JPH08164413A - 高張力鋼線の製造方法 - Google Patents

高張力鋼線の製造方法

Info

Publication number
JPH08164413A
JPH08164413A JP31028294A JP31028294A JPH08164413A JP H08164413 A JPH08164413 A JP H08164413A JP 31028294 A JP31028294 A JP 31028294A JP 31028294 A JP31028294 A JP 31028294A JP H08164413 A JPH08164413 A JP H08164413A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
reduction rate
rolling
hole die
wire drawing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31028294A
Other languages
English (en)
Inventor
Norimasa Ono
訓正 小野
Takashi Tsukamoto
孝 塚本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP31028294A priority Critical patent/JPH08164413A/ja
Publication of JPH08164413A publication Critical patent/JPH08164413A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Metal Extraction Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】高い減面率で加工しても良好な延性を有して断
線を生ずることがなく、しかも、より線工程で問題とな
るデラミネーションの発生に対しても抵抗性のある強度
−延性バランスに優れた高張力鋼線を、廉価にかつ能率
良く製造できる高張力鋼線の製造方法の提供。 【構成】(1)穴ダイスにより減面率70%以上の伸線
加工を行った後に冷間圧延加工により延伸し、総減面率
で85%以上となす高張力鋼線の製造方法。穴ダイスに
よる減面率70%以上の伸線加工の後に冷間圧延により
減面率30%以上の延伸加工を行い、その後更に穴ダイ
スにより伸線加工し、総減面率で85%以上となしても
良い。 (2)冷間圧延により減面率35%以上の延伸加工を行
った後に穴ダイスにより伸線加工し、総減面率で80〜
94%となす高張力鋼線の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高張力鋼線の製造方法
に関し、特に高加工度にもかかわらず、通常の伸線加工
鋼線や冷間圧延鋼線に比較して、強度−延性バランスに
優れた高張力鋼線の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、周辺技術が高度化するにつれ経済
性の面から鋼線に対して高強度化が要求され出してい
る。一般に、鋼線はその強度が増加するに伴い「延性」
は低下する傾向にある。これまでは「延性」の評価方法
として、一般的な「絞り」が用いられてきており、「絞
り」が30%を下回ると伸線工程中に断線が生じ易くな
るため、これを所謂「伸線限界」とすることが多かっ
た。
【0003】しかしながら、高張力鋼線は最終製品に至
るまでに、それを素線とした「より線行程」を経る場合
が多く、より線工程が入る高張力鋼線では所謂「デラミ
ネーション」と呼ばれる長手方向に沿った割れが問題と
なるため、「延性」評価に捻回特性が付け加えられる場
合が多くなって来た。すなわち、「延性」を伸線加工に
おける伸線限界の指標となる「絞り」と、より線加工に
おける加工限界の指標となる「捻回値」および「デラミ
ネーション発生の有無」で評価することが増えて来た。
【0004】ところで、高強度鋼線は穴ダイスを用いた
伸線加工によって製造するのが一般的である。しかし穴
ダイスで伸線加工した場合には、総減面率80〜90%
程度で「延性」が急激に小さくなり断線したりデラミネ
ーションが発生することが多い。そのため穴ダイスを用
いた伸線加工では断線やデラミネーションの発生を避け
