JPH06206069A - イオンの除去方法 - Google Patents

イオンの除去方法

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JPH06206069A
JPH06206069A JP1682593A JP1682593A JPH06206069A JP H06206069 A JPH06206069 A JP H06206069A JP 1682593 A JP1682593 A JP 1682593A JP 1682593 A JP1682593 A JP 1682593A JP H06206069 A JPH06206069 A JP H06206069A
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ion
water
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membrane
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JP1682593A
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Takahiro Hori
隆博 堀
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高純度の超純水を長期間安定に供給すること
のできるイオン除去システムを提供する。 【構成】 同種のイオン交換基を有するイオン吸着
膜を充填したモジュール2本以上に被処理水を順次通水
するイオンの除去法。 最後尾以外のいずれかのモジ
ュール通過後の被処理水の水質をモニターし、その水質
が所定の範囲外になった時に、最初に被処理水が通過す
るイオン吸着膜モジュールを取り外し、連結システムの
各イオン吸着膜モジュールを順次一つずつ前に移動さ
せ、最後尾に新規のモジュールを設置するイオンの除去
方法。 【効果】 長期間にわたり高純度の超純水を安定して供
給するシステムが提供でき、従来の技術の限界を越えた
新たな超純水製造プロセスを可能。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体産業、医薬、原
子力などの分野における超純水製造プロセスをはじめ、
特に低濃度までイオンを吸着除去する必要のあるプロセ
スに、イオン除去効率が高く、処理水の水質を長期間安
定に保証できるイオン除去システムを提供することを目
的としている。
【0002】
【従来の技術】半導体産業、医薬、原子力などの超純水
を必要とする分野において、極めて高純度の超純水が要
求される場面が出始めている。中でも、半導体分野にお
いては、目覚ましい集積度の増加に伴い、その洗浄用水
として超純水に求められる水質は、従来の技術を越えた
新たな技術が必要とされている。
【0003】超純水製造プロセスにおいて、ユースポイ
ントに最も近い、最終部分におけるイオン除去システム
は、優れた脱イオンの能力とともに、優れた耐溶出性も
要求される。本発明者は、イオンとの接触効率、あるい
は洗浄効率において優れた中空糸状の多孔性イオン吸着
膜の開発に成功した。
【0004】また、単位体積あたりの処理水量として、
従来のポリッシャーの数倍以上の能力を有し、従来の超
純水製造システムの能力を越えた高純度の超純水を供給
するシステムを構築することに成功した。しかし、該中
空糸状イオン吸着膜を脱イオンに使用したところ、短期
間の通水でイオンのリークが始まった。イオン交換容量
としてはまだ十分残っているにもかかわらず、被処理水
の比抵抗を理論純水に維持できないという事態が生じ
た。
【0005】このような現象が起こると、連続通水の可
能な期間が短くなり、イオン吸着膜の交換頻度が多くな
るばかりでなく、被処理水の水質の保証も十分でなくな
ることになる。本発明では、この事態を解決し、これら
イオン吸着膜の容量を最大限に利用し、長期間安定に高
純度の超純水を提供するシステムを構築することに成功
