JPH08161731A - 二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルム - Google Patents

二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルム

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JPH08161731A
JPH08161731A JP32959294A JP32959294A JPH08161731A JP H08161731 A JPH08161731 A JP H08161731A JP 32959294 A JP32959294 A JP 32959294A JP 32959294 A JP32959294 A JP 32959294A JP H08161731 A JPH08161731 A JP H08161731A
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film
layer
thickness
particles
weight
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Application number
JP32959294A
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Inventor
Katsuya Okamoto
克哉 岡本
Toru Miyake
徹 三宅
Iwao Okazaki
巌 岡崎
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 繰り返し単位にエチレンテレフタレートを8
5モル%以上含有するポリエステルからなるフイルムで
あって、フイルム全厚みが3〜8μmであり、幅方向の
弾性率Bが600kg/mm2 以上で、長手方向の弾性
率Aとの差B−Aが100kg/mm2 以上であり、フ
イルムの少なくとも片面の表面粗さ(Ra)が0.1n
m未満であり、塗布層厚みの総和が2μm以下であるデ
ジタルビデオ用の塗布型磁気記録媒体の支持体として用
いられることを特徴とする二軸配向ポリエチレンテレフ
タレートフイルム。 【効果】 製造工程、VTR中での耐切断性が高く、安
価で、しかも電磁変化特性の良好な、デジタルビデオ用
磁気テープのベースフイルムとして最適なフイルムを得
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二軸配向ポリエチレン
テレフタレートフイルムに関し、とくに、デジタルビデ
オ用の塗布型磁気記録媒体の支持体(ベースフイルム)
として用いられる二軸配向ポリエチレンテレフタレート
フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、VTR用磁気記録媒体(磁気テー
プ)の分野では、アナログ記録から、ダビング時等の記
録の劣化が少ないデジタル記録の実用化が進んでいる。
デジタルビデオ用の磁気記録媒体では、より高密度記録
化が要求されるとともに、記録速度向上のための磁性層
の改良および磁気記録媒体の走行速度(搬送速度)の向
上が求められている。また、一般に、VTRの小型化に
伴い、磁気記録媒体あるいはそのベースフイルムの一層
の薄手化が要求されている。
【0003】また、VTR内での高速搬送化に伴う磁気
ヘッドや磁気テープの磨耗を抑えるために、ヘッドとテ
ープの接触面積の増大化がはかられつつある。しかしこ
の接触面積の増大は、一方で接触の不均一性を増大させ
ることになり、それによって出力の劣化や出力変動の増
大を招いている。接触の均一性を確保するためには、磁
気テープの主として幅方向のスティフネスの増大が要求
され、そのためにベースフイルムの幅方向の弾性率(ヤ
ング率)の向上が求められている。
【0004】このような要求、つまり、走行速度向上、
薄手化、幅方向の弾性率向上を満たす、デジタルビデオ
用の塗布型磁気記録媒体のベースフイルムとして、従来
は、高弾性率特性をもっているポリエチレンナフタレー
ト(以下、PENということもある)フイルムが最適と
されてきた(たとえば特開平6−150290号公
報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、PENをベ
ースフイルムとする磁気記録媒体においては、ベースフ
イルムに磁性層等を塗布、乾燥する工程、裁断工程、さ
らにはVTR内での走行中に切断しやすいという問題が
ある。これは、PENは薄手で高弾性率のフイルムに成
形可能であるものの、引裂伝幡抵抗がそれ程高くないた
め、一旦起点が生じると、走行中に切断しやすくなるた
めであると考えられる。また、PENは、一般に高価で
あり、それをベースフイルムとする磁気記録媒体のコス
トも高くなるという問題もある。
【0006】そこで本発明者らは、PENに代わるベー
スフイルムを鋭意検討した結果、近年の生産、製膜技術
の進歩に伴ない、ポリエチレンテレフタレート(以下、
PETということもある)を主体とするフイルムでも、
