JPH08180876A - 鉛蓄電池及びその製造法 - Google Patents

鉛蓄電池及びその製造法

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JPH08180876A
JPH08180876A JP7120054A JP12005495A JPH08180876A JP H08180876 A JPH08180876 A JP H08180876A JP 7120054 A JP7120054 A JP 7120054A JP 12005495 A JP12005495 A JP 12005495A JP H08180876 A JPH08180876 A JP H08180876A
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美昭 町山
Imakichi Hirasawa
今吉 平沢
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馨 斉藤
Toshiyuki Matsumura
敏之 松村
Yuzo Sakata
有三 坂田
Akio Komaki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高い活物質利用率を寿命期間全般に亘り保持
し、寿命性能が優れた鉛蓄電池用正極板を得る。また、
負極の水素過電圧を下げない鉛蓄電池を得る。 【構成】正極活物質に、二酸化スズ水和物や三価又は五
価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物を存在さ
せる。例えば、三酸化アンチモンの水溶液にスズ酸ナト
リウム三水和物を溶解し、撹拌しながら希硫酸を徐々に
加え、三価のアンチモンをドープした二酸化スズ水和物
のゲル状懸濁液を生成させる。前記ゲル状懸濁液を鉛粉
に滴下しながら混練し、さらに希硫酸を加えながら混練
をしてペースト状正極活物質を調製する。このペースト
状正極活物質を格子体に塗布した正極板で鉛蓄電池を組
み立てる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉛蓄電池及びその製造
法に関し、殊に、正極板及びその製造法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、鉛蓄電池の正極板は、一酸化鉛
を主体とする鉛酸化物、いわゆる鉛粉を水および希硫酸
で混練することによってペースト状活物質を調製し、こ
れを鉛あるいは鉛合金からなる格子体(集電体)に塗布
した後、熟成、乾燥、化成することによって製造されて
いる。この正極板の活物質の利用率は活物質の多孔度に
よって左右される。すなわち、多孔度が高い程、高い利
用率が得られる。それは放電時に生成する硫酸鉛によっ
て活物質の細孔が閉塞されにくくなり、放電反応に必要
な硫酸が内層の活物質にまで拡散しやすくなるためであ
ると考えられている。そこで、従来、活物質の多孔度を
高くするためにペーストの水分を増す工夫、ぺーストの
中に増孔材を入れるなどの工夫がなされている。ぺース
トの水分を増す工夫としては、原料となる鉛粉に微細な
ものを用いる方法、ぺースト中の硫酸鉛の量を増す方法
などが知られている。また、ペーストに添加する増孔材
としてはカーボンバルーンなどが知られている(特開昭
62−160659号公報)。
【0003】一方、正極板の活物質の利用率は活物質に
電子伝導性の物質を添加することによっても増すことが
知られている。電子伝導性の物質は、放電時に生成する
硫酸鉛によって活物質が覆われ、これと集電体である格
子体との電子伝導性がなくなったときにも電子伝導性を
確保し、活物質が放電できなくなることを防止している
と考えられている。電子伝導性の物質としては、グラフ
ァイト、カーボンブラック、酸化スズなどを用いること
が提案されている。例えば、J.J.Rowlette
らによって、二酸化スズ粉末を添加して活物質性能を向
上させる可能性が示唆されている(Amer.Che
m.Soc.21,pp.1052−1054,(19
86))(A)。また、ペースト状正極活物質に硫酸ス
ズ等のスズ化合物を添加し、極板の化成工程で導電性を
持つ酸化スズに変化させるという技術が提案されている
(特開平4−14758号公報)(B)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】正極板の活物質の利用
率を向上させるために活物質の多孔度を上げると、活物
質の粒子間の結合力が低下するので、特に、深い放電を
繰返したときに電池寿命が短くなる。また、正極活物質
に電子伝導性の物質であるグラファイト、カーボンブラ
ックを添加しても、これらは、充放電繰返しの比較的早
い段階に酸化分解するので、電池の寿命期間全般に亘っ
て機能しない。これらの中にあって、酸化スズを正極活
物質中に存在させる技術は、酸化スズが強酸性の希硫酸
中で、しかも、酸化雰囲気にさらされても安定であるの
で有望である。しかし、上記の二酸化スズ粉末を添加す
る技術(A)では、二酸化スズを均一に分散させること
が難しく、少量の添加では正極活物質全体に導電性を付
与できないと考えられる。効果を得るためには、添加量
が1重量%近く必要であり、酸化スズのコストを考える
とほとんど実用的ではない。また、上記のペースト状正
極活物質に硫酸スズを添加する技術(B)は、硫酸スズ
を酸化スズに変化させるまでの過程においてスズイオン
として溶出するために、活物質利用率の向上を十分に期
待できない。そして、溶出したスズイオンが負極に移行
し、スズとして析出して水素過電圧を低下させるので、
電池使用時の電解液の減少を早めるという問題点があ
る。本発明が解決しようとする課題は、少ない添加物量
で高い活物質利用率を電池の寿命期間全般に亘り保持
し、さらに寿命性能に優れた鉛蓄電池を提供することで
ある。また、硫酸スズを使用する場合のように負極の水
素過電圧を下げることがない鉛蓄電池を提供することで
ある。さらに、これらの鉛蓄電池を製造することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る鉛蓄電池は、正極活物質に二酸化スズ
水和物を含有することを特徴とする。二酸化スズ水和物
の一部又は全部が二酸化スズとして存在してもよく、二
酸化スズは、その存在状態が正極板中で実質的に連続的
である。また、二酸化スズ水和物の分布は、正極板の表
面から内部に向かうに従い少なくなる構成であってもよ
い。二酸化スズ水和物は、三価又は五価の金属イオンを
ドープしたものが一層好ましい。又、前記二酸化スズ水
和物あるいは三価又は五価の金属イオンをドープした二
酸化スズ水和物は、正極活物質粒子表面を被覆した状態
で存在することが好ましい。ここで活物質粒子とは、粒
子単体や粒子単体が凝集して見かけ上一つの粒子になっ
たものをいう。又、正極活物質がアルカリ金属の硫酸塩
