JPH08168300A - 誘導電動機のベクトル制御装置 - Google Patents

誘導電動機のベクトル制御装置

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JPH08168300A
JPH08168300A JP6307898A JP30789894A JPH08168300A JP H08168300 A JPH08168300 A JP H08168300A JP 6307898 A JP6307898 A JP 6307898A JP 30789894 A JP30789894 A JP 30789894A JP H08168300 A JPH08168300 A JP H08168300A
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induction motor
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Yoshihiko Kanehara
義彦 金原
Masato Koyama
正人 小山
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誘導電動機定数に誤差が含まれているような
場合でも、高精度のトルク制御性能を実現できる誘導電
動機のベクトル制御装置を得ることを目的とする。 【構成】 第1の磁束推定手段33が推定する第1の推
定値と第2の磁束推定手段34が推定する第2の推定値
との偏差を増幅して得られた信号を、第1の磁束推定手
段33への補正信号として補正手段35が入力すること
により、第1の推定値が第2の推定値に追従するように
制御し、第1の推定値に同期して回転する直交座標(d
−q軸)上で誘導電動機1をベクトル制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、誘導電動機定数、特
に二次抵抗が変動するような場合でも出力トルクを高精
度に制御する誘導電動機のベクトル制御装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】図16は例えば「電気書院,昭和59年
2月20発行,上山直彦編著,ニュードライブエレクト
ロニクス,第6章,ベクトル制御とその応用,p187
〜224」に示された従来の誘導電動機のベクトル制御
装置を示す構成図であり、図において、1は誘導電動
機、2は誘導電動機1の回転速度を検出する回転速度検
出器、3は誘導電動機1の一次電流を検出する電流検出
器、4は誘導電動機1を可変周波数で駆動する電圧形イ
ンバータである。
【0003】5は二次磁束指令とトルク指令とを入力
し、後述する所定の演算により誘導電動機1の励磁電流
成分指令とトルク電流成分指令を発生する電流成分指令
発生回路、6は二次磁束指令と誘導電動機1の回転速度
と電流成分指令発生回路5の出力とを入力し、後述する
所定の演算により誘導電動機1に供給すべき一次電流の
指令値を発生する一次電流指令発生回路、7は一次電流
指令発生回路6の出力と電流検出器3の出力から電圧形
インバータ4への制御信号を発生する電流制御回路であ
る。
【0004】ここで、電流成分指令発生回路5では次式
(1),(2)の演算が行われる。
【0005】
【数1】 但し、Rr 誘導電動機の二次抵抗値 Lr 誘導電動機の二次インダクタンス値 M 誘導電動機の一次二次相互インダクタンス値 Tr 誘導電動機の二次時定数(=Lr /Rr ) Pm 誘導電動機の極対数 P 微分演算子
【0006】次に、一次電流指令発生回路6では次式
(3)〜(6)の演算が行われる。
【0007】
【数2】 但し、ωr 誘導電動機の回転速度(回転周波数) ωs 誘導電動機のすべり周波数 θ 誘導電動機の二次磁束の位相成分 ius * 誘導電動機のU相巻線の一次電流指令値 ivs * 誘導電動機のV相巻線の一次電流指令値
【0008】次に電流制御回路7では、一次電流指令値
us * ,ivs * が電流検出器3から出力される一次電流
実際値ius,ivsとそれぞれ比較され、一次電流指令波
形と実際の電流波形とが一致するように電圧形インバー
タ4への制御信号が演算される。このとき、W相巻線を
流れる一次電流については電流制御回路7で次式
(7),(8)の関係式を用いて、iws * ,iwsが演算
され、ius,ivsと同様に制御される。
【0009】
【数3】
【0010】以上の式(1)〜式(8)の関係式に従っ
て一次電流指令値ius * ,ivs * ,iws * を演算し、更
に実際の一次電流ius,ivs,iwsが対応する指令値に
追従するように制御するベクトル制御方式により、誘導
電動機1の発生トルクτと二次磁束φdrとをそれぞれの
指令値φdr * ,τ* に応じて制御できることが知られて
いる。
【0011】ところで、このようなベクトル制御方式で
はすべり周波数ωs の推定を、誘導電動機1の二次抵抗
値Rr ,二次インダクタンス値Lr ,一次二次相互イン
ダクタンス値M及び一次電流に基づいた関数、即ち該誘
導電動機1の回転子回路定数を含む所定の関数で演算を
行うため、二次抵抗値Rr ,二次インダクタンス値L
r ,一次二次相互インダクタンス値Mの内いずれか一つ
以上が真値と異なる場合、正確に二次磁束の位相成分θ
が得られない。実際、誘導電動機1は運転条件によって
温度が変化し、よって二次抵抗値Rr も変化してしま
い、その結果、ベクトル制御の特徴である高精度のトル
ク制御性能が実現できないという事態が発生する。
【0012】この事態に対応した、即ち誘導電動機定数
が変動しても磁束制御ループにより正常なベクトル制御
を維持し、指令値通りのトルクを発生させる誘導電動機
のベクトル制御装置として、図17のような例えば特開
昭64−89987号公報に示されたものがあった。
【0013】図において、1〜4は図16に示した従来
装置と同一のものでありその説明を省略する。8は誘導
電動機1の一次電圧を検出する電圧検出器、9は誘導電
動機1のUVW相成分の一次電圧及び一次電流を固定子
直交座標(以下a−b軸と称す)上の二軸成分に変換す
る三相/二相変換器、10は磁束演算器31及び座標変
換器32より構成され、誘導電動機1の二次磁束に同期
して回転する直交座標(d−q軸)上の二軸成分を出力
する磁束推定手段である。又、11〜15は減算器、1
6〜19は加算器、20は係数器、21はトルク電流演
算器、22はベクトル変換器、23はすべり周波数演算
器、24は二相/三相演算器、25は積分器、26〜3
0は制御器である。
【0014】次に当該ベクトル制御装置の基本的な原理
について説明する。当該誘導電動機のベクトル制御装置
は二次磁束ベクトルに同期して回転する直交回転座標
(以下d−q軸と称す)上で磁束方向を直軸(以下d軸
と称す)に、又、それと直交する方向を横軸(以下q軸
と称す)に取り、二次磁束指令φdr *と磁束推定手段1
0から得られた推定二次磁束のd軸成分φdrとの偏差を
零とするように励磁電流指令ids * を補正し、推定二次
磁束のq軸成分φqrが零になるようにすべり周波数ωs
を補正する第2の補正手段を設けている。尚、二次磁束
方向をd軸に取っているため、励磁電流は一次電流のd
軸成分idsとなり、トルク電流は一次電流のq軸成分i
qsとなる。又、励磁電流指令は一次電流のd軸成分指令
ds * であり、トルク電流指令は一次電流のq軸成分指
令iqs * である。
【0015】又、d−q軸上の推定二次磁束のd軸成分
φdr及びq軸成分φqrを所定の値に維持するような制御
ループを構成することにより、二次抵抗値Rr 等の誘導
電動機定数が変動しても該制御装置は、磁束制御ループ
により正常なベクトル制御を維持し、指令値τ* 通りの
トルクを発生する。
【0016】励磁電流指令ids * についてみると、図1
6に示した従来装置ではそれに対応する励磁電流指令i
ds * も一義的に決定されるものと考えていた。しかし、
誘導電動機の磁気飽和等によって一次二次相互インダク
タンス値Mに誤差が含まれると、励磁電流指令ids *
算出に直接的な影響を及ぼす。従って、単に式(1)の
様な演算を施しても誘導電動機1の二次磁束の実際のd
軸成分φdrが指令値φdr * 通りに発生しているという保
障は全く無い。そこで、二次磁束指令φdr * を一次二次
相互インダクタンス値Mで除算して求めた励磁電流指令
ds0 *に、磁束偏差のd軸成分φdr * −φdrを零とする
ような励磁電流補正信号Δids * を加算することにより
補正励磁電流ids * を得る。即ち、次式(9)に示す通
りとなる。
【0017】
【数4】
【0018】すべり周波数ωs についても同様なことが
言える。前記図16に示した従来装置の考え方によれ
ば、トルク指令τ* から式(2)によりトルク電流を求
め、更にすべり周波数ωs を式(3)によって与える。
前記二次磁束のd軸成分制御の結果、推定二次磁束のd
軸成分φdrに一致したとすると式(2)からトルク電流
指令iqs * は誤差を含むことはない。しかし、二次抵抗
値Rr が変動したとすると、式(3)からすべり周波数
ωs は二次抵抗値Rr の変動分に相当する誤差を含むこ
とになり、正しいすべり周波数ωs を与えることができ
なくなる。
【0019】この原因は、二次磁束の位置をd軸とし、
それと直交する位置、即ち磁束零となる位置をq軸とす
るように定義し、式(3)の関係を導出したにも拘ら
