JPH08164608A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

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JPH08164608A
JPH08164608A JP26267295A JP26267295A JPH08164608A JP H08164608 A JPH08164608 A JP H08164608A JP 26267295 A JP26267295 A JP 26267295A JP 26267295 A JP26267295 A JP 26267295A JP H08164608 A JPH08164608 A JP H08164608A
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piezoelectric element
recording head
ink
plate
reinforcing plate
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JP26267295A
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English (en)
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Haruo Kawakami
春雄 川上
Naoto Fukazawa
直人 深沢
Hiroyuki Fujisawa
広幸 藤澤
Noriaki Tsunoda
典昭 角田
Ryuichi Asai
隆一 浅井
Yoshinobu Sugata
好信 菅田
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】圧電素子の変形がインク噴出に効率よく連動で
きる、プラスチック材料を主体とするインクジェット記
録ヘッドを提供する。 【解決手段】インク通路の全部あるいは一部が溝として
形成されているプラスチック製の流路基板1に、振動板
を接合してインク通路を形成し、インク加圧室相当部分
の流路の外側面に圧電素子10を接着してなるインクジョ
ット記録ヘッドにおいて、振動板の少なくとも一部がプ
ラスチック板26とそれより高い弾性率を有する補強板24
とを接着した複合板であり、振動板のプラスチック面と
流路基板1の溝が形成されている面とが接着される。ま
た、振動板に圧電素子接着位置を示すマーク25を付け
る。更に、補強板24とプラスチック板26との接着には活
性エネルギー線硬化材料からなるシート接着剤を用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷装置に用いられる
インクジェット記録ヘッドに係わり、特にプラスチック
材料を基材とするインクジェット記録ヘッドに関する。
【従来の技術】インクジェット記録ヘッド機構を用いた
印刷装置は構造が簡単であるという利点から、小型軽量
性が要求される卓上プリンタ、ファックス等の分野に広
く用いられている。インクジェット記録ヘッド機構には
幾つかの方式が提案されているが、振動板に圧電素子を
接着し、圧電素子に電圧を印加することにより圧電素子
を伸縮させ振動板を振動させる方式は、ヘッド寿命が半
永久的でありランニングコストが低い等の長所を有して
おり、今後広く用いられようとしている。この方式のイ
ンクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと略称す
る)の製造コストを低減する一法として、記録ヘッド部
材として非結晶性熱可塑性樹脂等のプラスチック材料を
用いることが考えられている。この場合、表面にインク
供給部、流路抵抗調整部、加圧室部、吐出口部等からな
るインク流路が溝部として形成されるプラスチック材料
からなる基板(以下、流路基板と言う)を射出成形等に
より作製し、これに振動板を接合してインク流路を形成
させ、この振動板の加圧室部の外側に圧電素子を接着し
てその伸縮運動と振動板のバイモルフ作用によりインク
を噴出させる方法が一般的である。圧電素子と振動板は
接着強度、信頼性、作業性の観点から、熱硬化性接着剤
により接着するのが一般的である。振動板には、プラス
チック材料である、ポリエステル、ポリエステルカーボ
ネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサ
ルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポ
リアリレート、ポリエーテルイミド、及びこれらの変成
体、共重合体などを含有する非結晶性熱可塑性樹脂が用
いられる。シートは押出成形、カレンダ成形等の一般的
なシート成形方法で作製される。図9は従来例の記録ヘ
ッドであり、(a)は流路基板の平面図、(b)は記録
ヘッドのインク流路に沿っての断面図である。流路基板
1の一方の表面には、インクの吐出口部であるインクノ
ズル2、ノズル流路3、インク加圧室4、インク供給路
5、インク溜め6、流路抵抗調整部である絞り流路7、
インク供給口12からなるインク流路が溝部として形成さ
れている。流路基板1と振動板8とを重ね合わせ、接着
して一体化する。そして、インク加圧室4に対応する、
振動板8のインク流路の外側の面に電気機械変換素子と
しての圧電素子10を、導電層9を介して接着し、記録ヘ
ッドは形成される。なお、圧電素子10の接着面と反対側
の面には各々電極が形成されている。導電層9と圧電素
子10の他の電極には駆動電圧が接続される。圧電素子10
に適正波形の駆動電圧を印加し変形させ、バイモルフ作
用により振動板を面に垂直な方向に振動させ、インク加
圧室4の体積を急激に減少させ、インクノズル2よりイ
ンク液滴を噴出させて記録紙等の表面に到達させ、印字
がなされる。振動板8の変形挙動がインクの噴出特性に
大きな影響を及ぼす。この振動板の変形挙動を図10及び
図11を用いて説明する。図10は従来の記録ヘッドのイン
ク加圧室の拡大断面図であり、(a) は圧電素子に高い駆
動電圧Vhを印加した時の定常状態である状態41、 (b)
は圧電素子の駆動電圧が低いVl(0)の時の状態42であ
る。圧電素子の中央位置44と、圧電素子から少し離れた
流路の中央位置45の2点は振動板の駆動電圧波形に対す
る振動板の垂直方向の変位の測定点である。図11に記録
ヘッドの圧電素子10の駆動電圧波形と振動板の変位線図
を示す。駆動電圧波形をカーブ30で示す。記録ヘッドが
動作していない時には、電圧を一定値Vhとし、時間t0で
動作を開始すると、電圧を一定値Vhから低い一定値Vlと
し、時間t1で元の一定値Vhに戻す。振動板の挙動は駆動
電圧波形と同じ時間に対応する前記の2つの測定点の変
位カーブで示されており、カーブ31は測定点44に、カー
ブ32は測定点45に対応する。状態41における定常位置を
変位0としてある。時間t0以前ではインク加圧室は状態
41で、その容積は小さい。時間t0で駆動電圧をVhからVl
とすることにより、インク加圧室は状態41から容積の大
きい状態42に変わり、容積が増加するのでインク加圧室
にインクが供給される。時間t1で駆動電圧をVlからVhと
することにより、インク加圧室は再び状態41側へ移り、
容積を減ずるので加圧室のインクは押し出され、インク
ノズルからインクを噴出する。
【発明が解決しようとする課題】しかし、振動板がプラ
スチックの場合、カーブ31は時間t0では鋭く立ち上がる
が、時間t1以降の変位挙動は緩慢であり、カーブ32はゆ
るやかな山を描いている。このことは圧電素子を接着し
ている部分の周囲の振動板(位置45)がインクの圧力に
より盛り上がることを示しており、振動板のバイモルフ
作用による変位が打ち消されてインク噴出に有効に寄与
していないことを示している。この原因は振動板の弾性
率が小さ過ぎ、インクの圧力に耐えられないことにあ
る。上記に対する対策として、振動板にガラスや金属等
の高弾性率をもつ材料を用いると、上記の問題は生じな
いが、流路基板との接合法に問題が生ずる。すなわち、
樹脂間の接合であれば溶剤接合が採用できるが、ガラス
等との接合になると接合法として、例えば接着剤を用い
た方法を採用しなければならなくなる。この接着剤によ
る方法では、接着剤の耐インク性が低いこと及び微細な
流路を接着剤が埋めることなく接着することが技術的に
困難であることなどの問題がある。また、特に金属等の
不透明な材料を用いる場合には、流路基板の加圧室部の
位置確認が目視で不可となり、圧電素子の接着の際に不
都合を生じる。この他、振動板の材質としてガラス繊維
等のフィラーを含有した高弾性率プラスチック材料を用
