JPH0818161A - Ii−vi族化合物半導体発光素子 - Google Patents

Ii−vi族化合物半導体発光素子

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JPH0818161A
JPH0818161A JP10266695A JP10266695A JPH0818161A JP H0818161 A JPH0818161 A JP H0818161A JP 10266695 A JP10266695 A JP 10266695A JP 10266695 A JP10266695 A JP 10266695A JP H0818161 A JPH0818161 A JP H0818161A
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JP
Japan
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layer
quantum well
substrate
compound semiconductor
barrier layer
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Application number
JP10266695A
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English (en)
Inventor
Masao Ikeda
昌夫 池田
Hironori Tsukamoto
弘範 塚本
Osamu Taniguchi
理 谷口
Satoru Ito
哲 伊藤
Seiji Shiraishi
誠司 白石
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 結晶欠陥の増殖速度を抑え、長寿命化が可能
となるII−VI族化合物半導体レーザを提供する。 【構成】 II−VI族化合物半導体発光素子による基板上
のZnz Mg1-x y Se1-y (0<x<1,0<y<
1)系化合物半導体よりなる第1および第2のクラッド
層と、これら第1および第2のクラッド層間に形成され
た少なくとも1層のZnA Cd1-A B Se1-B (0<
A<1,0≦B<1)による基板に対して圧縮歪みを有
する量子井戸層と少なくとも1層のZnSz Se
1-z (0<z<1)による基板に対して引っ張り歪みを
有する障壁層とによる量子井戸構造の活性領域とを有す
る構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、量子井戸構造による活
性領域がZnMgSSeよりなる第1および第2のクラ
ッド層によって挟み込まれてなる緑ないしは青の発光が
なされるII−VI族化合物半導体発光素子に係わる。
【0002】
【従来の技術】近年、歪み量子井戸を用いた半導体レー
ザの性能向上の研究、開発が活発化されている。この歪
み量子井戸を用いた半導体レーザとしては、 III−V 族
系半導体レーザの、600nm帯の波長の光を発生する
AlGaInP系の半導体レーザ、1μm帯の波長の光
を発生するInGaAs系の半導体レーザ、1.3〜
1.5μm帯の波長の光を発生するInGaAsP系の
半導体レーザ等が開発されている。
【0003】この多重量子井戸構造における歪み量子井
戸は、圧縮による歪みと引っ張りによる歪みとの2種の
型があり、一般には、この歪み量子井戸を格子整合系の
障壁層によって挟み込むものである。
【0004】この III−V 族系化合物半導体レーザにつ
いては、応用物理学会,「応用物理」第62巻,第2号
(1993)第134 頁〜第138 頁に、歪導入によってしきい
値電流の低減化、光出力増加、高速変調特性の向上、T
E/TMモード制御性の向上等の性能改善が図られるこ
と、更にエージング試験結果により、格子欠陥の形成が
歪みの導入により増強されるものでないことが記述され
ている。
【0005】そして、 III−V 族のInGaAsP系の
多重量子井戸構造半導体レーザにおいて、その多重量子
井戸構造における歪みを、障壁層における歪みによって
相殺補償するようにしたレーザが、Applied Physics Le
tters Vol.58,No.18,6 May 1991 第1952頁〜第1954頁に
開示されていて、これによりPL( フォトルミネッセン
ス)特性が向上したことが記述されている。
【0006】しかし、上述した文献にみられるように、
III−V 族系半導体レーザでは、歪補償によって特性改
善をはかるものではあるものの、この歪補償は結晶性と
関わりがあるものではなく、この歪補償したことによる