ず、実際の誘導電動機1においてそのすべり周波数ωs
が保障されないところにある。そこで、式(3)で与え
られるすべり周波数をωs0とし、更に、q軸磁束指令φ
qr * として零を与え、推定二次磁束のq軸成分φqrが指
令値に追従するようなすべり周波数補正信号Δωs を求
め、これを前記すべり周波数ωs0に加算してすべり周波
数ωs を作る。即ち、次式(10)に示す通りとなる。
【0020】
【数5】
【0021】次に推定二次磁束のd軸成分φdr及びq軸
成分φqrの推定法について説明する。誘導電動機1に供
給される三相電圧vus,vvs,vwsを表す信号を周知の
手法でa−b軸の系に変換する。変換後のa軸,b軸上
の電圧及び電流をそれぞれvas,vbs及びias,ibs
表すと、二次磁束のa軸成分φar及びb軸成分φbrは次
式(11),(12)のようにして計算される。
【0022】
【数6】 但し、Rs 誘導電動機の一次抵抗値 ls 誘導電動機の一次漏れインダクタンス値 ias 誘導電動機の一次電流のa軸成分 ibs 誘導電動機の一次電流のb軸成分 vas 誘導電動機の一次電圧のa軸成分 vbs 誘導電動機の一次電圧のb軸成分
【0023】更に、推定二次磁束のa軸成分φar及びb
軸成分φbrをd−q軸上に次式(13)の行列演算を実
効して座標変換する。
【0024】
【数7】
【0025】このようにして得られた推定二次磁束のd
軸成分φdrは、d軸磁束制御系のフィードバック信号と
して用いられ、d軸磁束指令φdr * と比較され、既に述
べた所定の制御動作を行う。又、推定二次磁束のq軸成
分φqrはq軸磁束指令(通常は零)φqr * と突き合わさ
れ、その偏差に応じてすべり周波数ωs0の補正を行う。
【0026】次に動作について説明する。三相/二相変
換器9は電流検出器3によって検出された一次電流
us,ivs,iws及び電圧検出器8によって検出された
一次電圧vus,vvs,vwsを入力し、a−b軸上の値i
as,iqs及びvas,vbsに変換する。磁束推定手段10
を構成する磁束演算器31では、式(11),(12)
に基づいて、a−b軸上の二次磁束のa軸成分φar及び
b軸成分φbrを推定し、座標変換器32ではそれらa軸
成分φar及びb軸成分φbrをd−q軸上に座標変換し、
二次磁束のd軸成分φdr及びq軸成分φqrを得る。この
とき、座標変換器32では式(13)の行列計算が実行
される。
【0027】又、係数器20は二次磁束指令φdr * を1
/(一次二次相互インダクタンス値M)倍し励磁電流指
令ids0 *を出力する。又、制御器26は磁束偏差のd軸
成分φdr * −φdrを零とするような励磁電流補正信号Δ
ds * を発生し、加算器16によって励磁電流指令i
ds0 *と励磁電流補正信号Δids * から式(9)の演算を
する。
【0028】トルク電流演算器21は、式(2)の演算
を行いトルク電流指令iqs * を出力する。又、すべり周
波数演算器23は磁束指令φdr * 及びトルク電流指令i
qs *に基づいて式(3)の演算を行いすべり周波数ωs0
を出力する。又、減算器12は磁束偏差のq軸成分φqr
* −φqrを求め、制御器27はφqrが指令値φqr * に追
従するようなすべり周波数補正信号Δωs を発生する。
更に、加算器17はすべり周波数ωs0と周波数補正信号
Δωs から式(10)の演算をし、補正後のすべり周波
数ωs を得る。
【0029】次に、加算器18と積分器25によって、
補正後のすべり周波数ωs と回転速度検出器2によって
検出された回転速度ωr から式(4)の演算を行い、二
次磁束の位相成分θを得る。ベクトル変換器22は加算
器16及びトルク電流演算器21から得られた一次電流
指令のd軸成分ids * 及びq軸成分iqs * をd−q軸上
における一次電流指令の絶対値is *と位相ψ* に変換す
る。この位相ψ* と二次磁束の位相成分θの和θ1 *が一
次電流指令is *の位相である。
【0030】極座標表現された一次電流指令is *,θ1 *
を二相/三相変換器24で三相に変換し、u,v,w相
の相電流指令ius * ,ivs * ,iws * を作る。電圧形イ
ンバータ4への三相電圧指令vus * ,vvs * ,vws *
は、前記電流検出器3で検出された一次電流ius
vs,iwsとの偏差を減算器13〜15で得て、その偏
差を制御器28〜30で増幅することによって与える。
そして、電圧形インバータ4は、三相電圧指令vus *
vs * ,vws * に従って三相電圧vus,vvs,vwsを発
生し誘導電動機1に供給する。
【0031】図17に示したような誘導電動機の制御装
置では、すべり周波数演算器23内部の電動機定数の値
と誘導電動機1内部の実際の電動機定数の値が異なる場
合でも指令値τ* 通りのトルクを発生させることができ
るとされている、しかし、磁束演算手段10の一次抵抗
値Rs と誘導電動機1内の実際の一次抵抗値Rs0が異な
る場合、又は電流検出器3及び電圧検出器8の精度及び
分解能に問題がある場合、磁束演算精度が低下してしま
う。特に誘導電動機1の静止時では磁束演算手段10か
ら得られる二次磁束φdr,φqrは、大幅な誤差を持った
り或いは発散したりして、大幅に磁束演算精度が低下し
てしまう。
【0032】この現象は次のように説明できる。即ち、
磁束演算器31では式(11)の演算を行うが、二次磁
束回転速度ωが零の時すなわち静止時は、一次電流のa
軸成分ias及び一次電圧のa軸成分vasは直流であり、
dias/dtは零である。当然二次磁束の微分値dφar
/dtも零である。又、一次抵抗値Rs に誤差を持つ場
合に、磁束演算手段10内部の一次抵抗値Rs 、誘導電
動機内部の実際の一次抵抗値Rs0、誤差をΔRs とし、
s0=Rs +ΔRs とすれば、式(11)とdφar/d
t=dias/dt=0とからvas=Rs0asが成り立
つ。しかし、磁束演算器31内部は次式(14)の関係
が成り立つ。
【0033】
【数8】
【0034】よって、−ΔRs ・iasなる一定の値を積
分するため磁束演算器31内の磁束演算は発散する。
又、実装面でみると、磁束演算器31による演算値は電
流検出器3及び電圧検出器8の精度及び分解能に問題が
多く、特に低回転速度域では電圧歪のために磁束演算精
度が低下する問題がある。
【0035】又、前記誘導電動機のベクトル制御装置で
は、励磁電流指令は磁束指令φdr *と推定二次磁束のd
軸成分φdrとの偏差を零にするように作用する。しか
し、誘起電圧の影響によって、誘導電動機に供給される
一次電流の実際値と電圧形インバータ4に出力される指
令値との間に偏差が生じたり、電圧形インバータ4の電
流耐量、電圧耐量等の制限から運転状態によって制御系
が飽和したりすると、指令値通りの励磁電流成分を誘導
電動機1に供給できなくなる。このような場合には、二
次磁束指令値と実際値との間に偏差が生じる。すべり周
波数演算器23では、指令値通りに二次磁束φdr及び一
次電流のq軸成分iqsが追従するように制御することに
よって、すべり周波数ωs0の精度の向上を図っていた
が、このような二次磁束の指令値と実際値φdrとの間に
偏差が生じる場合及びトルク電流の指令値と実際値との
間に偏差を生じる場合には、前記誘導電動機のベクトル
制御装置は正常に動作しない。これは、各指令値と各実
際値とが一致していないにも拘らず、すべり周波数演算
器23が各指令値に基づいてすべり周波数ωs0を出力し
ていることに起因する。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】従来の誘導電動機のベ
クトル制御装置は以上のように構成されているので、図
17に示すような誘導電動機のベクトル制御装置では上
述した通り、低回転速度で運転を連続して行う様な場
合、磁束推定手段10から得られる推定二次磁束φ qr
φdrは大幅な誤差を持っていたり或いは発散してるため
に、正常なベクトル制御を維持できず、指令値τ* 通り
の発生トルクは期待できない。従って、低回転速度域で
はかえって図16に示した誘導電動機のベクトル制御装
置より精度が落ちてしまうなどの問題点があった。又、
誘導電動機に供給される一次電流の実際値と電圧形イン
バータ4に出力される指令値との間に偏差が生じたり、
電圧形インバータ4の電流耐量、電圧耐量等の制限から
運転状態によって制御系が飽和したりすると、指令値通
りの励磁電流成分を誘導電動機1に供給できなくなるな
どの問題点があった。
【0037】この発明は以上のような問題点を解消する
ためになされたもので、誘導電動機の運転速度域や、電
流制御偏差、電圧形インバータの電流耐量、電圧耐量等
の制限によって生じる制御系の飽和、誘導電動機の磁気
飽和等の影響を受けずに、誘導電動機定数が変動して
も、高精度のトルク制御性能を実現する誘導電動機のベ
クトル制御装置を得ることを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る誘
導電動機のベクトル制御装置は、誘導電動機の回転速度
及び一次電流を入力し、該誘導電動機の回転子回路定数
を含む所定の関数演算によって、該誘導電動機の二次磁
束ベクトルの第1の推定値を出力する第1の磁束推定手
段と、前記誘導電動機の一次電圧及び一次電流を入力
し、該誘導電動機の固定子回路定数を含む所定の関数演
算によって、該誘導電動機の二次磁束ベクトルの第2の
