JPH08168960A - 研削装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 研削装置において、研削液の飛散防止を効率
良く行うこと。 【構成】 研削砥石を回転させて被研削砥物を研削する
研削装置であって、前記研削砥石と前記被研削物の接触
部に研削液を供給する研削液供給手段を具備する研削装
置において、前記研削液に磁性流体を混合した構成。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は研削液を冷却、潤滑剤と
して用いる研削装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３に従来の平面研削装置の構成図を示
す。５１は回転することにより被研削物５２を研削する
研削砥石であり、５８はその回転方向を示し、５４は砥
石カバーを示す。被研削物５２は被研削物保持具５５に
より保持され、テーブル５６に固定されている。テーブ
ル５６はテーブル移動方向５９の方向に図示しない駆動
源により駆動され、最大移動地点（図示せず）まで移動
した後、矢印と反対方向に移動して初期状態に戻る。研
削液の飛散を防止するてめに、研削液飛散防止カバー５
３が研削砥石５１及びテーブル５６を覆うように配設さ
れている。尚、５７は研削液主飛散方向を表わし矢印の
上下の破線はその範囲を示す。

【０００３】又、上記とは別に特開昭６１−２１４９７
５号公報には磁性流体を研削砥粒として、非磁性体を研
削し、その研削油と研削粉を分離する方法が開示されて
いる。詳細を図４を用いて説明すれば、３１は非磁性ワ
ークを砥粒を用いて研削する研削機で、例えば、ラップ
盤、ポリシング装置、各種切断機などである。３２は砥
粒溜め３３に収納された磁性流体で、研削機３１の始動
と共に滴下して非磁性ワークが研削される。研削機３１
による研削後の排液（磁性流体３２と非磁性ワークの被
研削粉の混在物）は、排管３４を介して遠心分離機など
のセパレータ３５に送られ、ここで、粗い被研削粉３６
が分離されて取り除かれる。

【０００４】一方、残りの細かい被研削粉と磁性流体の
混在物は、管３７を介して比重差分離機３８に送られ
る。比重差分離機３８には電磁石等の磁石３９が具備さ
れていて、磁性流体に勾配を有する磁気力を印加する
と、見掛け上浮力が大きくなるように作用するため、細
かい被研削粉４０のみを上方に押し上げて、被研削粉４
０と磁性流体４１とを分離する。被研削粉４０はオーバ
フローやトイなどを使用して分離機３８の外部に取り出
され、磁性流体４１は分離機３８の底部より帰還用管４
２を介して、砥石溜め３３に戻され、再び砥粒として再
利用される。

【０００５】しかしながら、この発明は遊離砥粒での精
密研削に関するものであり、本願発明が問題としている
研削液の飛散については何ら言及していない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の研削液飛散防止
のためのカバーは高速で回転する砥石により飛ばされた
研削液がカバーと衝突し、はね返り飛散するために砥石
及び被研削物を覆う形状に設置されている為、研削砥石
および被研削物の交換は前記カバーを取りはずして行う
必要が有り、研削砥石及び被研削物の交換が行いにくい
欠点がある。さらに研削盤本体についてはカバーの為
に、部品点数の増加や装置の大型化などの問題を生じる
場合もある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の研削装置
は、研削砥石を回転させて被研削物を研削する研削装置
であって、前記研削砥石と前記被研削物の接触部に研削
液を供給する研削液供給手段を具備する研削装置におい
て、前記研削液に磁性流体を混合することを特徴とする
研削装置である。

【０００８】請求２項記載の研削装置は、前記接触部に
おいて、前記研削砥石が回転する回転方向の延長上に磁
力発生手段を有する研削液飛散防止カバーを有すること
を特徴とする請求項１記載の研削装置である。

【０００９】請求項３項記載の研削装置は、前記磁力発
生手段として電磁石を用い、前記研削砥石と前記被研削
物が接触している場合にのみ該電磁石をオンすることを
特徴とする請求項１記載の研削装置である。

