JPH08173181A - ヘテロ分岐シクロデキストリンの製造方法 - Google Patents
ヘテロ分岐シクロデキストリンの製造方法Info
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- JPH08173181A JPH08173181A JP33511394A JP33511394A JPH08173181A JP H08173181 A JPH08173181 A JP H08173181A JP 33511394 A JP33511394 A JP 33511394A JP 33511394 A JP33511394 A JP 33511394A JP H08173181 A JPH08173181 A JP H08173181A
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- Japan
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- cyclodextrin
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- galactosyl
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 シクロデキストリンと還元末端がマルトース
以上のマルトオリゴ糖単位を有するヘテロオリゴ糖を含
有する溶液に、枝切り酵素を作用させることを特徴とす
る下記一般式(I)で表されるヘテロ分岐シクロデキス
トリン(式中、Rはシクロデキストリンの6位水酸基を
示し、X1 およびX2 は水素原子またはガラクトシル
基,マンノシル基およびN−アセチルグルコサミニル基
のいずれかであり、共に水素原子である場合を除く。ま
た、nは1〜4の整数を示す。)の製造方法。 【化1】 【効果】 本発明によれば、枝切り酵素の縮合作用を利
用して、CD分子中のグルコースにα−1,6結合で還
元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有する
ヘテロオリゴ糖が結合しているヘテロ分岐CDを効率よ
く得ることができる。
以上のマルトオリゴ糖単位を有するヘテロオリゴ糖を含
有する溶液に、枝切り酵素を作用させることを特徴とす
る下記一般式(I)で表されるヘテロ分岐シクロデキス
トリン(式中、Rはシクロデキストリンの6位水酸基を
示し、X1 およびX2 は水素原子またはガラクトシル
基,マンノシル基およびN−アセチルグルコサミニル基
のいずれかであり、共に水素原子である場合を除く。ま
た、nは1〜4の整数を示す。)の製造方法。 【化1】 【効果】 本発明によれば、枝切り酵素の縮合作用を利
用して、CD分子中のグルコースにα−1,6結合で還
元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有する
ヘテロオリゴ糖が結合しているヘテロ分岐CDを効率よ
く得ることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヘテロ分岐シクロデキ
ストリンの製造方法に関し、詳しくは側鎖の還元末端が
マルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有するヘテロ分
岐シクロデキストリンの製造方法に関する。
ストリンの製造方法に関し、詳しくは側鎖の還元末端が
マルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有するヘテロ分
岐シクロデキストリンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】シク
ロデキストリン(以下、CDと略記する。)は、グルコ
ースがα−1,4結合で連なった環状デキストリンであ
り、グルコース6,7または8個より成るそれぞれα
−,β−およびγ−CDが良く知られている。最近、C
Dの溶解度を改善するため、これらCD分子中のグルコ
ースにα−1,6結合でグルコシル基,マルトシル基あ
るいはマルトオリゴシル基などを結合させた分岐CDが
合成されている。これらCDおよび分岐CDには分子内
部に空洞があり、しかもこの空洞内部が疎水性になって
いるため、包接作用があり、各種油性物質を取り込む性
質を有している。そのため、この性質を利用して不安
定物質の安定化、揮発性物質の保持、異臭のマスキ
ング、難・不溶性物質の可溶化など、種々の用途が考
えられている。最近、医薬品工業の分野では薬剤の副作
用を少なくするため、糖質の細胞認識性に着目して、こ
れをドラッグ・デリバリーシステムの薬剤運搬体の標識
細胞へのセンサーとして利用する研究が活発に行われて
いる。特に、ガラクトース、マンノースなどは生体内の
各部位に強い親和性を示すことが良く知られている。