いることも考えられるが、一般にフィラーを含有したプ
ラスチック材料は、シート状への材料成形が困難であ
り、しかも、不透明であることから、金属材料と同様に
圧電素子の接着の際の位置合わせに不都合を生じる。以
上に述べたように、既に提案されている記録ヘッドの製
造方法では高弾性率と接合性とを同時に満足する振動板
の選定が、記録ヘッド機能を確保する上での大きな課題
となっていた。この発明の課題は、前記の問題点のな
い、インクの噴出速度の大きい、非結晶性熱可塑性樹脂
等のプラスチック材料を流路基板とした記録ヘッドを提
供することにある。
【課題を解決するための手段】この発明は前記の課題を
達成するために、プラスチック製の流路基板に接合され
る振動板として、少なくとも流路基板に形成されている
溝部の内の、加圧室部を含み加圧室部からの流体抵抗が
小さい部分に相当する溝部の大部分に対向する領域にお
いて、プラスチック板とプラスチック板よりも高い弾性
率を有する補強板とを接着した複合板を備えている。こ
の補強板の材料としては、金属、ガラス、ガラス繊維入
り樹脂の内の1つを用いると良く、その弾性率が8×10
9 〜2×1011N/m2のものが良い。このようにして、弾
性率の低いプラスチック板に、ガラスあるいは金属ある
いはガラス繊維入り樹脂といった高弾性率材料を接合す
ることにより、振動板の弾性率を高めたので、インク噴
出動作時のインク圧力に抗して、圧電素子周辺の振動板
の盛り上がりを抑制することができ、圧電素子の運動が
効率よくインクの噴出に利用されるのである。補強板用
の高弾性率材料の弾性率が8×109 N/m2未満では、加
圧動作時に圧電素子周辺の振動板に盛り上がりが認めら
れ、2×1011N/m2を越えると、固すぎてバイモルフと
しての動きが小さくなってしまう。したがって、上記の
弾性率の範囲が補強板の弾性率として望ましいのであ
る。また、補強板は圧電素子接着位置を示すマークを有
するものとすると良い。補強板が電気的に絶縁性の材料
よりなる場合には、圧電素子の共通電極となる導電層を
補強板上の圧電素子が接着される領域に形成する。この
場合には、導電層が圧電素子接着位置を示すマークを有
するようにすると良い。不透明な補強板を使用しても、
補強板あるいは導電層に設けた圧電素子接着位置決めマ
ークによって、マークが目視できるようになり、圧電素
子の接着作業が容易となる。補強板が絶縁材料であって
も、その補強板上に導電層を設けることにより、圧電素
子への電圧印加が可能となる。また、補強板が電気絶縁
性の材料よりなる場合には、圧電素子の共通電極となる
導電層を補強板とプラスチック板の間に形成し、圧電素
子は補強板に空けられた孔内に位置決めされ、導電層に
接着されるものとしても良い。この場合には、バイモル
フはプラスチック板と圧電素子とで構成されるが、その
周辺部は高弾性率の複合板で構成されているので、従来
技術に比べれば大幅にインクの噴出特性は改善されるの
である。プラスチック板と補強板との接合に、活性エネ
ルギー線硬化材料を用いると良い。この接着剤は、接着
作業時に他の接着剤のような大幅な軟化をしないので、
接着層の厚さが一定に保たれ、他の接着剤の場合に比べ
てインクの噴出特性の揃った記録ヘッドを得ることがで
きるのである。
【発明の実施の形態】複合振動板の構成としては、補強
板材料の特性によって各種の方法が可能であるので、個
々の実施例に入る前に概略を説明しておく。補強板材料
として金属を用いる場合は、電気伝導性が良好なため、
補強板を圧電素子に電圧をかけるための導電層と兼用す
ることが可能である(図1参照)。この場合、金属は不
透明であり、流路基板の加圧室位置が透視できないた
め、圧電素子の接着の際の位置決めを容易にするため
に、補強板に圧電素子接着位置を示すマークを設けてお
くことが望ましい。マークとしては、例えば加圧室形状
に沿ったスリット等があり、容易に形成可能である。な
お、後述する、圧電素子を補強板に空けられた孔内に位
置決めしてプラスチック上の導電層に接着するものにお
いては、電気的な短絡を避けるために補強板の材料とし
て電気絶縁性材料を選択することが望ましい。補強板材
料としてガラスや高弾性率プラスチック材料等の電気絶
縁性材料を用いる場合は、圧電素子に電圧をかけるため
の導電層を別に設ける必要があり、補強板上にこれを形
成するのが最も簡単である(図2参照)。補強板が高弾
