JPH05192593A - 新規のアニオン吸着膜及び製造方法 - Google Patents

新規のアニオン吸着膜及び製造方法

Info

Publication number
JPH05192593A
JPH05192593A JP4029895A JP2989592A JPH05192593A JP H05192593 A JPH05192593 A JP H05192593A JP 4029895 A JP4029895 A JP 4029895A JP 2989592 A JP2989592 A JP 2989592A JP H05192593 A JPH05192593 A JP H05192593A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
anion
water
amount
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP4029895A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Hori
隆博 堀
Masato Hamada
正人 浜田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP4029895A priority Critical patent/JPH05192593A/ja
Publication of JPH05192593A publication Critical patent/JPH05192593A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 透水量が高く、TOC溶出量の少ないアニオ
ン吸着膜を提供する。 【構成】 1g当たり0.1ミリ等量以上のアニオ
ン交換基が結合した多孔膜で、透水量=100L/m2
・hr・atm・25℃以上、しかも膜からのTOC溶
出量=1ppb以下である透水性かつ低溶出性のアニオ
ン吸着膜。 多孔性の基材膜に対し、3級アミン含有モノマー或
いは3級アミン導入可能な官能基を含有するモノマーを
グラフト重合させ、該膜をジハロゲン化アルキルを含む
液中に浸漬するアニオン吸着膜の製法。 【効果】 高透水性、低溶出性のアニオン吸着膜によ
り、半導体産業における超純水製造システムでイオン交
換樹脂の限界を越えた高純度の超純水を安定に供給す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体産業、医薬、原
子力などの分野における超純水製造プロセスをはじめ、
特に低濃度までアニオンを吸着除去する必要のあるプロ
セスに、イオン除去効率が高く、高い透水量を有し、特
にTOC溶出が極めて少ないアニオン吸着膜を提供する
ことを目的としている。
【0002】
【従来の技術】水中のイオンを除去することを目的とし
たプロセスには、現在では、主にイオン交換樹脂が使わ
れている。しかし、イオン交換樹脂による脱イオンの能
力の限界を越えた極めて高純度の超純水が要求される場
面が出始めており、イオン交換樹脂に代わる新たな脱イ
オンの技術が求められている。半導体分野において特に
その傾向が著しく、目覚ましい集積度の増加に伴い、そ
の洗浄用水としてイオン交換樹脂による従来のプロセス
では得られないような極めて高純度の超純水が求められ
ている。
【0003】本発明者は、イオン交換樹脂によるシステ
ムに代わる新たなシステムとして、イオン吸着膜による
超純水製造システムの開発研究を行っている。イオン吸
着膜とは、多孔膜の内部および表面にイオン交換基が導
入されているものであり、従来のイオン交換樹脂に比較
して圧力損失が小さく、単位体積当たりの処理量が大き
くなる。この場合、多孔膜の内部および表面とは、多孔
膜の細孔内表面、ポリマー内部、および多孔膜の表面を
指すが、処理液が細孔内を流通することから、主として
多孔膜の細孔内表面を指す。
【0004】イオン吸着膜は、モジュールとして超純水
製造ライン内に組み込まれ、処理液は、クロスフローあ
るいは全濾過によってモジュール内を流通し、イオン吸
