JPH0816026B2 - 超電導材料の製造方法 - Google Patents

超電導材料の製造方法

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JPH0816026B2
JPH0816026B2 JP63073962A JP7396288A JPH0816026B2 JP H0816026 B2 JPH0816026 B2 JP H0816026B2 JP 63073962 A JP63073962 A JP 63073962A JP 7396288 A JP7396288 A JP 7396288A JP H0816026 B2 JPH0816026 B2 JP H0816026B2
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sintering
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憲一郎 柴田
伸行 佐々木
修示 矢津
哲司 上代
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、超電導材料の製造方法に関する。より詳細
には、高い超電導臨界温度を有する新規な超電導材料の
製造方法に関する。
従来の技術 超電導現象は、物体が特定の条件下で完全な反磁性を
示し、その内部で有限な定常電流が流れているにも関わ
らず電位差が現れなくなる現象である。このような状態
にある物質を超電導体と呼び、電力損失の全くない伝送
媒体としての各種の応用が提案されている。
例えば、超電導技術を電力送電に応用すれば、現在送
電に伴って生じている約7%の送電損失を大幅に減少で
きる。また、電力貯蔵方法としても、超電導電力貯蔵は
今日知られている電力貯蔵方法として最も効率の高いも
のであると言われている。
また、高磁場発生用電磁石への応用は、最も早くから
実現され、また利用分野も極めて広い。発電技術の分野
ではMHD発電、電動機等と共に、開発に発電量以上の電
力を消費するともいわれる核融合反応の実現を有利に促
進する技術として期待されている。また輸送機器の分野
では磁気浮上列車、電磁気推進船舶等の動力として、更
に、計測・医療の分野でもNMR、π中間子治療、高エネ
ルギー物理実験装置などへの利用が期待されている。
また、複数の超電導体を弱く接合すると、量子効果の
巨視的な具現であるジョセフソン効果が観測される。こ
の効果を利用したトンネル接合型ジョセフソン素子は、
超電導体のエネルギーギャップが小さいことから、極め
て高速且つ低電力消費のスイッチング素子として期待さ
れている。更に、電磁波や磁場に対するジョセフソン効
果が鋭敏な量子現象として現れることから、この素子を
磁場、マイクロ波、放射線等の超高感度センサとして利
用することも提案されている。
このようにあらゆる分野において電力効率を向上する
という社会的ニーズに答える技術として、超電導技術は
核融合の実用化と並ぶ重要な技術であると言われてい
る。
ところで、従来の技術においては超電導現象は超低温
下においてのみ観測されていた。即ち、従来開発された
超電導材料としては、A−15型の結晶構造を有する一群
の物質が比較的高いTC(超電導臨界温度)を示すことが
確認されているが、TCが最も高いといわれるNb3Geにお
いてもTCは依然として23.2Kに止まっている。
そこで、従来は、超電導現象を実施するために、沸点
が4.2Kの液体ヘリウムを用いて超電導材料をTc以下まで
冷却している。尚、23.2KのTcに対しては、沸点が20Kの
液体水素の使用等も考えられるが、臨界温度Tcとは、一
般に超電導現象の開始温度であり、物質の相転移が終了
して電気抵抗が零となる温度TCFは臨界温度Tcよりも更
に低い。従って、液体水素を冷却媒体として材料を20K
まで冷却しても超電導体は得られない。
ところが、液体ヘリウムを用いた場合、液化設備も含
めた冷却設備による技術的負担並びにコスト的負担は極
めて大きく、超電導技術による省エネルギ効果を虚しく