推定値を出力する第2の磁束推定手段と、前記第1の推
定値と第2の推定値の偏差を増幅して得られた信号を、
前記第1の磁束推定手段への補正信号として入力するこ
とにより、前記第1の推定値が第2の推定値に追従する
ように制御する補正手段とを備え、前記第1の推定値に
同期して回転する直交回転座標上で前記誘導電動機をベ
クトル制御するようにしたものである。
【0039】請求項2の発明に係る誘導電動機のベクト
ル制御装置は、請求項1の補正手段を、前記誘導電動機
の回転速度の絶対値が所定値を越えた場合にのみ、第1
の推定値が第2の推定値に追従するようにしたものであ
る。
【0040】請求項3の発明に係る誘導電動機のベクト
ル制御装置は、請求項1の補正手段を、前記誘導電動機
の回転速度の絶対値が所定値を越えた場合にのみ、第1
の推定値が第2の推定値に追従すると共に、前記第1の
磁束推定手段で行われる関数演算で使用される前記誘導
電動機の二次抵抗を同定するようにしたものである。
【0041】請求項4の発明に係る誘導電動機のベクト
ル制御装置は、誘導電動機の回転速度及び一次電流を入
力し、該誘導電動機の回転子回路定数を含む所定の関数
演算によって、該誘導電動機の二次磁束ベクトルの第1
の推定値を出力する第1の磁束推定手段と、前記誘導電
動機の一次電圧及び一次電流を入力し、該誘導電動機の
固定子回路定数及びハイパスフィルタを含む所定の関数
演算によって、該誘導電動機の二次磁束ベクトルの第2
の推定値を出力する第2の磁束推定手段と、前記第1の
推定値に前記ハイパスフィルタと同じ特性を有するハイ
パスフィルタを介して第3の推定値を得、前記第2の推
定値と第3の推定値の偏差を増幅して得られた信号を、
前記第1の磁束推定手段への補正信号として入力するこ
とにより、前記第3の推定値が第2の推定値に追従する
ように制御する補正手段とを備えたものである。
【0042】請求項5の発明に係る誘導電動機のベクト
ル制御装置は、請求項4の補正手段を、前記誘導電動機
の回転速度の絶対値が所定値を越えた場合にのみ、第3
の推定値が第2の推定値に追従するようにしたものであ
る。
【0043】請求項6の発明に係る誘導電動機のベクト
ル制御装置は、請求項5の補正手段を、前記誘導電動機
の回転速度の絶対値が所定値を越えた場合にのみ、第3
の推定値が第2の推定値に追従すると共に、前記第1の
磁束推定手段で行われる関数演算で使用される前記誘導
電動機の二次抵抗を同定するようにしたものである。
【0044】
【作用】請求項1の発明における誘導電動機のベクトル
制御装置は、第1の推定値が第2の推定値に追従するよ
うに制御するので、二次側の誘導電動機定数が変動して
も、第1の推定値が二次側の誘導電動機定数に無関係な
第2の推定値に追従し、二次側の誘導電動機定数の変動
によるトルク制御性能の低下を防止する。又、第1の磁
束推定手段は、誘導電動機の一次電流の入力によって前
記誘導電動機をベクトル制御するので、常に実際値と指
令値との偏差をなくす方向に制御でき、従来装置のよう
な、電流制御の偏差及び、電圧形インバータの電流耐
量、電圧耐量等の影響を防止する。
【0045】請求項2の発明における誘導電動機のベク
トル制御装置は、請求項1に加えて、低回転速度域にお
いて性能の悪い第2の推定値によるベクトル制御を、低
回転速度域において制限し、低回転速度域における性能
の悪化を防止する。
【0046】請求項3の発明における誘導電動機のベク
トル制御装置は、請求項1に加えて、低回転速度域にお
いて性能の悪い第2の推定値によるベクトル制御を、低
回転速度域において制限し、低回転速度域における性能
の悪化を防止すると共に、二次抵抗を同定することによ
って、誘導電動機定数の変動を抑えトルク制御性能の低
下を防止する。
【0047】請求項4の発明における誘導電動機のベク
トル制御装置は、第3の推定値が第2の推定値に追従す
るように制御するので、二次側の誘導電動機定数が変動
しても、第1の推定値が二次側の誘導電動機定数に無関
係な第2の推定値に追従し、二次側の誘導電動機定数の
変動によるトルク制御性能の低下を防止する。又、第1
の磁束推定手段は、誘導電動機の一次電流の入力によっ
て前記誘導電動機をベクトル制御するので、常に実際値
と指令値との偏差をなくす方向に制御でき、従来装置の
ような、電流制御の偏差及び、電圧形インバータの電流
耐量、電圧耐量等の影響を防止する。更に、第2の磁束
推定手段にハイパスフィルタを設けることによって、低
回転速度域において性能の悪い第2の推定値によるベク
トル制御を、低回転速度域において制限し、低回転速度
域における性能の悪化を防止する。
【0048】請求項5の発明における誘導電動機のベク
トル制御装置は、請求項4に加えて、更に、低回転速度
域において性能の悪い第2の推定値によるベクトル制御
を、低回転速度域において制限し、低回転速度域におけ
る性能の悪化を防止する。
【0049】請求項6の発明における誘導電動機のベク
トル制御装置は、請求項4に加えて、更に、低回転速度
域において性能の悪い第2の推定値によるベクトル制御
を、低回転速度域において制限し、低回転速度域におけ
る性能の悪化を防止すると共に、二次抵抗を同定するこ
とによって、誘導電動機定数の変動を抑えトルク制御性
能の低下を防止する。
【0050】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1はこの発明の実施例1による誘導電動機のベ
クトル制御装置を示す構成図であり、図において、1〜
4,8は従来装置と同一のものでありその説明を省略す
る。33は誘導電動機1の回転速度及び一次電流を入力
して、所定の関数演算によって第1の推定値を出力する
第1の磁束推定手段、34は誘導電動機1の一次電流及
び一次電圧を入力して、該誘導電動機1の固定子定数を
含む所定の関数演算によって第2の推定値を出力する第
2の磁束推定手段である。35は第1の推定値と第2の
推定値とを入力して、第1の推定値が第2の推定値に追
従するように制御する補正手段、36は係数器、37は
除算器、38,39は減算器、40,41は制御器、4
2はd−q軸上の一次電圧指令をUVW相の一次電圧指
令に座標変換する座標変換器、43は電流検出器3から
得られた一次電流のU相成分ius及びV相成分ivsをd
−q軸上のd軸成分ids及びq軸成分iqsに座標変換す
る座標変換器、44は磁束演算器である。
【0051】まず当該装置のベクトル制御の基本的な原
理について説明する。最初に、第1の磁束演算関数につ
いて説明する。第1の磁束演算関数とは二次抵抗値R
r ,二次インダクタンス値Lr ,一次二次相互インダク
タンス値M及び一次電流に基づく数式モデルであり、そ
の座標はa−b軸,d−q軸,固定子極座標の何れでも
良い。次式(15),(16)はa−b軸上の、次式
(17),(18)は固定子極座標上の第1の磁束演算
関数である。
【0052】
【数9】 ds 誘導電動機の一次電圧のd軸成分 vqs 誘導電動機の一次電圧のq軸成分 φar 誘導電動機の二次磁束のa軸成分 φbr 誘導電動機の二次磁束のb軸成分 φdr 誘導電動機の二次磁束の振幅成分(d軸成分) θ 誘導電動機の二次磁束の位相成分
【0053】次に、第2の磁束演算関数について説明す
る。第2の磁束演算関数とは一次抵抗値Rs ,漏れ係数
σ,一次インダクタンス値Ls ,一次電流及び一次電圧
に基づく数式モデルであり、第1の磁束演算関数と同様
に、その座標はa−b軸,d−q軸の何れでも良い。次
式(19),(20)はa−b軸上の、次式(21)〜
(24)はd−q軸上の第2の磁束演算関数である。
【0054】
【数10】 但し、Ls 誘導電動機の一次インダクタンス値 σ 誘導電動機の漏れ係数(=1−M2 /(Ls
r )) ω 誘導電動機の二次磁束回転速度(二次磁束回転周
波数) φds 誘導電動機の二次磁束のd軸成分 φqs 誘導電動機の二次磁束のq軸成分
【0055】これらの式を組み合わせて用いれば、第2
の磁束演算関数で二次磁束ベクトルを推定または演算す
ることが可能である。以上、第1の磁束演算関数と第2
の磁束演算関数について説明した。
【0056】次に、基本的な動作原理について説明す
る。この実施例では、第1の磁束演算関数で推定(この
明細書では磁束推定と磁束演算は同義とする)した二次
磁束ベクトル(第1の推定値)に同期して回転するd−
q軸上で誘導電動機1のベクトル制御を行う。しかしな
がら、第1の磁束演算関数は二次抵抗値Rr ,二次イン
ダクタンス値Lr ,一次二次相互インダクタンス値Mに
基づくため、これらの電動機定数のうち何れか一つでも
誤差を持ったり変動したりすると正確な推定二次磁束ベ
クトルが得られない。誘導電動機の運転による温度上昇
の影響で二次抵抗値Rr が、又、誘導電動機の磁気飽和
によって二次インダクタンス値Lr 及び一次二次相互イ
ンダクタンス値Mが変動することが知られており、第1
の推定値の推定精度も劣化する。
【0057】しかし、第2の磁束演算関数には二次抵抗
値Rr を含まず、更に、二次インダクタンス値Lr には
演算上、誘導電動機の漏れ係数σを加味しているので、
当然第2の磁束演算関数による推定二次磁束ベクトル
(第2の推定値)の推定精度は二次抵抗値Rr 及び二次
インダクタンス値Lr の変動によって劣化することはな
い。そこで、第1の推定値を第2の推定値に追従する様
に制御すれば、第1の推定値も二次抵抗値Rr 及び二次
インダクタンス値Lr の変動の影響を受けることがな
い。
