JPH08157504A - グラフト重合方法 - Google Patents

グラフト重合方法

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JPH08157504A
JPH08157504A JP26156995A JP26156995A JPH08157504A JP H08157504 A JPH08157504 A JP H08157504A JP 26156995 A JP26156995 A JP 26156995A JP 26156995 A JP26156995 A JP 26156995A JP H08157504 A JPH08157504 A JP H08157504A
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group
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reactor
film
reaction
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Takahiro Hori
隆博 堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グラフト重合により、高分子基材膜全体にわ
たって、官能基を均一に導入する。 【解決手段】 高分子基材膜に電離性放射線を照射し、
モノマーを溶存させた液中に投入したのち、断熱容器内
でグラフト重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はイオン交換基、中
性水酸基、キレート形成基、クラウンエーテル、アフィ
ニティリガンドなどの各種官能基のうち少なくとも一つ
を、内部に均一に保持した複合機能膜を製造する方法に
関する。さらに詳しくは、放射線グラフト重合法によ
り、官能基を均一に基材膜に導入する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線グラフト重合法は、高分子基材膜
の内部に各種官能基を導入する技術として、実用化の試
みがなされてきた技術である。高分子基材膜に、電離性
の放射線を照射し、重合性の単量体と接触させる方法に
より、各種形状、各種素材に各種官能基を導入すること
が可能である。高分子基材膜が多孔膜の場合、得られる
官能基導入膜は、一般のビーズ状の官能基導入体に比べ
て、低い圧力損失で、高い接触効率を得ることができ
る。
【0003】高分子基材膜が非多孔膜、たとえばシート
やチューブの場合、電池用の隔膜やドナン透析膜、パー
ベイパレーション用の膜などへの応用が可能である。い
ずれにおいても、問題となるのは官能基量分布の均一性
である。多孔膜の場合、ある官能基を導入した複合機能
膜を充填したモジュール内において、複合機能膜のうち
一部に官能基量の少ない部分が存在すると、その部分を
透過する被処理液においては、他の部分の官能基による
処理容量が十分残っている状態で、破過点を迎えること
になる。全体として多くの官能基を導入していても、大
部分は使われないままモジュールとして破過することに
なり、処理容量を得る上できわめて無駄が多くなる。
【0004】非多孔膜、たとえばドナン透析膜やパーベ
イパレイション用の膜の場合は、特定物質、たとえばイ
オンなどが膜を透過するとき、膜構造が不均一であると
イオンの透過する部分がある部分に限定されてしまうた
め、モジュール内の膜面積を有効に生かせないといった
現象が起こる。モジュールの大きさが、たとえば直径3
インチ、高さ1mの場合、平膜をスパイラル型で導入す
るならば、10〜100m2 以上の面積において均一に
官能基が導入されていることが必要であり、中空糸状の
膜を充填するならば、外径0.1〜5mmとして、10
0〜数千本の中空糸に、やはり均一に官能基が導入され
ていることが必要である。
【0005】多岐にわたる応用が試みられ、多くの性能
が得られているにもかかわらず、放射線グラフト重合法
による膜が商品化にいたらない大きな理由の一つが、均
一な膜を大量に製造することの困難さにあることは否定
できない事実である。この点を改良するためにこれまで
試みられてきた方法としては、電離性の放射線を照射し
た高分子基材膜に重合性単量体を気体の状態で接触させ
る方法、および液体中に溶存させて接触させる方法があ
る。
【0006】気体で接触させる方法は、蒸気圧の高い単
量体を単独で接触させる場合には適用できるが、蒸気圧
の低い単量体、特に、分子量の大きい単量体を接触させ
る場合には反応が不均一となり、また、架橋剤と共重合
させる場合には、蒸気圧の高い方が優先的に反応するた
