JP3056062B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP3056062B2
JP3056062B2 JP8004728A JP472896A JP3056062B2 JP 3056062 B2 JP3056062 B2 JP 3056062B2 JP 8004728 A JP8004728 A JP 8004728A JP 472896 A JP472896 A JP 472896A JP 3056062 B2 JP3056062 B2 JP 3056062B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体発光素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、II−VI族化合物半導体を用いた次
世代の青緑色の発光素子の研究開発が活発に行われてい
る。ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フ
ィジックス誌の33巻の938ページに「GaAsバッ
ファ層を伴うZnCdSe/ZnSSe/ZnMgSS
e SCH レーザダイオード」と題したII−VI族半導
体レーザダイオード(LD)の室温レーザ発振の報告が
ある。
【0003】図11に上述のLDの層構造を示す。図1
1に示すように、このLDは、活性層に圧縮歪のZnC
dSe層、光閉じ込め層にGaAsと格子整合したZn
SSe(ZnS0.06Se0.94)層、クラッド層にZnM
gSSe(Mg0.06Zn0.940.12Se0.88)層を有し
ている。
【0004】図示の例では、クラッド層にMgを含んだ
ワイドギャップ材料を用い、これによって、電子及びホ
ールの活性層への閉じ込め効率を増加させて、II−VI族
半導体LDの特性を向上させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、短波長化、
低閾値化、及び高温度特性化等のLD特性を向上させる
ためには、前述のように、基板との格子整合を維持した
ままで、さらにワイドギャップを有する材料をクラッド
層として用いることが効果的な方法である。
【0006】S及びSe等のVI族の原料は、As及びP
等のV族原料よりも蒸気圧が高く、ビームの安定に乏し
い。このため、VI族の原料は、成長室の背景圧を上げて
しまう結果、VI族の分子線を正確に制御して、再現性の
ある成長をすることが困難である。
【0007】前述のように、GaAs基板に格子整合し
たLD材料であるZnS0.06Se0.94及びMg0.06Zn
0.940.12Se0.88は、VI族の微妙でかつ安定な分子線
制御が必要である。
【0008】また、活性層に用いられるZnCdSe/
ZnS0.06Se0.94の多重量子井戸構造においても、界
面におけるSビームのきれを制御することが難しい。
【0009】一方、Sの背景圧を下げるために、量子井
戸界面で成長中断して待機していると、表面に不純物が
吸着して界面の結晶品質を低下させてしまう。また、II
−VI結晶本来の脆弱性に加えて、ZnCdSeに1〜2
%の強歪みを加えているという点も、界面の組成の安定
性等の結晶品質に関わってくる。
【0010】このように、Se/SSe界面を含むLD
には、VI族の分子線制御が難しく、このことが、LD素
子の歩留まり及び長寿命化等に大きく影響している。つ
まり、LD素子の歩留まりが低下するばかりでなく長寿
命化等を図ることが難しい。
【0011】従って、単一のVI族を含む材料系あるいは
一定のVI族組成を有するヘテロ構造が重要である。
【0012】本発明の目的は、高品質の量子井戸構造が
可能であり、基板と格子整合可能なよりワイドギャップ
のII−VI族半導体混晶層を有する半導体発光素子を提供
することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明よれば、GaAs
基板あるいはZnSe基板に格子整合したMg X Cd
1-X S(0<X<1)層をクラッド層として用いること
を特徴とする半導体発光素子が得られる。
【0014】さらに、本発明によれば、GaAs基板あ
るいはZnSe基板に格子整合したMgX Cd1-X S
