JP2000031590A - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP2000031590A
JP2000031590A JP19328798A JP19328798A JP2000031590A JP 2000031590 A JP2000031590 A JP 2000031590A JP 19328798 A JP19328798 A JP 19328798A JP 19328798 A JP19328798 A JP 19328798A JP 2000031590 A JP2000031590 A JP 2000031590A
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Hiroyuki Okuyama
浩之 奥山
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性層に歪みがなく、活性層とクラッド層と
のバンドギャップ差が大きい半導体発光素子を提供す
る。 【解決手段】 n型GaAsよりなる基板1の上にn型
クラッド層5,第1のガイド層6,活性層7,第2のガ
イド層8,p型クラッド層9を順次積層する。n型クラ
ッド層5,p型クラッド層9はZnMgSSe混晶によ
り、第1のガイド層6,第2のガイド層8はZnSSe
混晶により、活性層7はAlGaAs混晶によりそれぞ
れ構成する。III−V族化合物半導体はII−VI族
化合物半導体に比べてバンドギャップが小さいので、n
型クラッド層5,p型クラッド層9と活性層7とのバン
ドギャップ差を大きくでき、オバーフロー電流を抑制で
きる。また、活性層7は基板1に格子整合させる。よっ
て、活性層7の結晶性を向上させることができ、特性を
向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、II−VI族化合
物半導体よりそれぞれなる第1導電型クラッド層と第2
導電型クラッド層とを備えた半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光を利用した各種技術分野では半
導体発光素子の開発が活発に行われている。それに伴
い、半導体発光素子を構成する材料として、II族元素
の亜鉛(Zn),マグネシウム(Mg),ベリリウム
(Be),カドミウム(Cd),水銀(Hg)およびマ
ンガン(Mn)のうち少なくとも1種とVI族元素の酸
素(O),硫黄(S),セレン(Se),テルル(T
e)のうち少なくとも1種とから成るII−VI族化合
物半導体が注目されている。特に、ZnMgSSe混晶
は、結晶性に優れかつ入手が容易なGaAsよりなる基
板に対して格子整合させることができるので、半導体発
光素子のガイド層やクラッド層を構成する材料として知
られている(例えば、Electronics Letters 28(1992)p.
1798)。
【0003】従来、このようなII−VI族化合物半導
体を用いた半導体発光素子としては、n型GaAsより
なる基板の上に、n型ZnSeよりなるバッファ層を介
してn型ZnMgSSe混晶よりなるn型クラッド層,
ZnSSe混晶よりなるガイド層,ZnCdSe混晶よ
りなる活性層,ZnSSe混晶よりなるガイド層,p型
ZnMgSSe混晶よりなるp型クラッド層,p型Zn
SSe混晶よりなる第1のキャップ層,p型ZnSeよ
りなる第2のキャップ層,超格子層,p型ZnTeより
なるコンタクト層を順次積層して構成したものが開発さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
半導体発光素子では活性層をZnCdSe混晶により構
成していたので、活性層の格子定数を基板に整合させる
ことができなかった。そのため、歪量を小さくするよう
にカドミウムの組成比を小さくするとガイド層とのバン
ドギャップ差が小さくなってしまい、逆に、ガイド層と
のバンドギャップ差を大きくするようにカドミウムの組
成比を大きくすると歪量が大きくなってしまっていた。
そこで、従来は、ZnCdSe混晶のII族元素におけ
るカドミウムの組成比を25%(モル%;以下同様)程
度とし、厚さを4nmとすることにより歪みの影響を小
さくして、500nm程度の波長の発光を得ていた。
【0005】なお、その際、ガイド層のバンドギャップ
を大きくすることにより活性層とガイド層とのバンドギ
ャップ差を大きくすることも考えられる。しかし、p型
クラッド層を構成するp型ZnMgSSe混晶はバンド
ギャップを大きくするとキャリア濃度が低くなってしま
うので、p型クラッド層と活性層とのバンドギャップ差
は400meV程度までしか大きくすることができな
い。結局、ガイド層のバンドギャップはクラッド層と活
性層との中間程度のバンドギャップとなってしまい、活
性層とのバンドギャップ差を大きくすることはできな
い。
【0006】よって、従来は、活性層とガイド層とのバ
ンドギャップ差を十分に大きくすることができず、ガイ
ド層へのオーバーフロー電流により劣化が生じてしま
い、寿命を延長することができないという問題があっ
た。また、活性層が基板に対して1〜2%程度の格子不
整を有してしまうので、歪みの影響を避けることができ
ず、特性を向上させることが難しいと共に、劣化を生じ
やすいという問題もあった。更に、活性層の組成がガイ
ド層とのバンドギャップ差および歪量によって制限され
てしまうので、発光波長が500nm程度に限定されて
しまい、波長が520nm程度の緑色の発光を得ること
ができないという問題もあった。
【0007】なお、近年の半導体発光素子の開発におい
ては、半導体発光素子の多機能化への要求も高まってき
ている。例えば、量子ドットを利用した半導体発光素子
は、しきい値電流密度を大幅に下げることができるもの
として大きく期待されている。また、量子化された準位
を用いるようにすれば、様々な特性を有する半導体発光
素子を得ることができる。そこで、II−VI族化合物
半導体を用いた半導体発光素子の新たな構成を考える際
に、これらを応用することができれば、多機能化の要求
にも対応することが可能となる。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その第1の目的は、活性層に歪みがなく、かつ活
性層とクラッド層とのバンドギャップ差が大きい半導体
発光素子を提供することにある。
【0009】本発明の第2の目的は、量子準位を利用す
ることにより発光波長の選択の幅を広くすることができ
る半導体発光素子を提供することにある。
【0010】本発明の第3の目的は、量子準位を利用す
ることによりしきい値を低下させ、または新しい機能を
備えた半導体発光素子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による半導体発光
素子は、亜鉛,マグネシウム,カドミウム,ベリリウ
ム,マンガンおよび水銀からなる群のうちの少なくとも
1種のII族元素と、酸素,硫黄,セレンおよびテルル
からなる群のうちの少なくとも1種のVI族元素とを含
むII−VI族化合物半導体よりそれぞれなる第1導電
型クラッド層および第2導電型クラッド層と、これら第
1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層との間に形
成され、ホウ素,アルミニウム,ガリウムおよびインジ
ウムからなる群のうちの少なくとも1種のIII族元素
と、窒素,リン,ヒ素,アンチモンおよびビスマスから
なる群のうちの少なくとも1種のV族元素とを含むII
I−V族化合物半導体よりなる活性層とを備えたもので
ある。
【0012】本発明による他の半導体発光素子は、亜
鉛,マグネシウム,カドミウム,ベリリウム,マンガン
および水銀からなる群のうちの少なくとも1種のII族
元素と、酸素,硫黄,セレンおよびテルルからなる群の
うちの少なくとも1種のVI族元素とを含むII−VI
族化合物半導体よりそれぞれなる第1導電型クラッド層
および第2導電型クラッド層と、これら第1導電型クラ
ッド層と第2導電型クラッド層との間に形成され、炭
素,ケイ素,ゲルマニウムおよびスズからなる群のうち
の少なくとも1種のIV族元素を含むIV族半導体より
なる活性層とを備えたものである。
【0013】本発明による半導体発光素子では、第1導
電型クラッド層と第2導電型クラッド層との間に電圧が
印加されると、活性層に電流が注入され発光が起こる。
ここでは、第1導電型クラッド層および第2導電型クラ
ッド層がII−VI族化合物半導体によりそれぞれ構成
され、活性層がIII−V族化合物半導体またはIV族
半導体により構成されているので、第1導電型クラッド
層または第2導電型クラッド層と活性層との各バンドギ
ャップ差がそれぞれ大きくなっている。よって、オーバ
ーフロー電流が抑制され、劣化が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0015】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1
