JPH08178825A - 粒度分布測定装置 - Google Patents

粒度分布測定装置

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JPH08178825A JP6324257A JP32425794A JPH08178825A JP H08178825 A JPH08178825 A JP H08178825A JP 6324257 A JP6324257 A JP 6324257A JP 32425794 A JP32425794 A JP 32425794A JP H08178825 A JPH08178825 A JP H08178825A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高濃度の試料懸濁液を希釈することなく、し
かも多重散乱を生じさせることなく、正確に散乱光強度
分布を測定して誤差の少ない粒度分布測定を行うことの
できる粒度分布測定装置を提供する。 【構成】 レーザ光を照射すべく被測定粒子群を収容す
る試料セル3を、2枚のガラス板31,32と、これら
を照射レーザ光の光軸に交差させた状態で着脱自在に保
持する支持部材33によって構成し、その2枚のガラス
板31,32の間に、被測定粒子群が媒液中に分散して
なる懸濁液Sを挟み込んだ状態で静的に保持するように
構成し、薄い懸濁液層にレーザ光を照射することによっ
て高濃度懸濁液でも多重散乱を生じさせないようにす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレーザ回折/散乱式の粒
度分布測定装置に関し、特に、粒子が媒液中に高濃度で
分散しているような試料の粒度分布を測定するのに適し
た粒度分布測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ回折/散乱式の粒度分布測定装置
においては、分散状態の粒子群にレーザ光を照射するこ
とによって発生する回折/散乱光の空間強度分布を測定
するとともに、その測定結果をフラウンホーファ回折理
論またはミー散乱理論に基づいて試料粒子群の粒度分布
に換算する。
【0003】すなわち、粒子にレーザ光を照射すると、
レーザ光はその粒子によって回折または散乱する。その
回折/散乱光の強度分布パターンは、粒子の大きさによ
って変化する。レーザ回折/散乱式の粒度分布測定装置
はこのような原理を利用したもので、分散状態の粒子群
にレーザ光を照射することによって得られる回折/散乱
光の空間強度分布を測定することによって、粒子群の粒
度分布を算出する。実際の粒子群は、大きさの異なる粒
子が混在しているため、粒子群による回折/散乱光の強
度分布パターンは、それぞれの粒子からの回折/散乱光
の重ね合わせとなる。
【0004】実際の装置においては、図7にその基本的
構成例を模式的に示すように、レーザ光源71からの出
力光をコリメータ72によって平行光束にして分散状態
の粒子群に照射し、粒子群による回折/散乱光のうち、
前方への回折/散乱光はレンズ73によって集光してそ
の焦点距離の位置にリング状の回折/散乱像を結ばせる
とともに、その位置には、互いに異なる半径を持つリン
グ状ないしは半リング状の複数の受光面を持つ光センサ
の集合体であるリングデテクタ74を配置して、前方所
定角度範囲における回折/散乱角度ごとの光強度を測定
する。また、側方および後方への散乱光は、それぞれ独
立した側方散乱光センサ75および後方散乱光センサ7
6によって検出する。
【0005】このようにして得られた回折/散乱光の空
間強度分布は、前記したように大きさの異なる多数の粒
子からのそれぞれの回折/散乱光の重ね合わせたもので
あって、これをマトリクス(行列)で表現すると、
【0006】
【数1】
【0007】となる。光強度分布ベクトルの各要素si
(i=1,2,・・・・m)は、前方、側方等に置かれた回
折/散乱光強度検出用の各光センサ素子への入射光量で
ある。また、粒度分布ベクトルの各要素qj (j=1,
2,・・・・n)は、粒度分布範囲を有限とし、この範囲内
をn分割するとともに、最大値をd1 、最小値をdn+1
とし、それぞれの分割区間〔dj,j+1 〕を一つの粒子