(0<X<1)層をクラッド層として用いることを特徴
とする半導体発光素子がえられ、また、GaAs基板あ
るいはZnSe基板に格子整合したZnY Cd1-Y S
(0<Y<1)層又はGaAs基板あるいはZnSe基
板に格子整合したMgX ZnY Cd1-X-Y S(0<X<
1,0<Y<1)層を光閉じ込め層として用いることを
特徴とする半導体発光素子が得られる。
【0015】そして、本発明の半導体発光素子は、Zn
Y1Cd1-Y1S(0<Y1<1)層あるいはMgX1ZnY1
Cd1-X1-Y1 S(0<X1<1,0<Y1<1)層を井
戸層、MgX2Cd1-X2S(0<X2<1)層あるいはM
gX3ZnY3Cd1-X3-Y3 S(0<X1<X3<1,0<
Y3<1)層を障壁層とする量子井戸活性層を有してい
る。
【0016】この際、量子井戸活性層のウエル層(井戸
層)がバリア層(障壁層)と逆符号の歪を有し、かつウ
エル層及びバリア層の層厚は前記量子井戸活性層全体の
平均歪量の絶対値が0.5%以下となるように設定され
ることが望ましい。
【0017】加えて、本発明によれば、井戸層及び障壁
層を備える量子井戸活性層が備えられ、GaAs基板あ
るいはZnSe基板に対して0%以上かつ2%以下の格
子不整合を有するZnY4Cd1-Y4SW Se1-W (0<Y
4<1,0<W<1)層を前記井戸層として用いること
を特徴とする半導体発光素子が得られ、さらに、井戸層
及び障壁層を備える量子井戸活性層が備えられ、GaA
s基板あるいはZnSe基板に対して0.3%以上かつ
2%以下の格子不整合を有するMgX5ZnY5Cd1-X5-Y
5 SW1Se1-W1(0<X5<1,0<Y5<1,0<W
1<1)層を前記障壁層として用いることを特徴とする
半導体発光素子が得られる。
【0018】そして、前記井戸層としてZnY4Cd1-Y4
SW Se1-W 層を、前記障壁層としてMgX5ZnY5Cd
1-X5-Y5 SW1Se1-W1層を用い、前記井戸層と前記障壁
層との混晶においてSとSeとの組成比が同一であるこ
とが望ましい。
【0019】また、本発明によれば、光閉じ込め層を備
え、GaAs基板あるいはZnSe基板に格子整合した
MgX6Cd1-X6SW2Se1-W2(0<X6<1,0<W2
<1)層、又はGaAs基板あるいはZnSe基板に格
子整合したMgX7ZnY7Cd1-X7-Y7 SW3Se1-W3(0
<X7<1,0<Y7<1,0<W3<1)層を前記光
閉じ込め層として用いることを特徴とする半導体発光素
子が得られる。
【0020】この際、井戸層としてZnY4Cd1-Y4SW
Se1-W 層を、障壁層としてMgX5ZnY5Cd1-X5-Y5
SW1Se1-W1層を用い、井戸層と障壁層との混晶におい
てSとSeとの組成比が同一であることが望ましい。
【0021】そして、II−VI族半導体であるn型ク
ラッド層及びp型クラッド層を有し、n型クラッド層の
バンドギャップがp型クラッド層のバンドギャップより
小さくなるようにしてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】まず、本発明による半導体発光素
子について説明する。
【0023】図8はS系II−VI族化合物半導体のバンド
ギャップと格子定数の関係を示した図である。
【0024】図8に示されるように、GaAs基板に格
子整合するMgCdSおよびZnCdS3元混晶の組成
は、それぞれCd0.14Mg0.86S、Zn0.42Cd0.58
である。よって、GaAs基板に格子整合するCdMg
ZnS4元混晶は、図8の2点を結ぶ直線上で表され、
その組成は(Cd0.14Mg0.86S)x (Zn0.42Cd
0.58S)1-x (0≦x≦1)で与えられる。
【0025】ZnSe基板に格子整合するCdMgSの
3元混晶あるいはCdMgZnSの4元混晶の組成も同
様にして図8から求めることができる。
【0026】図9はSSe系II−VI族化合物半導体のバ
ンドギャップと格子定数の関係を示した図である。
【0027】図9に示されるように、GaAs基板に格
子整合するZnSSeおよびMgCdS3元混晶の組成
は、それぞれZnS0.06Se0.94、Mg0.86Cd0.14