を含有することがさらに好ましい。
【0006】本発明に係る鉛蓄電池の第1の製造法は、
鉛粉に希硫酸を加えてペースト状正極活物質を調製する
工程においてスズ酸塩の水溶液を添加し、調製したペー
スト状正極活物質を集電体に塗布して得た正極板を用い
ることを特徴とする。第2の製造法は、スズ酸塩の水溶
液と硫酸の水溶液を反応させてゲル状の二酸化スズ水和
物を調製し、これを添加して調製したペースト状正極活
物質を集電体に塗布して得た正極板を用いることを特徴
とする。第3の製造法は、正極板を、活物質充填後の鉛
蓄電池製造工程のいずれかの段階でスズ酸塩の水溶液に
減圧下で浸漬し、その後当該浸漬状態で常圧に戻すこと
を特徴とする。本発明に係る鉛蓄電池の第4の製造法
は、三価又は五価の金属イオンを含むスズ酸塩の水溶液
と硫酸水溶液を反応させて三価又は五価の金属イオンを
ドープした二酸化スズ水和物を調製し、これを添加して
調製したペースト状活物質を集電体に塗布して得た正極
板を用いることを特徴とする。第5の製造法は、正極板
を、活物質充填後の鉛蓄電池製造工程のいずれかの段階
で三価又は五価の金属イオンを含むスズ酸塩の水溶液に
減圧下で浸漬し、その後当該浸漬状態で常圧に戻すこと
を特徴とする。第6の製造法は、表面が露出しないよう
に処理された二酸化スズ水和物あるいはスズ酸塩あるい
は三価又は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水
和物を、希硫酸を含む正極活物質ペーストに含ませ、当
該ペースト作製以後の鉛蓄電池製造工程のいずれかの段
階で前記処理剤を実質的に消失させることを特徴とす
る。具体例として、前記処理剤が二酸化スズ水和物ある
いはスズ酸塩あるいは三価又は五価の金属イオンをドー
プした二酸化スズ水和物あるいは三価又は五価の金属イ
オンをを含むスズ酸塩を被覆するものであること、又は
二酸化スズ水和物あるいはスズ酸塩あるいは三価又は五
価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物あるいは
三価又は五価の金属イオンをを含むスズ酸塩を微細な孔
を有する処理剤の孔中に充填するものであることを特徴
とする。第7の製造法は、希硫酸を化成液として用いる
正極板の化成工程において、前記化成液中に二酸化スズ
水和物あるいは三価又は五価の金属イオンをドープした
二酸化スズ水和物を含ませることを特徴とする。第8の
製造法は、未化成の正極板に希硫酸を含ませる工程にお
いて、前記希硫酸中に二酸化スズ水和物あるいは三価又
は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物を含
ませることを特徴とする。第9の製造法は、正極板に面
するセパレータ面に、二酸化スズ水和物あるいは三価又
は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物を存
在させ、正極板中に移行させることを特徴とする。セパ
レータは袋状で、正極板を包み込むことが好ましい。第
10の製造法は、第3又は第5又は第7〜第9の製造法
において、正極活物質に予めアルカリ金属の硫酸塩を含
有させておくことを特徴とする。
【0007】
【作用】二酸化スズ水和物は、スズ酸塩(例えば、スズ
酸ナトリウムなどのスズ酸アルカリ金属塩、スズ酸マグ
ネシウムなどのスズ酸アルカリ土類金属塩)の水溶液と
硫酸水溶液などの酸とを反応させることによって得られ
るゲル状の白色沈殿物である。この白色沈殿物すなわち
二酸化スズ水和物は、H2SnO3・nH2OあるいはS
nO2・nH2Oの化学式で表される。二酸化スズ水和物
は、結晶性が低くあるいは結晶が非常に微細で、ルチル
型の結晶構造の二酸化スズに比べて電子伝導性は多少劣
るものの、適度な電子伝導性を示す。また、三価又は五
価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物は、結晶
性が低いにもかかわらず、高い電子伝導性を示す。そし
て、二酸化スズ水和物ならびに三価又は五価の金属イオ
ンをドープした二酸化スズ水和物はゲル状であることか
ら、活物質への添加効率がよく、ルチル型結晶構造の二
酸化スズの結晶粉末を添加する場合に較べて、十分の一
以下の添加量で著しい効果を示す。また、ゲル状である
ことから、少量の添加量でも活物質中にネットワークを
形成しやすく、活物質の保持体としても有効に機能し、
寿命特性を向上させる。さらに、この電子伝導性のある
ネットワークは放電中に電解液すなわち硫酸を活物質の
内部に輸送する働きをする。一般に、放電時に硫酸を活
物質の内部に輸送する駆動力は硫酸の濃度勾配である
が、電子伝導性のあるネットワークが存在することによ
って、いわゆる、濃淡電池による駆動力が生じる。これ
によって、活物質層の内部まで硫酸の供給がスムーズに
行なわれる。又、二酸化スズ水和物ならびに三価又は五
価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物は、酸性
水溶液中でその表面に水素イオンを吸着し、正帯電す
る。従って負帯電した硫酸イオンを静電気力によって吸
着ないしは引き寄せる効果があると考えられる。これら
の機能が、高い電子伝導性と共に、活物質の利用率を向
上させているものと考えられる。
【0008】上述したネットワークが形成された後で
は、電池作製に際する化成工程や充放電を繰り返す過程
で、二酸化スズ水和物や三価又は五価の金属イオンをド
ープした二酸化スズ水和物が徐々に二酸化スズあるい
は、三価又は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ
となっていくと考えられる。二酸化スズ水和物や三価又
は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物の一
部あるいは全部が、二酸化スズあるいは三価又は五価の
金属イオンをドープした二酸化スズとなった状態でもネ
ットワーク形状を維持する。つまりそれらの存在状態が
極板中において実質的に連続的である。前述したよう
に、二酸化スズ水和物も二酸化スズも導電性を有してい
るため活物質利用率が向上し、前記ネットワークが活物
質を保持するため寿命特性も向上する。また、前記ネッ
トワークを形成した二酸化スズは、本来ゲル状あるいは
コロイド状である二酸化スズ水和物から形成されている
ため非常に緻密に極板中に均一に存在している。そのた
め極く少量でも上記効果は充分に発揮される。さらに二
酸化スズ水和物ならびに三価又は五価の金属イオンをド
ープした二酸化スズ水和物は硫酸中でも安定であり、一
旦正極板あるいは正極活物質に保持されると電解液中に
溶出しにくい上に、上述したようにわずかな添加量で充
分な効果を発揮する。従ってスズイオンが負極に移行
し、スズとして析出して水素過電圧を低下させ、電池使
用時の電解液の減少を早めるという問題もない。
