JPH08173870A - 金属切り板へのリンガーロール式塗布装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目 的】 金属切り板にリンガーロール式塗布装置で
クロメート液等を塗布する場合の塗布むらの問題を解決
する。 【構 成】 金属切り板へのリンガーロール式塗布装置
において、塗布ロールと、金属切り板を挟んで該塗布ロ
ールと対向した位置に設けたバックアップロールと、該
塗布ロールに塗布液を供給する液供給手段を設け、かつ
該塗布ロールと液溜まりを形成するように該塗布ロール
に押しつけて設けた弾性体と、かつ該塗布ロールへの該
弾性体の押しつけ力を調整する押圧手段を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷間圧延鋼板等の金属
切り板へのリンガーロール式塗布装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、鋼板等に塗装を施す場合、付着
力（密着性）向上のために、前処理としてクロメート処
理を施している。このクロメート液を塗布する場合、リ
バースロールコーターやリンガーロール式塗布装置等を
使用する方法が公知である。リンガーロール式塗布装置
では、その塗布液の供給方法としてスプレー方式が多く
使用されている。スプレー方式の欠点は、板面への塗布
液の供給が不均一になり易いことと吐出速度により周囲
に飛散し汚れの原因となることである。特に鋼板にクロ
メート液を塗布する場合、供給が不均一となるとその部
分が塗りむらとなって顕著に現れる。

【０００３】一方、特開昭57-204076 号公報には、塗料
を均一にシート面に供給する方法として、垂れ壁を設け
たヘッドタンクが開示されている。しかしながら、この
ヘッドタンクは構造が複雑な上に、粘度の低い塗料では
垂れ壁から流れ落ちた塗料が雨垂れ状になり、リンガー
ロールで絞ると雨垂れ状のスジ模様が塗装面に残る欠点
があった。

【０００４】また、本出願人は、特願平５-26760号で、
オーバーフロー方式による均一な塗布液供給方法を提案
しているが、色むらが出ない最小量に液量を抑えた場
合、塗布液の均一な供給ができない欠点があった。それ
でも、連続した鋼帯等にリンガーロール式塗布装置でク
ロメート液等を塗布する場合には、リンガーロール手前
でクロメート液等が供給されるので安定した液溜まりが
でき、均一な塗布が可能となる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、鋼板等の金属
切り板に不連続に塗布する場合には、金属切り板の先端
部では、液溜まり状態が形成されておらず、従って金属
切り板がリンガーロールに突入して、安定した液溜まり
状態が形成されるまでは、不均一な塗布状態となる。こ
のような状況で鋼板にリンガーロールでクロメート処理
した場合、クロメート液の供給量が鋼板先端部で多く、
その部分の膜厚が厚くなり、塗装したとき色むらがさら
に助長される。当然、クロメート液の供給量が少ないと
逆の減少が起こる。この色むらは、最終的にクロメート
処理後に塗装する塗料の色によって、目立つ程度が異な
り、不透明な塗料ではそれほど問題にならないが、塗料
が透明になるほどクロメート処理の塗りむらが目立つよ
うになる。また、クロメート膜厚が薄いと塗りむらは目
立たなくなるが、塗料の付着力や密着性の点で劣ること
になる。

【０００６】そこで、このままでは商品価値が下がるた
め、歩留りダウンをいとわずに余長をつけて対応しなけ
ればならなかった。また、リンガーロールが乾燥すると
ロール表面の模様が鋼板に転写され色むらの要因の一つ
になっていた。本発明は、特に金属切り板にリンガーロ
ール式塗布装置でクロメート液等を塗布する際の、この
ような塗布むらの問題を解決した金属切り板へのリンガ
ーロール式塗布装置を提供することを目的とするもので
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、金属切り板へ
のリンガーロール式塗布装置において、塗布ロールと、
金属切り板を挟んで該塗布ロールと対向した位置に設け
たバックアップロールと、該塗布ロールに塗布液を供給
する塗布液供給手段と、該塗布ロールと液溜まりを形成
するように該塗布ロールに押しつけて設けた弾性体と、
かつ該塗布ロールへの該弾性体の押しつけ力を調整する
押圧手段を設けたことを特徴とする金属切り板へのリン
ガーロール式塗布装置である。