ロデキストリン(以下、CDと略記する。)は、グルコ
ースがα−1,4結合で連なった環状デキストリンであ
り、グルコース6,7または8個より成るそれぞれα
−,β−およびγ−CDが良く知られている。最近、C
Dの溶解度を改善するため、これらCD分子中のグルコ
ースにα−1,6結合でグルコシル基,マルトシル基あ
るいはマルトオリゴシル基などを結合させた分岐CDが
合成されている。これらCDおよび分岐CDには分子内
部に空洞があり、しかもこの空洞内部が疎水性になって
いるため、包接作用があり、各種油性物質を取り込む性
質を有している。そのため、この性質を利用して不安
定物質の安定化、揮発性物質の保持、異臭のマスキ
ング、難・不溶性物質の可溶化など、種々の用途が考
えられている。最近、医薬品工業の分野では薬剤の副作
用を少なくするため、糖質の細胞認識性に着目して、こ
れをドラッグ・デリバリーシステムの薬剤運搬体の標識
細胞へのセンサーとして利用する研究が活発に行われて
いる。特に、ガラクトース、マンノースなどは生体内の
各部位に強い親和性を示すことが良く知られている。
【0003】これまでに本発明者らは、α−ガラクトシ
ダーゼ,β−ガラクトシダーゼおよびα−マンノシダー
ゼの糖転移作用を利用して、グルコシルCD,マルトシ
ルCD等の分岐CDの側鎖にガラクトースまたはマンノ
ースを結合させたヘテロ分岐CDを合成してきた。しか
し、この方法では目的物質の収率が低く、その上該物質
を単離するための分画操作にコストがかかりすぎるとい
う欠点がある。さらに、一般的に生体内では側鎖がある
程度長い方が組織や細胞に対する親和性が高いため、長
鎖のヘテロ分岐CDの合成が望まれるが、上記の方法で
は長鎖のヘテロ分岐CDは合成しにくいという欠点があ
る。そこで、本発明者らはヘテロ分岐CDの上述の如き
溶解性に優れているという特性に注目し、効率良くヘテ
ロ分岐CDを合成すべく種々検討を重ねた。
ダーゼ,β−ガラクトシダーゼおよびα−マンノシダー
ゼの糖転移作用を利用して、グルコシルCD,マルトシ
ルCD等の分岐CDの側鎖にガラクトースまたはマンノ
ースを結合させたヘテロ分岐CDを合成してきた。しか
し、この方法では目的物質の収率が低く、その上該物質
を単離するための分画操作にコストがかかりすぎるとい
う欠点がある。さらに、一般的に生体内では側鎖がある
程度長い方が組織や細胞に対する親和性が高いため、長
鎖のヘテロ分岐CDの合成が望まれるが、上記の方法で
は長鎖のヘテロ分岐CDは合成しにくいという欠点があ
る。そこで、本発明者らはヘテロ分岐CDの上述の如き
溶解性に優れているという特性に注目し、効率良くヘテ
ロ分岐CDを合成すべく種々検討を重ねた。
【0004】まず、酵素の糖転移作用を利用し、受容体
としてマルトース,マルトトリオース,マルトテトラオ
ースなどのマルトオリゴ糖またはそれらの混合物を用
い、供与体として乳糖を用いるときはβ−ガラクトシダ
ーゼを、マンノビオースを供与体として用いるときはマ
ンノシダーゼを、キトビオースを用いるときはN−アセ
チル−グルコサミニダーゼを作用させることによって、
還元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有す
るヘテロオリゴ糖を合成した後、枝切り酵素の縮合作用
を利用してα−,β−およびγ−CDのグルコシル基に
α結合で該ヘテロオリゴ糖を結合させたヘテロ分岐CD
の合成法を完成した。さらに、このうち特にクレブジエ
ラ属微生物由来のプルラナーゼは、α−,β−およびγ
−CDのグルコシル基に、α−1,6結合で1分子の還
元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有する
ヘテロオリゴ糖を結合させたヘテロ分岐CDを効率良く
合成することを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成したのである。
としてマルトース,マルトトリオース,マルトテトラオ
ースなどのマルトオリゴ糖またはそれらの混合物を用
い、供与体として乳糖を用いるときはβ−ガラクトシダ
ーゼを、マンノビオースを供与体として用いるときはマ
ンノシダーゼを、キトビオースを用いるときはN−アセ
チル−グルコサミニダーゼを作用させることによって、
還元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有す
るヘテロオリゴ糖を合成した後、枝切り酵素の縮合作用
を利用してα−,β−およびγ−CDのグルコシル基に
α結合で該ヘテロオリゴ糖を結合させたヘテロ分岐CD
の合成法を完成した。さらに、このうち特にクレブジエ
ラ属微生物由来のプルラナーゼは、α−,β−およびγ
−CDのグルコシル基に、α−1,6結合で1分子の還
元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有する
