JPH08178075A - 多孔質ポリテトラフルオロエチレン製ガスケット - Google Patents

多孔質ポリテトラフルオロエチレン製ガスケット

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JPH08178075A
JPH08178075A JP32306094A JP32306094A JPH08178075A JP H08178075 A JPH08178075 A JP H08178075A JP 32306094 A JP32306094 A JP 32306094A JP 32306094 A JP32306094 A JP 32306094A JP H08178075 A JPH08178075 A JP H08178075A
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Takeshi Mitsuyoshi
猛 三吉
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 材質上宿命的な欠点である浸透洩れを多孔質
ポリテトラフルオルエチレンを構成材としたことによる
特性,意義を消失させることなく確実に防止することが
でき、しかも形状保持性を向上させうる多孔質ポリテト
ラフルオロエチレン製ガスケットを提供する。 【構成】 ガスケット1を厚み方向に直交する方向にお
いて多数の多孔質部分2…に区画する格子状の仕切壁3
が形成されている。この仕切壁3は、厚み方向における
ガスケット断面部分を全面的に溶融固化してなる無孔質
の薄肉壁である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種配管(例えば、医
薬品,食品等の生産装置におけるサニタリ配管)の継手
部分等に使用される多孔質ポリテトラフルオルエチレン
製のガスケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば配管の継手部分に使用されるガス
ケットとしては、一般に、シリコンゴム等からなるゴム
製のものやポリテトラフルオルエチレン製のものがあ
る。しかし、ゴム製のものは、長期使用のうちに可塑剤
が溶出し易く、高度のクリーン度が要求されるサニタリ
配管等には適用し難い。また、サニタリ配管において蒸
気滅菌処理を行う場合のように高温条件下で使用したと
きには、ガスケットが劣化し易く、耐久性に問題があ
る。特に、劣化切断した場合には、漏れが生じて、所定
のシール機能を発揮できない。一方、ポリテトラフルオ
ルエチレン製のものは、ポリテトラフルオルエチレンの
特性から、上記したような問題は生じないが、その反
面、硬質であるため柔軟性,馴染み性,復元性等に劣
る。したがって、所定のシール機能を発揮させるために
は、極めて大きな締付トルクが必要となったり、頻繁な
増締め作業が必要となり、また再度の締付けによるシー
ル機能回復も困難である。
【0003】そこで、近時、このようなゴム製ガスケッ
トやポリテトラフルオルエチレン製ガスケットにおける
問題を解決したものとして、多孔質ポリテトラフルオル
エチレンつまり延伸により多孔質化させたポリテトラフ
ルオルエチレンを構成材としたガスケット(以下「従来
ガスケット」という)が提案されている(例えば、特開
平5−99343号公報参照)。
【0004】かかる従来ガスケットは、軟質材である多
孔質ポリテトラフルオルエチレンを構成材とするもので
あることから、耐久性,クリーン性,耐薬品性等に優れ
るといったポリテトラフルオルエチレン本来の特性を担
保しつつ、通常のポリテトラフルオルエチレン製のガス
ケットでは得ることのできない優れた柔軟性,馴染み
性,復元性等を有するものであり、ゴム製ガスケットや
ポリテトラフルオルエチレン製ガスケットでは適用でき
ない厳しいシール条件下においても好適に使用すること
ができるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来ガスケッ
トにあっては、それが多孔質材で構成されているため、
被密封流体に直接触れるガスケット部分(例えば、環状
の配管用ガスケットでは、ガスケットの内周部分が被密
封流体に直接触れることになる)から被密封流体が浸透
して、所謂浸透洩れを生じる虞れがある。かかる浸透洩
れは、被密封流体が液体である場合はさほど生じない
が、ガスシールとして使用する場合や真空保持シールと