である。よって、GaAs基板に格子整合するCdMg
ZnSSe5元混晶は、図9の2点を結ぶ直線上で表さ
れ、その組成は(Mg0.86Cd0.14S)x (ZnS0.06
Se0.941-x (0≦x≦1)で与えられる。
【0028】ZnSe基板に格子整合するCdMgZn
SSeの5元混晶の組成も同様にして図9から求めるこ
とができる。
【0029】図10は、4元および5元混晶のバンドギ
ャップのMg組成依存性を示す図である。
【0030】図10に示されるように、GaAs基板に
格子整合したCdMgZnS4元混晶は、Cd、Mg、
ZnのII族元素の組成を変えることによって、2.9e
V〜4.2eVの範囲でバンドギャップを連続的に変え
られる。
【0031】このように、GaAsと格子整合したMg
ZnCdS4元混晶は、従来例において、光閉じ込め層
に用いられるZnS0.06Se0.94層(バンドギャップ
2.74eV)やクラッド層に用いられるMg0.06Zn
0.940.12Se0.88層(バンドギャップ2.9eV)よ
りバンドギャップを大きく取れる。
【0032】このため、本発明のMgZnCdS4元混
晶を光閉じ込め層やクラッド層に用いたLDでは電子と
ホールの活性層への閉じ込め効率がさらに増加できる。
その結果、II−VI族半導体LDの特性をより一層向上さ
せることができる。また、MgZnCdSはCdを含む
ので結晶品質の良いものが得られる。
【0033】本発明のZnCdS/CdMgZnSの量
子井戸構造を有する半導体発光素子は、量子井戸構造の
VI族元素としてSのみを含み、量子井戸界面でのVI族元
素の切り替えがないので、高品質の量子井戸構造の活性
層を有するLDを容易に作製できる。
【0034】同様に、本発明のZnCdSSe/CdM
gZnSSe5元混晶の量子井戸構造を有する半導体発
光素子は、量子井戸構造のSSeVI族組成が一定であ
り、量子井戸界面でのVI族元素の切り替えがないので、
高品質の量子井戸構造の活性層を有するLDを容易に作
製できる。
【0035】また、量子井戸構造層中のSあるいはSS
eVI族組成が一定であるので、量子井戸界面でのVI族元
素の切り替えに伴う成長中断待機がない。このため、量
子井戸構造層のウエル層とバリア層に逆符号の歪を導入
した歪補償構造の多重量子井戸を容易に作製できる。
【0036】ここで、本発明による半導体発光素子につ
いて具体的に説明する。
【0037】図1(a)は本発明の第1の例であるII−
VI族半導体LD素子の断面構造図である。
【0038】図示のLDは、n電極10、n−GaAs
基板11、層厚300nmのn−GaAsバッファ層1
2、層厚30nmのn−ZnSe層13、層厚150n
mのn−ZnSSe層14、層厚150nmのn−Mg
0.43Zn0.21Cd0.36S層15、層厚1μmのn−Mg
0.86Cd0.14Sクラッド層16、層厚80nmのn−M
0.43Zn0.21Cd0.36S光閉じ込め層17、量子井戸
活性層18、層厚80nmのp−Mg0.43Zn0.21Cd
0.36S光閉じ込め層19、層厚0.8μmのp−Mg
0.86Cd0.14Sクラッド層20、層厚200nmのp−
Mg0.43Zn0.21Cd0.36S層21、層厚300nmの
p−ZnSSe層22、層厚100nmのp−ZnSe
層23、層厚30nmのp−ZnTe/ZnSe超格子
層24、層厚30nmのp−ZnTeコンタクト層2
5、及びp電極26を備えている。
【0039】但し、量子井戸活性層18は、図1(b)
に示すように、層厚6nmのZn0. 42Cd0.58Sウエル
層27と層厚8nmのMg0.43Zn0.21Cd0.36Sバリ
ア層28を交互に積層した5つのウエル層を有する多重
量子構造である。
【0040】このLDは、GaAs基板に格子整合した
無歪の半導体発光素子であり、クラッド層にMg0.86
0.14S 3元混晶、光閉じ込め層とバリア層にMg
0.43Zn0.21Cd0.36S 4元混晶、ウエル層にZn
0.42Cd0.58S 3元混晶を用いており、この部分はVI
族元素としてSのみを含むことを特徴とする。
【0041】上述のLD素子用のウエハは、MBE、M
OCVD、MOMBE及びガスソースMBE等の気相成
長法により作製できる。