め、やはり反応が不均一となる。そのため、気体で接触
させる方法は適用の範囲が極めて限られている。
【0007】一方、重合性物質を液体中に溶存させて接
触させる方法は、蒸気圧の影響を受けないため応用範囲
が広いが、均一大量製造技術としては確立されていない
のが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、実用規模
のモジュールに充填する高分子基材膜全体にわたって、
これら官能基を均一に導入することができるグラフト重
合方法を提供することを目的とする。さらに詳しくは、
単量体を液体に溶存させて接触させる方法において、特
に、リアクター内における温度分布を効率よく均一にす
る方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、イオン交換
基、中性水酸基、キレート形成基、クラウンエーテルお
よびアフィニティリガンドから選ばれる官能基を有する
単量体、あるいはこれらの官能基を導入することができ
る基を有する単量体を溶存させた液中に、電離性の放射
線を照射した高分子基材膜を投入し、上記官能基を高分
子基材膜内に導入する反応を、断熱容器内で行うことを
特徴とするグラフト重合方法に関する。
【0010】さらに、この発明は、イオン交換基、中性
水酸基、キレート形成基、クラウンエーテルおよびアフ
ィニティリガンドから選ばれる官能基を有する単量体、
あるいはこれらの官能基を導入することができる基を有
する単量体を溶存させた液中に、電離性の放射線を照射
した高分子基材膜を投入し、上記官能基を高分子基材膜
内に導入する反応を、恒温槽内に設置したリアクター内
で行い、かつ反応中のリアクター内の温度変化に追随さ
せて、恒温槽の温度を変化させることを特徴とするグラ
フト重合方法に関する。
【0011】以下、本発明についてさらに説明する。こ
の発明に用いられる単量体はイオン交換基、中性水酸
基、キレート形成基、クラウンエーテルおよびアフィニ
ティリガンドから選ばれる少なくとも1つの官能基を有
する。イオン交換基としては、スルホン酸基、リン酸
基、カルボキシル基などのカチオン交換基、あるいは3
級アミン、4級アミンなどのアニオン交換基が挙げられ
る。中性水酸基としてはヒドロキシル基に代表される非
イオン性の水酸基、キレート形成基としてはイミノジ酢
酸基、メルカプト基、エチレンジアミンなどキレートを
形成する官能基が挙げられる。クラウンエーテル、アフ
ィニティリガンドとしては、それぞれ一般的に知られて
いる官能基が対応する。
【0012】この発明では上記官能基を有する単量体の
ほか、上記官能基を導入することができる単量体を用い
ることができる。スチレン、クロロメチルスチレンなど
は、イオン交換基導入の前駆体として用いられ、また、
メタクリル酸グリシジルは、イミノジ酢酸基やメルカプ
ト基などのキレート形成基、あるいは各種クラウンエー
テルやアフィニティリガンドの固定にも適用可能な単量
体として用いられる。その他、アクリル酸やメタクリル
酸、およびそれらの誘導体、4ービニルピリジンやイミ
ダゾール系などの単量体も使用することが可能である。
また、親水性の中性水酸基は、多孔膜に酢酸ビニルをグ
ラフト重合し、引き続いてケン化反応を行うことにより
導入することもできる。
【0013】この発明の方法では架橋剤を使用すること
ができる。上記単量体と共重合しうる2個以上の反応性
基を有する架橋剤が好ましく、単量体とともに反応液中
に溶存させることにより用いる。架橋剤としては、たと
えば、芳香族系の代表例としてジビニルベンゼン、脂肪
族系ではエチレングリコールジメタクリレート、テトラ
エチレングリコールジメタクリレート、さらにポリエチ
レングリコールジメタクリレート等のようなジメタクリ
ル酸系のモノマー、エチレングリコールジアクリレート
等のようなジアクリル酸系のモノマーあるいはN,N−
メチレンビスアクリルアミドなどが好ましく用いられ
る。またトリアリルイソシアヌレートのような3個の反
応性基を有する架橋剤も用いることができる。
【0014】これら架橋剤を共重合させると、高分子基
材膜として多孔膜を用いた場合は基材の透水量を維持
し、溶出を抑制する上で大きな効果があり(特開昭62
−258711号公報)、非多孔膜を用いた場合は、寸
法安定性において大きな効果がある。そのため、目的の
複合機能膜を得るために、架橋剤を共重合する場合が多
い。
【0015】ただし、架橋剤の比率が高くなりすぎる
と、膜内の単位容積あたりの官能基密度が低くなり、ま
た、グラフト重合した膜における被処理物質、たとえば
イオンの拡散が遅くなり、被処理物と官能基との接触効
率が悪くなる。架橋剤を添加する場合、単量体に対する
重量比で20%以下が好ましく、0.5〜15%導入す
