類の酸化物材
料を用意する。
【0050】このような低融点ガラスフリット、アルミ
ナ粉末及び酸化物である固形材料と有機バインダ及び有
機溶剤などの有機ビヒクルとを均質混練して、ガラス−
セラミックから成るスラリーを作成する。
【0051】このスラリーをドクターブレード法によっ
て厚み200μmのテープを形成し、さらに所定大きさ
に裁断して各絶縁層1a〜1dとなるガラス−セラミッ
クグリーンシートを作成する。尚、上述のドクターブレ
ート法の一工程に乾燥工程があり、この乾燥工程でスラ
リー中に含まれていた有機溶剤の一部が除去されること
になる。
【0052】次に、絶縁層1a〜1dとなる各グリーン
シートに、積層体基板1内に内層される回路構造を考慮
して、ビアホール導体3a〜3dの形成位置に貫通孔を
形成する。
【0053】次に、絶縁層1a〜1dとなる各グリーン
シートに、Agなどを主成分とする導電性ペーストをス
クリーン印刷・乾燥して、上述の貫通穴に該ペーストを
充填するとともに、内部配線2b〜2dとなる導体膜を
形成する。
【0054】次に、内部配線2b〜2dとなる導体膜や
ビアホール導体3a〜3dを形成したグリーンシートを
積層順序を考慮して、積層・熱圧着する。これにより、
未焼成状態の積層体基板が達成される。その後、焼成収
縮率を考慮してこの積層体基板の主面に最終形状を規定
する分割溝を形成する。
【0055】次に、未焼成状態の積層体基板をトンネル
焼成炉に投入して、所定条件で焼成処理する。この焼成
処理の昇温過程で、焼成温度が約500℃〜600℃前
後は、ガラス−セラミック材料を形成する際に混入され
た有機成分やスラリー形成時に添加した有機ビヒクル
(有機バインダ及び有機溶剤)、導電性ペーストに含ま
れる有機ビヒクル(有機バインダ及び有機溶剤)を完全
に焼失・除去する脱バインダ工程である。また、それ以
上の温度領域は、低融点ガラスフリットをアルミナ粉末
の粒界部分に充填し、結晶化させる焼結工程である。
尚、この焼結工程で導電膜の銀成分が粒成長し、良好な
導電性を示すことになる。
【0056】この焼成処理により、未焼成状態の積層体
基板は、強固な積層体基板1となり、導体膜、導体は、
内部配線導体膜2b〜2d、ビアホール導体3a〜3d
となる。
【0057】具体的な焼成条件は、焼成雰囲気は、大気
などの酸化性雰囲気でピーク温度は900℃で処理され
る。
【0058】これは、内部配線導体膜2b〜2dなどが
銀などで形成されており、銀自身が酸化されにくいた
め、焼成雰囲気に高価なアームガス(水素と窒素との混
合ガス)を用いる必要はない。また、焼結反応も、実質
的に低融点ガラスフリットを軟化して、アルミナ粉末の
粒界部分に均一に流動させて、且つアナーサイトなどの
結晶相を生成させるため、ピーク温度900℃程度で短
時間(脱バインダ工程に要する時間が30〜60分程
度、ピーク温度の維持時間が30〜60分程度)で行え
る。尚、このピーク温度900℃程度も銀の融点、約9
60℃を考慮して設定される。
【0059】ここで、本発明の特徴的なことは、上述の
30〜60分程度という非常に短い脱バインダ工程で、
未焼成状態の積層体基板に含まれる有機成分除去させる
ために、基板材料の各条件を整えたものである。これに
より、短時間の脱バインダ処理しても、焼成された基板
内に有機成分の残存物、具体的にはカーボンが残留する
ことがなく、基板の灰色変色を有効に防止でき、基板の
強度の低下を抑えるとともに、絶縁特性を充分な満足で
きる値に維持できる。
【0060】その条件とは、ガラス−セラミックを構成
する低融点ガラスフリットは、軟化流動をはじまる屈伏
点を600℃と比較的に高い温度に領域に設定し、且つ
比表面積が10m2 /g以下にして、見掛け上の屈伏点
温度が低下しないようにして、脱バインダ工程によって
焼失・除去される有機成分が軟化されるガラス成分内に
阻害されないようにした。
【0061】さらに、ガラス−セラミックを構成するア
ルミナ粉末の比表面積をガラスフリットと同様に10m
2 /g以下として、グリーンシート状態を維持するため