性率プラスチック材料等の不透明な材料であるため流路
基板の加圧室位置が透視できない場合は、圧電素子の接
着の際の位置決めを容易にするために、補強板に圧電素
子接着位置を示すマークを設けておくか(図1及び図3
参照)、圧電素子を補強板に空けられた孔内に位置決め
し、プラスチック上の導電層に接着する方法(図4参
照)が好適である。導電層としては、導電ペースト、I
TO膜、金属蒸着膜などが使用可能である。圧電素子接
着位置を示すマークを導電層形成時に導電層によって形
成することも可能である。
【第1の実施例】この発明の第1の実施例は、補強板と
して導電性材料を用いた場合である。図1に第1の実施
例の記録ヘッドを示し、(a)は平面図、(b)は記録
ヘッドのインク流路に沿っての断面図である。複合振動
板のプラスチック板26として、弾性率が 3.3×109 N/
m2のポリエーテルイミド樹脂の厚さ 300μm のシート
を、補強板24としては、弾性率が 2.0×1011N/m2で厚
さ50μm の銅板を用い、両者をエポキシ系接着剤により
接着した。図1において、従来技術と異なる点のみ説明
すると、補強板24には、圧電素子接着位置を示すマーク
25をスリット状に形成し、同時に流路基板1の外形に合
わせた図示していないマークも形成した。流路基板1は
ポリエーテルイミド樹脂を射出成形して作製し、複合振
動板との接合には、複合振動板のポリエーテルイミド樹
脂シート部26とで溶剤を用いて接着した。圧電素子接着
位置を示すマーク25は、この実施例ではフォトエッチン
グによりスリットとして形成したが、打ち抜きで形成し
てもよく、また、必ずしもスリットとする必要はなく、
インクの印刷、フォトレジストのパターニング、彫刻な
どの方法によってもよい。記録ヘッドの駆動電圧に対す
る振動板8の変位の測定方法は従来技術の項で説明した
通りである。図5に、この時のインク加圧室4及びその
周辺の振動板8の変位の時間変化を示す。カーブ31及び
カーブ32は図10の場合と同様であり、カーブ31は圧電素
子の中央位置44における変位、カーブ32は圧電素子から
少し離れた流路の中央位置45における変位である。補強
板26を用いなかった場合 (図11) に比べてみると、時間
t1以降の点44の変位は急激であり、点45の変位ははるか
に小さくなっており、共に短時間の内に初期位置(状態
41)に戻っている。このことからバイモルフ作用により
インクを押し出す際に、圧電素子10の周辺の振動板はイ
ンクからの反力が働いても盛り上がらず、バイモルフ作
用が効率よくインク噴出に使われていることが判る。こ
の実施例の記録ヘッドでは、インク噴出速度は10.2m/
sec となり、補強板を用いない場合の 7.3m/sec に比
べて大幅に増加した。
【第2の実施例】この発明の第2の実施例は、補強板と
して電気絶縁性材料を用いた場合である。図2に第2の
実施例の記録ヘッドを示し、(a)は平面図、(b)は
記録ヘッドのインク流路に沿っての断面図である。複合
振動板のプラスチック板26として、弾性率が 3.3×109
N/m2のポリエーテルイミド樹脂の厚さ 200μm のシー
トを、補強板24としては、弾性率が 9.0×1010N/m2
厚さ 200μm のガラス板を用い、両者をエポキシ系接着
剤により接着した。図2において、従来技術と異なる点
のみ説明すると、補強板24であるガラス板には導電層9
としてITO膜をスパッタにより成膜した。流路基板1
はポリエーテルイミド樹脂を射出成形して作製し、複合
振動板との接合には、複合振動板のポリエーテルイミド
樹脂シート部26とで溶剤を用いて接着した。この構成に
おいては、プラスチック板、ガラス板及びITO膜は透
明なのでインク加圧室4が透視でき、圧電素子接着位置
を示すマークは不要である。図6は、この実施例におけ
るインク加圧室4及びその周辺の振動板8の変位の時間
変化を示す。補強板26を用いなかった場合 (図11) に比
べてみると、第1の実施例ほどではないが、時間t1以降
の点44の変位は急激で、裾の山も小さく、点45の変位は
小さく、共に短時間の内に初期位置(状態41)に戻って
いる。このことから、この場合も、バイモルフ作用が効
率よくインク噴出に使われていることが判る。この実施
例の記録ヘッドでは、インク噴出速度は 9.1m/sec と
なり、補強板を用いない場合に比べて大幅に増加した。
【第3の実施例】この発明の第3の実施例は、補強板と
