JPH08176726A - 焼入れ性と打ち抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
焼入れ性と打ち抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法Info
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- JPH08176726A JPH08176726A JP32447694A JP32447694A JPH08176726A JP H08176726 A JPH08176726 A JP H08176726A JP 32447694 A JP32447694 A JP 32447694A JP 32447694 A JP32447694 A JP 32447694A JP H08176726 A JPH08176726 A JP H08176726A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.0 wt
%、Mn:0.05〜2.0 wt%、 Al:0.01〜0.2 wt%、
S:0.05wt%以下、 P:0.05wt%以下、N:0.05
wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組
成とし、かつ鋼組織を、鋼板表裏面それぞれの板厚方
向:1/10以上、1/4以下の表層部領域については、フェ
ライト中に球状化率:90%以上、粒径:0.05μm 以下の
球状化炭化物が微細均一に分散した微細炭化物分散組織
とする一方、その他の領域についてはパーライト組織と
する。 【効果】 従来に比べて極めて短時間に、焼入れ性、靱
性および冷間加工性については勿論のこと、従来の問題
点であった精密打ち抜き加工性を改善できる。
%、Mn:0.05〜2.0 wt%、 Al:0.01〜0.2 wt%、
S:0.05wt%以下、 P:0.05wt%以下、N:0.05
wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組
成とし、かつ鋼組織を、鋼板表裏面それぞれの板厚方
向:1/10以上、1/4以下の表層部領域については、フェ
ライト中に球状化率:90%以上、粒径:0.05μm 以下の
球状化炭化物が微細均一に分散した微細炭化物分散組織
とする一方、その他の領域についてはパーライト組織と
する。 【効果】 従来に比べて極めて短時間に、焼入れ性、靱
性および冷間加工性については勿論のこと、従来の問題
点であった精密打ち抜き加工性を改善できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、構造用鋼、機械部品
用鋼および工具鋼などに用いて好適な高炭素熱延鋼板に
関するものである。
用鋼および工具鋼などに用いて好適な高炭素熱延鋼板に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素鋼の熱間加工鋼材は、通常の製造条
件、すなわち加熱温度:1200〜1300℃、熱延仕上げ温
度:800 〜900 ℃、巻取温度:400 〜650 ℃で製造され
た場合、一般に、その組織中にパーライトとよばれる層
状炭化物を有している。このような層状の炭化物は、加
工性を劣化させ、また焼入れなどの熱処理に際しても焼
入れ不良や靱性劣化の原因となるため、次工程で炭化物
を球状化するのが一般的である。
件、すなわち加熱温度:1200〜1300℃、熱延仕上げ温
度:800 〜900 ℃、巻取温度:400 〜650 ℃で製造され
た場合、一般に、その組織中にパーライトとよばれる層
状炭化物を有している。このような層状の炭化物は、加
工性を劣化させ、また焼入れなどの熱処理に際しても焼
入れ不良や靱性劣化の原因となるため、次工程で炭化物
を球状化するのが一般的である。
【0003】層状炭化物の球状化方法としては、従来 a.バッチ炉を用いてA1 点直下の温度に長時間加熱し
た後、冷却する方法、 b.A1 点直上の温度に加熱した後、A1 点近傍を徐冷
する方法 等が知られているが、いずれも数十時間に及ぶ長い処理
時間を必要とした。
た後、冷却する方法、 b.A1 点直上の温度に加熱した後、A1 点近傍を徐冷
する方法 等が知られているが、いずれも数十時間に及ぶ長い処理
時間を必要とした。
【0004】そこで、上記の問題の改善策として、 c.熱間加工後、フェライトの動的再結晶温度以上、A
1 点以下の温度で加工を加えた後、 630℃以上、A1 点
以下の温度に5分間〜5時間保持する方法(特公昭63-1
4045号公報)や、 d.熱間加工中にパーライトやベイナイト、マルテンサ
イト等に変態させた後、急熱し、ついでAc3点以下の温
度域で加工を加え、しかるのち上記a,bの処理を比較
的短時間で行う方法(特開昭63-86814号、同63-86815
号、同63-89617号各公報)等が提案された。
1 点以下の温度で加工を加えた後、 630℃以上、A1 点
以下の温度に5分間〜5時間保持する方法(特公昭63-1
4045号公報)や、 d.熱間加工中にパーライトやベイナイト、マルテンサ
イト等に変態させた後、急熱し、ついでAc3点以下の温
度域で加工を加え、しかるのち上記a,bの処理を比較
的短時間で行う方法(特開昭63-86814号、同63-86815
号、同63-89617号各公報)等が提案された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
c.の方法では、加工中に加熱を必要とするだけでな
く、その温度管理が難しいところに、また上記d.の方
法には、その後の処理にまだかなりの時問を要するとこ
ろに、それぞれ問題を残していた。加えて、炭化物を板
厚方向に均一に微細化することは、一般的な冷間加工性
や焼入れ性あるいは鋼板の靱性にとっては有利ではある
ものの、打ち抜き加工時のかえり(バリ)の発生が大き
いことから、精密打ち抜き加工が必要となるような用途
には問題があった。
c.の方法では、加工中に加熱を必要とするだけでな
く、その温度管理が難しいところに、また上記d.の方
法には、その後の処理にまだかなりの時問を要するとこ