ることがさらに好ましい。
【0016】単量体を溶存させる溶媒としては、水のほ
か、メチルアルコールを始め各種アルコール類、アルカ
ン類、ケトン類、その他一般に用いられている各種の溶
媒が使用可能である。反応を行う液中に溶存させる単量
体の量は、目的に応じて適宜調整される。高分子基材膜
内部にむらなく官能基を導入するためには、単量体の重
量は、投入する高分子基材膜重量の10%以上が好まし
く、さらに好ましくは50%以上が好適である。
【0017】一方、反応を行う液中の単量体の量を、投
入する多孔性基材膜の重量の5倍以上とすると、局部的
な反応の暴走が起こり、目的とする均一な重合膜が得ら
れにくい。したがって、単量体の量は高分子基材膜重量
の5倍以下、好ましくは2倍以下とすることが好まし
い。反応を行う液中の単量体濃度は、0.1〜3mol
/Lの範囲であれば、ほぼ上記の条件に一致し、好まし
い。
【0018】高分子基材膜としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレンおよびエチレンープロピレン共重合体等に
代表されるポリオレフィン;エチレンーテトラフルオロ
エチレン共重合体、エチレンークロロトリフルオロエチ
レン共重合体に代表されるオレフィンーハロゲン化オレ
フィン共重合体;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフ
ッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等に
代表されるハロゲン化ポリオレフィンおよびポリスルホ
ン等の各種素材が使用できる。特に、放射線グラフト重
合法においては、放射線架橋型の素材、たとえばポリエ
チレンなどが好ましい。また、電離性放射線の種類とし
ては、透過性の高いγ線が好ましい。
【0019】リアクター内への高分子基材膜投入量は、
中空糸の場合、中空部内の断面積を含めた膜断面積が、
リアクター断面積の10〜40%になるように充填する
のが好ましい。投入量が少なすぎると、リアクター内の
特定部分に高分子基材膜が偏って接触する反応液の容積
が膜によって大きく異なる原因となり、官能基量分布の
不均一を招きやすい。また、投入量が多すぎると、反応
に伴う膜の膨潤を吸収しきれなくなり、不都合が生じ
る。
【0020】基材膜の形状が平膜あるいはシートの場
合、膜間にスペーサを入れて反応させると膜内の各部分
において接触する反応液の量を均一にすることができ、
好ましい。スペーサの厚さや形状によって、膜充填量の
最適値は変動するが、基本的には中空糸の場合と同様
に、反応に伴う膨潤によって不都合が生じない程度に密
に入れることが好ましい。
【0021】この発明に用いるグラフト重合装置の例を
図1および2に示す。上記単量体を溶存させた液中に、
電離性の放射線を照射した高分子基材膜を投入すること
によって、基材膜内部への単量体のグラフト重合反応が
開始するが、このとき、反応熱によって反応液の温度が
変化する。この発明は、グラフト重合反応を均一な温度
変化のもとで行うことに特長がある。リアクターからの
熱放出あるいは熱流入を抑制ないしは制御できるので、
リアクター内全体において温度変化にむらが生じないと
いうメリットがある。
【0022】この発明によれば、反応液の撹拌や循環が
不要となるため、基材膜と反応液の接触効率の不均一は
もとより生じない。図1に示すのは、断熱容器内にリア
クターを設置した場合の一例である。この発明における
断熱容器とは、リアクターと外界との間の熱移動を抑制
するものである。断熱容器として、容器壁にガラスウー
ルなどの断熱材を使用したもの、容器壁を真空断熱体と
したものなどが挙げられる。リアクター内の液中の熱移
動によってリアクター内の温度分布が均一になる時間に
比べて、断熱容器壁の熱移動速度が十分遅い状態を実現
すれば、この発明の目的を達成することができる。した
がって、断熱容器壁の材質や厚みはそのような目的に合
致するように選択されるべきである。
【0023】また、リアクター内の温度と室温との差が
大きい場合、断熱容器壁の熱移動が無視できないほど大
きくなる可能性がある。その場合、リアクターをいれた
断熱容器を恒温槽に入れ、恒温槽を反応の初期温度のま
ま一定に保持することによって、断熱容器壁の熱移動を
効果的に抑制することができる。その場合、たとえば、
直径10〜20cmの円筒形のリアクターを想定すると
通常のガラスウール10Kを断熱材として使用するなら
ば、断熱材の厚さとして1cm以上、好ましくは、5c
m以上を採用することによって、好適に均一重合を行う
ことができる。
【0024】図2に示すのは、リアクターを恒温槽内に
