JP2004055309A - 正極用ペースト状活物質の製造方法及びそれを用いた鉛蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】正極活物質の利用率が高く、低コスト化が可能であり、長寿命な鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】鉛粉、鉛丹、樹脂繊維及び膨張化黒鉛を常圧で混合した後に、水と希硫酸とを加え、減圧状態で混練して正極用ペースト状活物質を製造する。ここで、鉛粉に対して、膨張化黒鉛を0.2〜3.0質量%含有させるようにする。そして、製造した正極用ペースト状活物質を鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に塗着して、ペースト式正極板を作製して鉛蓄電池に用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】鉛粉、鉛丹、樹脂繊維及び膨張化黒鉛を常圧で混合した後に、水と希硫酸とを加え、減圧状態で混練して正極用ペースト状活物質を製造する。ここで、鉛粉に対して、膨張化黒鉛を0.2〜3.0質量%含有させるようにする。そして、製造した正極用ペースト状活物質を鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に塗着して、ペースト式正極板を作製して鉛蓄電池に用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、正極用ペースト状活物質の製造方法及びそれを用いた鉛蓄電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉛蓄電池は安価で信頼性が高いという特徴を有するために、無停電電源装置や自動車用バッテリなどに広く使用されている。近年、これらに使用される鉛蓄電池の低コスト化及び長寿命化の要望が高まっている。
【0003】
これらの鉛蓄電池には、集電体である鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に、ペースト状活物質を塗着して作製するペースト式正極板が一般的に使用されている。そして、鉛蓄電池のコスト低減をするには、正極活物質の利用率を向上させて、ペースト状活物質の充填量を低減する手法が有効である。ここで、正極活物質の利用率を向上させるには、ペースト式正極板の活物質層の多孔度を高くするのが有効であることが知られている。
【0004】
しかしながら、ペースト式正極板の活物質層の多孔度を高くすると、活物質粒子間の密着性が低下して、正極板の導電性が低下し、その結果、高率放電特性が低下するという問題点が認められている。
【0005】
そこで、炭素粉末を添加したペースト状活物質を集電体である格子体に塗着して、導電性を向上させたペースト式正極板を使用する検討がされている。なお、炭素粉末として一般的な鱗片状黒鉛を添加すると、導電性を向上させることができるために、高率放電時における正極活物質の利用率の向上を図ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ペースト状活物質に鱗片状黒鉛を添加すると、化成時において鱗片状黒鉛が膨張して体積変化を起こし、その結果、活物質を構成する粒子間の密着性が低下して鉛蓄電池の寿命が短くなることが知られている。
【0007】
そこで、鱗片状黒鉛に、硫酸をインターカレーションさせ、高温(約1000℃)で処理をし、あらかじめ体積を10倍以上に膨張させてある膨張化黒鉛をペースト状活物質に添加する手法が検討されている。このような膨張化黒鉛を使用すると、化成時における体積変化を抑制することができるために、活物質層を構成する粒子間の密着性の低下を防止できるものと予想される。
【0008】
しかしながら、従来の手法で、鱗片状黒鉛に代えて膨張化黒鉛をペースト状活物質に添加しても、鉛蓄電池の寿命に大幅な向上が認められていないのが現状である。
【0009】
本発明の目的は、低コストであり、高率放電時における正極活物質の利用率を向上させることができるとともに、長寿命な鉛蓄電池の製造が可能な正極用ペースト状活物質の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために本発明では、一酸化鉛を主成分とする鉛粉、鉛丹、樹脂繊維及び膨張化黒鉛を常圧で混合した後に、水と希硫酸とを加えて減圧状態で混練して正極用ペースト状活物質を作製し、これをペースト式正極板に使用するものである。
【0011】