着膜内部に導入されたイオン交換基と接触する。イオン
吸着膜においては、液を細孔内に強制的に流し、イオン
とイオン交換基を積極的に接触させるため、イオン除去
効率が高く、到達イオン濃度を低減化することができ
る。特に、洗浄や再生の効率が高いという特徴が期待さ
れる。すなわち、使用前における水溶性物質の除去を比
較的簡単に完全に行うことができる。また、超純水ライ
ン投入後、比較的短時間で高純度を確保することができ
る。
【0005】しかし、アニオン吸着膜において、上記の
ような膜システムに期待される性能を得るためには、さ
らに工夫が必要であった。すなわち、長期間継続して実
ラインで用いるには、一定量以上のイオン交換容量が必
要であり、また、イオン吸着膜出口におけるイオン濃度
を十分に低減化するためには、膜内で処理液が一定量以
上のイオン交換基と接触する必要があり、膜内において
一定量以上のイオン交換基の密度が必要となる。イオン
交換基導入量を多くする必要があるが、そのために透水
量が低下すること、TOC溶出量が増大するという問題
が生じた。
【0006】このうち、透水量の低下については、グラ
フト重合反応時に複数個の反応基を有するモノマーを共
重合させることによって架橋する方法(特開昭62−2
58711号公報)、あるいは、グラフト反応後放射線
を照射することによって架橋する方法(特開平1−22
4009号公報)によって、かなり維持することができ
た。しかし、膜からの溶出について本質的な解決は得ら
れず、メイクアップが容易であること、溶出がないこと
といった膜本来の特性を生かせないという事態が生じ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、一定以上の
イオン交換容量を有し、安定な透水量を保持し、しかも
膜からの溶出が極めて少ないアニオン吸着膜を提供する
ことを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、透水性かつ低
溶出のアニオン吸着膜に関するものである。さらに詳し
くは、本発明は、1g当たり0.1ミリ等量以上のアニ
オン交換基を含有する多孔膜であり、透水量が100L
/m2 ・hr・atm・25℃以上であり、しかも、該
透水量において膜からのTOC溶出量が1ppb以下で
あることを特徴とする、新規のアニオン吸着膜に関する
ものである。また、本発明のアニオン吸着膜は、三次元
網目構造を有し、平均孔径が0.01〜5μm、空孔率
が20〜90%であることが望ましい。また、本発明の
アニオン吸着膜は、内径0.05〜5mm、肉厚0.0
1〜2mmの中空糸状であることが望ましい。
【0009】該アニオン吸着膜の製造方法は、多孔性の
基材膜に対し、3級アミンを有するモノマーあるいは3
級アミン導入可能な官能基を有するモノマーをグラフト
重合させ、該膜をジハロゲン化アルキルを含む液中に所
定時間浸漬することを特徴とする。上記製造方法により
得られるアニオン吸着膜は、アニオン交換基のうち一部
が炭化水素鎖によって架橋されていることを特徴とす
る。
【0010】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。多孔膜に導入されたアニオン交換基の量としては、
中性塩分解能を採用する。多孔膜にアルカリ溶液を通水
し、アニオン交換基をOH型とする。続いて、1NのN
aCl溶液を十分量接触させ、吸着したCl- イオンを
脱着し、定量することによって中性塩分解能を求めるこ
とができる。アニオン吸着膜においては、1g当たり
0.1ミリ等量以上のアニオン交換基を含有しているこ
とが必要であり、望ましくは、膜1g当たり1ミリ等量
以上のアニオン交換基が結合していることが好適であ
る。アニオン交換容量が少ないと、短時間で破過してし
まうため、アニオン吸着膜の交換頻度が高くなり好まし
くない。また、細孔内表面において、アニオン交換基の
密度が低いとイオン除去効率が低くなり、出口における
液中イオン濃度を十分に下げることができなくなり、や
はり好ましくない。
【0011】なお、ここでいう膜1g当たりとは、膜の
かなりマクロ的な重量を基準にした値のことであって、