してしまう。また、ヘリウムは元来存在量の少ない物質
であり、1990年代後半には枯渇するとの試算もある。特
に、わが国では液体ヘリウムの生産は行われておらず、
現状では全量を輸入に頼っている。従って、ヘリウムの
使用からの脱却は、超電導技術の実用化における極めて
重要な課題のひとつである。
また、超電導現象は、超電導材料の置かれた空間の磁
場の影響を受けることが知られており、第1種超電導体
はかなり低い下部臨界磁場HC1において容易に超電導効
果を失う。また、第2種超電導体にあっても特定のHC2
において超電導現象が消失する。従って、前述した高磁
場発生用電磁石への応用等を考えると、臨界磁場の高い
超電導材料が求められる。現状では経験則に過ぎない
が、高い臨界磁場を得るためには、その材料が高い臨界
温度を有することが好ましいことが知られており、この
点からも超電導材料のTcの向上が望まれている。
発明が解決しようとする課題 一方、長期間に亘る様々な努力にもかかわらず超電導
材料のTcはNb3Geの23Kを越えることができなかったが、
近年に到って、II a族元素あるいはIII a族元素の酸化
物を含む焼結体が高いTCをもつ超電導体となり得ること
が報告され、非低温超電導体実現の可能性が俄かに高ま
っている。
既に報告されている例では、〔La,Ba〕2CuO4または
〔La,Sr〕2CuO4等のK2NiF4型酸化物が挙げられ、これら
はペロブスカイト型超電導酸化物と類似した結晶構造を
有するものと考えられている。これらの物質では、30乃
至50Kという従来に比べて飛躍的に高いTCが観測され、
更に、70K以上のTCが観測された例もあるが、前述のよ
うに、液体窒素等の廉価で入手の容易な冷却媒体を用い
るためには依然として不充分であると言わざるを得な
い。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解
決し、冷却媒体として液体窒素が利用可能な高い臨界温
度TCを有し、安定した特性の新規な超電導材料の製造方
法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、高いTC並びにTCFを有すると
共に、その特性が長期間に亘って安定した新規な超電導
材料の製造方法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、任意の形状、配置に容易に適
用できる新規な超電導材料の製造方法を提供することに
ある。
さらに本発明の目的は、高能率且つ安定した品質の超
電導材料を製造する方法を提供することにある。
尚、本明細書において、超電導材料の超電導開始温度
あるいは臨界温度をTc、材料の電気抵抗を完全に零とな
る相転移終了温度をTCF、TCとTCFとの差をΔTと表す。
課題を解決するための手段 上記した従来技術の問題点を解決し、高いTCおよびT
CFを有する超電導材料とその製造方法を提供するため本
発明者等は種々の実験、検討の結果、ペロブスカイト型
または擬似ペロブスカイト型酸化物焼結体からなる超電
導材料は、予備焼成と焼結時の酸素濃度と圧力を制御す
ることによって高く且つ安定した超電導臨界温度を示す
ことを見出し、この知見に基づき本発明を完成したもの
である。
即ち、本発明に従い、BaとY、Yb、Gd、Ho、Erおよび
Laから選択された1種の元素とCuとの組合せ、または、
SrとLaとCuとの組合せの何れかの元素の組合せで、各元
素の酸化物または炭酸塩の粉末混合物を予備焼成した後
粉砕し、更に成形して焼結し、ペロブスカイト型または
疑似ペロブスカイト型の酸化物超電導材料を製造する方
法において、前記予備焼成および/または前記焼結工程
を、酸素分圧が100〜500気圧になるように5〜25%の酸
素を含有する酸素とアルゴンとの混合ガス雰囲気下で、
700〜1000℃の温度範囲で行うことを特徴とする酸化物
超電導材料の製造方法が提供される。
本発明者の研究によると、得られる焼結体超電導Baま
たはSrを元素M1、Y、Yb、Gd、Ho、ErまたはLaを元素M