すなわち、請求項1の発明は、鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に塗着して、ペースト式正極板を作製するための正極用ペースト状活物質の製造方法であって、
前記正極用ペースト状活物質には、鉛粉、鉛丹、樹脂繊維及び膨張化黒鉛が含まれており、該正極用ペースト状活物質は、前記鉛粉、前記鉛丹、前記樹脂繊維及び前記膨張化黒鉛と希硫酸とを減圧状態で混練して作製したものであることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の正極用ペースト状活物質の製造方法において、鉛粉に対して、膨張化黒鉛を0.2〜3.0質量%含有させることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載した正極用ペースト状活物質を、ペースト式正極板に用いることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる実施の形態について、以下において詳細に説明する。
【0015】
1.制御弁式鉛蓄電池の作製
後述する4種類の手法で作製した正極用ペースト状活物質を用いて制御弁式鉛蓄電池を作製して実験した。すなわち、それぞれの仕様の正極用ペースト状活物質500gを、w140mm × 1240mm × t4.2mmの鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に塗布・充填し、温度が80℃、湿度が95%の雰囲気で10時間熟成し、50℃で乾燥して、未化活物質が四塩基性硫酸鉛(4PbO・PbSO4)である正極板を得た。
【0016】
一方、負極板としては、w140mm × 1240mm × t2.4mmの鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に、ペースト状活物質を塗着して作製した従来から使用している負極板を使用した。
【0017】
前記した正極板が7枚と負極板が8枚とを、ガラス繊維製のリテーナを介して積層・溶接して極板群を組み立て、該極板群をABS製の電槽に組み込んだ後に、濃度が28質量%の希硫酸電解液を注入した。そして電解液比重が1.280(20℃)となるように電槽化成をし、公称容量が200Ah−2Vの制御弁式鉛蓄電池を作製した。なお、正極板以外の制御弁式鉛蓄電池の構成部品や組立て条件等は、従来から用いられている手法と同一である。
【0018】
2.制御弁式鉛蓄電池の試験
後述する作成条件の異なる正極用ペースト状活物質を用いた制御弁式鉛蓄電池は、25℃、32A(0.16CA)の定電流で、終止電圧として1.75Vまで放電して初期の放電容量を測定した。
【0019】
その後、それぞれの制御弁式鉛蓄電池は、60℃、2.23Vで連続して過充電を行うトリクル寿命試験をした。各制御弁式鉛蓄電池は、30日毎に25℃、32A(0.16CA)で終止電圧として1.75Vまで放電し、放電容量が160Ahを切った時点を寿命とした。そして、寿命に達していない制御弁式鉛蓄電池は、10A(0.05CA)の定電流で放電量の120%を充電した後に、上記した条件でトリクル寿命試験を継続した。
【0020】
【実施例】
以下に、本発明に係わる実施例及び比較例1〜3について、図1〜4を用いて詳細に説明する。
【0021】
(実施例)
本発明に係わる実施例として、図1に示す手法で正極用ペースト状活物質を作製した。ここで、混練装置として、減圧した状態でペースト状活物質の混練が可能なアイリッヒ混練装置(R02VAC型、アイリッヒ製)を用いた。
【0022】
すなわち、図1に示ように、アイリッヒ混練装置に一酸化鉛を主成分とする鉛粉が85質量部、鉛丹が15質量部、樹脂繊維が0.1質量部、膨張化黒鉛が0.5質量部を入れて約15分間混合する。ここで、本実施例では平均粒径が40μmの膨張化黒鉛(日本黒鉛製:商品名CMX)を使用した。
【0023】
そして、適量の水と濃度が35質量%の希硫酸15重量部とを加え、約40℃で70〜100hPaに減圧した状態で約15分間混練して正極用ペースト状活物質を作製した。なお、正極用ペースト状活物質の塗着性を考慮して、水分量を調整している。
【0024】
作製した正極用ペースト状活物質を用いてペースト式正極板、制御弁式鉛蓄電池を作製して初期の放電容量試験及び寿命試験をした。なお、ペースト式正極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び試験条件等の詳細は、上記したものである。
【0025】
(比較例1)
比較例1として、図2に示す手法で正極用ペースト状活物質を作製した。ここで、ペースト状活物質の混練装置として、ミックスマラ(1SS−OL型、新東工業製)を用いた。なお、ミックスマラは、大気圧でのみ混練できる装置である。