ろに、それぞれ問題を残していた。加えて、炭化物を板
厚方向に均一に微細化することは、一般的な冷間加工性
や焼入れ性あるいは鋼板の靱性にとっては有利ではある
ものの、打ち抜き加工時のかえり(バリ)の発生が大き
いことから、精密打ち抜き加工が必要となるような用途
には問題があった。
【0006】この発明は、上述した微細球状化炭化物分
散鋼の製造上の問題および特性上の問題の両者の現状に
鑑み、開発されたもので、工場でのいわゆる熱間圧延工
程のみで非常に微細でかつ均一な球状炭化物分散鋼と同
等の特性を有し、しかも従来の微細炭化物分散鋼の問題
点であった精密打ち抜き加工性の点についても有利に改
善した高炭素熱延鋼板を、その有利な製造方法と共に提
案することを目的とする。
散鋼の製造上の問題および特性上の問題の両者の現状に
鑑み、開発されたもので、工場でのいわゆる熱間圧延工
程のみで非常に微細でかつ均一な球状炭化物分散鋼と同
等の特性を有し、しかも従来の微細炭化物分散鋼の問題
点であった精密打ち抜き加工性の点についても有利に改
善した高炭素熱延鋼板を、その有利な製造方法と共に提
案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、上記の
目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、熱延工程の仕
上げ圧延前または圧延中にオーステナイトから層状パー
ライトヘの変態を完了させ、これに圧延加工を加えた
後、高温で巻き取ることが所期した目的の達成に関し極
めて有効であり、しかも上記の工程中とくに仕上げ圧延
工程に工夫を加えれば、板厚方向に対して一定割合の鋼
板表層部の組織のみを微細炭化物分散組織とすることが
でき、従来鋼板の問題点であった打ち抜き加工性につい
ても有利に改善できることの知見を得た。
目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、熱延工程の仕
上げ圧延前または圧延中にオーステナイトから層状パー
ライトヘの変態を完了させ、これに圧延加工を加えた
後、高温で巻き取ることが所期した目的の達成に関し極
めて有効であり、しかも上記の工程中とくに仕上げ圧延
工程に工夫を加えれば、板厚方向に対して一定割合の鋼
板表層部の組織のみを微細炭化物分散組織とすることが
でき、従来鋼板の問題点であった打ち抜き加工性につい
ても有利に改善できることの知見を得た。
【0008】この発明は、上記の知見に立脚するもので
あり、その要旨構成は以下のとおりである。 1)C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.0 wt%、Mn:
0.05〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、S:0.05wt%以
下、 Al:0.01〜0.2 wt%、N:0.05wt%以下を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる高炭素
鋼板であって、鋼組織が、鋼板表裏面それぞれの板厚方
向:1/10以上、1/4以下の表層部領域については、フェ
ライト中に球状化率:90%以上、粒径:0.05μm 以下の
球状化炭化物が微細均一に分散した微細炭化物分散組織
になり、その他の領域についてはパーライト組織になる
ことを特徴とする焼入れ性と打ち抜き加工性に優れた高
炭素熱延鋼板(第1発明)。
あり、その要旨構成は以下のとおりである。 1)C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.0 wt%、Mn:
0.05〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、S:0.05wt%以
下、 Al:0.01〜0.2 wt%、N:0.05wt%以下を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる高炭素
鋼板であって、鋼組織が、鋼板表裏面それぞれの板厚方
向:1/10以上、1/4以下の表層部領域については、フェ
ライト中に球状化率:90%以上、粒径:0.05μm 以下の
球状化炭化物が微細均一に分散した微細炭化物分散組織
になり、その他の領域についてはパーライト組織になる
ことを特徴とする焼入れ性と打ち抜き加工性に優れた高
炭素熱延鋼板(第1発明)。
【0009】2)上記1)において、鋼板の成分組成が C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.0 wt%、Mn:0.05
〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、S:0.05wt%以下、
Al:0.01〜0.2 wt%、N:0.05wt%以下を含有し、
かつ Ni:0.1 〜5.0 wt%、 Cr:0.1 〜5.0 wt% Mo:0.1 〜1.0 wt%、 B:0.0005〜0.0100wt% のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部
はFeおよび不可避的不純物の組成になる焼入れ性と打ち
抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板(第2発明)。
〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、S:0.05wt%以下、
Al:0.01〜0.2 wt%、N:0.05wt%以下を含有し、
かつ Ni:0.1 〜5.0 wt%、 Cr:0.1 〜5.0 wt% Mo:0.1 〜1.0 wt%、 B:0.0005〜0.0100wt% のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部
はFeおよび不可避的不純物の組成になる焼入れ性と打ち
抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板(第2発明)。
【0010】3)C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.