十分な薄手化とともに所定方向の弾性率向上が可能で、
かつ、表面の超平滑化により高速走行が可能なフイルム
を作製できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明の目的は、磁性層等の塗
布、乾燥工程でのフイルム切断を防止でき、VTR内走
行中のテープ切断も防止でき、かつ、製造コストダウン
が可能で、しかも、電磁変換特性も良好な、デジタルビ
デオ用塗布型磁気記録媒体の支持体として好適な、二軸
配向ポリエチレンテレフタレートフイルムを提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムは、繰り
返し単位にエチレンテレフタレートを85モル%以上含
有するポリエステルからなるフイルムであって、フイル
ム全厚みが3〜8μmであり、幅方向の弾性率Bが60
0kg/mm2 以上であり、長手方向の弾性率Aとの差
B−Aが100kg/mm2 以上であり、フイルムの少
なくとも片面の表面粗さ(Ra)が0.1nm未満であ
り、塗布層厚みの総和が2μm以下であるデジタルビデ
オ用の塗布型磁気記録媒体の支持体として用いられるこ
とを特徴とするものからなる。
【0009】上記において、塗布層とは、磁性層のみに
限らず、その下層、バックコート層を含むものを言い、
それらの厚みの総和が2μm以下である。
【0010】本発明フイルムは、繰り返し単位にエチレ
ンテレフタレートを85モル%以上含有するポリエステ
ルからなる。このようなPETフイルムとすることによ
り、薄手のフイルムを効率よく製膜でき、かつ、後述の
如く製膜条件の適切な設定により、目標とする長手方
向、幅方向の弾性率を得ることが可能となる。但し、上
記エチレンテレフタレート含有量の条件を満たす限り、
本発明の目的を阻害しない範囲内で、2種以上のポリエ
ステルを混合してもよいし、共重合ポリマを用いてもよ
い。
【0011】本発明フイルムの全厚みは、3〜8μmで
ある。この範囲の厚みとすることにより、上記2μm以
下の塗布層厚みを加えても、磁気記録媒体として十分に
薄手化の要求に応えることができ、しかも、PETが本
来有する高い機械的強度を発揮して、十分に高い耐切断
性を発揮することができる。3μm未満では、ベースフ
イルムとしての強度が不足するおそれがあり、8μmを
越えると、磁気記録媒体全体として薄手化(小型化)の
要求を十分に満足できなくなる。
【0012】本発明フイルムは特定範囲の弾性率(ヤン
グ率)を有する。すなわち、幅方向の弾性率Bが600
kg/mm2 以上であり、かつ、長手方向の弾性率Aと
の差B−Aが100kg/mm2 以上、好ましくは20
0kg/mm2 以上である。幅方向の弾性率Bを600
kg/mm2 以上とすることにより、ベースフイルム、
ひいては磁気テープが、幅方向に十分に高いスティフネ
スをもつようになるので、ヘッドとテープとの接触の均
一性を確保でき、出力の劣化や出力変動の増大を防止で
きる。つまり、ヘッドタッチが良好で極めて優れた電磁
変換特性を達成できる。また、狭幅のテープやフイルム
であっても、十分に高い耐切断強度をもつことができ
る。
【0013】また、本発明フイルムは、長手方向の弾性
率Aと幅方向の弾性率Bとの差B−Aが100kg/m
2 以上であればよい。長手方向の弾性率Aの範囲は特
に限定されるものではないが、700kg/mm2 を越
えると、幅方向弾性率との間で、目標とするバランス、
つまりB−Aが100kg/mm2 以上の条件を達成し
にくくなる。一方、長手方向の弾性率Aの値を極端に小
さくすると、磁気記録媒体のベースフイルムとして長手
方向に必要かつ十分な引張強度を付与できなくなるの
で、長手方向弾性率Aは300kg/mm2 以上である
ことが好ましい。
【0014】そして、本発明においては、幅方向の弾性
率Bを、600kg/mm2 以上となるように高い値に
設定しているので、長手方向の弾性率Aとの差B−Aを
100kg/mm2 以上に設定する際、長手方向の弾性
率Aとしても比較的高い値に設定可能となる。したがっ
て、幅方向と同時に長手方向に対しても十分に高い強度
を付与することが可能である。
【0015】また、本発明フイルムにおいては、少なく
とも片面の表面粗さ(Ra)が0.1nm未満とされ
る。このように0.1nm未満と超平滑な表面に形成さ
れることにより、高いレベルの電磁変換特性が達成で
き、しかも良好なハンドリング性も確保できる。つま
り、Raが0.1nm未満では、表面突起が殆どなく鏡
面に近くなるので、突起が摩耗等により削り取られにく
くなる。一方このような超平滑面にすると、フイルムと
ガイドローラ等の接触物との間の摩擦係数が大きくなり
すぎるおそれがある。しかし、この超平滑面を磁性層側
にすれば、反対側の面をガイドローラ等との接触面とで
き、該反対側の面の表面粗さ(Ra)の値を上記超平滑
面よりは大きく設定しておくことにより、優れた高速走
行性も確保できる。したがって、Raが0.1nm未満
の超平滑面は、磁性層側の面とすることが好ましいが、
本発明ではこれに限定されない。
【0016】上記のような超平滑面、つまりRaが0.
