JPH08171919A - 燃料電池発電プラントの並列運転装置 - Google Patents

燃料電池発電プラントの並列運転装置

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JPH08171919A
JPH08171919A JP6333831A JP33383194A JPH08171919A JP H08171919 A JPH08171919 A JP H08171919A JP 6333831 A JP6333831 A JP 6333831A JP 33383194 A JP33383194 A JP 33383194A JP H08171919 A JPH08171919 A JP H08171919A
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signal
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保 武田
Motoyuki Higa
基幸 比嘉
Takahiro Mori
高裕 森
Noritoshi Sanagi
徳寿 佐薙
Haruo Matsumuro
春生 松室
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Toshiba System Technology Corp
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  • Supply And Distribution Of Alternating Current (AREA)
  • Direct Current Feeding And Distribution (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 電気制御装置13は、有効電力量と無効電力
量とが負荷分担量へ追従し、直交変換器10から特定負
荷へ各プラントが同形の交流波形出力をするようにPW
M信号を生成する。負荷分担制御装置15は、プラント
の運転停止状態と予め定めたルールとにより1つのマス
タープラントを決定し、残りをスレーブプラントとする
共に、特定負荷の電力要求量とプラントの運転台数とか
ら負荷負担量を決定する。同期信号切換装置16は、自
プラントがマスタープラントのとき自プラントの交流出
力に同期する同期信号を出力する一方、自プラントがス
レーブプラントのときマスタープラントの同期信号を取
込む。 【効果】 特定負荷の並列運転を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料電池発電プラント
の並列運転装置に係わり、特に電力需要のある現場へパ
ッケージ化された小型低出力タイプの複数による燃料電
池発電プラントを配置して並列運転するに好適な燃料電
池発電プラントの並列運転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、電力は発電機を蒸気タービン等の
原動機で回転させ、この与えられた駆動エネルギーを発
電機によって交流電力として発生させて、発生した交流
電力のまま需要側へ供給する。この方法が電力の発生か
ら消費に至るまで最も都合のよいものとして採用されて
いる。
【0003】一方、蒸気タービン等を駆動させる蒸気
は、ボイラ等により石油,ガス等の燃料を燃焼させた熱
エネルギーにより発生させているが、この燃料エネルギ
ーを熱エネルギーとして取出し、これを蒸気エネルギー
に交換し、さらに、電気エネルギーとして取出すことは
効率面で不利である。このため、近年では、燃料の電気
化学的変化を行わせ、この電気化学的変化の際に発生す
る電子の流れにより直接エネルギーを取出す燃料電池発
電方式が、省エネルギー発電の一つとして注目され採用
されつつある。
【0004】この燃料電池は、供給される燃料と酸化剤
とを電気化学的に反応させて電力を発生するものである
が、その出力は直流出力であり、特定区域で消費する場
合はこの直流のまま消費し、また、省エネルギー製作の
一貫として大量の電力をまかなう場合には、直流−交流
交換器により交流に変換して電力系統へ供給するように
している。
【0005】このようにして特定の電力需要に対して電
力供給を行う場合、その電力需要に見合う1台のプラン
トを新規に製造し電力供給をするかまたはパッケージ化
された低出力タイプのオンサイト型燃料電池プラントを
1台電力需要のある現場付近に設置し、不足分を系統か
らの電力で補うことにより電力供給を行っていた。
【0006】以下このオンサイト型燃料電池プラントの
従来までの発電方法を説明する。
【0007】従来の燃料電池プラントの運転方法には次
の3種類があり、それぞれの運転方法をオペレータの操
作により切換えることができた。
【0008】(1)待機運転 :プラント内の補機へ
直流変換器出力を供給する運転。 (2)系統連係運転:直流交換器出力を系統へ供給する
運転。 (3)単独負荷運転:直流交換器出力を単独負荷へ系統
に関係なく供給する運転。
【0009】燃料電池プラントの標準的な構成図である
図18を参照して燃料電池プラントの電気出力方法と上
記3種類の運転方法とその切換え方法について説明す
る。
【0010】燃料電池プラント1は大別して直流発電部
2と制御装置3と交流出力部4とからなっている。制御
装置3は、電気制御装置13とプロセス制御装置14と
共通メモリ20とにより構成され、電気制御装置13は
交流出力部4を制御し、また、プロセス制御装置14は
直流発電部2を制御する。
【0011】まず、前記(1)の待機運転への移行につ
いて説明する。
【0012】直流発電部2内の燃料電池12は、プロセ
ス制御装置14により制御され、供給される燃料と空気
とにより電気化学変化を起こし、直流起電力を発生す
る。このとき、電気制御装置13は、この直流起電力に
よる電圧を検出し直流昇圧部11が起動するために十分
な電圧になると、直流昇圧部11を起動させる。直流昇
圧部11は燃料電池12で発生した起電力をさらに昇圧
する。これは、この後に起動される直流変換器10によ
り直流から交流へ変換する効率を上げるため行われる。
【0013】これら直流昇圧部11、直交変換器10が
起動されたことにより、燃料電池12で発生し直流出力
100が交流出力101に変換される。その後に交流出
力電圧が定格に達すると、切換器21が系統側(図示B
側)から直交変換器10側(図示A側)へ切り換わり、
直交変換器10の出力をプラント内の補機類へ供給す
る。このとき燃料電池12からの直流出力100がプラ
ント補機への交流出力電力と直交変換器10等のロス分
を合わせた直流出力電力となる。燃料電池12からの出
力電圧は一定であるため直流電流が上昇する。
【0014】なお、切換器21は交流出力101が出力
されるまでは、系統側(図示B側)にあり系統電力をプ
ラント内の補機に供給する。
【0015】以上説明したように、プラント内の補機へ
の電力供給を直交変換器10からの交流出力101によ
り行い、プラントを維持している状態を前記(1)待機
運転と呼ぶ。このとき、単独負荷運転用遮断器9は
「開」、系統連係用遮断器18は「開」、内部接続遮断
器19は「閉」となっている。従って、負荷6には、系
統22からの電力供給がされている。
【0016】次に、(1)待機運転とき、(2)系統連
係運転へ移行する場合について説明する。
【0017】まず、待機運転状態にある燃料電池プラン
ト1において、オペレータが電気制御装置13に接続さ
れている端末から系統連係運転を選択すると、プラント
は(2)系統連係運転へ切り換わる。
【0018】待機運転のとき、遮断器5が「閉」状態な
ので内部接続遮断器19を介して系統22から負荷6へ
電力が供給されている。この状態でオペレータが電気制
御装置13に接続された端末から系統連係運転を選択す
ると、交流出力部4内の系統連係用遮断器18が「閉」
となる。これにより、単独負荷運転用遮断器9は
「開」、系統連係用遮断器18は「閉」、内部接続遮断
器19は「閉」となり、切換器21は直交変換器10側
(図示A側)に接続される。
【0019】従って、直交変換器10の交流出力101
からプラント補機を除いた分の電力が負荷6に供給さ
れ、負荷6へは系統22と燃料電池プラント1の両方か
ら電力供給がされる。このとき、燃料電池プラント1は
系統22と同期が取られた交流出力としている。
【0020】また、オペレータが端末から系統連係運転
を選択すると同時に、燃料電池プラント1から出力すべ
き有効電力と無効電力とを設定する。オペレータにより
有効電力と無効電力との設定された電気制御装置13で
は直交変換器10に対して出力電圧と位相を操作する。
これにより、オペレータが設定した有効電力と無効電力
とが出力される。
【0021】次に、(3)単独負荷運転への移行につい
て説明する。
【0022】待機運転状態にある燃料電池プラント1に
おいて、オペレータが電気制御装置13に接続されてい
る端末から単独負荷運転を選択すると、プラントは
(3)単独負荷運転へ切り換わる。
【0023】待機運転状態のとき、遮断器5が「閉」状
態なので負荷6に対して系統22からの電力が供給され
ている。この状態でオペレータが電気制御装置13に接
続された端末から単独負荷運転を選択すると、交流出力
部4内の単独負荷運転用遮断器9が「閉」となり内部接
続遮断器19が「開」となる。これにより、単独負荷運