膜全体に導入されたアニオン交換基量を単純にその膜の
重量で除したものである。透水量としては、100L/
2 ・hr・atm・25℃以上が必要である。アニオ
ン吸着膜における透水量は、モジュール単位体積当たり
の処理水量に直接対応し、超純水製造システムにおいて
重要な要素となる。上記の透水量によって、単位体積当
たりの処理水量として、現在半導体産業で通常使用され
ているイオン交換樹脂と同等以上を確保することができ
る。透水量の測定は公知の方法によって行う。すなわ
ち、膜に1atmの圧力をかけて純水を透過させ、単位
時間当たりの純水の透過量を測定する。純水は、脱イオ
ンにより比抵抗を10MΩ・cm以上とし、さらに限外
濾過膜により処理したものを用いる。
【0012】なお、アニオン吸着膜の透水量は経時変化
を受ける場合がある。すなわち、純水中に浸漬させてお
くことによって透水量が低下する場合がある。したがっ
て、透水量は十分水中に浸漬させた後、安定した状態で
測定する必要がある。本発明においては、30℃に加温
した純水中に10日以上浸漬した後、透水量を測定し、
比較を行った。アニオン吸着膜からのTOC容出量は、
超純水ラインによって測定する。アニオン吸着膜への供
給水の水質は、TOC濃度10ppb以下、比抵抗15
MΩ・cm以上、0.1μm以上の微粒子が5個/mL
以下とする。膜処理前後におけるTOC濃度の変化を測
定し、膜からのTOC溶出量とする。TOC濃度の測定
は、ANATEL社製のA−100PSEによった。A
NATEL社製のA−100PSEは、有機物を紫外線
によりイオン化して比抵抗の変化によってTOC濃度を
測定するものである。
【0013】本発明におけるアニオン吸着膜の構造は、
基材として用いる膜の構造を反映する。該アニオン吸着
膜は、膜単位体積当たり出来るだけ多くの液を処理する
ことができ、しかも、流通する処理水はできるだけ多く
のアニオン交換基と接触する必要がある。したがって、
膜単位体積当たりの比表面積が大きく、また、孔径につ
いては、大きさがそろっており、三次元的に均一に分布
していることが望ましい。基材膜は、例えば、特公昭4
0−957号公報、特公昭47−17460号公報およ
び特公昭59−37292号公報等に示されたミクロ相
分離法や混合抽出法などにより形成される三次元網目構
造が望ましい。
【0014】アニオン吸着膜の平均孔径は0.01〜5
μm、空孔率は20〜90%が望ましい。孔径はイオン
除去効率および透水量に影響を与える。すなわち、孔径
が小さすぎると透水量が得られず、大きすぎるとイオン
のリークが無視できなくなる。空孔率については、膜単
位体積当たりのイオン交換容量および処理水量を確保す
るためには大きいほうが望ましいが、空孔率が90%を
越えると膜の強度が低下し、実用上好ましくない。平均
孔径は、ASTM F316−70に記載されている方
法で得られた値であり、通常エアフロー法と呼ばれ、空
気圧を変えて乾燥膜と湿潤膜の空気透過流速を測定し、
その比から求めるものである。
【0015】空孔率は、あらかじめ膜を水等の液体に浸
漬し、その後乾燥させて、その前後の重量変化から測定
したものである。該アニオン吸着膜は、平膜、繊維状、
中空糸状等の形状が考えられるが、アニオン吸着膜をモ
ジュール化した時、モジュール内でイオン交換基量が均
一で、単位容積当たりの処理水量を多くできる形状とし
て中空糸状が望ましい。次に製造方法について述べる。
本発明は、多孔膜の内部および表面に3級アミンを導入
し、該膜をジハロゲン化アルキルを含む液中に所定時間
浸漬することを特徴とするものである。この操作によっ
て、多孔膜の内部および表面に存在する3級アミンは4
級化および架橋されることが期待される。
【0016】多孔膜の内部および表面に3級アミンを導
入する方法は、液との接触効率が高く、イオン除去効率
の高い構造的特性を有し、しかも、機械的、化学的耐久
性、或いは耐熱性などに優れた任意の多孔性基材膜に対
し、目的に応じた任意の官能基を導入し得る方法が望ま
しい。多孔膜の内部および表面にラジカルを生成させ、
そのラジカルを開始点として、3級アミンを有するモノ