の実施の形態に係る半導体発光素子である半導体レーザ
の断面構造を表すものである。この半導体レーザは、基
板1の一面に、III−V族バッファ層2,第1のII
−VI族バッファ層3,第2のII−VI族バッファ層
4,第1導電型クラッド層としてのn型クラッド層5,
第1のガイド層6,活性層7,第2のガイド層8,第2
導電型クラッド層としてのp型クラッド層9,第1のキ
ャップ層10,第2のキャップ層11,超格子層12お
よびコンタクト層13が順次積層されている。
【0016】基板1は、例えば、積層方向における厚さ
(以下、単に厚さという)が100〜350μmであ
り、ケイ素(Si)などのn型不純物を添加したn型G
aAsにより構成されている。III−V族バッファ層
2などは、この基板1の(001)面に積層されてい
る。III−V族バッファ層2は、例えば、厚さが20
0nmであり、ケイ素などのn型不純物を添加したn型
GaAsにより構成されている。
【0017】第1のII−VI族バッファ層3は、例え
ば、厚さが10nmであり、塩素(Cl)などのn型不
純物を添加したn型ZnSeにより構成されている。第
2のII−VI族バッファ層4は、例えば、厚さが10
0nmであり、塩素などのn型不純物を添加したn型Z
nSSe混晶により構成されている。
【0018】n型クラッド層5は、例えば、厚さが1μ
mであり、塩素などのn型不純物を添加したn型ZnM
gSSe混晶により構成されている。ZnMgSSe混
晶の組成は、基板1を構成するGaAsと格子整合する
ように調整されていることが好ましい。良好な結晶を得
ることができるからである。また、このZnMgSSe
混晶のII族元素におけるマグネシウムの組成比および
VI族元素におる硫黄の組成比はできるだけ大きい方が
好ましい。図2に示した格子定数とバンドギャップとの
関係図からも分かるように、II族元素におけるマグネ
シウムの組成比が大きくなるほど、またVI族元素にお
ける硫黄の組成比が大きくなるほどバンドギャップも大
きくなるからである。
【0019】但し、ZnMgSSe混晶は、GaAsに
格子整合する組成においては、II族元素におけるマグ
ネシウムの組成比が12%よりも大きくVI族元素にお
ける硫黄の組成比が18%よりも大きいと、p型半導体
において高いキャリア濃度が得られないという特性を有
している。よって、n型クラッド層5とp型クラッド層
9とを同一の材料により構成する場合を考えると、Zn
MgSSe混晶の組成は、例えば、II族元素における
亜鉛が88%,マグネシウムが12%、VI族元素にお
ける硫黄が18%,セレンが82%とされることが好ま
しい。この場合、n型クラッド層5のバンドギャップは
2.9eV程度となる。
【0020】第1のガイド層6は、例えば、厚さが10
0nmであり、塩素などのn型不純物を添加したn型Z
nSSe混晶あるいは不純物を添加していないundope−
ZnSSe混晶(undope−は不純物を添加していないこ
とを表す)により構成されている。このZnSSe混晶
の組成は、基板1を構成するGaAsと格子整合するよ
うに、VI族元素における硫黄が6%,セレンが94%
とされることが好ましい。また、第1のガイド層6のバ
ンドギャップは、n型クラッド層5のバンドギャップよ
りも小さく、活性層7のバンドギャップよりも大きくな
っている。例えば、ZnSSe混晶の組成がGaAsに
格子整合するようにされた場合、第1のガイド層6のバ
ンドギャップは2.7eV程度となる。
【0021】活性層7は、例えば、厚さが10nmであ
り、量子構造を有しておらず、不純物を添加していない
III−V族化合物半導体であるundope−AlGaAs
混晶により構成されている。このように活性層7をII
I−V族化合物半導体により構成するのは、図2からも
明らかなように、II−VI族化合物半導体に比べてバ
ンドギャップを小さくすることができ、n型クラッド層
5またはp型クラッド層9との各バンドギャップ差をそ
れぞれ十分に大きくすることができるからである。n型
クラッド層5またはp型クラッド層9との各バンドギャ
ップ差は大きいほどオーバーフロー電流を抑制すること
ができるので好ましく、それぞれ500meV以上であ
ることが好ましい。
【0022】活性層7を特にAlGaAs混晶により構
成するようにしているのは、基板1を構成するGaAs
と格子整合させることができるからである。ちなみに、
このAlGaAs混晶は全ての組成においてGaAsと
ほぼ格子整合する。但し、AlGaAs混晶はIII族
元素におけるアルミニウムの組成比が40%を越えるあ
たりで遷移型が直接遷移から間接遷移に変化するので、
その組成は直接遷移の範囲内において調整される。ま
た、活性層7のバンドギャップはこの組成により変化
し、発光波長はそのバンドギャップに応じて決定される
ので、この組成は、最終的には目的とする発光波長にあ
わせて調整される。ちなみに、バンドギャップが大きく
なるほど発光波長は短くなり、バンドギャップが小さく
なるほど発光波長は長くなる。よって、図2からも分か
るように、バンドギャップを大きくして発光波長を短く
する場合にはアルミニウムの組成比を大きくし、バンド
ギャップを小さくして発光波長を長くする場合にはアル
ミニウムの組成比を小さくするように調整される。
【0023】例えば、直接遷移の範囲内でアルミニウム
が最も多く含まれるように、III族元素におけるアル
ミニウムの組成比を40%,ガリウムの組成比を60%
とすると、バンドギャップは1.9eV程度となり、発
光波長は650nmとなる。この場合、活性層7と第1
のガイド層6とのバンドギャップ差は800meV程
度、活性層7とn型クラッド層5とのバンドギャップ差
は1eV程度とそれぞれ十分に大きくなる。活性層7と
第2のガイド層8とのバンドギャップ差は、後述するよ
うに、第2のガイド層8が第1のガイド層6と同一の材
料および同一の組成で構成されるので、活性層7と第1
のガイド層6とのバンドギャップ差と同一である。活性
層7とp型クラッド層9とのバンドギャップ差も、後述
するように、p型クラッド層9がn型クラッド層5と同
一の材料および同一の組成で構成されるので、活性層7
とn型クラッド層5とのバンドギャップ差と同一であ
る。
【0024】よって、直接遷移の範囲内の全ての組成に
おいて、活性層7とn型クラッド層5,p型クラッド層
9,第1のガイド層6または第2のガイド層8との間の
各バンドギャップ差はそれぞれ十分に大きくなり、アル
ミニウムの組成比が小さくなるほどそれらの各バンドギ
ャップ差は大きくなる。
【0025】第2のガイド層8は、例えば、厚さが10
0nmであり、窒素(N)などのp型不純物を添加した
p型ZnMgSSe混晶あるいは不純物を添加しないun
dope−ZnMgSSe混晶により構成されている。組成
は第1のガイド層6と同一である。p型クラッド層9
は、例えば、厚さが1μmであり、窒素などのp型不純
物を添加したp型ZnMgSSe混晶により構成されて
いる。組成はn型クラッド層5と同一である。
【0026】第1のキャップ層10は、例えば、厚さが
2μmであり、窒素などのp型不純物を添加したp型Z
nSSe混晶により構成されている。このp型ZnSS
e混晶のVI族元素における組成比は、基板1を構成す
るGaAsと格子整合するように硫黄が6%,セレンが
94%とされることが好ましい。第2のキャップ層11
は、例えば、厚さが130nmであり、窒素などのp型
不純物を添加したp型ZnSeにより構成されている。
【0027】超格子層12は、例えば、窒素などのp型
不純物を添加したp型ZnTe層と、窒素などのp型不
純物を添加したp型ZnSe層とを交互に5層づつ積層
して構成されている。例えば、第2のキャップ層11の
側から順に、0.26nmの厚さのp型ZnTe層,
1.5nmの厚さのp型ZnSe層,0.26nmの厚
さのp型ZnTe層,1.5nmの厚さのp型ZnSe
層,0.26nmの厚さのp型ZnTe層,1.5nm
の厚さのp型ZnSe層,0.45nmの厚さのp型Z
nTe層,1.5nmの厚さのp型ZnSe層,0.5
6nmの厚さのp型ZnTe層および1.5nmの厚さ
のp型ZnSe層が積層されている。
【0028】コンタクト層13は、例えば、厚さが3n
mであり、窒素などのp型不純物を添加したp型ZnT
eにより構成されている。なお、これら第1のキャップ
層10,第2のキャップ層11,超格子層12およびコ
ンタクト層13は、後述するp側電極15を良好にオー
ミック接触させるためのものである。
【0029】また、コンタクト層13,超格子層12お
よび第2のキャップ層11は、幅がそれぞれ例えば10
μmの帯状となっており、電流狭窄をするようになって
いる。これらコンタクト層13,超格子層12および第
2のキャップ層11は、図1においては図面に対して垂
直方向に延長されいる。第2のキャップ層11,超格子
層12およびコンタクト層13がそれぞれ形成されてい
ない第1のキャップ層10におけるコンタクト層13の
側の領域には、酸化アルミニウム(Al2 3)などの
絶縁材料よりなる絶縁層14が形成されている。