0 wt%、Mn:0.05〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、
S:0.05wt%以下、 Al:0.01〜0.2 wt%、N:0.05
wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組
成になる高炭素鋼素材を、1000〜1300℃の温度に加熱
後、Ar3点以上、950 ℃以下の温度範囲で圧下率:50%
以上の粗圧延を施し、ついで仕上げ圧延中 600℃以上、
Ar1点以下の温度範囲については、圧下率:10%以上、
30%未満で圧延し、その際、仕上げ圧延機の少なくとも
最終スタンドについては摩擦係数μが0.15以上の条件下
で圧延を行い、引き続き 450〜700 ℃の温度範囲で巻き
取ることを特徴とする焼入れ性と打ち抜き加工性に優れ
た高炭素熱延鋼板の製造方法(第3発明)。
0 wt%、Mn:0.05〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、
S:0.05wt%以下、 Al:0.01〜0.2 wt%、N:0.05
wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組
成になる高炭素鋼素材を、1000〜1300℃の温度に加熱
後、Ar3点以上、950 ℃以下の温度範囲で圧下率:50%
以上の粗圧延を施し、ついで仕上げ圧延中 600℃以上、
Ar1点以下の温度範囲については、圧下率:10%以上、
30%未満で圧延し、その際、仕上げ圧延機の少なくとも
最終スタンドについては摩擦係数μが0.15以上の条件下
で圧延を行い、引き続き 450〜700 ℃の温度範囲で巻き
取ることを特徴とする焼入れ性と打ち抜き加工性に優れ
た高炭素熱延鋼板の製造方法(第3発明)。
【0011】4)上記3)において、素材の成分組成が C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.0 wt%、Mn:0.05
〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、S:0.05wt%以下、
Al:0.01〜0.2 wt%、N:0.05wt%以下を含有し、
かつNi:0.1 〜5.0 wt%、 Cr:0.1 〜5.0 wt% Mo:0.1 〜1.0 wt%、 B:0.0005〜0.0100wt% のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部
はFeおよび不可避的不純物の組成になる焼入れ性と打ち
抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板の製造方法(第4発
明)。
〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、S:0.05wt%以下、
Al:0.01〜0.2 wt%、N:0.05wt%以下を含有し、
かつNi:0.1 〜5.0 wt%、 Cr:0.1 〜5.0 wt% Mo:0.1 〜1.0 wt%、 B:0.0005〜0.0100wt% のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部
はFeおよび不可避的不純物の組成になる焼入れ性と打ち
抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板の製造方法(第4発
明)。
【0012】
【作用】以下、この発明を具体的に説明する。まず、鋼
の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明す
る。 C:0.2 〜1.3 wt% この発明では、前提として均一な層状炭化物を生成させ
る必要があるが、C量が 0.2wt%未満ではオーステナイ
トからの冷却過程で先にフェライトが生成されるため全
面均一な層状炭化物(パーライト)が生成されず、一方
Cが 1.3wt%を超えるとオーステナイトからの冷却過程
で先に網目状の粗大炭化物を生じるためやはり均一な微
細球状炭化物が得られないので、Cは 0.2〜1.3 wt%の
範囲に限定した。なお、好ましい含有範囲は、0.4 〜1.
0 wt%である。
の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明す
る。 C:0.2 〜1.3 wt% この発明では、前提として均一な層状炭化物を生成させ
る必要があるが、C量が 0.2wt%未満ではオーステナイ
トからの冷却過程で先にフェライトが生成されるため全
面均一な層状炭化物(パーライト)が生成されず、一方
Cが 1.3wt%を超えるとオーステナイトからの冷却過程
で先に網目状の粗大炭化物を生じるためやはり均一な微
細球状炭化物が得られないので、Cは 0.2〜1.3 wt%の
範囲に限定した。なお、好ましい含有範囲は、0.4 〜1.
0 wt%である。
【0013】Si:0.1 〜1.0 wt% Siは、脱酸に有用なだけでなく、焼入れ性の向上にも有
効に寄与するが、含有量が 0.1wt%未満ではその効果に
乏しく、一方 1.0wt%を超えて添加すると鋼板が硬質と
なって脆化するので、 0.1〜1.0 wt%の範囲に限定し
た。なお、好ましい含有範囲は、0.15〜0.50wt%であ
る。
効に寄与するが、含有量が 0.1wt%未満ではその効果に
乏しく、一方 1.0wt%を超えて添加すると鋼板が硬質と
なって脆化するので、 0.1〜1.0 wt%の範囲に限定し
た。なお、好ましい含有範囲は、0.15〜0.50wt%であ
る。
【0014】Mn :0.05〜2.0 wt% Mnは、強度の向上あるいは焼入性の向上のために添加さ
れるが、含有量が0.05wt%未満では固溶Sが多くなって
熱間加工時に脆化が生じ、鋼板製造性の劣化を招き、一
方 2.0wt%を超えると靱性の低下を招くので、Mn含有量
は0.05〜2.0 wt%の範囲に限定した。なお、好ましい含
有範囲は、0.4 〜1.0 wt%である。
れるが、含有量が0.05wt%未満では固溶Sが多くなって
熱間加工時に脆化が生じ、鋼板製造性の劣化を招き、一
方 2.0wt%を超えると靱性の低下を招くので、Mn含有量
は0.05〜2.0 wt%の範囲に限定した。なお、好ましい含
有範囲は、0.4 〜1.0 wt%である。
【0015】P:0.05wt%以下 Pは、0.05wt%を超えると粒界脆化が生じ易くなるの
で、0.05wt%以下とする必要がある。より好ましくは0.
01wt%以下である。
で、0.05wt%以下とする必要がある。より好ましくは0.
01wt%以下である。
【0016】S:0.05wt%以下 Sは、0.05wt%を超えると靱性を著しく劣化させるの
で、0.05wt%以下とする必要がある。より好ましくは0.
01wt%以下である。
で、0.05wt%以下とする必要がある。より好ましくは0.
01wt%以下である。
【0017】Al:0.01〜0.2 wt% Alは、脱酸剤として添加されるが、含有量が0.01wt%に
満たないとその効果がなく、一方 0.2wt%を超えて添加
してもコストアップとなるばかりか鋼板の脆化を招くの
で、0.01〜0.2 wt%の範囲に限定した。コストパフオー
マンスの観点から、好ましい範囲は0.04〜0.1 wt%であ
る。
満たないとその効果がなく、一方 0.2wt%を超えて添加
してもコストアップとなるばかりか鋼板の脆化を招くの
で、0.01〜0.2 wt%の範囲に限定した。コストパフオー
マンスの観点から、好ましい範囲は0.04〜0.1 wt%であ
る。
【0018】N:0.05wt%以下 Nは、積極的に添加して強化に利用する場合もあるが、
0.05wt%を超えて添加すると鋼板を脆化させるので、0.