したものである。
【0006】
【発明が解決しようしている課題】本発明は、極低濃度
までイオンを除去した高純度の超純水を長期間安定に供
給するイオン除去システムを提供することを目的として
いる。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者は、高純度の超
純水を長期間安定に供給することのできるイオン除去シ
ステムをつくるべく鋭意努力した結果、以下のような発
明をなすに至った。すなわち、本発明は; 同種のイオン交換基を有するイオン吸着膜を充填し
た2本以上のモジュールに被処理水を順次通水する、イ
オンの除去方法を提供する。また、
【0008】 のイオンの除去方法において、最後
尾以外のいずれかのモジュール通過後の被処理水の水質
をモニターし、その水質が所定の範囲外になったとき
に、該連結システムにおいて、最初に被処理水が通過す
るイオン吸着膜モジュールを取り外し、該連結システム
の各イオン吸着膜モジュールを順次一つずつ前に移動
し、最後尾に新規のモジュールを設置する、イオンの除
去方法をも提供する。
【0009】本発明は、以上のような方法により、イオ
ン吸着膜モジュールによるシステムより供給される超純
水の水質を十分高純度のものに維持しつつ、しかも、イ
オン交換基の利用率を画期的に向上させること、すなわ
ち、イオン吸着膜に導入したイオン交換基のうち、通水
期間において目的のイオンを吸着する割合を大きく向上
させることに成功したものである。
【0010】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。イオン吸着膜とは、イオン交換機能を有する多孔膜
であり、被処理水が膜の細孔内を流通する間に、被処理
水中のイオンが、細孔内に存在するイオン交換基によっ
て捕捉される機能を持った膜を指す。
【0011】イオン吸着膜の有する同種のイオン交換基
とは、アニオン交換基あるいはカチオン交換基という意
味で同種であることをいう。従って、スチレン系I型の
アニオン交換基を有するアニオン吸着膜と、ピリジンを
4級化したアニオン交換基を有するアニオン吸着膜を連
結した場合も当てはまる。
【0012】また、超純水製造システムにおいて、同種
のイオン交換基を有するイオン吸着膜を充填した2本以
上のモジュールが必ずしも直接接続されている必要はな
い。例えば、アニオン吸着膜モジュールの後にカチオン
吸着膜モジュールを接続して、さらにアニオン吸着膜モ
ジュールを連結する場合、或いはイオン交換樹脂ポリッ
シャーとイオン吸着膜モジュールを組み合わせて用いる
場合など様々なシステムが考えられる。
【0013】超純水の水質のモニターの方法は、比抵
抗、TOC濃度、シリカ濃度などの各種考えられるが、
脱イオンの目的に適い、しかもリアルタイムで測定でき
る方法として、比抵抗によるモニターが望ましい。な
お、アニオン吸着膜、カチオン吸着膜及び他のユニット
プロセスを組み合わせた場合、アニオン吸着膜及びカチ
オン吸着膜の連結システムの管理及び交換はそれぞれ独
立して行うものとする。
【0014】例えば、図1に示したラインを考える。ア
ニオン吸着膜、カチオン吸着膜それぞれの連結システム
を組み合わせた形となっており、比抵抗によるモニター
を用いる場合、以下に示すような管理方法が考えられ
る。
【0015】本システムの特徴は、最終的に得られる水
の純度を保証しつつ、しかもイオイオン吸着膜の容量を
最大限に利用することが可能な点である。従って、最終
的に得られる水の純度が維持されている限り、出来るだ
け長期間運転を継続することが望ましく、そのために、
最終的に得られる水の純度が低下する直前の時期を判断
し、モジュール交換を行なうこが必要である。
【0016】最終的に得られる水に最も近い位置、すな
わち最後尾のモジュールの直前で水質をモニターし、上
記の時期を判断することが望ましい。例えば、図1にお
けるアニオン吸着膜システムではM4、カチオン吸着膜
システムではM3で水質をモニターすると、交換時期の
判断は下記表1に示したようになる。