2、Cuを元素M3としたときに下記の一般式で示され、 (M11-xM2x)M3yO2 (ただし、zは0〜5の実数である) x、yがそれぞれ0.1〜0.9、0.4〜1.0となるように、
M1、M2、Cuの酸化物または炭酸塩の粉末を混合すること
が好ましい。この混合粉末に、さらに、V、Nb、Ta、M
o、W、Ti、Cr、Mn、Ga、In、Cd、Sn、Tl、PbまたはZn
の1種または2種以上の酸化物、炭酸塩、硫酸塩または
硝酸塩の粉末、好ましくは酸化物あるいは炭酸塩の粉末
を添加することもできる。これらの金属元素の添加は、
V、Nb、Ta、Mo、W、Ti、Cr、Mn、Ga、In、Cd、Sn、T
l、Pb又はZnの元素とCuとの原子比が0.01〜0.15の範囲
となるように行うのが好ましい。
これらの添加元素のうち、V、Nb、Ta、Mo、W、Ti、
Cr、Mnが超電導臨界温度を上昇するのに好ましく、V、
Nb、Ta、がさらに好ましい。また、これらの添加元素の
金属または合金は単独添加でも複合添加でもよい。
更に、好ましくは、前記予備焼成および/または前記
焼結工程を酸素濃度25%以下の酸素含有雰囲気、例え
ば、酸素−アルゴン混合ガス雰囲気下で行う。本発明の
1つの態様によれば、前記予備焼成および/または前記
焼結工程を酸素濃度5%〜25%の酸素−アルゴン混合ガ
ス雰囲気下で100〜500気圧でHIP処理して行う。本発明
の別つの態様によれば、前記予備焼成および/または前
記焼結工程を酸素濃度5%〜95%の酸素−アルゴン混合
ガス雰囲気下で10〜100気圧の高圧ガス炉で行う。更に
異なる態様によれば、前記予備焼成および/または前記
焼結工程を酸素濃度5%〜99%の酸素−アルゴン混合ガ
ス雰囲気下で0.2〜10気圧の低圧ガス炉で行う。
更に本発明者の研究によると、粉砕して焼成体を60〜
80%の相対密度で成形し、焼結することが好ましい。
さらに本発明者等の実験結果によると、予備焼成後の
焼成体を平均粒径5μm以下に粉砕後、成形するのが好
ましい。
さらに本発明の好ましい態様に従うと、予備焼成を70
0〜950℃の範囲の温度で、焼結を800〜1000℃の範囲で
実施する。焼結後、さらに400〜800℃の範囲の温度に加
熱することによって熱処理してペロブスカイト型または
擬似ペロブスカイト型酸化物を安定化してもよい。
さらに本発明の1態様に従うと、焼結後直ちに、また
は焼結体を500〜800℃の範囲に再加熱し、急冷処理を含
む熱処理を実施してもよい。
さらに本発明の好ましい態様に従うと、予備焼成、粉
砕および成形を含む一連の工程を3回以上繰り返してM1
−M2−M3−Oの固相反応を完全に進行せしめ、且つ微細
な粒度の焼成粉末を得る。特に、焼結前の予備焼成後の
焼成体を平均粒径2〜3μmに粉砕することが好まし
く、Al2O3のボールを用いるボールミルによって、また
は空気、アルゴンガスまたは窒素ガスを媒体とし、Al2O
3のターゲットにジェット流を衝突させるジェットミル
によって行うのが望ましい。
さらに本発明者等は原料粉末の粒径が成品焼結体の超
電導特性に関係することを見出し、この知見に基づき、
M1、M2およびM3の各酸化物または炭酸塩の粉末の平均粒
径を20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好まし
くは5μm以下とする。
作用 上述のような本発明による酸化物超電導ざいりょの製
造方法においては、02.〜500気圧のO分圧下で予備焼成
および/または焼結を実施している。
500気圧までの高圧酸素を用いることにより、超電導
性セラミックスからの脱酸素過剰による超電導相の生成
率の低下を防止し、粒内まで均一な超電導相を形成し易
い。尚、500気圧以上の酸素分圧は、顕著な効果は認め
られず、設備の耐久性、経済性の点でも問題が多い。一
方、酸素濃度5%以下では脱酸素防止効果が小さい。特
に高い酸素分圧雰囲気で焼結を行うことにより、超電導
セラミックスの緻密化が進行し易いため、焼結温度を低
酸素分圧雰囲気の場合に比較して低めに設定できるた
