JPH08177453A - 騒音制御装置 - Google Patents

騒音制御装置

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Publication number
JPH08177453A
JPH08177453A JP6320649A JP32064994A JPH08177453A JP H08177453 A JPH08177453 A JP H08177453A JP 6320649 A JP6320649 A JP 6320649A JP 32064994 A JP32064994 A JP 32064994A JP H08177453 A JPH08177453 A JP H08177453A
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JP
Japan
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control
noise
sound
map information
vehicle
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Withdrawn
Application number
JP6320649A
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English (en)
Inventor
Yasushi Ohara
康司 大原
Yoshihiro Nakase
善博 中瀬
Yoshitaka Nishio
佳高 西尾
Katsuyuki Tanaka
克幸 田中
Naoya Kato
直也 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Soken Inc
Original Assignee
Nippon Soken Inc
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nippon Soken Inc, NipponDenso Co Ltd filed Critical Nippon Soken Inc
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  • Fittings On The Vehicle Exterior For Carrying Loads, And Devices For Holding Or Mounting Articles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数のアクチュエータ間の制御音を考慮して
騒音を制御する。 【構成】 騒音を制御する制御音を出力するために配置
された複数のアクチュエータと、制御音の位相制御、振
幅制御を行うために位相量、振幅量を、エンジン回転
数、エンジン負荷をパラメータとして、記憶するマップ
情報を有し、このマップ情報に従って各複数のアクチュ
エータに制御波形信号を形成するコントローラと、制御
結果を評価する評価点に配置された複数の評価点マイク
ロフォンと、エンジン回転次数比トラッキング分析を行
う周波数分析部と、複数のアクチュエータから出力され
る制御音間の相互作用を考慮して、各評価点における車
両騒音とアクチュエータの単独出力とのエンジン回転次
数比トラッキングを行った結果を基に制御結果の予測を
行い、複数の評価点の騒音音圧を同時に目標音圧に近づ
ける制御音の位相量及び振幅量を決定するマップ情報決
定システムとが設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車のエンジン等から
発せられる騒音に制御音を干渉させて、車外及び車内に
おいて、所望の音特性を得ようとする騒音制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】上記騒音制御装置として、特開平5−2
09563号公報に記載されるものがあった。これに
は、エンジン回転センサによりエンジンの駆動に伴う吸
気音情報を採取し、この吸気音情報により所望の次数成
分の周波数をもつ信号を生成し、この生成信号から制御
音用の制御波形信号を形成するために、制御音を形成す
るアクチュエータから制御されるべきエンジンの吸気音
までの伝搬経路を考慮して消音を形成できるように、位
相制御及び振幅制御を行うことが記載されている。この
生成信号を制御する位相量、振幅量はエンジン回転数、
エンジン負荷をパラメータとしたマップ情報として記憶
される。このマップ情報は、任意の次数について、エン
ジン回転数、エンジン負荷をパラメータとした実験にて
車外及び車室内の制御すべき評価点で制御結果を評価し
ながら求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記騒
音制御装置では、マップ情報として記憶されている位相
量、振幅量は、単独のアクチュエータの場合には比較的
容易に求められるが、複数のアクチュエータの制御音が
相互に影響し合うと、求める量が著しく多くなり、多く
の労力と時間が必要となるという問題点がある。また、
アクチュエータの数、配置の最適化の検討に対しても、
音の伝達経路の変更が伴うので、マップ情報の形成には
多くの労力と時間が必要となる。
【0004】したがって、本発明は、上記問題点に鑑
み、複数のアクチュエータの制御音が相互に影響して
も、また、アクチュエータの数、配置の最適化に対して
も、位相量、振幅量を記憶するマップ情報を簡単に決定
できる騒音制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記問題点を
解決するために、次の構成を有する騒音制御装置を提供
する。すなわち、車両の車外・車内の騒音を制御する制
御音を出力するために配置された複数のアクチュエータ
と、前記制御音の位相制御、振幅制御を行うための位相
量、振幅量を、エンジン回転数、エンジン負荷をパラメ
ータとして、記憶するマップ情報を有し、このマップ情
報に従って各前記複数のアクチュエータに制御音を出力
させるための制御波形信号を形成するコントローラと、
前記エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ
と、前記エンジン負荷を検出するエンジン負荷センサと
を備える騒音制御装置において、車外・車内の制御結果
を評価する評価点に配置された複数の評価点マイクロフ
ォンと、前記エンジン回転数に基づき前記複数の評価点