【００１０】

【作用】請求項１記載の構成によれば、砥石により飛ば
された研削液と研削液飛散防止カバーとの衝突後の研削
液の飛散を抑制する為に、研削液とカバーの間に磁力に
よる吸引力をもたせる。すなわち、研削液を使用する際
に原液を薄める溶媒の水の代わりに磁性流体を溶媒とし
て用い研削液が、磁力に吸着するようにすることで研削
時に飛散する研削液を磁力で回収することが可能とな
る。

【００１１】請求項２記載の構成によれば、研削液飛散
防止カバーに磁力を持たせることにより、研削液の回収
が容易となり、飛散防止カバーの小型化、簡素化が可能
となる。

【００１２】請求項３記載の構成によれば、研削液飛散
防止カバーの磁力発生手段に電磁石を用いることで磁力
の発生及び非発生が瞬時にできるため、更には研削砥石
と被研削物が接触している場合にのみ電磁石がオンし、
磁力を発生しているために無駄がなく効率が良い。

【００１３】

【実施例】本発明の実施例を図１、図２に基づいて説明
する。

【００１４】図１で１は回転することにより、被研削物
２を研削する研削砥石であり、８はその回転方向を示
し、４は砥石カバーを示す。砥石の保持方法は砥石の中
心に開けられた（図示せず）穴に砥石軸を通して、フラ
ンジで締め付ける。被研削物２は被研削物保持具５によ
り保持され、テーブル６に固定されている。

【００１５】被研削物２の保持は研削では被研削物保持
５としてマグネットチャックの使用が一般的で、被研削
物が非磁性体の場合は固定治具を使用する。本発明にお
いては、マグネットチャック使用時に研削液が付着する
ことが予想されるが、循環する研削液の量が減る程度で
問題にはならないと考えられる。尚、被研削物２の交換
はマグネットチャックの磁力を切って行うので、その
際、カバーがあれば、カバーを取りはずしたり、狭い窓
からの作業になり、作業効率が低下するが、本発明の場
合は研削液飛散防止カバー３が小型なため、その心配が
無い。

【００１６】駆動機構については、テーブル６はスライ
ダ・クランク機構による往復運動であり、砥石１につい
ては砥石軸をモーターにより回転させている。

【００１７】３は研削液飛散防止カバーであり、その上
部外側に電磁石１４が設けられており、研削液供給ノズ
ル１０により砥石１と被研削物２との接触部に研削液が
噴出・供給される。１１は研削液噴出方向である。７は
研削液主飛散方向を表わし、矢印の上下の破線はその範
囲を示す。

【００１８】ノズル１０により噴出・供給された研削液
はテーブル６に開けられた研削液回収穴１２より自由落
下で回収され、研削液回収ホース１３を通じフィルター
で研削粉を除去した後、ポンプにより再び供給ノズル１
０に戻され再利用される。

【００１９】上記フィルターとしては研削液に磁性液体
を使用しているため、研削後に切屑と研削液とを分離す
るのにマグネットフィルター（通常、研削は被研削物が
磁性体であることが多いため一般的に使用されるフィル
ター）を用いることはできず、磁性を利用しないメッシ
ュフィルター等を用いる。

【００２０】尚、上記のメッシュフィルターのメッシュ
の粗さは、研削砥石の砥粒の粒径が約数１１０μｍ以上
に対し、磁性粒子の粒径は約０．０１μｍ程度であるこ
とより、これらの値を考慮して決定すれば良い。

【００２１】ここで研削液について詳細を述べると、一
般的に研削の場合、研削液の原液を水で薄めたものを用
いている。本発明では研削液として水性剤で水を溶媒と
し、そこに界面活性剤としての乳化剤、溶着や目づまり
を防止するための無機塩類等を加えたものを使用し、磁
性流体として磁性粒子（フェライト）を界面活性剤によ
り溶媒（水）中に分散させたものを用い、両者を混合す
る。この様なものは、磁性粒子、水、研削液がそれぞれ
の界面活性剤の力により化学吸着しているので、研削液
も磁性粒子と同様に磁力により回収される。

【００２２】次に飛散した研削液及び磁性流体が磁力に
より引き寄せられる様子を説明すれば、図２に示す如
く、研削液は破線で表わされ、電磁石１４に引きつけら
れる。電磁石１４の回りの実線の矢印は磁力線を表わ
す。