ヘテロオリゴ糖を結合させたヘテロ分岐CDを効率良く
合成することを見出し、この知見に基づいて本発明を完
成したのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、シク
ロデキストリンと還元末端がマルトース以上のマルトオ
リゴ糖単位を有するヘテロオリゴ糖を含有する溶液に、
枝切り酵素を作用させることを特徴とする下記一般式
(I)で表されるヘテロ分岐シクロデキストリン(式
中、Rはシクロデキストリンの6位水酸基を示し、X1
およびX2 は水素原子またはガラクトシル基,マンノシ
ル基およびN−アセチルグルコサミニル基のいずれかで
あり、共に水素原子である場合を除く。また、nは1〜
4の整数を示す。)の製造方法に関するものである。
ロデキストリンと還元末端がマルトース以上のマルトオ
リゴ糖単位を有するヘテロオリゴ糖を含有する溶液に、
枝切り酵素を作用させることを特徴とする下記一般式
(I)で表されるヘテロ分岐シクロデキストリン(式
中、Rはシクロデキストリンの6位水酸基を示し、X1
およびX2 は水素原子またはガラクトシル基,マンノシ
ル基およびN−アセチルグルコサミニル基のいずれかで
あり、共に水素原子である場合を除く。また、nは1〜
4の整数を示す。)の製造方法に関するものである。
【0006】
【化2】
【0007】本発明に用いるCDは、α−,β−および
γ−CDのいずれでもよく、これらの混合物であっても
よい。また、本発明に用いる還元末端がマルトース以上
のマルトオリゴ糖単位を有するヘテロオリゴ糖(以下、
糖供与体と記す。)としては、マルトオリゴ糖にα−ガ
ラクトシダーゼまたはβ−ガラクトシダーゼの糖転移作
用により合成されるガラクトシル・マルトオリゴ糖、あ
るいはα−マンノシダーゼの糖転移作用により合成され
るマンノシル・マルトオリゴ糖、あるいはN−アセチル
グルコサミニダーゼの糖転移作用により合成されるN−
アセチルグルコサミニル・マルトオリゴ糖およびそれら
の混合物なども用いることができる。
γ−CDのいずれでもよく、これらの混合物であっても
よい。また、本発明に用いる還元末端がマルトース以上
のマルトオリゴ糖単位を有するヘテロオリゴ糖(以下、
糖供与体と記す。)としては、マルトオリゴ糖にα−ガ
ラクトシダーゼまたはβ−ガラクトシダーゼの糖転移作
用により合成されるガラクトシル・マルトオリゴ糖、あ
るいはα−マンノシダーゼの糖転移作用により合成され
るマンノシル・マルトオリゴ糖、あるいはN−アセチル
グルコサミニダーゼの糖転移作用により合成されるN−
アセチルグルコサミニル・マルトオリゴ糖およびそれら
の混合物なども用いることができる。
【0008】次に、本発明に用いる枝切り酵素として
は、上記糖供与体である還元末端がマルトース以上のマ
ルトオリゴ糖単位を有するヘテロオリゴ糖とCDを含有
する溶液に作用させたとき、その糖供与体をCDにα結
合で縮合させ、ヘテロ分岐CDを合成するものであれば
よく、その起源を問わずいずれも使用可能である。通常
は、プルラナーゼ,イソアミラーゼ等が用いられる。本
発明に用いる枝切り酵素は、自然界に広く分布している
ものであり、例えばプルラナーゼは、クレブジエラ属微
生物,バチルス属微生物,エアロバクター・エアロゲネ
ス,エンテロバクター・エアロゲネスなどの微生物由来
の酵素がよく知られており、イソアミラーゼとしてはシ
ュードモナス・アミロデラモサなどの微生物由来の酵素
がよく知られている。
は、上記糖供与体である還元末端がマルトース以上のマ
ルトオリゴ糖単位を有するヘテロオリゴ糖とCDを含有
する溶液に作用させたとき、その糖供与体をCDにα結
合で縮合させ、ヘテロ分岐CDを合成するものであれば
よく、その起源を問わずいずれも使用可能である。通常
は、プルラナーゼ,イソアミラーゼ等が用いられる。本
発明に用いる枝切り酵素は、自然界に広く分布している
ものであり、例えばプルラナーゼは、クレブジエラ属微
生物,バチルス属微生物,エアロバクター・エアロゲネ
ス,エンテロバクター・エアロゲネスなどの微生物由来
の酵素がよく知られており、イソアミラーゼとしてはシ
ュードモナス・アミロデラモサなどの微生物由来の酵素
がよく知られている。
【0009】本発明の反応系において、CDと糖供与体
を含む溶液(水溶液または懸濁液)は、CDの濃度が約
1〜50%(w/w),糖供与体の濃度が約1〜90%
(w/w)であることが望ましく、かつCDに対する糖
供与体の比率(重量)は、使用する糖供与体の種類によ
って異なるが、0.1〜50倍の範囲、好ましくは1〜
5倍の範囲とするのが適当である。反応液のpHは3〜
10、好ましくは4〜9、温度は20〜70℃、好まし
くは30〜60℃に調整して反応させることが適当であ
る。また、使用酵素量は反応時間と密接な関係があるの
で、通常は5〜100時間で反応が終了するような酵素
量とすればよいが、これらに限定されるものではない。