して使用した場合には甚だしい。浸透洩れを防止するた
めに、ガスケットの成形密度を高めておくことも考えら
れるが、成形密度を高めるにも限度があり、浸透洩れは
これを確実には阻止することは不可能である。また、成
形密度を必要以上に高めると、多孔質ポリテトラフルオ
ルエチレン本来の特性(柔軟性等)が損なわれることに
なり、多孔質ポリテトラフルオルエチレンを構成材とし
て使用したことの意義が消失することになる。このよう
に、多孔質ポリテトラフルオルエチレン製ガスケットに
あって、浸透洩れは材質上宿命的な欠点であり、そのた
めに用途が大幅に制限されているのが実情である。しか
も、多孔質ポリテトラフルオロエチレン製ガスケット
は、材質上、形状保持性に乏しいものであるから、取扱
時に破損する虞れが高く、取扱に細心の注意を払う必要
がある。
【0006】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
で、材質上宿命的な欠点である浸透洩れを多孔質ポリテ
トラフルオルエチレンを構成材としたことによる特性,
意義を消失させることなく確実に防止することができ、
しかも形状保持性を向上させうる多孔質ポリテトラフル
オロエチレン製ガスケットを提供することを目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題を解決した本発
明の多孔質ポリテトラフルオロエチレン製ガスケット
は、当該ガスケットを厚み方向に直交する方向において
多数の多孔質部分に区画する一連の仕切壁が形成されて
おり、この仕切壁が厚み方向におけるガスケット断面部
分を全面的に溶融固化してなる無孔質の薄肉壁であるこ
とを特徴とするものである。なお、一連の仕切壁とは、
一の多孔質部分とこれに隣接する複数の多孔質部分との
間を仕切る複数の仕切壁部分が、途切れることなく一連
に連繋されているものを意味する(例えば、格子状をな
す仕切壁)。
【0008】また、本発明は、特に環状をなすガスケッ
トにおいて、上記の如く構成する他、両端面部の少なく
とも内周縁部分及び内周面部に、これらの表面層を溶融
固化してなる断面コ字状の無孔質の溶融固化層を形成し
ておくことを提案する。
【0009】
【作用】ガスケットは、仕切壁により、厚み方向に直交
する方向において多数の多孔質部分に区画されている。
つまり、一の多孔質部分とこれに隣接する多孔質部分と
は、厚み方向に直交する方向において仕切壁で仕切られ
ている。一方、仕切壁は、多孔質ポリテトラフルオロエ
チレン材を溶融固化してなる無孔質のものであるから、
多孔質部分と異なって、被密封流体の通過を完全に阻止
しうるものである。
【0010】したがって、被密封流体が、一又は二以上
の多孔質部分に浸透した場合にも、その浸透流体は、仕
切壁の存在により、当該多孔質部分からこれに隣接する
多孔質部分へと侵入することがない。このため、ガスケ
ットの厚み方向に直交する方向においては、被密封流体
の浸透範囲が拡大せず、ガスケット全体としての浸透洩
れはこれが確実に防止される。例えば、ガスケットが環
状をなしている場合、被密封流体がガスケット内周側に
位置する多孔質部分群には浸透するが、その浸透流体は
ガスケット外周側の多孔質部分へと侵入することがな
い。勿論、被密封流体が接触する部分に仕切壁が位置し
ている場合には、この部分からの流体浸透は全くない。
【0011】しかも、ガスケットは軟質の多孔質ポリテ
トラフルオロエチレン材からなるものであるが、これを
溶融固化してなる硬質の仕切壁を一連をなして配したも
のであるから、この仕切壁が一種の補強リブとして機能
するため、従来ガスケットに比して形状保持性が向上
し、取扱時に折損,破損したりする虞れが殆どない。
【0012】また、多孔質部分間を仕切る仕切壁は、上
記した如く多孔質ポリテトラフルオロエチレン材を溶融
固化してなる硬質のものではあるが、薄肉のものである
から、その存在は厚み方向におけるガスケットの弾性を
阻害するものではない。したがって、仕切壁がガスケッ
ト全体に占める割合は多孔質部分に比して極く僅かであ
ることとも相俟って、ガスケット全体として柔軟性,馴
染み性等の多孔質ポリテトラフルオルエチレン本来の特
性は何ら損なわれず、これをガスケット構成材として使
用することの意義は消失しない。
【0013】これらの浸透洩れ防止効果等は、環状をな
すガスケットにおいて、両端面部の少なくとも内周縁部
分及び内周面部に、これらの表面層を溶融固化してなる