め、微細な結晶粒径の焼結体が得られる。それにより、
超電導相の多い結晶粒界層の割合が多くなり、高いTC
得られる。
また、酸素への混合ガスとして不活性ガスであるアル
ゴンを用いているので、高温高圧下においてもHIP装置
等の高圧チャンバーの耐久性が向上する。比較例として
N2を用いた場合は長期間の使用により高圧チャンバー内
面の窒化により脆化し、高圧装置として適さない。一
方、Heは高価であり、工業的には実用的でない。
更に、酸素濃度を25%以下におさえてあるので、高
温、高圧下における予備焼成、焼結工程において、HIP
装置等の高圧チャンバー等の酸化による劣化を防止で
き、設備の耐久性が格段に向上する。
さらに本発明の好ましい態様に従うと、前記予備焼成
および/または前記焼結工程を、酸素濃度5%〜25%の
酸素含有雰囲気、例えば酸素−アルゴン混合ガス雰囲気
下で100〜500気圧でHIP処理して行い、または、酸素濃
度5%〜95%の酸素含有雰囲気、例えば酸素−アルゴン
混合ガス雰囲気下で10〜100気圧の高圧ガス炉で行い、
更にまたは、酸素濃度5%〜99%の酸素−アルゴン混合
ガス雰囲気下で0.2〜10気圧の低圧ガス炉で行う。この
ように酸素濃度と圧力の組合せを調整することにより、
焼結体内の酸素濃度を調整することが容易になり、超電
導臨界温度を大幅に向上することができる。
本発明の方法により得られる焼結体超電導材料が下記
の一般式で示され、 (M11-xM2x)M3yOz (ただし、zは0〜5の実数である) x、yがそれぞれ0.1〜0.9、0.4〜1.0となるように、
M1、M2、M3の酸化物または炭酸塩の粉末を混合する。
上記組成が望ましい理由は、x=0.1〜0.9、y=0.4
〜1.0の範囲外では77K以上のTCFを達成し難いためであ
る。最も高いTCFは、x=0.4付近で得られる傾向が認め
られる。
また、予備焼成は1回に限定されるものではなく、一
旦予備焼成した材料を粉砕し、再び予備焼成することに
よって材料の一層の均質化が達成できることが確認され
ている。すなわち、本発明の方法では粉末材料を焼成し
た後得られた焼成体を粉砕する予備焼成工程と、該予備
焼成後に得られた粉末を成形、焼結する焼結工程の少な
くとも2段階で実施するが、この予備焼成工程を繰り返
すことをが好ましい。
予備焼成は700〜950℃の範囲が好ましく、焼結は800
〜1000℃の範囲で実施するのが好ましい。焼結温度800
℃未満では取扱いに十分な強度に焼結せず、1000℃を越
えると、溶解あるいは分解してしまう。時に焼結は、
(上記焼成体粉末の融点)〜(上記焼成体粉末の融点−
100℃)の範囲の温度で行い、結晶成長を抑制し、超電
導効果のあるペロブスカイト型または擬似ペロブスカイ
ト型酸化物の微細な結晶とするのが好ましい。
本発明の好ましい態様に従うと、焼結前の焼成体の成
形に際し、成形体の相対密度を60乃至80%とすることが
好ましい。本発明者等の知見によれば、ペロブスカイト
型または擬似ペロブスカイト型酸化物による超電導体
は、時に焼結体の表面近傍において優れた特性を発揮す
る。これは、表面近傍において焼結時または熱処理時に
雰囲気との反応が超電導特性に好ましく進行し、また、
焼結体の表面に近い相が歪み効果を受けるために優れた
超電導特性が現出したものと考えられる。従って、本発
明の方法においては、成形体の相対密度を60乃至80%と
比較的低い状態として、焼結時に表面近傍と同じ効果を
より深い領域まで浸透するように操作する。このような
相対密度の調整は、成形圧力を調整することによっても
可能であるが、成形時にバインダ、可塑剤および溶剤の
配分を調整することによって容易に制御できる。
さらに本発明に従うと、超電導特性を改善するには2
通りの方法がある。1つは添加物を使用する方法であ
り、他方は原料粉末および粉砕した焼成体粉末の粒径を
管理することである。
即ち、本発明の好ましい方法では、混合粉末にV、N
b、Ta、Mo、W、Ti、Cr、Mn、Ga、In、Cd、Sn、Tl、Pb
またはZnの1種または2種以上の元素の酸化物、炭酸