を含む溶液(水溶液または懸濁液)は、CDの濃度が約
1〜50%(w/w),糖供与体の濃度が約1〜90%
(w/w)であることが望ましく、かつCDに対する糖
供与体の比率(重量)は、使用する糖供与体の種類によ
って異なるが、0.1〜50倍の範囲、好ましくは1〜
5倍の範囲とするのが適当である。反応液のpHは3〜
10、好ましくは4〜9、温度は20〜70℃、好まし
くは30〜60℃に調整して反応させることが適当であ
る。また、使用酵素量は反応時間と密接な関係があるの
で、通常は5〜100時間で反応が終了するような酵素
量とすればよいが、これらに限定されるものではない。
【0010】以上のような方法で反応させて得られた反
応生成物から目的とするヘテロ分岐CDを採取するに
は、通常の手法によればよく、その1例を示すと、上記
反応生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
にかけて、CDへの転移生成物を分取した後、HPLC
のリテンションタイムを標準物質と比較し、さらにFA
B−MS,13C−NMR,メチル化分析により構造を調
べ、転移生成物のCD分子中のグルコースにα−1,6
結合で、還元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単
位を有するヘテロオリゴ糖が結合しているヘテロ分岐C
Dであることを確認する。こうして製造されたヘテロ分
岐CDは、ドラッグ・デリバリーシステムの薬剤運搬体
等としての利用が期待される。
応生成物から目的とするヘテロ分岐CDを採取するに
は、通常の手法によればよく、その1例を示すと、上記
反応生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
にかけて、CDへの転移生成物を分取した後、HPLC
のリテンションタイムを標準物質と比較し、さらにFA
B−MS,13C−NMR,メチル化分析により構造を調
べ、転移生成物のCD分子中のグルコースにα−1,6
結合で、還元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単
位を有するヘテロオリゴ糖が結合しているヘテロ分岐C
Dであることを確認する。こうして製造されたヘテロ分
岐CDは、ドラッグ・デリバリーシステムの薬剤運搬体
等としての利用が期待される。
【0011】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 (1)縮合反応 既知の方法により得られたガラクトシル・マルトトリオ
ース(43 −O−β−ガラクトシル−マルトトリオー
ス)8gおよびβ−CD2gを50mM酢酸緩衝液(p
H6.0)15mlに懸濁させた後、クレブジエラ属微
生物由来のプルラナーゼ(天野製薬株式会社製)を63
4単位加え、60℃にて72時間反応させた。反応終了
後、酵素を熱失活させた溶液を高速液体クロマトグラフ
ィーにかけて縮合生成物495mgを分取した。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 (1)縮合反応 既知の方法により得られたガラクトシル・マルトトリオ
ース(43 −O−β−ガラクトシル−マルトトリオー
ス)8gおよびβ−CD2gを50mM酢酸緩衝液(p
H6.0)15mlに懸濁させた後、クレブジエラ属微
生物由来のプルラナーゼ(天野製薬株式会社製)を63
4単位加え、60℃にて72時間反応させた。反応終了
後、酵素を熱失活させた溶液を高速液体クロマトグラフ
ィーにかけて縮合生成物495mgを分取した。
【0012】(2)構造解析 FAB−MS分析により、m/z 1781の分子イオンピ
ーク([M−H]- )とβ−CDに由来するm/z 113
3にフラグメントイオンピークが検出された。また、13
C−NMR分析では、β−CDのグルコシル基の6位炭
素に由来するシグナルが1本低磁場側に大きくシフトし
ていることより、β−CDのグルコシル基の6位の水酸
基が結合に関与していることが確認された(図1)。以
上の結果とメチル化分析より、マルトトリオースの非還
元末端側グルコシル基の4位にガラクトシル基がβ結合
したガラクトシル・マルトトリオースがβ−CDにα−
1,6結合した構造であると確認された。
ーク([M−H]- )とβ−CDに由来するm/z 113
3にフラグメントイオンピークが検出された。また、13
C−NMR分析では、β−CDのグルコシル基の6位炭
素に由来するシグナルが1本低磁場側に大きくシフトし
ていることより、β−CDのグルコシル基の6位の水酸
基が結合に関与していることが確認された(図1)。以
上の結果とメチル化分析より、マルトトリオースの非還
元末端側グルコシル基の4位にガラクトシル基がβ結合
したガラクトシル・マルトトリオースがβ−CDにα−
1,6結合した構造であると確認された。