結晶性に関する問題はなんら生じない。
【0007】すなわち、例えば応用物理学会,第57巻,
第9号(1988)第1349(67)頁の記述およびその表1を
参照して明らかなように、 III−V 族系においては、イ
ントリンシック積層欠陥エネルギー、および還元積層欠
陥エネルギーが共に大きいため、欠陥について考慮する
必要はない。これに比し、II−VI族は積層欠陥エネルギ
ーがかなり小さいことから歪による欠陥の発生が問題と
なってくる。
【0008】一方、緑ないし青色で発振するZnCdS
eを歪み量子井戸、ZnSSeまたはZnSeをガイド
層、ZnMgSSeをクラッド層とするSCH構造によ
るII−VI族化合物半導体レーザが知られている。Gaines
らのApplied Physics Letters Vol.62 No.20 1993 に
は、ZnCdSe/ZnSSe/ZnMgSSeによる
SCH構造のII−VI族化合物半導体レーザの室温でのパ
ルス発振が示されている。
【0009】また、ItohらのJapanese Journal of Appl
ied Physics Vol.33 No.7A 1994 には、ZnCdSe/
ZnSe/ZnMgSSeによるSCH構造の半導体レ
ーザの室温でのパルス発振が示されている。上述のGain
esらおよびItohらのSCH構造によるII−VI族化合物半
導体レーザはいずれも単一量子井戸による活性領域を用
いており、障壁層は用いていない。
【0010】また、Xie らのApplied Physics Letters
Vol.60 No.20 1992 には、ZnCdSe歪み量子井戸量
およびZnSSe障壁層による多重量子井戸の活性領域
を有する発光ダイオードが示されている。ここでの、Z
nSSe障壁層のS組成は7%であり、GaAsよりな
る基板と格子整合するようになされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、II−VI
族化合物半導体レーザの寿命は、現状で数分程度であ
る。これは、結晶欠陥の増殖速度が速く、素子が劣化し
易いことによるものである(GuhaらのApplied Physics
Letters Vol.63 No.23 1993)。
【0012】本発明の目的は、結晶欠陥の増殖速度を抑
え、長寿命化が可能となるII−VI族化合物半導体レーザ
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によるII−VI族化
合物半導体発光素子による基板上のZnz Mg1-x y
Se1-y (0<x<1,0<y<1)系化合物半導体よ
りなる第1および第2のクラッド層と、これら第1およ
び第2のクラッド層間に形成された少なくとも1層のZ
A Cd1-A B Se1-B (0<A<1,0≦B<1)
による基板に対して圧縮歪みを有する量子井戸層と少な
くとも1層のZnSz Se1-z (0<z<1)による基
板に対して引っ張り歪みを有する障壁層とによる量子井
戸構造の活性領域とを有する構成とする。
【0014】
【作用】上述の本発明構成によれば、量子井戸構造の活
性領域を有するII−VI族化合物半導体発光素子におい
て、少なくとも1層のZnA Cd1-A B Se1-B によ
る基板に対して圧縮歪みを有する量子井戸層と、少なく
とも1層のZnSz Se1- z による基板に対して引っ張
り歪みを有する障壁層とによる量子井戸構造の活性領域
とを有するとにより、結晶欠陥の増殖速度を抑え、素子
の長寿命化が可能となる。更には、通常の歪み量子井戸
層は臨界膜厚による制限をうけるが、上述の本発明の構
成によれば、歪み量子井戸層の厚さを十分大にして、光
の閉じ込めを充分行うことができ、信頼性が高いII−VI
族化合物発光素子を提供することが可能となる。上述の
作用は、本発明者等が鋭気研究の末、見い出したもので
ある。
【0015】
【実施例】本発明は、基板上にZnx Mg1-x y Se
1-y (0<x<1,0<y<1)系化合物半導体よりな
る第1および第2のクラッド層と、第1および第2のク
ラッド層間に形成された少なくとも1層のZnA Cd
1-A B Se1-B (0<A<1,0≦B<1)による上
記基板に対して圧縮歪みを有する量子井戸層と少なくと
も1層のZnSz Se1-z (0<z<1)による上記基
板に対して引っ張り歪みを有する障壁層とによる量子井
戸構造の活性領域とを有する構成とする。
【0016】そして、n番目(nは1以上の自然数)の
量子井戸層の圧縮歪みεW とn番目(nは1以上の自然
数)の障壁層の引っ張り歪みεB とによる下記(数1)
の全歪み量を、0<ε≦1.55とする。
【0017】
【数1】ε=εW /εB =−{ΣΔaWn/aS ×LWn