マイクロフォンによる検出信号のエンジン回転次数比ト
ラッキング分析を行う周波数分析部と、前記複数のアク
チュエータから出力される制御音間の相互作用を考慮し
て、各評価点における車両騒音とアクチュエータの単独
出力とのエンジン回転次数比トラッキング分析を行った
結果を基に制御結果を予測し、車外・車内の複数の評価
点の騒音音圧を同時に目標音圧に近づける制御音の位相
量及び振幅量を、エンジン回転数、エンジン負荷をパラ
メータとして、決定するマップ情報決定システムとが設
けられる。
【0006】また、前記マップ情報決定システムでは、
前記複数のアクチュエータから出力される制御音間の相
互作用を考慮した車外・車内の各複数の評価点の制御時
の騒音音圧の予測値は、制御音がない場合の車両騒音デ
ータを各評価点で測定し、さらに、疑似エンジン回転数
を用いかつ位相量、振幅量をパラメータとした各複数の
アクチュエータ単独の制御音の到達音データを各評価点
で測定し、車両騒音データと制御時の位相量・振幅量に
対応した各アクチュエータからの制御音の到達音データ
との重ね合わせにより求めるようにしてもよい。
【0007】前記マップ情報決定システムは、前記エン
ジン回転数、前記エンジン負荷の条件ごとに、各評価点
で制御時の騒音音圧の予測値と目標音圧との差の二乗に
重みを掛けて和を取った目的関数を形成し、前記位相量
及び前記振幅量を変更し、前記目的関数が極小になった
位相量及び振幅量を前記エンジン回転数・前記エンジン
負荷をパラメータとしたマップ情報として記憶するよう
にしてもよい。
【0008】前記マップ情報決定システムでは前記目的
関数の極小値の検出が適応制御の最急降下法により行わ
れるようにしてもよい。前記周波数分析部はエンジン回
転0.5×n次成分(nは自然数)の次数比トラッキング
分析を行うようにしてもよい。前記マップ情報システム
は、前記目標音圧を零に設定し騒音音圧の低減を行うよ
うにしてもよい。
【0009】前記マップ情報システムは、適当な発音源
を用いて得た各複数のアクチュエータ放射位置から各評
価点までの伝達特性に、別に非車載状態で測定されたア
クチュエータ放射音を掛けて得られる各アクチュエータ
からの到達音の推定値を用いて制御結果を予測してマッ
プ情報を決定するようにしてもよい。前記マップ情報シ
ステムでは、アクチュエータの数、位置をパラメータと
してマップ情報を形成し、このマップ情報を基に騒音を
制御したときの制御結果の予測値より最適なアクチュエ
ータの数、位置、必要な出力を求めるために騒音制御装
置を使用するようにしてもよい。
【0010】
【作用】本発明の騒音制御装置によれば、車両の車外・
車内の騒音を制御する制御音を出力するために配置され
た複数のアクチュエータと、次に述べるマップ情報決定
システムにより、複数のアクチュエータの制御音間の相
互作用を考慮して決定された前記制御音の位相制御、振
幅制御を行うための位相量、振幅量を、エンジン回転
数、エンジン負荷をパラメータとして、記憶するマップ
情報を有し、このマップ情報に従って各前記複数のアク
チュエータに制御音を出力させるための制御波形信号を
形成するコントローラと、前記エンジン回転数を検出す
るエンジン回転数センサと、前記エンジン負荷を検出す
るエンジン負荷センサとが設けられることにより、複数
のアクチュエータの制御音間の相互作用を考慮して音色
の制御が可能になる。さらに、車外・車内の制御結果を
評価する評価点に配置された複数の評価点マイクロフォ
ンと、前記エンジン回転数に基づき前記複数の評価点マ
イクロフォンによる検出信号のエンジン回転次数比トラ
ッキング分析を行う周波数分析部と、前記複数のアクチ
ュエータから出力される制御音間の相互作用を考慮し
て、各評価点における車両騒音とアクチュエータの単独
出力とのエンジン回転次数比トラッキング分析を行った
結果を基に制御結果を予測し、車外・車内の複数の評価
点の騒音音圧を同時に目標音圧に近づける制御音の位相
量及び振幅量を、エンジン回転数、エンジン負荷をパラ
メータとした前記マップ情報とするマップ情報決定シス
テムとが設けられることにより、複数のアクチュエータ
の制御音間の相互作用を考慮するマップ情報が容易に作
成できるようになる。
【0011】前記マップ情報決定システムでは、前記複
数のアクチュエータから出力される制御音間の相互作用
を考慮した車外・車内の各複数の評価点の制御時の騒音
音圧の予測値は、制御音がない場合の車両騒音データを
各評価点で測定し、さらに、疑似エンジン回転信号を用
いかつ位相量、振幅量をパラメータとした各複数のアク
チュエータ単独の制御音の到達音データを各評価点で測
定し、車両騒音データと制御時の位相量・振幅量に対応
した各アクチュエータからの制御音の到達音データとの
重ね合わせにより求められ、前記エンジン回転数、前記
エンジン負荷の条件ごとに、各評価点で制御時の騒音音
圧の予測値と目標音圧との差の二乗に重みを掛けて和を
取った目的関数を形成し、前記位相量及び前記振幅量を
変更し、前記目的関数が極小になった位相量及び振幅量
を前記エンジン回転数・前記エンジン負荷をパラメータ
としたマップ情報として記憶するが、前記マップ情報決
定システムでは前記目的関数の極小値の検出が適応制御
の最急降下法により行われることにより計算量の削減が
可能になる。
【0012】前記周波数分析部はエンジン回転0.5×n
次成分(nは自然数)の次数比トラッキング分析を用い
ることにより4サイクルエンジンの各気筒の爆発の高調
波成分に寄与する騒音を制御可能になる。前記マップ情
報システムは、前記目標音圧を零に設定することにより
音色制御に代わり騒音音圧の低減制御が可能になる。
【0013】前記マップ情報システムは、適当な発音源
を用いて得た各複数のアクチュエータ放射位置から各評
価点までの伝達特性に、別に非車載状態で測定されたア
クチュエータ放射音を掛けて得られる各アクチュエータ
からの到達音の推定値を用いて制御結果を予測し、マッ
プ情報を決定することにより、複数のアクチュエータ間
の制御音を考慮して音色の制御が可能である。
【0014】前記マップ情報システムでは、アクチュエ
ータの数、位置をパラメータとしてマップ情報を形成
し、このマップ情報を基に騒音を制御したときの制御結
果を予測して最適なアクチュエータの数、位置、必要な
出力を求めるために騒音制御装置を使用することによ
り、騒音制御装置の設計が容易になる。
【0015】
【実施例】以下本発明の実施例について図面を参照して
説明する。図1は本発明の実施例に係る騒音制御装置で
あって2アクチュエータを有するものを搭載する車載シ
ステムを示す図であり、図2は図1のコントローラ3を
