JPH08156164A - 発熱積層構造体 - Google Patents

発熱積層構造体

Info

Publication number
JPH08156164A
JPH08156164A JP6332130A JP33213094A JPH08156164A JP H08156164 A JPH08156164 A JP H08156164A JP 6332130 A JP6332130 A JP 6332130A JP 33213094 A JP33213094 A JP 33213094A JP H08156164 A JPH08156164 A JP H08156164A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
heat
laminated structure
acid
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6332130A
Other languages
English (en)
Inventor
Hironori Yamamoto
弘典 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Petrochemicals Co Ltd filed Critical Nippon Petrochemicals Co Ltd
Priority to JP6332130A priority Critical patent/JPH08156164A/ja
Publication of JPH08156164A publication Critical patent/JPH08156164A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度の上昇速度が大きく、均一な加熱が可能
であり、かつ小型軽量で寿命が長い、定着ロールなどに
使用する発熱積層構造体を提供する。 【構成】 耐熱性樹脂成形体2の外表面に発熱体層3お
よび熱伝導体層4をこの順に形成してなる発熱積層構造
体1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリンタ、ファクシミ
リ、複写機等において、記録紙上に転写したカーボント
ナー像の定着(熱固定化)に使用される発熱積層構造
体、例えば定着ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】粉体あるいは液体を現像材とする記録方
式、例えば電子写真記録装置においては、印刷用紙等の
記録媒体の搬送路を介して定着ロールと加圧ロールとを
対向配置した構造が知られている。そして、このような
定着装置は、記録媒体に転写されたカーボントナーを定
着ロール(熱固定化ロール)の熱で加熱溶融させ、定着
ロールと加圧ロールの間で加圧することによりカーボン
トナーを記録媒体に定着させる。この定着ロールには、
熱ロールを用いるもの、フラッシュ光を用いるもの、セ
ラミックス板の上にニクロム層を設けたもの等がある。
【0003】トナー定着時のこれらの定着ロールの温度
は、200℃付近であることが必要であり、所定温度を
保つために、間接加熱方式と直接加熱方式のものが考案
されている。間接加熱方式の熱固定化ロールとしては、
回転する中空ロールの中にハロゲンランプを挿入し、ハ
ロゲンランプの輻射熱によって熱をロールに伝える方式
ものが一般的である。直接加熱方式の熱固定化ロールと
しては、金属中空管の外表面上に電気絶縁体層を介して
設けたニクロム層へ通電し加熱する方法、あるいは金属
中空管の内側に電気絶縁体層を介して設けた炭素繊維層
へ通電し加熱する方法、電気絶縁芯材にニクロム線を巻
き、セラミックセメントで固定して、金属粉等を詰めた
金属管で封止し、ニクロム線へ通電して加熱する方法な
どが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の間接加熱方式
は、ハロゲンランプの輻射熱よって熱をロールに伝えて
いたため、予熱時間が長く、かつエネルギー効率が悪い
という欠点があった。これらの欠点を改良するために、
直接加熱方式が考えられた。しかし、金属管の外表面上
に耐熱性樹脂等の電気絶縁体層を介して行う通電加熱方
式では、20℃以上の温度のばらつきが生じて、定着像
に濃淡むらが生じるという欠点があった。そこで、温度
むらを改良した熱ロールが、特開平5−80670号公
報や特開平5−278141号公報等に提案されてい
る。しかし前者は、電気絶縁芯材にニクロム線を巻き、
それをセラミックセメントで固定して、金属粉等を詰め
た金属管で封止したものであり、製造工程は煩雑であ
り、かつ熱ロール自体が重いという欠点があった。一
方、後者は金属中空管の内側にガラス繊維と炭素繊維を
耐熱性樹脂で固着させ一体化したものであるが、その製
造工程は、長さ30cm前後のパイプの形状に合わせて
繊維状のガラスおよび炭素を内側にセットした後、内側
から圧力をかけて加熱し固着一体化するため、技術的に
煩雑であり、かつ一定の発熱効率を有する熱ロールの生
産歩留まりが悪くなるという欠点があった。さらに、熱
ロール自体の重量は、従来品より多少軽くなったが、金
属パイプを使用しているため依然として重いという欠点
が解消されておらず、また高価な炭素繊維を用いるため
コストが高いという問題も有していた。すなわち、定着
ロールは加圧ロールと対向配置した構成で使用されると
ころから、加圧ロールによる圧力に耐えるために一定値
以上の構造強度を保有することが必要であり、したがっ
て、従来の定着ロールは強度を負担する構造材としてい
ずれも金属製の中空パイプを使用しており、前述のよう
に重量が大きいという金属特有の欠点を依然として保有
するものである。本発明の目的は、温度の上昇が速く、
均一な加熱が可能であり、かつ小型軽量で、長寿命の定
着ロールなどに使用される発熱積層構造体を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、耐熱性
樹脂成形体の外表面に発熱体層および熱伝導体層をこの
順に形成してなる発熱積層構造体に関するものである。
本発明の第2は、上記第1の発明において、耐熱性樹脂
成形体が中空パイプであることを特徴とする発熱積層構
造体に関する。本発明の第3は、上記第1の発明におい
て、発熱体層および熱伝導体層が薄膜コーティングによ
り形成されてなることを特徴とする発熱積層構造体に関
する。本発明の第4は、上記第1の発明において、耐熱
性樹脂がサーモトロピック液晶ポリマーであることを特
徴とする発熱積層構造体に関する。本発明の第5は、上
記第1の発明において、熱伝導体層の熱伝導率が発熱体
層の熱伝導率より大きく、かつ50W・m-1・K-1以上で
あることを特徴とする発熱積層構造体に関する。
【0006】以下、本発明をさらに説明する。本発明に
おいて使用する耐熱性樹脂とは、荷重たわみ温度(AS
TM D648、荷重18・5kgf/cm2)が195℃以上
である熱可塑性樹脂をいう。発熱体として使用するため
には、195℃以上の加重たわみ温度が必要である。樹
脂としては、加重たわみ温度が上記の条件を満たす限
り、従来公知のいずれの熱可塑性樹脂も採用することが
できる。例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリサ
ルホン、全芳香族ポリエステル、ポリエーテルエーテル
ケトン、ポリエーテルイミドなどが好ましく用いられ
る。これらは、無機充填材により強化することができ
る。耐熱性のほかに成形性も考慮すると、サーモトロピ