マーあるいは3級アミン導入可能な官能基を有するモノ
マーをグラフト重合させる方法が適当である。
【0017】なお、この時に2個以上の反応基を有する
共重合可能なモノマー、例えばジビニルベンゼン、エチ
レングリコールジメタクリレート等のポリアルキレンオ
キサイドあるいはジメタクリル酸エステル、N,N’−
メチレンビスアクリルアミド等あるいはトリアリルイソ
シアヌレートなどによりグラフト共重合させることによ
り、透水量をかなり保持することができ望ましい(例え
ば、特開昭62−258711号公報)。ラジカルを生
成させる方法としては、プラズマによる方法、光による
方法、放射線による方法、或いは各種開始剤による方法
が考えられるが、三次元網目構造を有する多孔性基材膜
に対し、特に均一性を確保することを意図した場合、放
射線照射によりラジカルを生成させる方法が望ましい。
【0018】また、放射線の種類としては、γ線、電子
線、中性子線などが考えられるが、ラジカルを均一に生
成させるためには、透過性の高い放射線が望ましく、γ
線が好適である。基材として用いる多孔膜の材質は、機
械的、化学的耐久性、あるいは耐熱性などを考慮する
と、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン−プ
ロピレン共重合体等に代表されるポリオレフィン、エチ
レン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−ク
ロロトリフルオロエチレン共重合体に代表されるオレフ
ィン−ハロゲン化オレフィン共重合体、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリ
フルオロエチレン等に代表されるハロゲン化ポリオレフ
ィンおよびポリスルホン等が考えられる。また、特に膜
材質の親水性が要求される場合では、セルロース系の多
孔膜を用いる方法もある。
【0019】しかし、耐溶出性のアニオン吸着膜を合成
するためには、ポリエチレンに代表される放射線架橋型
の基材を用いることが望ましい。照射線量は、反応に必
要なラジカル量および基材の耐放射線性を考慮し、0.
1〜500kGyが適当である。上記方法によって、3
級アミンを導入し、あるいは3級アミン導入可能な官能
基を導入した後、3級アミンに変換し、3級アミンを含
有する多孔膜を得る。本発明は、該多孔膜をジハロゲン
化アルキルを含む液中に浸漬し、4級化および架橋反応
を同時に行うことによって、透水量を確保し、かつTO
C溶出量を低減化することを特徴とするものである。
【0020】この場合、3級アミンとは、アンモニアの
水素原子3個を炭化水素残基と置換したいわゆる3級ア
ミンすべてを指す。例えば、クロロメチルスチレンのよ
うなハロメチル基にジエチルアミン等を結合させて3級
アミンとしたもの、あるいは、ビリジンに含まれる窒素
原子などが含まれる。
【0021】グラフト重合反応によってイオン交換基を
導入した膜に対して架橋を行った例として、2個以上の
反応基を有するモノマーを含浸させ、架橋化処理を行う
方法がある(特開平02−265633号公報)。この
方法は、モノマーのグラフト重合反応の際に共重合可能
なモノマーにより架橋する方法(特開昭62−2587
11号公報)と異なり、グラフト鎖の導入後に加熱、紫
外線照射、あるいは放射線照射などにより、2個以上の
反応基を有するモノマーを架橋させるものである。例え
ば、放射線により架橋化処理を行った場合、放射線によ
る基材およびグラフト鎖の崩壊が無視できない場合があ
り、TOC溶出の点から好ましくない場合がある。
【0022】3級アミンを含有する多孔膜をジハロゲン
化アルキルを含む液中に浸漬する操作は、ジハロゲン化
アルキルをアルコール系あるいはその他の溶媒に溶か
し、該溶液中に該膜を浸漬することによって行う。或い
は、ジハロゲン化アルキルの純液に同様に該膜を浸漬す
ることによって行う。温度は、該溶媒の沸点以下で行う
のが望ましく、20〜70℃の範囲が好適である。透水
量および耐溶出性に関与するパラメータとして、架橋率
を定義する。架橋率とは、グラフト重合によって導入さ