05wt%以下とする必要がある。特に強化を必要としない
場合には、0.01wt%以下とすることが望ましい。
0.05wt%を超えて添加すると鋼板を脆化させるので、0.
05wt%以下とする必要がある。特に強化を必要としない
場合には、0.01wt%以下とすることが望ましい。
【0019】以上、必須成分について説明したが、この
発明では必要に応じ、以下に述べる強化成分を併せて含
有させることもできる。 Ni:0.1 〜5.0 wt% Niは、鋼板の焼入性を向上させると共に靱性を高める効
果があるため、必要に応じて添加されるが、 0.1wt%未
満ではその添加効果に乏しく、一方 5.0wt%を超えて添
加しても効果は飽和し、コストアップとなるだけなの
で、含有量は0.1〜5.0 wt%の範囲とした。なお、好ま
しい含有範囲は、0.15〜2.0 wt%である。
発明では必要に応じ、以下に述べる強化成分を併せて含
有させることもできる。 Ni:0.1 〜5.0 wt% Niは、鋼板の焼入性を向上させると共に靱性を高める効
果があるため、必要に応じて添加されるが、 0.1wt%未
満ではその添加効果に乏しく、一方 5.0wt%を超えて添
加しても効果は飽和し、コストアップとなるだけなの
で、含有量は0.1〜5.0 wt%の範囲とした。なお、好ま
しい含有範囲は、0.15〜2.0 wt%である。
【0020】Cr:0.1 〜5.0 wt% Crは、耐食性の向上や炭化物の黒鉛化抑制などの効果が
あるため、必要に応じて添加されるが、 0.1wt%未満で
はその添加効果に乏しく、一方 5.0wt%を超えて添加す
ると鋼が硬質化して脆化するので、 0.1〜5.0 wt%の範
囲とした。なお、好ましい含有範囲は、0.1 〜1.0 wt%
である。
あるため、必要に応じて添加されるが、 0.1wt%未満で
はその添加効果に乏しく、一方 5.0wt%を超えて添加す
ると鋼が硬質化して脆化するので、 0.1〜5.0 wt%の範
囲とした。なお、好ましい含有範囲は、0.1 〜1.0 wt%
である。
【0021】Mo:0.1 〜1.0 wt% Moは、焼入性を高めて耐摩耗性の改善に有効に寄与する
だけでなく、特定の焼戻温度で発生する「焼戻脆化」の
改善にも多大な効果があるので、必要に応じて添加され
るが、 0.1wt%未満ではその添加効果に乏しく、一方
1.0wt%を超えて添加しても効果は飽和に達し、コスト
アップとなるだけなので、含有量は 0.1〜1.0 wt%の範
囲とした。なお、好ましい含有範囲は、0.10〜0.5 wt%
である。
だけでなく、特定の焼戻温度で発生する「焼戻脆化」の
改善にも多大な効果があるので、必要に応じて添加され
るが、 0.1wt%未満ではその添加効果に乏しく、一方
1.0wt%を超えて添加しても効果は飽和に達し、コスト
アップとなるだけなので、含有量は 0.1〜1.0 wt%の範
囲とした。なお、好ましい含有範囲は、0.10〜0.5 wt%
である。
【0022】B:0.0005〜0.0100wt% Bは、焼入性を高める効果があり、必要に応じて添加さ
れるが、0.0005wt%未満ではその添加効果に乏しく、一
方0.0100wt%を超えて添加すると鋼が硬質化して脆化す
るので、0.0005〜0.0100wt%の範囲とした。なお、好ま
しい含有範囲は、0.0010〜0.0030wt%である。
れるが、0.0005wt%未満ではその添加効果に乏しく、一
方0.0100wt%を超えて添加すると鋼が硬質化して脆化す
るので、0.0005〜0.0100wt%の範囲とした。なお、好ま
しい含有範囲は、0.0010〜0.0030wt%である。
【0023】次に、この発明に従う製造方法について説
明する。素材鋳片の製造に際しては、連続鋳造法および
造塊−分塊法いずれもが適合する。ついで、熱間圧延に
先立ち加熱処理を施すが、この熱延前の加熱では完全な
溶体化を実現する必要があり、その観点から1000〜1300
℃の範囲に限定した。なお、好ましい加熱温度範囲は12
00〜1300℃である。
明する。素材鋳片の製造に際しては、連続鋳造法および
造塊−分塊法いずれもが適合する。ついで、熱間圧延に
先立ち加熱処理を施すが、この熱延前の加熱では完全な
溶体化を実現する必要があり、その観点から1000〜1300
℃の範囲に限定した。なお、好ましい加熱温度範囲は12
00〜1300℃である。
【0024】熱間圧延とくに粗圧延工程は、仕上げ圧延
前に先立って等間隔の小さい層状炭化物(パーライト)
を均一に生成させる上で重要である。圧延後にパーライ
トを生成させるためには、粗圧延温度はAr3変態点以上
とする必要がある。他方、パーライトの核生成サイトを
増やすためには、粗圧延温度は 950℃以下でかつ、圧下
率を50%以上とする必要がある。
前に先立って等間隔の小さい層状炭化物(パーライト)
を均一に生成させる上で重要である。圧延後にパーライ
トを生成させるためには、粗圧延温度はAr3変態点以上
とする必要がある。他方、パーライトの核生成サイトを
増やすためには、粗圧延温度は 950℃以下でかつ、圧下
率を50%以上とする必要がある。
【0025】これに続く仕上げ圧延前あるいは圧延中に
パーライトに変態させた後、仕上げ圧延工程で鋼板表裏
面の表層部それぞれにつき、板厚の1/10以上、1/4以下
の領域について、パーライトを分断する。分断された領
域は、その後の自己焼鈍によってフェライト中に微細な
球状化炭化物が分散した組織となるが、板厚に占める割
合は、板厚の1/10以上としないと、微細炭化物分散組織
層の効果である優れた焼き入れ性、靱性および冷間加工
性が得られない。一方、板厚の1/4を超える領域を微細
炭化物分散組織としても、上記した特性上の効果の飛躍
的な向上が期待できないばかりでなく、打ち抜き時のか
えり(バリ)の発生などの問題も新たに発生する。従っ
て、フェライト中に微細な球状化炭化物が均一に分散し