【0042】原料としては、Cd、Zn、Mg、S等の
単体だけでなく、CdS、ZnS、ZnCl2 等の化合
物を用いてもよい。有機金属原料を高温でクラッキング
して原料元素を供給してもよい。
【0043】pドーパントには、ECRプラズマガンあ
るいは熱分解セルにより供給される励起窒素あるいは中
性ラジカルの窒素プラズマ等を用いる。nドーパントに
は、ZnCl2 のClまたは金属Ga等を用いる。
【0044】n型のドーピング濃度はすべての層で約8
×1017cm-3、p型のドーピング濃度については、p
−Mg0.43Zn0.21Cd0.36S光閉じ込め層19および
p−Mg0.86Cd0.14Sクラッド層20は1〜5×10
17cm-3、p−ZnSSe層22は8×1017cm-3
p−ZnTeコンタクト層25は8×1018cm-3程度
である。活性層はアンドープ層である。
【0045】但し、ドーピング濃度および3元混晶と4
元混晶の組成及び層厚は、本実施例に限定されず、利得
が最大になるように調整できる。
【0046】以下の例は、活性層、光閉じ込め層、クラ
ッド層以外は第1の例とほぼ同様の構造であり、ドーピ
ング濃度や光閉じ込め層、クラッド層の層厚も第1の例
と同様である。
【0047】第2の例のLDは、第1の例のLDの量子
井戸活性層18以外は第1の例のLDと同じ構造を有
し、量子井戸活性層の部分は、図2に示されるように、
層厚6nmのZn0.2 Cd0.8 Sウエル層29と層厚1
0nmのMg0.43Zn0.21Cd0.36Sバリア層28を交
互に積層した2つのウエル層を有する多重量子構造であ
る。第2の例のLDはウエル層に1.5%程度の圧縮歪
を有することを特徴とする。
【0048】第3の例のLDは、第1の例のLDの量子
井戸活性層18以外は第1の例のLDと同じ構造を有
し、量子井戸活性層の部分は、図3に示されるように、
層厚6nmのZn0.2 Cd0.8 Sウエル層(圧縮歪)2
9と層厚6nmのMg0.26Zn0.49Cd0.25Sバリア層
(引張歪)30を交互に積層した5つのウエル層を有す
る多重量子構造である。
【0049】第3の例のLDは、ウエル層に圧縮歪、バ
リア層に引張歪が導入されており、量子井戸活性層全体
の平均の歪み量がほぼ0になるようにウエル層とバリア
層の層厚が設計された、歪補償された多重量子井戸構造
の活性層を有することを特徴とする。
【0050】第4の例のLDは、第1の例のLDのn−
Mg0.86Cd0.14Sクラッド層16(バンドギャップ
4.2eV)をn−Mg0.6 Zn0.13Cd0.27Sクラッ
ド層(バンドギャップ3.8eV)で置き換えたこと以
外は第1の例のLDと同じ構造を有するLDである。
【0051】第4の例のLDは、電子の注入効率を向上
させるためにnクラッド層のバンドギャップをpクラッ
ド層のバンドギャップより減少させた非対称構造を有す
ることを特徴とする。
【0052】図4(a)は、本発明の第5の例であるII
−VI族半導体LD素子の断面構造図である。
【0053】第5の例のLDは、n電極40、n−Ga
As基板41、n−GaAsバッファ層42、n−Zn
Se層43、n−ZnSSe層44、n−Zn0.42Cd
0.58S層45、n−Mg0.6 Zn0.13Cd0.27Sクラッ
ド層46、n−Mg0.34Zn0.25Cd0.41S光閉じ込め
層47、量子井戸活性層48、p−Mg0.34Zn0.25
0.41S光閉じ込め層49、p−Mg0.6 Zn0.13Cd
0.27Sクラッド層50、p−Zn0.42Cd0.58S層5
1、p−ZnSSe層52、p−ZnSe層53、p−
ZnTe/ZnSe超格子層54、p−ZnTeコンタ
クト層55、及びp電極56を備えている。
【0054】但し、量子井戸活性層48は、図4(b)
に示されるように、層厚6nmのZn0.42Cd0.58Sウ
エル層58と層厚10nmのMg0.34Zn0.25Cd0.41
Sバリア層57を交互に積層した5つのウエル層を有す
る多重量子井戸構造である。
【0055】第5の例のLDは、GaAs基板に格子整
合した無歪の半導体発光素子であり、クラッド層にMg
0.6 Zn0.13Cd0.27SのS系4元混晶を有することを
特徴とする。
【0056】図5(a)は、本発明の第6の例であるII