れたモノマー分子のうち架橋に関与したものの割合であ
る。3級アミンを導入しジハロゲン化アルキルにより4
級化および架橋反応を行う場合、グラフト重合時に導入
した3級アミンのうちジハロゲン化アルキルにより架橋
されたものの割合に相当する。透水量および耐溶出性を
確保するためには、架橋率は10%以上が望ましく、特
に望ましくは30%以上が好適である。
【0023】なお、架橋率は以下の方法により決定する
ことができる。すなわち、4級化および架橋反応の前後
の重量変化により導入されたジハロゲン化アルキルの量
を求める。続いて、反応において導入された4級アミン
の量をハロゲンイオンの溶離および滴定により求め、両
者の比率により架橋率を求めることができる。架橋率が
0ならば、両者の値は一致する。4級アミン量の定量方
法として、例えば、硝酸カリウム水溶液によりハロゲン
イオンを溶離し、溶離液中のハロゲンイオンを硝酸銀に
よる沈澱滴定で行う方法は簡便で好ましい。
【0024】架橋に用いるジハロゲン化アルキルの炭化
水素鎖の長さは、長すぎると架橋率が頭打ちとなり、透
水量の維持の効果が小さくなる。しかし、炭化水素鎖
は、水中のカルボン酸に対する親和性が高く、超純水ラ
インにおいて、低圧UV照射後の純水を処理する場合、
炭化水素鎖の長さはある程度ある方が好ましい。炭化水
素鎖の炭素数は10個以下、望ましくは3〜6個が好適
である。なお、ジハロゲン化アルキルにより4級化を行
った後、モノハロゲン化アルキルにより残存している3
級アミンを4級化することは、イオン交換容量を上げる
点から好ましい。得られたアニオン吸着膜は、公知の方
法によりモジュール化して用いる。
【0025】
【実施例】以下に実施例によって本発明の詳細な説明を
行うが、これらは本発明を限定しない。
【0026】(実施例1)基材として、ポリエチレン性
の中空糸状多孔膜を用いた。該中空糸状多孔膜は三次元
網目構造を有し、内径2mm、外径3mm、平均孔径
0.2μmのものである。基材膜は公知の方法で製造し
た。すなわち、微粉ケイ酸(ニプシルVN3LP)2
2.1重量部、ジオクチルフタレート(DOP)55.
4重量部、ポリエチレン樹脂粉末〔旭化成工業(株)
製、SH−800グレード〕22.5重量部の組成物を
予備混合した後、30ミリ2軸押出機内で内径2mm、
外径3mmの中空糸状に押出した後、1,1,1−トリ
クロロエタン〔クロロセンVg(商品名)〕中に60分
間浸漬し、DOPを抽出した。
【0027】さらに、温度60℃の苛性ソーダ40%水
溶液中に約20分間浸漬して、微粉ケイ酸を抽出した
後、水洗、乾燥させることにより合成した。モノマーと
しては、4−ビニルピリジンを用い、ジビニルベンゼン
により架橋共重合を行った。基材膜に100kGyのγ
線を照射し、1mmHg以下の減圧下におき、4−ビニ
ルピリジンモノマーおよびシビニルベンゼンモノマーを
気相で接触させた。
【0028】リアクターは恒温槽中に入れ、反応温度は
30℃とした。1gの基材に対し、1gの4−ビニルピ
リジンおよび0.1gのジビニルベンゼンをリアクター
に導入し、全量反応させた。1〜5%のロスがあった
が、ほぼ全量をグラフト重合させることができた。該4
−ビニルピリジン−ジビニルベンゼン共重合膜をジブロ
モブタンの10%アセトン溶液に浸漬し、4級化および
架橋反応を行った。反応温度は40℃とし、反応時間を
変え、表3のA、B、Cのように3種類の架橋率を有す
る膜を合成した。
【0029】続いて、ヨウ化メチルによって、残存して
いる3級アミンを4級化した。ヨウ化メチルは、5%ア
セトン溶液とし、30℃で30時間、膜を浸漬させて4
級化を行った。最後に洗浄を行ったが、洗浄方法は主に
エタノール透水によった。1m2 当たり2L/分の透水
を2時間行い、さらに60℃に加熱して、20時間エタ
ノール中に浸漬した。
【0030】 3級アミン量の測定方法:3級アミン
を導入した膜について1NのHClを通水し、3級アミ
ンにCl- イオンを吸着させた後、1NのKNO3 を通
水し、濾液中のCl- イオンの濃度をAgNO3 による
沈澱滴定により測定した。