【0058】第1の磁束演算関数として、式(15),
(16)を用いても、式(17),(18)を用いても
座標軸が異なるだけで同じ二次磁束ベクトル(第1の推
定値)が得られるわけであるが、この実施例では二次磁
束を極座標(振幅成分,位相成分)で扱う式(17),
(18)を用いて第1の推定値を得る。同様に第2の磁
束演算関数として、式(19),(20)を用いても、
式(21)〜(24)を用いても座標軸が異なるだけで
同じ二次磁束ベクトル(第2の推定値)が得られるわけ
であるが、この実施例では二次磁束をa−b軸上で扱う
式(19),(20)を用いて第2の推定値を得る。
【0059】次に第1の推定値を第2の推定値に追従す
るように制御しなければならないが、第1の磁束関数演
算へ補正信号Δ1 ,Δ2 を入力することにより、その追
従制御を達成させる。そこで、補正信号Δ1 ,Δ2 を発
生する補正手段を用意する。
【0060】第1の推定二次磁束ベクトル(第1の推定
値)と第2の推定二次磁束ベクトル(第2の推定値)の
偏差を増幅したものを補正信号Δ1 ,Δ2 とする。第1
の磁束演算関数にΔ1 ,Δ2 を入力することによって偏
差を零にする。しかし、二次磁束ベクトルの偏差を求め
るには、第1の推定値と第2の推定値の座標軸が異なる
場合、第1の磁束演算関数に補正信号を入力できるよう
にするために、第2の推定値を第1の推定値と同じ座標
軸上に座標変換する必要がある。
【0061】この実施例1の場合、第1の推定値は極座
標(振幅成分,位相成分)であるがd軸方向に磁束ベク
トルを一致させているので、第1の推定値をd−q軸上
に取れば第1の推定値のd軸成分と第1の推定値の振幅
成分は一致し、第1の推定値のq軸成分は零となる。そ
こで、a−b軸上の第2の推定値をd−q軸上に座標変
換し第1の推定値のd軸成分φdrと第2の推定値のd軸
成分φdr2 との偏差を磁束偏差のd軸成分とし、零(第
1の推定値のq軸成分)と第2の推定値のq軸成分φ
qr2 との偏差を磁束偏差のq軸成分とする。
【0062】そして、磁束偏差のd軸成分をK1 倍に増
幅したものをΔ1 とし、磁束偏差のq軸成分をK2 倍に
増幅したものを△2 とする。更に、第1の磁束演算関数
に補正信号△1 及び△2 を入力する。即ち、第1の磁束
演算関数として次式(25),(26)の演算を行う。
【0063】
【数11】
【0064】つまり、磁束偏差のd軸成分を増幅した補
正信号△1 を第1の推定値の振幅成分(d軸成分)の入
力に加算し、磁束偏差のq軸成分を増幅した補正信号△
2 を第1の推定値の位相成分の入力に加算するわけであ
る。これによって補正信号△1 及び△2 が減少するよう
に第1の磁束演算関数は第1の推定値を出力する。この
ようにして、第1の推定値が第2の推定値に追従させる
ことが可能である。
【0065】第1の磁束推定手段33が発生する第1の
推定値の位相成分θが得られれば、周知の手法でベクト
ル制御を行えば良い。即ち、トルク指令τ* と式(2)
を用いてトルク電流指令iqs * を得る。励磁電流指令i
ds * 及びトルク電流指令iqs * は、それぞれ一次電流指
令のd−q軸上のd軸成分及びq軸成分である。そこ
で、電流検出器3から得られた一次電流ius,ivsを第
1の推定値の位相成分θに基づいてd−q軸上に座標変
換し、一次電流のd軸成分ids及びq軸成分iqsを得
て、励磁電流指令ids * 及びトルク電流指令iqs * と一
次電流のd軸成分ids及びq軸成分iqsの偏差をそれぞ
れ増幅した信号を誘導電動機1の一次電圧のd軸成分指
令vds * 及びq軸成分指令vqs * とする。
【0066】即ち、一次電流の指令値ids * ,iqs *
実際値の偏差を零となるように一次電圧を制御するわけ
である。尚、電流検出器3から得られた一次電流のu相
成分ius及びv相成分ivsは、次式(27)を用いれば
d−q軸上のd軸成分ids及びiqsに座標変換可能であ
る。
【0067】
【数12】
【0068】次に動作について説明する。第1の磁束推
定手段33は、回転速度検出器2及び電流検出器3から
得られた回転速度ωr 及び一次電流ius,ivsに基づい
て第1の推定二次磁束ベクトル(第1の推定値)を推定
する。まず座標変換器43が、電流検出器3から得られ
た一次電流のu相分ius及びv相分ivsを、磁束演算器
44から得られた二次磁束ベクトルの位相成分θに基づ
いてd−q軸上のd軸成分ids及びq軸成分iqsに座標
変換するために、式(27)の行列演算を実行する。次
に磁束演算器44は一次電流のd軸成分ids,q軸成分
qs及び回転速度ωr に基づいて式(25),(26)
の演算を実行し第1の推定二次磁束ベクトル(第1の推
定値)を演算する。
【0069】第2の磁束推定手段34は、電流検出器3
及び電圧検出器8から得られた一次電流のu相分ius
v相成分ivs及びu相電圧vus,v相電圧vvsに基づい
て第2の二次磁束ベクトル(第2の推定値)のa−b軸
上のa軸成分φar2 及びb軸成分φbr2 を推定する。そ
して補正手段35は、第1の推定値と第2の推定値を用
いて得られた信号Δ1 及びΔ2 を、第1の磁束推定手段
への補正信号として入力する。
【0070】又、トルク電流指令iqs * は、磁束指令を
Mids * とし、係数器36及び除算器37を用いて式
(2)を演算し求める。即ち、係数器36はトルク指令
値τ*をLr/(Pm2 )倍し、除算器37は係数器
36の出力を励磁電流指令ids * で除算したものをトル
ク電流指令iqs * とする。
【0071】減算器38は一次電流のd軸成分指令(励
磁電流指令)ids * と一次電流のd軸成分idsとの偏差
を出力し、同様に減算器39は一次電流のq軸成分指令
(トルク電流指令)iqs * と一次電流のq軸成分iqs
の偏差を出力する。又、制御器40は減算器38から得
た一次電流のd軸成分の指令値ids * と実際値idsの偏
差を増幅し一次電圧のd軸成分指令vds * を出力し、同
様に制御器41は減算器39から得た一次電流のq軸成
分の指令値iqs * と実際値iqsの偏差を増幅し一次電圧
のq軸成分指令vqs * を出力する。更に、座標変換器4
2は第1の推定値の位相成分θに基づいて次式(28)
の行列演算を実行することによって一次電圧指令のu,
v,w各相の一次電圧指令vus * ,vvs * ,vws * を発
生する。
【0072】
【数13】
【0073】図2はこの実施例1による誘導電動機のベ
クトル制御装置の磁束演算器を示す構成図であり、図に
おいて、45〜47は係数器、48は除算器、49は減
算器、50〜52は加算器、53a,53bは積分器で
ある。
【0074】一次電流のd軸成分idsを一次二次相互イ
ンダクタンス値M倍する係数器45、二次時定数Tr
逆数倍する係数器47、係数器45の出力から二次磁束
の振幅成分φdrを減算する減算器49、補正信号Δ1
加算する加算器50、及び積分器53aによって二次磁
束の振幅φdrを推定する式(25)の演算を行う。又、
一次電流のq軸成分iqsをM/Tr 倍する係数器46、
この係数器46の出力を二次磁束の振幅φdrで除算する
除算器48、回転速度検出器2から得られた回転速度ω
r を加算する加算器51、及び補正信号Δ2 を加算する
加算器52によって式(26)の演算を行う。このよう
にして磁束演算器44は、回転速度検出器2から得られ
た回転速度ωr と座標変換器43から得られた一次電流
のd−q軸上のd軸成分ids及びq軸成分iqsに基づい
て、第1の推定二次磁束ベクトル(第1の推定値)の振
幅成分φdr及び位相成分θを推定する。
【0075】図3はこの実施例1による誘導電動機のベ
クトル制御装置の第2の磁束推定手段を示す構成図であ
り、図において、54は三相/二相変換器、55〜60
は係数器、61〜64は減算器、65,66は積分器で
ある。三相/二相変換器54は、前記一次電流ius,i
vs及び一次電圧vus,vvsを次式(29)〜(32)に
従って一次電流のa−b軸上のa軸成分ias,b軸成分
bs及び一次電圧のa−b軸上のa軸成分vas,b軸成
分vbsに座標変換を行う。
【0076】
【数14】
【0077】一次電流のa軸成分iasを一次抵抗値Rs
倍する係数器55、一次電圧のa軸成分vasから係数器
55の出力を減算する減算器61、積分器65、一次イ
ンダクタンスと漏れ係数の積σLs 倍する係数器57、
二次インダクタンスと相互インダクタンスとの比Lr
M倍する係数器59及び減算器63によって式(19)
の演算を行う。これにより一次電圧のa−b軸上のa軸
成分vas及び一次電流のa−b軸上のa軸成分ias
り、二次磁束のa−b軸上のa軸成分φar2 の推定が行
える。同様に、係数器56,58,60、減算器62,
64及び積分器66によって式(20)の演算を行え
ば、二次磁束のa−b軸上のb軸成分φbr2の推定が行
える。このようにして第2の磁束推定手段34は、電流
検出器3から得られた一次電流と電圧検出器8から得ら
れた一次電圧に基づいて、第2の二次磁束ベクトル(第
2の推定値)のa−b軸上のa軸成分φar及びb軸成分
φbrを推定する。
【0078】図4はこの実施例1による誘導電動機のベ
クトル制御装置の補正手段を示す構成図であり、図にお
いて、67は座標変換器、68,69は減算器、70,
71は係数器である。
【0079】座標変換器67は、第1の磁束推定手段3
3から得られた二次磁束位相θに基づいて第2の磁束推