た微細炭化物分散組織を形成する領域は、板厚の1/10以
上、1/4以下の範囲に限定した。なおこの際、炭化物の
球状化率は90%以上、また粒径は0.05μm 以下とする必
要がある。というのは、球状化率は加工性を確保するた
めに重要であり、90%以上とすることによって、その効
果が顕著に現れるからであり、また、炭化物粒径を0.05
μm 以下とすることによって、短時間の加熱処理条件で
も、焼き入れ硬度性が得られるからである。
パーライトに変態させた後、仕上げ圧延工程で鋼板表裏
面の表層部それぞれにつき、板厚の1/10以上、1/4以下
の領域について、パーライトを分断する。分断された領
域は、その後の自己焼鈍によってフェライト中に微細な
球状化炭化物が分散した組織となるが、板厚に占める割
合は、板厚の1/10以上としないと、微細炭化物分散組織
層の効果である優れた焼き入れ性、靱性および冷間加工
性が得られない。一方、板厚の1/4を超える領域を微細
炭化物分散組織としても、上記した特性上の効果の飛躍
的な向上が期待できないばかりでなく、打ち抜き時のか
えり(バリ)の発生などの問題も新たに発生する。従っ
て、フェライト中に微細な球状化炭化物が均一に分散し
た微細炭化物分散組織を形成する領域は、板厚の1/10以
上、1/4以下の範囲に限定した。なおこの際、炭化物の
球状化率は90%以上、また粒径は0.05μm 以下とする必
要がある。というのは、球状化率は加工性を確保するた
めに重要であり、90%以上とすることによって、その効
果が顕著に現れるからであり、また、炭化物粒径を0.05
μm 以下とすることによって、短時間の加熱処理条件で
も、焼き入れ硬度性が得られるからである。
【0026】このように、表層部のみを微細炭化物分散
組織とするためには、以下のようにすればよい。仕上げ
圧延完了前にパーライト変態させるため、仕上げ圧延温
度はAr1変態点(通常、鋼種によらず 700℃前後)以下
とする。一方、仕上げ圧延温度が 600℃を下回ると圧延
時の負荷が高くなるため、仕上げ圧延温度の下限は 600
℃とする。また、仕上げ圧延の圧下率は、鋼板表層部の
パーライトを分断するのに十分な大きさとする必要があ
り、10%以上とするが、逆に圧下率が30%以上になる
と、表層部のパーライトを分断するためのひずみ量とし
ては多すぎ、かえって形状不良などの弊害を招くので、
仕上げ圧延における圧下率は10%以上、30%未満の範囲
に限定した。
組織とするためには、以下のようにすればよい。仕上げ
圧延完了前にパーライト変態させるため、仕上げ圧延温
度はAr1変態点(通常、鋼種によらず 700℃前後)以下
とする。一方、仕上げ圧延温度が 600℃を下回ると圧延
時の負荷が高くなるため、仕上げ圧延温度の下限は 600
℃とする。また、仕上げ圧延の圧下率は、鋼板表層部の
パーライトを分断するのに十分な大きさとする必要があ
り、10%以上とするが、逆に圧下率が30%以上になる
と、表層部のパーライトを分断するためのひずみ量とし
ては多すぎ、かえって形状不良などの弊害を招くので、
仕上げ圧延における圧下率は10%以上、30%未満の範囲
に限定した。
【0027】ところで、上記の熱間仕上げ圧延に際して
は、仕上げ圧延機の少なくとも最終スタンドについては
摩擦係数μが0.15以上、好ましくは0.20〜0.40となるよ
うな無潤滑または低潤滑条件で行うことが重要である。
というのは、かような無潤滑または低潤滑条件で圧延を
行ってはじめて、この発明が規定した鋼板表層部のみに
剪断ひずみを効果的に加えることができ、この領域のパ
ーライトを効果的に分断することができるからである。
上記の潤滑条件および圧下率をはずれた条件で仕上げ圧
延を行った場合には、その後に適正な条件下に巻取処理
を行ったとしても、所定の領域の表層部組織は適正な球
状化率および適正な粒径の球状炭化物とすることができ
ない。なお、上記したようなμ≧0.15の無潤滑または低
潤滑条件で圧延すべきスタンドは、最終スタンドのみで
十分であるが、これだけでは不安な場合には、最終スタ
ンドの他、後段の1〜2スタンドを同様の無潤滑または
低潤滑圧延とすれば良い。
は、仕上げ圧延機の少なくとも最終スタンドについては
摩擦係数μが0.15以上、好ましくは0.20〜0.40となるよ
うな無潤滑または低潤滑条件で行うことが重要である。
というのは、かような無潤滑または低潤滑条件で圧延を
行ってはじめて、この発明が規定した鋼板表層部のみに
剪断ひずみを効果的に加えることができ、この領域のパ
ーライトを効果的に分断することができるからである。
上記の潤滑条件および圧下率をはずれた条件で仕上げ圧
延を行った場合には、その後に適正な条件下に巻取処理
を行ったとしても、所定の領域の表層部組織は適正な球
状化率および適正な粒径の球状炭化物とすることができ
ない。なお、上記したようなμ≧0.15の無潤滑または低
潤滑条件で圧延すべきスタンドは、最終スタンドのみで
十分であるが、これだけでは不安な場合には、最終スタ
ンドの他、後段の1〜2スタンドを同様の無潤滑または
低潤滑圧延とすれば良い。
【0028】仕上げ圧延に続く巻取工程で表層部の分断
されたパーライトを球状化する。ここに、巻取温度が 4
50℃に満たないと球状化率:90%以上、球状炭化物の粒
径:0.05μm 以下を達成できず、一方、700 ℃を超える
と加熱のために特別の装置が必要となるなど負荷が大き
くなりすぎ、また脱炭などの不都合も生じるので、巻取
温度は 450〜700 ℃の範囲に限定した。なお、好ましく
は550 〜650 ℃の範囲がよい。
されたパーライトを球状化する。ここに、巻取温度が 4
50℃に満たないと球状化率:90%以上、球状炭化物の粒
径:0.05μm 以下を達成できず、一方、700 ℃を超える
と加熱のために特別の装置が必要となるなど負荷が大き
くなりすぎ、また脱炭などの不都合も生じるので、巻取
温度は 450〜700 ℃の範囲に限定した。なお、好ましく