るために総減面率約80〜90%程度以内で仕上げる必
要があり、これを満足させてかつ高強度化を達成するた
めに、従来は素線の初期強度を高める方法が採られてき
た。すなわち、素材(素線)に種々の合金元素を添加し
た鋼を用い、初期強度を高くした上で断線やデラミネー
ションの発生しない減面率で穴ダイス伸線することによ
り高強度鋼線が製造されてきた。
【0005】しかしながら、初期強度をむやみに大きく
した場合には、絞り特性の低下を招いて、捻回特性以
外の性能を低下させてしまう恐れがあることや、合金
元素の添加により、素材のコストアップが避けられない
ことに加えて伸線加工の前処理である脱スケール性が悪
くなるため鋼線の品質が劣化し更には製造効率が極めて
低くなる、などの問題があった。
【0006】一方、上記した穴ダイス伸線だけを用いる
ことによる鋼線高強度化の問題点を解決するために、本
発明者らは特開昭61−186118号公報に穴ダイス
伸線とローラダイス伸線を組み合わせた伸線強化鋼線の
製造方法を提案した。しかしながらこの方法によって
も、パーライトのラメラ間隔を調整しなければならない
という問題があり、更に、ローラダイス加工に特有の問
題点もあった。
【0007】すなわち、ローラダイスによる加工は伸線
加工と同様に引抜き加工であるため下記のような問題が
あった。
【0008】破断との関係から圧延法と比べて1回の
減面率を大きくすることができず低減面率加工となるた
め材料(鋼線)の表層部に多くの応力が加わり、応力が
材料の内部にまで浸透しにくく、このためデラミネーシ
ョン特性が圧延の場合に比較して劣ること。
【0009】ローラダイス加工で大きな総減面率を確
保するためには、ローラダイス間にキャプスタンまたは
ピンチローラなどの引抜きのための装置を設置する必要
があり、圧延機と比べて大がかりな装置となってしまう
こと。
【0010】材料には引抜き力としての張力が働き、
しかも一方ではローラによる圧縮力が加わるので、高強
度鋼線のような材料では加工の自由面にスリップバンド
である斜め疵が発生し易くなり、装置の調整も極めて難
しくなること。
【0011】更に、前記公報に記載の方法では鋼線の中
心部に生ずる欠陥であるシェブロンクラックやこれに依
る破断形態としてのセントラルバーストに対してはこれ
らを防ぐ(減少させる)効果が認められても、デラミネ
ーションの防止に対しては必ずしも効果のあるものでは
なかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高い
減面率で加工しても高い延性を有するため断線を生ずる
ことがなく、しかも、より線工程で問題となるデラミネ
ーションの発生に対しても抵抗性を有する強度−延性バ
ランスに優れた高張力鋼線を、廉価にかつ能率良く製造
できる方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するため検討を重ね、伸線加工と冷間圧延加工
(以下、単に圧延加工または圧延と表記したものは冷間
での圧延加工または圧延を意味する)を組み合わせるこ
とで、絞りと捻回特性に優れた高張力鋼線の製造が可能
であることを知見した。
【0014】すなわち表1に示す化学組成のSWRS8
2B鋼(JIS G 3502(1980))を穴ダイス伸線または圧延
加工して両者の機械的特性を比較したところ、表2、3
に示すように、穴ダイスを用いた伸線加工の場合には引
張強さは大きいが、加工(伸線)総減面率(以下、伸線
加工や圧延加工あるいはそれらを組み合わせた加工の総
減面率を単に総減面率という)が85%を超えると絞り
や捻回値に低下が見られ、更に総減面率90%以上では
デラミネーションが発生するようになることがわかった
(表2参照)。一方、圧延で加工を加えた場合には総減
面率70%以上になると穴ダイスでの伸線加工材に比較
して、引張強さが若干低くなる傾向があるものの、絞り
および捻回値は良好で、しかも総減面率95%の場合に
おいても、総減面率90%以上の伸線加工材に認められ
たデラミネーションが生じない(表3参照)。
【0015】従って、鋼線の高強度化のためには穴ダイ
ス伸線を用い、絞りや捻回特性などの所謂「延性」を確
保するためには圧延加工を用いれば良い、との結論に達
し次に伸線加工と圧延加工を組み合わせて検討した。
【0016】その結果、後に詳述する表4〜6および表
8に一例を示すように、下記の新しい知見を得た。