示すブロック図である。以下車載システムについて説明
する。通常、電子制御を行っているエンジンではディス
トリビュータ内などに、図1に示すように、エンジン回
転センサ1が設けられる。エンジン回転センサ1はエン
ジンのクランク軸の回転に応じたエンジン回転信号(パ
ルス信号)を出力する。また、スロットルボディ部など
に吸気負圧センサ、エアフロメータ、アクセル開度セン
サなどのエンジン負荷センサ2が設けられている。な
お、通常、電子制御式エンジンでは、エンジン制御用E
CU(電子コントロールユニット)に回転情報を得るた
めの回転センサからの信号あるいは負荷情報を得るため
の負荷センサからの信号が入力されているため、このエ
ンジン制御用ECU内の信号を取り出して用いることも
可能である。そして、このエンジン制御用ECU内の信
号を取り出して用いるときには、後述の波形整形回路3
1の省略を可能とすることができる。そして、両センサ
は、図2に示されるエンジン回転信号及びエンジン負荷
信号をそれぞれ伝える信号線11、21によりコントロ
ーラ3に接続されている。このコントローラ3に第1及
び2アクチュエータ4、5が接続されている。
【0016】次に、コントローラ3の構成は、図2に示
すように、エンジン回転信号が信号線11を介して波形
整形回路31に入力する。波形整形回路31はエンジン
回転信号を取り込みパルス信号の整形を行う。波形整形
回路31には逓倍回路32が接続され、この逓倍回路3
2は波形整形回路31からの信号に対し消音を図るター
ゲットの次数によりその逓倍数を変化させることができ
るようになっている。つまり、中央演算処理部(CP
U)39の指令により回転パルスの所定の整数倍のパル
ス波形、すなわち、消音を行う制御次数成分と周期が等
しいパルス信号を生成する。逓倍回路32にはローパス
フィルタ33が接続され、このローパスフィルタ回路3
3は逓倍回路32からの信号のうち高調波成分をカット
する波形整形を行い、目的の次数成分の波形(サイン
波)に近い波形へと整形する。このローパスフィルタ回
路33はCPU39の指令によりそのカットオフ周波数
を可変できるようになっている。また、このカットオフ
周波数は制御次数及びエンジン回転数により変化する。
このようして、波形整形回路31と逓倍回路32とロー
パスフィルタ33とにより、制御次数成分の源信号が生
成される。
【0017】ローパスフィルタ回路33には位相制御回
路A34、B36が接続され、位相制御回路A34、B
36はローパスフィルタ回路33からの信号を位相制御
して出力する。振幅制御回路A35、B37は位相制御
回路A34、B36からのそれぞれの信号の振幅を制御
して信号線41、51を介して第1及び2アクチュエー
タ4、5に出力する。この位相制御回路A34、B3
6、振幅制御回路A35、B37を通すことにより、消
音するための制御波形信号A、Bが形成される。位相制
御回路A34、B36、振幅制御回路A35、B37は
CPU39により制御される。
【0018】CPU39は、信号線11、21を介し
て、エンジン回転数信号及びエンジン負荷信号を入力し
て。エンジン回転数及びエンジン負荷を検知するように
なっている。メモリ38には位相制御回路A34、B3
6の位相量、振幅制御回路A35、B37の振幅量(増
幅量)が、以下に示すように、予めマップ情報として記
憶されている。
【0019】図3は図2のメモリ38に記憶されるマッ
プ情報例を示す図である。本図に示すように、マップ情
報はエンジン回転数及びエンジン負荷の2つのパラメー
タに対応する信号の位相量と振幅量のデータであり、こ
のマップ情報は各々の第1及び2アクチュエータ4、5
について作成される。この場合、騒音を第1のアクチュ
エータ4からの制御音と第2のアクチュエータ5からの
制御音とにより、制御音間の相互作用を考慮して同時に
制御した結果として、車外・車内において目的に沿った
制御効果が得られるようにする必要がある。このため、
マップ情報の作成に当たっては、後述するように、この
制御音間の相互作用が考慮される。さらに、マップ情報
は、任意の複数の回転次数成分について用意され、例え
ば、任意次数(1)には、2次の情報、任意次数(2)
には4次の情報というようになっている。図1に示され
るように、第1及び2アクチュエータ4、5はエンジン
ルーム内に配置され、前記コントローラ3から制御波形
信号A、Bに基づいて所定の次数成分の制御音を発す
る。なお、第1及び2アクチュエータ4、5は、通常ス
ピーカで構成されるが、スピーカに代わり、ピエゾ素子
にて振動板を振動させたり、コンプレッサにより加圧し
た気体を用いて振動板背面に設けた圧力制御室の圧力を
変化させて振動板を振動させてもよい。さらには、振動
板をレゾネータ内に設けて、振動板の発生音を増強させ
たりすることにより、制御音を発生してもよい。
【0020】また、コントローラ3内のCPU39及び
メモリ38は、エンジン制御用ECUにすでに内蔵され
ている部品と共用することも可能である。次に上記のよ
うに構成された騒音制御装置の作用を説明する。図4は
図2のCPU39の作用を説明するフローチャートであ
る。ステップS300において、CPU39は任意の次
数、例えば、車外・車内騒音において問題となる4気筒
エンジンのエンジン回転2次成分(爆発の1次成分)の
次数に設定するために、逓倍回路32の逓倍率を設定す
る。
【0021】ステップS301において、制御次数以外
の高調波成分カットのためのローパスフィルタ回路6の
カットオフ周波数を設定する。ステップS302におい
て、エンジン回転情報及びエンジン負荷情報の取り込み
を行う。ステップS303において、エンジン回転数又
はエンジン負荷が図3のマップでの各回転・負荷領域を
外れたか否かを判定する。つまり、エンジン回転数が図
3でのN1、N2、N3…、エンジン負荷が図3でのT1、
T2、T3…にて形成された領域から隣の領域に移行した
か否かを判定する。この判定が「YES」で、つまり、
エンジン回転数又はエンジン負荷がそれまでの回転・負
荷領域から外れるとステップS304に進み、「NO」
ならステップS302に戻る。
【0022】ステップS304において、CPU39は
メモリ38からその時点でのエンジン回転数及びエンジ
ン負荷に対応したマップ情報を読み出す。ステップS3
05において、マップ情報に従い位相制御回路A34、
B36に位相量を設定する。ステップS306におい
て、マップ情報に従い振幅制御回路A35、B37に振
幅量を設定する。
【0023】ステップS307において、CPU39
は、制御が終了するまで、同様の処理を繰り返し、騒音