定手段34から得られた第2の推定二次磁束ベクトル
(第2の推定値)を座標変換するために次式(33)の
行列演算を実行する。
【0080】
【数15】 但し、φdr2 誘導電動機の第2の推定二次磁束ベクトル
のd軸成分 φqr2 誘導電動機の第2の推定二次磁束ベクトルのq軸
成分
【0081】減算器68は第1の推定値と第2の推定値
のd軸成分偏差φdr2 −φdrを出力し、同様に減算器6
9は第1の推定値(零)と第2の推定値のq軸成分偏差
φqr 2 −φqrを出力する。又、係数器70は第1の推定
値と第2の推定値のd軸成分偏差φdr2 −φdrをK1
し、同様に係数器71は第1の推定値と第2の推定値の
q軸成分偏差φqr2 −φqrをK2 倍する。そして、係数
器70の出力を補正信号Δ1 とし、係数器71の出力を
補正信号Δ2 とする。
【0082】このようにして補正手段35は、第1の磁
束推定手段33から得られた第1の推定値と第2の磁束
演算手段から得られた第2の推定値に基づいて、第1の
推定手段へ入力するための補正信号Δ1 ,Δ2 を発生す
る。以上で明らかなように、この実施例1によれば、二
次抵抗値Rr 及び二次インダクタンス値Lr の変動の影
響を受けないで、高精度にトルク制御を実現することが
できる。又、第1の磁束推定手段33は、誘導電動機1
の一次電流の入力によって、誘導電動機1をベクトル制
御するので、常に実際値と指令値との偏差をなくす方向
に制御でき、図17に示した従来装置のような、電流制
御の偏差及び、電圧形インバータ4の電流耐量、電圧耐
量等の影響を防止することができる。
【0083】実施例2.前記実施例1では、第2の磁束
推定手段34に式(19),(20)を満足する第2の
推定二次磁束ベクトル(第2の推定値)のa−b軸上の
a軸成分及びb軸成分を求めるものについて示したが、
式(19),(20)で推定された磁束の精度は二次磁
束回転周波数ωに依存するとされ、ωが小さいほど精度
が悪く、低回転速度域では第1の推定二次磁束ベクトル
(第1の推定値)よりも推定誤差が大きくなりかねな
い。そこで、第2の磁束推定手段に入力される一次電流
及び一次電圧にハイパスフィルタを挿入し、低周波数域
では一次電流及び一次電圧が入力されないようにしても
良い。この実施例2では第2の磁束推定手段34bと補
正手段35b以外は、前記実施例1と同様であるため第
2の磁束推定手段34bと補正手段35bについてのみ
説明する。
【0084】まず当該ベクトル制御装置の基本的な原理
について説明する。第2の磁束推定手段では、式(1
9),(20)を用いて第2の推定値を演算するわけで
あるが、式(19),(20)はラプラス演算子sを用
いればそれぞれ次式(34),(35)と書き換えても
良い。
【0085】
【数16】
【0086】ここで、低周波数域時、第2の磁束推定手
段34bに一次電流と一次電圧の入力を行わないように
一次電流及び一次電圧にTs/(1+Ts)なるハイパ
スフィルタを挿入する(T;任意に設定できる時定
数)。これは、式(34)の演算を行うにあたって、一
次電流のa軸成分のiasにフィルタを介した一次電流の
a軸成分Ts/(1+Ts)・iasを、一次電圧のa軸
成分vasにフィルタを介した一次電圧のa軸成分Ts/
(1+Ts)・vasをそれぞれ代入しても良い。又、式
(35)も同様である。実際にフィルタを介した一次電
圧及び一次電流を式(34),(35)に代入すると次
式(36),(37)を得る。
【0087】
【数17】
【0088】式(36),(37)によって、ハイパス
フィルタを介した、低周波数域では磁束推定を行わない
第2の推定値を得ることができる。尚、磁束推定を行わ
ない周波数域は時定数Tの設定で選択可能である。又、
前記実施例1において、補正手段は第1の推定値を第2
の推定値に追従するように補正信号Δ1 ,Δ2 を発生し
ていた。しかし、この実施例2のように第2の推定値が
ハイパスフィルタを介したものである場合、第2の推定
値は二次磁束ベクトルの実際値に対して遅れを持つこと
になるため、第2の推定値に第1の推定値を追従させる
と当然第1の推定値も同様な遅れを持つことになる。
【0089】そこで、第1の推定値に前記ハイパスフィ
ルタと同じ特性のハイパスフィルタを介した第3の推定
値を準備する。第2の推定手段はa−b軸上でハイパス
フィルタを介したので、第3の推定値も、a−b軸上で
第1の推定値にハイパスフィルタを介す。第3の推定値
は第1の推定値に対してフィルタを介した分だけ遅れて
いるわけであるから、第3の推定値を第2の推定値に追
従させると、第1の推定値は、第2の推定値のフィルタ
を介した分を打ち消した磁束ベクトルに追従する。
【0090】又、実施例1では補正信号Δ1 及びΔ2
して、磁束偏差のd軸成分及びq軸成分をそれぞれ増幅
した値を用いていた。しかし、第1の磁束推定手段は二
次磁束ベクトルを振幅と位相で取り扱っていることを考
慮すれば、補正信号Δ1 及びΔ2 として、磁束偏差の振
幅成分と位相成分をそれぞれ増幅した値を用いても良
い。
【0091】第1の推定値は磁束ベクトルを振幅と位相
で取り扱っているが、第3の推定値を演算するにあたっ
て第1の推定値をa−b軸上に座標変換する必要がある
のでこの実施例では、第2の推定値は磁束ベクトルをa
−b軸上で取り扱っていることも考慮し、a−b軸上の
両推定値から磁束偏差の振幅成分と位相成分を求める。
磁束偏差の振幅成分は次式(38)で、位相成分は次式
(39)で演算を行う。但し、第3の推定値のa−b軸
上のa軸成分をφar3 、b軸成分をφbr3 とする。
【0092】
【数18】
【0093】式(39)は第2の磁束ベクトル(第2の
推定値)と第3の磁束ベクトル(第3の推定値)との外
積をその内積で除算したものである。磁束偏差の位相成
分をΔθとすれば、tan-1Δθを意味するがΔθが十
分小さい時はtan-1Δθ=Δθとしても良いことを利
用している。勿論、tan-1[式(39)]としても良
い。又、補正信号Δ1 は磁束偏差の振幅成分を増幅した
信号で、補正信号Δ2は位相成分を増幅した成分で与え
る。その結果、第1の推定値は補正信号Δ1 ,Δ2 が減
少するように、即ち第3の推定値が第2の推定値に追従
するようになる。
【0094】次にこの実施例2の具体的構成及び動作に
ついて説明する。図5はこの実施例2による誘導電動機
のベクトル制御装置の第2の磁束推定手段を示す構成図
であり、図において、54〜64は前記実施例1と同一
なのでその説明は省略する。72,73は一次遅れフィ
ルタ、74,75はハイパスフィルタである。又、図6
はこの実施例2による誘導電動機のベクトル制御装置の
補正手段を示す構成図であり、70,71は前記実施例
1と同一なのでその説明は省略する。76は座標変換
器、77,78はハイパスフィルタ、79〜86は乗算
器、87,88,89は加算器、90,91は減算器、
92は除算器、93,94は平方根演算器である。
【0095】次に動作について説明する。図5におい
て、係数器55,57,59、減算器61,63、T/
(1+Ts)の特性を持つ一次遅れフィルタ72、Ts
/(1+Ts)の特性を持つハイパスフィルタ74を用
いて式(36)の演算を行い、第2の推定値のa軸成分
φar 2 を得る。同様に係数器56,58,60、減算器
62,64、T/(1+Ts)の特性を持つ一次遅れフ
ィルタ73、Ts/(1+Ts)の特性を持つハイパス
フィルタ75を用いて式(37)の演算を行い、第2の
推定値のb軸成分φbr 2 を得る。
【0096】又、図6において座標変換器76は、式
(40)の行列演算を実行し、第1の二次磁束ベクトル
(第1の推定値)の振幅成分φdrと位相成分θを、a−
b上のa軸成分φar1 及びb軸成分φbr1 に座標変換す
る。
【0097】
【数19】
【0098】そして、座標変換されたa軸成分φar1
びb軸成分φbr1 を磁束推定手段34bが持つハイパス
フィルタと同じ特性のハイパスフィルタに介す。即ち、
Ts/(1+Ts)の特性を持つハイパスフィルタ7
7,78に第1の推定値のa軸成分φar1 及びb軸成分
φbr1 を入力し、第3の推定値のa軸成分φar3 及びb
軸成分φbr3 を得る。
【0099】次にこの様にして得られた第3の推定値
と、第2の推定値の磁束偏差を求める。乗算器79,8
0、加算器87、平方根演算器93を用いて式(38)
の第1項の演算を行い、乗算器81,82、加算器8
8、平方根演算器94を用いて式(38)の第2項の演
算を行う。そして、減算器90によって第2の推定値と
第3の推定値との磁束偏差の振幅成分を得る。又、乗算
器84,85、減算器91によって式(39)の分子の
演算を行い、乗算器83,86、加算器89によって式
(39)の分母の演算を行う。
【0100】そして、除算器92によって第2の推定値
と第3の推定値との磁束偏差の位相成分を得る。係数器
70は減算器90から得た磁束偏差の振幅成分をK1
して補正信号Δ1 を出力する。同様に、係数器71は除
算器92から得られた磁束偏差の位相成分をK2 倍して
補正信号Δ2 を出力する。これにより、低回転速度域で
は第2の磁束推定手段を用いないで第1の磁束推定手段
で動作し、高回転速度域では第2の磁束推定手段と補正
手段が動作し第1の磁束推定手段に補正信号を入力し、
低回転速度域では周知であるすべり周波数形ベクトル制
御並に、高回転速度ではそれよりも高精度にトルク制御
を行うことができる。
