JP2001185151A - 密閉形鉛蓄電池 - Google Patents

密閉形鉛蓄電池

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伸一 佐野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】負極活物質の利用率を高くすることによって、
負極板に用いる鉛粉量を低減し、軽量な密閉形鉛蓄電池
を提供する。 【解決手段】鉛粉に対して、平均粒子径が0.1μm以下
のアセチレンブラックを0.2〜2.0質量%、平均粒子径が
1μm以上のグラファイトを0.05〜0.2質量%それぞれ含
有した負極板用のペースト状活物質を作成する。該ペー
スト状活物質を鉛合金製の集電体に充填し、熟成・乾燥
させてペースト式負極板を作成し、該ペースト式負極板
に用いて密閉形鉛蓄電池を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、密閉形鉛蓄電池に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】密閉形鉛蓄電池は安価で信頼性が高いと
いう特徴を有するため、無停電電源装置や自動車用バッ
テリーなどに広く使用されている。最近、これらに用い
られる密閉形鉛蓄電池の軽量化が強く要求されている。
【0003】密閉形鉛蓄電池を軽量化するには、正極板
又は負極板に用いられている活物質の利用率を高くする
ことによって、活物質量を低減する手法が有効である。
なお、密閉形鉛蓄電池は一般的に、正極活物質に比べて
負極活物質の利用率が低く、正極活物質量に対して余分
の負極活物質量を充填しないと、十分な放電容量が得ら
れないという問題点がある。そして、この傾向は高率放
電時に著しいことも知られている。そこで、負極活物質
中にカーボンやグラファイトなどの電気化学的に安定
で、導電性を有する炭素粉末を添加する手法を用いるこ
とによって、負極活物質の利用率を高くする検討がされ
てきた。
【0004】なお、密閉形鉛蓄電池用のペースト式負極
板は、集電体として鉛合金製の格子体を用い、該格子体
にペースト状の活物質を塗着し、熟成・乾燥して作製す
るのが一般的である。しかしながら、通常得られるよう
な一般的な炭素粉末をペースト状活物質に添加しても、
満足できるような負極活物質の利用率の向上が認められ
ていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、最適
な炭素粉末を負極活物質に含有させることによってその
利用率を向上させ、軽量な密閉形鉛蓄電池を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、第一の発明は、鉛粉を主成分とするペースト状
活物質を、鉛合金製の集電体に充填して作製するペース
ト式負極板を用いる密閉形鉛蓄電池において、前記ペー
スト状活物質は、前記鉛粉に対して平均粒子径が0.1μ
m以下のアセチレンブラックを0.2〜2.0質量%含有する
ものであることを特徴としている。
【0007】第二の発明は、前記第一の発明のペースト
状活物質中に、前記鉛粉に対して、さらに平均粒子径が
1μm以上のグラファイトを0.05〜0.2質量%含有させる
ことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】1.負極板用ペースト状活物質の
作製 一酸化鉛を70〜80質量%含む鉛粉を3kg、該鉛粉質量に対
してリグニン粉末を0.4質量%、硫酸バリウム粉末を1
質量%、濃度が35質量%の希硫酸を173ml、適量の水を
加えて混練し、負極用のペースト状活物質を作製した。
本発明では、この負極用のペースト状活物質に、後述す
るアセチレンブラックやグラファイトなどの炭素粉末を
添加して再び混練する。そして、JIS規格の針入度測
定装置(離合社製)を用いて、それぞれの負極用ペース
ト状活物質について針入度の測定を行い、適量の水を添
加することによりその針入度を80〜120mm-1に調整し
た。なお、炭素粉末の平均粒子径の測定には、レーザー
回折式粒度分布測定装置(LA-500、堀場製作所製)を用
いた。
【0009】2.密閉形鉛蓄電池の作製 作製した負極用ペースト状活物質を、w109mm × 1140mm
× t2.0mmの鉛−カルシウム合金製の格子体に充填し、
40℃、湿度98質量%の大気中で24h熟成し、72h乾燥させ
て未化成の負極板を作製した。一方、正極板としては、
従来から使用しているものを用いた。
【0010】作製した負極板が3枚と正極板が2枚とを、
ガラス繊維製のリテーナを介して積層して極板群を組み
立て、該極板群をABS製の電槽に組み込み、比重が1.