【0031】 4級アミン量の測定方法:得られたア
ニオン吸着膜について、1NのKNO3 を通水し、濾液
中のBr- イオンおよびI- イオンの濃度をAgNO3
による沈澱滴定により測定した。3級アミンのうち4級
化された割合を4級化率とする。
【0032】 中性塩分解能の測定:アニオン吸着膜
に対し、0.1NのNaOHを通水し、OH型にした
後、1NのNaClを通水した。以下、4級アミン量測
定と同様に、1NのKNO3 によりCl- イオンを脱着
し、滴定によりCl- イオンの吸着量を求めた。
【0033】 透水量の測定:透水量は公知の方法に
より測定した。すなわち、アニオン吸着膜に1気圧の圧
力をかけ、純水の透水量を測定した。純水は、脱イオン
を行った後、限外濾過膜で処理したものを用いた。ま
た、純水中に一定時間浸漬した後の膜についても透水量
を測定した。
【0034】 TOC溶出量の測定:アニオン吸着膜
の単糸を束ねてモジュール化して測定に用いた。モジュ
ールは1インチモジュールとし、30cmの長さの中空
糸が40本固定されている。0.1NのNaOH透水に
よりOH型にし、超純水ラインに設置した。供給水量を
20L/hrとし、濃縮水5L/hrをタンクに戻し、
濾水15L/hrを処理水として水質の測定を行った。
測定に先立って、120時間通水洗浄を行った。
【0035】図2に、評価に用いた超純水ラインの概略
図を示す。すなわち、タンク1に一次純水が供給され
る。一次純水の比抵抗は、15MΩ・cm以上である。
タンク1よりポンプ2によってラインに純水が供給され
る。純水はUF3によって濾過され、低圧UV照射装置
4によって紫外線を照射される。
【0036】低圧UV照射装置は野村マイクロサイエン
ス社製のTOC−UVを用いた。殆どの純水はそのまま
タンクに戻るが、一部試験ラインに供給される。試験ラ
インにおいて、アニオンポリッシャー5、混床ポリッシ
ャー6によって処理され、ファイナルUF7により濾過
された後、イオン吸着膜8に供給され、処理水について
TOCメーター9および比抵抗計10による測定がなさ
れる。TOCメーターはANATEL社製A−100P
SE、比抵抗計はDKK社製のAQ−11型を用いた。
【0037】 イオン吸着能力の測定:TOC溶出量
の測定に用いたのと同じモジュールおよび超純水ライン
を用いる。超純水ラインにおいて、アニオンポリッシャ
ー5の前にモジュールを設置し、モジュール前後のTO
C濃度および比抵抗を測定し、低圧UV照射装置4によ
ってイオン化された有機物の吸着能力を調べた。
【0038】(実施例2)実施例1と同じ基材を用い、
同じ方法によりメタクリル酸グリシジルをジビニルベン
ゼンと共にグラフト重合した。照射線量は100kG
y、反応温度は40℃とした。
【0039】実施例1と同様に基材1gに対し、メタク
リル酸グリシジル1g、ジビニルベンゼン0.1gを接
触させた。1〜5%のロスがあったが、ほぼ全量反応さ
せることができた。該グラフト重合膜を、30℃に加温
したジエチルアミンの50%水溶液に20時間浸漬し
た。メタクリル酸グリシジルのエポキシ基が開環し、ジ
エチルアミンが結合することが期待される。
【0040】以上の操作によって得られた膜について、
実施例1と同様にジブロモブタンによる4級化および架
橋を行い、引き続いて、ヨウ化メチルによる4級化を行
った。架橋率、4級化率などの膜物性は、表3に示す。
性能評価試験は実施例1と同様に行った。
【0041】(比較例1)4−ビニルピリジン−ジビニ
ルベンゼン共重合膜をヨウ化メチルによって4級化した
アニオン吸着膜についても同様な評価試験を行った。ヨ
ウ化メチルによる4級化の方法は、実施例1に従った。
【0042】(比較例2)4−ビニルピリジン−ジビニ
ルベンゼン共重合膜に対し、さらにジビニルベンゼンを
含浸させ、γ線照射による架橋を行い、引き続いて、ヨ
ウ化メチルによる4級化を行った場合についても実験を
行った。γ線の線量は、10kGy、ヨウ化メチルによ
る4級化の方法は、やはり実施例1に従った。
【0043】(比較例3)実施例2において得られる3
級アミンを含有する膜、すなわちメタクリル酸グリシジ