【0101】実施例3.前記実施例1及び実施例2で
は、第2の磁束推定手段は電圧検出器8及び電流検出器
3から得られた誘導電動機1の一次電圧及び一次電流に
基づいて二次磁束ベクトル(第2の推定値)を求めた
が、図7に示すように、一次電流のd−q軸上のd軸成
分ids及びq軸成分iqsと電圧形インバータ4への電圧
指令の二次磁束座標上のd軸成分vds * 及びq軸成分v
qs * に基づいて二次磁束ベクトル(第2の推定値)を求
めても良い。言い換えると、第2の磁束推定手段が存在
する座標軸はd−q軸上でも良い。電圧形インバータへ
の電圧指令のd−q軸上のd軸成分vds * 及びq軸成分
qs * を用いれば、電圧検出器8を省略することができ
る。
【0102】図7はこの実施例3による誘導電動機のベ
クトル制御装置を示す構成図であり、図において、実施
例1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省
略する。33cは第1の磁束推定手段、34cは第2の
磁束推定手段、35cは補正手段である。
【0103】まず、当該ベクトル制御装置の基本的な原
理について説明する。前記実施例2の第2の磁束推定手
段では、a−b軸上で二次磁束ベクトルの推定を行って
いたが、d−q軸上で二次磁束ベクトルの推定を行って
も構わない。a−b軸上の第2の磁束演算関数、式(3
6),(37)をd−q軸上に座標変換すると次式(4
1),(42)を得る。
【0104】
【数20】
【0105】従って、式(41),(42)の演算を行
えば、第2の推定値のd−q軸上のd軸成分φdr2 及び
q軸成分φqr2 を得ることができる。また、第2の推定
値には前記実施例2と同様にハイパスフィルタが挿入さ
れているために、補正信号を発生するには第1の推定値
に前記ハイパスフィルタと同じ特性を持つハイパスフィ
ルタを介して第3の推定値を準備する必要がある。そこ
で、第1の推定値を前記実施例2と同様にa−b軸上に
座標変換した後、ハイパスフィルタを介すれば第3の推
定値のa−b軸上のa軸成分及びb軸成分を得る。第2
の磁束推定手段から得られる二次磁束ベクトルはd−q
軸上で取り扱ったものであるから、第3の推定値もd−
q軸上で取り扱うと偏差の演算が易しくなる。第3の推
定値のa−b軸上のa軸成分φar3 及びb軸成分φbr3
は、次式(43)の行列演算を実行すれば、d−q軸上
のd軸成分φdr3 及びq軸成分φqr3 を得ることができ
る。
【0106】
【数21】
【0107】次に、第2の推定値と第3の推定値との磁
束偏差を求める。第1の磁束推定手段は二次磁束ベクト
ルを振幅と位相で取り扱っているから、補正信号もd−
q軸で取り扱うより振幅と位相で取り扱う方がより望ま
しい。磁束ベクトル方向にd軸方向を取っているので、
磁束偏差のd−q軸上のd軸成分を振幅成分としても良
い。また、第2の推定値と第3の推定値との磁束偏差の
位相成分をΔθとする時、sinΔθ=(φqr2 −φ
qr3 )/φdr3 が成り立ち、Δθが十分に小さいときは
sinΔθ=Δθであるから、(φqr2 −φqr3 )/φ
dr3 を磁束偏差の位相成分Δθとしても構わない。
【0108】次にこの実施例の具体的構成及び動作につ
いて説明する。図7において、第1の磁束推定手段33
cは第1の推定値の振幅成分φdr及び位相成分θだけで
なく、一次電流の二次磁束座標(d−q軸)上のd軸成
分ids及びq軸成分iqsも出力する。第2の磁束推定手
段34cは該一次電流ids,iqsと、制御器40,41
から得られる一次電圧指令のd−q軸上のd軸成分vds
* 及びq軸成分vqs * に基づいて第2の推定値φdr2
φqr2 を求める。
【0109】補正手段35cは第1の二次磁束ベクトル
(第1の推定値)の振幅φdr位相θと第2の二次磁束ベ
クトル(第2の推定値)のd軸成分φdr2 及びq軸成分
φqr2 との偏差を演算し、補正信号Δ1 及びΔ2 を出力
する。第2の磁束推定手段34c及び補正手段35c以
外は前記実施例2と同様であるため第2の磁束推定手段
34c及び補正手段35cについてのみ説明する。
【0110】図8はこの実施例3による誘導電動機のベ
クトル制御装置の第2の磁束推定手段を示す構成図であ
り、100〜107は係数器、108〜110は加算
器、111〜113は減算器、114,115は加減算
器、116〜119は乗算器、120,121は積分器
である。又、図9はこの実施例3による誘導電動機のベ
クトル制御装置の補正手段を示す構成図であり、70,
71,76,77,78は実施例2と同一であるのでそ
の説明は省略する。122は座標変換器、123,12
4は減算器、125は除算器である。
【0111】次に動作について説明する。図8におい
て、係数器104によってM/(TLr )・φdr2 を、
係数器101によってRsdsを、乗算器116によっ
てωM/Lr ・φqr2を、係数器103及び乗算器11
9によってωσLsqsを演算し、加算器108、減算
器111、加減算器114、積分器120によって、式
(41)右辺の演算を行う。減算器112によって式
(41)右辺からσLsdsを減算しM/Lr ・φdr2
を得て、係数器106は減算器112の出力をLr /M
倍してφdr2 を出力する。
【0112】同様に係数器100,102,103,1
05,107、加算器109,110、減算器113、
加減算器115、乗算器117,118、積分器121
を用いて式(42)の演算を行い、φqr2 を得る。以上
により、第2の推定値のd−q軸上のd軸成分φdr2
びq軸成分φqr2 が得られる。
【0113】又、図9において、ハイパスフィルタ7
7,78から得られた第3の推定値φar3 及びφbr3
a−b軸上の値であり、第2の推定手段から得られた二
次磁束ベクトル(第2の推定値)φdr2 及びφqr2 はd
−q軸上の値である。座標変換器122によってa−b
軸上の第3の推定値をd−q軸上に座標変換を行う。座
標変換器122では、式(43)の演算を行い、第3の
推定値のd−q軸上のd軸成分φdr3 及びq軸成分φ
qr3 が得られる。
【0114】減算器123は第2の推定値のd軸成分φ
dr2 と第3の推定値のd軸成分φdr 3 との偏差を、減算
器124は第2の推定値のq軸成分φqr2 と第3の推定
値のq軸成分φqr3 との偏差をそれぞれ出力する。減算
器123及び124の出力は、第2の推定値と第3の推
定値との磁束偏差のd軸成分とq軸成分であるので、除
算器125が(φqr2 −φqr3 )/φdr3 の演算を行い
磁束偏差の位相成分を出力する。係数器70,71以後
の演算については、実施例2と同様である。
【0115】この実施例3では、第2の推定手段の入力
電圧としてd−q軸上の一次電圧のd軸成分指令vds *
及びq軸成分指令vqs * を用いたが、三相電圧指令vus
* ,vvs * を同様に用いても、電圧検出器を省略可能で
ある。この場合、実施例2の第2の磁束推定手段の入力
を三相電圧vus,vvsの代わりに三相電圧指令vus *
vs * を用いるだけである。
【0116】実施例4.前記実施例1から実施例3で
は、補正手段は常時入力された第1の推定値と第2の推
定値に基づいて補正信号を発生するものについて示した
が、一次抵抗値Rs に著しい誤差が含まれる場合、補正
信号Δ1 ,Δ2 は低回転速度域の時、第1の推定値の精
度を劣化させる恐れがある。又、ハイパスフィルタを第
2の磁束推定手段に用いた場合、低回転速度域の時に第
1の磁束推定手段は二次磁束ベクトルを出力するにも拘
らず第2の磁束推定手段は二次磁束ベクトルを出力しな
い。従って、その偏差は第1の推定値そのものであり、
この場合も補正信号Δ1 ,Δ2 は低回転速度域の時、第
1の推定値の精度を劣化させる恐れがある。
【0117】係る問題を解決するには、低回転速度域で
は補正信号を発生しないければ良い。そこで、図10に
示すように、前記誘導電動機の回転速度の絶対値が所定
値を越えた場合にのみ、補正手段から補正信号Δ1 ,Δ
2 を発生させてもよい。
【0118】図10はこの実施例4による誘導電動機の
ベクトル制御装置を示す構成図であり、図において、3
5dは補正手段であり、実施例1又は実施例2と同一符
号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。補正
手段35dは第1の推定二次磁束(第1の推定値),第
2の推定二次磁束(第2の推定値)及び回転速度ωr
基づいて、補正信号Δ1 ,Δ2 を発生する。
【0119】又、図11はこの実施例4による誘導電動
機のベクトル制御装置の補正手段を示す構成図であり、
67,70,71は前記実施例1と、76〜78,12
2〜125は前記実施例3と同一符号は同一又は相当部
分を示すので説明を省略する。図において、126は関
数発生器、127,128は乗算器である。
【0120】次に動作について説明する。図11におい
て、座標変換器67によって第2の推定値のd−q軸上
のd軸成分φdr2 及びφqr2 を得る。前記実施例3と同
様に、減算器123,124、除算器125は第2の推
定値と第3の推定値との磁束偏差の振幅成分及び位相成
分の演算を行う。関数発生器126は予め、前記誘導電
動機1の回転速度ωr に応じて0から1の値を発生する
ように設定しておく。乗算器127,128は関数発生
器126から得た信号と磁束偏差の振幅成分及び位相成