【0026】
すなわち、図2に示ように、前記混練装置に一酸化鉛を主成分とする鉛粉が85質量部、鉛丹が15質量部、樹脂繊維が0.1質量部を入れて約15分間混合する。
【0027】
そして、適量の水と濃度が35質量%の希硫酸15重量部とを加え、大気圧で約30分間混練して正極用ペースト状活物質を作製した。なお、正極用ペースト状活物質の塗着性を考慮して、その水分量を調整している。
【0028】
作製した正極用ペースト状活物質を用いてペースト式正極板、制御弁式鉛蓄電池を作製して初期の放電容量試験及び寿命試験をした。なお、ペースト式正極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び試験条件等の詳細は、上記したものである。
【0029】
(比較例2)
比較例2として、図3に示す手法で正極用ペースト状活物質を作製した。ここで、ペースト状活物質の混練装置として、比較例1で使用したミックスマラを用いた。
【0030】
すなわち、図3に示ように、前記混練装置に一酸化鉛を主成分とする鉛粉が85質量部、鉛丹が15質量部、樹脂繊維が0.1質量部、鱗片状黒鉛が0.5質量部を入れて約15分間混合する。ここで、本実施例では日本黒鉛製の鱗片状黒鉛(商品名ACB50)を使用した。
【0031】
そして、適量の水と濃度が35質量%の希硫酸15重量部とを加え、常圧で約15分間混練して正極用ペースト状活物質を作製した。なお、正極用ペースト状活物質の塗着性を考慮して、水分量を調整している。
【0032】
作製した正極用ペースト状活物質を用いてペースト式正極板、制御弁式鉛蓄電池を作製して初期の放電容量試験及び寿命試験をした。なお、ペースト式正極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び試験条件等の詳細は、上記したものである。
【0033】
(比較例3)
比較例3として、図4に示す手法で正極用ペースト状活物質を作製した。ここで、ペースト状活物質の混練装置として、比較例1で使用したミックスマラを用いた。
【0034】
すなわち、図4に示ように、前記混練装置に一酸化鉛を主成分とする鉛粉が85質量部、鉛丹が15質量部、樹脂繊維が0.1質量部、膨張化黒鉛が0.5質量部を入れて約15分間混合する。ここで、本実施例では平均粒径が40μmの膨張化黒鉛(日本黒鉛製:商品名CMX)を使用した。
【0035】
そして、適量の水と濃度が35質量%の希硫酸15重量部とを加え、大気圧で約30分間混練して正極用ペースト状活物質を作製した。なお、正極用ペースト状活物質の塗着性を考慮して、水分量を調整している。
【0036】
作製した正極用ペースト状活物質を用いてペースト式正極板、制御弁式鉛蓄電池を作製して初期の放電容量試験及び寿命試験をした。なお、ペースト式正極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び試験条件等の詳細は、上記したものである。
【0037】
作製した制御弁式鉛蓄電池を上記した手法で、初期の高率放電特性及びサイクル寿命を測定した結果を表1に示す。表1から、本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池は、活物質の利用率が向上するために初期の放電容量を大きくでき、且つ、長寿命化することができる。すなわち、正極活物質の利用率が向上するために、使用する鉛紛量等を低減でき、制御弁式鉛蓄電池を低コスト化することができる。
【0038】
この理由として、膨張化黒鉛を用いることによって、化成時における体積変化が少ないために活物質を構成する粒子間の密着性を良好にできることや、減圧状態で混練することによって、ペースト状活物質中の空気を十分に脱泡することができ、膨張化黒鉛と鉛粉等との密着性が向上しているためと考えられる。
【0039】
なお、上記した実施例では、鉛粉に対して膨張化黒鉛を0.5質量%添加した例を示したが、該膨張化黒鉛を0.2〜3質量%添加した場合においても、ほぼ同様の良好な結果が得られた。なお、本実施例では、本発明に係わる正極用ペースト状活物質を制御弁式鉛蓄電池に用いた例を示したが、自動車用などのいわゆる液電池に用いた場合にもほぼ同様の良好な結果が得られた。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係わる正極用ペースト状活物質を用いると、正極活物質の利用率が高いために初期の放電容量が高くでき、低コスト化が可能であり、長寿命な鉛蓄電池を提供できるために工業上きわめて優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる正極用ペースト状活物質の製造方法である。