【0030】絶縁層14およびコンタクト層13の基板
1と反対側には、例えば、コンタクト層13の側からパ
ラジウム(Pd)層,白金(Pt)層および金(Au)
層を順次積層して加熱処理することにより形成されたp
側電極15が設けられている。このp側電極15は、コ
ンタクト層13,超格子層12,第2のキャップ層11
および第1のキャップ層10をそれぞれ介してp型クラ
ッド層9に電気的に接続されている。基板1の一面と反
対側の他面には、例えばインジウム(In)よりなるn
側電極16が設けられている。このn側電極16は、基
板1,III−V族バッファ層2,第1のII−VI族
バッファ層3および第2のII−VI族バッファ層4を
介してn型クラッド層5に対して電気的に接続されてい
る。
【0031】この半導体レーザは、また、図示しない
が、コンタクト層13の延長方向(すなわち共振器長方
向)と垂直な一対の側面に、端面膜がそれぞれ設けられ
ている。この一対の端面膜は、例えば、フッ化マグネシ
ウム(MgF2 )膜と硫化亜鉛(ZnS)膜とを交互に
積層して形成されており、一方は反射率が高く、他方は
反射率が低くなるように調節されている。すなわち、活
性層7において発生した光はこの一対の端面膜の間を往
復して増幅され一方の端面膜から射出されるようになっ
ている。
【0032】このような構成を有する半導体レーザは、
次のようにして製造することができる。
【0033】まず、n型GaAsよりなる基板1を用意
し、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy;M
BE)法により、その一面((001)面)に、III
−V族バッファ層2,第1のII−VI族バッファ層
3,第2のII−VI族バッファ層4,n型クラッド層
5,第1のガイド層6,活性層7,第2のガイド層8,
p型クラッド層9,第1のキャップ層10,第2のキャ
ップ層11,超格子層12およびコンタクト層13を順
次成長させる。
【0034】図3はここで用いるMBE結晶成長装置の
構造を表すものである。このMBE結晶成長装置は、真
空蒸着装置の一種であり、図示しない超高真空排気装置
にそれぞれ接続された2つの成長室20,30を備えて
いる。この2つの成長室20,30は、ゲートバルブ4
3を介して真空搬送室41および基板導入室42により
接続されている。
【0035】成長室20は、III−V族化合物半導体
の層を成長させるものであり、内部には基板1を保持す
るための基板ホルダ21が配設されている。この基板ホ
ルダ21は、図示しないヒータによって加熱することが
できるようになっている。成長室20には、また、基板
1に対向するように複数の粒子線源セル22(例えばク
ヌーゼンセル(Kセル))が配設されている。各粒子線
源セル22の内部には、III族元素,V族元素および
n型不純物に応じた原料がそれぞれ個々に充填されてい
る。各粒子線源セル22の照射口近傍にはシャッター2
3がそれぞれ配設されており、各粒子線の照射を制御す
るようになっている。
【0036】成長室30は、II−VI族化合物半導体
の層を成長させるものであり、成長室20と同様に、基
板ホルダ31,複数の粒子線源セル32およびそれらの
シャッター33がそれぞれ配設されている。各粒子線源
セル32の内部には、II族元素,VI族元素,n型不
純物に応じた原料がそれぞれ個々に充填されている。成
長室30には、また、p型不純物として窒素を添加でき
るように、窒素をプラズマ化して基板1に向かって照射
するプラズマ発生室34が配設されている。このプラズ
マ発生室34は、例えばECR(Electron Cyclotron R
esonance)セルにより構成されている。このプラズマ導
出口の近傍には、粒子線源セル32と同様に、シャッタ
ー33が配設されている。
【0037】すなわち、ここでは、このようなMBE結
晶成長装置を用い、まず、基板1を成長室20の基板ホ
ルダ21に取り付け、各粒子線源セル22から適宜のI
II族元素およびV族元素の各粒子線をn型不純物の粒
子線と共にそれぞれ照射して、n型GaAsよりなるI
II−V族バッファ層2を成長させる。
【0038】次いで、真空搬送室41を用いて基板1を
成長室30に移送し、基板1を成長室30の基板ホルダ
31に取り付ける。そののち、各粒子線源セル32から
適宜のII族元素およびVI族元素の各粒子線をそれぞ
れ照射して、n型ZnSeよりなる第1のII−VI族
バッファ層3と、n型ZnSSe混晶よりなる第2のI
I−VI族バッファ層4と、n型ZnMgSSe混晶よ
りなるn型クラッド層5と、n型ZnSSe混晶または
undope−ZnSSe混晶よりなる第1のガイド層6とを
順次成長させる。その際、必要に応じてn型不純物の粒
子線も共に照射する。
【0039】続いて、真空搬送室41を用いて基板1を
成長室20に移送し、基板1を成長室20の基板ホルダ
21に取り付ける。そののち、各粒子線源セル22から
アルミニウム,ガリウムおよびヒ素の各粒子線をそれぞ
れ照射して、undope−AlGaAs混晶よりなる活性層
7を成長させる。その際、第1のガイド層6側の少なく
とも一部については、III族元素とV族元素との各粒
子線をそれぞれ交互に照射するようにすることが好まし
い。AlGaAs混晶はII−VI族化合物半導体と良
好にヘテロ接合させることが難しい結晶であるが、この
ようにして成長させることにより比較的共有結合性の強
い良好な結晶を得ることができるからである。また、各
粒子線をそれぞれ照射する際の基板1の温度も、各粒子
線に応じて変化させることが好ましい。
【0040】活性層7を成長させたのち、真空搬送室4
1を用いて基板1を成長室30に移送し、基板1を成長
室30の基板ホルダ31に取り付ける。そののち、各粒
子線源セル32から適宜のII族元素およびVI族元素
の各粒子線をそれぞれ照射して、p型ZnSSe混晶ま
たはundope−ZnSSe混晶よりなる第2のガイド層8
と、p型ZnMgSSe混晶よりなるp型クラッド層9
と、p型ZnSSe混晶よりなる第1のキャップ層10
と、p型ZnSeよりなる第2のキャップ層11と、p
型ZnTeおよびp型ZnSeよりなる超格子層12
と、p型ZnTeよりなるコンタクト層13とを順次成
長させる。その際、必要に応じてp型不純物としてプラ
ズマ化した窒素も共に照射する。また、第2のガイド層
8のうち活性層7側の少なくとも一部を成長させる際に
は、II族元素とVI族元素との各粒子線を交互に照射
するようにすることが好ましい。これにより欠陥を減ら
すことができるからである。
【0041】このようにしてIII−V族バッファ層2
からコンタクト層13までを成長させたのち、コンタク
ト層13の上に図示しないレジスト膜を塗布し、フォト
リソグラフィにより複数の平行な帯状のマスクパターン
を形成する。そののち、エッチングを行い、コンタクト
層13,超格子層12および第2のキャップ層11をそ
れぞれ選択的に除去して複数の帯状とする。エッチング
ののち、コンタクト層13などが選択的に除去された第
1のキャップ層10の上および図示しないレジスト膜の
上に酸化アルミニウムなどの絶縁材料を蒸着し、図しな
いレジスト膜をこのレジスト膜の上に蒸着された絶縁材
料と共に除去して(リフトオフ)、絶縁層14を形成す
る。
【0042】絶縁層14を形成したのち、コンタクト層
13および絶縁層14の上に例えばパラジウム層,白金
層および金層を順次蒸着してp側電極15を形成すると
共に、基板1の他面に例えばインジウム層を蒸着してn
側電極16を形成する。そののち、加熱処理を行う。
【0043】p側電極15およびn側電極16をそれぞ
れ形成したのち、基板1をコンタクト層13の長さ方向
(共振器長方向)と垂直に所定の幅(例えば600nm
幅)で劈開し、その劈開面に端面膜を形成する。そのの
ち、複数形成した帯状の各コンタクト層13の間をその
長さ方向と並行に劈開する。これにより、図1に示した
半導体レーザが形成される。
【0044】このようにして製造した半導体レーザは、
次のように作用する。
【0045】この半導体レーザでは、n側電極16とp
側電極15との間に所定の電圧が印加されると活性層7
に電流が注入され、活性層7において電子−正孔再結合
により発光が起こる。発光波長は活性層7のバンドギャ
ップに応じて決定され、例えば650nmである。活性
層7において発生した光は、一対の端面膜の間を往復し
て増幅され、一方の端面膜から外部に射出される。
【0046】ここでは、n型クラッド層5,第1のガイ
ド層6,第2のガイド層8およびp型クラッド層9がI
I−VI族化合物半導体によりそれぞれ構成され、かつ
活性層7がAlGaAs混晶により構成されているの
で、n型クラッド層5,第1のガイド層6,第2のガイ
ド層8またはp型クラッド層9と活性層7との各バンド
ギャップ差がそれぞれ大きくなっている。よって、オー
バーフロー電流が抑制され、劣化が防止される。また、
活性層7が基板1と格子整合されているので、活性層7
に歪みがなく、良好な特性が得られる。
【0047】このように本実施の形態に係る半導体レー