制御装置の制御を行う。このようにして、コントローラ
3より出力された制御波形信号Aと制御波形信号Bはそ
れぞれ第1及び2アクチュエータ4、5にて制御音に変
換される。このとき、第1及び2アクチュエータ4、5
の距離が近く、それぞれのアクチュエータの放射する制
御音の周波数が等しいため、複数の評点を同時に目標音
圧に近づける制御音は、第1アクチュエータ4により単
独で制御する制御音及び第2アクチュエータ5により単
独で制御する制御音とは、位相及び振幅が異なってい
る。これは前述のように制御音間の相互作用のためであ
る。
【0024】このような制御音間の相互作用の下で、任
意の次数成分の信号波形をエンジン回転信号から生成す
ることにより、回転変動の影響を受けない効率のよい制
御波形が得られる。また、コントローラ3においてCP
U39の制御により、逓倍回路32の逓倍率を切り換え
ることにより、任意の次数成分の制御波形を生成でき
る。さらに、メモリ38内に収められている各種のマッ
プ情報を利用し、任意のエンジン回転数、任意のエンジ
ン負荷での、任意の次数成分信号の位相量及び振幅量を
リアルタイムに取り出すことが可能である。
【0025】さらには、位相制御回路A34、B36及
び振幅制御回路A35、B37を適確に操作して、急激
な過渡応答制御にも対応可能かつ効果的な騒音制御を行
うことができる。このように、エンジン回転センサ1及
びエンジン負荷センサ2によりエンジンの駆動に伴う騒
音情報を採取し、コントローラ3は、採取された騒音情
報により所望の次数成分に相当する周波数を有する信号
を生成すると共に、その信号に対し位相制御及び振幅制
御を行い、エンジンの騒音の伝搬経路に配されたアクチ
ュエータ4、5から制御音を発生するようにした。その
結果、全回転域にわたりエンジンの騒音を制御できる。
ここで、前述のように、エンジンの騒音は、エンジンの
爆発に起因する周期騒音であり、例えば4気筒エンジン
では主に回転2次成分が大きなウエイトを占めていると
共に、エンジン負荷状態により、そのレベルは大きく変
化する。本実施例では、制御音の干渉によりエンジン騒
音の低減化、さらには、リニア感の感じられる騒音とす
るための音色制御を行うことができる。
【0026】次に、制御音間の相互作用を考慮したマッ
プ情報を最も効率良く作成する方法について説明する。
図5は車両騒音に対する2評価点2アクチュエータ式騒
音制御装置のマップ情報決定のためのシステムを説明す
る図である。図5に示すマップ情報決定システムにおい
て、エンジン回転センサ1、エンジン負荷センサ2、コ
ントローラ3、第1アクチュエータ4、第2アクチュエ
ータ5の接続及びコントローラ3内の構成は、図1の車
載システムと同様である。異なる構成として、車外で騒
音の制御結果を評価する点に設置された第1評価点マイ
クロフォン6と、車内で騒音の制御結果を評価する点に
設置された第2評価点マイクロフォン7と第1及び2評
価点マイクロフォン6、7の信号線61、71と、信号
線61、71、信号線11に接続されるFFT(Fast Fo
urier Transformation) アナライザ8と、該FFTアナ
ライザ8にはパラレルインタフェース用のバスGPIB
(General PurposeInterface Bus)を介して接続されか
つ信号線11、21を介してエンジン回転数センサ1、
エンジン負荷センサ2に接続されるパーソナルコンピュ
ータ9とがある。ここで、FFTアナライザ8では、第
1又は2評価点マイクロフォン6、7の信号をエンジン
回転次数比トラッキング分析する。
【0027】パーソナルコンピュータ9は、先ず、エン
ジン回転数Na(N1、N2、N3、…Na0)、エンジン負
荷量Jb(J1、J2、J3、…Jb0)をパラメータとし
て、各評価点1、2での非制御の車両騒音をトラッキン
グ分析して得た非制御車両騒音データPs1(Na、J
b)、Ps2(Na、Jb)を記憶する。この場合、第1及
び2のアクチュエータ4、5からは制御音が出力されて
いない。
【0028】次に、パーソナルコンピュータ9は、車両
のエンジンを停止した状態で、すなわち、車両の騒音が
無い状態で、第1のアクチュエータ4から単独で制御音
を、アクチュエータ入力信号の位相量θk(θ1、θ2、
θ3、…θk0)、振幅量Aka(A1、A2、A3、…Ak0)
をパラメータとして、出力し、各評価点1、2での制御
音の到達音をトラッキング分析して得た制御音の到達音
データP11(Na、θk、Aka)、P21(Na、θk、A
ka)を記憶する。ここで、k、kaは1≦k、ka≦k0の範
囲の整数とする。そして制御音の到達音データP11(N
a、θk、Aka)、P21(Na、θk、Aka)のデータ数
は、エンジン回転数Naに対してそれぞれk0×k0とな
る。この場合、第1のアクチュエータ4からの制御音を
形成するために、エンジン回転信号に代わって、疑似エ
ンジン回転信号を使用する。
【0029】同様にして、パーソナルコンピュータ9
は、車両のエンジンを停止した状態で、すなわち、車両
の騒音が無い状態で、第2のアクチュエータ5から単独
で制御音を、アクチュエータ入力信号の位相量θk(θ
1、θ2、θ3、…θk0)、振幅量Aka(A1、A2、A3、
…Ak0)をパラメータとして、出力し、各評価点1、2
での制御音の到達音をトラッキング分析して得た制御音
の到達音データP12(Na、θk、Aka)、P22(Na、
θk、Aka)を記憶する。ここで、制御音の到達音デー
タP12(Na、θk、Aka)、P22(Na、θk、Aka)の
データ数は、エンジン回転数Naに対してそれぞれk0×k
0となる。この場合、第2のアクチュエータ5からの制
御音を形成するために、エンジン回転信号に代わって、
疑似エンジン回転信号を使用する。
【0030】このようにして、アクチュエータの放射す
る制御音の各評価点1、2への到達音の振幅と位相は、
アクチュエータの入力信号の位相θkと振幅Akを変化
させることにより変化するが、その変化量の関係は事前
に調査して、パーソナルコンピュータ9に入力される。
このようにして得られた非制御車両騒音データ、制御音
の到達音データを用いてマップ情報を決定する方法につ
いては後述する。
【0031】図6は第2の実施例に係る騒音制御装置で
あって3アクチュエータを有するものを搭載する車載シ
ステムを示す図であり、図7は図6のコントローラ3を
示すブロック図である。図6において図1の構成と異な
るのは、第3のアクチュエータ100と、コントローラ
3から第3のアクチュエータ100を接続するための信
号線101とである。また、図7において図2の構成と