は550 〜650 ℃の範囲がよい。
【0029】
・実施例1 JIS規格SK5相当(C:0.79wt%,Si:0.24wt%,
Mn:0.35wt%,P:0.02wt%,S:0.005 wt%,Al:0.
05wt%,N:0.01wt%:Ar3=700 ℃、Ar1=660 ℃)
の素材を用い、1200℃に加熱後、表1に示す条件で熱間
圧延を施し、高炭素熱延鋼板とした。かくして得られた
鋼板組織の特徴、すなわち表層部の球状炭化物分散組織
領域について、その層厚の板厚に占める割合(図1に示
すt/T)、球状炭化物の縦横比(1.0 で完全球状化、
1.0 〜1.5 で合格)、表層炭化物球状化率(測定視野に
おいて縦横比1.0 〜1.5 の間にある炭化物の割合、%)
と粒径(長径と短径の相加平均)を表1に示す。また図
2には、表1中No.1の条件で製造した発明鋼板の断面組
織を示す。さらに図3には、表1中No.1の条件で製造し
た発明例と、 No.10の条件(最終スタンドの潤滑条件を
無潤滑として熱延しているが、巻き取り温度が高い)で
製造した比較例およびこれを通常の焼鈍条件(700℃×24
h)で球状化焼鈍した比較例とを、 750℃の温度に短時
間加熱−焼入れしたときの表面硬さの変化について調べ
た結果を示す。またさらに、図4には、板厚3.6 mmの
SK−5相当成分の鋼について球状炭化物分散相の板厚
に占める割合を種々変化させたサンプルにつき、打ち抜
き加工を行った時の剪断部かえり高さ(バリ高さ)を比
較した結果を示す。なお、図4において、かえり高さは
30mmφに打ち抜いた(クリアランス:板厚の15
%)ときの返り高さであり、表面硬さは加熱温度750
℃×30secの高周波焼き入れ後の表面硬さである。
Mn:0.35wt%,P:0.02wt%,S:0.005 wt%,Al:0.
05wt%,N:0.01wt%:Ar3=700 ℃、Ar1=660 ℃)
の素材を用い、1200℃に加熱後、表1に示す条件で熱間
圧延を施し、高炭素熱延鋼板とした。かくして得られた
鋼板組織の特徴、すなわち表層部の球状炭化物分散組織
領域について、その層厚の板厚に占める割合(図1に示
すt/T)、球状炭化物の縦横比(1.0 で完全球状化、
1.0 〜1.5 で合格)、表層炭化物球状化率(測定視野に
おいて縦横比1.0 〜1.5 の間にある炭化物の割合、%)
と粒径(長径と短径の相加平均)を表1に示す。また図
2には、表1中No.1の条件で製造した発明鋼板の断面組
織を示す。さらに図3には、表1中No.1の条件で製造し
た発明例と、 No.10の条件(最終スタンドの潤滑条件を
無潤滑として熱延しているが、巻き取り温度が高い)で
製造した比較例およびこれを通常の焼鈍条件(700℃×24
h)で球状化焼鈍した比較例とを、 750℃の温度に短時
間加熱−焼入れしたときの表面硬さの変化について調べ
た結果を示す。またさらに、図4には、板厚3.6 mmの
SK−5相当成分の鋼について球状炭化物分散相の板厚
に占める割合を種々変化させたサンプルにつき、打ち抜
き加工を行った時の剪断部かえり高さ(バリ高さ)を比
較した結果を示す。なお、図4において、かえり高さは
30mmφに打ち抜いた(クリアランス:板厚の15
%)ときの返り高さであり、表面硬さは加熱温度750
℃×30secの高周波焼き入れ後の表面硬さである。
【0030】
【表1】
【0031】表1より明らかなように、この発明に従っ
て製造したものは、所定領域の表層部について微細均一
な球状化炭化物分散組織が得られている。また図2に示
したとおり、表層部の炭化物の粒径は0.03〜0.05μm と
従来の熱延方法では決して得られない微細なサイズにな
っていた。さらに図3から明らかなように、この発明に
従い製造した場合には、板厚全体を微細炭化物組織とし
た比較例とほぼ同等の短時間焼き入れ性が得られてお
り、高周波焼入にも十分対応できることがわかる。また
さらに図4から明らかなように、板厚全体を微細炭化物
分散組織とした従来材に比べて、この発明鋼板は、かえ
り高さが格段に低減されている。
て製造したものは、所定領域の表層部について微細均一
な球状化炭化物分散組織が得られている。また図2に示
したとおり、表層部の炭化物の粒径は0.03〜0.05μm と
従来の熱延方法では決して得られない微細なサイズにな
っていた。さらに図3から明らかなように、この発明に
従い製造した場合には、板厚全体を微細炭化物組織とし
た比較例とほぼ同等の短時間焼き入れ性が得られてお
り、高周波焼入にも十分対応できることがわかる。また
さらに図4から明らかなように、板厚全体を微細炭化物
分散組織とした従来材に比べて、この発明鋼板は、かえ
り高さが格段に低減されている。
【0032】・実施例2 JIS規格S35C相当(C:0.35wt%,Si:0.27wt%,
Mn:0.80wt%,P:0.016wt %,S:0.005 wt%,Al:
0.05wt%, N:0.01wt%,Ar3=750 ℃、Ar1=630
℃)の素材を用い、1100℃に加熱後、表2に示す条件で
熱間圧延を施し、高炭素熱延鋼板とした。得られた鋼板
組織の特徴について、実施例1と同様に調査した結果を
表2に示す。
Mn:0.80wt%,P:0.016wt %,S:0.005 wt%,Al:
0.05wt%, N:0.01wt%,Ar3=750 ℃、Ar1=630
℃)の素材を用い、1100℃に加熱後、表2に示す条件で
熱間圧延を施し、高炭素熱延鋼板とした。得られた鋼板
組織の特徴について、実施例1と同様に調査した結果を
表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】同表より明らかなように、この発明に従っ
て製造したものでは鋼板表層の所定の板厚割合について
微細均一な球状炭化物分散組織が得られている。
て製造したものでは鋼板表層の所定の板厚割合について
微細均一な球状炭化物分散組織が得られている。