/{ΣΔaBn/aS ×LBn
【0018】ただし、(数1)において、LWnはn番目
の量子井戸層の厚さ,LBnはn番目の障壁層の厚さ,Δ
Wn/aS はn番目の量子井戸層の基板との格子不整
量,ΔaBn/aS はn番目の障壁層の基板との格子不整
量である。
【0019】上述の量子井戸構造の少なくとも障壁層
は、p型不純物がドープされた層とする。
【0020】このとき、障壁層は、ZnSz Se
1-z (0.06<z<1)とし得る。
【0021】量子井戸層はZnA Cd1-A Se(0<A
<1)とし得る。
【0022】図面を参照して本発明による半導体発光素
子の実施例を説明する。図1には本発明による半導体レ
ーザの一実施例であるDH構造(Double Hetero struct
ure)半導体レーザの概略断面図を示す。図1の半導体レ
ーザは、基板1上に、バッファ層2、第1のクラッド層
11、量子井戸構造による活性領域3、第2のクラッド
層12、コンタクト層4を順次連続的に例えばMBE
(分子線エピタキシー)によってエピタキシャル成長す
る。
【0023】コンタクト層4には、例えはPd,Pt,
Auの多層構造によるp側電極5がオーミックに被着形
成され、基板1の裏面には例えばInによるn側電極6
がオーミックに被着される。
【0024】基板1は、比較的廉価で、結晶性に優れた
例えばn型のGaAs基板が用いられる。バッファ層2
は、例えばエピタキシャル成長したn型のGaAs薄膜
とn型のZnSe薄膜とによる二艘構造とし得る。
【0025】第1および第2のクラッド層11および1
2は、それぞれn型およびp型のZnx Mg1-x y
1-y (0<x<1,0<y<1)によって構成され
る。コンタクト層4は、例えばp型のZnTe薄膜とp
型のZnSe薄膜との繰り返し積層構造とし得る。
【0026】第1および第2のクラッド層11および1
2間の量子井戸構造による活性領域3は、図2にこの部
分の概略断面図を示すように、ZnA Cd1-A B Se
1-B(0<A<1,0≦B<1)による圧縮歪み量子井
戸層3WとZnSZ Se1-z(0<z<1)による引っ
張り歪み障壁3Bとによる多重量子井戸構造とする。
【0027】この量子井戸層3Wの圧縮歪み量は、Zn
A Cd1-A B Se1-B のCd量により、また、障壁層
3Bの引っ張り歪み量は、ZnSz Se1-z のS量によ
ってそれぞれ選定することができる。
【0028】この構成において、第1および第2のクラ
ッド層11および12を構成するZnX Mg1-X Y
1-Y の組成は次のように選定される。この場合、Ga
As基板1に格子整合するZnX Mg1-X Y Se1-Y
の組成xおよびyと、そのバンドギャップとの関係は、
図3に示すように、実験的に求められている。図3にお
いて曲線31xはそのx値を示し、曲線31yはそのy
値を示す。
【0029】今、第1および第2のクラッド層11およ
び12が、GaAsと整合し、かつ77Kでのバンドギ
ャップが、3.0eV(室温で2.9eV)のZnMg
SSeによって構成する場合には、そのZnX Mg1-X
Y Se1-Y の組成は、曲線31xからx=0.88,
曲線31yからy=0.20であることが分かり、この
場合、第1および第2のクラッド層11および12は、
Zn0.88Mg0.120. 20Se0.80に選定される。
【0030】このZnX Mg1-X Y Se1-Y によるク
ラッド層のMBEは、Zn,Mg,ZnS,Seの各原
料セルが用いられる、n型の第1のクラッド層11のエ
ピタキシャル成長においては、例えばZnCl2 原料セ
ルがn型ドーパントとして用いられて、これらからの各
分子線量が調整されてMBEがなされる。
【0031】量子井戸構造の活性領域3の障壁層3B
は、例えば上述の第1のクラッド層11をエピタキシャ
ル成長するZn0.88Mg0.120.20Se0.80のMBEに
おいて、そのMgおよびn型不純物のZnCl2 原料セ
ルの供給を停止し、Zn,ZnS,Se,各原料セルと
p型不純物源として窒素Nのプラズマガンからの各分子
線照射を行うことでp型のZnS0.20Se0.80として形
成することができ、圧縮歪み量子井戸層3Wの例えばp
型のZnA Cd1-A B Se1-B は、Zn,ZnS,S
e,Cd各原料セルからの分子線照射によってMBEす
ることができる。
【0032】この量子井戸構造の活性領域3において、
その量子井戸層3Wの圧縮歪みおよび障壁層3Bによる
引っ張り歪みによって生じる全歪み量、量子井戸層3W
の基板との格子不整量および障壁層3Bの基板との格子
不整量は、それぞれ下記(数2)(すなわち前記(数
1))、(数3)および(数4)によって決定される。