【0017】
【表1】 M1、M2でモニターすることによって、上記の時期の
判断をする場合、交換時期の判断の精度が低下し、水質
保証のため、交換時期を速くせざるを得ない場合が考え
られる。
【0018】しかし、ユースポイントに近いM3、M4
の部分で、例えばデットスペースを出来るだけ少なくす
ることを意図して、測定器は取り付けないと言う場合
に、M1、M2の位置で交換時期を判断することにな
る。この場合、例えば下記表2に示したようになる。
【0019】
【表2】
【0020】なお、キレート型イオン吸着膜の連結シス
テムを導入した場合、対象となる金属イオン濃度が低す
ぎて、比抵抗では検出できず、モニターできない場合が
考えられる。その場合は、定期的にサンプリングして原
子吸光で測定するなどの工夫が必要となる。
【0021】以上のように、イオン吸着膜の交換時期の
判定基準は、イオン吸着膜そのものの性能、モジュール
段数を含めたシステムの仕様、あるいは、要求最低水質
やモニターの位置によって決定されるものである。
【0022】個々のシステムにおいて、モニター値が交
換を要する基準値に達したとき、システムからの得られ
る水は、要求水質を十分に維持しており、しかも、最前
部のモジュールにおいては、イオン吸着膜の容量を最大
に利用した状態となっている。
【0023】この状態で、最前部のイオン吸着膜を取り
外し、順次イオン吸着膜を前に移動し、最後尾に新規の
イオン吸着膜を取り付け、運転を継続することになる。
イオン吸着膜モジュールの交換の操作において、パイプ
の付け替えをできるかぎり少なくし、しかも、デッドボ
リュームを極力なくしたパイピングシステムが求められ
る。
【0024】たとえば、図2、3に示したシステムが考
えられる。図2はバルブ操作によるシステムの例であ
る。新規のモジュール4を設置し、4連結の状態にした
後、バルブ操作によりモジュール1をバイパスする形に
し、モジュール1を取り外す。さらに、その次のモジュ
ール交換の際には、モジュール1の位置に新規モジュー
ルを設置し、モジュール2を取り外す。
【0025】以下、順次モジュール交換を繰り返すこと
になる。なお、図2に示したシステムでは逆洗を行うこ
とも可能である。図3は、カートリッジタイプのイオン
吸着膜によるシステムである。
【0026】各モジュール内のイオン吸着膜を順次取り
替えることにより、運転を継続することができる。該イ
オン吸着膜は、吸着膜単位体積当りできるだけ多くの液
を処理することができ、しかも、流通する被処理水はで
きるだけ多くのイオン交換基と接触する必要がある。
【0027】従って、形状は、平膜状、繊維状、中空糸
状などの中で、中空糸状が望ましい。また、ミクロ構造
としては、膜単位体積当りの比表面積が大きく、孔径に
ついては大きさが揃っており、三次元的に均一に分布し
ていることが望ましい。
【0028】以上の要求を満たすイオン吸着膜として、
たとえば、特開昭61−220705号公報、特開平2
−132132号公報、特開平2−160845号公報
に記載のアニオン吸着膜およびカチオン吸着膜などが適
当である。また、特開平02−187136号公報に記
載のキレート形成基を導入した膜にも同様のシステムが
応用できる。
【0029】なお、モジュール内に充填するイオン吸着
膜は、1g当り0.1ミリ当量以上のイオン交換基が結
合した多孔膜が望ましい。イオン交換容量が少ないと、
短期間で破過してしまうため、イオン吸着膜の交換頻度
を少なくするという本発明のメリットが生かせなくな
る。また、イオン交換基の密度が低いとイオン除去効率
が低くなり、出口における液中イオン濃度を十分に下げ
ることができなくなり、やはり好ましくない。
【0030】なお、ここでいうイオン吸着膜1g当りと
は、イオン吸着膜のかなりマクロ的な重量を基準にした
値のことであって、イオン吸着膜全体に導入されたイオ
ン交換基量を単純にそのイオン吸着膜の重量で除したも
のである。
【0031】イオン吸着膜に導入されたイオン交換基の
量は、対象となるイオンを含有する溶液を十分量通水