塩、硫酸塩または硝酸塩の粉末、好ましくは酸化物また
は炭酸塩の粉末を懸架することが有利である。これらの
添加元素とCuとの原子比が0.01〜0.15よりも低い場合に
は添加効果が得られず、一方、該範囲より高いときには
添加効果が飽和し、或いは所望のペロブスカイト型また
は擬似ペロブスカイト型酸化物が得られない。これらの
V、Nb、Ta、Mo、W、Ti、Cr、Mn、Ga、In、Cd、Sn、T
l、PbまたはZnの1種または2種以上の元素を添加する
ことにより焼結体超電導材料の電流値が大きくなる効果
を示す。これは添加によりエレクトロンおよび/または
ホールが形成されたためと考える。さらにこれらの添加
元素は焼結体内で歪効果を与えたり、結晶粒を微細にす
る効果を有すると考えられる。これらの添加元素のう
ち、V、Nb、Ta、Mo、W、Ti、Cr、Mnが好ましく、さら
にV、Nb、Taが特に好ましい。
さらに、微細組織のペロブスカイト型または擬似ペロ
ブスカイト型酸化物焼結体を得るには、予備焼成前の原
料粉末の粒径および予備焼成並びに粉砕後の粉末の粒径
について厳重な管理が必要である。
即ち、予備焼成前の原料粉末の平均粒径が、20μmを
越えると、焼結後の粉砕工程を経た後も、十分な結晶粒
径の微細化ができず、具体的には6μm以上となってし
まう。従って、結晶粒径の微細化を図るためには、原料
粉末の粒径を20μm、好ましくは10μm、さらに好まし
くは5μm以下、超電導特性のさらなる改善には1μm
以下とするのが好ましい。このような1μm以下の超微
粒子はゾル−ゲル法、あるいは共沈法、塩化物の気相反
応法等により形成することができる。
また、予備焼成後の粉砕工程は、後の焼結後の結晶粒
径に直接的な影響があり、5μmを越えると、焼結後の
焼結体の結晶粒径が大きくなり結晶粒界量が減少する。
前述のように、結晶粒界の減少は、高いTcの達成に好ま
しくない。
こうした〔予備焼成→粉砕→成形〕の工程を複数回繰
り返すことによって、原料粉末あるいは焼成体の固溶反
応を促進し、また、焼結に供する粉末の結晶粒径を微細
化しておくことが好ましい。これらの観点から、上記
〔予備焼成→粉砕→成形〕の一連の工程は、少なくとも
3回以上繰り返すことが好ましい。
さらに本発明の好ましい態様に従うと、得られた焼結
体をさらに熱処理して実質的に均一な擬似ペロブスカイ
ト型酸化物とする。この熱処理により電気抵抗が完全に
零となる超電導臨界温度が著しく上昇する。この熱処理
は、400〜800℃の範囲の温度で実施することが好まし
い。すなわち、この熱処理により適正な酸素欠陥が発生
し、これにより生ずるキャリヤによって電子のクーパー
対ができる確率が高くなり、抵抗が完全に零となる超電
導臨界温度が著しく上昇するものと推定される。
尚、加熱温度が400℃未満の場合は、焼結体が所望の
超電導臨界温度が得られないか、あるいは長時間の熱処
理が必要となる。一方、800℃を越える処理温度では臨
界温度は著しく低下する。
焼結体の熱処理により、ΔTは更に3〜5℃向上する
結果、より高いTCFが得られる。熱処理の条件は:酸素
含有雰囲気下で400〜800℃の範囲が良い。この理由は、
400℃未満あるいは800℃を越える温度では酸素欠陥の形
成が過小又は過大となり、77K以上のTCFが得難いためで
ある。
更に本発明の好ましい態様に従うと、上記焼結後、直
ちに、または焼結後、500〜800℃の範囲に再加熱し、急
冷処理を含む冷却工程のある熱処理を実施することによ
って、さらに超電導臨界温度を上昇させることができ
る。この急冷処理により本発明の方法により製造される
焼結体は、より優れた超電導特性を有する擬似プロブス
カイト構造となる。
また、これらの本発明の好ましい態様に従うことによ
って、超電導材料の組成が均一化されると共に安定し、
具体的に後述するように、特性の経時劣化が少ないこと
も認められた。
実施例 以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、以