【0033】
【数2】ε=εW /εB =−{ΣΔaWn/aS ×LWn
/{ΣΔaBn/aS ×LBn
【0034】
【数3】ΔaWn/aS =(aWn−aS )/aS
【0035】
【数4】ΔaBn/aS =(aBn−aS )/aS
【0036】ここで、 εW :量子井戸層の歪み量 εB :障壁層の
歪み量 aWn:第n層の量子井戸層の格子定数 aBn:第n層の
障壁層の格子定数 LWn:第n層の量子井戸層の厚さ LBn:第n層の
障壁層の厚さ aS :基板の格子定数
【0037】量子井戸層の歪み量に比し、障壁層の歪み
量を大とした場合には、(数1),(数2)において0
<ε<1となり、逆の場合は1<εとなる。また、活性
領域3における圧縮歪みおよび引っ張り歪みを完全に補
償、すなわち相殺するにはεW /εB とすれば良い。
【0038】今、量子井戸層3Wとして、ZnA Cd
1-A B Se1-B において、B=0とするZnA Cd
1-A Seを用いる場合についてみると、実際の半導体レ
ーザでは、Cdの組成Aと厚さLW が概ね量子準位から
の発光波長を支配するものであることから、所望の発光
波長例えばλ=490nmを得るには、A=0.25,
W =30Åに設定すれば良いので、このとき、量子井
戸層3Wの圧縮歪みεW は、表1の格子定数からベガー
ド則を仮定して格子不整合度Δa/aにして+2.1%
となる。一方、z=0.20のZnSz Se1-z 障壁層
3Bの引っ張り歪みεB は、同様に表1から−0.65
%となる。そして、量子井戸構造による活性領域3の量
子井戸層数n=5であるとすると、(数1)からLB
120Åとなる。
【0039】
【表1】
【0040】尚、上述した本発明構成においては、その
量子井戸構造の活性領域3において、p型の不純物をド
ーピングした構成とした場合である。今このような不純
物のドーピングを行わずに、各層3Wおよび3Bが真性
半導体である場合についてみると、異なる2つの材料界
面のバンドオフセットはZnSeを基準に表2で示され
る割合で伝導帯および価電子帯へ振り分けられることか
ら、歪みによるバンドギャップのシフトを無視してその
価電子帯の頂上のバンド構造を示すと、図4のようにな
る、従って、p型のZnMgSSe側から注入される正
孔hに対し障壁層3Bによるバリアが発生し、これが各
井戸への均一な注入を損ない動作電流の増大、しきい値
電流Ithの増加、寿命の低下をきたす。
【0041】
【表2】
【0042】これに対して、上述したように、その量子
井戸構造の活性領域3全体にあるいは障壁層3Bに、p
型の不純物をドーピングした構成とした場合の価電子帯
の頂上のバンド構造を図5に示す。図5においてはフェ
ルミレベルの平坦化により第2のクラッド層のp型のZ
nMgSSe側から注入される正孔hに対する障壁層3
Bによるバリアの発生を回避でき、このII-VI 族ZnM
gSSe系材料固有のバンド構造に起因した問題の解決
をはかることができる。これによって各井戸への均一な
注入を行うことができ、動作電流、しきい値電流Ith
低減化、寿命の向上をはかることができる。
【0043】上述したように、本発明では、活性領域3
において歪み補償量子井戸構造を採ったことによって量
子井戸の全体的厚さを充分大とすることができ、キャリ
アおよび光の閉じ込めを充分行うようにできる。
【0044】図6には本発明による半導体発光素子の他
の実施例であるSCH構造(Separated Confinment str
ucture)半導体レーザの概略断面図を示す。図6におい
ては、例えばn型の基板1上に、バッファ層2、第1の
クラッド層11、第1のガイド層21、量子井戸構造に
よる活性領域3、第2のガイド層22、第2のクラッド
層12、コンタクト層4を順次連続的に例えばMBEに
よってエピタキシャル成長する。そして、コンタクト層
4上および基板1の裏面にそれぞれ電極5および6をオ
ーミックに被着する。
【0045】第1および第2のガイド層21および22
は、それぞれn型およびp型のZnScSe1-C (0≦
C<1)により構成することができる。
【0046】基板1、バッファ層2、第1および第2の
クラッド層11および12、量子井戸構造による活性領
域3、コンタクト層4、電極5および6は前述のDH構
造半導体レーザの実施例と同様の構成をとることができ
る。
【0047】また、上述のDH構造およびSCH構造半
導体レーザにおいて、活性領域を単一量子井戸構造によ
り構成する場合には、図7に示すように、ガイド層と障
壁層で異なるS組成のZnSSe系化合物半導体を用い
ることができる。図7においては、例えば、ガイド層の
S組成を6%とし、障壁層のS組成を19%とする。
【0048】また、ガイド層は図8に示すように、p側