−VI族半導体LD素子の断面構造図である。
【0057】第6の例のLDは、n電極60、n−Ga
As基板61、n−GaAsバッファ層62、n−Zn
Se層63、n−ZnSSe層64、n−Zn0.42Cd
0.58S層65、n−Mg0.26Zn0.3 Cd0.44Sクラッ
ド層66、n−Zn0.42Cd0.58S光閉じ込め層67、
量子井戸活性層68、p−Zn0.42Cd0.58S光閉じ込
め層69、p−Mg0.43Zn0.22Cd0.35Sクラッド層
70、p−Zn0.42Cd0.58S層71、p−ZnSSe
層72、p−ZnSe層73、p−ZnTe/ZnSe
超格子層74、p−ZnTeコンタクト層75、及びp
電極76を備えている。
【0058】但し、量子井戸活性層68は、図5(b)
に示されるように、層厚7nmのZn0.8 Cd0.2 Se
ウエル層78と層厚10nmのZn0.42Cd0.58Sバリ
ア層77を交互に積層した2つのウエル層を有する多重
量子井戸構造である。
【0059】第6の例のLDは、光閉じ込め層およびバ
リア層に3元のZn0.42Cd0.58Sを有することとウエ
ル層にSe系のZn0.8 Cd0.2 Seウエル層を有する
ことを特徴とする。
【0060】図6(a)は本発明の第7の例であるII−
VI族半導体LD素子の断面構造図である。
【0061】第7の例のLDは、n電極80、n−Ga
As基板81、n−GaAsバッファ層82、n−Zn
Se層83、n−ZnSSe層84、n−Mg0.17Zn
0.8Cd0.030.25Se0.75クラッド層85、n−Zn
0.06Se0.94光閉じ込め層86、量子井戸活性層8
7、p−ZnS0.06Se0.94光閉じ込め層88、p−M
0.17Zn0.8 Cd0.030.25Se0.75クラッド層8
9、p−ZnSSe層90、p−ZnSe層91、p−
ZnTe/ZnSe超格子層92、p−ZnTeコンタ
クト層93、及びp電極94を備えている。
【0062】但し、量子井戸活性層87は、図6(b)
に示されるように、層厚6nmのZn0.8 Cd0.2
0.06Se0.94ウエル層96と層厚10nmのZnS0.06
Se0.94バリア層95を交互に積層した2つのウエル層
を有する多重量子井戸構造である。
【0063】第7の例のLDは、クラッド層に5元のM
0.17Zn0.8 Cd0.030.25Se0.75層を有すること
とバリア層とウエル層のVI族組成比がS0.06Se0.94
一定である量子井戸構造を有することを特徴とする。
【0064】図7(a)は本発明の第8の例であるII−
VI族半導体LD素子の断面構造図である。
【0065】第8の例のLDは、n電極100、n−G
aAs基板101、n−GaAsバッファ層102、n
−ZnSe層103、n−ZnSSe層104、n−M
0.34Zn0.6 Cd0.060.44Se0.56クラッド層10
5、n−Mg0.09Zn0.9 Cd0.010.15Se0.85光閉
じ込め層106、量子井戸活性層107、p−Mg0.09
Zn0.9 Cd0.010.15Se0.85光閉じ込め層108、
p−Mg0.34Zn0.6Cd0.060.44Se0.56クラッド
層109、p−ZnSSe層110、p−ZnSe層1
11、p−ZnTe/ZnSe超格子層112、p−Z
nTeコンタクト層113、及びp電極114を備えて
いる。
【0066】但し、量子井戸活性層107は、図7
(b)に示されるように、層厚6nmのZn0.75Cd
0.250.25Se0.75ウエル層(圧縮歪)115と層厚6
nmのMg0.09Zn0.9 Cd0.010.15Se0.85バリア
層(引張歪)116を交互に積層した3つのウエル層を
有する多重量子井戸構造である。
【0067】第7の例のLDは、バリア層に格子整合し
ていない引張歪の5元混晶を有することとバリア層とウ
エル層のVI族組成比がS0.25Se0.75と一定でありかつ
歪補償された量子井戸構造を有することを特徴とする。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、GaA
s等の基板に格子整合したCdMgZnS層あるいはM
gZnSSe層を有する半導体発光素子である。これら
の混晶はバンドギャップが大きく、格子整合時でも2.