分との積をそれぞれ演算する。
【0121】以上のような回路で、回転速度が小さい時
は0、回転速度が大きい時は1であるように関数発生器
126を設定しておくと、回転速度が小さいときは補正
信号を発生せず、回転速度が大きいときは補正信号を発
生するようにすることが可能である。つまり、低回転速
度域では周知であるすべり周波数形ベクトル制御並みの
性能を確保しつつ、高回転速度域では高精度にトルクを
制御することが可能になる。
【0122】実施例5.前記実施例4において、第2の
磁束推定手段34bを第2の磁束推定手段34に、補正
手段35dを図12に示す補正手段35eに置き換えて
も良い。この時、前記誘導電動機の回転速度の絶対値が
所定値を越えた場合にのみ、前記第1の推定値が第2の
推定値に追従する効果を奏する。
【0123】図12はこの実施例5による誘導電動機の
ベクトル制御装置の補正手段を示す構成図であり、図に
おいて、実施例4と同一符号は同一又は相当部分を示す
ので説明を省略する。補正手段35eは補正手段35d
内部の座標変換器76,122、ハイパスフィルタ7
7,78を省略したものであり、その動作も前記実施例
4の補正手段35dと同様である。前記実施例4では第
3の推定値が第2の推定値に追従するように制御してい
たが、この実施例5では第1の推定値が第2の推定値に
追従するように制御する点が異なる。
【0124】実施例6.前記実施例4及び実施例5で
は、二次抵抗値Rr に誤差を含みかつ回転速度ωr の絶
対値が所定値を越えない場合、第1の推定値の精度は回
転速度ωr が所定値を越えた場合に比べその精度は劣
る。そこで、回転速度ωr の絶対値が所定値を越えた場
合にのみ、前記第1の推定値が第2の推定値に追従する
ように制御すると共に、前記第1の磁束推定手段で行わ
れる関数演算で使用される前記誘導電動機の二次抵抗を
同定する。これにより、再び回転速度ωr の絶対値が所
定値を下回っても同定された二次抵抗に基づいて第1の
推定手段は二次磁束を推定し、低回転領域でも磁束推定
精度が向上する。
【0125】図13はこの実施例6よる誘導電動機のベ
クトル制御装置を示す構成図であり、図において、33
fは第1の磁束推定手段、35fは補正手段、44fは
磁束演算器であり、実施例1又は実施例2と同一符号は
同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
【0126】次に当該ベクトル制御装置の基本的な原理
について説明する。補正手段35fは、前記実施例4及
び実施例5同様、前記回転速度ωr が所定値以下の場合
は、補正信号△1 ,△2 として零を与える。回転速度ω
r が所定値を越えた場合は、第3の推定値が第2の推定
値に追従するように補正信号△1 ,△2 を発生するだけ
なく、二次抵抗値Rr の誤差が第3の推定値と第2の推
定値の偏差を生む原因であることを考慮して磁束偏差の
位相成分が零になるように二次抵抗を同定する。第1の
推定手段では次式(44)ですべり周波数ωs を与えて
いる。
【0127】
【数22】
【0128】ここで、一次二次相互インダクタンスM,
二次インダクタンスLr 及び二次磁束振幅φdrは正の値
を取る。又補正信号△2 は、磁束偏差の位相成分と同符
号を取る。又、第3の推定値から第2の推定値を減算し
た磁束偏差の位相成分△θが正の時はRr ・iqsの値を
大きくしても、すべり周波数ωs は第3の推定値から与
えられるため一定である。つまり、Rr ・iqsの値を大
きくすると補正信号△2 が小さくなるわけであり、結果
△θも小さくなる。反対に、磁束偏差の位相成分△θが
負の時は、Rr ・iqsを小さくすれば、△θも小さくな
る。一次電流のd−q軸上のq軸成分iqsは運転条件に
よって符号が変わるので、iqsの符号が正の時は二次抵
抗値Rr は△θを増幅した値で与え、iqsの符号が負の
時はRは−△θを増幅した値で与える。
【0129】次に動作について説明する。補正手段35
fは回転速度検出器2から回転速度ω を、第1の磁
束推定手段33fから第1の推定値の振幅成分φdr,位
相成分θ及びq軸成分電流iqsを、第2の磁束推定手段
34bから第2の推定値のa軸成分φar2 及びb軸成分
φbr 2 を得る。回転速度ωr が所定値を越えた時、第1
の推定値に前記ハイパスフィルタを介した第3の推定値
と第2の推定値との偏差を増幅し補正信号△1 ,△2
発生する。又、回転速度ωr が前記所定値以上の値を越
えた時、二次抵抗値Rr を同定し、前記第1の磁束推定
手段33fに二次抵抗値Rr の値を与える。
【0130】図14はこの実施例6による誘導電動機の
ベクトル制御装置の磁束演算器を示す構成図であり、1
29〜131は係数器、132は減算器、133〜13
5は加算器、136は乗算器、137は除算器、13
8,139は積分器である。
【0131】座標変換器43から得られた一次電流
ds,iqsに基づいて二次磁束ベクトル(第1の推定
値)の振幅成分φdr及び位相θを推定するわけである
が、前記実施例1から実施例5とは二次抵抗値を係数器
で与えるのではなくアナログ信号で与える点が異なる。
係数器129,130、減算器132、乗算器136、
積分器138、加算器133によって式(25)の演算
を行う。同様に係数器131、加算器134、除算器1
37、積分器139、加算器135によって式(26)
の演算を行う。
【0132】図15はこの実施例6による誘導電動機の
ベクトル制御装置の補正手段を示す構成図であり、図に
おいて、70,71,76〜94は前記実施例2と同一
のものでありその説明を省略する。140,141は関
数発生器、142はリミッタ、143〜146は乗算
器、147は制御器、148はレベル設定器、149は
加算器、150は極性判別回路である。
【0133】減算器90から振幅偏差が、除算器92か
ら位相偏差がそれぞれ得られることは、前記実施例2と
同じである。関数発生器140は前記誘導電動機1の回
転速度ωr の絶対値が所定値以下の場合は零を、それ以
外の場合は零から1の間の値を出力する。乗算器14
3,144は、関数発生器140から得た出力と位相偏
差,振幅偏差をそれぞれ乗算する。これにより回転速度
ωr の絶対値が所定値以下の場合は補正信号出力を零に
する。
【0134】関数発生器140が発生する値が1の時、
関数発生器141も1を発生し、それ以外の場合は零を
発生するように関数発生器141を設定しておく。即
ち、関数発生器141は、回転速度ωr の絶対値が所定
値を越えた時は1を、それ以外の時は零を発生する。乗
算器144は該関数発生器141の出力と除算器92の
出力とを乗算する。
【0135】又、極性判別器150は一次電流のd−q
軸上のq軸成分iqsが正の時1の極性信号を出力し、負
の時−1の極性信号を出力する。そして、乗算器146
は乗算器144から得られる位相偏差と極性判別器15
0の出力とを乗算する。上述した理由により乗算器14
6の出力が正の時はRr を増幅し負の時はRr を減少さ
せれば良いので、制御器147に、回転速度ωr の絶対
値が所定値を越えた場合のみ乗算器146から得られる
位相偏差を入力する。
【0136】制御器147は位相偏差が零になるように
二次抵抗変動分ΔRr を制御する。リミッタ142は制
御器147が出力するΔRr の範囲を制限し、制御器1
47が誤動作時の安定性を確保する。レベル設定器14
8には二次抵抗公称値Rr *を設定しておき、加算器14
9はRr *+ΔRr を演算し、二次抵抗値Rr を出力す
る。以上によって二次抵抗値Rr を同定することが可能
である。これにより、高回転域に加え低回転域でも高精
度にトルク制御を行うことが可能である。
【0137】実施例7.前記実施例6では第2の推定手
段にハイパスフィルタを介したが、当然ハイパスフィル
タを介さなくても動作する。具体的には実施例6におい
てハイパスフィルタ77,78を省略し、第2の磁束推
定手段34bを34に置き換えれば良い。
【0138】実施例8.前記実施例4〜6は回転速度の
絶対値が所定値を越えた場合にのみ前記第1の推定値又
は前記第3の推定値が第2の推定値に追従するように制
御を行うが、回転速度の代わりに前記第1の推定手段か
ら得られる二次磁束回転周波数の絶対値が所定値を越え
た場合にのみ前記第1の推定値又は前記第3の推定値が
第2の推定値に追従するように制御しても良い。
【0139】実施例9.前記実施例では、ハードウェア
によって構成したものについて示したが、マイクロコン
ピュータを用いたソフトウェア処理によって実現しても
良い。
【0140】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、誘導電動機の回転速度及び一次電流に応じた第1の
推定値を出力する第1の磁束推定手段と、前記誘導電動
機の一次電圧及び一次電流応じた第2の推定値を出力す
る第2の磁束推定手段と、前記第1の推定値が第2の推
定値に追従するように制御する補正手段とを備えるよう
に構成したので、二次側の誘導電動機定数が変動して
も、第1の推定値が二次側の誘導電動機定数に無関係な
第2の推定値に追従することができ、高精度のトルク制
御性能を実現することができる。又、第1の磁束推定手
段は、誘導電動機の一次電流の入力によって前記誘導電
動機をベクトル制御するので、常に実際値に基づいてベ
クトル制御することができ、従って、電流制御の偏差及
び、電圧形インバータの電流耐量、電圧耐量等の制限に