とn側で異なる厚さとしてもよい。図8に示すように、
ガイド層を正孔にとってバリアとなるp側で薄く、n側
で厚く構成した場合、正孔の注入を容易にしつつ歪み補
償が可能となる。図8においては、例えばp側ガイド層
およびn側ガイド層の厚さをそれぞれ60Åおよび10
0Åとした。
【0049】以下に実際のSCH構造半導体レーザの全
歪み量εと寿命および従来寿命を律速していた転位の増
殖速度の評価結果を示す。
【0050】(実施例1)実施例1は、図6に示したS
CH構造半導体レーザにおいて、圧縮歪み量子井戸層3
Wは、層数n=3のZn0.78Cd0.22Se(aW1-3
5.758Å)によって構成し、その厚さLW1-3=50
Åとした。また、層数n=2の引っ張り歪み障壁層3B
は、ZnS0.10Se0.81(aB1-2=5.634Å)によ
って構成し、その厚さLB1-2=90Åとした。基板1に
はGaAs(aS =5.653Å)を用いた。この時の
全歪み量ε=1.53であった。この実施例1の半導体
レーザは、1mWの光出力下において波長508nmで
1時間45分の室温連続発振が実現し、従来のII−VI族
化合物半導体レーザに比して信頼性の改善がはかられ
た。発振を停止した試料を解析したところ、電極部に破
壊が認められ、欠陥の増殖により発振停止したものでは
ないことが判明した。
【0051】(実施例2)実施例2の半導体レーザは、
圧縮歪み量子井戸層の組成および厚さと引っ張り歪み障
壁層の厚さを代えた他は実施例1と同様に構成した。こ
こで、圧縮歪み量子井戸層はZn0.75Cd0.25Se(a
W1-3=5.770Å)によって構成し、その厚さLW1-3
=40Åとした。また、引っ張り歪み障壁層はZnS
0.18Se0.81によって構成し、その厚さL=88Åとし
た。このときの全歪み量ε=1.42であった。この実
施例2の半導体レーザは、1mWの光出力下において波
長513nmで2時間16分の室温連続発振が実現し、
実施例1と同様に従来のII−VI族化合物半導体レーザに
比して信頼性の改善がはかられた。発振を停止した試料
を解析したところ、電極部に破壊が認められ、欠陥の増
殖により発振停止したものではないことが判明した。
【0052】表3に、実施例3〜10および比較例1〜
6の各半導体レーザーの歪み量εとと欠陥の増殖による
暗線の伸びの評価結果を示す。暗線の伸びを評価する試
料は、GuhaらのApplied Physics Letters Vol.63 No.23
1993 に示されるように、図6に示したSCH構造半導
体レーザの電極5のかわりに光を透過する程度の薄い金
電極を形成したものを用いた。尚、実施例3〜5では、
単一量子井戸構造、実施例6〜10および比較例1〜6
ではZnSz Se1-z 障壁層のz=0.06とし、Ga
As基板に格子整合するように構成した。この試料に電
流密度0.6A/cm2 で30分通電後、2A/cm2
で10分間通電し、発光させた時の活性領域における暗
線を上記金属の上面より観察した。表3において、暗線
の伸びの評価結果は以下の5段階で示した。表3に示さ
れるように、全歪み量ε≦1.55の場合、暗線の伸び
を抑えることができた。 5−劣化が速い。前面が暗線で覆われる。 4−暗線がかなり伸びる。10μm以上の暗線が観察さ
れる。 3−暗線が伸びる。3〜9μm程度の暗線が観察され
る。 2−暗線が少し伸びる。3μm未満の暗線が観察され
る。 1−ほとんど変化なし。
【0053】
【表3】
【0054】上述のように、本発明による半導体発光素
子において、大幅な寿命特性の改善および従来寿命を律
速していた欠陥の増殖速度の低減をはかることができ
た。
【0055】尚、本発明は上述の実施例に限らず、本発
明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更することができ
る。例えば、基板1としてGaAs以外にZnSeを用
いることができる。また、基板1の導電型はp型として
もよい。また、正孔hに対する障壁層3Bのバリアがあ
まり大きくなく、半導体発光素子の動作に支障をきたさ
なければ障壁層3Bはn型の不純物ドープまたはノンド
ープとしてもよい。
【0056】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、II−
VI族化合物半導体発光素子において、その活性領域を圧
縮歪みを有する量子井戸層と、引っ張り歪みを有する障
壁層とにより構成することによって、欠陥の増殖を抑
え、素子の寿命特性を改善することができる。また、井
戸量子層の総和を臨界膜厚に制限されず充分大とするこ
とができることによって、量子井戸構造による活性領域
の光の閉じ込めを充分行うことができる。従って、発光