し、引き続いて、吸着したイオンを脱着し、イオンの吸
着量を測定し、求める。アニオン吸着膜およびカチオン
吸着膜については、NaCl水溶液を十分量通水し、そ
れぞれCl- イオン、Na+ イオンの吸着量として求め
る。キレート型イオン吸着膜の場合も、例えば、硫酸銅
の溶液を用いて、同様に吸着量からキレート形成基の導
入量を求めることができる。
【0032】本発明は、イオン吸着膜モジュールを設置
し、通水を開始した後、イオン交換基の一部にしかイオ
ンが吸着されていない状態で破過が起こり、得られる処
理水の水質を維持できなくなるという現象を克服するこ
とを目的としてなされたものである。
【0033】上記現象の原因について、およそ以下のよ
うな予想を立てた。内容を図4に示す。被処理水がイオ
ン吸着膜の細孔内を流通する間に、水中のイオンは、細
孔内表面のイオン交換基の層内に入り、イオン交換が行
われる。イオン交換基のうちイオンを捕捉した割合、す
なわちイオン交換基占有率と水中のイオン濃度とは平衡
関係にある。
【0034】ところが、イオン交換基に捕捉されたイオ
ンがイオン交換基の層内をイオン交換基占有率の低い
方、すなわち、細孔の出口に向かって拡散し、やがて、
膜の表面に到達する。細孔出口から流出する膜処理水中
のイオン濃度は、膜表面におけるイオン交換基占有率と
平衡関係にある。すなわち、その平衡濃度に相当する濃
度のイオンがリークすると考えられる。
【0035】以上のようなイオン交換基の層内のイオン
の拡散現象を膜内拡散と呼ぶことにする。膜内拡散の現
象は、キレート形成基を有する膜状イオン吸着膜におい
て確認された。その概要を図5に示す。キレート膜に一
定量の銅イオンを吸着させた後、通水を止め、静置し
た。図のAは通水直後、図のBは静置後1週間の膜内の
銅イオンの分布をX線マイクロアナライザーにより測定
した結果である。細孔の入り口付近に集中していた銅イ
オンが拡散し細孔出口にまで達している様子が分る。
【0036】本発明者は、上記問題を解決するため、シ
ミュレーションによる考察を行った。モデルにおいて、
膜内拡散を無限大とおいた。すなわち、細孔の入り口に
おいて、イオン吸着膜に捕捉されたイオンは直ちに膜内
を拡散し、細孔内の入り口から出口までイオン交換基占
有率が瞬間的に均一になるというモデルである。単純、
極端、かつイオン吸着膜としては、最悪の事態を想定し
たモデルである。
【0037】イオン交換基占有率と水中イオン濃度は常
に平衡関係にあるとし、関係式として、「化学工学便
覧、改訂5版」p.614に定義されている選択係数を
用いた。アニオン吸着膜による有機酸の吸着を想定し、
スチレン系I型のアニオン交換基の酢酸に対する選択係
数として記載されている3.2という値を用いた。
【0038】以上の関係を式(1)に示す。なお、有機
酸は十分低濃度とし、100%解離しているものとし
た。また、水中には有機酸、水素イオン、水酸化物イオ
ン以外のイオンはないものとし、(2),(3)式が成
り立つとした。
【0039】
【数1】 (〔R−A〕/〔R−OH〕)(〔OH- 〕/〔A- 〕)=3.2 (1) 〔OH- 〕+〔A- 〕=〔H+ 〕 (2) 〔H+ 〕〔OH- 〕=10- 14 (3) 〔R−A〕 :有機酸によるイオン交換基占有率 〔R−OH〕:有機酸を捕捉していないイオン交換基の
割合 〔A- 〕 :水中有機酸濃度 〔H+ 〕 :水中水素イオン濃度 〔OH- 〕 :水中水酸化物イオン濃度
【0040】シミュレーションの結果、以下のような重
要な点を見出した。まず、図6において、イオン交換基
占有率とそれに平衡な水中のイオン濃度および比抵抗と
の関係を示す。イオン交換基占有率が25%を越える
と、水中のイオン濃度が10-8mol/Lを越え、比抵
抗18.1ΜΩ・cm以上を維持できなくなる。
【0041】しかし、イオン交換基占有率が90%のと
きにおいても、水中イオン濃度は2×10- 7 mol/
Lである。イオン吸着膜に供給される水は、一次純水に
低圧UVを照射し、有機酸を生成させたものとすると、