ザによれば、n型クラッド層5,第1のガイド層6,第
2のガイド層8およびp型クラッド層9をII−VI族
化合物半導体によりそれぞれ構成し、かつ活性層7をA
lGaAs混晶により構成するようにしたので、n型ク
ラッド層5,第1のガイド層6,第2のガイド層8また
はp型クラッド層9と活性層7との各バンドギャップ差
をそれぞれ大きくすることができる。よって、オーバー
フロー電流を抑制することができ、しきい値の変化、す
なわち劣化を防止することができる。従って、寿命を延
長させることができる。また、オーバーフロー電流は特
に高温において起こりやすいので、本半導体レーザによ
れば温度特性を向上させることができ、高温においても
長期間に渡って安定して使用することができる。よっ
て、例えば、車載用のCD(compact disk)プレーヤー
あるいはDVD(digital video diskまたはdigital ve
rsatile disk)プレーヤーなどに本半導体レーザを用い
れば、その品質を向上させることができる。
【0048】更に、本半導体レーザによれば、活性層7
を基板1に格子整合させることができるので、活性層7
の結晶性を向上させることができ、素子の特性を向上さ
せることができると共に、歪みによる活性層7の劣化を
防止することができ、寿命を延長させることができる。
加えて、活性層7の組成を基板1と格子整合する範囲内
において調整することができ、選択できる発光波長の幅
を広くすることができる。
【0049】なお、本実施の形態では、第1のガイド層
6および第2のガイド層8をZnSSe混晶によりそれ
ぞれ構成する場合について説明したが、第1のガイド層
6および第2のガイド層8をZnMgSSe混晶により
それぞれ構成するようにしてもよい。この場合、ZnM
gSSe混晶の組成は基板1を構成するGaAsと格子
整合するように調整することが好ましい。また、この組
成は、バンドギャップがn型クラッド層5およびp型ク
ラッド層9のバンドギャップよりも小さく、活性層7の
バンドギャップよりも十分に大きくなるように決定す
る。例えば、その好ましい組成は、II族元素における
亜鉛が95%,マグネシウムが5%、VI族元素におけ
る硫黄が11%,セレンが89%である。この組成によ
り構成した第1のガイド層6および第2のガイド層8の
バンドギャップは2.7eV程度となる。すなわち、活
性層7との各バンドギャップ差は900meV程度と十
分に大きくなる。
【0050】また、第1のガイド層6および第2のガイ
ド層8をZnSeによりそれぞれ構成するようにしても
よい。但し、ZnSeは基板1を構成するGaAsと格
子整合しないので、その厚さは臨界膜厚以下(例えば、
50nm程度)とすることが好ましい。この場合、第1
のガイド層6および第2のガイド層8の各バンドギャッ
プは2.7eV程度となる。すなわち、活性層7との各
バンドギャップ差は0.8eV程度と十分に大きくな
る。
【0051】(第2の実施の形態)図4は本発明の第2
の実施の形態に係る半導体レーザの断面構造を表すもの
である。この半導体レーザは、活性層57を構成するI
II−V族化合物半導体が異なることを除き、第1の実
施の形態と同一の構成を有している。よって、ここで
は、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な
説明を省略する。
【0052】活性層57は、例えば、不純物を添加して
いないIII−V族化合物半導体のundope−AlGaI
nP混晶により構成されている。活性層57をAlGa
InP混晶により構成しているのは、基板1を構成する
GaAsと格子整合させることができるからである。な
お、このAlGaInP混晶は、GaAsと格子整合す
る組成においては、III族元素におけるアルミニウム
の組成比が23%を越えるあたりで遷移型が直接遷移か
ら間接遷移に変化する。よって、その組成は、GaAs
と格子整合し、かつ直接遷移の範囲内において調整され
る。また、最終的には、その範囲内において目的とする
発光波長にあわせて調整される。その際、図2からも分
かるように、バンドギャップを大きくして発光波長を短
くする場合にはアルミニウムの組成比を大きくし、バン
ドギャップを小さくして発光波長を長くする場合にはア
ルミニウムの組成比を小さくするように調整される。
【0053】例えば、GaAsと格子整合しかつ直接遷
移の範囲内において、アルミニウムが最も多く含まれる
ようにIII族元素におけるアルミニウムの組成比を2
3%,ガリウムの組成比を29%,インジウムの組成比
を48%とすれば、バンドギャップは2.2eV程度と
なり、発光波長は560nmとなる。この場合、第1の
ガイド層6または第2のガイド層8と活性層57との各
バンドギャップ差はそれぞれ500meV程度、n型ク
ラッド層5またはp型クラッド層9と活性層57との各
バンドギャップ差はそれぞれ700meV程度と十分に
大きくなる。よって、GaAsに格子整合する直接遷移
の範囲内の全ての組成において、活性層57とn型クラ
ッド層5,p型クラッド層9,第1のガイド層6または
第2のガイド層8との間の各バンドギャップ差はそれぞ
れ十分に大きくなり、アルミニウムの組成比が小さくな
るほどそれらの各バンドギャップ差は大きくなる。
【0054】このような構成を有する半導体レーザは、
第1の実施の形態と同様にして製造することがでる。な
お、活性層57を成長させる際には、AlGaInP混
晶もII−VI族化合物半導体と良好にヘテロ接合させ
ることが難しい結晶であるので、第1の実施の形態と同
様に、III族元素とV族元素との各粒子線を交互に照
射するようにし、基板1の温度も照射する粒子線に応じ
て調節するようにすることが好ましい。
【0055】また、この半導体レーザは第1の実施の形
態と同様にして発光し、その発光波長は例えば560n
mである。ここでは、活性層57がAlGaInP混晶
により構成されているので、第1の実施の形態と同様
に、n型クラッド層5,第1のガイド層6,第2のガイ
ド層8またはp型クラッド層9と活性層57との各バン
ドギャップ差がそれぞれ大きくなっている。また、活性
層57は基板1と格子整合されている。よって、本実施
の形態に係る半導体レーザは第1の実施の形態と同様に
作用し、同様の効果を有する。
【0056】なお、本実施の形態についても、第1の実
施の形態において説明したように、第1のガイド層6お
よび第2のガイド層8をZnMgSSe混晶によりそれ
ぞれ構成するようにしてもよい。この場合、GaAsと
格子整合するようにII族元素における組成比を亜鉛が
95%,マグネシウムが5%とし、VI族元素における
組成比を硫黄が11%,セレンが89%とすると、バン
ドギャップは2.8eV程度となり、活性層57との各
バンドギャップ差は600eV程度と十分に大きくな
る。また、第1のガイド層6および第2のガイド層8を
ZnSeによりそれぞれ構成するようにしてもよい。こ
の場合、第1のガイド層6および第2のガイド層8の各
バンドギャップは2.7eV程度となり、活性層57と
の各バンドギャップ差は0.5eV程度と十分に大きく
なる。
【0057】(第3の実施の形態)図5は本発明の第3
の実施の形態に係る半導体レーザの断面構造を表すもの
である。この半導体レーザは、活性層67の厚さが異な
ることを除き、第1の実施の形態と同一の構成を有して
いる。また、第1の実施の形態と同様にして製造するこ
とができる。よって、ここでは、同一の構成要素には同
一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0058】活性層67は、例えば、厚さが1.2nm
であり、量子井戸構造を有している。よって、活性層6
7において発生する光の発光エネルギーEPLは、活性層
67のバンドギャップと活性層67に局在するエネルギ
ー準位(量子準位)とを加えたものとなる。
【0059】図6は活性層67の厚さと発光エネルギー
PLおよびその量子準位による上昇分EQWとの関係を表
すものである。なお、ここで用いている量子準位は最低
準位(第1準位)である。また、量子準位の計算に際し
ては、活性層67のバンドギャップを1.9eV,第1
のガイド層6および第2のガイド層8の各バンドギャッ
プをそれぞれ2.7eV,第1のガイド層6および第2
のガイド層8と活性層67との各バンドギャップ差をそ
れぞれ800meVとし、第1のガイド層6および第2
のガイド層8と活性層67とにおける各伝導帯の差ΔE
C と各価電子帯の差ΔEV との比は0.5:0.5とし
た。
【0060】図6から分かるように、活性層67が量子
構造を有しない場合には活性層67の発光エネルギーE
PLは活性層67のバンドギャップ(1.9eV)である
のに対して、活性層67が量子化されると、発光エネル
ギーEPLは量子準位に対応してバンドギャップよりも大
きくなる。また、この量子準位は活性層67の厚さが薄
くなるほど大きくなる。特に、この半導体レーザでは、
第1のガイド層6および第2のガイド層8がII−VI
族化合物半導体によりそれぞれ構成されると共に活性層