効率の高い緑ないしは青の発光がなされるII−VI族化合
物半導体発光素子を構成することができる。また、量子
井戸構造において、歪み量子井戸層または障壁層にp型
の不純物のドーピングがなされた構成とした場合、活性
領域への正孔の注入に対してバリアとなるエネルギーギ
ャップの発生を回避することができるので、しきい値電
流の低減化、動作電流の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体発光素子の一例の概略断面
図である。
【図2】本発明による半導体発光素子の一例の活性領域
の一例の概略断面図である。
【図3】GaAs基板に格子整合するZnx Mg1-x
y Se1-y のxおよびyとバンドギャップとの関係を示
す図である。
【図4】本発明による半導体発光素子のクラッド層と量
子井戸構造による活性領域の一例の価電子帯頂上のバン
ド構造図である。
【図5】本発明による半導体発光素子のクラッド層と量
子井戸構造による活性領域の他の例の価電子帯頂上のバ
ンド構造図である。
【図6】本発明による半導体発光素子の他の例の概略断
面図である。
【図7】本発明による半導体発光素子のクラッド層とガ
イド層と量子井戸構造による活性領域の一例のハンド構
造図である。
【図8】本発明による半導体発光素子のクラッド層とガ
イド層と量子井戸構造による活性領域の一例のハンド構
造図である。
【符号の説明】
1 基板 3 活性領域 3W 量子井戸層 3B 障壁層 11 第1のクラッド層 12 第2のクラッド層 21 第1のガイド層 22 第2のガイド層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 哲 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 白石 誠司 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上のZnx Mg1-x y Se
    1-y (0<x<1,0<y<1)系化合物半導体よりな
    る第1および第2のクラッド層と、 上記第1および第2のクラッド層間の、少なくとも1層
    のZnA Cd1-A BSe1-B (0<A<1,0≦B<
    1)による上記基板に対して圧縮歪みを有する量子井戸
    層と、 少なくとも1層のZnSz Se1-z (0<z<1)によ
    る上記基板に対して引っ張り歪みを有する障壁層とによ
    る量子井戸構造の活性領域とを有することを特徴とする
    II−VI族化合物半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 n番目(nは1以上の自然数)の上記量
    子井戸層の圧縮歪みεWとn番目(nは1以上の自然
    数)の上記障壁層の引っ張り歪みεB とによる全歪み量 ε=εW /εB =−{ΣΔaWn/aS ×LWn}/{ΣΔ
    Bn/aS ×LBn} (LWn:n番目の量子井戸層の厚さ,LBn:n番目の障
    壁層の厚さ ΔaWn/aS :n番目の量子井戸層の基板との格子不整
    量 ΔaBn/aS :n番目の障壁層の基板との格子不整量)
    を0<ε≦1.55としたことを特徴とする請求項1に
    記載のII−VI族化合物半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 上記量子井戸構造の少なくとも上記障壁
    層にp型不純物がドープされたことを特徴とする請求項
    1に記載のII−VI族化合物半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 上記基板はGaAsよりなり、 上記障壁層は、ZnSz Se1-z (0.06<z<1)
    よりなることを特徴とする請求項1に記載のII−VI族化
    合物半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 上記量子井戸層はZnA Cd1-A Se
    (0<A<1)よりなることを特徴とする請求項4に記
    載のII−VI族化合物半導体発光素子。
JP10266695A 1994-04-26 1995-04-26 Ii−vi族化合物半導体発光素子 Pending JPH0818161A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7038913B1 (ja) * 2020-12-23 2022-03-18 三菱電機株式会社 半導体レーザ装置

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