の有機バインダの量を減少可能にすして、焼失・除去さ
れる有機バインダの全体量を少なくしている。
【0062】さらに、脱バインダ工程の初期の段階か
ら、有機成分が積極的に焼失・除去されるように、酸素
が分離しやすいCeO2 、TiO2 、MnO2 、BaO
2 、Sb2 5 などの酸化物を添加する。尚、酸化物の
添加量は、基板の強度などを低下させないように、その
添加量を充分注意して設定する必要がある。
【0063】これらによって、未焼成状態で基板内に存
在する有機成分、主に有機バインダを、除去されやすい
状態て、脱バインダ工程の初期の段階から積極的に焼失
・除去させるようにしており、結果として、有機成分が
完全に基板の外部に抜け、カーボンとして残留すること
がない。
【0064】以上は、ガラス−セラミックを構成するガ
ラスフリット、アルミナ粉末及び酸化物について詳述し
たが、有機バインダ自身も焼失しやすいように設定する
ことが重要である。
【0065】有機バインダにおいては、その添加量は、
有機成分の完全焼失の観点からすれば、絶対量が少ない
方が望ましいが、グリーンシートの形状の維持のため
に、また、焼成収縮を小さくするためには、その下限が
限定される。
【0066】また、有機バインダの重量平均分子して
も、有機成分の完全焼失の観点からすれば、重量平均分
子量が少ない方が望ましいが、グリーンシートの引張強
度を考慮すれば、その下限が限定される。
【0067】これらを考慮して、有機バインダの添加量
は、固形成分(ガラスフリット、アルミナ粉末、酸化
物)に対して8〜15重量%が好ましく、また重量平均
分子量は300000〜500000が好ましい。
【0068】また、同時に、基板の強度、ガラス転移
点、酸価などの種々条件を合わせなければ、実際のスラ
リー中に安定的に分散できず、焼結収縮率が安定したグ
リーンシートを形成することができないので、酸化、ガ
ラス転移点などを充分に考慮して所定値に設定する必要
がある。
【0069】(実験例)本発明者らは、本発明の作用・
効果を確認するために、以下のような実験をおこなっ
た。
【0070】ミルにより、粒径が調整されたガラスフリ
ット、アルミナ粉末の無機物フィラー、酸化物を表1に
示す割合になるように秤量混合し、有機バインダとして
アクリル系樹脂、有機溶剤としてトルエン、さらに可塑
剤などを添加して回転式ボールミルでアルミナボールと
ともに均質混練した。尚、有機バインダであるアクリル
系樹脂の重量が固形成分100重量部に対して12重量
%、重量平均分子量が350000、酸化が1.0、ガ
ラス転移温度が−30℃のアルキルアクリレートを用い
た。尚、条件が同様であれば、アルキルアクリレートの
他に、C1 〜C1OアルキルアクリレートやC1 〜C1O
ルキルメタルアクリレートなどを1種、または複数種用
いることができる。
【0071】また、有機溶剤は、スラリーの粘度が10
〜50ポイズ程度にあるように所定添加した。
【0072】このようなスラリーをドクターブレード法
によって、200μmのテープ厚みでテープを成型し、
所定大きさに裁断してグリーンシートを形成した。
【0073】このグリーンシート上に、Agを主成分と
する導電性ペーストをスクリーン印刷を行い、70℃で
1時間乾燥処理して、厚み20μmの所定形状の導体膜
を形成した。
【0074】このような導体膜を形成したグリーンシー
トを複数枚積層し、100℃、150kg/cm2 の圧
力で、熱圧着を行い、未焼成状態の積層体基板を形成
し、大気雰囲気のトンネル焼成炉でピーク温度900
℃、全体焼成時間2時間で焼成処理した。
【0075】この焼成された積層体基板について、有機
成分、特に有機バインダの残存(カーボンに変質)によ
る灰色変色、体積固有抵抗、絶縁層の耐圧特性を夫々調
べた。
【0076】
【表1】
【0077】尚、アルミナ粉末である無機物フィラーの
重量%は、ガラスフリット100重量部に対しての重量
%であり、酸化物の重量%は、ガラスフリット、アルミ