異なるものは、ローパスフィルタ回路33に新たに接続
される位相制御回路C340と、これに接続されかつ信
号線101を介して制御波形信号Cを出力する振幅制御
回路C350とである。なお、位相制御回路C340の
位相量、振幅制御回路C350の振幅量はCPU39に
より設定される。メモリ38に記憶されるマップ情報
例、CPU39の作用については、図3、図4の記載と
同様なので説明を省略する。
【0032】図8は車両騒音に対する4評価点3アクチ
ュエータ式騒音制御装置のマップ情報決定のためのシス
テムを示す図である。本図においては簡略化のためエン
ジン部分を省略してある。本図において、図5と異なる
構成は第3のアクチュエータ100と、これにコントロ
ーラ3から制御波形信号Cを出力するための信号線10
1と、車内に設置された第3評価点マイクロフォン20
0と、これとFFTアナライザ8とを接続する信号線2
01と、車外に設置された第4評価点マイクロフォン2
10と、これとFFTアナライザ8とを接続する信号線
211とである。ここで、FFTアナライザ8では、第
1、2、3又は4評価点マイクロフォン6、7、20
0、210の信号をエンジン回転次数比トラッキング分
析する。
【0033】パーソナルコンピュータ9は、先ず、エン
ジン回転数Na、エンジン負荷量Jbをパラメータとし
て、各評価点1、2、3、4での非制御の車両騒音をト
ラッキング分析して得た非制御車両騒音データPs1(N
a、Jb)、Ps2(Na、Jb)、Ps3(Na、Jb)、Ps4
(Na、Jb)を記憶する。この場合、第1、2及び3の
アクチュエータ4、5、100からは制御音が出力され
ていない。
【0034】次に、パーソナルコンピュータ9は、車両
のエンジンを停止した状態で、すなわち、車両の騒音が
無い状態で、第1のアクチュエータ4から単独で制御音
を、アクチュエータ入力信号の位相量θk(θ1、θ2、
θ3、…θk0)、振幅量Aka(A1、A2、A3、…Ak0)
をパラメータとして、出力し、各第1、2、3又は4評
価点マイクロフォン6、7、200、210での制御音
の到達音をトラッキング分析して得られた制御音の到達
音データP11(Na、θk、Aka)、P21(Na、θk、A
ka)、P31(Na、θk、Aka)、P41(Na、θk、A
ka)を記憶する。ここで、k、kaは1≦k、ka≦k0の範囲
の整数とする。そして制御音の到達音データP11(N
a、θk、Aka)、P21(Na、θk、Aka)、P31(N
a、θk、Aka)、P41(Na、θk、Aka)のデータ数
は、エンジン回転数Naに対してそれぞれk0×k0とな
る。この場合、第1のアクチュエータ4からの制御音を
形成するために、エンジン回転信号に代わって、疑似エ
ンジン回転信号を使用する。
【0035】同様にして、パーソナルコンピュータ9
は、車両のエンジンを停止した状態で、すなわち、車両
の騒音が無い状態で、第2のアクチュエータ5から単独
で制御音を、アクチュエータ入力信号の位相量θk(θ
1、θ2、θ3、…θk0)、振幅量Aka(A1、A2、A3、
…Ak0)をパラメータとして、出力し、各評価点1、
2、3、4での制御音の到達音をトラッキング分析して
得た制御音の到達音データP12(Na、θk、Aka)、P
22(Na、θk、Aka)、P32(Na、θk、Aka)、P42
(Na、θk、Aka)を記憶する。ここで、制御音データ
P12(Na、θk、Aka)、P22(Na、θk、Aka)、P
32(Na、θk、Aka)、P42(Na、θk、Aka)のデー
タ数は、エンジン回転数Naに対してそれぞれk0×k0と
なる。この場合、第2のアクチュエータ5からの制御音
を形成するために、エンジン回転信号に代わって、疑似
エンジン回転信号を使用する。
【0036】また同様にして、パーソナルコンピュータ
9は、車両のエンジンを停止した状態で、すなわち、車
両の騒音が無い状態で、第3のアクチュエータ100か
ら単独で制御音を、アクチュエータ入力信号の位相量θ
k(θ1、θ2、θ3、…θk0)、振幅量Aka(A1、A2、
A3、…Ak0)をパラメータとして出力し、各評価点
1、2、3、4での制御音の到達音をトラッキング分析
して得た制御音の到達音データP13(Na、θk、A
ka)、P23(Na、θk、Aka)、P33(Na、θk、A
ka)、P43(Na、θk、Aka)を記憶する。ここで、制
御音の到達音データP13(Na、θk、Aka)、P23(N
a、θk、Aka)、P33(Na、θk、Aka)、P43(N
a、θk、Aka)のデータ数は、エンジン回転数Naに対
してそれぞれk0×k0となる。この場合、第3のアクチュ
エータ100からの制御音を形成するために、エンジン
回転信号に代わって、疑似エンジン回転信号を使用す
る。
【0037】このようにして、アクチュエータの放射す
る制御音の各評価点1、2、3、4への到達音の振幅と
位相は、アクチュエータの入力信号の位相θkと振幅A
kを変化させることにより変化するが、その変化量の関
係は事前に調査して、パーソナルコンピュータ9に入力
される。このようにして得られた非制御車両騒音デー
タ、制御音の到達音データを用いてマップ情報を決定す
る方法については後述する。
【0038】次に、パーソナルコンピュータ9によるマ
ップ情報決定を説明する。この実施例では、アクチュエ
ータ数m、評価点数nとして一般化する。図9はアクチ
ュエータ数m、評価点数nと一般化して制御音がない場
合に車両騒音だけを測定する例を示す図である。本図に
示すように、エンジンを駆動してエンジン回転数Na、
エンジン負荷Jbをパラメータとして車両騒音を発生さ
せ、各評価点iでの車両騒音データはPsi(Na、Jb)
として求まる。ここで、i=1〜n、a=1〜a0、b
=1〜b0である。
【0039】図10は図9のように一般化した例で車両
騒音がない場合に制御音だけを測定する例を示す図であ
る。本図に示すように、車両のエンジンを停止して、ア
クチュエータjからアクチュエータ入力信号の位相量θ
kj、振幅量Akajの制御音を出力したとき、各評価点i
での制御音の到達音データは、Pij(Na、θkj、Ak
aj)である。ここに、kj、k a j は1≦kj、kaj≦k0
(j=1〜m)の範囲の整数である。
【0040】図11、12、13、14は図5、8のパ
ーソナルコンピュータ9によるマップ情報決定を説明す
るフローチャートである(その1、2、3、4)。ステ
ップS801において、評価点i(i=1〜n)の実測
データを入力する。すなわち、予め記憶した非制御での
車両騒音データPsi(Na、Jb)、各アクチュエータか