ルおよびジビニルベンゼンをグラフト重合し、該グラフ
ト重合膜に、ジエチルアミンを導入した膜について、そ
のままヨウ化メチルにより4級化した、該膜について、
やはり、実施例1と同様な性能評価試験を行った。透水
量の測定結果を図1に、超純水ラインにおける処理水水
質の測定結果を表1,2に示す。アニオン交換基を有す
る多孔膜において、それら交換基のうち一部を炭化水素
鎖によって架橋することによって、高いイオン吸着能力
を保ち、安定な透水量を維持し、しかも、TOC容出量
を十分に低減化できることがわかる。
【0044】
【表1】(TOC溶出試験結果)
【0045】*1)TOC濃度精度;±0.03pp
b, *2)比抵抗精度;±0.01MΩ・cm, *3)供給水中の微粒子濃度;0.1μm以上の微粒子
1個/mL以下,
【0046】
【表2】(イオン吸着能力測定結果)
【0047】*1)TOC濃度精度;±0.03pp
b, *2)比抵抗精度;±0.01MΩ・cm, *3)供給水中の微粒子濃度;0.1μm以上の微粒子
1個/mL以下, *4)処理水;アニオンポリッシャー処理水,
【0048】
【表3】(アニオン吸着膜物性)
【0049】VB :3級アミンモル数:3級アミン導入
モル数を1g基材当たりに規格化(mmol/g−B
P),P3 /W0 ×103 B :4級アミンモル数:4級アミン導入モル数を1g
基材当たりに規格化(mmol/g−BP),P4 /W
0 ×103 R :4級化率:3級アミンのうち4級化されたモル数
の割合(%),(QB /VB )×100 CR :架橋率:3級アミンのうち架橋されたモル数の割
合(%), 〔PD −((WD −W3 )×103 /MD ))/W0
×2×(1/VB )×100 EB :中性塩分解能を1g基材当たりに規格化(mmo
l/g−BP),E/W0 ×103
【0050】ただし、 W0 :基材重量(g) W3 :3級アミン導入膜重量(g) WD :ジハロゲン化アルキルにより架橋4級化した膜の
重量(g) MD :ジハロゲン化アルキル分子量 P3 :3級アミン導入モル数(mol:滴定により測
定) PD :ジハロゲン化アルキルにより架橋4級化した後の
4級アミンモル数(mol:滴定により測定) P4 :アニオン吸着膜中の4級アミン全モル数(mo
l:滴定により測定) E :中性塩分解能(mol:滴定により測定)
【0051】
【発明の効果】本発明は、イオン除去能力の高いアニオ
ン吸着膜について、処理水量およびTOC容出量を画期
的に改善するものである。本発明により、イオン交換樹
脂の限界を越えた新たな超純水製造プロセスを構築する
ことが可能となる。超純水製造プロセスに多大な効果を
与えるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】アニオン吸着膜の透水量の経時変化を示すグラ
フである。縦軸として、透水量(L/m2 ・hr・at
m・25℃)、横軸として、浸漬日数(日)を採り、透
水実験の条件として30℃、濾過圧1atmを採用し
た。
【図2】TOC溶出試験用超純水ラインを示すブロック
図である。
【符号の説明】
A:アニオン吸着膜A(4級化率97%、架橋率11
%) (実施例1) B:アニオン吸着膜B(4級化率90%、架橋率30
%) (実施例1) C:アニオン吸着膜C(4級化率95%、架橋率58
%) (実施例1) D:アニオン吸着膜D(4級化率84%、架橋率44
%) (実施例2) E:アニオン吸着膜E(4級化率96%、架橋率0%)
(比較例1) F:アニオン吸着膜F(4級化率88%、γ線架橋)
(比較例2) G:アニオン吸着膜G(4級化率91%、架橋率0%)
(比較例3)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1g当たり0.1ミリ等量以上のアニオ
    ン交換基を含有する多孔膜であり、透水量が100L/
    2 ・hr・atm・25℃以上であり、しかも、該透
    水量において膜からのTOC溶出量が1ppb以下であ
    ることを特徴とする、アニオン吸着膜。
  2. 【請求項2】 三次元網目構造を有し、平均孔径が0.