転用遮断器9は「閉」、系統連係用遮断器18は
「開」、内部接続遮断器19は「開」となり、切換器2
1が直交変換器10側(図示A側)に接続されている。
【0024】従って、直交変換器10の交流出力101
からプラント補機を除いた分の電力が負荷6に供給され
る。このとき、負荷6は燃料電池プラント1の定格出力
より小さい負荷容量に限定される。
【0025】次に、系統連係運転の制御について図19
を参照しつつ説明する。
【0026】まず、予め定められた目標電圧信号vB/
Rと直流昇圧部11の出力信号との偏差信号が比較手段
87によって算出され、偏差信号が昇圧器電圧制御手段
86と直流昇圧部11とに制御されて直流昇圧部11の
出力信号が目標電圧信号vB/Rに追従される。これに
より、目標電圧信号vB/Rに追従制御されて直流昇圧
部11から直流出力が位相制御手段83へ入力される
(図示太線)。
【0027】一般に、有効電力Pと無効電力Qは次の式
(1)と(2)で示される。
【0028】 P=[Va・Vb sinΘ]/Z−−−−−−−−(1) Q=[Va・(Va−Vb)cosΘ]/Z−−−−(2)
【0029】ここで、Va:直交変換器の出力電圧 Vb:系統の電圧 Z:直交変換器と系統の連係インピーダンス Θ:直交変換器の出力電圧波形と系統の電圧波形の位相
【0030】上記式(1),(2)より有効電力Pと無
効電力Qとは、直交変換器10の出力電圧Vaとその位
相Θを調整すればよいことが判る。上記の考えから有効
電力Pと無効電力Qの制御は、図19に示すオペレータ
による有効電力設定Psetと無効電力設定Qsetに
よって実現される。
【0031】すなわち、図19の右上に示す有効電力設
定Psetと有効電力P(図示太線)とが比較手段80
へ入力され、得られる偏差信号が有効電力制御手段81
により制御演算され、得られる信号が加算手段82へ入
力される。
【0032】次に、系統22から系統同期信号発生手段
91によって系統同期信号が取込まれる(図示太線)。
この系統同期信号と有効電力制御手段81の出力信号と
が加算手段82により加算され、位相制御手段83によ
り位相Θが生成される。
【0033】一方、オペレータによって設定される無効
電力設定Qset(図示右下)と無効電力とが比較手段
88へ入力され得られた偏差信号が無効電力制御手段8
4によって制御演算されて交流出力電圧制御定数%Fが
電圧制御手段85へ出力される。
【0034】これによって、位相制御手段83による位
相Θと電圧制御手段85による電圧vとからスイッチン
グトランジスタがON/OFFされて図20に示すPW
M波(図示下段)が生成される。
【0035】この図20に示すPWM波は電圧vでON
の時間幅が定まり、トランジスタがPWM波の立ち上が
りの時間間隔だけONとなる。このとき、位相Θ操作は
PWM波の0クロスの立ち上がりタイミングを変えるこ
とにより操作でき、電圧vの操作量はPWM波のON時
間を変えることにより操作される。この結果、図示上段
のような交流出力波形の平均値が得られる。
【0036】このような制御により燃料電池プラント1
は系統に同期した電力供給を行い、さらに、有効電力と
無効電力とを制御している。
【0037】次に、待機運転中および単独負荷運転中に
おける直交変換器10と直流昇圧部11を制御する電気
制御装置13の制御内容を図21を参照して説明する。
【0038】まず、直流昇圧部11の電圧制御は、図1
9で説明した系統連係時と同様で目標電圧信号vB/R
に直流昇圧部11の出力信号が追従するように比較手段
87からの偏差信号を昇圧器電圧制御手段86により制
御する。直流昇圧部11の電圧制御の方法は、上記系統
連係時の方法と同様である。
【0039】単独負荷運転のときは系統連係運転と異な
り有効電力制御および無効電力制御は行わず、出力電圧
一定制御を行うのみである。その理由は負荷運転中は直
交変換器10に接続される負荷の成分により必要となる
有効電力Pと無効電力Qが一義に決まるからである。つ
まり、純抵抗負荷分の大きさで有効電力の大きさ、イン
ダクタンスとコンデンサ分の負荷の大きさにより無効電
力Qの大きさが決まる。従って、この場合の出力側であ
る直交変換器10で制御する必要はなく、燃料電池プラ
ント1の定格以内の負荷容量を接続する場合、負荷6側
で必要な電力を直交変換器10が出力する。
【0040】また、単独負荷運転中のプラントは、交流
出力を系統22と同期させる必要がないため、電気制御
装置13内に設ける基準クロックにより、その周波数を
保持することができる。
【0041】このようにして、単独負荷運転の場合、基
準クロックから生成された位相Θrefと比較手段90
により算出された出力電圧vと目標電圧viの偏差信号
から%F算出手段89により算出される交流出力電圧制
御定数%Fと位相制御手段83により生成される位相Θ
と電圧制御手段85により生成される電圧vとから図2
0に示すと同様のPWM波が生成される。このPWM波
により直交変換器10を制御し交流出力の電圧を目標値
に制御する。
【0042】このように、従来のオンサイト型燃料電池
プラントは、待機運転、系統連係運転、単独負荷運転と
いう3種類の運転方法を持ち、それぞれの運転方法に対
し、直交変換器の制御方法を変えて、できるだけ安定し
た電力供給を電力需要に対して行っていた。
【0043】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図18
により説明した従来の燃料電池プラント1には次の問題
がある。
【0044】まず、第一に、系統22に接続するために
電力需要がある現場へ特別の送電線を配設する必要があ
るため多額の工事費等を要する。また、前記(2)の系
統連係運転のときは、燃料電池プラント1では、負荷6
の電力需要が追いつけず、不足分を系統22から補うの
である。従って、負荷6の要求負荷量Xと燃料電池プラ
ント1の定格容量YとがX>Yの関係のとき、系統異常
が発生すれば燃料電池プラント1のみでは過負荷とな
り、燃料電池プラント1の保護のため燃料電池プラント
1が強制停止となり電力供給が完全停止するという問題
がある。
【0045】また、第二に、前記(3)単独運転の場
合、負荷6の要求負荷容量Xと燃料電池プラント1との
定格容量Yとの間でX<Yの関係が常に成立する必要が
あり、負荷6の最大要求負荷容量に見合った余裕のある
専用の燃料電池プラント1を製造し現場に設置しなけれ
ばならなかった。このような場合、当初と比べ設備が増
設され、電力需要が増加すれば、系統からの電力に頼ら
ざるを得なく、負荷6の設備がなくなり燃料電池プラン
ト1が不要となっても、専用の燃料電池プラント1で
は、他の現場へ持って行って転用することも困難であっ
た。
【0046】そこで、本発明は特定負荷の大小に応じ複
数の燃料電池プラント1を並列運転させる燃料電池発電
プラントの並列運転装置を提供することを目的とする。
【0047】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、特定
負荷に対して複数台からなる燃料電池のプラントが並列
接続されて電力供給系統を構成し、それぞれのプラント
は、燃料電池によって直流電圧を発生させる直流発電部
と、この直流発電部により発生した直流電圧を昇圧し直
流を交流へ変換する直交変換器を有する交流出力部と、
直流発電部内の各プロセス量を制御するプロセス制御装
置と、プラントの運転停止状態に応じて複数台のプラン
トの内で主導的な1つのマスタープラントを決定し、残
りをマスタープラントに従属するスレーブプラントとす
るプラントと共に、特定負荷の電力要求量とプラントの
運転台数とから各プラントの負荷負担量を決定する負荷
分担制御装置と、マスタープラントから特定負荷へ出力
する交流出力とスレーブプラントの交流出力とを同期さ
せるために自プラントがマスタープラントのとき自プラ
ントの交流出力に同期する同期信号を出力する一方、自
プラントがスレーブプラントのときマスタープラントの
同期信号を取込む同期信号切換装置と、直交変換器から
出力される有効電力量と無効電力とがそれぞれの負荷分
担量へ追従し、直交変換器から出力される電圧がマスタ
ープラントの目標値となるように共に、マスタープラン
トに同期信号に同期した直交変換器から特定負荷へ各プ
ラントが同形の交流波形出力をするようにPWM信号を
生成する電気制御装置と、それぞれのプラントの運転状
態を取込み全プラントの運転状態を保存する共通メモリ
とを設けるようにしたものである。
【0048】請求項2の発明は、請求項1記載の燃料電
池発電プラントの並列運転装置において、負荷分担制御
装置は、共通メモリから各プラントの運転または停止状
況を取込み、予め定められたルールに従ってどのプラン
トを優先的にマスタープラントとするか優先度の指数で
表す自プラントの優先度の指数を計算し、共通メモリへ
保存する計算部と、共通メモリから各プラントの優先度
の指数を入力してこれらの優先度の指数の大小関係から
自プラントがマスタープラントかスレーブプラントかを
決定し、共通メモリへ保存するマスタープラント決定部
と、共通メモリから取込まれた特定負荷の要求量とプラ
ント運転台数とから所定の計算に従って各プラントの負
荷分担量を計算して共通メモリへ保存する負荷分担量決
定部とを設けるようにしたものである。
【0049】請求項3の発明は、請求項1または請求項
2記載の燃料電池発電プラントの並列運転装置におい