【0009】尚、鉛−カルシウム系合金を正極板の格子
体に用いた電池の高温下での充放電サイクル寿命を改善
するための手段として、活物質中に三酸化アンチモン
(三価の金属イオン)をドープした酸化スズを添加する
技術が提案されている(特開昭63−80476号公
報)。しかし、これは二酸化スズ水和物の添加ではない
ので、添加の効果(充放電サイクル寿命の延長)が現わ
れるのは、活物質に対して1重量%以上の多量を添加し
たときである。しかも、添加によって活物質利用率が高
くなるとも認められない。上記のネットワークが形成さ
れず、その存在状態が実質的に連続的でないからであ
る。
【0010】本発明に係る鉛蓄電池用正極板の第1の製
造法においては、ペースト状正極活物質を調製する工程
においてスズ酸塩の水溶液を添加することによって、ス
ズ酸塩がペースト中に均一に分散する。そして、スズ酸
塩は一部が硫酸と反応して二酸化スズ水和物となる。残
りのスズ酸塩は極板の化成の段階で二酸化スズ水和物あ
るいは二酸化スズとなり、それらの完全なネットワーク
が形成される。本発明に係る第2ならびに第4の製造法
においては、ペースト状活物質を集電体に塗布したとき
に、二酸化スズ水和物ならびに三価又は五価の金属イオ
ンをドープした二酸化スズ水和物のネットワークが形成
されている。本発明に係る第3、第5の製造法において
は、鉛蓄電池を組み立て、電解液である硫酸水溶液を注
入したときなど、スズ酸塩の水溶液に正極板を減圧下で
浸漬し、その後当該浸漬状態で常圧に戻す処理をした後
に正極板が硫酸水溶液と接触することにより、二酸化ス
ズ水和物や三価又は五価の金属イオンをドープした二酸
化スズ水和物のネットワークが正極板の全域に亘ってほ
ぼ均一に形成される。さらに上記第3、第5の製造法に
おいては、二酸化スズ水和物や三価又は五価の金属イオ
ンをドープした二酸化スズ水和物は、極板内部の活物質
間の微細な空隙にも入り込んだ状態で、正極活物質粒子
表面を覆っていることが考えられる。そのような状態で
は、前記第2ならびに第4の製造法によるものよりも以
下の点で有利であることが考えられる。前述したよう
に、放電時に電子伝導性のあるネットワークが存在する
ことによって、活物質と活物質、格子と活物質の電子伝
導性を向上させると共に硫酸イオンを活物質に輸送する
駆動力が促進される。又、二酸化スズ水和物や三価又は
五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物はゲル
状であるため、硫酸イオンを透過する。これらのことを
考え併せると、格子、活物質が二酸化スズ水和物や三価
又は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物と
接触する面積が大きい程、活物質と活物質、格子と活物
質の電子伝導性が向上し、硫酸イオンを活物質に輸送す
る駆動力も一層促進される。従って二酸化スズ水和物や
三価又は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和
物は、活物質粒子表面を覆う形で存在させた方が一層有
効に作用すると考えられる。
【0011】正極活物質利用率向上効果をさらに向上さ
せる手段として、表面が露出しないように処理されたス
ズ酸塩、あるいは二酸化スズ水和物あるいは三価又は五
価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物を、希硫
酸を含む正極活物質ペーストに含ませ、前記ペースト作
製以後の鉛蓄電池製造工程のいずれかの段階で処理剤を
実質的に消失させる手段が考えられる(前述した第6の
製造法)。上記手段が活物質利用率向上に効果がある一
つの理由を以下に述べる。二酸化スズ水和物あるいは三
価又は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物
を正極活物質ペースト調製時に直接前記ペーストに添加
すると、ペーストが多少軟らかくなる。これは、二酸化
スズ水和物がペースト中の三塩基性硫酸鉛の結晶形態を
変えている可能性があるが、詳細は明らかでない。従っ
てペーストを格子等に充填する際の適正な粘度あるいは
硬度に保持しようとすると、ペーストが多くの水分を含
むことができない。前述したように、ペーストが保持す
る水分量が少ないほど活物質の多孔度は低下し、活物質
利用率に悪影響を与える。そこで、上記処理剤として、
希硫酸に徐々に溶解するもの、例えば酸に可溶な有機化
合物等を用い、二酸化スズ水和物あるいは三価又は五価
の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物を被覆する
ことでペースト調製時のペーストの軟化を防ぐことがで
きる。このペーストを用いた正極板は、高多孔度を維持
しているため、二酸化スズ水和物あるいは三価又は五価
の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物を被覆せず
に直接ペースト中に含ませた場合よりも活物質利用率を
さらに向上させることができる。もう一つの理由を以下
に述べる。二酸化スズ水和物あるいは三価又は五価の金
属イオンをドープした二酸化スズ水和物を担体によって
担持させない状態で正極板中に含ませ、化成を行うと、
得られる活物質の微細構造が変化するという現象が起こ
る。これは化成時に二酸化スズ水和物の一部がβ型の二
酸化鉛と同じルチル構造である二酸化スズとなり、これ
が二酸化鉛の結晶の核となって前記微細構造を変えてい
る可能性があるが詳細は明らかではない。前記微細構造
が変化すると、期待される活物質の耐久性、つまり活物
質粒子同士、活物質と集電体における結合力が多少劣る
と考えられる。このことにより、正極板内の導電性、集
電性が劣り、活物質利用率に悪影響を与えると考えられ
る。そこで、上記処理剤として例えば多孔質カーボン等
を用い、その細孔中に二酸化スズ水和物あるいは三価又
は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物を充
填することで、上述したペースト調製時に作用するペー
ストへの悪影響を防止することができる。そのようにし
て作製した未化成の陽極板は、希硫酸溶液中で電気化学
的に酸化する化成工程において、特に極板から酸素ガス
が発生する段階でカーボンが徐々に酸化分解し、化成工
程終了時にはカーボンが実質的に存在しなくなる。この
過程においては、上記期待される活物質の耐久性を失う
ことなく化成を行うことができる。またこの過程におい
ては、化成が進行し、カーボンの酸化分解が進むに従
い、二酸化スズ水和物あるいは三価又は五価の金属イオ
ンをドープした二酸化スズ水和物が正極板中を拡散して
いくと考えられ、前述したネットワークが形成される。
この時、処理剤である多孔質カーボンの細孔内だけでは
なく多孔質カーボン粒子表面に二酸化スズ水和物あるい
は三価又は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水