【0017】(a)穴ダイス伸線の後で圧延加工を行え
ば、同じ総減面率で穴ダイス伸線加工しただけの場合に
比べて引張強さは若干低いものの絞りと捻回値は充分に
大きく、更にデラミネーションの発生もなく、総減面率
の大きいところで圧延しても加工限界に達しないため、
鋼線に対して高い強度と良好な延性を具備させることが
できること(表4)。
【0018】(b)上記(a)の穴ダイス伸線加工後の
圧延に続いて更に伸線加工しても、延性を具備しつつ強
度を高めることができること。(表6) (c)しかも、総減面率が大きく穴ダイス伸線加工した
だけではでデラミネーションが発生するものに対して
も、穴ダイス伸線の後で圧延加工を行えば、絞りと捻回
値が回復しデラミネーションの発生もなくなること(表
5)。
【0019】(d)また初めに圧延加工を行いその後に
穴ダイスを用いた伸線加工を行っても、穴ダイス伸線だ
けで加工したものに比べて絞りと捻回値が大きくなり、
耐デラミネーション性の点でも効果があるので、より高
い総減面率の領域での伸線加工が可能となって優れた強
度−延性バランスが得られること(表8)。
【0020】上記知見に基づく本発明は下記(1)〜
(3)に示す伸線強化型高張力鋼線の製造方法を要旨と
する。
【0021】(1)穴ダイスにより減面率70%以上の
伸線加工を行った後に圧延加工により延伸し、総減面率
で85%以上となすことを特徴とする高張力鋼線の製造
方法。
【0022】(2)穴ダイスにより減面率70%以上の
伸線加工を行った後に圧延により減面率30%以上の延
伸加工を行い、その後更に穴ダイスにより伸線加工し、
総減面率で85%以上となすことを特徴とする高張力鋼
線の製造方法。
【0023】(3)圧延により減面率35%以上の延伸
加工を行った後に穴ダイスにより伸線加工し、総減面率
で80〜94%となすことを特徴とする高張力鋼線の製
造方法。
【0024】
【作用】表4〜8は、後述する実施例の結果を示すもの
である。これらのデータを用いて本発明の製造方法をそ
の作用効果とともに更に詳しく説明する。
【0025】表4は減面率78.1%の伸線加工を行っ
た後、約25〜35%の減面率で圧延加工した材料の機
械的性質を示したものである。表2の全加工工程を穴ダ
イス伸線した材料では引張強さは高いが、総減面率8
8.7%(番号11)で絞りや捻回値が低下する傾向に
あり、更に総減面率が大きくなって90.9%に達する
と(番号12)捻回値は25.0となりデラミネーショ
ンが発生する。これに対して、表4の穴ダイス伸線後に
圧延加工した材料の場合には総減面率が大きくなると、
穴ダイス伸線での加工限界と考えられる総減面率88.
7%の穴ダイス伸線ままの場合に比べて、引張強さが高
くしかも絞りと捻回値も大きいし、デラミネーションも
発生しないといった高張力鋼線にとって好ましい性質を
有している(番号24〜26)。
【0026】一方、表4を全加工工程を圧延した表3の
同じ総減面率のものと比較すれば、延性は同じレベルで
も穴ダイス伸線と圧延加工を組み合わせた表4の場合の
方が引張強さが大きい。すなわち、穴ダイス伸線と圧延
加工を組み合わせた加工プロセスを用いると、穴ダイス
伸線だけの場合に比べて強度を損なうことなく、あるい
は強度を高めたうえで延性を向上させることが可能であ
る。更に、圧延加工だけの場合に比べても、延性を損な
うことなく強度を向上させることができる。
【0027】表5は表2の総減面率92.7%の全加工
工程を穴ダイス伸線した後で、更に34.7%の減面率
で圧延加工した材料の機械的性質を示したものである。
穴ダイス伸線のままでは捻回値が19.0でデラミネー
ションが発生するものに対しても、穴ダイス伸線の後で
圧延加工すれば、総減面率が95.2%という大きな値
であっても(番号27)デラミネーションの発生がなく
なるし、捻回値や絞りが回復する。更には、引張強さも
高くなる。すなわち、穴ダイス伸線後に圧延加工すれば
良好な延性と高い引張強さを与えることができ、更に、
同じ総減面率の圧延加工だけのもの(番号22)に比べ
ても延性は若干劣るものの引張強さを大きくできる。
【0028】表6は表4の穴ダイス伸線と圧延とを組み
合わせた総減面率89.2%(伸線による総減面率は7
8.1%で、圧延による総減面率は50.8%)の状態
から更に、総減面率94.1%まで穴ダイス伸線した場
合の機械的性質を示したものである。前記したように伸
線加工のみの材料(表2)では総減面率が90%以上に