断面コ字状の無孔質の溶融固化層が形成されている場合
にも、上記同様に良好に発揮される。
【0014】すなわち、環状をなすガスケットでは、被
密封流体が直接触れることになる内周面部から浸透洩れ
が生じることになるが、この内周面部を含むガスケット
内周側部分が無孔質の溶融固化層で被覆されていること
から、この溶融固化層の存在により被密封流体の浸透洩
れは確実に阻止される。また、この溶融固化層は断面コ
字状をなす硬質層であり、上記した仕切壁と同様に補強
リブとして機能するものであるから、溶融固化層を形成
したガスケットは、従来ガスケットに比して形状保持性
が向上し、取扱時に折損,破損したりする虞れが殆どな
い。また、この溶融固化層はガスケットの表面層のみを
溶融固化してなるものにすぎないから、ガスケット全体
として柔軟性,馴染み性等の多孔質ポリテトラフルオル
エチレン本来の特性は何ら損なわれず、これをガスケッ
ト構成材として使用することの意義は消失しない。
【0015】
【実施例】以下、本発明の構成を図面に示す各実施例に
基づいて具体的に説明する。
【0016】図1及び図2は第1実施例を示すもので、
この実施例の多孔質ポリテトラフルオロエチレン製ガス
ケット1は、これを厚み方向に直交する方向において多
数の多孔質部分2…に区画する一連の仕切壁3を形成し
た環状のものである。すなわち、仕切壁3は、図1及び
図2に示す如く、厚み方向におけるガスケット断面部分
を全面的に溶融固化してなる無孔質の薄肉壁であり、ガ
スケット1を碁盤の目をなして配列する多数の多孔質部
分2…に区画する格子形状をなす。なお、この実施例で
は、ガスケット1が内径22mm,外径54mm,厚さ
4mmの環状体をなしている。また、各多孔質部分2は
一辺5mmの正方形をなしており、仕切壁3の肉厚は約
0.5mmであった。
【0017】而して、このガスケット1は、多孔質ポリ
テトラフルオロエチレン製のシート材1´a(厚さ4m
m)に、これを厚み方向に直交する方向に碁盤の目をな
して配列する多孔質部分2…に区画する格子状の仕切壁
3を形成して、図3に示す如きシート状のガスケット材
1´を得た上、このガスケット材1´を環状(内径22
mm,外径54mm,厚さ4mm)に打ち抜いて得られ
たものである。なお、シート材1´aとしては、ポリテ
トラフルオルエチレン材を加圧ロールにより結晶配向処
理した上、ゴム被覆ピンチロールにより、327℃未満
の温度条件下において延伸率110〜300%で延伸さ
せてなる空隙率40〜86%のものを使用した。
【0018】ところで、ガスケット材1´における仕切
壁3の形成手法は任意であるが、この実施例では、図4
に示す如く、対向面が格子状の加熱部分4a,5a及び
断熱部分4b,5bで形成された上下一対のヒータ4,
5を使用した。すなわち、ヒータ4,5間にシート材1
´aを配置して、シート材1´aを挟んで直対向させた
加熱部分4a,5aにより、シート材1´aを多孔質ポ
リテトラフルオロエチレンの溶融点以上に加熱して、加
熱部分4a,5aが接触している厚み方向における断面
部分を全面的に溶融させ、しかる後、ヒータ4,5によ
る加熱を除去して、溶融部分を冷却固化させることによ
って、格子状の仕切壁3を形成し、図3に示すガスケッ
ト材1´を得た。なお、この溶融処理においては、加熱
部分4a,5aによる加熱温度を460℃とし、加熱時
間を10秒とした。
【0019】以上のように構成されたガスケット1は、
例えば、図11に示す如く、配管用ガスケットとして使
用され、配管6,7のフランジ6a,7a間を浸透洩れ
を生じることなく良好にシールすることができる。
【0020】すなわち、ガスケット1を、ボルト,ナッ
ト8を締め付けて、フランジ6a,7a間に挟圧させた
場合、ガスケット1の周面部のうち、外周面部1a及び
フランジ6a,7aに圧接されている両端面部1b,1
cについては、配管6,7内の被密封流体に直接触れな
いが、内周面部1dはこの被密封流体に直接触れること
から、被密封流体が浸透する虞れがある。つまり、ガス
ケット1の内周面部1dを構成する多孔質部分2´…か
ら浸透洩れを生じる虞れがある。
【0021】しかし、このように被密封流体に直接触れ
る最内周側の多孔質部分2´…は、その外周側の多孔質
部分2…と無孔質の仕切壁3によって仕切られているこ
とから、前者の多孔質部分2´…に浸透した流体は後者
の多孔質部分2…へと侵入せず、浸透洩れが確実に防止