て、電気制御装置は、共通メモリを参照して自プラント
がマスタープラントのとき同期信号を出力する一方、自
プラントがスレーブプラントのとき他プラントのマスタ
ープラントから同期信号を一旦取込みバイパス出力する
同期信号処理装置と、自プラントが停止中若しくは異常
時に同期信号が同期信号処理装置をバイパスするバイパ
ス信号を出力する電気制御装置監視器とを設け、同期信
号切換装置は、同期信号を入力する入口側と出力する出
口側とを有し、それぞれの各プラントの入口側と出口側
とが相互に接続され同期信号が各プラントへ伝達するよ
うに閉ループを形成した同期信号伝送路と、同期信号処
理装置からの同期信号を取込み出力する一方、バイパス
信号が入力されると、同期信号をバイパスさせるように
切換える同期信号切換手段を設けるようにしたものであ
る。
【0050】請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3
記載のいずれかの燃料電池発電プラントの並列運転装置
において、電気制御装置は、共通メモリから各種データ
を取込み自プラントがマスタープラントのとき同期信号
処理装置から同期信号を取込みまたは自プラントがスレ
ーブプラントのとき同期信号切換装置を介して同期信号
を取込む同期信号入力部と、同期信号に同期し、直交変
換器から出力される有効電力量が負荷分担量となるよう
に位相制御信号を出力する有効電力位相制御部と、直交
変換器から出力される電圧がマスタープラントにより予
め定めた電圧目標値となるように電圧信号を出力する電
圧制御部と、直交変換器から出力される無効電力量が無
効電力負担量となるように交流出力部に備える直流昇圧
部の直流出力電圧を増減させる無効電力制御部と、有効
電力位相制御部からの位相制御信号と電圧制御部から電
圧信号とを入力してPWM波形を生成して直交変換器へ
出力するPWM波生成部とを設けるようにしたものであ
る。
【0051】請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4
記載のいずれかの燃料電池発電プラントの並列運転装置
において、プロセス制御装置は、直流発電部からの直流
出力電流を予め定めた関数により目標値として、直流電
流の増減に応じて燃料制御弁を制御して改質燃料中の水
素を増減させる燃料流量制御部と、直流出力電流の増減
と改質水素の増減に応じて蒸気量と水素量の混合比を増
減させる蒸気エジェクタ制御部と、直流出力電流の増減
に応じてバーナ空気制御弁を制御してバーナへの空気量
を増減させるバーナ空気流量制御部と、直流出力電流の
増減に応じてプロセス空気制御弁を制御して空気極への
空気流量を増減させるプロセス空気流量制御部と、直流
出力電流の増減に応じて電池冷却水ヒータと電池冷却水
温度制御弁を制御して電池冷却水温度を増減させる電池
冷却水温度制御部とを設けるようにしたものである。
【0052】
【作用】請求項1の発明によれば、複数の並列運転中の
プラントの内で所定のルールにより主導的なプラントと
してマスタープラントが決定され、残りがスレーブプラ
ントとされ、さらに、特定負荷の電力要求量から各プラ
ントの負荷分担量が決定される。そして、運転中の各プ
ラントでは、マスタープラントからの同期信号に同期し
て直交変換器から出力される有効電力量が負荷分担量と
なるように追従し、かつ、直交変換器から出力される無
効電力量が負荷分担量となるように追従し、さらに、直
交変換器から出力される電圧がマスタープラントの電圧
目標値となるように追従して、各プラントの直交変換器
から同形状のPWMパターンに基づいて交流出力波形が
出力されるように制御がされる。これにより、運転中の
プラントの出力が全て同期が取られ特定負荷の電力需要
に見合って各プラントが負荷分担がされる。さらに、各
プラントのPWMパターンを同形にすることができるか
ら有効電力、無効電力、出力電圧が各プラント共に同じ
で並列運転中の横流を防止することができる。また、並
列運転中のあるプラントが故障等で停止しても、残りの
プラントの各々負荷分担を変更することができ、並列運
転中に後から運転するプラントを増加させることもでき
る。従って、特定負荷に対して1台の専用プラントを製
造する必要がなく、複数の汎用の量産化されたプラント
を用いて電力需要に答えることができ経済的な運用がで
きる。
【0053】請求項2の発明によれば、各プラントの運
転または停止状況と予め定めたルールから運転中のどの
プラントを優先的にマスタープラントとするかを優先度
の指数で表す優先度の指数が計算され、この優先度の指
数の大小関係からマスタープラントが決定され、残りが
スレーブプラントとされる。また、特定負荷の電力需要
量と運転台数とから1台当たりの負荷分担量が計算さ
れ、これらのデータが共通メモリへ保存される。これに
より、並列運転中にマスタープラントが故障して停止す
るとき、各プラントの優先度の指数から次のマスタープ
ラントとなるプラントが直ちに決定され、円滑な並列運
転が行われる。また、特定負荷の電力需要の増減や運転
中プラントが故障で停止するとき、さらに、停止中のプ
ラントが運転を再開するとき、負荷分担量が計算され、
これに基づいて各プラントの電力が出力される。従っ
て、並列運転中の特定負荷の電力需要に安定、かつ、確
実に追従することができる。
【0054】請求項3の発明によれば、マスタープラン
トで生成される同期信号が同期信号伝送路を介してスレ
ーブプラントへ伝送され、異常または停止中のプラント
のときにはバイパスされ、途中に正常復帰または運転が
再開されたとき、バイパスしないで同期信号がスレーブ
プラントへ取込まれる。これにより、並列運転中にプラ
ントが異常となったり、停止したり、運転が再開しても
何ら特定負荷に影響を与えることなくプラントが同期さ
れた電力を供給することができる。
【0055】請求項4の発明によれば、有効電力位相制
御部により同期信号に同期し直交変換器から出力される
有効電力量が負荷分担量となるように位相制御信号が出
力され、電圧制御部により交流出力電圧がマスタープラ
ントの目標値となるように電圧信号が出力され、無効電
力制御部により直交変換器から出力される無効電力が無
効電力分担量となるように直流昇圧部の直流出力電圧が
制御される。さらに、位相制御信号と電圧信号とからP
WM波形が生成される。これにより、各プラントのPW
M波が同パターンとなり、各プラント間に横流が発生す
ることがなく、特定負荷に対して安定した電力を供給で
きる。
【0056】請求項5の発明によれば、直流発電部が出
力する直流出力電流の増減に応じて先行的にプラント内
の各プロセス量を増減させて各プロセス量が追従され
る。これにより、並列運転では、負荷分担が変化し易く
直交変換器からの交流出力が変化して直流発電部の直流
出力電流が変動するがこれに追従して各プロセス量が変
化する。従って、燃料電池に加わる負担が軽減されプラ
ント全体が常に安定する。
【0057】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0058】図1は、本発明の第1実施例を示す燃料電
池発電プラントの並列運転装置の構成図である。
【0059】図において、複数の燃料電池プラント1が
母線17に接続され、遮断器5を介して負荷6に接続さ
れている。
【0060】各燃料電池プラント1は、直流発電部2と
制御装置3と交流出力部4からなっている。直流発電部
2は、図18と同様の燃料電池12を有し、制御装置3
は電気制御装置13とプロセス制御装置14と共通メモ
リ20と負荷分担制御装置15と同期信号切換装置16
とを設け、並列運転が可能のように構成されている。
【0061】交流出力部4は、直交変換器10と直流昇
圧部11と遮断器9とからなっている。そして、各燃料
電池プラント1の負荷分担制御装置15が互いにデータ
伝送路7によって接続されると共に、同期信号切換装置
16が互いに同期信号伝送路8によって接続されてい
る。
【0062】ここで、電気制御装置13は、直交変換器
10から出力される有効電力量と無効電力量とがそれぞ
れの負荷分担量へ追従し、直交変換器10から出力され
る電圧がマスタープラントの目標値となるように共に、
マスタープラントに同期信号に同期した直交変換器10
から特定負荷へ各プラントが同形の交流波形出力をする
ようにPWM信号を生成するものである。
【0063】プロセス制御装置14は、直流発電部2内
の各プロセス量を制御するものである。
【0064】負荷分担制御装置15は、プラントの運転
停止状態と予め定めたルールとにより複数台のプラント
の内で主導的な1つのマスタープラントを決定し、残り
をマスタープラントに従属するスレーブプラントとする
プラントと共に、特定負荷の電力要求量とプラントの運
転台数とから各プラントの負荷負担量を決定するもので
ある。
【0065】同期信号切換装置16は、マスタープラン
トから特定負荷へ出力する交流出力とスレーブプラント
の交流出力とを同期させるために自プラントがマスター
プラントのとき自プラントの交流出力に同期する同期信
号を出力する一方、自プラントがスレーブプラントのと
きマスタープラントの同期信号を取込むものである。
【0066】共通メモリ20は、それぞれのプラントの
運転状態を取込み全プラントの運転状態を保存するもの
である。
【0067】以上の構成で、負荷分担制御装置15の作
用から順次説明すると、まず、図2に示すように、負荷
分担制御装置15が停止中にはOFF状態であり、電源