比抵抗が5〜10ΜΩ・cm、有機酸濃度は、5×10
-7mol/L程度が予想される。これを、イオン交換基
占有率が90%のイオン吸着膜に供給し、通水を行う
と、処理水中のイオン濃度は、2×10-7mol/Lと
なることが予想され、60%のイオン除去効果が期待で
きることになる。
【0042】従って、イオン交換基占有率が25%を越
え、18.1ΜΩ・cm以上の比抵抗を維持できなくな
ったイオン吸着膜の後に新規のイオン吸着膜を連結する
と、連結したイオン吸着膜への容量的負担は小さく、1
本目のイオン吸着膜の交換容量を十分に利用しつつ、し
かも連結システムより得られる純水の水質を十分高純度
に維持することができる。
【0043】3連結システムによりモデル計算を行った
結果を図7に示す。イオン交換基占有率が、1本目のイ
オン吸着膜モジュールについて25%、2本目は1%、
3本目は新規のモジュールとして通水を行うと、2本目
のモジュールのイオン交換基占有率が25%を越えたと
き、1本目のモジュールのイオン交換基占有率は95%
を越えており、イオン吸着膜内のイオン交換基を十分に
利用していること、また、3本目のモジュールのイオン
交換基占有率は1%以下であり、3本目のモジュールよ
り得られる純水中のイオン濃度が10- 10mol/L以
下であって、比抵抗として十分に18.1ΜΩ・cm以
上を維持していることが計算結果として得られた。
【0044】この後、1本目のモジュールを取り外し、
2本目を1本目の位置へ、3本目を2本目の位置へそれ
ぞれ移動し、3本目の位置に新規のモジュールを設置す
ることにより初期状態に戻ることができ、運転を継続す
ることができる。以上のシステムは、アニオン吸着膜、
カチオン吸着膜および重金属を吸着除去するキレート型
イオン吸着膜のシステムとして利用可能である。
【0045】また、本発明は、超純水以外のあらゆる脱
イオンプロセスに応用することが可能である。各種廃液
処理や、液の精製における脱イオンプロセスにおいて、
イオン吸着膜の利用効率を上げ、しかも、得られる液の
精製度を上げるために有効な方法である。
【0046】
【実施例】以下に実施例によって本発明の詳細な説明を
行うが、これらは本発明の範囲を限定しない。 (膜合成)ポリエチレン製の多孔性中空糸膜に放射線グ
ラフト重合法によりアニオン交換基を導入した。基材と
して、ポリエチレン製の中空糸状多孔膜を用いた。該中
空糸状多孔膜は三次元網目構造を有し、内径2mm、外
径3mm、平均孔径0.2μmのものである。
【0047】基材膜は公知の方法で製造した。すなわ
ち、微粉ケイ酸(ニプシルVN3LP)22.1重量
部、ジオクチルフタレート(DOP)55.4重量部、
ポリエチレン樹脂粉末〔旭化成SH−800グレード〕
22.5重量部の組成物を予備混合した後、30ミリ2
軸押出機内で内径2mm、外径3mmの中空糸状に押出
した後、1,1,1−トリクロロエタン中に60分間浸
漬し、DOPを抽出した。さらに、温度60℃の苛成ソ
ーダ40%水溶液中に約20分間浸漬して、微粉ケイ酸
を抽出した後、水洗、乾燥させることにより合成した。
【0048】(膜状アニオン吸着膜合成)モノマーとし
てはクロロメチルスチレンを用い、ジビニルベンゼンに
より架橋共重合を行った。基材膜に100kGyのγ線
を照射し、1mmHg以下の減圧下におき、クロロメチ
ルスチレンモノマーおよびジビニルベンゼンモノマーを
気相で接触させた。
【0049】1gの基材に対し、2gのクロロメチルス
チレンおよび0.2gのジビニルベンゼンをリアクター
に導入し、反応させた。該クロロメチルスチレン−ジビ
ニルベンゼン共重合膜をトリメチルアミン15%を含む
水、アセトンの1対1混合溶液に浸漬し、4級化反応を
行った。
【0050】導入したアニオン交換基量は中性塩分解能
によって求めた。膜に対し0.1NのNaOH水溶液を
通水しOH型にした後、1NのNaCl水溶液を通水し
た。続いて、1NのNaOH水溶液中に24時間浸漬
し、Cl- イオンを脱着し、硝酸銀による沈殿滴定によ
りCl- イオンの吸着量を求めた。膜1mあたり〜8.