1nm未満の面は、たとえばA層/B層二層構造のフイ
ルムとする場合、B層を無粒子又はそれに近い層とし、
成形、製膜工程においてB層表面が鏡面に近くなるよう
な条件をとることにより形成可能となる。一方A層表面
は、良好な高速走行性を得るために、摩耗防止をはかり
つつ低摩擦係数化することが好ましいが、それを達成す
るには、A層側の表面粗さ(Ra)を0.1〜20n
m、好ましくは0.1〜15nm、より好ましくは0.
1〜10nmの範囲とすることが望ましい。
【0017】このようなA層の表面粗さ(Ra)は、フ
イルム中に、とくに表面層中に、非常に高度に分散され
た(平均凝集度が2未満の)、好ましくは平均粒径が5
〜500nm、より好ましくは10〜300nmの不活
性超微粒子を、好ましくは0.005〜2重量%、より
好ましくは0.03〜1.5重量%、さらに好ましくは
0.1〜1.0重量%含有させることにより達成可能で
ある。
【0018】また、上記のようなA層表面の突起を形成
するには、A層のみに所定の微粒子を含有させ、少ない
含有量でもって効率よく表面突起を形成することが好ま
しい。そのためには、A層厚みは0.03〜2μmで、
かつ、積層フイルムの全厚の30%以下に抑えておくこ
とが望ましい。
【0019】上記含有される不活性超微粒子の種類とし
ては、特に限定されず、炭酸カルシウム、α型、γ型、
δ型、θ型アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタン粒子
等の無機粒子、あるいは、架橋ポリスチレン、ジビニル
ベンゼン、シリコーン粒子等の有機粒子から選ぶことが
できる。なお、この不活性超微粒子の他に、酸化防止
剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの有機添加剤が
通常添加される程度添加されていてもよい。
【0020】本発明フイルムは、単層のフイルムとして
も構成できるが、全厚みを所定範囲内に納め、各方向の
弾性率を特定範囲内に納め、かつ、少なくとも片面の表
面粗さ(Ra)を前記のような超平滑面とし、他面の表
面粗さを上記のような範囲内に効率よく納めるために
は、2層あるいは3層、さらにはそれ以上の積層構成と
することが好ましい。積層構成とすることにより、たと
えば表面粗さ(Ra)を、各表面毎に効率よく前述のよ
うな範囲内にコントロールできるようになる。積層の方
法は特に限定されず、2台以上の押出機を用いてポリマ
ー管やポリマーをシート上に吐出する口金で積層する共
押出による方法が好ましいが、製膜中や製膜後にコーテ
ィングする方法も適用可能である。
【0021】積層構成としても特に限定されず、たとえ
ば、A層とB層を有する少なくとも2層構造からなり、
A層厚みが0.03〜2μmである二軸配向ポリエチレ
ンテレフタレートフイルムに構成できる。また、両外層
に同一組成のポリマ層を有する少なくとも3層構造から
なり、最外層を構成する層の少なくとも1層の厚みが
0.03〜2μmである二軸配向ポリエチレンテレフタ
レートフイルムとしてもよい。さらに、A層/B層/C
層の少なくとも3層構造からなり、A層厚みが0.03
〜2μm、C層厚みが0.01〜0.5μmである二軸
配向ポリエチレンテレフタレートフイルムとしてもよ
い。
【0022】次に本発明フイルムの製造方法について説
明するが、これに限定されるものではない。まず、PE
Tを主要構成成分とする所定のポリエステルに粒子を含
有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエ
チレングリコールにスラリーの形で分散せしめ、このエ
チレングリコールを所定のジカルボン酸成分と重合せし
める方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、
粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦
乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が非常によ
く、所望の微細表面突起を均一に形成することができ
る。また粒子の水スラリーを直接所定のポリエステルペ
レットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給し
ポリエステルに練り込む方法も本発明の効果をより一層
良好とするのに非常に有効である。粒子の含有量を調節
する方法としては、上記方法で高濃度の粒子マスターを
作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しない