されることになる(図1及び図2参照)。なお、ガスケ
ット材1´の打抜き形態によっては、ガスケット1の内
周面部1dに仕切壁3が露出する場合があるが、かかる
場合、仕切壁3の露出部分からは流体が全く浸透しな
い。
【0022】ところで、本発明者は上記した第1実施例
のガスケット(以下「実施例ガスケット」という)1に
ついて、次のようなシール性能試験を行った。なお、試
験を行うに当たって、実施例ガスケット1の他に、上記
したシール材1´a(仕切壁3を形成しないもの)を実
施例ガスケット1と同一寸法(内径22mm,外径54
mm,厚さ4mm)の環状に打抜くことによって、従来
ガスケットに相当する比較例ガスケットを得た。
【0023】すなわち、このシール性能試験において
は、実施例ガスケット1及び比較例ガスケットを、夫
々、図11に示す如く、配管6,7のフランジ6a,7
a間に締付面圧が20Kgf/cm2 となるように挟圧
させた上、配管6,7の被密封流体(窒素ガス)の圧力
を4Kgf/cm2 に保持した状態で、被密封流体たる
窒素ガスの継手部分からの漏れ量を測定した。その結果
は、表1に示す通りであった。
【0024】
【表1】
【0025】この試験結果から、実施例ガスケット1
は、比較例ガスケットつまり従来ガスケットに比して、
漏れ量が極めて少なく、浸透洩れが良好に防止されてい
ることが理解される。しかも、実施例ガスケット1によ
れば、極めて低い締付面圧(20Kgf/cm2 )で
も、浸透洩れを確実に防止して、良好なシール機能を発
揮できることが理解される。因に、ガスケットの締付面
圧は一般に400Kgf/cm2 程度に設定されるのが
普通である。
【0026】また、仕切壁3は多孔質ポリテトラフルオ
ロエチレンを溶融固化させた硬質のものであるから、そ
れがガスケット1の全面に格子状をなして一連に形成さ
れたものであることとも相俟って、ガスケット1は仕切
壁3により補強されることになる。つまり、仕切壁3は
ガスケット1の補強リブとして機能することになる。し
たがって、仕切壁3を形成したガスケット1は、全ての
部分が軟質の多孔質ポリテトラフルオロエチレンで構成
される従来ガスケットに比して、形状保持性が大幅に向
上するものであり、取扱時に折損,破損したりする虞れ
が殆どない。
【0027】しかも、多孔質部分2,2間を仕切る仕切
壁3は、上記した如く多孔質ポリテトラフルオロエチレ
ンの溶融固化物である硬質壁ではあるが、薄肉のもので
あるから、その存在は厚み方向(フランジ6a,7aに
よる挟圧方向)におけるガスケット1の弾性変形を妨げ
るものではない。したがって、仕切壁3が薄肉で、ガス
ケット全体に占める割合が多孔質部分に比して極く僅か
であることとも相俟って、ガスケット1全体として柔軟
性,馴染み性等の多孔質ポリテトラフルオルエチレン本
来の特性は何ら損なわれず、これをガスケット構成材と
して使用することの意義は消失しない。このことは、表
1に示す試験結果からも明らかである。
【0028】また、図6及び図7は第2実施例を示した
もので、この実施例の多孔質ポリテトラフルオロエチレ
ン製ガスケット11は、前述した多孔質ポリテトラフル
オロエチレン製のシート材1´aを打抜くことによって
得られたものであり、内径22mm,外径50mm,厚
さ4mmの環状体である。
【0029】而して、このガスケット11にあっては、
図6及び図7に示す如く、その両端面部1b,1cの内
周縁部分及び内周面部1dに、これらの表面層を溶融固
化してなる断面コ字状の無孔質の溶融固化層13が形成
されている。この溶融固化層13の形成手法は任意であ
るが、この実施例では、図8に示す如く、端面部1b,
1cの内周縁部分に接触する環状平面たる第1加熱面1
4a,15aと内周面部1dに嵌合する円柱面たる第2
加熱面14b,15bとを有する上下一対の凸字状のヒ
ータ14,15により形成した。すなわち、第2加熱面
14b,15bをガスケット内周面部1dに嵌合接触さ
せると共に第1加熱面14a,15aをガスケット端面
部1b,1cの内周縁部分に接触させて、各加熱面14
a,14b,15a,15bにより、これに接触するガ
スケット表面層を多孔質ポリテトラフルオロエチレンの
溶融点以上に加熱して溶融させ、しかる後、ヒータ1
4,15による加熱を除去して、この溶融層を冷却固化
させることによって、内周面部1dから両端面部1b,
1cの内周縁部分に至る一連の断面コ字状の無孔質の溶
融固化層13を形成した。なお、この溶融処理において