9eV〜4.2eVの広い範囲でバンドギャップを制御
できる。
【0069】これらの混晶を半導体LDのクラッド層に
適用した場合、キャリアの閉じ込め効率が大きく増加す
る。また量子井戸構造のウエル層とバリア層のVI族組成
を同一にできるので高品質の量子井戸構造層あるいは歪
補償多重量子井戸構造層が得られる。その結果、従来困
難であった発光波長の短波長化、低閾値化、高温度特性
化、高出力化、長寿命化等のLD特性の大幅な向上が実
現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体発光素子の第1の例を示す
図であり、(a)は半導体発光素子の断面図、(b)は
量子井戸活性層の断面図である。
【図2】本発明による半導体発光素子の第2の例におけ
る活性層部分の断面図である。
【図3】本発明による半導体発光素子の第3の例におけ
る活性層部分の断面図である。
【図4】本発明による半導体発光素子の第5の例を示す
図であり、(a)は半導体発光素子の断面図、(b)は
量子井戸活性層の断面図である。
【図5】本発明による半導体発光素子の第6の例を示す
図であり、(a)は半導体発光素子の断面図、(b)は
量子井戸活性層の断面図である。
【図6】本発明による半導体発光素子の第7の例を示す
図であり、(a)は半導体発光素子の断面図、(b)は
量子井戸活性層の断面図である。
【図7】本発明による半導体発光素子の第8の例を示す
図であり、(a)は半導体発光素子の断面図、(b)は
量子井戸活性層の断面図である。
【図8】S系II−VI族化合物半導体のバンドギャップと
格子定数との関係を示す図である。
【図9】SSe系II−VI族化合物半導体のバンドギャッ
プと格子定数との関係を示す図である。
【図10】4元及び5元混晶のバンドギャップのMg組
成依存性を示す図である。
【図11】従来のII−VI族化合物半導体発光素子を示す
図である。
【符号の説明】
10,40,60,80,100 n電極 11,41,61,81,101 n−GaAs基板 12,42,62,82,102 n−GaAsバッフ
ァ層 13,43,63,83,103 n−ZnSe層 14,44,64,84,104 n−ZnSSe層 15 n−Mg0.43Zn0.21Cd0.36S層 16 n−Mg0.86Cd0.14Sクラッド層 17 n−Mg0.43Zn0.21Cd0.36S光閉じ込め層 18,48,68,87,107 量子井戸活性層 19 p−Mg0.43Zn0.21Cd0.36S光閉じ込め層 20 p−Mg0.86Cd0.14Sクラッド層 21 p−Mg0.43Zn0.21Cd0.36S層 22,52,72,90,110 p−ZnSSe層 23,53,73,91,111 p−ZnSe層 24,54,74,92,112 p−ZnTe/Zn
Se超格子層 25,55,75,93,113 p−ZnTeコンタ
クト層 26,56,76,94,114 p電極 27,58 Zn0.42Cd0.58Sウエル層 28 Mg0.43Zn0.21Cd0.36Sバリア層 29 Zn0.2 Cd0.8 Sウエル層(圧縮歪) 30 Mg0.26Zn0.49Cd0.25Sバリア層(引張歪) 45,65 n−Zn0.42Cd0.58S層 46 n−Mg0.6 Zn0.13Cd0.27Sクラッド層 47 n−Mg0.34Zn0.25Cd0.41S光閉じ込め層 49 p−Mg0.34Zn0.25Cd0.41S光閉じ込め層 50 p−Mg0.6 Zn0.13Cd0.27Sクラッド層 51 p−Zn0.42Cd0.58S層 57 Mg0.34Zn0.25Cd0.41Sバリア層 66 n−Mg0.26Zn0.3 Cd0.44Sクラッド層 67 n−Zn0.42Cd0.58S光閉じ込め層 69 p−Zn0.42Cd0.58S光閉じ込め層 70 p−Mg0.43Zn0.22Cd0.35Sクラッド層 71 p−Zn0.42Cd0.58S層 77 Zn0.42Cd0.58Sバリア層 78 Zn0.8 Cd0.2 Seウエル層 85 n−Mg0.17Zn0.8 Cd0.030.25Se0.75