67がAlGaAs混晶により構成されており、第1の
ガイド層6および第2のガイド層8と活性層67とのバ
ンドギャップ差が大きくなっているので、活性層67の
量子準位を大きくすることができるようになっている。
すなわち、活性層67の厚さを薄くすることにより、発
光エネルギーEPLを大きくして発光波長を短くすること
ができると共に、発光波長を大きな幅で調節することが
できるようになっている。例えば、活性層67の厚さを
1.2nmとすれば、発光エネルギーEPLは量子構造を
有しない場合に比べて480meVほど大きくなり、
2.38eVとなる。この場合、発光波長は緑色の52
0nmとなる。
【0061】このような構成を有する半導体レーザは、
第1の実施の形態と同様にして発光する。但し、ここで
は、活性層67が量子井戸構造を有しているので、発光
波長は活性層67のバンドギャップおよび量子準位に応
じて決定され、ここでは緑色の520nmである。
【0062】このように本実施の形態に係る半導体レー
ザによれば、n型クラッド層5,第1のガイド層6,第
2のガイド層8およびp型クラッド層9をII−VI族
化合物半導体によりそれぞれ構成すると共に活性層67
をAlGaAs混晶により構成し、かつ活性層67を量
子化するようにしたので、活性層67の厚さを調節して
量子準位を利用することにより、発光エネルギーEPL
量子準位に応じて活性層67のバンドギャップよりも大
きくすることができる。すなわち、発光波長を調節する
ことができる。特に、ここでは、第1のガイド層6およ
び第2のガイド層8と活性層67との各バンドギャップ
差がそれぞれ大きくなっているので、活性層67の量子
準位を大きくすることができ、選択できる発光波長の幅
を広げることができる。よって、波長が520nmであ
る緑色の発光も得ることができる。
【0063】また、n型クラッド層5またはp型クラッ
ド層9の各バンドギャップと活性層67の発光エネルギ
ーEPLとの差も、それぞれ520meVと十分に大きく
することができる。よって、第1の実施の形態と同様
に、オーバーフロー電流を抑制することができる。更
に、第1の実施の形態と同様に、活性層67を基板1に
格子整合させることができるので、素子の特性を向上さ
せることができると共に、歪みによる活性層67の劣化
を防止することができる。
【0064】なお、本実施の形態についても、第1の実
施の形態において説明したように、第1のガイド層6お
よび第2のガイド層8をZnMgSSe混晶あるいはZ
nSeによりそれぞれ構成するようにしてもよい。
【0065】(第4の実施の形態)図7は本発明の第4
の実施の形態に係る半導体レーザの断面構造を表すもの
である。この半導体レーザは、活性層77の厚さが異な
ることを除き、第3の実施の形態と同一の構成,作用お
よび効果を有している。また、第1の実施の形態と同様
にして製造することができる。よって、ここでは、同一
の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省
略する。
【0066】活性層77は、例えば、厚さが6nmであ
り、量子井戸構造を有している。よって、活性層77に
おいて発生する光の発光エネルギーEPLは、活性層77
のバンドギャップと量子準位とを加えたものとなる。こ
こでは、図6から分かるように、発光エネルギーEPL
量子構造を有しない場合に比べて100meVほど大き
くなり、2.00eVとなる。この場合、発光波長は赤
色の620nmとなる。すなわち、この半導体レーザに
よれば、波長が620nmの赤色の発光を得ることがで
きる。
【0067】なお、本実施の形態についても、第1の実
施の形態において説明したように、第1のガイド層6お
よび第2のガイド層8をZnMgSSe混晶あるいはZ
nSeによりそれぞれ構成するようにしてもよい。
【0068】(第5の実施の形態)図8は本発明の第5
の実施の形態に係る半導体レーザの断面構造を表すもの
である。この半導体レーザは、活性層87の厚さが異な
ることを除き、第2の実施の形態と同一の構成を有して
いる。また、第2の実施の形態と同様にして製造するこ
とができる。よって、ここでは、同一の構成要素には同
一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0069】活性層87は、例えば、厚さが2.5nm
であり、量子井戸構造を有している。よって、活性層8
7において発生する光の発光エネルギーEPLは、活性層
87のバンドギャップと量子準位とを加えたものとな
る。
【0070】図9は活性層87の厚さと発光エネルギー
PLおよびその量子準位による上昇分EQWとの関係を表
すものである。なお、ここで用いている量子準位は最低
準位である。また、量子準位の計算に際しては、活性層
87のバンドギャップを2.2eV,第1のガイド層6
および第2のガイド層8の各バンドギャップをそれぞれ
2.7eV,第1のガイド層6および第2のガイド層8
と活性層87との各バンドギャップ差をそれぞれ500
meVとし、第1のガイド層6および第2のガイド層8
と活性層87とにおける各伝導帯の差ΔEC と各価電子
帯の差ΔEV との比は0.5:0.5とした。
【0071】図9から分かるように、この半導体レーザ
でも、第3の実施の形態において説明したのと同様に、
活性層87の厚さを薄くすることにより、発光エネルギ
ーEPLを大きくして発光波長を短くすることができるよ
うになっている。ここでも、第1のガイド層6および第
2のガイド層8と活性層87とのバンドギャップ差が大
きくなっているので、活性層87の量子準位を大きくす
ることができ、発光波長を大きな幅で調節することがで
きるようになっている。この半導体レーザでは、例え
ば、活性層87の厚さを2.5nmとすると、発光エネ
ルギーEPLは量子構造を有しない場合に比べて180m
eVほど大きくなり、2.38eVとなる。この場合、
発光波長は緑色の520nmとなる。
【0072】このような構成を有する半導体レーザは、
第2の実施の形態と同様にして発光する。但し、ここで
は、活性層87が量子井戸構造を有しているので、発光
波長は活性層87のバンドギャップおよび量子準位に応
じて決定され、ここでは緑色の520nmである。
【0073】このように本実施の形態に係る半導体レー
ザによれば、n型クラッド層5,第1のガイド層6,第
2のガイド層8およびp型クラッド層9をII−VI族
化合物半導体によりそれぞれ構成すると共に活性層87
をAlGaInP混晶により構成し、かつ活性層87を
量子化するようにしたので、第3の実施の形態において
説明したのと同様に、活性層87の厚さを調節して量子
準位を利用することにより、発光波長を調節することが
できる。特に、ここでも、第3の実施の形態において説
明したのと同様に、第1のガイド層6および第2のガイ
ド層8と活性層87とのバンドギャップ差が大きくなっ
ているので、選択できる発光波長の幅を広げることがで
きる。よって、波長が520nmである緑色の発光も得
ることができる。
【0074】また、n型クラッド層5またはp型クラッ
ド層9の各バンドギャップと活性層87の発光エネルギ
ーEPLとの差も、それぞれ520meVと十分に大きく
することができる。よって、第1の実施の形態と同様
に、オーバーフロー電流を抑制することができる。更
に、第1の実施の形態と同様に、活性層87を基板1に
格子整合させることができるので、素子の特性を向上さ
せることができると共に、歪みによる活性層87の劣化
を防止することができる。
【0075】なお、本実施の形態についても、第1の実
施の形態において説明したように、第1のガイド層6お
よび第2のガイド層8をZnMgSSe混晶あるいはZ
nSeによりそれぞれ構成するようにしてもよい。
【0076】(第6の実施の形態)図10は本発明の第
6の実施の形態に係る半導体レーザの断面構造を表すも
のである。この半導体レーザは、活性層97の組成およ
び厚さが異なることを除き、第2の実施の形態と同一の
構成を有しており、第2の実施の形態と同様にして製造
することができる。よって、ここでは、同一の構成要素
には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0077】活性層97は、例えば、不純物を添加して
いないundope−AlGaInP混晶により構成されてい
る。その組成は、GaAsと格子整合しかつ直接遷移の
範囲内において選択されており、例えば、III族元素
におけるアルミニウムが3%,ガリウムが49%,イン
ジウムが48%となっている。この場合、バンドギャッ
プは1.9eV程度である。また、活性層97は、例え
ば、厚さが6nmであり、量子井戸構造を有している。
よって、活性層97において発生する光の発光エネルギ
ーEPLは、活性層97のバンドギャップと量子準位とを
加えたものとなる。
【0078】図11は活性層97の厚さと発光エネルギ
ーEPLおよびその量子準位による上昇分EQWとの関係を
表すものである。なお、ここで用いている量子準位は最
低準位である。また、量子準位の計算に際しては、活性