は、加熱面14a,14b,15a,15bによる加熱
温度を440℃とし、加熱時間を20秒とした。また、
溶融固化層13の肉厚は約0.8mmであった。
【0030】以上のように構成されたガスケット11
は、例えば、図11に示す如く、配管用ガスケットとし
て使用され、配管6,7のフランジ6a,7a間を浸透
洩れを生じることなく良好にシールすることができる。
【0031】すなわち、ガスケット11を、ボルト,ナ
ット8を締め付けて、フランジ6a,7a間に挟圧させ
た場合、ガスケット11の周面部のうち、外周面部1a
及びフランジ6a,7aに圧接されている両端面部1
b,1cについては、配管6,7内の被密封流体に直接
触れないが、内周面部1dはこの被密封流体に直接触れ
ることになり、この内周面部1dから浸透洩れを生じる
虞れがある。しかし、内周面部1dの表面層が無孔質の
溶融固化層13で構成されていることから、この溶融固
化層13の存在により被密封流体のガスケット11内へ
の浸透が確実に防止され、内周面部1dからの浸透洩れ
はこれを生じることがない。かかる浸透洩れ防止効果
は、溶融固化層13が、ガスケットの内周面部1dのみ
ならず、これに連なる両端面部1b,1cの内周縁部分
にまで形成されていることによって、より確実に発揮さ
れることになる。
【0032】ところで、本発明者は上記した第2実施例
のガスケット(以下「実施例ガスケット」という)11
について、次のようなシール性能試験を行った。なお、
試験を行うに当たって、実施例ガスケット11の他に、
上記したシール材1´aを実施例ガスケット11と同一
寸法(内径22mm,外径50mm,厚さ4mm)の環
状に打抜くことによって、従来ガスケットに相当する比
較例ガスケットを得た。
【0033】すなわち、このシール性能試験において
は、実施例ガスケット11及び比較例ガスケットを、夫
々、図4に示す如く、配管6,7のフランジ6a,7a
間に締付面圧が20Kgf/cm2 となるように挟圧さ
せた上、配管6,7の被密封流体(窒素ガス)の圧力を
4Kgf/cm2 に保持した状態で、被密封流体たる窒
素ガスの継手部分からの漏れ量を測定した。その結果
は、表2に示す通りであった。
【0034】
【表2】
【0035】この試験結果から、実施例ガスケット11
は、比較例ガスケットつまり従来ガスケットに比して、
漏れ量が極めて少なく、浸透洩れが良好に防止されてい
ることが理解される。しかも、実施例ガスケット11に
よれば、極めて低い締付面圧(20Kgf/cm2 )で
も、浸透洩れを確実に防止して、良好なシール機能を発
揮できることが理解される。
【0036】また、溶融固化層13は多孔質ポリテトラ
フルオロエチレンを溶融固化させた硬質のものであるか
ら、それがガスケット11の両端面部1b,1cの内周
縁部分と内周面部1dとに亘って断面コ字状をなして形
成されていることとも相俟って、ガスケット11は溶融
固化層13により補強されることになる。つまり、溶融
固化層13はガスケット11の補強リブとして機能する
ことになる。したがって、溶融固化層13を形成したガ
スケット11は、全ての部分が軟質の多孔質ポリテトラ
フルオロエチレンで構成される従来ガスケットに比し
て、形状保持性が大幅に向上するものであり、取扱時に
折損,破損したりする虞れが殆どない。
【0037】また、溶融固化層13は極く薄いものであ
り、それがガスケット11全体に占める割合は極く僅か
であるから、溶融固化層13が厚み方向(フランジ6
a,7aによる挟圧方向)に変形し易い断面コ字状をな
していることとも相俟って、硬質の溶融固化層13が形
成されることによっては、ガスケット11全体として多
孔質ポリテトラフルオロエチレン本来の特性(柔軟性,
馴染み性,復元性等)は何ら損なわれず、これをガスケ
ット構成材として使用することの意義は消失しない。こ
のことは、表2に示す試験結果からも明らかである。
【0038】なお、本発明は上記各実施例に限定される
ものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲にお
いて適宜に変更,改良することができる。
【0039】すなわち、仕切壁3を形成したガスケット
1は、各種配管用ガスケットの他、非配管用ガスケット
にも好適に適用することができ、その形状は用途に応じ
て任意である。また、仕切壁3の形状ないし仕切壁3に
区画される多孔質部分2の形状も任意であり、例えば、
図5(A)〜(C)に例示する如き形状とすることもで