ポリエステルで希釈して粒子の含有量を調節する方法が
有効である。また、超平滑面を形成する層用のポリエス
テルは、粒子を含有しないものとするが、含有しても極
めて平均粒径の小さい、均一に分散された微粒子とす
る。
【0023】上記の方法にて得られたポリエステルのペ
レットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶
融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押
出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延
伸フイルムを作る。積層フイルムとする場合には、2台
以上の押出機、2層以上のマニホールドまたは合流ブロ
ック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用い
て積層し、口金から2層以上のシートを押し出し、キャ
スティングロールで冷却して積層未延伸フイルムを作
る。この場合、ポリマ流路にスタティックミキサー、ギ
ヤポンプを設置する方法は有効である。また、最表層積
層部側のポリマーを押出す押出機の溶融温度を基層部側
より5〜10℃低くすることが有効である。
【0024】次にこの未延伸フイルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最
初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸
法を用い、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、縦延
伸温度80〜150℃、総縦延伸倍率3.0〜5.5
倍、縦延伸速度5,000〜50,000%/分の範囲
で行うのが好ましい。幅方向の延伸方法としてはテンタ
ーを用いる方法が好ましく、延伸温度80〜160℃、
幅方向延伸倍率は縦倍率より大きく3.5〜6.5倍、
幅方向の延伸速度500〜20,000%/分の範囲が
好ましい。
【0025】長手方向(MD)と幅方向(TD)のヤン
グ率を本発明において有効な値の範囲に設定する手段と
しては、例えば長手方向に延伸温度80〜150℃、好
ましくは80〜120℃、縦延伸倍率3.5〜5.5
倍、好ましくは3.6〜5.0倍で延伸を行い、次いで
延伸温度80〜160℃、好ましくは80〜120℃、
延伸倍率3.5〜6.0倍、好ましくは4.0〜5.5
倍で幅方向に延伸を行い、100〜200℃で熱処理を
行う。さらに延伸温度100〜230℃、好ましくは1
50〜220℃、延伸倍率1.01〜1.5倍で幅方向
に延伸する。次にこの延伸フイルムを熱処理する。この
場合の熱処理温度は170〜220℃、特に170〜2
10℃で時間は0.5〜60秒の範囲が好適である。
【0026】[物性の測定方法ならびに効果の評価方
法]本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法
は次の通りである。 (1)粒子の平均粒径 フイルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1
0万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約1
00nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。
粒子の平均径は重量平均径から求める。また凝集粒子の
一次粒径は、凝集粒子の分割できない粒子最小単位につ
いての数平均径、凝集二次粒径は凝集体についての数平
均径である(それぞれ等価円相当径)。
【0027】(2)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によっては赤外分光法の併用も有効である。
【0028】(3)フイルム積層厚み 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ5000nmの範囲のフイルム中の粒子のうち最
も高濃度の粒子に起因する元素とポリマの炭素元素の濃
度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表層から深さ50
00nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面とい
う界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつれ
て粒子濃度は高くなる。本発明フイルムの場合は、一旦
極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度
分布曲線をもとに表層粒子濃度が最大値の1/2となる
深さ(この深さは極大となる深さよりも深い)を求め、
これを積層厚さとした。条件は次の通り。 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA社製 A−DIDA3000 測定条件 1次イオン種 : O2 + 1次イオン加速電圧 : 1.2kV 1次イオン電流 : 200nA ラスター領域 : 400μm 分析領域 : ゲート30% 測定真空度 : 6.0×10-9Torr E−GUN : 0.5kV−3.0A なお、表層から深さ5000nmの範囲に最も多く含有
する粒子が有機高分子の場合は、SIMSでは測定が難
しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光
電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデ
プスプロファイルを測定し積層厚さを求めても良いし、
また電子顕微鏡等による断面観察で粒子濃度の変化状態
やポリマの違いによるコントラストの差から界面を認識
し積層厚さを求めることもできる。さらには積層ポリマ
剥離後、薄膜段差測定機を用いて求めることもできる。
【0029】(4)ヤング率 JIS−Z−1702に規定された方法にしたがって、
インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25
℃、65%RHにて測定した。
【0030】(5)表面粗さRa(中心線平均表面粗
さ) 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て測定した。条件は下記のとおりであり、20回の測定
の平均値をもって値とした。 ・触針先端半径 : 0.5μm ・触針荷重 : 5mg ・測定長 : 1mm ・カットオフ値 : 0.08mmもしくは0.008
mm なお、Raの定義は例えば、奈良治郎著「表面粗さの測
定・評価法」(総合技術センター、1983)に示され
ているものである。
【0031】(6)工程でのフイルム切断発生率 小型のテストスリッター(切断方式:シェアーカッタ
ー)で200mm幅のフイルム原反を1/4インチ幅に
裁断する際に、切断トラブルの発生回数を記録し、裁断
長さ10万mについての発生回数をフイルム切断発生率
と定義し、この値が0.1未満のものを優(○)、0.
1以上1未満のものを良(△)、1以上のものを不良
(×)とした。優および良が実用可能範囲である。
【0032】(7)出力特性(C/N)(電磁変換特
性) 本発明のフイルムの表面に、下記組成の磁性塗料および
非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗
布(上層は磁性塗料で塗布厚0.1μm、非磁性下層の
厚みは適宜変化させた)し、磁気配向させ、乾燥させ
る。次いで反対面に下記組成のバックコート層を公知の
手段で形成させた後、小型テストカレンダー装置(スチ
ール/スチールロール、5段)で、温度:85℃、線
圧:200kg/cmでカレンダー処理した後、60
℃、48時間キュアリングする。上記テープ原反を8m
m幅にスリットし、パンケーキを作成した。次いで、こ
のパンケーキから長さ200m分を、カセットに組み込
みカセットテープとした。このテープに、市販のHi8
用VTR(SONY社製 EV−BS3000)を用い
て、7MHz+1MHzのC/Nの測定を行った。
【0033】 (磁性塗料の組成) ・強磁性金属粉末 : 100重量部 ・スルホン酸Na変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部 ・スルホン酸Na変成ポリウレタン : 10重量部 ・ポリイソシアネート : 5重量部 ・ステアリン酸 : 1.5重量部 ・オレイン酸 : 1重量部 ・カーボンブラック : 1重量部 ・アルミナ : 10重量部 ・メチルエチルケトン : 75重量部 ・シクロヘキサノン : 75重量部 ・トルエン : 75重量部
【0034】 (非磁性下層塗料の組成) ・酸化チタン : 100重量部 ・カーボンブラック : 10重量部 ・スルホン酸Na変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部 ・スルホン酸Na変成ポリウレタン : 10重量部 ・メチルエチルケトン : 30重量部 ・メチルイソブチルケトン : 30重量部 ・トルエン : 30重量部