【０００８】なお、上記バックアップロールに代えて塗
布ロールに付与したと同じ機能・手段を有する他の塗布
ロールを設け、金属切り板の表裏面を同時に塗布する場
合も本発明の金属切り板へのリンガーロール式塗布装置
の技術的範囲に含まれる。また、塗布ロールへの弾性体
の押しつけ力を調整する押圧手段は、特に限定されない
が、空気バネやエアシリンダ（空気圧で調整）、あるい
はスクリューネジとバネ（ネジ込み量で調整）の機構を
有するもの等を用いることができる。

【０００９】

【作 用】本発明によれば、リンガーロール式塗布装置
において、塗布ロールと液溜まりを形成するように弾性
体を該塗布ロールに押しつけて設け、かつ該塗布ロール
への該弾性体の押しつけ力を調整する押圧手段を設けた
ので、該弾性体を該塗布ロールに適正な圧力で均一に押
しつけることができ、それに伴い塗布ロールとバックア
ップロール間に形成される液溜まり量を適正な量に調整
することができる。その結果、金属切り板先端の塗布む
らを軽減することができるようになった。

【００１０】また、本発明のリンガーロール式塗布装置
によれば、塗布ロールが乾燥することなく塗布が行える
ので、金属切り板間のサイクルが長くなっても安定した
塗布が可能となった。なお、本発明で用いるリンガーロ
ールの材質としては、特に限定されないが、使用環境に
あった耐食性、耐磨耗性、耐油性や硬度を有するネオプ
レンやニトリル、ハイパロン等の合成ゴムが望ましい。
また、弾性体の材質としては特に限定されないが、モル
トプレーン等のスポンジやフェルト等が望ましい。

【００１１】

【実施例】図１は、本発明の一実施例を示すリンガーロ
ール式塗布装置の側面図である。塗布液供給手段１から
供給された塗布液は塗布ロール２と弾性体４の間で液溜
まり７を形成する。このとき、塗布ロール２への弾性体
４の押しつけ力は押圧手段５により調整され、塗布ロー
ル２へ供給された塗布液は、塗布ロール２と鉄ロールで
構成されたバックアップロール３との接触部で液溜まり
８を形成する。この押圧手段５の押しつけ力の調整で液
溜まり８を塗布むらが生じない最小量に維持できるの
で、搬送ロール６上を送られてきた金属切り板９先端の
塗布むらを軽減することができた。

【００１２】図２は、金属切り板の先端からの距離と塗
布膜厚との関係を説明するグラフである。Ａの場合は、
押しつけ力が強すぎて塗布ロールとバックアップロール
間に形成された液溜まりの量が過小な状態のときを示
し、Ｃの場合は、押しつけ力が弱すぎて塗布ロールとバ
ックアップロール間に形成された液溜まりの量が過大な
状態のときを示し、Ｂの場合は、押しつけ力が適正で塗
布ロールとバックアップロール間に形成された液溜まり
の量が最適な状態のときを示すものである。

【００１３】なお、上記実施例では、片面を塗布する場
合について述べたが、本発明はこれに限るものではな
く、両面同時に塗布する場合でも適用できることは前述
したとおりである。

【００１４】

【発明の効果】本発明は、塗布ロールと液溜まりを形成
するように弾性体を設け、この弾性体の塗布ロールに押
しつける力を調整できるようにしたので、塗布ロールと
バックアップロール間に形成される液溜まりの量を最適
な状態にでき、その結果、金属切り板の先端から後端ま
で均一に塗布でき、特に低粘度のクロメート液でも色む
らを軽減することができるようになった。

【００１５】また、塗布液の供給にスプレー等を用いる
ことがないので、液飛散による汚れも発生せず、メンテ
ナンスも容易にできるという効果もある。また本発明
は、品質不良の低減や歩留り向上という経済的な効果も
もたらす。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すリンガーロール式塗布
装置の側面図である。

【図２】金属切り板の先端からの距離と塗布膜厚との関
係を説明するグラフである。

【符号の説明】

１ 塗布液供給手段 ２ 塗布ロール ３ バックアップロール ４ 弾性体 ５ 押圧手段 ６ 搬送ロール ７ 液溜まり ８ 液溜まり ９ 金属切り板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属切り板へのリンガーロール式塗布装
   置において、塗布ロールと、金属切り板を挟んで該塗布
   ロールと対向した位置に設けたバックアップロールと、
   該塗布ロールに塗布液を供給する塗布液供給手段と、該
   塗布ロールと液溜まりを形成するように該塗布ロールに
   押しつけて設けた弾性体と、かつ該塗布ロールへの該弾
   性体の押しつけ力を調整する押圧手段を設けたことを特
   徴とする金属切り板へのリンガーロール式塗布装置。