ラッド層 86 n−ZnS0.06Se0.94光閉じ込め層 88 p−ZnS0.06Se0.94光閉じ込め層 89 p−Mg0.17Zn0.8 Cd0.030.25Se0.75
ラッド層 95 ZnS0.06Se0.94バリア層 96 Zn0.8 Cd0.2 0.06Se0.94ウエル層 105 n−Mg0.34Zn0.6 Cd0.060.44Se0.56
クラッド層 106 n−Mg0.09Zn0.9 Cd0.010.15Se0.85
光閉じ込め層 108 p−Mg0.09Zn0.9 Cd0.010.15Se0.85
光閉じ込め層 109 p−Mg0.34Zn0.6 Cd0.060.44Se0.56
クラッド層 115 Zn0.75Cd0.250.25Se0.75ウエル層(圧
縮歪) 116 Mg0.09Zn0.9 Cd0.010.15Se0.85バリ
ア層(引張歪) 120 In電極 121 n−GaAs基板 122 n−GaAsバッファ層 123 ZnSe:Cl 124 ZnSSe:Cl 125 Znx Mg1-x Y Se1-Y :Cl 126 ZnSSe:Cl 127 ZnCdSe 128 ZnSSe:N 129 Znx Mg1-x Y Se1-Y :N 130 ZnSSe:N 131 ZnSe:N 132 ZnSe:N/ZnTe:N 133 ZnTe:N 134 絶縁体 135 Pd/Pt/Au電極
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−234184(JP,A) 特開 平3−3384(JP,A) 特開 平6−232496(JP,A) 特開 平7−22712(JP,A) 特開 平4−369830(JP,A) 特開 平6−334272(JP,A)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaAs基板あるいはZnSe基板上に
    II−VI族半導体の活性層、クラッド層を含むダブルへテ
    ロ構造を少なくとも有する半導体発光素子であって、前
    基板に格子整合したMgX Cd1-X S(0<X<1)
    層をクラッド層として用いることを特徴とする半導体発
    光素子。
  2. 【請求項2】 GaAs基板あるいはZnSe基板上に
    II−VI族半導体の活性層、クラッド層を含むダブルへテ
    ロ構造を少なくとも有し、活性層とクラッド層の間に光
    閉じこめ層を有する半導体発光素子であって、前記基板
    に格子整合したZnY Cd1-Y S(0<Y<1)層
    閉じ込め層として用いることを特徴とする半導体発光素
    子。
  3. 【請求項3】 GaAs基板あるいはZnSe基板上に
    II−VI族半導体の活性層、クラッド層を含むダブルへテ
    ロ構造を少なくとも有し、活性層とクラッド層の間に光
    閉じこめ層を有する半導体発光素子であって、前記基板
    に格子整合したMgX ZnY Cd1-X-Y S(0<X<
    1,0<Y<1)層を光閉じ込め層として用いることを
    特徴とする半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載された
    半導体発光素子において、ZnY1Cd1-Y1S(0<Y1
    <1)層あるいはMgX1ZnY1Cd1-X1-Y1S(0<X
    1<1,0<Y1<1)層を井戸層、MgX2Cd1-X2
    (0<X2<1)層あるいはMgX3ZnY3Cd1-X3-Y3
    S(0<X1<X3<1,0<Y3<1)層を障壁層と
    する量子井戸活性層を有することを特徴とする半導体発
    光素子。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された半導体発光素子に
    おいて、前記井戸層は前記障壁層と逆符号の歪を有し、