なると捻回値が低下し、またデラミネーションが発生す
る。これに対し、加工プロセス中に圧延加工を加えた場
合には、圧延加工の後で更に穴ダイス伸線して総減面率
を94.1%という大きな値にしても(番号30)、強
度は高くなるにも拘らず捻回値と絞りは総減面率の小さ
な場合から若干低下する程度であり、しかもデラミネー
ションの発生がない。すなわち、穴ダイス伸線−圧延加
工−穴ダイス伸線のプロセスを用いても伸線加工のみの
工程と比較して強度−延性バランスを向上させることが
でき、また、圧延のみの工程と比較しても延性を維持し
つつ高強度化できる。
【0029】表7は表4の穴ダイス伸線と圧延とを組み
合わせた総減面率93.0%(伸線による総減面率は7
8.1%で、圧延による総減面率は68.0%)の状態
から更に穴ダイス伸線して総減面率で95.2%まで加
工した場合の機械的性質を示したものである。すなわち
表7は減面率78.1%の伸線加工を行った後、減面率
約25〜35%で総減面率93.0%まで圧延加工し、
更に穴ダイス伸線で総減面率95.2%まで伸線加工し
た材料の機械的性質を示したものである。表7の場合は
上記の表6の場合よりも加工工程中の圧延加工の割合を
増加させており、こうすることによって絞りと捻回値を
維持したままで強度の向上を図ることができる。すなわ
ち、伸線加工に続いて圧延加工を行えば延性は向上する
が、この場合、全加工割合中の圧延加工割合を増加させ
れば延性を維持したままでなお一層強度を向上させるこ
とができる。
【0030】表8は減面率57.7%の圧延加工を行っ
た後、総減面率95.2%まで伸線加工した材料の機械
的性質を示したものである。圧延加工後に伸線加工を行
っても、例えば番号38〜42のように、総減面率の大
きい領域での絞りや捻回値は全工程を伸線加工した表2
の番号11〜15の場合よりも大きく、延性の向上が認
められる。特に、表8の番号39と40では表2の番号
12と13で見られたデラミネーションの発生がない。
更に表8の場合は、番号36〜40のように総減面率が
94%以下のとき、全工程を圧延加工した表3と比べて
優れた強度−延性バランスが得られている。
【0031】次に、本発明の製造方法における減面率の
限定理由を説明する。
【0032】先ず、圧延加工に先行する穴ダイス伸線の
減面率を70%以上としたのは、これを下回る場合に
は、その後に圧延または圧延と穴ダイス伸線を行っても
良好な強度−延性バランスが得られないためである。こ
の穴ダイス伸線の減面率、すなわち穴ダイス伸線におけ
る総減面率の上限は95%程度が適当である。
【0033】次に、穴ダイスによる伸線加工の後圧延加
工して総減面率で85%以上となるようにしたのは、こ
れを下回る場合には延性は従来の穴ダイス伸線だけの場
合と比べて向上するものの強度が低く、従来の穴ダイス
伸線だけで得られる鋼線に比べて特に強度面からの優位
性がないためである。この場合の総減面率の上限は9
9.5%程度が適当である。なお、穴ダイス伸線とこれ
に続く圧延加工だけで強度−延性バランスの良好な高張
力鋼線を得るには、圧延の減面率(圧延における総減面
率)を18〜97%程度とすることが好ましく、更に、
穴ダイス伸線で高い減面率の加工を加えたために延性が
極めて低下した鋼線に対して圧延加工で延性を回復させ
るために、上記圧延の減面率を30〜97%程度とする
ことがより好ましい。
【0034】また、穴ダイス伸線−圧延加工−穴ダイス
伸線のプロセスの場合に、初めの穴ダイスによる伸線加
工の後の圧延加工の減面率を30%以上としたのは、こ
れを下回る場合には穴ダイス伸線で高い減面率の加工を
加えたために延性が極めて低下した鋼線に更に圧延加工
を行っても延性の回復がみられず、最終的にはデラミネ
ーションや断線が発生するのに対して、圧延減面率(圧
延における総減面率)が30%以上の場合にはデラミネ
ーションの発生がなくなるし、捻回値や絞りも回復する
からであり、更に、穴ダイス伸線だけのものや圧延加工
だけのものに比べて引張強さも向上させることができる
からである。なお、上記圧延加工の減面率の上限は97
%程度が適当である。
【0035】更に、穴ダイスによる伸線加工と圧延加工
の後で更なる穴ダイスによる加工を行って総減面率で8
5%以上とするのは、鋼線に高い強度と良好な延性とを
共に具備させるためで、これを下回る場合には強度が低
くなることによる。この場合の総減面率の上限は99.