和物がある程度存在しても前述した化成工程における悪
影響はほとんどみられない。その理由は明らかではない
が、多孔質カーボン粒子表面への存在量が極くわずかで
あるためと考えられる。
【0012】二酸化スズ水和物あるいは三価又は五価の
金属イオンをドープした二酸化スズ水和物の分布が、表
面から内部に向かうに従い少なくなるよう正極板を構成
した場合の作用を以下に説明する。鉛蓄電池の正極の放
電反応は、主に正極板表面から進行していく。特に高率
放電を行う場合、充放電反応に関与するのはほとんどが
正極板表面の活物質である。従って高率放電を行う場合
には、正極板表面の導電ネットワークが緻密に張り巡ら
されているかどうかが重要な要因となる。そこで上記構
成にすることにより高率放電時の活物質利用率の向上が
実現できる。上記構成を実現するためには、前述した第
7の製造法における、希硫酸である化成液中に二酸化ス
ズ水和物あるいは三価又は五価の金属イオンをドープし
た二酸化スズ水和物を含ませる方法がある。二酸化スズ
水和物あるいは三価又は五価の金属イオンをドープした
二酸化スズ水和物はゲル状であるが、これらは多量の希
硫酸中ではチンダル現象を呈するコロイド状で存在す
る。コロイド粒子(二酸化スズ水和物あるいは三価又は
五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物)を含
む希硫酸を化成液として用いると、化成工程中にコロイ
ド粒子が正極板中に入り込む。入り込んだコロイド粒子
は、正極板が多孔質であるため、最初は極板内部に到達
するが、主に極板表面付近に主に留まり、表面から内部
に向かうに従いコロイド粒子が少なくなる構成となる。
上記構成を実現するための別の方法は、前述した第9の
製造法である、上記コロイド状希硫酸を正極板に面する
セパレータ面に、塗布などの手段で存在させるものであ
る。その状態で電池を形成すると、電解液中をコロイド
粒子が正極板中に移行し、上記構成が実現できる。この
場合未化成の正極板、化成後の正極板のどちらの場合も
適用できる。また、上記セパレータを袋状にし、袋状セ
パレータの内側にコロイド状希硫酸を塗布し、正極を包
み込むようにすることが好ましい。その理由は、コロイ
ド粒子が電解液中を過剰に移動し、負極板に到達するこ
とを抑制できるためである。上記構成を実現するための
更に別の方法は、前述した第8の製造法である。一般
に、未化成極板の機械的強度を高めるため、未化成の極
板に希硫酸を塗布、浸漬等の手段で含ませる手段があ
る。そこで、希硫酸に前記コロイド粒子を含ませたもの
を用いるることにより上記構成が実現できる。上記構成
が形成された後、化成の進行あるいは充放電サイクルの
進行に伴って上記水和物が二酸化スズあるいは三価又は
五価の金属イオンをドープした二酸化スズになっても、
それらの存在状態は前述したようにネットワーク形状で
ある。
【0013】また、さらに活物質利用率を向上させる手
段として、以下に前記第10の製造法について述べる。
正極活物質ペーストを調製する際、希硫酸で練る前に、
あるいは、希硫酸で練るときに硫酸ナトリウムなどのア
ルカリ金属の硫酸塩を添加すると一酸化鉛と硫酸の反応
によって生成する三塩基性硫酸鉛の結晶が三次元的に発
達した構造を取り、保水性の高いペーストが得られる。
また、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属の硫酸塩と一
酸化鉛は、(1)式のように反応し、水酸化ナトリウム
などのアルカリ化合物が生成するため、鉛ペースト中の
水が強い塩基性を示し、両性元素である鉛が多く溶解す
ることとなる。この結果、熟成、乾燥時に、鉛ペースト
の水の蒸発と共に、溶けていた鉛が粒子間に多く析出
し、多孔質であるにもかかわらず、強度の高い未化成極
板を得ることができる。つぎに、この未化成極板をその
まま、又は化成後、スズ酸ナトリウムなどのスズ酸塩の
水溶液あるいは三価又は五価の金属イオンを含むスズ酸
塩の水溶液中に浸漬し、その後硫酸に浸漬することによ
って、活物質粒子表面をゲル状の二酸化スズ水和物や三
価又は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和物
で覆う。又は、前述した第7〜9の製造法に用いる正極
板に適用する。このようにして得られた正極板は、高多
孔度でありながら活物質粒子間の結合強度が強く、か
つ、ゲル状の二酸化スズ水和物や三価又は五価の金属イ
オンをドープした二酸化スズ水和物の電子伝導性物質の
ネットワークが正極活物質粒子表面を覆っているため、
利用率、寿命特性の点で一層有利なものとなる。
【0014】
【化1】
【0015】
【実施例】以下、本発明に係る実施例を説明する。以下
の実施例ならびに従来例において、正極板の活物質重量
はいずれも等しくした。
【0016】(実施例1)二酸化スズ水和物を添加する
場合の実施例について述べる。まず、蒸留水225ml
に、スズ酸ナトリウム三水和物をスズ量換算でそれぞれ
鉛粉の0.02,0.2,1.0,2.0重量%相当溶
かした溶液を用意する。当該溶液を、ボールミル法によ
る鉛粉3kgに徐々に滴下しながら混練した。続いて、
比重1.260の希硫酸375mlを徐々に加えながら
混練をし、ペースト状正極活物質を調製した。このペー
スト状正極活物質を鉛−アンチモン系合金(Pb−2.
7%Sb−0.2%As合金)からなる55D23型電
池相当の格子体(集電体)に塗布し、常法にしたがって
熟成、乾燥を行なった。作製した未化成正極板を使用
し、48Ahの鉛蓄電池を組み立て、電槽化成を行なっ
た。
【0017】(実施例2)二酸化スズ水和物を添加する
場合の別の実施例について述べる。まず、蒸留水225
mlに、スズ酸ナトリウム三水和物をスズ量換算でそれ
ぞれ鉛粉の0.02,0.2,1.0,2.0重量%相
当溶かした溶液を用意する。これに、スズ酸ナトリウム
と等モルの硫酸を含む希硫酸(混練用の比重1.260
の希硫酸を一部流用)を撹拌しながら徐々に加え、二酸
化スズ水和物のゲル状懸濁液を生成させた。この二酸化
スズ水和物は硫酸中で安定であり、なおかつ非常に微細
な結晶で、多くの水を含んでいるため、ゲルあるいはコ
ロイド状態となっていた。上記二酸化スズ水和物のゲル
状懸濁液を、ボールミル法による鉛粉3kgに徐々に滴
下しながら混練した。続いて、混練用として用意した残
りの比重1.260の希硫酸を徐々に加えながら混練を
し、ペースト状正極活物質を調製した。このペースト状
正極活物質を使用し、以下実施例1と同様にして鉛蓄電
池を組み立てた。尚、スズ酸ナトリウムに希硫酸を加
え、二酸化スズ水和物のゲル状懸濁液を生成する際に
は、希硫酸の滴下速度が速すぎたり撹拌が足りないと、
均一な懸濁液となりにくいので、適宜調整を行なう。
【0018】(従来例1)スズ量換算でそれぞれ鉛粉の
0.02,0.2,1.0,2.0重量%相当のルチル