らの制御音の到達音データPij(Na、θkj、Akaj)
(i=1〜n、j=1〜m))を取り込む。
【0041】ステップS802において、各評価点iの
制御目標音圧Piobjを入力する。ステップS803にお
いて、エンジン状態(回転数、負荷)の初期化を行う。
ステップS804〜811において、位相量θkj、振幅
量Akajの初期化を行う。ステップS812において、
制御結果の次数成分音圧Piを以下のようにシミュレー
ション計算して求める。なお、制御音を付加したときの
制御結果のシミュレーションは、音波の重ね合わせの原
理より、各評価点における車両騒音、各アクチュエータ
からの制御音の到達音を振幅と位相を考慮して足し合わ
せることにより行われる。
【0042】 ステップS813において目的関数Wを以下のように計
算する。この目的関数は2次成分音圧Piと制御目標音
圧Piobjと差の重み付き二乗和として求められる。 ここに、wiは評価点iの重み係数であり、評価点iを
特に制御目標音圧に近づけたい場合には、この係数を大
きくする。
【0043】ステップS814〜821において、それ
ぞれループでの計算が終了したかを判断する。ステップ
S822〜829において、ループの計算が終了してい
ない場合にはそれぞれループ内のカウントアップを行
う。ステップS830において、全ての目的関数の計算
が終了したらその中で極小となる目的関数の値を検出す
る。
【0044】ステップS831において、マップ情報の
記憶を行う。すなわち、目標関数Wの極小値をとる位相
量、振幅量(θkj、Akaj:j=1〜m)を、エンジン
回転数Na、エンジン負荷Jbをパラメータとして記憶す
る。ステップS832において、必要なエンジン状態を
全て計算したかを判断する。この判断が「YES」なら
終了し、「NO」ならステップS833でエンジン状態
を変更して、ステップS804に戻る。
【0045】このようにして、本実施例によれば、複数
のアクチュエータ間の相互作用を容易に考慮できるよう
になった。以上の処理は計算量が大きいので、以下のよ
うに、適応制御の最急降下法を用いることにより、計算
量の削減を図ることができる。図15は図11における
マップ情報決定の変形例を説明するフローチャートであ
る。
【0046】ステップS901〜903は図11のステ
ップS801〜803までと同じである。ステップS9
04において、ループ回数(K)の初期化を行う。ステ
ップS905において、制御効果としてのエンジン回転
2次成分音圧Pikのシミュレーション計算を行う。
【0047】ステップS906において、2次成分音圧
の差の重み付き二乗和である目的関数WKを、以下のよ
うに、算出する。 ここに、wiは評価点iの重み関数であり、(Piobj−
Pik)2は各評価点における制御目標となる音圧Piobj
と制御結果の音圧Pikとの差の二乗である。
【0048】ステップS907において、目的関数が極
小値であるか否かの判定を行う。この判定が「YES」
ならステップS910に進み、「NO」ならステップS
908に進む。ステップS908において、極小でなけ
れば、それぞれのアクチュエータに対する位相量及び振
幅量の変更を行う。
【0049】ステップS909において、ループ回数の
増加を行い、2評価点の制御結果としてのエンジン回転
2次成分音圧のシミュレーション計算を行うため、ステ
ップS905に戻り、あるエンジン状態での繰り返し計
算のループを形成する。ステップS910において、目
標関数が極小と判定された場合は、このとき位相量及び
振幅量をこのエンジン状態におけるマップ情報とするマ
ップ情報の記憶を行う。
【0050】ステップS911において、必要なエンジ
ン状態を全て計算したかの判定を行う。この判定が「Y
ES」ならエンド処理を行い、「NO」ならステップS
912に進む。ステップS912において、エンジン状
態の変更を行ってステップS904に進む。
【0051】本実施例では、目的関数が極小値であるか
否かの判定を行うステップS907、それぞれのアクチ
ュエータに対する位相量及び振幅量の変更を行うステッ
プS908については、適応制御の最急降下法を用い
て、繰り返し計算のループの収束を速めている。このよ
うに、m個のアクチュエータを同時に駆動して、n評価
点を同時に目標音圧に近付けられる位相量及び振幅量を
マップ情報として持ちエンジン回転数とエンジン負荷に
応じて、マップ情報に基づき制御を行うことにより、n
評価点の同時制御が可能である。ここで、マップ情報を
シミュレーションで求めることにより、定められアクチ
ュエータ位置に対して最適値を求めるだけなく、与えら
れた評価点とそこでの目標音圧に対して、多くのアクチ
ュエータ配置位置候補に対してアクチュエータの単独出
力の測定を行っておけば、最適なアクチュエータの数、
位置、必要出力を導きながら、そのようなアクチュエー
タに対するマップ情報を決定することもできる。また、
定められたコントローラ内の位相・振幅可変部の可変範
囲にあわせた最適マップの決定や、定められたアクチュ
エータ数・位置・出力に合わせたコントローラ内の位相
・振幅可変部の可変範囲の決定、評価点での目標音圧の
み定められたときの上記両方の決定などというように、
制御システムの設計をシミュレーションにより行える。
【0052】これまでに示した実施例では、車外・車内
騒音において問題となる4気筒エンジンのエンジン回転
2次成分(爆発の1次成分)を、複数のアクチュエータ
からの制御音により制御し、複数の評価点で制御目標音
圧に近づけているが、制御対象の次数成分はエンジン回
転2次成分に限定されるものではなく、他の次数成分で
もよい。
【0053】さらに、これまでに示した実施例では、騒
音を目的値に近づけようとしているため、マップ情報決
定アルゴリズムの目標関数の算出を行う図12のステッ
プS813又は図15のステップS906において、そ
の望ましい音圧と評価点の音圧の差の重み付き二乗和を
目的関数としたが、各評価点で騒音を低減したい場合で
あれば、評価点での音圧Pi、Pikの重み付き二乗和
を、以下のように、目的関数とするといったように、制
御目標音圧Piobj=0として、 としてもよい。この他に、制御の目的により、適当な目
的関数を設定してもよい。また、本実施例では、目的関
数が極小値であるかの判定を行う図15のステップS9
07、それぞれのアクチュエータに対する位相量及び振
幅量の変更を行うステップS908については、適応制
御の最急降下法を用いたが、目的関数を極小値とする制
御音の位相量及び振幅量を決定できれば、これ以外の手
法を用いてもよい。
【0054】最後に、これまでに示した実施例では、実