層97のバンドギャップを1.9eV,第1のガイド層
6および第2のガイド層8の各バンドギャップをそれぞ
れ2.7eV,第1のガイド層6および第2のガイド層
8と活性層97との各バンドギャップ差をそれぞれ80
0meVとし、第1のガイド層6および第2のガイド層
8と活性層97とにおける各伝導帯の差ΔEC と各価電
子帯の差ΔEVとの比は0.5:0.5とした。
【0079】図11から分かるように、この半導体レー
ザでも、第3の実施の形態において説明したのと同様
に、活性層97の厚さを薄くすることにより、発光エネ
ルギーEPLを大きくして発光波長を短くすることができ
るようになっている。ここでも、第1のガイド層6およ
び第2のガイド層8と活性層97とのバンドギャップ差
が大きくなっているので、活性層97の量子準位を大き
くすることができ、発光波長を大きな幅で調節すること
ができるようになっている。この半導体レーザでは、例
えば、活性層97の厚さを5nmとすると、発光エネル
ギーEPLは量子構造を有しない場合に比べて100me
Vほど大きくなり、2.00eVとなる。この場合、発
光波長は赤色の620nmとなる。
【0080】なお、本実施の形態と第5の実施の形態と
では、活性層97,87をそれぞれ構成するAlGaI
nP混晶の組成が異なっているので、得ることができる
発光波長の範囲も異なっている。すなわち、このよう
に、活性層97,87の厚さを変化させるだけではな
く、活性層97,87を構成する組成も変化させること
により、より広い範囲における発光波長の選択が可能と
なっている。
【0081】このような構成を有する半導体レーザは、
第2の実施の形態と同様にして発光する。但し、ここで
は、活性層97が量子井戸構造を有しているので、発光
波長は活性層97のバンドギャップおよび量子準位に応
じて決定され、ここでは赤色の620nmである。
【0082】このように本実施の形態に係る半導体レー
ザによれば、n型クラッド層5,第1のガイド層6,第
2のガイド層8およびp型クラッド層9をII−VI族
化合物半導体によりそれぞれ構成すると共に活性層97
をAlGaInP混晶により構成し、かつ活性層97が
量子準位を有するようにしたので、第3の実施の形態に
おいて説明したのと同様に、活性層97の厚さを調節し
て量子準位を利用することにより、発光波長を調節する
ことができる。特に、ここでも、第3の実施の形態にお
いて説明したのと同様に、第1のガイド層6および第2
のガイド層8と活性層97とのバンドギャップ差が大き
くなっているので、選択できる発光波長の幅を広げるこ
とができる。また、ここでは、活性層97を構成するA
lGaInP混晶の組成が基板1と格子整合する範囲内
において選択できるようになっているので、その組成を
調整することにより、更に選択できる発光波長の幅を広
げることができる。よって、波長が620nmである赤
色の発光を得ることができる。
【0083】また、n型クラッド層5またはp型クラッ
ド層9の各バンドギャップと活性層97の発光エネルギ
ーEPLとの差も、それぞれ900meVと十分に大きく
することができる。よって、第1の実施の形態と同様
に、オーバーフロー電流を抑制することができる。更
に、第1の実施の形態と同様に、活性層97を基板1に
格子整合させることができるので、素子の特性を向上さ
せることができると共に、歪みによる活性層97の劣化
を防止することができる。
【0084】なお、本実施の形態についても、第1の実
施の形態において説明したように、第1のガイド層6お
よび第2のガイド層8をZnMgSSe混晶あるいはZ
nSeによりそれぞれ構成するようにしてもよい。
【0085】(第7の実施の形態)図12は本発明の第
7の実施の形態に係る半導体レーザの断面構造を表すも
のである。この半導体レーザは、活性層107の構成が
異なることを除き、第1の実施の形態と同一の構成を有
している。よって、ここでは、同一の構成要素には同一
の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0086】活性層107は、例えば、量子ドット構造
とされていることを除き、第1の実施の形態における活
性層7と同一の構成を有している。すなわち、活性層1
07は、例えば、i−AlGaAs混晶により構成され
ている。また、ここでは、第1のガイド層6および第2
のガイド層8がII−VI族化合物半導体のZnSSe
混晶によりそれぞれ構成されているので、第1のガイド
層6および第2のガイド層8と活性層7との各バンドギ
ャップ差はそれぞれ約500meV以上に大きくなって
いる。これは、活性層107が量子準位を有するのに十
分な大きさである。よって、活性層107は量子準位を
有しており、これにより、この半導体レーザはしきい値
が低くなるようになっている。
【0087】このような構成を有する半導体レーザは、
第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
なお、活性層107の量子ドット構造は、例えば、MB
E法によりII−VI族化合物半導体の表面にIII−
V族化合物半導体を成長させる際に容易に形成すること
ができる。これは、II−VI族化合物半導体とIII
−V族化合物半導体とで表面エネルギーが異なるため
に、均一には成長しにくいからである。また、この半導
体レーザは、第1の実施の形態と同様にして発光する。
【0088】このように本実施の形態に係る半導体レー
ザによれば、n型クラッド層5,第1のガイド層6,第
2のガイド層8およびp型クラッド層9をII−VI族
化合物半導体によりそれぞれ構成すると共に活性層10
7をAlGaAs混晶により構成し、かつ活性層107
を量子ドット構造とするようにしたので、活性層107
の量子準位を利用することにより、しきい値を低くする
ことができる。
【0089】なお、本実施の形態では、活性層107を
AlGaAs混晶により構成する場合について説明した
が、活性層107をAlGaInP混晶により構成する
ようにしてもよい。また、第1の実施の形態において説
明したように、本実施の形態についても、第1のガイド
層6および第2のガイド層8をZnMgSSe混晶ある
いはZnSeによりそれぞれ構成するようにしてもよ
い。
【0090】(第8の実施の形態)図13は本発明の第
8の実施の形態に係る半導体レーザの断面構造を表すも
のである。この半導体レーザは、活性層117の構成が
異なることを除き、第1の実施の形態と同一の構成を有
している。よって、ここでは、同一の構成要素には同一
の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0091】活性層117は、例えば、不純物を添加し
ていないIV族半導体のゲルマニウム(i−Ge)によ
り構成されている。すなわち、活性層117とn型クラ
ッド層5,p型クラッド層9,第1のガイド層6または
第2のガイド層8との各バンドギャップ差がそれぞれ大
きくなっている。活性層117の厚さは、目的に応じて
適宜決定される。例えば、活性層117とn型クラッド
層5などとのバンドギャップ差を大きくしてオーバーフ
ロー電流を抑制するのであれば、厚さを厚くして活性層
117が量子構造を有さないように構成する。また、量
子準位を利用して発光波長を調節したりするのであれ
ば、厚さを薄くして活性層117が量子構造を有するよ
うに構成する。
【0092】このような構成を有する半導体レーザは、
第1の実施の形態と同様にして製造することができる。
また、第1の実施の形態と同様にして発光する。
【0093】このように、本実施の形態に係る半導体レ
ーザによれば、n型クラッド層5,第1のガイド層6,
第2のガイド層8およびp型クラッド層9をII−VI
族化合物半導体によりそれぞれ構成し、かつ活性層11
7をゲルマニウムにより構成するようにしたので、n型
クラッド層5,第1のガイド層6,第2のガイド層8ま
たはp型クラッド層9と活性層117との各バンドギャ
ップ差をそれぞれ大きくすることができる。よって、第
1の実施の形態と同様にオーバーフロー電流を抑制する
ことができる。また、活性層117を量子化するように
すれば、量子準位を利用することにより、発光波長を調
節することもできる。
【0094】なお、本実施の形態についても、第1の実
施の形態において説明したように、第1のガイド層6お
よび第2のガイド層8をZnMgSSe混晶あるいはZ
nSeによりそれぞれ構成するようにしてもよい。
【0095】以上、各実施の形態を挙げて本発明を説明
したが、本発明は上記各実施の形態に限定されるもので
はなく、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施
の形態においては、第1のII−VI族バッファ層3,
第2のII−VI族バッファ層4,n型クラッド層5,
第1のガイド層6,第2のガイド層8,p型クラッド層
9,第1のキャップ層10,第2のキャップ層11,超
格子層12およびコンタクト層13をそれぞれ構成する
II−VI族化合物半導体について具体的な例を挙げて