下の実施例は本発明の単なる例示であり、これらの開示
によって本発明の技術的範囲は何等制限されるものでは
ない。
実施例 純度3N以上、平均粒径5μm以下のBaCO3、Y2O3、CuO
の各々の粉末を、焼成後の組成が、Ba1-xYxCuyOzとした
ときに、x=0.2、0.4、0.6、y=1となるように混合
した3種類の材料を用意した。
各々の混合粉末を1気圧の酸素中で920℃で24時間焼
成し、ケーキ状に固化した粉末を乳鉢で粗粉砕した後、
高純度アルミナ製ボールミルにて8時間粉砕し、平均粒
径を3μmとした。以下、この工程を2回くり返して、
Ba1-xYxCuO3-u組成の粉末を得た。
この粉末を1.0ton/cm2の圧力にて、3×2×15mmに成
形し、酸素濃度20%の酸素−アルゴン混合ガス雰囲気中
で酸素分圧400気圧(総圧2000気圧)にて、900℃で5時
間焼結した。
尚、臨界温度TC並びにTCFの測定は、定法に従って試
料の両端にAg導電ペーストにて電極を付け、クライオス
タット中で直流4点プローブ法で行った。温度はキャリ
ブレーション済みのAu(Fe)−Ag熱電対を用いて行っ
た。温度を少しづつ上昇させながら抵抗の変化を観察し
た。
この結果を第1表に試料No.1〜3として示す。更に、
他のII a〜III族元素の組み合せについても上記と同様
の方法で試作及び測定を行った。尚、第1表では、酸素
濃度は%で表示し、酸素分圧は気圧で表示している。但
し、焼結温度条件については、800〜1000℃の範囲で試
料が測定可能な特性を得る条件を見い出して決定した。
また、3週間後に同一材料を同一条件で測定したとこ
ろ、本発明に従う焼結体のTCの変化は±1Kの範囲であ
り、有意な変化は認められなかった。
発明の効果 以上説明したように、本発明により提供される複合酸
化物系超電導材料は、従来の超電導材料に比べて高い超
電導臨界温度TCが得られ、しかも経時変化が小さい安定
した超電導材料である。
この超電導焼結体は、薄板材、細線材あるいは小部品
として、また、この線材をスパッタリング等により薄膜
化し、ジョセフソン素子、SQUID(磁束計)、超電導マ
グネット、赤外センサ素子、モーター等への広範な応用
分野に適用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 39/12 ZAA C (72)発明者 上代 哲司 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 昭60−173885(JP,A) 特開 昭61−22511(JP,A) 特開 昭63−225531(JP,A) 特開 昭63−233067(JP,A) 特開 昭63−225524(JP,A) Physical Review Le tters Vol.58 p.405〜407 Physical Review Le tters Vol.58 p.908〜912

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】BaとY、Yb、Gd、Ho、ErおよびLaから選択
    された1種の元素とCuとの組合せ、または、SrとLaとCu
    との組合せの何れかの元素の組合せで、各元素の酸化物
    または炭酸塩の粉末混合物を予備焼成した後粉砕し、更
    に成形して焼結し、ペロブスカイト型または疑似ペロブ
    スカイト型の酸化物超電導材料を製造する方法におい
    て、 前記予備焼成および/または前記焼結工程を、酸素分圧
    が100〜500気圧になるように5〜25%の酸素を含有する
    酸素とアルゴンとの混合ガス雰囲気下で、700〜1000℃
    の温度範囲で行うことを特徴とする酸化物超電導材料の
    製造方法。
JP63073962A 1987-03-28 1988-03-28 超電導材料の製造方法 Expired - Lifetime JPH0816026B2 (ja)

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