径xj (j=1,2,・・・・j)で代表させたとき、その
各粒子径xj に対応して
【0008】
【数2】
【0009】となるように正規化(ノルマライズ)して
表した相対粒子量(%)である。係数行列A(マトリク
ス)は、粒度分布q(ベクトル)を、光強度分布s(ベ
クトル)に変換する係数行列であり、その各要素ai,j
(i=1,2,・・・・m,j=1,2,・・・・n)の物理的
意味は、粒子径xj の単位粒子量の粒子群によって回折
/散乱した光を、光強度分布を測定するためのセンサ群
のうち、最も小角度側に置かれたものからi番目の素子
で検出した光強度である。このai,j の数値は、理論的
に計算することができる。これには、光源となるレーザ
光の波長に比べて粒子径が十分に大きい場合には、フラ
ウンホーファ回折理論を用いる。しかし、粒子径が粒子
径がレーザ波長と同等か、それより小さいサブミクロン
の領域では、ミー散乱理論を用いる必要がある。フラウ
ンホーファ回折理論は、前方微小角散乱において、粒子
径が波長に比べて十分大きい場合に有効なミー散乱理論
の優れた近似であると考えることができる。
【0010】ただし、ミー散乱理論を用いて係数行列A
(マトリクス)の要素を計算するためには、粒子および
それを分散させる媒液の屈折率を設定する必要がある。
さて、(1)式に基づいて粒度分布ベクトルqの最小自
乗解を求める式を導出すると、
【0011】
【数3】
【0012】が得られる。この係数行列A(マトリク
ス)は前記したようにフラウンホーファ回折理論あるい
はミー散乱理論に基づいてあらかじめ計算しておくこと
ができ、(5)式の右辺における光強度分布s(ベクト
ル)の各要素は光センサにより実測された光量であるか
ら、これらを用いて粒度分布q(ベクトル)が求まるこ
とは明らかである。
【0013】以上がレーザ回折/散乱法による粒度分布
測定原理であるが、ここで示したのはその計算方法の一
例であり、この他にも様々なバリエーションが存在し、
また、センサやデテクタの種類や配置にも様々なバリエ
ーションがある。
【0014】そしてこの種の測定装置では、通常、試料
粒子群を適当な媒液中に分散させ、懸濁液状にしてレー
ザ光を照射する。また、試料そのものが既に懸濁液状の
ものでは、その試料に対して直接的に、あるいは適当に
希釈してレーザ光を照射することが一般的である。ま
た、懸濁液へのレーザ光の照射は、懸濁液をフローセル
中に流動させた状態で、あるいは容器状のバッチセル中
に懸濁液を収容した状態で行われる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の測
定装置においては、懸濁液中の粒子群の濃度は、多重散
乱を生じさせないためにある一定の濃度以下とする必要
がある。多重散乱は、図8に模式的に示すように、一つ
の粒子によって回折または散乱した光が、別の粒子によ
って再度散乱する現象であり、懸濁液濃度が高すぎる場
合に発生する。このような多重散乱が生じると、得られ
た回折/散乱光の空間強度分布に基づいて算出された粒
度分布は、当然のことながら試料粒子群の真の粒度分布
を正確に表すものとはなり得ない。
【0016】このような多重散乱の発生を回避するた
め、レーザ光を照射する懸濁液の濃度を一定濃度以下に
するわけであるが、この場合、試料そのものが既に懸濁
液状のものでは、適当な媒液によって希釈した状態でレ
ーザ光を照射する必要がある。しかし、試料の種類によ
っては、例えばインクのように、希釈することによって
粒度分布が変化してしまう場合があり、このような試料
については、従来のレーザ回折/散乱式の粒度分布測定
装置によっては正確な粒度分布を測定することが困難で
あるとされていた。
【0017】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、高濃度の試料懸濁液を希釈することなく、しか
も多重散乱を生じさせることなく、正確な粒度分布測定
を行うことのできる装置の提供を目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の粒度分布測定装置は、分散状態の被測定粒
子群にレーザ光を照射することによって得られる回折/