際に車載されたアクチュエータ単体出力の測定を行いマ
ップ情報を決定しているが、適当な発音源を用いて求め
た各アクチュエータ放射位置から各評価点までの伝達関
数に、別に非車載状態で測定されたアクチュエータ放射
音(放射口近接音)を掛けて得られた各アクチュエータ
からの到達音の推定値を用いてシミュレーションを行
い、マップ情報を決定してもよい。この推定値を用いる
と、車載状態での測定回数を少なくでき、また同一のア
クチュエータを複数用いる場合には非車載状態での測定
回数を大幅に少なくできる。このように多くのアクチュ
エータ配置位置候補に対する伝達関数の測定を行うこと
により、先に述べた、評価点と目標音圧のみが定められ
た状況で、コントローラ内の位相・振幅可変部の可変範
囲や最適なアクチュエータの数、位置、必要な出力の決
定といった制御システムの設計が容易になる。
【0055】また、マップ情報決定の従来方式は、出来
上がっている騒音制御システム(コントローラにより制
御対象次数、位相制御量の範囲、振幅制御量の範囲が限
定され、アクチュエータの配置、最大音響出力及び評価
点配置が決まっている)において、実際に騒音制御を行
い、評価点位置において目標音圧に最も近い結果を得る
位相制御量と振幅制御量をマップ情報としており、これ
を単純にシミュレーションした場合には、従来方式と同
様に出来上がっている騒音制御システムに対するマップ
情報が得られるだけである。
【0056】これに対して、本シミュレーション手法で
は騒音制御システムの設計が行えるように、評価点配置
位置候補の多点において、車両騒音とアクチュエータ配
置位置候補に配置された適当な発音源からの伝達音を測
定し、これらとは別に使用可能なアクチュエータの単体
出力を測定し、FFT分析器により問題となりそうな次
数成分の全てについて各測定結果を分析し、これらのデ
ータを基に、どれだけの評価点を同時に目標音圧に近づ
けるためには、どれだけの音を出力できるアクチュエー
タを何処に配置し、どれだけの次数成分を制御すればい
いか、その時にコントローラ内で必要とされる位相制御
量・振幅制御量の範囲がどれだけになるか、というよう
な結果が得られる。実際問題として、騒音制御システム
の設計のために十分に多評価点・多アクチュエータ・多
次数に対応できる騒音制御システムを実現し、それを用
いて得られた制御結果を基に騒音制御システムを決定す
るのは困難であり、この騒音制御システムにシミュレー
ションを用いることにより、この困難が解決されるよう
になる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車
両の車外・車内の騒音を制御する制御音を出力するため
に配置された複数のアクチュエータと、複数のアクチュ
エータの制御音間の相互作用を考慮して決定された制御
音の位相制御、振幅制御を行うための位相量、振幅量
を、エンジン回転数、エンジン負荷をパラメータとし
て、記憶するマップ情報を有し、このマップ情報に従っ
て各複数のアクチュエータに制御音を出力させるための
制御波形信号を形成するコントローラと、エンジン回転
数を検出するエンジン回転数センサと、エンジン負荷を
検出するエンジン負荷センサとを設けるので、複数のア
クチュエータの制御音間の相互作用を考慮して音色の制
御が可能になる。さらに、車外・車内の制御結果を評価
する評価点に配置された複数の評価点マイクロフォン
と、複数の評価点マイクロフォンによる検出信号のエン
ジン回転次数比トラッキング分析を行う周波数分析部
と、複数のアクチュエータから出力される制御音間の相
互作用を考慮して、各評価点における車両騒音とアクチ
ュエータの単独出力とのエンジン回転次数比トラッキン
グ分析を行った結果を基に制御結果を予測して、車外・
車内の複数の評価点の騒音音圧を同時に目標音圧に近づ
ける制御音の位相量及び振幅量を、エンジン回転数、エ
ンジン負荷をパラメータとしたマップ情報とするマップ
情報決定システムとを設けるので、複数のアクチュエー
タの制御音間の相互作用を考慮するマップ情報が容易に
作成することができるようになる。マップ情報決定シス
テムでは、複数のアクチュエータから出力される制御音
間の相互作用を考慮した車外・車内の各複数の評価点の
制御時の騒音音圧の予測値は、制御音がない場合の車両
騒音データを各評価点で測定し、さらに、疑似エンジン
回転数を用いかつアクチュエータ入力信号の位相量、振
幅量をパラメータとした各複数のアクチュエータ単独の
制御音の到達音データを各評価点で測定し、車両騒音デ
ータと制御時の位相量・振幅量に対応した各アクチュエ
ータからの制御音の到達音データとの重ね合わせにより
求められ、エンジン回転数、エンジン負荷の条件ごと
に、各評価点で制御時の騒音音圧の予測値と目標音圧と
の差の二乗に重みを掛けて和を取った目的関数を形成
し、位相量及び振幅量を変更し、目的関数が極小になっ
た位相量及び振幅量をマップ情報として記憶するが、マ
ップ情報決定システムでは目的関数の極小値の検出が適
応制御の最急降下法により行われるので、計算量の削減
が可能になる。周波数分析部はエンジン回転0.5×n次
成分(nは自然数)の次数比トラッキング分析を用いる
ので、4サイクルエンジンの各気筒の爆発の高周波成分
に寄与する騒音を制御可能になる。マップ情報決定シス
テムは、目標音圧を零に設定すると、音色制御に代わり
騒音音圧の低減制御が可能になる。マップ情報決定シス
テムは、適当な発音源を用いて得た各複数のアクチュエ
ータ放射位置から各評価点までの伝達特性に、別に非車
載状態で測定されたアクチュエータ放射音を掛けて得ら
れる各アクチュエータからの到達音の推定値を用いて制
御結果を予測し、マップ情報を決定するので、少ない車
載状態での測定により、また同一のアクチュエータを複
数使用する場合には、大幅に少ない非車載状態の測定に
より複数のアクチュエータ間の制御音を考慮して音色の
制御が可能である。マップ情報決定システムでは、アク
チュエータの数、位置をパラメータとしてマップ情報を
形成し、このマップ情報を基に騒音を制御したときの制
御結果を予測して最適なアクチュエータの数、位置、必
要な出力を求められるので、騒音制御装置の設計が容易
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る騒音制御装置であって2
アクチュエータを有するものを搭載する車載システムを
示す図である。
【図2】図1のコントローラ3を示すブロック図であ
る。
【図3】図2のメモリ38に記憶されるマップ情報例を
示す図である。
【図4】図2のCPU39の作用を説明するフローチャ