【図2】比較例1の正極用ペースト状活物質の製造方法である。
【図3】比較例2の正極用ペースト状活物質の製造方法である。
【図4】比較例3の正極用ペースト状活物質の製造方法である。
【発明が属する技術分野】
本発明は、正極用ペースト状活物質の製造方法及びそれを用いた鉛蓄電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉛蓄電池は安価で信頼性が高いという特徴を有するために、無停電電源装置や自動車用バッテリなどに広く使用されている。近年、これらに使用される鉛蓄電池の低コスト化及び長寿命化の要望が高まっている。
【0003】
これらの鉛蓄電池には、集電体である鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に、ペースト状活物質を塗着して作製するペースト式正極板が一般的に使用されている。そして、鉛蓄電池のコスト低減をするには、正極活物質の利用率を向上させて、ペースト状活物質の充填量を低減する手法が有効である。ここで、正極活物質の利用率を向上させるには、ペースト式正極板の活物質層の多孔度を高くするのが有効であることが知られている。
【0004】
しかしながら、ペースト式正極板の活物質層の多孔度を高くすると、活物質粒子間の密着性が低下して、正極板の導電性が低下し、その結果、高率放電特性が低下するという問題点が認められている。
【0005】
そこで、炭素粉末を添加したペースト状活物質を集電体である格子体に塗着して、導電性を向上させたペースト式正極板を使用する検討がされている。なお、炭素粉末として一般的な鱗片状黒鉛を添加すると、導電性を向上させることができるために、高率放電時における正極活物質の利用率の向上を図ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ペースト状活物質に鱗片状黒鉛を添加すると、化成時において鱗片状黒鉛が膨張して体積変化を起こし、その結果、活物質を構成する粒子間の密着性が低下して鉛蓄電池の寿命が短くなることが知られている。
【0007】
そこで、鱗片状黒鉛に、硫酸をインターカレーションさせ、高温(約1000℃)で処理をし、あらかじめ体積を10倍以上に膨張させてある膨張化黒鉛をペースト状活物質に添加する手法が検討されている。このような膨張化黒鉛を使用すると、化成時における体積変化を抑制することができるために、活物質層を構成する粒子間の密着性の低下を防止できるものと予想される。
【0008】
しかしながら、従来の手法で、鱗片状黒鉛に代えて膨張化黒鉛をペースト状活物質に添加しても、鉛蓄電池の寿命に大幅な向上が認められていないのが現状である。
【0009】
本発明の目的は、低コストであり、高率放電時における正極活物質の利用率を向上させることができるとともに、長寿命な鉛蓄電池の製造が可能な正極用ペースト状活物質の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために本発明では、一酸化鉛を主成分とする鉛粉、鉛丹、樹脂繊維及び膨張化黒鉛を常圧で混合した後に、水と希硫酸とを加えて減圧状態で混練して正極用ペースト状活物質を作製し、これをペースト式正極板に使用するものである。
【0011】
すなわち、請求項1の発明は、鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に塗着して、ペースト式正極板を作製するための正極用ペースト状活物質の製造方法であって、
前記正極用ペースト状活物質には、鉛粉、鉛丹、樹脂繊維及び膨張化黒鉛が含まれており、該正極用ペースト状活物質は、前記鉛粉、前記鉛丹、前記樹脂繊維及び前記膨張化黒鉛と希硫酸とを減圧状態で混練して作製したものであることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の正極用ペースト状活物質の製造方法において、鉛粉に対して、膨張化黒鉛を0.2〜3.0質量%含有させることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載した正極用ペースト状活物質を、ペースト式正極板に用いることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる実施の形態について、以下において詳細に説明する。
【0015】
1.制御弁式鉛蓄電池の作製