0mmolのイオン交換基を導入することができた。
【0051】(イオン吸着能力の評価)単糸を束ねてモ
ジュール化したものによる評価を行った。直径4cmの
モジュールに、30cmの長さの中空糸を100本固定
したものを用いた。0.1NのNaOH透水によりOH
型にし、超純水ラインに導入して、実験に用いた。
【0052】図8に、評価に用いた超純水ラインの図を
示す。タンク1に一次純水が供給される。一次純水の比
抵抗は15ΜΩ・cm以上でるある。タンク1よりポン
プ2によってラインに純水が供給される。純水はUF3
によって濾過され、低圧UV照射装置4によって紫外線
を照射される。低圧UV照射装置は野村マイクロサイエ
ンス社製のTOC−UVを用いた。殆どの純水はそのま
まタンクに戻るが、一部試験ラインに供給される。
【0053】(イオン吸着能力の測定)図8に示した超
純水ラインにおいて、試験ラインにモジュールシステム
を設置する。処理水について比抵抗およびTOC濃度を
測定する。比抵抗は電気化学計器社製のAQ−11型に
より行い、TOC濃度はANATEL社製100PSE
により測定する。
【0054】(予備実験)予備実験として、新規のアニ
オン吸着膜モジュールを2本連結し、試験ラインに設置
した。アニオン吸着膜モジュールの仕様および吸着膜シ
ステムへの供給水の水質を表3、4に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】1時間当りモジュール容積の1,000倍
の純水を通水した(SV=1000L/L・hr)。膜
処理水の水質測定結果をグラフにより図9に示す。図中
のA、Bは、それぞれアニオン吸着膜モジュールA、B
通過直後の比抵抗およびTOC濃度を示している。通水
初期においては、1本目のモジュールA通過後の被処理
水の比抵抗は、18.1ΜΩ・cm以上を維持してい
る。
【0058】しかし、通水後11日目で比抵抗はわずか
に低下する。さらに通水を続けると、その後、52日で
比抵抗は急激に低下し、TOC濃度の上昇が認められ
る。さらに、60日で10ΜΩ・cm以下となる。
【0059】このような処理水の水質の変化は、図6に
示した比抵抗の変化とよく似た傾向となっている。な
お、この間、2本目のモジュールBの処理水について
は、比抵抗は18.1ΜΩ・cm以上、TOC濃度は
0.5ppb以下を維持している。モジュールBの処理
水の比抵抗は65日目でわずかに低下する。
【0060】以上予備実験の結果より、アニオン吸着膜
2連結システムにおいて、1本目モジュール通過後の被
処理水の比抵抗が10ΜΩ・cm以下になったときに、
モジュール交換を行うことにより、システムより得られ
る純水の水質を18.1ΜΩ・cm以上に維持し、しか
も1本目モジュールにおいて、十分高いイオン交換基利
用率を得ることができる。
【0061】(実施例1)以上の結果を踏まえて、アニ
オン吸着膜モジュール2本の連結システムによる実験を
行った。図8に内容を示した。予備実験に用いたシステ
ムと同様であるが、1本目のモジュールとして、予備実
験で使用した2本目のモジュールBを用いている。2本
目には、新規のモジュールCを設置した。
【0062】実験結果を図10に示す。SV=1000
で通水した。通水開始後43日で、モジュールB処理水
について、比抵抗の急激な低下およびTOC濃度の上昇
が始まり、51日で、比抵抗は10ΜΩ・cm以下とな
り、モジュール交換の時期に至った。この時点における
2本目モジュールC通過後の水質については、比抵抗
は、18.1ΜΩ・cm以上、TOC濃度は、0.5p
pb以下をそれぞれ維持している。
【0063】(実施例2)実施例1の実験終了後1本目
モジュールBを外し、モジュールCの後に新規モジュー
ルDを取り付け、モジュールC、Dによる2連結システ
ムとして再び通水を開始した。その結果を図11に示
す。
【0064】1本目モジュールC通過後の純水の比抵抗
が10ΜΩ・cmを切ったのは、54日後であり、その
ときモジュールD通過後の純水の比抵抗は18.1ΜΩ
・cm以上、TOC濃度は0.5ppb以下であった。
以上、実施例の結果より以下のことが分る。
【0065】予備実験における、1本目のモジュールA
による処理水の水質の経過が比較例となる。モジュール
1本では、10日程度で被処理水の比抵抗が18.1Μ