型二酸化スズ結晶粉末を鉛粉に乾式で混合し、その後蒸
留水と希硫酸を徐々に加えながら混練してペースト状正
極活物質を調製した。このペースト状正極活物質を使用
し、以下実施例1と同様にして鉛蓄電池を組み立てた。
【0019】(従来例2)スズ量換算でそれぞれ鉛粉の
0.02,0.2,1.0,2.0重量%相当の硫酸ス
ズ粉末を鉛粉に乾式で混合し、その後蒸留水と希硫酸を
徐々に加えながら混練してペースト状正極活物質を調製
した。このペースト状正極活物質を使用し、以下実施例
1と同様にして鉛蓄電池を組み立てた。
【0020】(従来例3)スズ化合物を全く添加しない
ペースト状正極活物質を調製し、このペースト状正極活
物質を使用して、以下実施例1と同様にして鉛蓄電池を
組み立てた。
【0021】上記の実施例1〜2、従来例1〜3におけ
る鉛蓄電池について、スズ添加量と5時間率定電流放電
における活物質利用率との関係を調べ、その結果を図1
に示した。尚、試験に用いた鉛蓄電池は上記の実施例、
従来例における鉛蓄電池そのものではなく、便宜上、一
枚の正極板をガラスマット付きのセパレータを介して二
枚の負極板で挟んだ構成の供試電池で実施した。比重
1.225の希硫酸中で電槽化成をした後、電解液比重
を1.280に調製した電池である。スズ化合物を含有
しない鉛蓄電池(従来例3)の活物質利用率は50%前
後であり、正極活物質にスズ化合物を含有する鉛蓄電池
では、活物質利用率が向上することが理解できる。しか
し、その向上の程度には、含有するスズ化合物の種類に
よって大きな差がみられる。正極活物質に二酸化スズ水
和物を含有する鉛蓄電池(実施例1,実施例2)では、
わずかな添加量でも活物質利用率の向上が顕著である。
実施例2の鉛蓄電池が実施例1の鉛蓄電池よりも活物質
利用率が高い理由は、予め用意した二酸化スズ水和物の
ゲル状懸濁液をペースト状正極活物質調製時に添加する
ことから、分散性がよいためと考えられる。二酸化スズ
水和物の含有量は、スズ量換算で鉛粉の0.02重量%
を越えても一層の効果はなく、むしろ活物質利用率は低
下する傾向にある。この理由は不明ではあるが、二酸化
スズ水和物の含有量がスズ量換算で鉛粉の0.02重量
%をある程度越えても、二酸化スズ水和物を含有するこ
とによる活物質利用率の優位性は図1から明らかであ
る。
【0022】実施例1〜2及び従来例1〜2における鉛
蓄電池のうち、スズ化合物をスズ量換算で鉛粉の0.0
2重量%添加した鉛蓄電池に対して、JIS重負荷寿命
試験を実施した結果を図2に示した。試験条件は、放電
が20Aで1時間、充電が5Aで5時間である。充放電
は40℃の水槽中に電池を浸漬して行ない、25サイク
ル毎に20Aで放電し、このときの放電持続時間をチェ
ックした。図2は、充放電を繰返したときの前記25サ
イクル毎の放電持続時間の推移を示したものである。正
極活物質に二酸化スズ水和物を含有する実施例1と実施
例2の鉛蓄電池は、電池の寿命期間全般に亘って放電持
続時間が長く高容量であり、充放電可能回数も多く長寿
命である。この理由は、二酸化スズ水和物の正極板中に
おける存在状態が実質的に連続的であり、電池の充放電
を繰り返すに伴い二酸化スズ水和物がその一部又は全部
が二酸化スズとなっても、前記存在状態(ネットワーク
形状)を維持するためである。従って、導電性を有する
前記ネットワークが寿命期間全般に亘り活物質を保持す
ることにより、上記結果が得られるものと考えられる。
尚、実施例1,2のスズ酸ナトリウム三水和物の代わり
にスズ酸カリウム水和物、スズ酸リチウム水和物など他
のスズ酸塩を用いた場合にもほぼ同様の結果が得られ
た。
【0023】(実施例3)三価の金属イオンをドープし
た二酸化スズ水和物を添加する場合の実施例について述
べる。まず、三酸化アンチモンの飽和水溶液225ml
にスズ酸ナトリウム三水和物を1.3g、すなわちスズ
量換算で鉛粉の0.02重量%溶解する。これに、スズ
酸ナトリウムと等モルの硫酸を含む希硫酸(混練用の比
重1.260の希硫酸を一部流用)を撹拌しながら徐々
に加え、三価のアンチモンをドープした二酸化スズ水和
物のゲル状懸濁液を生成させた。以下、これを用いて実
施例2と同様にペースト状正極活物質を調製し、鉛蓄電
池を組み立てた。
【0024】図3は、実施例2〜3と、後述する実施例
4、6、7、8、及び従来例1の鉛蓄電池(実施例2と
従来例1では、スズを鉛粉の0.02重量%含有)に対
して、図2において説明した場合と同様のJIS重負荷
寿命試験を実施した結果を示したものである。図3か
ら、実施例2と実施例3の鉛蓄電池は、従来例1に比べ
初期から寿命期間全般に亘って高容量であり、充放電可
能回数も多く、優れていることが理解できる。また、実
施例3の鉛蓄電池は、実施例2の鉛蓄電池と較べても明
らかに優位であることが理解できる。
【0025】また、表1は、電槽化成後の実施例1〜
3、従来例1〜3の鉛蓄電池(実施例1,2と従来例1
〜3では、スズを鉛粉の0.02重量%含有)に0.1
5CAの電流を流し、負極の電位をカドミウム電極に対
して測定した結果である。表1から、硫酸スズを添加し
たもの(従来例2)は水素過電圧の低下がみられるのに
対し、二酸化スズ水和物ならびにSb3+をドープした二
酸化スズ水和物を添加したことによる水素過電圧の低下
は殆ど認められない。
【0026】
【表1】
【0027】(実施例4)まず、蒸留水225mlにス
ズ酸ナトリウム三水和物を1.3g溶解する。ここに、
常法にしたがって作製した未化成正極板を減圧下(0.
01気圧)で約5秒間浸漬し、その後当該浸漬状態で常
圧に戻す。これを120℃で乾燥し、これを用いて48
Ahの鉛蓄電池を組み立て、電槽化成を行なった。実施
例2の場合と同様の試験条件で充放電を繰返し、実施例
2よりも良好な試験結果が得られた。また、負極の水素
過電圧の低下も殆ど認められなかった。
【0028】(実施例5)次に、五価の金属イオンをド
ープした二酸化スズ水和物を添加する場合の実施例につ
いて述べる。まず、五酸化アンチモン二水和物の飽和水
溶液225mlにスズ酸ナトリウム三水和物を1.3
g、すなわちスズ量換算で鉛粉の0.02重量%溶解す
る。これにスズ酸ナトリウムと等モルの硫酸を含む希硫
酸(混練用の比重1.260の希硫酸を一部流用)を撹
拌しながら徐々に加え、二酸化スズ水和物のゲル状懸濁
液を生成させた。以下、これを用いて実施例2と同様に
ペースト状正極活物質を調製し、鉛蓄電池を組み立て
た。実施例3の場合と同様の試験条件で充放電を繰返
し、実施例3とほぼ同様の試験結果が得られた。また、
負極の水素過電圧の低下も殆ど認められなかった。
【0029】上記の実施例3と実施例5に用いた三酸化
アンチモン及び五酸化アンチモン二水和物は、水に溶け
にくい化合物である。ドープする量を増やすためには、
これらを水酸化カリウム水溶液などのアルカリ溶液に溶
かした後、スズ酸ナトリウム三水和物を加えて硫酸水溶
液と反応させ、ゲル状の二酸化スズ水和物を調製するよ