後述する4種類の手法で作製した正極用ペースト状活物質を用いて制御弁式鉛蓄電池を作製して実験した。すなわち、それぞれの仕様の正極用ペースト状活物質500gを、w140mm × 1240mm × t4.2mmの鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に塗布・充填し、温度が80℃、湿度が95%の雰囲気で10時間熟成し、50℃で乾燥して、未化活物質が四塩基性硫酸鉛(4PbO・PbSO4)である正極板を得た。
【0016】
一方、負極板としては、w140mm × 1240mm × t2.4mmの鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に、ペースト状活物質を塗着して作製した従来から使用している負極板を使用した。
【0017】
前記した正極板が7枚と負極板が8枚とを、ガラス繊維製のリテーナを介して積層・溶接して極板群を組み立て、該極板群をABS製の電槽に組み込んだ後に、濃度が28質量%の希硫酸電解液を注入した。そして電解液比重が1.280(20℃)となるように電槽化成をし、公称容量が200Ah−2Vの制御弁式鉛蓄電池を作製した。なお、正極板以外の制御弁式鉛蓄電池の構成部品や組立て条件等は、従来から用いられている手法と同一である。
【0018】
2.制御弁式鉛蓄電池の試験
後述する作成条件の異なる正極用ペースト状活物質を用いた制御弁式鉛蓄電池は、25℃、32A(0.16CA)の定電流で、終止電圧として1.75Vまで放電して初期の放電容量を測定した。
【0019】
その後、それぞれの制御弁式鉛蓄電池は、60℃、2.23Vで連続して過充電を行うトリクル寿命試験をした。各制御弁式鉛蓄電池は、30日毎に25℃、32A(0.16CA)で終止電圧として1.75Vまで放電し、放電容量が160Ahを切った時点を寿命とした。そして、寿命に達していない制御弁式鉛蓄電池は、10A(0.05CA)の定電流で放電量の120%を充電した後に、上記した条件でトリクル寿命試験を継続した。
【0020】
【実施例】
以下に、本発明に係わる実施例及び比較例1〜3について、図1〜4を用いて詳細に説明する。
【0021】
(実施例)
本発明に係わる実施例として、図1に示す手法で正極用ペースト状活物質を作製した。ここで、混練装置として、減圧した状態でペースト状活物質の混練が可能なアイリッヒ混練装置(R02VAC型、アイリッヒ製)を用いた。
【0022】
すなわち、図1に示ように、アイリッヒ混練装置に一酸化鉛を主成分とする鉛粉が85質量部、鉛丹が15質量部、樹脂繊維が0.1質量部、膨張化黒鉛が0.5質量部を入れて約15分間混合する。ここで、本実施例では平均粒径が40μmの膨張化黒鉛(日本黒鉛製:商品名CMX)を使用した。
【0023】
そして、適量の水と濃度が35質量%の希硫酸15重量部とを加え、約40℃で70〜100hPaに減圧した状態で約15分間混練して正極用ペースト状活物質を作製した。なお、正極用ペースト状活物質の塗着性を考慮して、水分量を調整している。
【0024】
作製した正極用ペースト状活物質を用いてペースト式正極板、制御弁式鉛蓄電池を作製して初期の放電容量試験及び寿命試験をした。なお、ペースト式正極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び試験条件等の詳細は、上記したものである。
【0025】
(比較例1)
比較例1として、図2に示す手法で正極用ペースト状活物質を作製した。ここで、ペースト状活物質の混練装置として、ミックスマラ(1SS−OL型、新東工業製)を用いた。なお、ミックスマラは、大気圧でのみ混練できる装置である。
【0026】
すなわち、図2に示ように、前記混練装置に一酸化鉛を主成分とする鉛粉が85質量部、鉛丹が15質量部、樹脂繊維が0.1質量部を入れて約15分間混合する。
【0027】
そして、適量の水と濃度が35質量%の希硫酸15重量部とを加え、大気圧で約30分間混練して正極用ペースト状活物質を作製した。なお、正極用ペースト状活物質の塗着性を考慮して、その水分量を調整している。
【0028】
作製した正極用ペースト状活物質を用いてペースト式正極板、制御弁式鉛蓄電池を作製して初期の放電容量試験及び寿命試験をした。なお、ペースト式正極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び試験条件等の詳細は、上記したものである。
【0029】
(比較例2)
比較例2として、図3に示す手法で正極用ペースト状活物質を作製した。ここで、ペースト状活物質の混練装置として、比較例1で使用したミックスマラを用いた。
【0030】