設置し、リアクター内部の温度変化に追随させて、恒温
槽の温度を変化させる装置の一例である。図2の例で
は、反応液の温度変化をモニターするため、リアクター
内に温度センサー、を導入している。リアクター内
部と恒温槽内の温度差の許容範囲は、リアクターの大き
さやリアクター壁の熱伝導度の影響を受けるものであ
る。通常のガラスあるいはステンレス製のリアクター
で、直径10〜20cmの円筒形で、壁厚さが1〜5c
mを想定した場合、温度差は10℃以内、好ましくは5
℃以内に制御することが好ましい。リアクターが大きく
なれば、さらに厳密な温度制御が必要となるが、たとえ
ば直径50cm以上の場合でも、5℃以内に温度差を制
御すれば、ほぼ目的どおりの均一なグラフト重合反応を
実現することができる。
【0025】リアクターを入れた断熱容器を恒温槽に入
れ、リアクター内部の温度に恒温槽の温度を追随させる
ことによって、さらに効果的にリアクター壁の熱移動を
抑制することができ、結果として精度の高い断熱系を実
現することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、実施例によってこの発明を
説明するが、この発明は実施例によって制限されるもの
ではない。
【0027】
【実施例1】内径0.68mm、外径1.22mmの中
空糸状の多孔性ポリエチレンを高分子基材膜として用い
た。基材膜は公知の方法で合成した。すなわち、微粉ケ
イ酸(商標名 Aerosil R−972)25.0
重量部、ジブチルフタレート(DBP)51.0重量
部、ポリエチレン樹脂粉末(旭化成工業(株)製 SH
−800グレード)24.0重量部の組成物を予備混合
した後、30mmφの2軸押し出し機内で中空糸状に押
し出した後、1,1,1−トリクロロエタン中に60分
間浸漬し、DBPを抽出した。さらに、温度60℃の2
0%苛性ソーダ水溶液中に約20分間浸漬して、微粉ケ
イ酸を抽出した後、水洗、乾燥させ、3次元網目構造を
有する多孔性基材膜を得た。
【0028】得られた膜について、ASTMF316−
70に記載されているエアフロー法により平均孔径を求
めたところ、0.1μmであった。1mの多孔性基材膜
2200本に対し、Co60よりのγ線を100kGy照
射した。半径20cm、高さ1.5mの円筒形の容器の
内壁に厚さ5cmの断熱材を貼ったものを断熱容器とし
て使用した。半径5cm、高さ1.3mのリアクターを
この断熱容器の中に入れ、さらに、この容器を40℃の
恒温槽に入れた。ここで用いた断熱材は、汎用のガラス
ウールであり、熱伝導度は、1.25x10-4(cal
/cm・sec・℃)のものである。
【0029】反応液として、0.75mol/Lのクロ
ロメチルスチレンおよび0.05mol/Lのジビニル
ベンゼンを溶存させたエタノール溶液を用いた。反応液
を40℃とし、窒素バブリングにより溶存酸素を除去し
たのち上記リアクターに投入し、さらにγ線照射後の多
孔性基材膜を投入した。リアクター内に熱電対を導入
し、温度測定を行った。温度センサーは膜束の中心
部、は外周部の温度変化をモニターするものである。
恒温槽内の温度は初期温度40℃のまま一定とした。
【0030】11時間反応させた後、リアクターから膜
を取り出し、エタノールで繰り返し洗浄した後、60℃
で、10時間乾燥させた。得られた膜から100本を無
作為に抽出し、それぞれの膜を長さ方向に5等分し、得
られた500個のサンプルについて重量増加率を測定し
た。図3は、重量増加率の度数分布のグラフである。平
均の重量増加率xは90.4%であり、標準偏差σよ
り、σ/xは2.9%となった。
【0031】リアクター内および恒温槽の温度の経時変
化を図4に示す。リアクター内、は、図2に準じ
て、それぞれリアクター内中心部および外周部に熱電対
を投入して測定した温度を示す。両者の温度差は1℃以
内であった。さらに、得られた膜の残りのうち2000
本を、トリメチルアミン10%を溶存させた水、アセト
ンの1:1溶液に浸漬し、30℃で50時間反応させ、
導入したクロロメチルスチレンを4級化した。得られた
膜は、水洗およびエタノール洗浄を繰り返した後、純水
中に保存した。
【0032】得られた膜から無作為に20本を抽出し、
それぞれの膜を5等分し、それぞれについてイオン交換
基導入量を測定した。測定方法は、2N硝酸カリウムを
通水し、4級アミンに結合した塩素イオンを溶離し、溶
離液中の塩素イオン濃度を沈殿滴定法によって測定する
ことにより求めた。結果を図5に示す。各サンプルあた
りのイオン交換基量xは、平均で、0.26mmol、
ばらつきはσ/xで、7.6%となった。
【0033】得られた複合機能膜1600本を直径3イ
ンチ、高さ1mのモジュールに充填した。このモジュー