うにしてもよい。この場合、ゲル状の二酸化スズ水和物
を傾斜法あるいは透析などによって分離し、水洗する。
又、三酸化アンチモンの代わりにSb3+として溶解度の
高い塩化アンチモンを用いてもよい。尚、実施例3,5
のスズ酸ナトリウム三水和物の代わりにスズ酸カリウム
水和物、スズ酸リチウム水和物など他のスズ酸塩を用い
た場合にもほぼ同様の結果が得られた。
【0030】(実施例6)実施例3の場合と同様に、ま
ず、三酸化アンチモンの飽和水溶液225mlにスズ酸
ナトリウム三水和物を1.3g溶解する。ここに、常法
にしたがって作製した未化成正極板を減圧下(0.01
気圧)で約5秒間浸漬し、その後当該浸漬状態で常圧に
戻す。これを120℃で乾燥し、これを用いて48Ah
の鉛蓄電池を組み立て、電槽化成を行なった。実施例3
の場合と同様の試験条件で充放電を繰返し、実施例3よ
りも良好な試験結果が得られた。また、負極の水素過電
圧の低下も殆ど認められなかった。尚、上記減圧条件以
外でも、スズ酸塩水溶液が容易に正極板細孔中に侵入可
能な条件であれば同様な結果が得られる。
【0031】(実施例7)次に、正極活物質にアルカリ
金属の硫酸塩を添加した正極板を用いた場合の実施例に
ついて述べる。まず、ボールミル法で製造した鉛粉を鉛
粉の重量に対して0.2%の硫酸ナトリウムを溶かした
水で練る。続いて、希硫酸で練ることによってペースト
状正極活物質を調製した。このペースト状正極活物質を
鉛−アンチモン系合金(Pb−2.7%Sb−0.2%
As合金)からなる55D23型電池相当の格子体(集
電体)に塗布し、常法にしたがって熟成、乾燥を行なっ
た。作製した未化成正極板を使用し、48Ahの鉛蓄電
池を組み立て、電槽化成を行なった。電槽化成終了後、
一旦電槽を解体し、正極板を水洗、乾燥した。この正極
板を蒸留水225mlにスズ酸ナトリウム三水和物を
1.3g溶解した溶液に約5秒間浸漬する。これを12
0℃で乾燥し、これを用いて48Ahの鉛蓄電池を組み
立てた。
【0032】(実施例8)上記実施例7で用いた、蒸留
水225mlにスズ酸ナトリウム三水和物を1.3g溶
解した溶液の代わりに、三酸化アンチモンの飽和水溶液
225mlにスズ酸ナトリウム三水和物を1.3g溶解
した溶液を用いる以外は実施例7と同条件で電池を作製
した。
【0033】図3に示すように、実施例7、8による電
池は他の実施例よりも一層利用率、寿命特性の良好な結
果となった。また、実施例8は実施例7よりも利用率に
加え、寿命特性の点でも一層有利なものとなった。ま
た、いずれも負極の水素過電圧の低下は殆ど認められな
かった。実施例7、8においては、化成した極板をスズ
酸ナトリウム溶液あるいは三酸化アンチモンをドープし
たスズ酸ナトリウム溶液に実施例4と同条件の減圧下で
の浸漬操作をしたが、未化成の極板を前記減圧下での浸
漬操作をしてもほぼ同様の結果が得られた。又、実施例
8においては三酸化アンチモンをドープしたスズ酸ナト
リウム溶液を用いたが、五酸化アンチモンをドープした
ものを用いてもほぼ同様の結果が得られた。
【0034】スズ酸塩をペースト調製時、あるいはペー
スト調製時及び化成工程時に露出させない場合の実施例
について以下に述べる。 (実施例9)まず、蒸留水50mlにスズ酸ナトリウム
三水和物1.35gを溶解する。このスズ酸ナトリウム
三水和物の量は、鉛粉に対してスズ量換算で0.02重
量%となる量である。続いて、このスズ酸ナトリウム水
溶液にカルボキシメチルセルロース、いわゆるCMCを
5g溶解させた。ここで用いたCMCは、ダイセル化学
工業(株)の品番1310である。このCMCは、エー
テル化度1.0〜1.5で、1重量%水溶液の粘度が1
0〜30cps(B型粘度計、周囲温度25℃、回転速
度60rpm)である。次に、実施例1と同条件で作製
した鉛粉3kgを水225mlで混練し、続いて比重
1.260(20℃)の希硫酸375mlで混練した。
その後上記スズ酸を含むCMCの水溶液を加え、再度混
練し、水分量12.5重量%の鉛ペーストを調製した。
この際、CMCの作用によりスズ酸ナトリウムはペース
ト調製時(混練)初期には露出せず、混練操作中に徐々
にCMCが溶解していき、ペースト調製終了時にはほぼ
全部のCMCが溶解し終わり、スズ酸ナトリウムが露出
し始め、ペースト全域にスズ酸ナトリウムがペースト中
の硫酸と反応しながら拡散し、二酸化スズ水和物が形成
されたものと思われる。これを用い、実施例1と同条件
の過程を経て鉛蓄電池を作製した。この正極板中に含有
されている二酸化スズ水和物は、実施例1と同量となる
よう調整した。 (実施例10)CMCの代わりにメチルセルロース、い
わゆるMCを用いた以外は実施例9と同条件で鉛蓄電池
を作製した。ここで用いたMCは、信越化学工業(株)
の粘度グレード100(2%水溶液の20℃粘度)であ
る。 (実施例11)CMCの代わりに、ケッチェンブラック
EC600JDを3g用いた以外は実施例9と同条件で
鉛蓄電池を作製した。ケッチェンブラックは、開口部を
有する中空構造を備えていることが特徴的であり、スズ
酸は、前記中空部に保持された状態で存在していると考
えられる。従って、ペースト調製時には大部分のスズ酸
は露出していない状態でペースト中に存在していると考
えられる。
【0035】実施例9〜11の電池についてJIS重負
荷寿命試験を行った結果を図3に併せて示す。実施例
9、11は実施例4に比べて極くわずかに放電持続時間
が短かったが、ほぼ同等の特性が得られた。この理由
は、実施例9、11での正極板作製工程において、二酸
化スズ又は二酸化スズ水和物が活物質粒子表面を覆う構
成となったためと考えられる。実施例10は、実施例9
よりも充放電サイクル初期においてわずかに放電持続時
間が長く、その後は実施例9と同等の特性が得られた。
この理由は、実施例10で用いたMCは、実施例9で用
いたCMCよりも希硫酸に溶け易いため、実施例9では
CMCが残存し、充放電サイクル初期にわずかながら二
酸化スズ又は二酸化スズ水和物をマスキングしていたた
めと思われる。また、実施例9〜11ではスズ酸塩を用
いているが、二酸化スズ水和物を用いて同様の処理を行
っても同様の効果が得られる。この場合、前記二酸化ス
ズ水和物に、三酸化アンチモンあるいは五酸化アンチモ
ンををドープしたものを用いると、図3における放電持
続時間が多少長くなる。また、三酸化アンチモンをドー
プしたスズ酸塩あるいは五酸化アンチモンを含むスズ酸
塩を実施例9〜11のに用いたスズ酸塩の代わりに用い
ると、実施例6に比べてわずかに放電持続時間が短かっ
たが実施例6とほぼ同様の特性が得られた。
【0036】以下に二酸化スズ水和物あるいは二酸化ス
ズの分布が、表面から内部に向かうに従い少なくなる正
極板を用いた電池についての実施例について述べる。 (実施例12)まず、スズ酸ナトリウムをスズ量換算
で、2、0.2、0.02、0.002、0.0002
モル計り取り、それぞれを蒸留水に溶解させた。これら