5%程度が好ましい。
【0036】一方、穴ダイス伸線に先行して圧延加工を
最初に行う場合、その圧延加工の減面率を35%以上と
したのは、これを下回る場合には圧延加工の後の穴ダイ
ス伸線の作用のみが顕著となり、穴ダイス伸線だけで加
工した場合と同様に総減面率約80〜90%で延性が急
激に小さくなって断線したりデラミネーションが発生す
るからである。なお、上記の圧延加工の減面率の上限は
80%程度が適当である。
【0037】次に、圧延加工の後穴ダイスにより伸線加
工して総減面率で80〜94%となるようにしたのは、
総減面率が80%を下回る場合には強度が低く、従来の
穴ダイス伸線だけで得られる鋼線に比べて特に強度面か
らの優位性を確保できないためである。一方、総減面率
が94%を上回る場合には延性が小さくなって断線した
りデラミネーションが発生するからである。
【0038】なお、上記の本発明方法は、表1に示すよ
うな特定の鋼種に対してのみならず、JISG3502
(ピアノ線材)やJISG3506(硬鋼線材)のよう
な鋼線一般に対しても適用できるものであることもわか
った。
【0039】
【実施例】
「実施例1」表1に示す化学組成のSWRS82B鋼
(JIS G 3502(1980))を供試材としてφ10.96mmの
線材を熱間圧延し、鉛パテンティングした後、種々の条
件でφ9.89〜1.60mmに加工して引張試験と捻回
試験を行った。伸線加工の場合は、前処理として酸洗と
潤滑を行った。圧延加工では圧延油にエマルジョンを用
いた。その加工条件と試験結果を表2〜8に示す。
【0040】表2は総減面率95.2%までの全工程を
穴ダイスで伸線加工した従来法による場合の、表3は総
減面率95.2%までの全工程を圧延加工した比較法に
よる場合の、また表4は減面率78.1%まで伸線加工
を行いその後総減面率95.2%まで圧延にて加工を行
った場合の機械的性質を示したものである。表4におい
て番号24〜26が本発明法に該当する。
【0041】全工程を穴ダイス伸線した表2の従来法の
場合では総減面率が約85%を超えると絞りと捻回値が
急激に低下し、更にはデラミネーションが発生するのに
対して、表4の中で圧延加工を加えた本発明方法に該当
する番号24〜26では絞り、捻回値の何れについても
極めて良好で、デラミネーションも生じず、強度−延性
バランスに優れている。一方圧延加工だけの表3の比較
法による場合に比べて本発明法によるものでは高い強度
が得られる。
【0042】表5において番号27は減面率92.7%
まで穴ダイス伸線し、その後更に、34.7%の減面率
で圧延加工した本発明法による場合の機械的性質を示し
たものである。従来法による穴ダイス伸線のままでは捻
回値が19.0でデラミネーションが発生するものに対
しても、穴ダイス伸線の後で圧延加工すれば、総減面率
が95.2%という大きな値であってもデラミネーショ
ンの発生がなくなり、絞りや捻回値も回復する。すなわ
ち、本発明の条件で穴ダイス伸線後に圧延加工すれば良
好な延性と高い引張強さを得ることができ、更に、同じ
総減面率の圧延加工だけのもの(表3の番号22)に比
べても、延性は若干劣るものの引張強さが大きくなる。
【0043】表6、7はそれぞれ減面率78.1%まで
伸線加工を行い(番号8)、その後減面率25〜35%
で総減面率89.2%まで圧延加工を加え(番号2
4)、更に総減面率94.1%まで伸線加工を施すか、
減面率78.1%まで伸線加工を行い(番号8)、その
後、減面率25〜35%で総減面率93.0%まで圧延
加工を加え(番号25)、更に総減面率95.2%まで
伸線加工を施した場合の機械的性質を示したものであ
る。これらの表において番号24と25は本発明の第1
の発明方法に該当するもので、既に述べたように強度−
延性バランスが良好である。一方、番号28〜32は本
発明の第2の発明方法に該当するものであり、これらの
場合も上記表4における番号24〜26と傾向はほぼ同
様で全工程を伸線加工した表2の従来法の場合と比較し
て絞りと捻回特性は極めて良好であり、また全工程を圧
延加工した表3の比較法の場合と比較して、強度が優れ
ている。
【0044】表8は初めに減面率57.7%まで圧延加
工し(番号17)、その後総減面率95.2%まで伸線