【0035】・実施例3 JIS規格SK2相当(C:1.20wt%,Si:0.23wt%,
Mn:0.32wt%,P:0.018wt %,S:0.005 wt%,Al:
0.05wt%, N:0.01wt%,Ar3=730 ℃、Ar1=680
℃)の素材を用い、1250℃に加熱後、表3に示す条件で
熱間圧延を施し、高炭素熱延鋼板とした。得られた鋼板
組織の特徴について、実施例1と同様に調査した結果を
表3に示す。
Mn:0.32wt%,P:0.018wt %,S:0.005 wt%,Al:
0.05wt%, N:0.01wt%,Ar3=730 ℃、Ar1=680
℃)の素材を用い、1250℃に加熱後、表3に示す条件で
熱間圧延を施し、高炭素熱延鋼板とした。得られた鋼板
組織の特徴について、実施例1と同様に調査した結果を
表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】同表より明らかなように、この発明に従っ
て製造したものでは、この発明で限定した所定領域の表
層部について、微細均一な球状炭化物分散組織が得られ
ている。
て製造したものでは、この発明で限定した所定領域の表
層部について、微細均一な球状炭化物分散組織が得られ
ている。
【0038】・実施例4 表4に示すとおり、JIS規格SCM相当を基本とする
成分系に種々の合金成分を添加した素材を用い、1250℃
に加熱後、表4に示す条件で熱間圧延を施し、高炭素熱
延鋼板とした。得られた鋼板組織の特徴について、実施
例1と同様に調査した結果を表5に示す。
成分系に種々の合金成分を添加した素材を用い、1250℃
に加熱後、表4に示す条件で熱間圧延を施し、高炭素熱
延鋼板とした。得られた鋼板組織の特徴について、実施
例1と同様に調査した結果を表5に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】同表より明らかなように、この発明に従っ
て製造したものでは、この発明で限定した所定領域の表
層部について、微細均一な球状炭化物分散組織が得られ
ている。
て製造したものでは、この発明で限定した所定領域の表
層部について、微細均一な球状炭化物分散組織が得られ
ている。
【0042】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、格別の球状
化焼鈍処理を施すことなしに、通常の熱間圧延工程で、
鋼板表層部のみに球状炭化物が微細かつ均一に分散した
微細炭化物分散組織を形成することができるので、従来
に比べて極めて短時間に、焼入れ性、靱性および冷間加
工性に優れるのは勿論、従来の問題点であった精密打ち
抜き加工性にも優れた高炭素熱延鋼板を得ることができ
る。また、省エネルギーおよびファインブランキング性
に優れることから生産性の向上にも大きく貢献する。
化焼鈍処理を施すことなしに、通常の熱間圧延工程で、
鋼板表層部のみに球状炭化物が微細かつ均一に分散した
微細炭化物分散組織を形成することができるので、従来
に比べて極めて短時間に、焼入れ性、靱性および冷間加
工性に優れるのは勿論、従来の問題点であった精密打ち
抜き加工性にも優れた高炭素熱延鋼板を得ることができ
る。また、省エネルギーおよびファインブランキング性
に優れることから生産性の向上にも大きく貢献する。
【図1】微細炭化物分散層厚さの比の説明図である。
【図2】この発明鋼板の断面を示す金属組織写真であ
る。
る。
【図3】短時間加熱−焼入れにおける加熱時間と表面硬
さとの関係を示すグラフである。
さとの関係を示すグラフである。
【図4】微細炭化物分散組織層の板厚に占める割合とそ
の鋼板の焼き入れ性および打ち抜き加工性との関係を示
すグラフである。
の鋼板の焼き入れ性および打ち抜き加工性との関係を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/58
Claims (4)
- 【請求項1】C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.0
wt%、 Mn:0.05〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、 S:0.05wt%以下、 Al:0.01〜0.2 wt%、 N:0.05wt%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
高炭素鋼板であって、鋼組織が、鋼板表裏面それぞれの
板厚方向:1/10以上、1/4以下の表層部領域について
は、フェライト中に球状化率:90%以上、粒径:0.05μ
m 以下の球状化炭化物が微細均一に分散した微細炭化物
分散組織になり、その他の領域についてはパーライト組
織になることを特徴とする焼入れ性と打ち抜き加工性に
優れた高炭素熱延鋼板。 - 【請求項2】請求項1において、鋼板の成分組成が C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.0 wt%、 Mn:0.05〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、 S:0.05wt%以下、 Al:0.01〜0.2 wt%、 N:0.05wt%以下 を含有し、かつ Ni:0.1 〜5.0 wt%、 Cr:0.1 〜5.0 wt% Mo:0.1 〜1.0 wt%、 B:0.0005〜0.0100wt% のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部
はFeおよび不可避的不純物の組成になる焼入れ性と打ち
抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板。 - 【請求項3】C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.0