    01〜5μm、空孔率が20〜90%であることを特徴
    とする、請求項1記載のアニオン吸着膜。
  3. 【請求項3】 内径0.05〜5mm、肉厚0.01〜
    2mmの中空糸状であることを特徴とする、請求項1記
    載のアニオン吸着膜。
  4. 【請求項4】 多孔性の基材膜に対し、3級アミンを有
    するモノマーあるいは3級アミン導入可能な官能基を有
    するモノマーをグラフト重合させ、該膜をジハロゲン化
    アルキルを含む液中に所定時間浸漬することを特徴とす
    る、アニオン吸着膜の製造方法。
JP4029895A 1992-01-22 1992-01-22 新規のアニオン吸着膜及び製造方法 Withdrawn JPH05192593A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4029895A JPH05192593A (ja) 1992-01-22 1992-01-22 新規のアニオン吸着膜及び製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4029895A JPH05192593A (ja) 1992-01-22 1992-01-22 新規のアニオン吸着膜及び製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05192593A true JPH05192593A (ja) 1993-08-03

Family

ID=12288714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4029895A Withdrawn JPH05192593A (ja) 1992-01-22 1992-01-22 新規のアニオン吸着膜及び製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05192593A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10279713A (ja) * 1997-04-04 1998-10-20 Ebara Corp アニオン交換体、その製造方法及びケミカルフィルター
JP2005347231A (ja) * 2003-10-01 2005-12-15 Kurita Water Ind Ltd 燃料電池用水処理装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10279713A (ja) * 1997-04-04 1998-10-20 Ebara Corp アニオン交換体、その製造方法及びケミカルフィルター
JP2005347231A (ja) * 2003-10-01 2005-12-15 Kurita Water Ind Ltd 燃料電池用水処理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5087372A (en) Method for removing heavy metal ions from contaminated water and a porous membrane usable therefor
US5531900A (en) Modification of polyvinylidene fluoride membrane and method of filtering
JP3312634B2 (ja) キレート型イオン吸着膜および製造方法
JPH02187136A (ja) イミノジ酢酸基を有する複合機能ろ過膜の製造方法
JPWO2003014205A1 (ja) 焼結体、樹脂粒子及びその製造方法
JP2003112060A (ja) イオン吸着樹脂および多孔質イオン吸着体
JP3200458B2 (ja) 電気再生式脱塩装置
JP2003251118A (ja) 高容量金属捕捉能を有するフィルターカートリッジ
TWI248829B (en) Filter cartridge
JP2796995B2 (ja) アニオン選択吸着性多孔膜とその製造方法
JP2003251120A (ja) 微粒子・金属不純物精密濾過用フィルターカートリッジ
KR100454093B1 (ko) 전기탈이온 장치용 이온교환섬유
JPH0889954A (ja) ユースポイントモジュールシステム
JPH01224004A (ja) 選択吸着機能性ミクロフィルターとその製造方法
JP3555967B2 (ja) 耐溶出性アニオン吸着膜の製造方法およびその膜
JP2504885B2 (ja) イオン交換体の製造方法
JPH0478483A (ja) 超純水の製造システム
KR100903267B1 (ko) 전기탈이온 장치용 이온교환섬유의 제조방법
JPH05192593A (ja) 新規のアニオン吸着膜及び製造方法
US3186941A (en) Water softening with fine cation exchange tubes
JP3673452B2 (ja) 耐汚染性多孔質濾過膜
JPH0780259A (ja) 逆浸透膜および逆浸透膜分離素子の処理方法
KR100542297B1 (ko) 전기탈이온 장치용 자외선 그라프트 이온교환섬유 및 이의 제조방법
TW555595B (en) Anion exchangers and processes for preparing them
JPH02233193A (ja) 純水製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990408