ートである。
【図5】車両騒音に対する2評価点2アクチュエータ式
騒音制御装置のマップ情報決定のためのシステムを説明
する図である。
【図6】第2の実施例に係る騒音制御装置であって3ア
クチュエータを有するものを搭載する車載システムを示
す図である。
【図7】図6のコントローラ3を示すブロック図であ
る。
【図8】車両騒音に対する4評価点3アクチュエータ式
騒音制御装置のマップ情報決定のためのシステムを示す
図である。
【図9】アクチュエータ数m、評価点数nと一般化して
制御音がない場合に車両騒音だけを測定する例を示す図
である。
【図10】図9のように一般化した例で車両騒音がない
場合に制御音の各評価点への到達音だけを測定する例を
示す図である。
【図11】図5、8のパーソナルコンピュータ9による
マップ情報決定を説明するフローチャートである(その
1)。
【図12】図5、8のパーソナルコンピュータ9による
マップ情報決定を説明するフローチャートである(その
2)。
【図13】図5、8のパーソナルコンピュータ9による
マップ情報決定を説明するフローチャートである(その
3)。
【図14】図5、8のパーソナルコンピュータ9による
マップ情報決定を説明するフローチャートである(その
4)。
【図15】図11におけるマップ情報決定の変形例を説
明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…エンジン回転センサ 2…エンジン負荷センサ 3…コントローラ 4、5、100…アクチュエータ 6、7、200、210…評価点マイクロフォン 8…FFTアナライザ 9…パーソナルコンピュータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西尾 佳高 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 田中 克幸 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 加藤 直也 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の車外・車内の騒音を制御する制御
    音を出力するために配置された複数のアクチュエータ
    と、 前記制御音の位相制御、振幅制御を行うために位相量、
    振幅量を、エンジン回転数、エンジン負荷をパラメータ
    として、記憶するマップ情報を有し、このマップ情報に
    従って各前記複数のアクチュエータに制御音を出力させ
    るための制御波形信号を形成するコントローラと、 前記エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ
    と、 前記エンジン負荷を検出するエンジン負荷センサと、 車外・車内の制御結果を評価する複数の評価点に配置さ
    れた複数の評価点マイクロフォンと、 前記エンジン回転数に基づき前記複数の評価点マイクロ
    フォンによる検出信号のエンジン回転次数比トラッキン
    グ分析を行う周波数分析部と、 前記複数のアクチュエータから出力される制御音間の相
    互作用を考慮して、各評価点における車両騒音とアクチ
    ュエータの単独出力とのエンジン回転次数比トラッキン
    グ分析を行った結果を基に制御結果の予測を行い、車外
    ・車内の複数の評価点の騒音音圧を同時に目標音圧に近
    づける制御音の位相量及び振幅量を、エンジン回転数、
    エンジン負荷をパラメータとして、決定するマップ情報
    決定システムとを備えたことを特徴とする騒音制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記マップ情報決定システムでは、前記
    複数のアクチュエータから出力される制御音間の相互作
    用を考慮した車外・車内の各複数の評価点の制御時の騒
    音音圧は、制御音がない場合の車両騒音データを各評価
    点で測定し、さらに、疑似エンジン回転信号を用いかつ
    位相量、振幅量をパラメータとした各複数のアクチュエ
    ータ単独の制御音の到達音データを各評価点で測定し、
    車両騒音データと制御時の位相量・振幅量に対応した各
    アクチュエータからの制御音の到達音データとの重ね合
    わせにより求めれることを特徴とする、請求項1に記載
    の騒音制御装置。
  3. 【請求項3】 前記マップ情報決定システムは、前記エ
    ンジン回転数、前記エンジン負荷の条件ごとに、各評価
    点で制御時の騒音音圧の予測値と目標音圧との差の二乗
    に重みを掛けて和を取った目的関数を形成し、前記位相
    量及び前記振幅量を変更し、前記目的関数が極小になっ
    た位相量及び振幅量を前記エンジン回転数・前記エンジ
    ン負荷をパラメータとしたマップ情報として記憶するこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の騒音制御装置。
  4. 【請求項4】 前記マップ情報決定システムでは、前記
    目的関数の極小値の検出が適応制御の最急降下法により
    行われることを特徴とする、請求項3に記載の騒音制御
    装置。
  5. 【請求項5】 前記周波数分析部はエンジン回転0.5×
    n次成分(nは自然数)の次数比トラッキング分析を行
    うことを特徴とする、請求項1に記載の騒音制御装置。
  6. 【請求項6】 前記マップ情報システムは、前記目標音
    圧を零に設定し騒音音圧の低減を行うことを特徴とす
    る、請求項3に記載の騒音制御装置。
  7. 【請求項7】 前記マップ情報システムは、発音源を用
    いて得た各複数のアクチュエータ放射位置から各評価点
    までの伝達特性に、別に非車載状態で測定されたアクチ
    ュエータ放射音を掛けて得られる各アクチュエータから
    の到達音の推定値を用いて制御結果の予測を行いマップ
    情報を決定する請求項1に記載の騒音制御装置。
  8. 【請求項8】 前記マップ情報システムは、さらに前記
    複数のアクチュエータの数、位置をパラメータとしてマ
    ップ情報を決定し、この決定されたマップ情報に基づい
    て騒音の制御を予測することによって、所望の騒音の制
    御となりうるような前記アクチュエータの数、位置を決
    定することを特徴とする請求項1記載の騒音制御装置。
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