【0013】実施例2 (1)縮合反応 既知の方法により得られたガラクトシル・マルトテトラ
オース(44 −O−β−ガラクトシル−マルトテトラオ
ース)8gおよびβ−CD2gを50mM酢酸緩衝液
(pH6.0)15mlに懸濁させた後、クレブジエラ
属微生物由来のプルラナーゼ(天野製薬株式会社製)を
634単位加え、60℃にて72時間反応させた。反応
終了後、酵素を熱失活させた溶液を高速液体クロマトグ
ラフィーにかけて縮合生成物430mgを分取した。
オース(44 −O−β−ガラクトシル−マルトテトラオ
ース)8gおよびβ−CD2gを50mM酢酸緩衝液
(pH6.0)15mlに懸濁させた後、クレブジエラ
属微生物由来のプルラナーゼ(天野製薬株式会社製)を
634単位加え、60℃にて72時間反応させた。反応
終了後、酵素を熱失活させた溶液を高速液体クロマトグ
ラフィーにかけて縮合生成物430mgを分取した。
【0014】(2)構造解析 FAB−MS分析により、m/z 1943の分子イオンピ
ーク([M−H]- )とβ−CDに由来するm/z 113
3にフラグメントイオンピークが検出された。また、13
C−NMR分析では、β−CDのグルコシル基の6位炭
素に由来するシグナルが1本低磁場側に大きくシフトし
ていることより、β−CDのグルコシル基の6位の水酸
基が結合に関与していることが確認された(図2)。以
上の結果とメチル化分析より、マルトテトラオースの非
還元末端側グルコシル基の4位にガラクトシル基がβ結
合したガラクトシル・マルトテトラオースがβ−CDに
α−1,6結合した構造であると確認された。
ーク([M−H]- )とβ−CDに由来するm/z 113
3にフラグメントイオンピークが検出された。また、13
C−NMR分析では、β−CDのグルコシル基の6位炭
素に由来するシグナルが1本低磁場側に大きくシフトし
ていることより、β−CDのグルコシル基の6位の水酸
基が結合に関与していることが確認された(図2)。以
上の結果とメチル化分析より、マルトテトラオースの非
還元末端側グルコシル基の4位にガラクトシル基がβ結
合したガラクトシル・マルトテトラオースがβ−CDに
α−1,6結合した構造であると確認された。
【0015】実施例3 (1)縮合反応 既知の方法により得られたガラクトシル・マルトペンタ
オース(45 −O−β−ガラクトシル−マルトペンタオ
ース)8gおよびβ−CD2gを50mM酢酸緩衝液
(pH6.0)15mlに懸濁させた後、クレブジエラ
属微生物由来のプルラナーゼ(天野製薬株式会社製)を
634単位加え、60℃にて72時間反応させた。反応
終了後、酵素を熱失活させた溶液を高速液体クロマトグ
ラフィーにかけて縮合生成物390mgを分取した。
オース(45 −O−β−ガラクトシル−マルトペンタオ
ース)8gおよびβ−CD2gを50mM酢酸緩衝液
(pH6.0)15mlに懸濁させた後、クレブジエラ
属微生物由来のプルラナーゼ(天野製薬株式会社製)を
634単位加え、60℃にて72時間反応させた。反応
終了後、酵素を熱失活させた溶液を高速液体クロマトグ
ラフィーにかけて縮合生成物390mgを分取した。
【0016】(2)構造解析 FAB−MS分析により、m/z 2105の分子イオンピ
ーク([M−H]- )とβ−CDに由来するm/z 113
3にフラグメントイオンピークが検出された(図3)。
また、13C−NMR分析では、β−CDのグルコシル基
の6位炭素に由来するシグナルが1本低磁場側に大きく
シフトしていることより、β−CDのグルコシル基の6
位の水酸基が結合に関与していることが確認された(図
4)。以上の結果とメチル化分析より、マルトペンタオ
ースの非還元末端側グルコシル基の4位にガラクトシル
基がβ結合したガラクトシル・マルトペンタオースがβ
−CDにα−1,6結合した構造であると確認された。
ーク([M−H]- )とβ−CDに由来するm/z 113
3にフラグメントイオンピークが検出された(図3)。
また、13C−NMR分析では、β−CDのグルコシル基
の6位炭素に由来するシグナルが1本低磁場側に大きく
シフトしていることより、β−CDのグルコシル基の6
位の水酸基が結合に関与していることが確認された(図
4)。以上の結果とメチル化分析より、マルトペンタオ
ースの非還元末端側グルコシル基の4位にガラクトシル
基がβ結合したガラクトシル・マルトペンタオースがβ
−CDにα−1,6結合した構造であると確認された。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、枝切り酵素の縮合作用
を利用して、CD分子中のグルコースにα−1,6結合
で還元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有
するヘテロオリゴ糖が結合しているヘテロ分岐CDを効
率よく得ることができる。
を利用して、CD分子中のグルコースにα−1,6結合
で還元末端がマルトース以上のマルトオリゴ糖単位を有