して高弾性率プラスチック(ガラス繊維入りポリエーテ
ルイミド樹脂)を用いた場合である。図3に第3の実施
例の記録ヘッドを示し、(a)は平面図、(b)は記録
ヘッドのインク流路に沿っての断面図である。複合振動
板のプラスチック板26として、弾性率が 3.3×109 N/
m2のポリエーテルイミド樹脂の厚さ 300μm のシート
を、補強板24としては、弾性率が 8.5×109 N/m2の厚
さ1mmのガラス繊維入りポリエーテルイミド樹脂板を用
い、両者をエポキシ系接着剤により接着した。図3にお
いて、従来技術と異なる点のみ説明すると、補強板24で
ある高弾性率プラスチック板には導電層9として導電ペ
ーストを塗布し、圧電素子接着位置を示すマーク25は導
電ペーストを塗布しない部分で示すようにした。流路基
板1はポリエーテルイミド樹脂を射出成形して作製し、
複合振動板とは、熱融着により接着した。図7は、この
実施例におけるインク加圧室4及びその周辺の振動板8
の変位の時間変化を示す。補強板26を用いなかった場合
(図11) に比べてみると、第1の実施例ほどではない
が、時間t1以降の点44の変位は急激で、裾の山も小さ
く、点45の変位は小さく、共に短時間の内に初期位置
(状態41)に戻っている。このことから、この場合も、
バイモルフ作用が効率よくインク噴出に使われているこ
とが判る。この実施例の記録ヘッドでは、インク噴出速
度は 9.7m/sec となり、補強板を用いない場合に比べ
て大幅に増加した。
【第4の実施例】この発明の第4の実施例は、補強板と
して電気絶縁性材料を用いた他の実施例である。図4に
第4の実施例の記録ヘッドを示し、(a)は平面図、
(b)は記録ヘッドのインク流路に沿っての断面図であ
る。複合振動板のプラスチック板26として、弾性率が
3.3×109 N/m2のポリサルホン樹脂の厚さ 300μm の
シートを、補強板24としては、弾性率が 8.5×109 N/
m2の厚さ1mmのガラス繊維入りポリサルホン樹脂板を用
い、両者を導電接着剤により接着した。この導電接着剤
は図4では導電層9として示されている。図4におい
て、従来技術と異なる点のみ説明すると、補強板24であ
る高弾性率プラスチック板には、圧電素子接着位置に相
当する部分に圧電素子10より僅かに大きい大きさの孔を
予め空けられており、圧電素子10はこの孔で位置決めさ
れ、導電接着剤を介してプラスチック板26に接着されて
いる。流路基板1はポリサルホン樹脂を射出成形して作
製し、複合振動板のポリサルホン樹脂シートとは、熱融
着により接着した。図8は、この実施例におけるインク
加圧室4及びその周辺の振動板8の変位の時間変化を示
す。補強板26を用いなかった場合 (図11) に比べてみる
と、第1の実施例ほどではないが、時間t1以降の点44の
変位は急激で、裾の山も小さく、点45の変位は小さく、
共に短時間の内に初期位置(状態41)に戻っている。こ
のことから、この場合も、バイモルフ作用が効率よくイ
ンク噴出に使われていることが判る。この実施例の記録
ヘッドでは、インク噴出速度は 8.7m/sec となり、補
強板を用いない場合に比べて大幅に増加した。
【第5の実施例】この発明の第5の実施例は、プラスチ
ック板26と補強板24とを接着して複合振動板を形成する
場合の接着層の材質を活性エネルギー線硬化材料にした
ものである。この実施例では、第1の実施例と同じ構成
において、プラスチック板26と補強板24とを厚さ35μm
の活性エネルギー線硬化材料で接着した。以下に複合振
動板の接着について更に詳しく説明する。補強板24に、
活性エネルギー線硬化材料てあるドライフィルムレジス
ト(東京応化製、オーディールPR135)の厚さ35μ
m のシートを、 105℃に加熱したローラーで加圧して、
積層接着し、次いで、長波長紫外線照射装置により100m
J/cm2 を照射した後、表面のポリエチレンテレフタレ
ート膜を剥離し、次に、プラスチック板26上に載せ、5
kg/cm2で加圧し 150℃で30分間加熱して接着した。長波
長紫外線照射装置によって100mJ/cm2 を照射するの
は、次の加圧加熱接着時にドライフィルムが軟化して、
はみ出したり薄くなったりすることを防止するためであ
る。このようにして作製した複合振動板を用いた記録ヘ
ッドにおけるインク加圧室4及びその周辺の振動板8の
変位の時間変化は、図5に比べて遜色ない結果を得た。