21(20℃)の希硫酸電解液を注入する。その後、充電量
が250%、化成時間が88h、周囲温度が60℃の条件で電槽
化成をして、30Ah-2Vの密閉形鉛蓄電池を作製した。
【0011】3.密閉形鉛蓄電池の放電容量試験 作製した密閉形鉛蓄電池は、3Aで放電(25℃、放電終止
電圧:1.8V)して、初期の放電容量を測定して異常がな
いことを確認する。そして、この密閉形鉛蓄電池を解体
して正極板が2枚、負極板が1枚の構成要素とする、負
極板の容量が支配する密閉形鉛蓄電池に組み直して、該
負極板の放電容量を測定する試験を行った。
【0012】25℃の雰囲気で、1.5A(0.05CA)の電流値
で放電容量に対して120%を充電し、0.1CAの電流値放電
(放電終止電圧1.8V)することを計4サイクル行い、放
電容量が安定する4サイクル目の放電容量を測定し、該
放電容量と負極活物質の充填量との関係から負極活物質
の利用率を求めた。
【0013】
【実施例】以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0014】(実施例1、2、比較例1、2)上記した
負極板用のペースト状活物質に、平均粒子径がそれぞれ
0.05μm、0.10μm、0.15μmのアセチレンブラックを
鉛粉に対して1質量%添加した負極板と、アセチレンブ
ラックを添加しない負極板とを作成して実験した。前記
した手法で負極板用活物質の利用率及び放電容量を測定
した結果を表1に示す。
【0015】表1より、平均粒子径が0.1μm以下のア
セチレンブラックを用いると、負極活物質の利用率が高
く、少ない負極活物質量でも同程度の放電容量を得るこ
とができるため優れていることがわかる。
【0016】
【表1】
【0017】(比較例1、3、実施例1、3、4)平均
粒子径が0.05μmのアセチレンブラックを用い、上記し
た鉛粉に対して、それぞれ0.1、0.2、1.0、2.0、5.0質
量%添加した負極板用のペースト状活物質を用いて負極
板を作成して実験した。前記した手法で負極用活物質の
利用率を測定した結果を表2に示す。
【0018】表2から、鉛粉に対して0.2〜2.0質量%の
アセチレンブラックを添加すると、負極活物質の利用率
が高く、少ない負極活物質量でも同程度の放電容量を得
ることができるため好ましいことがわかる。
【0019】
【表2】
【0020】(実施例3、5〜7)上記した鉛粉に対し
て、平均粒子径が0.05μmのアセチレンブラックを0.2
質量%、平均粒子径がそれぞれ0.5、1、2μmの3種類
のグラファイトを0.1質量%添加した負極板用のペース
ト状活物質を用いて負極板を作成して実験した。そし
て、前記した手法で負極活物質の利用率を測定した結果
を表3に示す。
【0021】表3から、平均粒子径が1μm以上のグラ
ファイトを添加すると、少ない負極活物質量でも同程度
の放電容量を得ることができるため好ましいことがわか
る。
【0022】
【表3】
【0023】(実施例6、8〜10)上記した鉛粉に対
して、平均粒子径が0.05μmのアセチレンブラックを0.
2質量%、平均粒子径が1μmのグラファイトをそれぞれ
0.02、0.05、0.1、0.2質量%添加した負極板用のペース
ト状活物質を用いて負極板を作成して実験した。そし
て、前記した手法で負極活物質の利用率を測定した結果
を表4に示す。
【0024】表4から、鉛粉に対してグラファイトを0.
05〜0.2質量%添加すると、少ない負極活物質量でも同
程度の放電容量を得ることができるため好ましいことが
わかる。本発明を用いた(実施例8〜10)では、従来
使用していた(比較例1)に比べると、鉛粉の質量を約
2割程度減らすことができるため、材料費の低減及び密
閉形鉛蓄電池の軽量化において優れたものである。
【0025】
【表4】
【0026】
【発明の効果】上述したように本発明を用いると、負極
活物質の利用率を高くすることができるため、負極板に
用いる鉛粉量を低減できる。その結果、密閉形鉛蓄電池
の軽量化が可能となるため工業上優れたものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉛粉を主成分とするペースト状活物質を、
    鉛合金製の集電体に充填して作製するペースト式負極板
    を用いる密閉形鉛蓄電池において、前記ペースト状活物
    質は、前記鉛粉に対して平均粒子径が0.1μm以下のア
    セチレンブラックを0.2〜2.0質量%含有するものである
    ことを特徴とする密閉形鉛蓄電池。
  2. 【請求項2】前記ペースト状活物質は、前記鉛粉に対し
    て平均粒子径が1μm以上のグラファイトを0.05〜0.2質
    量%含有するものであることを特徴とする請求項1記載
    の密閉形鉛蓄電池。
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