wt%、 Mn:0.05〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、 S:0.05wt%以下、 Al:0.01〜0.2 wt%、 N:0.05wt%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
高炭素鋼素材を、1000〜1300℃の温度に加熱後、Ar3点
以上、950 ℃以下の温度範囲で圧下率:50%以上の粗圧
延を施し、ついで仕上げ圧延中 600℃以上、Ar1点以下
の温度範囲については、圧下率:10%以上、30%未満で
圧延し、その際、仕上げ圧延機の少なくとも最終スタン
ドについては摩擦係数μが0.15以上の条件下で圧延を行
い、引き続き 450〜700 ℃の温度範囲で巻き取ることを
特徴とする焼入れ性と打ち抜き加工性に優れた高炭素熱
延鋼板の製造方法。 - 【請求項4】請求項3において、素材の成分組成が C:0.2 〜1.3 wt%、 Si:0.1 〜1.0 wt%、 Mn:0.05〜2.0 wt%、 P:0.05wt%以下、 S:0.05wt%以下、 Al:0.01〜0.2 wt%、 N:0.05wt%以下 を含有し、かつ Ni:0.1 〜5.0 wt%、 Cr:0.1 〜5.0 wt% Mo:0.1 〜1.0 wt%、 B:0.0005〜0.0100wt% のうちから選ばれる1種または2種以上を含有し、残部
はFeおよび不可避的不純物の組成になる焼入れ性と打ち
抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32447694A JP3249700B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 焼入れ性と打ち抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32447694A JP3249700B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 焼入れ性と打ち抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH08176726A true JPH08176726A (ja) | 1996-07-09 |
JP3249700B2 JP3249700B2 (ja) | 2002-01-21 |
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ID=18166236
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JP32447694A Expired - Fee Related JP3249700B2 (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 焼入れ性と打ち抜き加工性に優れた高炭素熱延鋼板およびその製造方法 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100470666B1 (ko) * | 2000-06-29 | 2005-03-08 | 주식회사 포스코 | 가공 절단면이 양호한 고탄소강의 제조방법 |
JP2008255451A (ja) * | 2007-04-09 | 2008-10-23 | Jfe Steel Kk | 耐磨耗鋼板の製造方法 |
CN102021493A (zh) * | 2009-09-21 | 2011-04-20 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种精密冲压用热轧钢板及其制造方法 |
JP2012041638A (ja) * | 2011-09-28 | 2012-03-01 | Jfe Steel Corp | 耐磨耗鋼板の製造方法 |
CN104653591A (zh) * | 2015-01-14 | 2015-05-27 | 广东美芝制冷设备有限公司 | 压缩机用零件及其制备方法以及压缩机和制冷设备 |
CN105200308A (zh) * | 2014-05-28 | 2015-12-30 | 宝山钢铁股份有限公司 | 精冲钢材及其调节机构精冲零部件制造方法 |
-
1994
- 1994-12-27 JP JP32447694A patent/JP3249700B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|---|---|---|
KR100470666B1 (ko) * | 2000-06-29 | 2005-03-08 | 주식회사 포스코 | 가공 절단면이 양호한 고탄소강의 제조방법 |
JP2008255451A (ja) * | 2007-04-09 | 2008-10-23 | Jfe Steel Kk | 耐磨耗鋼板の製造方法 |
CN102021493A (zh) * | 2009-09-21 | 2011-04-20 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种精密冲压用热轧钢板及其制造方法 |
JP2012041638A (ja) * | 2011-09-28 | 2012-03-01 | Jfe Steel Corp | 耐磨耗鋼板の製造方法 |
CN105200308A (zh) * | 2014-05-28 | 2015-12-30 | 宝山钢铁股份有限公司 | 精冲钢材及其调节机构精冲零部件制造方法 |
CN104653591A (zh) * | 2015-01-14 | 2015-05-27 | 广东美芝制冷设备有限公司 | 压缩机用零件及其制备方法以及压缩机和制冷设备 |
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