説明したが、本発明は、他の適宜なII−VI族化合物
半導体(すなわち、亜鉛,マグネシウム,カドミウム,
マンガン,水銀およびベリリウムからなる群より選ばれ
た少なくとも1種のII族元素と、酸素,セレン,硫黄
およびテルルからなる群より選ばれた少なくとも1種の
VI族元素とを含むII−VI族化合物半導体)により
各層をそれぞれ構成することもできる。
【0096】なお、その際、上記各実施の形態において
は、n型クラッド層5とp型クラッド層9とを同一の材
料および同一の組成でそれぞれ構成し、第1のガイド層
6と第2のガイド層8とを同一の材料および同一の組成
でそれぞれ構成するようにしたが、それらを互いに異な
った材料それぞれ構成するようにしてもよく、また互い
に異なった組成でそれぞれ構成するようにしてもよい。
【0097】また、上記第1乃至第7の各実施の形態に
おいては、活性層7,57,67,77,87,97,
107をそれぞれ構成するIII−V族化合物半導体に
ついて具体的な例を挙げて説明したが、本発明は、他の
適宜なIII−V族化合物半導体(すなわち、ホウ素
(B),アルミニウム(Al),ガリウム(Ga)およ
びインジウム(In)からなる群より選ばれた少なくと
も1種のIII族元素と、窒素(N),燐(P),ヒ素
(As),アンチモン(Sb)およびビスマス(Bi)
からなる群より選ばれた少なくとも1種のV族元素とを
含むIII−V族化合物半導体)により活性層7,5
7,67,77,87,97,107をそれぞれ構成す
ることもできる。
【0098】更に、上記第8の実施の形態においては、
活性層117を構成するIV族半導体について具体的な
例を挙げて説明したが、本発明は、他の適宜なIV族半
導体(すなわち、炭素(C),ケイ素(Si),ゲルマ
ニウム(Ge)およびスズ(Sn)からなる群より選ば
れた少なくとも1種のIV族元素を含むIV族半導体)
により活性層117を構成することもできる。
【0099】加えて、上記第3乃至第6の各実施の形態
においては、活性層67,77,87,97の厚さにつ
いて具体的な例を挙げて説明したが、量子準位による発
光エネルギーEPLの上昇は、材料によっても異なるが多
くの場合において活性層67,77,87,97の厚さ
を10nm以下とすることにより得ることができる。よ
って、活性層の厚さを10nm以下、1原子層以上の範
囲内で適宜に決定することにより、それに応じて発光波
長を短くすることができ、発光波長の選択できる幅を広
げることができる。
【0100】更にまた、上記第3および第4の各実施の
形態においては、活性層67,77を構成するAlGa
As混晶の1つの組成について活性層67,77の厚さ
を変化させた場合についてのみ説明したが、上記第6の
実施の形態において説明したように、活性層67,77
の組成も変動させて、更に広い範囲において発光波長を
調節することもできる。
【0101】加えてまた、上記第3乃至第6の各実施の
形態においては、量子準位の第1準位を用いる場合につ
いて説明したが、本発明によれば、クラッド層またはガ
イド層と活性層とのバンドギャップ差が大きくなってい
るので、活性層は複数の量子準位を有することもでき
る。よって、その複数の量子準位を用いて、電圧を変化
させることにより発光波長を変化させることもできる。
【0102】更にまた、上記第3乃至第6の各実施の形
態においては、活性層67,77,87,97を量子井
戸構造とする(すなわち2次元的に量子化する)場合に
ついて説明し、上記第7の実施の形態においては、活性
層107を量子ドット構造とする(すなわち0次元的に
量子化する)場合について説明したが、活性層を量子箱
構造とする(すなわち1次元的に量子化する)ようにし
てもよい。この場合も、量子準位を用いることにより、
同様の効果を得ることができる。
【0103】加えてまた、上記各実施の形態において
は、半導体レーザの構造について一例を挙げてそれぞれ
説明したが、本発明は、他の構造を有するものについて
も同様に適用することができる。例えば、基板にp型ク
ラッド層,第2のガイド層,活性層,第1のガイド層お
よびn型クラッド層を順次積層したものについても適用
することができる。また、第1のガイド層6および第2
のガイド層8については備えていなくてもよい。
【0104】更にまた、上記各実施の形態においては、
半導体レーザ(laser diode ;LD)についてのみ説明
したが、本発明は、発光ダイオード(light emitting d
iode;LED)などの他の半導体発光素子について適用
することができる。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように請求項1乃至17の
いずれか1に記載の半導体発光素子によれば、第1導電
型クラッド層および第2導電型クラッド層をII−VI
族化合物半導体によりそれぞれ構成し、かつ活性層をI
II−V族化合物半導体により構成するようにしたの
で、第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層
と活性層との各バンドギャップ差をそれぞれ大きくする
ことができる。よって、オーバーフロー電流を抑制する
ことができ、しきい値の変化、すなわち劣化を防止する
ことができる。従って、寿命を延長させることができる
という効果を奏する。また、オーバーフロー電流は特に
高温において起こりやすいので、温度特性を向上させる
ことができ、高温においても長期間に渡って安定して使
用することができるという効果を奏する。
【0106】また、請求項3記載の半導体発光素子によ
れば、活性層の厚さを10nm以下とするようにしたの
で、活性層の厚さを調節して量子準位を利用することに
より、発光エネルギーを量子準位に応じて活性層のバン
ドギャップよりも大きくすることができる。すなわち、
発光波長を調節することができる。特に、第1導電型ク
ラッド層および第2導電型クラッド層と活性層とのバン
ドギャップ差が大きくなっているので、活性層の量子準
位を大きくすることができ、選択できる発光波長の幅を
広げることができるという効果を奏する。
【0107】更に、請求項6または7記載の半導体発光
素子によれば、活性層をアルミニウムおよびガリウムか
らなるIII族元素と、ヒ素からなるV族元素とを含む
III−V族化合物半導体により構成し、かつその組成
と活性層の厚さとをそれぞれ調節するようにしたので、
520nmまたは620nmの任意の発光波長を得るこ
とができるという効果を奏する。
【0108】加えて、請求項10または12記載の半導
体発光素子によれば、活性層をアルミニウム,ガリウム
およびインジウムからなるIII族元素と、燐からなる
V族元素とを含むIII−V族化合物半導体により構成
し、かつその組成と活性層の厚さとをそれぞれ調節する
ようにしたので、520nmまたは620nmの任意の
発光波長を得ることができるという効果を奏する。
【0109】更にまた、請求項14記載の半導体発光素
子によれば、ガリウムからなるIII族元素とヒ素から
なるV族元素とを含むIII−V族化合物半導体により
構成された基板を備えるようにしたので、第1導電型ク
ラッド層,第2導電型クラッド層および活性層をそれぞ
れ基板と格子整合させることができる。よって、それら
の結晶性を向上させることができ、素子の特性を向上さ
せることができると共に、劣化を防止することができる
という効果を奏する。また、活性層の組成を基板と格子
整合する範囲内において調整することができ、発光波長
の選択できる幅を広くすることもできるという効果も奏
する。
【0110】加えてまた、請求項15または17に記載
の半導体発光素子によれば、活性層の少なくとも一部を
III族元素とV族元素とを交互に供給することにより
成長させたIII−V族化合物半導体により構成するよ
うにしたので、また第1のガイド層の少なくとも一部ま
たは第2のガイド層の少なくとも一部をII族元素とV
I族元素とを交互に供給することにより成長させたII
−VI族化合物半導体により構成するようにしたので、
それらの結晶性を向上させることができ、素子の特性を
向上させることができるという効果を奏する。
【0111】更にまた、請求項18乃至20のいずれか
1に記載の半導体発光素子によれば、第1導電型クラッ
ド層および第2導電型クラッド層をII−VI族化合物
半導体によりそれぞれ構成し、かつ活性層をIV族半導
体により構成するようにしたので、第1導電型クラッド
層および第2導電型クラッド層と活性層との各バンドギ
ャップ差をそれぞれ大きくすることができる。よって、
オーバーフロー電流を抑制することができ、劣化を防止
することができると共に、温度特性も向上させることが
できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体レーザ
の構成を表す断面図である。
【図2】II−VI族化合物半導体およびIII−V族
化合物半導体の格子定数とバンドギャップとの関係を表
す特性図である。
【図3】図1に示した半導体レーザの製造に用いるMB