投入操作等により負荷分担制御装置15が初期化状態に
入る(図示矢印方向)。初期化処理が終了すると停止状
態に遷移する。この状態において、電気制御装置13が
停止中および先に説明した待機運転状態であれば、負荷
分担制御装置15は停止状態に停滞し、電気制御装置1
3が負荷運転状態であれば、負荷分担制御装置15は発
電状態に遷移する。
【0068】逆に、電気制御装置13が負荷運転から故
障などの何らかの理由により待機運転または停止状態に
なると、負荷分担制御装置15が停止状態に遷移され
る。ここで、電気制御装置13と負荷分担制御装置15
とは互いの運転状態を含めた様々なパラメータを共通メ
モリ20を介して通信を行っているため、互いの運転状
態を知ることができる。
【0069】次に、停止状態のときの負荷分担制御装置
15による処理について図3を参照して説明する。
【0070】まず、負荷分担制御装置15が停止する
と、負荷分担制御ステート書込み処理が行われ、現在の
負荷分担制御装置15の状態である停止状態が共通メモ
リ20に書込まれ(S1)、優先度初期化処理により自
分自身の持つ優先度の指数を表す優先順位番号(PRI
_0)を「1」にセットする(S2)。
【0071】次に、データ伝送路7を介して各プラント
の負荷分担制御装置15が持つ優先度番号を受信し(S
3)優先度計算処理がされ、自分の優先度番号が再計算
される(S4)。これによって、自分のプラントがマス
タープラントかスレーブプラントかの判断処理を行う
(S5)。このマスター/スレーブ判断処理により自分
プラントがマスターかスレーブかが判断され、マスター
フラグ(D_MASTER)が決定される。このマスタ
ーフラグがマスターフラグ書込み処理により共通メモリ
20へ書込み(S6)、共通メモリ20から電気制御装
置13の運転状態が読込まれる(S7)。この結果、自
分のプラントが発電中か否かの判断が行われる(S
8)。
【0072】この判断で、電気制御装置13が発電中で
あれば、図4に示す発電状態のときの処理へ移行し、発
電中でなければ、負荷分担制御ステート書込み処理(S
1)まで戻り処理を繰り返す(S1〜S8)。なお、図
3において、四角形の二重枠を示す処理は、共通メモリ
20へのアクセスを表し、四角形の左下の隅の黒塗り三
角形はデータ伝送路7へ対する送受信を表している。
【0073】次に、発電状態の負荷分担制御装置15に
よる処理について図4を参照して説明する。
【0074】図3に示す処理により発電中と判断される
と、図4に示す負荷分担制御発電ステート書込み処理へ
移行する(S9)。すなわち、負荷分担制御ステート書
込み処理では、負荷分担制御装置15の現在状態である
発電状態を共通メモリ20へ書込み、優先度送信処理に
おいてデータ伝送路7に対して、先の優先度計算にて算
出された自分のプラントの優先度番号を出力する(S1
0)。
【0075】このとき、燃料電池プラント1は発電状態
にあり、電気制御装置13は交流出力部4に対して制御
を行っている。電気制御装置13は自分のプラントの制
御している燃料電池プラント1の出力する有効電力と無
効電力とを検出し、検出された有効電力と無効電力とを
共通メモリ20へ書き込む(S11)。P,Q読込み処
理がされると、電気制御装置13が共通メモリ20へ書
き込んだ自分のプラントの有効電力Pと無効電力Qとを
読出し、これをデータ伝送路7に対して送信する(S1
2)。
【0076】そして、データ伝送路7により送受信され
ている並列運転中の他のプラントの有効電力Pと無効電
力QとをP,Q受信処理(S13)により受信する。そ
して、P,Q計算処理により、他のプラントの有効電力
と自分のプラントの有効電力とから有効電力の平均値を
算出する。また、他のプラントの無効電力と自分のプラ
ントの無効電力から無効電力の平均値を算出する(S1
4)。算出された有効電力と無効電力とが共通メモリ2
0へ書込まれる(S15)。このように算出された値が
電気制御装置13に対する有効電力と無効電力の目標値
となる。
【0077】ここで、上記した有効電力と無効電力の計
算方法を3台の燃料電池プラント1を並列運転する例を
示す図5を参照して説明する。
【0078】図5は、FC#1とFC#2とFC#3と
いう3台の燃料電池プラント1の並列運転を示し、燃料
電池プラント1の中の負荷分担制御装置15がデータ伝
送路7により接続されデータ伝送を行っている。この伝
送項目の中でFC#1は有効電力P=a1,無効電力Q
=b1の出力で運転していることを示し、FC#2は有
効電力P=a2,無効電力Q=b2の出力で運転してい
ることを示し、また、FC#3は有効電力P=a3,無
効電力Q=b3の出力で運転していることを示す。
【0079】これらのデータは、図4で説明したP,Q
読込み処理部(S11)、P,Q送信処理(S12)
P,Q受信処理(S13)の各処理により行われ、FC
#1,FC#2,FC#3のそれぞれのプラント内の負
荷分担制御装置15が次の式(3),(4)により負荷
分担量を計算する。
【0080】 P=(a1+a2+a3)/3−−−−(3) Q=(b1+b2+b3)/3−−−−(4)
【0081】この計算は、図4に示す処理ステップS1
4で行われ、分母にある「3」は自分のプラントのデー
タを含め、受信したデータの個数である。これを各電気
制御装置13の有効電力P、無効電力Qの目標値として
渡す。このように負荷分担制御装置15では、並列運転
中のプラントの全出力を並列運転中のプラント台数で割
り、負荷に対する電力供給を並列運転中のプラントが平
均的に分担する。
【0082】次に、同期信号切換装置16の処理につい
て説明する。
【0083】一般に、交流波形は交流の周波数と位相と
交流電圧によりその波形が形成される。この内で周波数
は予め設定される場所および負荷の周波数からプラント
製作時に一義に定義される。ところが、プラントの並列
運転中の全てのプラントの周波数が同一でも同期がとれ
るとは限られず、同期信号が必要である。
【0084】すなわち、図3で説明したマスター/スレ
ーブ判断(S5)によりマスタープラントと判断された
燃料電池プラント1の電気制御装置13は、その出力波
形から0クロスを検出し、0クロスの位置から立上がり
所定幅の図6に示すような短形波を生成する。この短形
波が同燃料電池プラント1内の同期信号切換装置16に
送られ同期信号伝送路8を経由して、スレーブプラント
と判定された燃料電池プラント1内の同期信号切換装置
16に送られる。スレーブプラント内の電気制御装置1
3では交流出力の0クロス点をこのマスタープラントか
ら受けた短形波の立ち上がりと合わせる。このようにし
てマスタープラントと他のスレーブプラントとの同期が
取られる。
【0085】次に、交流出力電圧制御定数%Fについて
図7により説明する。
【0086】まず、図3で説明した負荷分担制御装置1
5の処理で、ステート読込み処理(S7)により電気制
御装置13の状態が読み込まれる。負荷分担制御装置1
5が発電中か否かの判断が行われ(S21)、さらに、
図3のマスター/スレーブ判断処理の結果からマスター
か否かの判断が行われる(S22)。
【0087】この判断で、該当するプラントが発電中
で、かつ、マスタープラントであったとすれば、交流電
圧制御定数(EXT_%F)を0に設定し(S23)、
%F読込み処理にて共通メモリ20を介して自分のプラ
ントの中で使用している交流出力電圧制御定数%Fを読
込み(S24)、この交流出力電圧制御定数の%Fをデ
ータ伝送路7へ送出す(S25)。
【0088】また、該当するプラントが発電中で、か
つ、スレーブプラントであったときに、交流電圧制御定
数(EXT_%F)をデータ伝送路7から読込み、共通
メモリ20へ書き込む(S26,S27)。これによ
り、書き込まれた交流出力電圧制御定数%Fが電気制御
装置13へ渡され交流出力制御に使用される。
【0089】このように、並列運転状態にある発電中の
プラントは、全てマスタープラントから送信される交流
出力電圧制御定数%Fを用い、交流出力制御を行うた
め、同一出力電圧の交流が出力される。なお、該当プラ
ントが発電中ではない場合は交流電圧制御定数(EXT
_%F)を0に初期化する(S28)。
【0090】図8は本発明の第2実施例を示す燃料電池
発電プラントの並列運転装置に備える負荷分担制御装置
15を示す内部構成図である。
【0091】この負荷分担制御装置15は、計算部31
とマスタープラント決定部32と負荷分担量決定部33
とからなり、それぞれ共通メモリ20にデータ伝送路7
によって接続している。
【0092】ここで、計算部31は、共通メモリ20か
ら各プラントの運転または停止状況を取込み、予め定め
られたルールに従ってどのプラントを優先的にマスター
プラントとするか優先度の指数で表す自プラントの優先
度の指数を計算し、共通メモリ20へ保存するものであ
る。
【0093】マスタープラント決定部32は、共通メモ
リ20から各プラントの優先度の指数を入力してこれら
の優先度の指数の大小関係から自プラントがマスタープ
ラントかスレーブプラントかを決定し、共通メモリ20
へ保存するものである。
【0094】負荷分担量決定部33は、共通メモリ20
から取込まれた特定負荷の要求量とプラント運転台数と
から所定の計算に従って各プラントの負荷分担量を計算
して共通メモリ20へ保存するものである。
【0095】以上の構成で、計算部31とマスタープラ
ント決定部32の処理を示す図9を参照して説明する