また、この記録ヘッドの平均インク噴出速度は10.0m/
sec で、その偏差は±10%であり、第1の実施例の場合
の噴出速度の偏差が±30%であったのに比べて、バラツ
キが大幅に改善された。なお、この接着方法は第1の実
施例から第3の実施例の全てに適用できるものである。
第1の実施例から第3の実施例では、この接着にエポキ
シ系接着剤を使用しており、第4の実施例では、導電接
着剤を使用している。しかし、これらの接着剤はその硬
化時にはその流動性が高くなるため、厚さの均一な接着
が難しく、そのため完成した記録ヘッドのインク噴出特
性にバラツキを生じ易い。それに対して、活性エネルギ
ー線硬化材料により接着すれば、その硬化時にそれほど
流動性が高くならないので、初期の厚さを保持できて、
接着層の厚さの揃った接着ができるので、インク噴射特
性が非常に良く揃った記録ヘッドを得ることができるの
である。以上、第1の実施例から第5の実施例までの全
てをエッジシューター型の記録ヘッドを図示して説明し
てきたが、サイドシューター型の記録ヘッドにも同様に
有効であることは言うまでもない。
【発明の効果】この発明によれば、弾性率の小さいプラ
スチック板と弾性率の大きい補強板とを接着一体化して
複合振動板とし、振動板の弾性率を高めたため、インク
噴出動作時に圧電素子周辺の振動板の盛り上がりを抑制
することができ、圧電素子と振動板との複合作用である
バイモルフ作用が効率よくインク噴射に使用され、イン
クの噴出速度を上げることができる。一方、不透明な補
強板の使用にも関わらず、圧電素子の位置決めマークを
補強板あるいは導電層に設けることにより、マークを目
視して位置決めできるようになり、圧電素子の接着作業
が容易となる。また、プラスチック板と補強板との接着
に活性エネルギー線硬化材料を使用することによって、
インク噴出特性のバラツキを小さくすることができる。
このように、この発明によれば、インク噴出速度が大き
く、そのバラツキが小さく、圧電素子の接着作業が容易
な、プラスチック材料を基材とする記録ヘッドを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例である、補強板材料と
して導電性材料を用いた場合の記録ヘッドを示す図
【図2】この発明の第2の実施例である、補強板材料と
して電気絶縁性材料を用いた場合の記録ヘッドを示す図
【図3】この発明の第3の実施例である、補強板材料と
して高弾性率プラスチックを用た場合の記録ヘッドを示
す図
【図4】この発明の第4の実施例である、圧電素子が補
強板に空けられた孔内で導電層に接着されるインクジェ
ット記録ヘッドを示す図
【図5】この発明の第1の実施例における振動板の変位
線図
【図6】この発明の第2の実施例における振動板の変位
線図
【図7】この発明の第3の実施例における振動板の変位
線図
【図8】この発明の第4の実施例における振動板の変位
線図
【図9】従来の記録ヘッドを示す図
【図10】従来の記録ヘッドの加圧室及びその周辺の拡
大断面図
【図11】記録ヘッドの圧電素子の駆動電圧波形と振動
板の変位線図
【符号の説明】
1 流路基板 2 インクノズル 3 ノズル流路 4 インク加圧室 5 インク供給路 6 インク溜め 7 絞り流路 8 振動板 9 導電層 10 圧電素子 12 インク供給口 24 補強板 25 補強板上の圧電素子接着位置を示すマーク 26 プラスチック板 30 駆動電圧波形 31 圧電素子近傍(位置44)の振動板の変位カーブ 32 圧電素子近傍(位置45)の振動板の変位カーブ 41 駆動電圧がVhのときの振動板の状態 42 駆動電圧がVlのときの振動板の状態 43 インク 44 圧電素子上の変位測定点 45 圧電素子近傍流路上の変位測定点
フロントページの続き (72)発明者 角田 典昭 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 浅井 隆一 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 菅田 好信 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非結晶性熱可塑性樹脂からなり、その表面
    に、インク供給部から吐出口部までのインク流路の全部
    あるいは加圧室部を含む一部が、溝部として形成されて