加工を行った場合の機械的性質を示したものである。表
8において加工総減面率82.4〜92.7%の場合
(番号36〜40)が本発明の第3の発明方法に該当す
る。。全工程を伸線加工した表2の従来法の場合と比較
して、本発明法によれば強度−延性バランスの良好な鋼
線が得られている。また全工程を圧延加工した表3の比
較法の場合と比較しても、本発明法によれば高い強度が
得られている。
【0045】「実施例2」表9に示す化学組成のSWR
S82A鋼(JIS G 3506(1980))を供試材としてφ1
0.96mmの線材を熱間圧延し、鉛パテンティングした
後、種々の条件で伸線−圧延または伸線−圧延−伸線の
プロセスでφ4.60〜2.00mmに加工して引張試験
と捻回試験を行った。伸線加工の場合は、前処理として
酸洗と潤滑を行った。圧延加工では圧延油にエマルジョ
ンを用いた。その加工条件と試験結果を表10に示す。
なお表10には従来法としての穴ダイス伸線加工しただ
けのもの(仕上げサイズφ2.75mm)並びに比較法と
しての圧延加工しただけのもの(仕上げサイズφ2.3
0mmとφ1.60mm)の結果も併せて示した。
【0046】表10の結果から、本発明法によるもの
(番号51〜55)は従来法によるもの(番号43)や
比較法によるもの(番号44〜50)に比べて強度−延
性バランスが極めて良好なことが明らかである。
【0047】「実施例3」前記の表9に示した化学組成
のSWRS82A鋼(JIS G 3506(1980))を供試材とし
てφ10.96mmの線材を熱間圧延し、鉛パテンティン
グした後、種々の条件で圧延−伸線してφ5.72〜
2.20mmに加工し、引張試験と捻回試験を行った。伸
線加工の場合は、前処理として酸洗と潤滑を行った。圧
延加工では圧延油にエマルジョンを用いた。その加工条
件と試験結果を表11に示す。
【0048】表11の結果から、本発明法によるもの
(番号59、60)では強度−延性バランスが良好なこ
とが明らかである。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】
【表11】
【0060】
【発明の効果】本発明方法によれば高い減面率で加工し
ても良好な延性を有するため断線を生ずることがなく、
しかも、より線工程で問題となるデラミネーションの発
生に対しても抵抗性を有する強度−延性バランスに優れ
た高張力鋼線を、廉価にかつ能率良く製造できるので、
高張力鋼線の製造方法として産業上の効果は極めて大き
い。
【0061】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】穴ダイスにより減面率70%以上の伸線加
    工を行った後に冷間圧延加工により延伸し、総減面率で
    85%以上となすことを特徴とする高張力鋼線の製造方
    法。
  2. 【請求項2】穴ダイスにより減面率70%以上の伸線加
    工を行った後に冷間圧延により減面率30%以上の延伸
    加工を行い、その後更に穴ダイスにより伸線加工し、総
    減面率で85%以上となすことを特徴とする高張力鋼線
    の製造方法。
  3. 【請求項3】冷間圧延により減面率35%以上の延伸加
    工を行った後に穴ダイスにより伸線加工し、総減面率で
    80〜94%となすことを特徴とする高張力鋼線の製造
    方法。
JP31028294A 1994-12-14 1994-12-14 高張力鋼線の製造方法 Pending JPH08164413A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31028294A JPH08164413A (ja) 1994-12-14 1994-12-14 高張力鋼線の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31028294A JPH08164413A (ja) 1994-12-14 1994-12-14 高張力鋼線の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08164413A true JPH08164413A (ja) 1996-06-25