と、まず、計算部31によって、当該プラントが運転中
か、停止中かの判断がされる(S31)。この判断で、
運転中の場合には優先度の指数を表す優先度順位番号の
計算は行わない(運転中のプラントの優先順位番号は不
変)。停止中の場合には他のプラントから優先順位番号
を受け取ったかどうかを判断する(S32)。
【0096】この判断で優先順位番号を受け取った場合
は自身の優先順位番号(PRI_0)を「受け取った優
先順位番号の最大値+1」にセットする(S33)。受
け取らなかった場合には、自身の優先順位番号(PRI
_0)を「1」にセットする(S34)。この段階で、
現時点での当該プラントの優先順位番号が決定する。
【0097】次に、マスタープラント決定部32によ
り、当該プラントの優先順位番号(PRI_0)が全て
のプラントの優先順位番号の最小値かどうのを判断がさ
れる(S35)。この判断で最小値の場合は、当該プラ
ントがマスタープラントとなる(S36)。最小値でな
い場合は、スレーブプラントとなる(S37)。
【0098】ここで、図10に示すように3つのプラン
トで構成されるシステムを一例として、優先順位番号の
遷移を説明する。
【0099】まず、全プラントが停止状態にあるとする
と、最初、全プラントが停止なので、優先順位番号が全
て「1」にセットされる(ステップ1)。次に、プラン
ト1のみが運転に入った場合を考える。このとき、プラ
ント1は自身の優先順位番号を他の全てのプラントへ伝
送する。これに伴い、プラント2,プラント3が、優先
順位番号「1」を受けて、自身の優先順位番号「1」に
「1」を加えた「2」が、プラント2およびプラント3
の優先順位番号となる(ステップ2)。
【0100】さらに、プラント2も運転に入ると、プラ
ント3がプラント1より優先順位番号「1」を受け取
り、プラント2より優先順位番号「2」を受け取る。従
って、プラント3の優先順位番号は受け取った優先順位
番号の最大値「2」に「1」を加えた「3」となる(ス
テップ3)。
【0101】以下、同じルールに従って、各々のプラン
トの優先順位番号が変更される。最後に、再び全プラン
トが停止すると、優先順位番号の伝送が無くなり(優先
順位番号を受けなくなり)、全プラントの優先順位番号
は「1」にリセットされる。そして、優先順位番号の最
小のプラントがシステムのマスタープラントになる。
【0102】例えば、図10において一点鎖線で囲まれ
た範囲では、プラント1の優先順位番号が「1」でマス
タープラントとなり、プラント2の優先順位番号が
「2」で、プラント3の優先順位番号が「3」で、スレ
ーブの状態となり、3台による並列運転がされている
(ステップ4)。この状態からプラント1が停止する
と、プラント2の負荷分担制御装置15は運転を継続し
ているため、プラント2による図9の判断(S31)で
は、NOと判断され、計算部31の処理を全てバイパス
する。プラント2はマスタープラント決定部32におい
て自分のプラントのもつ優先順位番号が受信した優先順
位番号の中で最小値であることを判断する。これによ
り、プラント2がマスタープラントであるための(D_
MASTER)のフラグを立てる(ステップ5)。この
とき、停止ステートにあるプラント1は計算部31によ
り停止状態であると判断され、他のプラントとから優先
順位番号があることからYESが選択され、新たな優先
順位番号「4」をつけられる(ステップ6)。さらに、
プラント2が停止したとすると、プラント2の優先順位
番号は、ステップ4でプラント3から入力した「3」に
「1」を加えられ「4」となる(ステップ7)。そし
て、全てのプラントが停止すると優先順位番号が「1」
となる。
【0103】なお、図示太枠がマスタープラントを示し
ている。
【0104】このように、第2実施例によれば、複数台
のプラントが順次起動された場合には、起動された順に
優先順位番号をそれぞれのプラントが持つことになり、
これにより、マスタープラントを決めることができる。
また、並列運転中のマスタープラントが停止した場合に
は運転中の他のプラントからマスタープラントを瞬時に
決定することによりスムーズなマスタースレーブ切換え
を行うことができる。
【0105】図11は、本発明の第3実施例を示す燃料
電池発電プラントの並列運転装置に備える同期信号切換
装置と電気制御装置とを示す構成図である。
【0106】同期信号切換装置16は、同期信号バイパ
スb接点40、同期信号入力a接点41、同期信号出力
a接点42とこれらを開閉する同期信号切換リレー43
により構成される。また、電気制御装置13は、電気制
御装置監視器44と同期信号処理装置45とから構成さ
れる。
【0107】ここで、同期信号バイパスb接点40は、
同期信号切換リレー43が励磁されているとき開とな
り、非励磁のとき閉となり、同期信号バイパスルート5
0のラインを形成する。同期信号入力a接点41,同期
信号出力a接点42とは、同期信号切換リレー43が励
磁されているとき閉となり、同期信号入力ルート48と
同期信号出力ルート49のラインを形成する。同期信号
切換リレー43は、電気制御装置13が正常のとき励磁
され、異常時若しくは停止中に非励磁となる。
【0108】電気制御装置監視器44は、自プラントが
停止若しくは異常時に同期信号が同期信号処理装置45
をバイパスするように同期信号切換リレー43を非励磁
とする。同期信号処理装置45は、共通メモリ20を参
照して自プラントがマスタープラントのとき同期信号を
出力する一方、自プラントがスレーブプラントのとき他
プラントのマスタープラントから同期信号を一旦取込み
バイパス出力する。
【0109】以上の構成で、同期信号切換リレー43は
電気制御装置13内の電気制御装置監視器44に接続さ
れ正常時に励磁され、プラント停止時若しくは異常時に
無励磁とされる。これにより、正常時には、電気制御装
置監視器44により同期信号切換リレー43が励磁さ
れ、同期信号バイパスb接点40が開、同期信号入力a
接点41と同期信号出力a接点42が閉になる。従っ
て、同期信号処理装置45の同期信号入力部46と同期
信号出力部47へ接続する同期信号入力ルート48、同
期信号出力ルート49からなる閉ループラインが形成さ
れる。この閉ループは、その燃料電池プラント1が正常
な場合、若しくは後から立ち上がってきた正常な燃料電
池プラントの同期信号入出力ルートとなる。
【0110】一方、電気制御装置13が異常時には電気
制御装置監視器44により同期信号切換リレー43が無
励磁とされ、同期信号バイパスb接点40が閉、同期信
号入力a接点41と同期信号出力a接点42が開とされ
る。この結果、同期信号バイパスルート50によるライ
ンが形成される。従って、そのプラントが異常な場合に
同期信号をそのまま次のプラントへバイパスさせること
ができる。
【0111】次に、マスタープラント1台とスレーブプ
ラント2台を含む合計3台の燃料電池プラント1がある
場合に、最初に起動し、マスターとなったプラントは電
気制御装置13内にある同期信号処理装置45の同期信
号出力部47より同期信号を同期信号出力ルート49を
通って送信する。
【0112】マスタープラントより出力された同期信号
は同期信号伝送路8を通って次のスレーブプラント#1
へ送信される(図示中段)。このプラントが停止中若し
くは異常であれば、電気制御装置監視器44に接続され
た同期信号切換リレー43は無励磁のため、同期信号バ
イパスルート50を通って同期信号は次のスレーブプラ
ント#2へバイパスされる(図示下段)。
【0113】スレーブプラント#1が正常若しくは後か
ら立ち上がってきても正常であれば電気制御装置監視器
44に接続された同期信号切換リレー43は励磁されて
いる。従って、マスタープラントより送信されてきた同
期信号は同期信号入力ルート48を通って同期信号処理
装置45の同期信号入力部46へ入力される。この同期
信号によりスレーブプラント#1は交流出力位相制御を
行い、マスタープラントと同期のとれた交流出力を発生
することができる。
【0114】また、同期信号入力部46へ入力されたマ
スタープラントの同期信号は同期信号処理装置45より
打ち返されて同期信号出力部47より同期信号出力ルー
ト49を通って次のスレーブプラント#1と同じく、送
信されてきた同期信号により交流出力制御を行いマスタ
ープラントと同期のとれた交流出力を発生する。
【0115】次に、スレーブプラントとマスタープラン
トの電気制御装置13における交流出力同期方法につい
て図12を参照して説明する。
【0116】同期信号処理装置45内の同期信号切換接
点51は、そのプラントがマスターである場合には基準
信号発生器52側へ切替えられる。これによって、外部
より入力される同期信号を遮断し自己発振器による出力
制御を行う。マスターでない場合は、同期信号入力部4
6側へ切換えられ、同期信号を取込む。
【0117】まず、マスタープラントの場合、同期信号
処理装置45内の同期信号切換接点51が基準信号発生
器52側へ切替えられる。この切替えにより基準信号発
生器52より発振された位相信号がPLL回路53の位
相比較器54内の同期信号出力部47へ送信される。一
方、そのまま同期信号として同期信号出力ルート49を
経てスレーブプラントへ送信される。PLL回路53内
の位相比較器54へ入力された同期信号は、電圧制御発
信器55よりフィードバックされた位相により交流出力
の位相制御を行う。すなわち、外部から自プラントの交
流出力波形をPLL回路53へ取込み同期信号と交流出