ナ粉末の合計重量を100重量部とした時の重量%であ
る。
【0078】以下の表より、試料番号11から理解でき
るように、有機成分、主に有機バインダを完全に除去す
るためには、酸化物の添加量を0.1重量%以上添加す
ることが重要であり、また、試料番号12から理解でき
るように、その添加量が3.0重量%を越える(4.0
重量%)では、基板の基本特性である体積固有抵抗、耐
電圧、抗折強度のいずれも劣化の傾向を示し、総合的に
好ましくない。
【0079】従って、有機バインダの残留による基板の
変色及び基板の基本特性における総合的な判断より、酸
化物の添加量として、0.1〜3.0重量%が実用の範
囲となる。
【0080】さらに基板の体積固有抵抗、耐電圧、抗折
強度などを個別に検討すると、試料番号7〜10で理解
できるように、アルミナ粉末は、ガラスフリット100
重量部に対して、25〜150重量%の範囲が好まし
い。
【0081】尚、本発明は、酸化物の材料として種々検
討した結果、CeO2 、TiO2 、MnO2 の他に、B
aO2 、Sb2 5 も用いることができ、これらを2種
類以上添加しても同様の作用が得られることを確認し
た。
【0082】
【発明の効果】以上、本発明によれば、900℃以下と
いう低温で焼成することができる低温焼成多層回路基板
のガラス−セラミック組成物であって、脱バインダ工程
を含む焼成時間を比較的短くしても、未焼成状態の積層
体基板内の有機成分を、簡単に焼失・除去でき、基板の
灰色変色を有効に抑えることができ、耐電圧特性、強
度、絶縁抵抗など基板の基本特性を優れた低温焼成回路
基板用ガラス−セラミック組成物となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低温焼成多層回路基板の断面構造
図である。
【符号の説明】
1・・・・・・積層体基板 2b〜24d・・・・・内部配線導体膜 3a〜3d・・・・・・ビアホール導体 4、5・・・・・・・表面配線 6・・・・・・・・・電子部品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小花 芳樹 千葉県船橋市行田一丁目50番1号 岩城硝 子株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低融点ガラスフリットとセラミックなど
    の無機物フィラーと酸化物を含有して成る低温焼成多層
    回路基板用ガラス−セラミック組成物において、前記低
    融点ガラスフリットは、比表面積が10m2 /g以下
    で、且つガラス屈伏点が600℃以上であり、 前記無機物フィラーは、比表面積が10m2 /g以下の
    アルミナ粉末であり、前記酸化物は、CeO2 、TiO
    2 、MnO2 、BaO2 、Sb2 5 の少なくとも1種
    類をガラスフリット、無機物フィラーの合計重量に対し
    て、0.1〜3.0重量%含むことを特徴とする低温焼
    成多層回路基板用ガラス−セラミック組成物。
JP6327244A 1994-12-28 1994-12-28 低温焼成多層回路基板用ガラス−セラミック組成物 Pending JPH08183654A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001010868A (ja) * 1999-06-22 2001-01-16 Murata Mfg Co Ltd セラミック基板用組成物およびセラミック回路部品
WO2006046361A1 (ja) * 2004-10-26 2006-05-04 Murata Manufacturing Co., Ltd. セラミック原料組成物、セラミック基板および非可逆回路素子
JP2010006681A (ja) * 2008-06-30 2010-01-14 Ohara Inc リチウムイオン伝導性固体電解質グリーンシートの製造方法

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