    かつ前記井戸層及び前記障壁層の層厚は前記量子井戸活
    性層全体の平均歪量の絶対値が0.5%以下となるよう
    に設定されていることを特徴とする半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 GaAs基板あるいはZnSe基板上に
    II−VI族半導体の活性層、クラッド層を含むダブルへテ
    ロ構造を少なくとも有する半導体発光素子であって、井
    戸層及び障壁層からなる量子井戸活性層を備え、前記
    板に対して0%以上かつ2%以下の格子不整合を有する
    ZnY4Cd1-Y4W Se1-W (0<Y4<1,0<W<
    1)層を前記井戸層として用いることを特徴とする半導
    体発光素子。
  7. 【請求項7】 GaAs基板あるいはZnSe基板上に
    II−VI族半導体の活性層、クラッド層を含むダブルへテ
    ロ構造を少なくとも有する半導体発光素子であって、井
    戸層及び障壁層からなる量子井戸活性層を備え、前記
    板に対して0.3%以上かつ2%以下の格子不整合を有
    するMgX5ZnY5Cd1-X5-Y5W1Se1-W1(0<X5
    <1,0<Y5<1,0<W1<1)層を前記障壁層と
    して用いることを特徴とする半導体発光素子。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7に記載された半導体発光
    素子において、前記井戸層としてZnY4Cd1-Y4W
    1-W 層を、前記障壁層としてMgX5ZnY5Cd
    1-X5-Y5W1Se1-W1層を用い、前記井戸層と前記障壁
    層との混晶においてSとSeとの組成比が同一であるこ
    とを特徴とする半導体発光素子。
  9. 【請求項9】 GaAs基板あるいはZnSe基板上に
    II−VI族半導体の活性層、クラッド層を含むダブルへテ
    ロ構造を少なくとも有し、活性層とクラッド層の間に光
    閉じこめ層を有する半導体発光素子であって、前記基板
    に格子整合したMgX6Cd1-X6W2Se1-W2(0<X6
    <1,0<W2<1)層、又はGaAs基板あるいはZ
    nSe基板に格子整合したMgX7ZnY7Cd1-X7-Y7
    W3Se1-W3(0<X7<1,0<Y7<1,0<W3<
    1)層を前記光閉じ込め層として用いることを特徴とす
    る半導体発光素子。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載された半導体発光素子
    において、井戸層及び障壁層を備える量子井戸活性層を
    有し、前記井戸層としてZnY4Cd1-Y4WSe1-W
    を、前記障壁層としてMgX5ZnY5Cd1-X5-Y5W1
    1-W1層を用い、前記井戸層と前記障壁層との混晶にお
    いてSとSeとの組成比が同一であることを特徴とする
    半導体発光素子。
  11. 【請求項11】 請求項8又は10に記載された半導体
    発光素子において、前記井戸層は前記障壁層と逆符号の
    歪を有し、かつ前記井戸層及び前記障壁層の層厚が前記
    量子井戸活性層全体の平均歪量の絶対値が0.5%以下
    になるように設定されていることを特徴とする半導体発
    光素子。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれかに記載さ
    れた半導体発光素子において、II−VI族半導体である
    型クラッド層及びp型クラッド層を有し、前記n型クラ
    ッド層のバンドギャップが前記p型クラッド層のバンド
    ギャップより小さいことを特徴とする半導体発光素子。
    してもよい。
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