力波形とが同期されているか位相比較器54で比較され
図示省略する手段で位相制御がされる。
【0118】また、スレーブプラントの場合は、同期信
号処理装置45内の同期信号切換接点51が同期信号入
力側へ切替えられる。この切替えにより、同期信号入力
ルート48より受信される同期信号を入力する。この同
期信号はPLL回路53内の位相比較器54と同期信号
処理装置45内の同期信号出力部47へ送信される。前
者の同期信号は位相信号として先のマスタープラントと
同様に交流出力の位相制御に使用される。後者の同期信
号はそのまま同期信号として同期信号出力ルート49を
経て次のスレーブプラントへ送信される。
【0119】以上の同期信号送受信方法により停止中の
プラント若しくは異常プラントをバイパスし、各プラン
トから出力される交流波形の同期をとることができる。
【0120】図13は、本発明の第4実施例を示す燃料
電池発電プラントの並列運転装置に備える電気制御装置
の構成図である。
【0121】図中、電気制御装置13は、同期信号入力
部34と有効電力位相制御部35と電圧制御部36と無
効電力制御部37とPWM波生成部38とから構成され
ている。
【0122】ここで、同期信号入力部34は、共通メモ
リ20から各データを取込み自プラントがマスタープラ
ントのとき同期信号処理装置45から同期信号を取込み
または自プラントがスレーブプラントのとき同期信号切
換装置16を介して同期信号を取込むものである。
【0123】有効電力位相制御部35は、同期信号に同
期し、直交変換器10から出力される有効電力量が負荷
分担量となるように位相制御信号を出力するものであ
る。
【0124】電圧制御部36は、自プラントがマスター
プラントのとき、自プラントの目標値となるように直交
変換器10からの電圧を制御するもので、スレーブプラ
ントのときマスタープラントの目標値となるように直交
変換器10からの電圧を制御するものである。
【0125】無効電力制御部37は、直交変換器10か
ら出力される無効電力量が無効電力負担量となるように
交流出力部4に備える直流昇圧部11の直流出力電圧を
増減させるものである。
【0126】PWM波生成部38は、有効電力位相制御
部35からの位相制御信号と電圧制御部36から電圧信
号とを入力してPWM波形を生成して直交変換器10へ
出力するものである。
【0127】次に、図13に示す電気制御装置13の作
用について図14を参照しながら説明する。
【0128】図14は、FC#1とFC#2という2つ
のプラントが並列運転されるいる状態の制御ブロック図
を示している。ここでは、FC#1をマスタープラン
ト、FC#2をスレーブプラントとし、FC#1,FC
#2プラントに要求される有効電力量と無効電力量は、
図4により説明したように負荷分担制御装置15内の
P,Q計算処理によりそれぞれ算出される。
【0129】次に、算出されたFC#1の有効電力設定
Paveが比較手段80により現在出力の有効電力と比
較され、有効電力制御手段81により比較手段80によ
る偏差信号に見合う位相の操作量が算出される。なお、
有効電力制御手段81は位相操作量の過大を抑制するた
め上下限値を持たせ、その操作量に制限を加えている。
【0130】一方、FC#1はマスタープラントである
ために出力の位相は、自分自身が持つクロックから算出
される位相により出力される。従って、内部クロックか
ら生成される基準位相Θref1が同期信号伝送路8を
経由して他のFC#2プラントへ同期信号として渡され
る。FC#1の位相の操作量はΘref1と上記有効電
力制御手段81により算出された位相操作量とを加算手
段82により加算されて算出される。
【0131】また、FC#1はマスタープラントである
ため位相と同様に出力電圧も内部で持つ出力電力目標値
に合わせ出力する。電気制御装置13の内部にもつ出力
電圧目標値vi1と現在出力中の電圧の間で比較手段9
0により偏差が算出され、%F算出手段89によりこの
偏差に見合う交流出力電圧制御定数%Fが算出される。
そして、交流出力電圧制御定数%Fがデータ伝送路7を
経由してFC#2に渡される。
【0132】FC#1内で加算手段82により加算され
た位相操作量と%F算出手段89より算出された交流出
力電圧制御定数%Fがそれぞれ位相制御手段83と電圧
制御手段85へ渡され、前述のPWM波が生成されて直
交変換器10の操作量とされる。
【0133】一方、スレーブプラントであるFC#2
は、負荷分担制御装置15内P,Q計算により算出され
た有効電力設定Paveと現在出力中の有効電力P2と
の偏差から有効電力制御手段81により偏差に見合った
位相の操作量が出力される。さらに、FC#1から入力
した基準位相とが加算手段82により加算されて位相操
作量が位相制御手段83へ出力される。
【0134】また、FC#1からデータ伝送路7経由で
渡された交流出力電圧制御定数%Fから電圧操作量が得
られる。これら位相操作量と交流出力電圧制御定数%F
により位相制御手段83、電圧制御手段85にてPWM
波が生成され、直交変換器10に対する操作量となる。
従って、FC#1とFC#2のPWM波は同じ交流出力
電圧制御定数%Fと同じ基準位相により生成される。こ
れにより、FC#1,FC#2共に要求されている有効
電力の制御が行われる。但し、有効電力制御手段81に
より算出される位相操作量の分だけ違うことになる。こ
の位相操作量は有効電力を操作する過渡時に生じるもの
である。
【0135】次に、無効電力の制御をする場合、負荷分
担制御装置15内のP,Q計算により算出された無効電
力要求値Qaveが比較手段88により現在の無効電力
出力Q1と比較され無効電力制御手段92により直流昇
圧部11の電圧操作量が算出される。この無効電力制御
手段92はその出力である電圧操作量に対し制限を加え
ている。
【0136】この電圧操作量が直流昇圧部11の基準電
圧vB/Rと加算手段93により加算され、直流昇圧部
11の電圧目標値が得られる。この電圧目標値と現在の
電圧値の偏差が比較手段87に算出され、その出力に応
じて直流昇圧部11に対する操作量が昇圧器電圧制御手
段86により生成される。
【0137】これにより、無効電力制御が直交変換器1
0の電圧を操作するのではなく直流昇圧部11の電圧を
操作することにより実現される。つまり、直交変換器1
0の電圧を操作する代わりに直流昇圧部11の電圧を操
作することにより、直交変換器10への入力電圧を変化
させる。
【0138】次に、マスタープラントであるFC#1が
何らかの理由により停止した場合、マスターフラグがF
C#2内の共通メモリ20に書き込まれる。FC#2内
の電気制御装置13では自己がマスタープラントとなっ
たことを認識する。これにより、切換手段94が切換わ
り、自己の%F算出手段89により算出された交流出力
電圧制御定数%Fが電圧制御手段85から出力されPW
M波が生成される。さらに、この交流出力電圧制御定数
%Fが電圧制御手段85から出力され、電圧制御手段8
5でデータ伝送路7へ送出される。
【0139】また、切換手段95では、自己のプラント
がマスタープラントと認識されると、同期信号伝送路8
からの短形波ではなく、電気制御装置13内の基準位相
Θref2が用いられ、加算手段82により有効電力制
御手段81からの位相操作量が加算され位相制御手段8
3により生成される信号によってPWM波が作成され
る。また、この基準位相Θref2は同期信号伝送路8
へ送り出される。
【0140】図15は、本発明の第5実施例を示す燃料
電池発電プラントの並列運転装置の構成図である。
【0141】燃料電池プラント1は、直流発電部2と制
御装置3と交流出力部4とで構成され、制御装置3は、
電気制御装置13とプロセス制御装置14からなってい
る。また、直流発電部2からの直流出力100は直流電
流検出器102により検出されプロセス制御装置14へ
入力される。電気制御装置13からのプロセス制御信号
104により直流発電部2が制御するように構成されて
いる。
【0142】図16は、第5実施例を適用する燃料電池
プラントの系統図を示し、図17は、第5実施例を示す
プロセス制御装置の具体的構成図である。
【0143】まず、第5実施例は、図16に示すよう
に、燃料供給系統の燃料制御弁110の出口側に燃料流
量検出器122を配置し、蒸気エジェクタ112に蒸気
エジェクタ開度検出器123を配置し、さらに、改質器
113に改質器温度検出器124を配置している。ま
た、空気供給系統では燃焼器115の入口側にバーナ空
気制御弁116とバーナ空気流量検出器125を配置
し、燃料電池12の空気極12Bの入口側にプロセス空
気制御弁117と開度検出器126とを配している。
【0144】さらに、電池冷却水系統では、電池冷却水
ヒータ118の入口側に電池冷却水温度検出器127を
配置している。
【0145】上記のように説明した各検出器は、図17
に示すプロセス制御装置14に設ける燃料流量制御部7
1と蒸気エジェクタ制御部72とバーナ空気流量制御部
73とプロセス空気流量制御部74と電池冷却水温度制
御部75とへそれぞれ入力され制御される。
【0146】燃料流量制御部71では、直流電流検出器
102により検出された直流電流信号が関数部71aへ
入力され、改質器113の目標温度に変換される。この
目標温度と改質器温度検出器124により検出された検
出量との偏差が偏差演算部71cで計算される。そし
て、乗算部71dにおいて、偏差演算部71cで得られ