    いる流路基板に、振動板を接合して溝部を被覆してイン
    ク流路を形成し、振動板の加圧室部相当部分の流路の外
    側面に圧電素子を接着し、圧電素子に電圧を印加するこ
    とによる圧電素子と振動板の複合運動作用によりインク
    を供給、噴射させるインクジェット記録ヘッドにおい
    て、 振動板は、少なくとも前記流路基板に形成されている溝
    部の内の、加圧室部を含み加圧室部からの流体抵抗が小
    さい部分に相当する溝部の大部分に対向する領域におい
    て、プラスチック板とプラスチック板よりも高い弾性率
    を有する補強板とを接着した複合板であることを特徴と
    するインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のインクジェット記録ヘッ
    ドにおいて、 振動板を構成する補強板の材料は、金属、ガラス、ガラ
    ス繊維入り樹脂の内の1つからなることを特徴とするイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2に記載のインクジェ
    ット記録ヘッドにおいて、 補強板の弾性率が8×109 〜2×1011N/m2であること
    を特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】請求項1から請求項3に記載のインクジェ
    ット記録ヘッドにおいて、 補強板が圧電素子接着位置を示すマークを有すること特
    徴とするインクジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】請求項1から請求項4に記載のインクジェ
    ット記録ヘッドにおいて、 補強板が電気絶縁性の材料よりなり、補強板上の圧電素
    子が接着される面に導電層が形成されていることを特徴
    とするインクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】請求項5に記載のインクジェット記録ヘッ
    ドにおいて、 導電層が圧電素子接着位置を示すマークを有することを
    特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】非結晶性熱可塑性樹脂からなり、その表面
    に、インク供給部から吐出口部までのインク流路の全部
    あるいは加圧室部を含む一部が、溝部として形成されて
    いる流路基板に、振動板を接合して溝部を被覆してイン
    ク流路を形成し、振動板の加圧室部相当部分の流路の外
    側面に圧電素子を接着し、圧電素子に電圧を印加するこ
    とによる圧電素子と振動板の複合運動作用によりインク
    を供給、噴射させるインクジェット記録ヘッドにおい
    て、 補強板が電気絶縁性の材料よりなり、補強板とプラスチ
    ック板の間に導電層が形成され、圧電素子は当該補強板
    に空けられた、圧電素子の大きさより僅かに大きい大き
    さの孔内で導電層に接着されていることを特徴とするイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】請求項1から請求項6に記載のインクジェ
    ット記録ヘッドにおいて、 前記プラスチック板と前記補強板とが、活性エネルギー
    線硬化材料で接着されていることを特徴とするインクジ
    ェット記録ヘッド。
JP26267295A 1994-10-13 1995-10-11 インクジェット記録ヘッド Pending JPH08164608A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6720710B1 (en) * 1996-01-05 2004-04-13 Berkeley Microinstruments, Inc. Micropump
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WO2015159573A1 (ja) * 2014-04-17 2015-10-22 オリンパス株式会社 スキャナユニット、光ファイバスキャナ、照明装置および観察装置

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