ルに、0.01mol/LのNaCl溶液を10L/m
inで全ろ過方式で通水し、通水後の液中の塩素イオン
濃度を沈殿滴定法により測定することによって、破過曲
線を求めた。結果を図6に示す。横軸は、導入したイオ
ン交換基量に対する通水したイオン量の比率を示してい
る。イオン交換基利用率65%で、破過が始まった。
【0034】
【実施例2】実施例1と同じ基材膜を用い、断熱容器を
使用せずにリアクターを直接恒温槽に入れた以外は実施
例1と同じ装置を用いて、リアクター内部に導入した熱
電対により温度測定を行い、恒温槽内の温度をリアクタ
ー内の温度に追随させながら反応を行った。
【0035】重量増加率の度数分布、リアクター内温度
変化、イオン交換容量度数分布、破過曲線をそれぞれ、
図7〜10に示す。リアクター内と恒温槽の温度差は1
℃以内を維持した。リアクター内の中心部と外周部の温
度差はほとんどなかった。平均重量増加率は、94.5
%、σ/x=3.4%であり、実施例1と同様な均一性
が得られた。イオン交換基利用率65%で破過が始まっ
た。
【0036】
【比較例1】実施例2と同じ装置を用い、反応中恒温槽
内の温度をリアクター内の温度に追随させず、初期温度
40℃のまま一定とした以外は実施例2と同様にグラフ
ト重合を行った。重量増加率の度数分布、リアクター内
温度変化、イオン交換容量度数分布、破過曲線をそれぞ
れ、図11〜14に示す。
【0037】この方法では、リアクター内部の温度は5
3℃に達し、リアクター内中心部と外周部の温度差が最
大で10℃以上に達し、リアクター内部に顕著な温度分
布が生じる(図12)。また、実施例に比べて平均の重
量増加率が72.6%と少なく、重量増加率およびイオ
ン交換容量に顕著なばらつきが生じる。イオン交換基利
用率20%で破過しており、利用率の低いことがわか
る。
【0038】
【発明の効果】各種官能基を導入した複合機能膜の均一
大量製造に関して、画期的な方法を提供するものであ
る。この発明によれば、高分子基材膜全体にわたって各
種官能基を均一に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液相反応装置の一例を示す図面である。
【図2】液相反応装置の他の例を示す図面である。
【図3】実施例1における膜の重量増加率を示すグラフ
である。
【図4】実施例1における膜のグラフト反応中の温度変
化を示すグラフである。
【図5】実施例1における膜のイオン交換容量の分布と
示すグラフである。
【図6】実施例1における膜の破過曲線である。
【図7】実施例2における膜の重量増加率を示すグラフ
である。
【図8】実施例2における膜のグラフト反応中の温度変
化を示すグラフである。
【図9】実施例2における膜のイオン交換容量の分布と
示すグラフである。
【図10】実施例2における膜の破過曲線である。
【図11】比較例1における膜の重量増加率を示すグラ
フである。
【図12】比較例1における膜のグラフト反応中の温度
変化を示すグラフである。
【図13】比較例1における膜のイオン交換容量の分布
と示すグラフである。
【図14】比較例1における膜の破過曲線である。
【符号の説明】
1 断熱容器 2 反応液 3 多孔性基材膜 4 温調器 5 温度センサー 6 恒温槽

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換基、中性水酸基、キレート形
    成基、クラウンエーテルおよびアフィニティリガンドか
    ら選ばれる官能基を有する単量体、あるいはこれらの官
    能基を導入することができる基を有する単量体を溶存さ
    せた液中に、電離性の放射線を照射した高分子基材膜を
    投入し、上記官能基を高分子基材膜内に導入する反応
    を、断熱容器内で行うことを特徴とするグラフト重合方
    法。
  2. 【請求項2】 イオン交換基、中性水酸基、キレート形
    成基、クラウンエーテルおよびアフィニティリガンドか
    ら選ばれる官能基を有する単量体、あるいはこれらの官
    能基を導入することができる基を有する単量体を溶存さ
    せた液中に、電離性の放射線を照射した高分子基材膜を
    投入し、上記官能基を高分子基材膜内に導入する反応
    を、恒温槽内に設置したリアクター内で行い、かつ反応
    中のリアクター内の温度変化に追随させて、恒温槽の温
    度を変化させることを特徴とするグラフト重合方法。
JP26156995A 1994-10-07 1995-10-09 グラフト重合方法 Withdrawn JPH08157504A (ja)

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