た偏差信号と直流電流検出器102の直流電流信号とが
乗算される。
【0147】この得られた信号が燃料流量制御部71に
おける燃料流量の目標値となる。この目標値と燃料流量
検出器122により検出される観測量との偏差が偏差演
算部71eにおいて計算される。制御演算部71fで
は、この偏差に基づいて制御量を計算され、得られる制
御量により燃料制御弁110が開閉される。燃料制御弁
110が開閉されることにより燃料流量が制御される。
この制御により、直流出力100電流が増加すれば、改
質器113へ供給される水素量が所定の関数に応じて先
行的に増加され、逆に直流出力100の電流が減少すれ
ば、供給される水素量が減少される。
【0148】蒸気エジェクタ制御部72では、燃料流量
制御部71における燃料流量の目標値が関数部72aへ
入力され、蒸気エジェクタ112の開度の目標値に変換
される。偏差演算部72bでは、この目標値と蒸気エジ
ェクタ開度検出器123により検出された検出量との偏
差が計算される。制御演算部72cでは、前記偏差が演
算されて制御量により、蒸気エジェクタ112の開閉制
御が行われる。
【0149】この制御により、直流出力100の電流が
増加すると、改質器113へ供給される水素量が増加す
ると共に、蒸気量も増加して、両者の混合比を維持す
る。
【0150】バーナ空気流量制御部73では、直流電流
検出器102により検出された直流電流が関数部73a
に入力され、バーナ空気流量に変換される。この目標値
とバーナ空気流量検出器125により検出される検出値
との偏差が偏差演算部73bで計算される。この偏差が
制御演算部73cにより制御演算され、バーナ空気制御
弁116の制御量が計算される。この制御量によりバー
ナ空気制御弁116が開閉され、バーナ空気流量が制御
される。この制御により、直流出力100の電流が増加
すると、バーナ空気流量が直流出力100の増加に応じ
てバーナ空気流量が増加される。
【0151】プロセス空気流量制御部74では、直流電
流検出器102により検出された直流電流が関数部74
aへ入力され、プロセス空気制御弁開度の目標値に変換
される。この目標値とプロセス空気制御弁開度検出器1
26により検出される検出量との偏差が偏差演算部74
bより計算される。この偏差が制御演算部74cにより
制御演算され制御量が計算され、プロセス空気制御弁1
17の開閉制御が行われる。この制御により直流出力1
00の増加に応じて空気流量が増加される。
【0152】電池冷却水温度制御部75では、直流電流
検出器102により検出された直流電流が関数部75a
に入力され、電池冷却水の温度の目標値に変換される。
この目標値と電池冷却水温度検出器127により検出さ
れる検出量との偏差が偏差演算部75bにより計算され
る。
【0153】制御演算部75c1では、前記偏差から電
池冷却水温度制御弁120に対する制御量が計算され、
開閉制御が行われる。また、制御演算部75c2では、
前記偏差から電池冷却水ヒータ118に対する制御量が
計算され、ON/OFF制御が行われる。この電池冷却
水ヒータ118のON/OFF制御と電池冷却水温度制
御弁120の開閉制御により、電池冷却水の温度が調節
される。これによって、直流出力100が増加してで電
池冷却水温度が上昇すれば電池冷却水を降下させるよう
に制御される。
【0154】以上説明した図17に示すプロセス制御装
置14の作用を図16に示すプラントの系統図を参照し
て説明すると、燃料流量制御部71と蒸気エジェクタ制
御部72とによって燃料制御弁110と蒸気エジェクタ
112が制御され、天然ガス等の燃料が燃料制御弁11
0により流量が制御され、この燃料が水蒸気分離器11
1から取り出される水蒸気と蒸気エジェクタ112で混
合され、改質器113に入り触媒の下で加熱されて水素
含有率の高い改質燃料になる。
【0155】この改質燃料が変成器114により一酸化
炭素が除去された後に、燃料電池12の燃料極12Aへ
流入し、ここで電気エネルギーとして一部が消費され
る。この改質燃料の残りは前述改質器113の加熱燃料
ガスとして、燃焼器115でバーナ空気流量制御部73
による制御でバーナ空気制御弁116の開度増減によっ
て流量が制御される空気と共に燃焼される。
【0156】燃料電池12の空気極12Bには、プロセ
ス空気流量制御部74によってプロセス空気制御弁11
7が開閉され、流量制御されて空気が供給される。燃料
電池12では、この空気極12Bに供給される空気内の
酸素と前述の燃料極12Aに供給される改質燃料の水素
との触媒反応によって電気エネルギーである直流出力1
00を発生させる。このとき、燃料極12Aが負極、空
気極12Bが正極となる。
【0157】また、電池の温度を一定に保つためと、前
述の蒸気エジェクタ112へ水蒸気を供給するために、
電池冷却水温度制御部75によって電池冷却水の温度を
電池冷却水ヒータ118と熱交換器119へのバイパス
弁である電池冷却水温度制御弁120の開度により調節
する。
【0158】これらの制御が直流出力100の増減に応
じて燃料電池12の燃料極12Aに供給される改質燃料
中の水素量と空気極12Bに供給される空気中の酸素量
により変化させる。
【0159】この場合、改質燃料中の水素量を調節する
ためには、直流出力100に応じて燃料制御弁110に
よって制御される燃料流量と、蒸気エジェクタ112に
よって制御される蒸気と燃料の混合比と、この蒸気エジ
ェクタ112に供給される水蒸気を制御するために、電
池冷却水温度制御弁120および電池冷却水ヒータ11
8によって制御される電池冷却水の温度と、バーナ空気
制御弁116によって制御される改質器113を加熱す
るための燃焼器に供給される空気量を制御する。
【0160】一方、前述の空気極に供給される空気中の
酸素量は、直流出力100に応じてプロセス空気制御弁
117によって制御される。これらの制御目標値を前述
の直流電流から求めることにより、交流出力101が変
化したとき生ずる直流電流の変化に直流出力100を追
従させることができる。
【0161】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、複数の並列運転中の各プラントでは、直交変換器
から同形状のPWMパターンに基づいた交流が出力され
るように制御がされ、特定負荷の電力需要に見合って各
プラントが負荷分担がされる。PWMパターンを同形に
することができるから有効電力、無効電力、出力電圧が
各プラント共に同じで並列運転中の横流を防止すること
ができる。また、並列運転中のあるプラントが故障等で
停止しても、残りのプラントの各々負荷分担を変更する
ことができ、並列運転中に後から運転するプラントを増
加させることもできる。従って、特定負荷に対して1台
の専用プラントを製造する必要がなく、複数の汎用の量
産化されたプラントを用いて電力需要に答えることがで
き経済的な運用ができる。
【0162】請求項2の発明によれば、並列運転中にマ
スタープラントが故障して停止するとき、各プラントの
優先度の指数から次のマスタープラントとなるプラント
が直ちに決定され、円滑な並列運転ができ、特定負荷の
電力需要の増減や運転中プラントが故障で停止すると
き、さらに、停止中のプラントが運転を再開するとき、
負荷分担量が計算され、これに基づいて各プラントの電
力が出力される。従って、並列運転中の特定負荷の電力
需要に安定、かつ、確実に追従することができる。
【0163】請求項3の発明によれば、マスタープラン
トで生成される同期信号が同期信号伝送路を介してスレ
ーブプラントへ伝送され、異常または停止中のプラント
のときにはバイパスされ、途中に正常復帰または運転が
再開されたとき、バイパスしないで同期信号がスレーブ
プラントへ取込まれるようにしたために並列運転中にプ
ラントが異常となったり、停止したり、運転が再開して
も何ら特定負荷に影響を与えることなく各プラントが同
期された電力を供給することができる。
【0164】請求項4の発明によれば、有効電力位相制
御部により同期信号に同期し直交変換器から出力される
有効電力量が負荷分担量となるように位相制御信号が出
力され、電圧制御部により交流変換生成からの電圧がマ
スタープラントの目標値となるように電圧信号が出力さ
れ、無効電力制御部により直交変換器から出力される無
効電力が無効電力分担量となるように直流昇圧部の直流
出力電圧が制御される。さらに、位相制御信号と電圧信
号とからPWM波形が生成される。これにより、各プラ
ントのPWM波が同パターンとなり、各プラント間に横
流が発生することがなく、特定負荷に対して歪みの少な
い波形の電力を供給できる。
【0165】請求項5の発明によれば、直流発電部が出
力する直流出力電流の増減に応じて先行的にプラント内
の各プロセス量を増減させて各プロセス量が追従され
る。これにより、並列運転では、負荷分担が変化し易く
直交変換器からの交流出力が変化して直流発電部の直流
出力電流が変動するがこれに追従して各プロセス量が変
化する。従って、燃料電池に加わる負担が軽減されプラ
ント全体が常に安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す燃料電池発電プラン
トの並列運転装置の構成図である。
【図2】図1に備える負荷分担制御装置の状態遷移を示
す説明図である。
【図3】図1の負荷分担制御装置の処理手順を示す第1
のフローチャートである。
【図4】図1の負荷分担制御装置の処理手順を示す第2