するヘテロオリゴ糖が結合しているヘテロ分岐CDを効
率よく得ることができる。
【図1】 実施例1のヘテロ分岐CDの13C−NMRス
ペクトルである。
ペクトルである。
【図2】 実施例2のヘテロ分岐CDの13C−NMRス
ペクトルである。
ペクトルである。
【図3】 実施例3のヘテロ分岐CDのFAB−MSス
ペクトルである。
ペクトルである。
【図4】 実施例3のヘテロ分岐CDの13C−NMRス
ペクトルである。
ペクトルである。
Claims (4)
- 【請求項1】 シクロデキストリンと還元末端がマルト
ース以上のマルトオリゴ糖単位を有するヘテロオリゴ糖
を含有する溶液に、枝切り酵素を作用させることを特徴
とする下記一般式(I)で表されるヘテロ分岐シクロデ
キストリン(式中、Rはシクロデキストリンの6位水酸
基を示し、X1 およびX2 は水素原子またはガラクトシ
ル基,マンノシル基およびN−アセチルグルコサミニル
基のいずれかであり、共に水素原子である場合を除く。
また、nは1〜4の整数を示す。)の製造方法。 【化1】 - 【請求項2】 枝切り酵素が、プルラナーゼまたはイソ
アミラーゼから選ばれたものであることを特徴とする請
求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 枝切り酵素が、クレブジエラ属微生物由
来のプルラナーゼであることを特徴とする請求項1記載
の製造方法。 - 【請求項4】 ヘテロオリゴ糖が、ガラクトシル・マル
トオリゴ糖,マンノシル・マルトオリゴ糖およびN−ア
セチルグルコサミニル・マルトオリゴ糖のいずれかであ
ることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33511394A JPH08173181A (ja) | 1994-12-21 | 1994-12-21 | ヘテロ分岐シクロデキストリンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33511394A JPH08173181A (ja) | 1994-12-21 | 1994-12-21 | ヘテロ分岐シクロデキストリンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08173181A true JPH08173181A (ja) | 1996-07-09 |
Family
ID=18284921
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP33511394A Pending JPH08173181A (ja) | 1994-12-21 | 1994-12-21 | ヘテロ分岐シクロデキストリンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JPH08173181A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0818469A2 (en) * | 1996-07-11 | 1998-01-14 | Ensuiko Sugar Refining Company, Limited | Branched cyclodextrins and method for producing them |
-
1994
- 1994-12-21 JP JP33511394A patent/JPH08173181A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0818469A2 (en) * | 1996-07-11 | 1998-01-14 | Ensuiko Sugar Refining Company, Limited | Branched cyclodextrins and method for producing them |
US5763598A (en) * | 1996-07-11 | 1998-06-09 | Ensuiko Sugar Refining Co., Ltd. | Branched cyclodextrins and method for producing them |
EP0818469A3 (en) * | 1996-07-11 | 1998-08-05 | Ensuiko Sugar Refining Company, Limited | Branched cyclodextrins and method for producing them |
KR100407043B1 (ko) * | 1996-07-11 | 2004-05-31 | 엔스이코 세이토 가부시키가이샤 | 분지 사이클로 덱스트린 및 그 제조방법 |
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