【００２３】電磁石のオン、オフのタイミングは往復テ
ーブルに連動させ、図１において、テーブルが矢印の方
向に移動し、被研削物が研削される時は研削液が飛散す
るのでオンにする。テーブルの往復幅は被削物の長さに
較べて十分に大きいので、砥石と被削物が接触していな
い時間が存在し、その時は研削液の飛散もほとんど生じ
ないので電磁石をオフにしてカバーに吸着している研削
液を回収する。

【００２４】本発明により、何故研削液飛散防止カバー
３が小型化できるかについて詳細を説明すれば、図１に
示す様な平面研削盤の場合、砥石の回転方向８とテーブ
ルの移動方向９により、研削液が飛散する方向は、ある
程度限られる。砥石カバー４の中に入り込む研削液は下
に落下する為、問題にはならず図１の矢印７に示す方向
への研削液の飛散が問題となる。この方向への飛散は被
研削物２と砥石カバー４とのすき間を通って飛び出す
為、それ程大きな範囲には広がらず、図１１における研
削液飛散防止カバー３の様にカバーを設置することで、
飛散した研削液のほとんどがカバーと衝突するようにな
り、更に前述した様に研削液に磁性流体を混合し磁力を
持たせた上で、前述カバーに電磁石を設置することで、
確実かつ完全な研削液の回収が小型のカバーでも十分に
実行できる。

【００２５】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、研削液が
磁性体になるため、磁力による吸着が可能となり、研削
液の飛散防止を容易に行うことができる。

【００２６】請求項２記載の発明によれば、研削液飛散
防止カバーに磁力を持たせることにより、研削液の回収
が一般と容易になり、研削装置の飛散防止カバーの小型
化、簡素化が可能となる。

【００２７】請求項３記載の発明によれば、研削液飛散
防止カバーの磁力発生手段に電磁石を用いることで磁力
の発生及び非発生が瞬時にできるため、更に研削砥石と
被研削物が接触している場合にのみ電磁石がオンし、磁
力を発生しているために無駄がなく効率の良い飛散研削
液の回収が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る研削装置の構成図である。

【図２】飛散した研削液と磁力線との関係を表わす図で
ある。

【図３】従来装置の平面研削装置の構成図である。

【図４】他の従来装置の構成図である。

【符号の説明】

１ 研削砥石 ２ 被研削物 ３ 研削液飛散防止カバー ４ 砥石カバー ５ 被研削物保持具 ６ テーブル ７ 研削液主飛散方向 ８ 砥石回転方向 ９ テーブル移動方向 １０ 研削液供給ノズル １１ 研削液噴出方向 １２ 研削液回収穴 １３ 研削液回収ホース １４ 電磁石 ３１ 研削機 ３２ 磁性流体 ３３ 砥粒溜め ３４ 排管 ３５ セパレータ ３６ 被研削粉 ３７ 管 ３８ 比重差分離機 ３９ 磁石 ４０ 被研削粉 ４１ 磁性流体 ４２ 帰還用管 ５１ 研削砥石 ５２ 被研削物 ５３ 研削液飛散防止カバー ５４ 砥石カバー ５５ 被研削物保持具 ５６ テーブル ５７ 研削液主飛散方向 ５８ 砥石回転方向 ５９ テーブル移動方向

フロントページの続き (72)発明者 豊田 聡 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 溝口 二三十 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 辻 雅博 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 研削砥石を回転させて被研削物を研削す
   る研削装置であって、前記研削砥石と前記被研削物の接
   触部に研削液を供給する研削液供給手段を具備する研削
   装置において、前記研削液に磁性流体を混合することを
   特徴とする研削装置。
2. 【請求項２】 前記接触部において、前記研削砥石が回
   転する回転方向の延長上に磁力発生手段を有する研削液
   飛散防止カバーを有することを特徴とする請求項１の研
   削装置。
3. 【請求項３】 前記磁力発生手段として電磁石を用い、
   前記研削砥石と前記被研削物が接触している場合にのみ
   該電磁石をオンすることを特徴とする請求項１記載の研
   削装置。