散乱光の空間強度分布を測定し、その測定結果から被測
定粒子群の粒度分布を算出する装置において、実施例図
面である図1,図2に示すように、レーザ光を照射すべ
く被測定粒子群を収容する試料セル3を、2枚のガラス
板31,32と、これらを照射レーザ光の光軸に対して
交差させた状態で着脱自在に支持する支持部材33によ
って構成し、その2枚のガラス板31,32の間に、被
測定粒子群が媒液中に分散してなる懸濁液Sを挟み込ん
だ状態で静的に保持することによって特徴づけられる。
【0019】
【作用】多重散乱は、前記したように一つの粒子による
回折/散乱光が別の粒子によって再度散乱される現象で
あり、懸濁液濃度に大きく影響されるが、レーザ光が通
過する懸濁液中の光路長が短くなればなるほど、同じ懸
濁液濃度であっても多重散乱が発生する確率は小さくな
る。本発明はこの点を利用したものである。
【0020】すわなち、2枚のガラス板31,32の間
に試料懸濁液を挟み込んだ状態で、これを照射レーザ光
の光軸に交わるように配置すれば、図3に示すように極
めて薄い懸濁液層中をレーザ光が通過することになり、
高濃度の懸濁液であっても多重散乱を生じる恐れがなく
なる。
【0021】
【実施例】図1は本発明実施例の測定光学系の構成を示
す模式図である。レーザ光源1からの出力光はコリメー
タ2によって平行光束にされた状態で、後述する構造の
試料セル3中の試料懸濁液Sに照射される。試料セル3
を挟んでレーザ光源1の反対側のレーザ光の光軸上には
集光レンズ4が配設されているとともに、その集光レン
ズ4の焦点位置には、前方回折/散乱光の強度分布を測
定するための従来と同等のリングデテクタ5が配設され
ている。また、試料セル3の側方および後方(レーザ光
源1側)には、それぞれ側方散乱光および後方散乱光を
測定するための側方散乱光センサ6および後方散乱光セ
ンサ7が配置されている。
【0022】リングデテクタ5の各センサと側方散乱光
センサ6および後方散乱光センサ7の出力は、それぞれ
増幅器によって増幅された後、A−D変換器によってデ
ジタル化され、コンピュータ(いずれも図示せず)に採
り込まれて、公知のアルゴリズムによって被測定粒子群
の粒度分布に換算される。
【0023】図2は本発明実施例の特徴部分である試料
セル3の分解斜視図である。試料セル3は、2枚の薄い
ガラス板31および32と、これらをコリメータ2を経
たレーザ光の光軸に交差させた状態で支持する支持部材
33によって構成されている。そして、試料懸濁液S
は、2枚のガラス板31と32の間に挟み込まれた状態
でレーザ光の光軸上に静的に保持されて回折/散乱光強
度分布の測定に供される。
【0024】この例において、以上のように試料懸濁液
Sを測定箇所にセットする仕方は、まず、試料セル3を
分解して一方のガラス板31を略水平に置いた状態で、
その表面に試料懸濁液Sを少量だけ滴下した後、その上
から他方のガラス板32を重ねる。このとき、試料懸濁
液S中の媒液の表面張力により、これら2枚のガラス板
31,32は相互に付着した状態となるから、これを支
持部材33に装着して、図1のようにレーザ光の光軸に
交差するように配置する。このとき、試料懸濁液Sの濃
度が相当に高い場合でも、これを希釈せずにガラス板3
1,32の間に挟み込む。
【0025】このように2枚の薄いガラス板31,32
の間に試料懸濁液Sを挟み込んだ状態でレーザ光を照射
すると、試料懸濁液Sが極めて薄い層になっているた
め、レーザ光の試料懸濁液中での光路長が極めて短くな
る。従って、高濃度の試料懸濁液Sをそのまま用いて
も、図3に模式的に示すように多重散乱は生じない。
【0026】ここで、例えば被測定粒子の粒子径が比較
的大きい場合、あるいは試料懸濁液Sの濃度がそれほど
高くなく、むしろ十分な回折/散乱光強度を得たい場合
には、2枚のガラス板31と32の間に適当なスペーサ
を介在させてもよい。図4はスペーサを介在させた試料
セルの構造例の説明図で、(A)は断面図、(B)およ
び(C)はそのスペーサ34を抽出して示す正面図およ
びそのC−C断面図である。この例では、例え厚さば
0.1〜1mm程度の薄いスペーサ34の中央部分に透
孔34aを穿ち、そのスペーサ34をガラス板31と3