よって生じる制御系の飽和によるベクトル制御への影響
を防止することができる効果がある。
【0141】請求項2の発明によれば、請求項1の補正
手段を、誘導電動機の回転速度の絶対値が所定値を越え
た場合にのみ、第1の推定値が第2の推定値に追従する
ように構成したので、請求項1に加えて、低回転速度域
において性能の悪い第2の推定値によるベクトル制御
を、低回転速度域において制限することができ、従っ
て、低回転速度域においても高精度のトルク制御性能を
実現することができる効果がある。
【0142】請求項3の発明によれば、請求項1の補正
手段を、誘導電動機の回転速度の絶対値が所定値を越え
た場合にのみ、第1の推定値が第2の推定値に追従する
と共に、第1の磁束推定手段で行われる関数演算で使用
される誘導電動機の二次抵抗を同定するように構成した
ので、請求項1に加えて、低回転速度域において性能の
悪い第2の推定値によるベクトル制御を、低回転速度域
において制限することができ、従って、低回転速度域に
おいても高精度のトルク制御性能を実現することができ
ると共に、二次抵抗を同定することによって、誘導電動
機定数の変動を抑えトルク制御性能の低下を防止するこ
とができる効果がある。
【0143】請求項4の発明によれば、誘導電動機の回
転速度及び一次電流に応じた第1の推定値を出力する第
1の磁束推定手段と、ハイパスフィルタを有し前記誘導
電動機の一次電圧及び一次電流応じた第2の推定値を出
力する第2の磁束推定手段と、前記第1の推定値に前記
ハイパスフィルタと同じ特性を有するハイパスフィルタ
を介した第3の推定値が第2の推定値に追従するように
制御する補正手段とを備えるように構成したので、二次
側の誘導電動機定数が変動しても、第1の推定値が二次
側の誘導電動機定数に無関係な第2の推定値に追従する
ことができ、高精度のトルク制御性能を実現することが
できる。又、第1の磁束推定手段は、誘導電動機の一次
電流の入力によって前記誘導電動機をベクトル制御する
ので、常に実際値と指令値との偏差をなくす方向に制御
することができ、従って、電流制御の偏差及び、電圧形
インバータの電流耐量、電圧耐量等の制限によって生じ
る制御系の飽和によるベクトル制御への影響を防止する
ことができる。更に、第2の磁束推定手段にハイパスフ
ィルタを設けることによって、低回転速度域において性
能の悪い第2の推定値によるベクトル制御を、低回転速
度域において制限することができ、従って、低回転速度
域においても高精度のトルク制御性能を実現することが
できる効果がある。
【0144】請求項5の発明によれば、請求項4の補正
手段を、誘導電動機の回転速度の絶対値が所定値を越え
た場合にのみ、第3の推定値が第2の推定値に追従する
ように構成したので、請求項4に加えて、更に、低回転
速度域において性能の悪い第2の推定値によるベクトル
制御を、低回転速度域において制限することができ、従
って、低回転速度域においても高精度のトルク制御性能
を実現することができる効果がある。
【0145】請求項6の発明によれば、請求項4の補正
手段を、誘導電動機の回転速度の絶対値が所定値を越え
た場合にのみ、第3の推定値が第2の推定値に追従する
と共に、第1の磁束推定手段で行われる関数演算で使用
される誘導電動機の二次抵抗を同定するように構成した
ので、請求項4に加えて、更に、低回転速度域において
性能の悪い第2の推定値によるベクトル制御を、低回転
速度域において制限することができ、従って、低回転速
度域においても高精度のトルク制御性能を実現すること
ができると共に、二次抵抗を同定することによって、誘
導電動機定数の変動を抑えトルク制御性能の低下を防止
することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1による誘導電動機のベク
トル制御装置を示す構成図である。
【図2】 実施例1による磁束演算器を示す構成図であ
る。
【図3】 実施例1による第2の磁束推定手段を示す構
成図である。
【図4】 実施例1による補正手段を示す構成図であ
る。
【図5】 実施例2による第2の磁束推定手段を示す構
成図である。
【図6】 実施例2による補正手段を示す構成図であ
る。
【図7】 実施例3による誘導電動機のベクトル制御装
置を示す構成図である。
【図8】 実施例3による第2の磁束推定手段を示す構
成図である。
【図9】 実施例3による補正手段を示す構成図であ
る。
【図10】 実施例4による誘導電動機のベクトル制御
装置を示す構成図である。
【図11】 実施例4による補正手段を示す構成図であ
る。
【図12】 実施例5による補正手段を示す構成図であ
る。
【図13】 実施例6による誘導電動機のベクトル制御
装置を示す構成図である。
【図14】 実施例6による磁束演算器を示す構成図で
ある。
【図15】 実施例6による補正手段を示す構成図であ
る。
【図16】 従来の誘導電動機のベクトル制御装置を示
す構成図である。
【図17】 従来の誘導電動機のベクトル制御装置を示
す構成図である。
【符号の説明】
1 誘導電動機、33 第1の磁束推定手段、34,3
4b,34c 第2の磁束推定手段、35,35b〜3
5f 補正手段。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導電動機の一次電流を、該誘導電動機
    の二次磁束ベクトルに同期して回転する直交回転座標上
    の二軸成分に分解し、該二軸成分がそれぞれの指令値に
    追従するように制御する誘導電動機のベクトル制御装置
    において、前記誘導電動機の回転速度及び一次電流を入
    力し、該誘導電動機の回転子回路定数を含む所定の関数
    演算によって、該誘導電動機の二次磁束ベクトルの第1
    の推定値を出力する第1の磁束推定手段と、前記誘導電
    動機の一次電圧及び一次電流を入力し、該誘導電動機の
    固定子回路定数を含む所定の関数演算によって、該誘導
    電動機の二次磁束ベクトルの第2の推定値を出力する第
    2の磁束推定手段と、前記第1の推定値と第2の推定値
    の偏差を増幅して得られた信号を、前記第1の磁束推定
    手段への補正信号として入力することにより、前記第1
    の推定値が第2の推定値に追従するように制御する補正
    手段とを備え、前記第1の推定値に同期して回転する直
    交回転座標上で前記誘導電動機をベクトル制御すること
    を特徴とする誘導電動機のベクトル制御装置。
  2. 【請求項2】 前記補正手段は、前記誘導電動機の回転
    速度の絶対値が所定値を越えた場合にのみ、前記第1の
    推定値が第2の推定値に追従するように制御することを
    特徴とする請求項1記載の誘導電動機のベクトル制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記補正手段は、前記誘導電動機の回転
    速度の絶対値が所定値を越えた場合にのみ、前記第1の
    推定値が第2の推定値に追従するように制御すると共
    に、前記第1の磁束推定手段で行われる関数演算で使用
    される前記誘導電動機の二次抵抗を同定することを特徴
    とする請求項1記載の誘導電動機のベクトル制御装置。
  4. 【請求項4】 誘導電動機の一次電流を、該誘導電動機
    の二次磁束ベクトルに同期して回転する直交回転座標上
    の二軸成分に分解し、該二軸成分がそれぞれの指令値に
    追従するように制御する誘導電動機のベクトル制御装置
    において、前記誘導電動機の回転速度及び一次電流を入
    力し、該誘導電動機の回転子回路定数を含む所定の関数
    演算によって、該誘導電動機の二次磁束ベクトルの第1
    の推定値を出力する第1の磁束推定手段と、前記誘導電
    動機の一次電圧及び一次電流を入力し、該誘導電動機の
    固定子回路定数及びハイパスフィルタを含む所定の関数
    演算によって、該誘導電動機の二次磁束ベクトルの第2
    の推定値を出力する第2の磁束推定手段と、前記第1の
    推定値に前記ハイパスフィルタと同じ特性を有するハイ
    パスフィルタを介して第3の推定値を得、前記第2の推
    定値と第3の推定値の偏差を増幅して得られた信号を、
    前記第1の磁束推定手段への補正信号として入力するこ
    とにより、前記第3の推定値が第2の推定値に追従する
    ように制御する補正手段とを備え、前記第1の推定値に
    同期して回転する直交回転座標上で前記誘導電動機をベ
    クトル制御することを特徴とする誘導電動機のベクトル
    制御装置。
  5. 【請求項5】 前記補正手段は、前記誘導電動機の回転
    速度の絶対値が所定値を越えた場合にのみ、前記第3の
    推定値が第2の推定値に追従するように制御することを
    特徴とする請求項4記載の誘導電動機のベクトル制御装
    置。
  6. 【請求項6】 前記補正手段は、前記誘導電動機の回転
    速度の絶対値が所定値を越えた場合にのみ、前記第3の
    推定値が第2の推定値に追従するように制御すると共
    に、前記第1の磁束推定手段で行われる関数演算で行わ
    れる前記誘導電動機の二次抵抗を同定することを特徴と
    する請求項4記載の誘導電動機のベクトル制御装置。
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