きる。要は、ガスケット1全体を流体の浸透作用から独
立した多孔質部分2…に区画する形状であればよい。ま
た、ガスケット1の製作手法(特に、製作工程における
仕切壁形成工程の順位)も任意である。例えば、ガスケ
ット1の製作は、仕切壁3を形成したガスケット材1´
を所定形状に打抜,裁断する他、仕切壁3を形成しない
シート材1´aを打抜,裁断して、或いはこの打抜,裁
断部材を更に金型により加圧成形して、所定のガスケッ
ト形状とした上、これに仕切壁3を形成するようにして
もよい。なお、ガスケット1の形状,使用態様によって
は、厚み方向における両面又は片面が被密封流体に直接
触れる場合があるが、この場合にも、一の多孔質部分2
に浸透した流体はこれに隣接する他の多孔質部分2…に
は浸透せず、ガスケット1の厚み方向に直交する方向へ
と浸透洩れが確実に防止される。したがって、上記した
と同様に、仕切壁3の存在により良好なシール機能を発
揮することができる。
【0040】また、溶融固化層13を形成したガスケッ
ト11にあっては、図9及び図10に示す如く、溶融固
化層13を両端面部1b,1cの全面に亘って形成する
ようにしてもよい。このようにすれば、形状保持性等を
上記第2実施例のものに比して更に向上させることがで
きる。また、このガスケット11は、多孔質ポリテトラ
フルオロエチレン製のシート材を環状に打抜くことによ
って得る他、この打抜環状材又はこれを複数枚積層した
ものを更に金型により環状に加圧成形することによって
得ることができる。この場合、溶融固化層13を、加圧
成形と同時に行うようにすることも可能である。
【0041】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、多孔質ポリテトラフルオルエチレン製ガス
ケット本来の特性を損なうことなく、その宿命的な欠点
である浸透洩れを確実に防止することができる。したが
って、多孔質ポリテトラフルオルエチレン製ガスケット
のシール特性(ガスシール性,気密保持性等)を、従来
ガスケットに比して、大幅に向上させ得て、当該ガスケ
ットの用途を大幅に拡大することができる。しかも、仕
切壁又は溶融固化層の存在によりガスケットの形状保持
性を向上させることができ、従来ガスケットに比して取
扱性に優れたガスケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガスケットの第1実施例を示す斜
視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部の断面図である。
【図3】ガスケット材を示す斜視図である。
【図4】仕切壁の形成工程を示す断面図である。
【図5】仕切壁の変形例を示す要部の概略平面図であ
る。
【図6】本発明に係るガスケットの第2実施例を示す斜
視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う要部の断面図である。
【図8】溶融固化層の形成工程を示す断面図である。
【図9】溶融固化層の変形例を示すガスケットの斜視図
である。
【図10】図9のX−X線に沿う要部の断面図である。
【図11】ガスケットの使用例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,11…多孔質ポリテトラフルオロエチレン製ガスケ
ット、1b,1c…両端面部、1d…内周面部、2,2
´…多孔質部分、3…仕切壁、13…溶融固化層。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 当該ガスケットを厚み方向に直交する方
    向において多数の多孔質部分に区画する一連の仕切壁が
    形成されており、この仕切壁が厚み方向におけるガスケ
    ット断面部分を全面的に溶融固化してなる無孔質の薄肉
    壁であることを特徴とする多孔質ポリテトラフルオロエ
    チレン製ガスケット。
  2. 【請求項2】 環状をなす多孔質ポリテトラフルオロエ
    チレン製ガスケットにおいて、両端面部の少なくとも内
    周縁部分及び内周面部に、これらの表面層を溶融固化し
    てなる断面コ字状の無孔質の溶融固化層が形成されてい
    ることを特徴とする多孔質ポリテトラフルオロエチレン
    製ガスケット。
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