にスズ酸ナトリウムと等モルの硫酸を含む希硫酸を攪拌
しながら徐々に加え、二酸化スズ水和物のゲル状物質を
生成させた。これらにさらに比重1.14の希硫酸(2
0℃)を等量ずつ加えると、その溶液は二酸化スズ水和
物をコロイド粒子としたコロイド状となった。このコロ
イド状の希硫酸を用いて従来例3と同条件で作製した正
極板を化成した。ここで得られた正極板は、二酸化スズ
水和物あるいは二酸化スズの分布が、表面から内部に向
かうに従い少なくなっていた。この正極板を用いてその
後の工程は常法に従い、鉛蓄電池を作製した。 (実施例13)上記コロイド状の希硫酸をガラスマット
からなる公知の平状セパレータの、正極板に面する面に
塗布し、従来例3と同条件で作製した正極板を用い、鉛
蓄電池を作製し、常法に従って電槽化成を行った。電槽
化成後の正極板は、二酸化スズ水和物あるいは二酸化ス
ズの分布が、表面から内部に向かうに従い少なくなって
いた。実施例12、13の電池についてもJIS重負荷
寿命試験を行い、図3に併せて示した。ここで、実施例
12、13の電池に用いた正極板中のスズ量は、図3に
おける他の実施例と同一になるよう調整した。この場
合、スズ酸ナトリウムをスズ量換算で0.02モル計り
取り、コロイド粒子を生成させたものを用いた。その結
果、実施例12、13の電池は、実施例2とほぼ同等の
特性が得られた。尚、実施例12、13の電池について
は低温高率放電試験を実施した。試験条件は、電池を満
充電状態から周囲温度−15℃で0.16時間率で定電
流放電するものである。その試験結果を図4に、スズ添
加量(モル)と活物質利用率との関係として示す。図4
には比較として実施例4、従来例1〜3についても示し
た。上記低温高率放電の条件でも、わずかな二酸化スズ
水和物添加量で高い活物質利用率が得られることがわか
る。実施例12、13の電池は、実施例4よりも活物質
利用率が増加している。この理由は、前述した二酸化ス
ズ水和物あるいは二酸化スズの分布が極板表面から内部
に向かうに従って少なくなる構成の作用に基ずくものと
考えられる。従来例1、2は、添加物量が少ない条件で
はある程度従来例3よりも良好な特性を示すが、添加量
が多くなると従来例3よりも活物質利用率が低下してし
まう。この理由は、硫酸スズや二酸化スズは、添加量の
増加にともない、負極の水素過電圧低下に与える影響が
顕著になり、陰極容量規制の電池になってしまうためと
考えられる。実施例13の電池については、電池内すな
わち電解液中におけるスズイオンの拡散、コロイド粒子
の拡散に伴う負極の水素過電圧の低下が懸念されたが、
表1における実施例2と同程度の値を示していた。実施
例13では平状セパレータを用いたものだったが、袋状
セパレータの内側に上記コロイド状の希硫酸を塗布し、
当該袋状セパレータに正極を収納した以外は実施例12
と同条件で作製した電池は、負極電位は表1における実
施例1と同等の値となった。この電池では、電解液中に
おけるスズイオンの拡散、コロイド粒子の拡散が抑制さ
れたためと考えられる。また、この電池の充放電サイク
ル特性は実施例13と同等だった。 (実施例14)前述した第8の製造法において、実施例
4で用いた未化成極板を比重1.14(20℃)の希硫
酸に実施例2で作製した二酸化スズ水和物を混合し、コ
ロイド状としたものに浸漬した。この正極板は、二酸化
スズ水和物の分布が、表面から内部に向かうに従い少な
くなっていた。この正極板を用いた電池についてJIS
重負荷寿命試験を行い、その結果を図3に併せて示し
た。ここで、正極板中の二酸化スズ水和物量は、図3に
おける他の実施例と同一になるよう調整した。その結
果、実施例12とほぼ同様の特性が得られた。また前記
希硫酸に実施例3で作製した三酸化アンチモンをドープ
した二酸化スズ水和物を混合し、コロイド状としたもの
を実施例5で用いた未化成極板に浸漬すると実施例5と
同様の特性が得られた。 (実施例15)実施例3と同条件でスズ酸に三酸化アン
チモンをドープした二酸化スズ水和物を用い、実施例1
2と同条件の化成工程を経た正極板を用いて鉛蓄電池を
作製した。この正極板は、三酸化アンチモンをドープし
た二酸化スズ水和物の分布が、表面から内部に向かうに
従い少なくなっていた。 (実施例16)実施例7と同条件で活物質にアルカリ金
属の硫酸塩を添加した正極板を用い、実施例3と同条件
で二酸化スズ水和物に三酸化アンチモンをドープした二
酸化スズ水和物を希硫酸に含ませ、実施例12と同条件
の化成工程を経た正極板を用いて鉛蓄電池を作製した。
実施例15、16の電池についてもJIS重負荷寿命試
験を行い、その結果を図3に併せて示した。ここで、実
施例15、16の電池に用いた正極板中の二酸化スズ水
和物量は、図3における他の実施例と同一になるよう調
整した。実施例15は実施例6とほぼ同様の結果が得ら
れた。これは、実施例9、11が実施例4とほぼ同様な
結果が得られているのと同じ理由であると思われる。ま
た、実施例15については、三酸化アンチモンの代わり
に五酸化アンチモンを用いても同様の効果が得られた。
実施例16は実施例8とほぼ同様の結果が得られた。こ
れも実施例15が実施例6と同様の結果が得られている
のと同じ理由であると思われる。実施例12〜15の鉛
蓄電池において、未化成正極板に予めアルカリ金属塩を
含ませておいた場合、図3における放電持続時間は、そ
れぞれ3〜5%増加し、その状態が寿命期間全域に亘り
持続した。また、実施例15、16の電池については実
施例12、13の電池と同条件で低温高率放電試験を行
った。その結果を図4に併せて示す。実施例15につい
ては三酸化アンチモンをドープした二酸化スズ水和物量
を含む正極活物質を用いているため、実施例16につい
ては、実施例15の構成に加えて正極活物質がアルカリ
金属塩を含み、高多孔度化しているため、それぞれ良好
な結果が得られている。実施例12〜14、16の鉛蓄
電池においては、五酸化アンチモンをドープした二酸化
スズ水和物を用いても三酸化アンチモンをドープした二
酸化スズ水和物を用いた場合と同等の特性が得られた。
【0037】本実施例では、電解液量の多い鉛蓄電池に
ついて検討したが、本発明の構成を備えた正極板を用い
ることによって、その他の鉛蓄電池、例えばシール鉛蓄
電池等でも同様の効果が得られる。
【0038】
【発明の効果】本発明に係る鉛蓄電池は、正極活物質に
非常に少ない量の二酸化スズ水和物が存在することで、
電池寿命全般に亘っての活物質利用率が向上し、寿命特
性自体も改善される。したがって、高価なスズ化合物の
使用によるコストの問題は殆どない。また、硫酸スズを
使用した場合のような負極の水素過電圧に与える影響も
殆どない。二酸化スズ水和物として三価又は五価の金属
イオンをドープしたもの使用したときには、寿命期間全
般に亘って活物質利用率がさらに高く高容量であり、電
池寿命も一層長くなる。予めゲル状の二酸化スズ水和物
を調製し、これをペースト状正極活物質に添加する方法
を採用したときには、ペースト状正極活物質への分散性