のフローチャートである。
【図5】図1の負荷分担制御装置に備えるメモリ内容を
示す説明図である。
【図6】図1の電気制御装置により生成された同期信号
を示す説明図である。
【図7】図1の負荷分担制御装置の処理手順を示す第3
のフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施例を示す負荷分担制御装置の
構成図である。
【図9】図8の計算部とマスタープラント決定部の処理
手順を示すフローチャートである。
【図10】図8の優先順位番号の遷移を示す説明図であ
る。
【図11】本発明の第3実施例を示す同期信号切換装置
の構成図である。
【図12】図11に示す電気制御装置の構成図である。
【図13】本発明の第4実施例を示す燃料電池発電プラ
ントの並列運転装置に備える電気制御装置の構成図であ
る。
【図14】図13に示す燃料電池発電プラントの並列運
転装置の制御ブロック図である。
【図15】本発明の第5実施例を示す燃料電池発電プラ
ントの並列運転装置の構成図である。
【図16】図15の燃料電池発電プラントの並列運転装
置を適用する燃料電池プラントの系統図である。
【図17】図15のプロセス制御装置を示す構成図であ
る。
【図18】従来例を示す燃料電池発電プラントの制御装
置の構成図である。
【図19】図18の電気制御装置を示す制御ブロック図
である。
【図20】図18の直交変換器へ出力するPWM波の一
例を示す説明図である。
【図21】図18に示す電気制御装置の制御ブロック図
である。
【符号の説明】
1 燃料電池プラント 2 直流発電部 3 制御装置 4 交流出力部 6 負荷 7 データ伝送路 8 同期信号伝送路 10 直交変換器 11 直流昇圧部 12 電池 13 電気制御装置 14 プロセス制御装置 15 負荷分担制御装置 16 同期信号切換装置 20 共通メモリ 31 計算部 32 マスタープラント決定部 33 負荷分担量決定部 44 電気制御装置監視器 45 同期信号処理装置 71 燃料流量制御部 72 蒸気エジェクタ制御部 73 バーナ空気流量制御部 74 プロセス空気流量制御部 75 電池冷却水温度制御部 81 有効電力制御手段 83 位相制御手段 84 無効電力制御手段 85 電圧制御手段 86 昇圧器電圧制御手段 89 %F算出手段 92 無効電力制御手段 102 直流電流検出器 103 交流出力検出器 110 燃料制御弁 112 蒸気エジェクタ 116 バーナ空気制御弁 117 プロセス空気制御弁 120 電池冷却水温度制御弁 122 燃料流量検出器 123 蒸気エジェクタ開度検出器 124 改質器温度検出器 125 バーナ空気流量検出器 126 開度検出器 127 電池冷却水温度検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 高裕 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 佐薙 徳寿 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 松室 春生 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定負荷に対して複数台からなる燃料電
    池のプラントが並列接続されて電力供給系統を構成し、
    それぞれのプラントは、 燃料電池によって直流電圧を発生させる直流発電部と、 この直流発電部により発生した直流電圧を昇圧し直流を
    交流へ変換する直交変換器を有する交流出力部と、 前記直流発電部内の各プロセス量を制御するプロセス制
    御装置と、 プラントの運転停止状態に応じて前記複数台のプラント
    の内で主導的な1つのマスタープラントを決定し、残り
    を前記マスタープラントに従属するスレーブプラントと
    すると共に、前記特定負荷の電力要求量とプラントの運
    転台数とから各プラントの負荷負担量を決定する負荷分
    担制御装置と、 前記マスタープラントから前記特定負荷へ出力する交流
    出力とスレーブプラントの交流出力とを同期させるため
    に自プラントがマスタープラントのとき自プラントの交
    流出力に同期する同期信号を出力する一方、自プラント
    がスレーブプラントのとき前記マスタープラントの前記
    同期信号を取込む同期信号切換装置と、 前記直交変換器から出力される有効電力量と無効電力と
    がそれぞれの前記負荷分担量へ追従し、直交変換器から
    出力される電圧がマスタープラントの目標値となるよう
    にすると共に、マスタープラントの同期信号に同期した
    前記直交変換器から特定負荷へ各プラントが同形の交流
    波形出力をするようにPWM信号を生成する電気制御装
    置と、 それぞれのプラントの運転状態を取込み全プラントの運
    転状態を保存する共通メモリとを備えることを特徴とす
    る燃料電池発電プラントの並列運転装置。
  2. 【請求項2】 前記負荷分担制御装置は、 前記共通メモリから各プラントの運転または停止状況を
    取込み、予め定められたルールに従ってどのプラントを
    優先的に前記マスタープラントとするか優先度の指数で
    表す自プラントの優先度の指数を計算し、前記共通メモ
    リへ保存する計算部と、 前記共通メモリから各プラントの優先度の指数を入力し
    てこれらの優先度の指数の大小関係から自プラントがマ
    スタープラントかスレーブプラントかを決定し、前記共
    通メモリへ保存するマスタープラント決定部と、 前記共通メモリから取込まれた前記特定負荷の要求量と
    プラント運転台数とから所定の計算に従って各プラント
    の負荷分担量を計算して前記共通メモリへ保存する負荷
    分担量決定部とを設けることを特徴とする請求項1記載
    の燃料電池発電プラントの並列運転装置。
  3. 【請求項3】 前記電気制御装置は、 前記共通メモリを参照して自プラントがマスタープラン
    トのとき同期信号を出力する一方、自プラントがスレー
    ブプラントのとき他プラントのマスタープラントから同
    期信号を一旦取込みバイパス出力する同期信号処理装置
    と、 自プラントが停止中若しくは異常時に前記同期信号が前
    記同期信号処理装置をバイパスするバイパス信号を出力
    する電気制御装置監視器とを設け、 前記同期信号切換装置は、 前記同期信号を入力する入口側と出力する出口側とを有
    し、それぞれの各プラントの入口側と出口側とが相互に
    接続され同期信号が各プラントへ伝達するように閉ルー
    プを形成した同期信号伝送路と、 前記同期信号処理装置からの同期信号を取込み出力する
    一方、前記バイパス信号が入力されると、同期信号をバ
    イパスさせるように切換える同期信号切換手段を設ける
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃料電
    池発電プラントの並列運転装置。
  4. 【請求項4】 前記電気制御装置は、 前記共通メモリから各種データを取込み自プラントがマ
    スタープラントのとき前記同期信号処理装置から同期信
    号を取込みまたは自プラントがスレーブプラントのとき
    前記同期信号切換装置を介して同期信号を取込む同期信
    号入力部と、 前記同期信号に同期し、前記直交変換器から出力される
    有効電力量が前記負荷分担量となるように位相制御信号
    を出力する有効電力位相制御部と、 前記直交変換器から出力される電圧がマスタープラント
    により予め定めた電圧目標値となるように電圧信号を出
    力する電圧制御部と、 前記直交変換器から出力される無効電力量が前記無効電
    力負担量となるように交流出力部に備える直流昇圧部の
    直流出力電圧を増減させる無効電力制御部と、 前記有効電力位相制御部からの位相制御信号と前記電圧
    制御部から電圧信号とを入力してPWM波形を生成して
    前記直交変換器へ出力するPWM波生成部とを備えたこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの
    燃料電池発電プラントの並列運転装置。
  5. 【請求項5】 前記プロセス制御装置は、 前記直流発電部からの直流出力電流を予め定めた関数に
    より目標値として、前記直流出力電流の増減に応じて燃
    料制御弁を制御して改質燃料中の水素を増減させる燃料
    流量制御部と、 直流出力電流の増減と前記改質水素の増減に応じて蒸気
    量と水素量の混合比を増減させる蒸気エジェクタ制御部
    と、 前記直流出力電流の増減に応じてバーナ空気制御弁を制
    御してバーナへの空気量を増減させるバーナ空気流量制
    御部と、 前記直流出力電流の増減に応じてプロセス空気制御弁を
    制御して空気極への空気流量を増減させるプロセス空気
    流量制御部と、 前記直流出力電流の増減に応じて電池冷却水ヒータと電
    池冷却水温度制御弁を制御して電池冷却水温度を増減さ
    せる電池冷却水温度制御部とを設けることを特徴とする
    請求項1乃至請求項4記載のいずれかの燃料電池発電プ
    ラントの並列運転装置。
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