E結晶成長装置を表す構成図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る半導体レーザ
の構成を表す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る半導体レーザ
の構成を表す断面図である。
【図6】活性層の厚さと発光エネルギーEPLおよびその
量子準位による上昇分EQWとの関係を表す特性図であ
る。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る半導体レーザ
の構成を表す断面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る半導体レーザ
の構成を表す断面図である。
【図9】活性層の厚さと発光エネルギーEPLおよびその
量子準位による上昇分EQWとの関係を表す特性図であ
る。
【図10】本発明の第6の実施の形態に係る半導体レー
ザの構成を表す断面図である。
【図11】活性層の厚さと発光エネルギーEPLおよびそ
の量子準位による上昇分EQWとの関係を表す特性図であ
る。
【図12】本発明の第7の実施の形態に係る半導体レー
ザの構成を表す断面図である。
【図13】本発明の第8の実施の形態に係る半導体レー
ザの構成を表す断面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…III−V族バッファ層、3…第1のI
I−VI族バッファ層、4…第2のII−VI族バッフ
ァ層、5…n型クラッド層(第1導電型クラッド層)、
6…第1のガイド層、7,57,67,77,87,9
7,107,117…活性層、8…第2のガイド層、9
…p型クラッド層(第2導電型クラッド層)、10…第
1のキャップ層、11…第2のキャップ層、12…超格
子層、13…コンタクト層、14…絶縁層、15…p側
電極、16…n側電極、20,30…成長室、21,3
1…基板ホルダ、22,32…粒子線源セル、23,3
3…シャッター、34…プラズマ発生室、41…真空搬
送室、42…基板導入室、43…ゲートバルブ

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛(Zn),マグネシウム(Mg),
    カドミウム(Cd),ベリリウム(Be),マンガン
    (Mn)および水銀(Hg)からなる群のうちの少なく
    とも1種のII族元素と、酸素(O),硫黄(S),セ
    レン(Se)およびテルル(Te)からなる群のうちの
    少なくとも1種のVI族元素とを含むII−VI族化合
    物半導体よりそれぞれなる第1導電型クラッド層および
    第2導電型クラッド層と、 これら第1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層と
    の間に形成され、ホウ素(B),アルミニウム(A
    l),ガリウム(Ga)およびインジウム(In)から
    なる群のうちの少なくとも1種のIII族元素と、窒素
    (N),リン(P),ヒ素(As),アンチモン(S
    b)およびビスマス(Bi)からなる群のうちの少なく
    とも1種のV族元素とを含むIII−V族化合物半導体
    よりなる活性層とを備えた半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記第1導電型クラッド層または前記第
    2導電型クラッド層と前記活性層との各バンドギャップ
    差は、それぞれ500meV以上であることを特徴とす
    る請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記活性層の厚さは10nm以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 前記活性層は、アルミニウムおよびガリ
    ウムからなるIII族元素と、ヒ素からなるV族元素と
    を含むIII−V族化合物半導体よりなることを特徴と
    する請求項1記載の半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 前記活性層を構成するIII−V族化合
    物半導体のIII族元素における組成比は、アルミニウ
    ムが40モル%およびガリウムが60モル%であること
    を特徴とする請求項4記載の半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 前記活性層の厚さは1.2nmであるこ
    とを特徴とする請求項5記載の半導体発光素子。
  7. 【請求項7】 前記活性層の厚さは6nmであることを
    特徴とする請求項5記載の半導体発光素子。
  8. 【請求項8】 前記活性層は、アルミニウム,ガリウム
    およびインジウムからなるIII族元素と、燐からなる
    V族元素とを含むIII−V族化合物半導体よりなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  9. 【請求項9】 前記活性層を構成するIII−V族化合
    物半導体のIII族元素における組成比は、アルミニウ
    ムが23モル%,ガリウムが29モル%およびインジウ
    ムが48モル%であることを特徴とする請求項8記載の
    半導体発光素子。
  10. 【請求項10】 前記活性層の厚さは2.5nmである
    ことを特徴とする請求項9記載の半導体発光素子。
  11. 【請求項11】 前記活性層を構成するIII−V族化
    合物半導体のIII族元素における組成比は、アルミニ
    ウムが3モル%,ガリウムが49モル%およびインジウ
    ムが48モル%であることを特徴とする請求項8記載の
    半導体発光素子。
  12. 【請求項12】 前記活性層の厚さは6nmであること
    を特徴とする請求項11記載の半導体発光素子。
  13. 【請求項13】 前記活性層に量子準位が形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  14. 【請求項14】 更に、前記第1導電型クラッド層,前
    記活性層および前記第2導電型クラッド層が積層される
    基板を備えると共に、この基板はガリウムからなるII
    I族元素と、ヒ素からなるV族元素とを含むIII−V
    族化合物半導体よりなることを特徴とする請求項1記載
    の半導体発光素子。
  15. 【請求項15】 前記活性層の少なくとも一部は、II
    I族元素とV族元素とを交互に供給することにより成長
    させたIII−V族化合物半導体よりなることを特徴と
    する請求項1記載の半導体発光素子。
  16. 【請求項16】 更に、 前記第1導電型クラッド層と前記活性層との間に形成さ
    れ、前記II−VI族化合物半導体よりなる第1のガイ
    ド層と、 前記活性層と前記第2導電型クラッド層との間に形成さ
    れ、前記II−VI族化合物半導体よりなる第2のガイ
    ド層とを備えたことを特徴とする請求項1記載の半導体
    発光素子。
  17. 【請求項17】 前記第1のガイド層の少なくとも一部
    または前記第2のガイド層の少なくとも一部は、II族
    元素とVI族元素とを交互に供給することにより成長さ
    せたII−VI族化合物半導体よりなることを特徴とす
    る請求項16記載の半導体発光素子。
  18. 【請求項18】 亜鉛(Zn),マグネシウム(M
    g),カドミウム(Cd),ベリリウム(Be),マン
    ガン(Mn)および水銀(Hg)からなる群のうちの少
    なくとも1種のII族元素と、酸素(O),硫黄
    (S),セレン(Se)およびテルル(Te)からなる
    群のうちの少なくとも1種のVI族元素とを含むII−
    VI族化合物半導体よりそれぞれなる第1導電型クラッ
    ド層および第2導電型クラッド層と、 これら第1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層と
    の間に形成され、炭素(C),ケイ素(Si),ゲルマ
    ニウム(Ge)およびスズ(Sn)からなる群のうちの
    少なくとも1種のIV族元素を含むIV族半導体よりな
    る活性層とを備えた半導体発光素子。
  19. 【請求項19】 前記活性層に量子準位が形成されてい
    ることを特徴とする請求項18記載の半導体発光素子。
  20. 【請求項20】 更に、 前記第1導電型クラッド層と前記活性層との間に形成さ
    れ、前記II−VI族化合物半導体よりなる第1のガイ
    ド層と、 前記活性層と前記第2導電型クラッド層との間に形成さ
    れ、前記II−VI族化合物半導体よりなる第2のガイ
    ド層とを備えたことを特徴とする請求項18記載の半導
    体発光素子。
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