がよいため、活物質利用率が一層高くなる。正極活物質
表面に主に二酸化スズ水和物または三価又は五価の金属
イオンをドープした二酸化スズ水和物を存在させること
で活物質利用率がさらに高くなる。正極活物質にアルカ
リ金属の硫酸塩を添加した正極板において、熟成後、又
は化成後に二酸化スズ水和物あるいは三価又は五価の金
属イオンをドープした二酸化スズ水和物を添加すること
により、高多孔度でありながら活物質粒子間の結合強度
が強く、かつ、電子伝導性物質のネットワークが正極活
物質表面に形成されているため、利用率、寿命特性の点
で一層有利なものとなる。また、二酸化スズ水和物が表
面から内部に向かうに従い少なくなる正極板を用いるこ
とで、少ない添加物量で低温高率放電特性に優れた鉛蓄
電池を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1,2、従来例1〜3にお
ける鉛蓄電池のスズ添加量と5時間率定電流放電におけ
る活物質利用率との関係を示した曲線図である。
【図2】本発明に係る実施例1,2、従来例1,2にお
ける鉛蓄電池の充放電サイクル特性を示した曲線図であ
る。
【図3】本発明に係る実施例2〜4,6〜16、従来例
1における鉛蓄電池の充放電サイクル特性を示した曲線
図である。
【図4】本発明に係る実施例4、12、13、15、1
6及び従来例1、2、3における低温高率放電特性を示
した曲線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松村 敏之 東京都新宿区西新宿二丁目1番1号 新神 戸電機株式会社内 (72)発明者 坂田 有三 東京都新宿区西新宿二丁目1番1号 新神 戸電機株式会社内 (72)発明者 小牧 昭夫 東京都新宿区西新宿二丁目1番1号 新神 戸電機株式会社内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正極活物質に二酸化スズ水和物を含有して
    いることを特徴とする鉛蓄電池。
  2. 【請求項2】二酸化スズ水和物が三価又は五価の金属イ
    オンをドープしたものであることを特徴とする請求項1
    記載の鉛蓄電池。
  3. 【請求項3】鉛粉に希硫酸を加えてペースト状正極活物
    質を調製する工程においてスズ酸塩の水溶液を添加し、
    調製したペースト状正極活物質を集電体に塗布して得た
    正極板を用いることを特徴とする鉛蓄電池の製造法。
  4. 【請求項4】スズ酸塩の水溶液と硫酸の水溶液を反応さ
    せてゲル状の二酸化スズ水和物を調製し、これを添加し
    て調製したペースト状正極活物質を集電体に塗布して得
    た正極板を用いることを特徴とする鉛蓄電池の製造法。
  5. 【請求項5】三価又は五価の金属イオンを含むスズ酸塩
    の水溶液と硫酸水溶液を反応させて三価又は五価の金属
    イオンをドープした二酸化スズ水和物を調製し、これを
    添加して調製したペースト状活物質を集電体に塗布して
    得た正極板を用いることを特徴とする鉛蓄電池の製造
    法。
  6. 【請求項6】二酸化スズ水和物が正極活物質粒子表面を
    被覆した状態で存在していることを特徴とする請求項1
    又は2記載の鉛蓄電池。
  7. 【請求項7】正極板を、活物質充填後の鉛蓄電池製造工
    程のいずれかの段階でスズ酸塩の水溶液に減圧下で浸漬
    し、その後当該浸漬状態で常圧に戻すことを特徴とする
    鉛蓄電池の製造法。
  8. 【請求項8】正極板を、活物質充填後の鉛蓄電池製造工
    程のいずれかの段階で三価又は五価の金属イオンを含む
    スズ酸塩の水溶液に減圧下で浸漬し、その後当該浸漬状
    態で常圧に戻すことを特徴とする鉛蓄電池の製造法。
  9. 【請求項9】表面が露出しないように処理された二酸化
    スズ水和物あるいはスズ酸塩を、希硫酸を含む正極活物
    質ペーストに含ませ、当該ペースト作製以後の鉛蓄電池
    製造工程のいずれかの段階で当該処理剤を実質的に消失
    させることを特徴とする鉛蓄電池の製造法。
  10. 【請求項10】二酸化スズ水和物が三価又は五価の金属
    イオンをドープしたものであることを特徴とする請求項
    9記載の鉛蓄電池の製造法。
  11. 【請求項11】表面が露出しないようにする処理が、二
    酸化スズ水和物あるいはスズ酸塩を処理剤で被覆する処
    理であることを特徴とする請求項9又は10記載の鉛蓄
    電池の製造法。
  12. 【請求項12】表面が露出しないようにする処理が、二
    酸化スズ水和物あるいはスズ酸塩を微細な孔を有する処
    理剤の孔中に充填する処理であることを特徴とする請求
    項9又は10記載の鉛蓄電池の製造法。
  13. 【請求項13】二酸化スズ水和物の分布が、正極板の表
    面から内部に向かうに従い少なくなっていることを特徴
    とする請求項1又は2又は6記載の鉛蓄電池。
  14. 【請求項14】希硫酸を化成液として用いる正極板の化
    成工程において、前記化成液中に二酸化スズ水和物ある
    いは、三価又は五価の金属イオンをドープした二酸化ス
    ズ水和物を含ませることを特徴とする鉛蓄電池の製造
    法。
  15. 【請求項15】正極板に面するセパレータ面に、二酸化
    スズ水和物あるいは、三価又は五価の金属イオンをドー
    プした二酸化スズ水和物を存在させ、当該二酸化スズ水
    和物を正極板中に移行させることを特徴とする鉛蓄電池
    の製造法。
  16. 【請求項16】セパレータが袋状で、正極板を包み込む
    ことを特徴とする請求項15記載の鉛蓄電池の製造法。
  17. 【請求項17】未化成の正極板に希硫酸を含ませる工程
    において、前記希硫酸中に二酸化スズ水和物あるいは、
    三価又は五価の金属イオンをドープした二酸化スズ水和
    物を含ませることを特徴とする鉛蓄電池の製造法。
  18. 【請求項18】二酸化スズ水和物の一部又は全部が二酸
    化スズとして存在し、二酸化スズの存在状態が正極板中
    で実質的に連続的であることを特徴とする請求項1又は
    6又は13記載の鉛蓄電池。
  19. 【請求項19】二酸化スズ水和物及び二酸化スズが三価
    又は五価の金属イオンをドープしたものであることを特
    徴とする請求項18記載の鉛蓄電池。
  20. 【請求項20】正極活物質が、アルカリ金属の硫酸塩を
    含有する請求項1又は2又は6又は13又は18又は1
    9記載の鉛蓄電池。
  21. 【請求項21】正極活物質に予めアルカリ金属の硫酸塩
    を含有させておく請求項7又は8又は14〜16のいず
    れかに記載の鉛蓄電池の製造法。
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