【0035】 (バックコートの組成) ・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部 ・カーボンブラック(平均粒径280nm): 5重量部 ・αアルミナ : 0.1重量部 ・酸化亜鉛 : 0.3重量部 ・スルホン酸Na変成ポリウレタン : 20重量部 ・スルホン酸Na変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部 ・シクロヘキサノン : 200重量部 ・メチルエチルケトン : 300重量部 ・トルエン : 100重量部
【0036】(8)デッキ内部での切断発生率 上記のように作成されたHi8カセットテープをVTR
にかけ、ローディング→早送り→巻き戻し→イジェクト
のプロセスをカセット1巻につき最大100回繰り返す
(テープが切断トラブルを起こしたらそこで中止)。こ
のテストを一つのフイルムの水準につき100巻以上行
い、切断トラブルを起こしたカセットの巻数のテストし
た全カセットの巻数に対する百分率を切断発生率と定義
した。
【0037】
【実施例】以下、実施例に基づいて説明する。まず、以
下の方法により、所定の粒子を含有するPET原料を作
成した。 原料1〜5 所定の平均粒径を有する、コロイダルシリカに起因する
シリカ粒子、または炭酸カルシウム粒子を所定量含有す
る(もしくは含有しない)エチレングリコールスラリー
を調製し、テレフタル酸ジメチルと交換反応させ、重縮
合を行った(重合触媒:酢酸マグネシウム0.10重量
%、三酸化アンチモン0.03重量%、リン酸トリメチ
ル0.026重量%)。粒子処方をそれぞれ変更するこ
とにより以下のように作成した。 原料1:無粒子(固有粘度:0.65) 原料2:平均粒径0.2μmのシリカ粒子を0.25%
含有するもの 原料3:平均粒径0.04μmのシリカ粒子を0.9%
含有するもの 原料4:平均粒径0.45μmの炭酸カルシウム粒子を
1.0%含有するもの
【0038】原料5 原料1の無粒子PETのペレットに、粒子中の組成がジ
ビニルベンゼン81%である平均粒径0.1μmのジビ
ニルベンゼン粒子を1%含有する水スラリーを添加し、
水分をベントで系外に押し出しながら該粒子を練り込
み、粒子含有ペレットを作成した。
【0039】原料6 重合触媒を二酸化ゲルマニウム0.015重量%および
リン酸トリメチル0.013重量%として、原料1と同
様にして無粒子PETを作成した(固有粘度:0.6
5)。
【0040】原料7 常法により得られたポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレート(PEN)のペレットに、粒子中の
組成がジビニルベンゼン81%である平均粒径0.1μ
mにジビニルベンゼン粒子を0.7%含有する水スラリ
ーを添加し、水分をベントで系外に押し出しながら該粒
子を練り込み、粒子含有ペレットを作成した。
【0041】実施例1 原料1/原料5を1:1の重量比で混合したペレット
(A層)および、原料1/原料3を2:1の重量比で混
合したペレット(B層)を180℃で6時間減圧乾燥
(3Torr)した後、2台の公知の押出機にそれぞれ
供給し280℃で溶融した。これら2種類のポリマを合
流ブロック(フィードブロック)を用いて合流積層し、
静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の表面平坦
なキャスティングドラムに巻き付けて冷却、固化し、積
層未延伸フイルムを作成した。フイルムおよび積層部分
の厚みは、押出機もしくはポリマ流路内に設けられたギ
アポンプの回転数を制御することによって調整した。
【0042】この積層未延伸フイルムを延伸温度90℃
にて長手方向に3.7倍延伸した。延伸は2組ずつのロ
ールの周速差で、4段階で行った。得られた一軸延伸フ
イルムをステンタAを用いて、延伸速度2000%/分
で95℃で幅方向に4.2倍延伸し、引き続きステンタ
Bを用いて、延伸速度800%/分で210℃で幅方向
に、1.25倍再延伸し、さらに210℃で5秒間熱固
定処理を行い、総厚さ6.1μm、A層厚み0.2μm
の二軸配向フイルムを得た。
【0043】実施例2(A層/B層) 原料5/原料6を1:1の重量比で混合したペレット
(A層)および、原料1/原料2を5:1の重量比で混
合したペレット(B層)を2台の押出機にそれぞれ供給
し、280℃で溶融した。これらの2種類のポリマを合
流ブロック(フィードブロック)を用いて合流積層し、