Family

ID=18003361

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31028294A Pending JPH08164413A (ja) 1994-12-14 1994-12-14 高張力鋼線の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08164413A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018105944A1 (ko) * 2016-12-08 2018-06-14 주식회사 포스코 내식성이 우수한 고강도 강선 및 이의 제조방법

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018105944A1 (ko) * 2016-12-08 2018-06-14 주식회사 포스코 내식성이 우수한 고강도 강선 및 이의 제조방법
KR20180065669A (ko) * 2016-12-08 2018-06-18 주식회사 포스코 내식성이 우수한 고강도 강선 및 이의 제조방법
CN110036130A (zh) * 2016-12-08 2019-07-19 株式会社Posco 具有优异耐腐蚀性的高强度钢丝及其制造方法
EP3553197A4 (en) * 2016-12-08 2019-10-16 Posco HIGH STRENGTH STEEL WIRE HAVING EXCELLENT CORROSION RESISTANCE AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2735647B2 (ja) 高強度高延性鋼線材および高強度高延性極細鋼線の製造方法
JP2500786B2 (ja) 熱間圧延鋼線材、極細鋼線および撚鋼線、並びに極細鋼線の製造法
JP3997867B2 (ja) 鋼線材とその製造法及び当該鋼線材を用いる鋼線の製造法
EP0537618B1 (en) Method and apparatus for wire drawing
WO2000044954A1 (fr) Fil pour fil d'acier a resistance a la fatigue elevee, fil d'acier et procede de production correspondant
JP2609387B2 (ja) 高強度高靭性極細鋼線用線材、高強度高靭性極細鋼線、および該極細鋼線を用いた撚り製品、並びに該極細鋼線の製造方法
JP2007029965A (ja) 高炭素鋼線、その製造方法とそれを用いた高強度pc鋼撚り線
JPH08164413A (ja) 高張力鋼線の製造方法
JP3445674B2 (ja) 耐捻回割れ性に優れた高強度鋼線
JP2920474B2 (ja) ゴム補強用超高強度スチールワイヤおよびスチールコード
JP2000219938A (ja) 高張力鋼線用線材およびその製造方法
JP3725576B2 (ja) 高強度亜鉛めっき鋼線の製造方法
JP3277878B2 (ja) 伸線強化型高強度鋼線材およびその製造方法
JP6558255B2 (ja) 高強度極細鋼線およびその製造方法
JP3267833B2 (ja) 疲労特性の優れた高強度極細鋼線およびその製造方法
JP6237419B2 (ja) 極細ブラスめっき鋼線の製造方法
JPH062039A (ja) 中炭素極細鋼線の製造方法
JPH0853743A (ja) 高強度高靭性溶融めっき鋼線の製造方法
JP6688615B2 (ja) 高強度極細鋼線およびその製造方法
JP2002038234A (ja) アルミニウム合金箔地及びその製造方法
JP3299857B2 (ja) 疲労特性の優れた高強度極細鋼線およびその製造方法
JPH0824938A (ja) 捻回特性の優れた高強度極細鋼線の製造方法
JPH08232046A (ja) 耐捻回割れ性に優れた高強度鋼線
JP3182984B2 (ja) 高強度極細鋼線の製法
JPH0765096B2 (ja) 延性の優れた超高張力鋼線の製造方法