2の間に挟み込んだ状態で、そのスペーサ34の透孔3
4a内で試料懸濁液Sを2枚のガラス板31,32間で
挟み込んでいる。
【0027】ガラス板31,32とスペーサ34との相
互の固定するために、例えはスペーサ34の両側の表面
に粘着性を持たせてもよいし、あるいは、図5に断面図
で示すように、透孔34aに重ならないように、従って
レーザ光を遮らないように、ガラス板31,32の上下
両端部分を、固定用板35を介してネジ36で両側から
挟み付けてもよい。
【0028】以上の各例において、試料セル3とレーザ
光軸とのなす角度は、垂直とするよりも、むしろ図6に
平面断面図で例示するように、少し傾斜させることが望
ましい。すなわち、試料セル3をレーザ光軸に直交して
配置した場合には、特にスペーサ34を介在させる場合
において側方散乱光(レーザ光軸に対して垂直方向への
散乱光)の正確な検出が困難となるが、図6のように傾
斜を与えることによって、側方散乱光の正確な検出が可
能となり、このことはサブミクロン領域の相当に小さい
粒子群の粒度分布をより高精度に計測することが可能と
なることに繋がる。
【0029】また、以上の各例における支持部材33
は、2枚のガラス板31,32、あるいはこれに加えて
スペーサ34並びに固定用板35等を単に挟み込んだ状
態でこれらを支持するほか、ガラス板31,32もしく
は固定用板35をその側方から止めネジ等によって押し
つける方法等の変形が可能であることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
レーザ回折/散乱式の粒度分布測定装置における試料セ
ルを、2枚のガラス板と、これらを照射レーザ光の光軸
に交差させた状態で着脱自在に支持する支持部材によっ
て構成し、その2枚のガラス板の間に試料懸濁液を挟み
込んだ状態でレーザ光を照射するから、フローセルまた
はバッチセルを用いた従来の粒度分布測定装置では多重
散乱の発生によって測定が不可能であった高濃度の懸濁
液試料を、全く希釈することなく高濃度のままで、多重
散乱を生じさせずに正確に回折/散乱光強度分布を測定
することが可能となった。その結果、例えばインクのよ
うに、希釈により分散質が分散したり崩壊し、あるいは
凝集してしまい、かつ、そのままでは多重散乱が生じて
しまうような高濃度の試料懸濁液でも正確な粒度分布測
定を行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の全体構成図で、測定光学系の模
式図と電気系のブロック図とを併記して示す図
【図2】その試料セル3の分解斜視図
【図3】本発明実施例の作用説明図
【図4】本発明の他の実施例の試料セルの構造説明図
【図5】本発明の更に他の実施例の試料セルの構造説明
【図6】本発明の各実施例の試料セル3のレーザ光軸に
対する配置例の説明図
【図7】レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置の基本的
構成を示す模式図
【図8】高濃度懸濁液にレーザ光を照射したときに生じ
る多重散乱の説明図
【符号の説明】
1 レーザ光源 2 コリメータ 3 試料セル 31,32 ガラス板 33 支持部材 34 スペーサ 34a 透孔 4 集光レンズ 5 リングデテクタ 6 側方散乱光センサ 7 後方散乱光センサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散状態の被測定粒子群にレーザ光を照
    射することによって得られる回折/散乱光の空間強度分
    布を測定し、その測定結果から被測定粒子群の粒度分布
    を算出する装置において、レーザ光を照射すべく被測定
    粒子群を収容する試料セルが、2枚のガラス板と、これ
    らを照射レーザ光の光軸に対して交差させた状態で着脱
    自在に支持する支持部材とからなり、その2枚のガラス
    板の間に、被測定粒子群が媒液中に分散してなる懸濁液
    を挟み込んだ状態で静的に保持することを特徴とする粒
    度分布測定装置。
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