実施例1と同様に冷却固化して、積層未延伸フイルムを
作成した。各層の厚みは、押出機もしくはポリマ流路内
に設けられたギアポンプの回転数を制御することによっ
て調整した。この積層未延伸フイルムに実施例1と同様
に延伸プロセスを施すことにより、総厚6μm、A層厚
み0.3μmの二軸配向積層フイルムを得た。
【0044】実施例3(A層/B層) 原料1/原料5を1:2の重量比で混合したペレット
(A層)および、原料1のみ(B層)を2台の押出機に
それぞれ供給し、280℃で溶融した。これら2種類の
ポリマを合流ブロック(フィードブロック)を用いて合
流積層し、実施例1と同様に冷却固化して、積層未延伸
フイルムを作成した。各層の厚みは、押出機もしくはポ
リマ流路内に設けられたギアポンプの回転数を制御する
ことによって調整した。この未延伸フイルムに実施例1
と同様に延伸プロセスを施すことにより、総厚5.8μ
m、A層厚み0.3μmの二軸配向積層フイルムを得
た。なお、本実施例では、磁性層をA層側に設けた。
【0045】比較例1 原料7を180℃で6時間減圧乾燥(3Torr)した
後、公知の押出機に供給し、295℃で溶融し、静電印
加キャスト法を用いて表面温度25℃の表面平坦なキャ
スティングドラムに巻き付けて冷却、固化し、未延伸フ
イルムを作成した。フイルムの厚みは、押出機もしくは
ポリマ流路内に設けられたギアポンプの回転数を制御す
ることによって調整した。
【0046】この未延伸フイルムを延伸温度135℃に
て長手方向に4.5倍延伸した。延伸は2組ずつのロー
ル周速差で、4段階で行った。得られた一軸延伸フイル
ムをステンタAを用いて、延伸速度2500%/分で1
30℃で幅方向に6.0倍延伸し、さらに引き続き、延
伸温度175℃で長手方向に、1.4倍再延伸し、さら
に220℃で5秒間熱固定処理を行い、厚さ5μmの二
軸配向フイルムを得た。
【0047】比較例2 原料1/原料4を1:1の重量比で混合したペレットを
用いて、単層未延伸フイルムを作成した。この未延伸フ
イルムを延伸温度95℃にて長手方向に4.0倍延伸し
た。延伸は2組ずつのロールの周速差で、4段階で行っ
た。得られた一軸延伸フイルムをステンタを用いて、延
伸速度2000%/分で95℃で幅方向に4.5倍延伸
し、さらに215℃で5秒間熱固定処理を行い、厚さ6
μmの二軸配向フイルムを得た。
【0048】上記実施例1〜3、比較例1、2における
フイルム製造条件およびフイルムの各特性の測定、評価
結果を以下の表1〜表3に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のデジタル
ビデオ用のベースフイルムと用いられる二軸配向ポリエ
チレンテレフタレートフイルムによるときは、磁性層等
の塗布、乾燥工程、裁断工程等の磁気テープ製造工程に
おけるフイルム切断を防止し、高速でも安定した製造を
行うことができる。また、VTR内においても、高速走
行に対しテープ切断を防止することができる。
【0053】また、PETを主体とするフイルムである
から、従来のPENフイルムに比べ大幅な製造コストダ
ウンをはかることができる。
【0054】さらに、ヘッドタッチが良好で電磁変換特
性が良く、デジタルビデオ用磁気テープのベースフイル
ムとして最適なフイルムを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 31:34

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し単位にエチレンテレフタレート
    を85モル%以上含有するポリエステルからなるフイル
    ムであって、フイルム全厚みが3〜8μmであり、幅方
    向の弾性率Bが600kg/mm2 以上であり、長手方
    向の弾性率Aとの差B−Aが100kg/mm2 以上で
    あり、フイルムの少なくとも片面の表面粗さ(Ra)が
    0.1nm未満であり、塗布層厚みの総和が2μm以下
    であるデジタルビデオ用の塗布型磁気記録媒体の支持体
    として用いられることを特徴とする二軸配向ポリエチレ
    ンテレフタレートフイルム。
  2. 【請求項2】 A層とB層を有する少なくとも2層構造
    からなり、A層厚みが0.03〜2μmである、請求項
    1記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイル
    ム。
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