すなわち、図3に示ように、前記混練装置に一酸化鉛を主成分とする鉛粉が85質量部、鉛丹が15質量部、樹脂繊維が0.1質量部、鱗片状黒鉛が0.5質量部を入れて約15分間混合する。ここで、本実施例では日本黒鉛製の鱗片状黒鉛(商品名ACB50)を使用した。
【0031】
そして、適量の水と濃度が35質量%の希硫酸15重量部とを加え、常圧で約15分間混練して正極用ペースト状活物質を作製した。なお、正極用ペースト状活物質の塗着性を考慮して、水分量を調整している。
【0032】
作製した正極用ペースト状活物質を用いてペースト式正極板、制御弁式鉛蓄電池を作製して初期の放電容量試験及び寿命試験をした。なお、ペースト式正極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び試験条件等の詳細は、上記したものである。
【0033】
(比較例3)
比較例3として、図4に示す手法で正極用ペースト状活物質を作製した。ここで、ペースト状活物質の混練装置として、比較例1で使用したミックスマラを用いた。
【0034】
すなわち、図4に示ように、前記混練装置に一酸化鉛を主成分とする鉛粉が85質量部、鉛丹が15質量部、樹脂繊維が0.1質量部、膨張化黒鉛が0.5質量部を入れて約15分間混合する。ここで、本実施例では平均粒径が40μmの膨張化黒鉛(日本黒鉛製:商品名CMX)を使用した。
【0035】
そして、適量の水と濃度が35質量%の希硫酸15重量部とを加え、大気圧で約30分間混練して正極用ペースト状活物質を作製した。なお、正極用ペースト状活物質の塗着性を考慮して、水分量を調整している。
【0036】
作製した正極用ペースト状活物質を用いてペースト式正極板、制御弁式鉛蓄電池を作製して初期の放電容量試験及び寿命試験をした。なお、ペースト式正極板や制御弁式鉛蓄電池の作製条件及び試験条件等の詳細は、上記したものである。
【0037】
作製した制御弁式鉛蓄電池を上記した手法で、初期の高率放電特性及びサイクル寿命を測定した結果を表1に示す。表1から、本発明に係わる制御弁式鉛蓄電池は、活物質の利用率が向上するために初期の放電容量を大きくでき、且つ、長寿命化することができる。すなわち、正極活物質の利用率が向上するために、使用する鉛紛量等を低減でき、制御弁式鉛蓄電池を低コスト化することができる。
【0038】
この理由として、膨張化黒鉛を用いることによって、化成時における体積変化が少ないために活物質を構成する粒子間の密着性を良好にできることや、減圧状態で混練することによって、ペースト状活物質中の空気を十分に脱泡することができ、膨張化黒鉛と鉛粉等との密着性が向上しているためと考えられる。
【0039】
なお、上記した実施例では、鉛粉に対して膨張化黒鉛を0.5質量%添加した例を示したが、該膨張化黒鉛を0.2〜3質量%添加した場合においても、ほぼ同様の良好な結果が得られた。なお、本実施例では、本発明に係わる正極用ペースト状活物質を制御弁式鉛蓄電池に用いた例を示したが、自動車用などのいわゆる液電池に用いた場合にもほぼ同様の良好な結果が得られた。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係わる正極用ペースト状活物質を用いると、正極活物質の利用率が高いために初期の放電容量が高くでき、低コスト化が可能であり、長寿命な鉛蓄電池を提供できるために工業上きわめて優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる正極用ペースト状活物質の製造方法である。
【図2】比較例1の正極用ペースト状活物質の製造方法である。
【図3】比較例2の正極用ペースト状活物質の製造方法である。
【図4】比較例3の正極用ペースト状活物質の製造方法である。
Claims (3)
- 鉛−カルシウム−錫合金製の格子体に塗着して、ペースト式正極板を作製するための正極用ペースト状活物質の製造方法であって、
前記正極用ペースト状活物質には、鉛粉、鉛丹、樹脂繊維及び膨張化黒鉛が含まれており、該正極用ペースト状活物質は、前記鉛粉、前記鉛丹、前記樹脂繊維及び前記膨張化黒鉛と希硫酸とを減圧状態で混練して作製したものであることを特徴とする正極用ペースト状活物質の製造方法。 - 前記鉛粉に対して、前記膨張化黒鉛を0.2〜3.0質量%含有させることを特徴とする請求項1記載の正極用ペースト状活物質の製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載した正極用ペースト状活物質を、ペースト式正極板に用いることを特徴とする鉛蓄電池。
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