Ω・cm以上を維持できなくなるが、2本連結すること
によって、50日以上の連続通水が可能となり、イオン
吸着膜内のイオン交換基利用率を大幅に向上させること
ができることが示された。
【0066】なお、今回行った実験は、SV=1000
で行っており、これは通常のポリッシャーに比べ、単位
容積あたりの処理水量としては、1桁高い値である。実
際に用いる場合には、SVを下げることによって連続通
水をさらに長期化することができる。
【0067】また、今回行った実験は2本の連結システ
ムであるが、さらに3本目にモジュールを連結すること
により、得られる純水の水質の信頼度がさらに高まるこ
とはいうまでもない。
【0068】
【発明の効果】本発明は、長期間にわたり高純度の超純
水を安定して供給するシステムを提供するものである。
本発明により、イオン交換樹脂の限界を越えた新たな超
純水製造プロセスを構築することが可能となる。超純水
製造プロセスに多大な効果を与えるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】多連結システムにおける、管理方法を示す模式
図である。
【図2】バルブ操作によるイオン吸着膜連結システムの
パイピングシステム1を示す模式図である。
【図3】カートリッジタイプのイオン吸着膜によるシス
テムのパイピングシステム2を示す模式図である。
【図4】イオンリークを示す概念図である。
【図5】キレート膜内の拡散現象を示す関係図である。
【図6】イオン交換基占有率と水中イオン濃度および比
抵抗の関係を示すグラフである。
【図7】3連結システムのシミュレーション結果を示す
模式図である。
【図8】イオン吸着膜の実験装置による超純水ラインを
示す模式図である。
【図9】予備実験の結果であって、比抵抗およびTOC
濃度の変化を示すグラフである。
【図10】実施例1の実験結果であって、比抵抗および
TOC濃度の変化を示すグラフである。
【図11】実施例2の実験結果であって、比抵抗および
TOC濃度の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1〜4 モジュール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同種のイオン交換基を有するイオン吸着
    膜を充填した2本以上のモジュールに被処理水を順次通
    水することを特徴とする、イオンの除去方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のイオンの除去方法におい
    て、最後尾以外のいずれかのモジュール通過後の被処理
    水の水質をモニターし、その水質が所定の範囲外になっ
    たときに、該連結システムにおいて、最初に被処理水が
    通過するイオン吸着膜モジュールを取り外し、該連結シ
    ステムの各イオン吸着膜モジュールを順次一つずつ前に
    移動させ、最後尾に新規のモジュールを設置することを
    特徴とする、イオンの除去方法。
JP1682593A 1993-01-08 1993-01-08 イオンの除去方法 Withdrawn JPH06206069A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09232731A (ja) * 1996-02-28 1997-09-05 Nec Toyama Ltd 基板処理装置及び処理液中の金属イオン濃度の制御方法
JP2011189318A (ja) * 2010-03-16 2011-09-29 Kurita Water Ind Ltd イオン交換装置の運転方法
JP2014126544A (ja) * 2012-12-27 2014-07-07 Kobelco Eco-Solutions Co Ltd 放射性セシウム含有水の吸着塔の交換方法
JP2015167906A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 富士通株式会社 金属イオン除去装置及び液冷装置
JP2020066591A (ja) * 2018-10-24 2020-04-30 オルガノ株式会社 有機溶媒の精製方法及び精製装置

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