ック液晶ポリマーが好ましい。
【0007】本発明でいうサーモトロピック液晶ポリマ
ーとは、溶融時に光学的異方性を示し、かつ熱可塑性を
有するポリマーである。このように溶融時に光学的異方
性を示すポリマーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則
的な平行配列をとる性質を示す。光学的異方性溶融相の
性質は、直交偏光子を利用した通常の偏光検査法により
確認することができる。上記液晶ポリマーとしては、例
えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリカーボネート、
液晶性ポリエステルイミドなどがあり、具体的には、
(全)芳香族ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリ
アミドイミド、ポリエステルカーボネート、ポリアゾメ
チン等が挙げられる。サーモトロピック液晶ポリマー
は、一般に細長く、偏平な分子構造からなり、分子の長
鎖に沿って剛性が高い。本発明において用いるサーモト
ロピック液晶ポリマーには、一つの高分子鎖の一部が異
方性溶融相を形成するポリマーのセグメントで構成さ
れ、残りの部分が異方性溶融相を形成しないポリマーの
セグメントから構成されるポリマーも含まれる。また、
複数のサーモトロピック液晶ポリマーを複合したものも
含まれる。
【0008】サーモトロピック液晶ポリマーを構成する
モノマーの代表例としては (A)芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種、 (B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくと
も1種、 (C)芳香族ジオール系化合物の少なくとも1種、 (D)(D1)芳香族ジチオール、(D2)芳香族チオフ
ェノール、(D3)芳香族チオールカルボン酸化合物の
少なくとも1種、 (E)芳香族ヒドロキシルアミン、芳香族ジアミン系化
合物の少なくとも1種等の芳香族化合物が挙げられる。
これらは単独で構成される場合もあるが、多くは(A)
と(C);(A)と(D);(A)、(B)と(C);
(A)、(B)と(E);あるいは(A)、(B)、
(C)と(E)等の様に組合せて構成される。
【0009】上記(A)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン
酸、4,4'−テルフェニルジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエー
テル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4'−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4'−ジカルボン
酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカ
ルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3'−ジカルボン
酸、ジフェニルエタン−3,3'−ジカルボン酸、1,6
−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ま
たはクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロ
モテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフ
タル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、
エトキシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0010】(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメ
チル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキ
シ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフト
エ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ
酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロ
キシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−
7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7
−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0011】(C)芳香族ジオールとしては、4,4'−
ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシビフェ
ニル、4,4'−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,
4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、または
クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−
ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メト
キシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−
クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジ
オールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0012】(D1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレ
ン−ジチオール等が挙げられる。 (D2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルカプ
トフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカ
プトフェノール等が挙げられる。 (D3)芳香族チオールカルボン酸としては、4−メル
カプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカ
プト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ
酸等が挙げられる。
【0013】(E)芳香族ヒドロキシルアミン、芳香族
ジアミン系化合物としては、4−アミノフェノ−ル、N
−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレン
ジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、
N,N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−
アミノフェノ−ル、3−メチル−4−アミノフェノ−
ル、2−クロロ−4−アミノフェノ−ル、4−アミノ−
1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシビフェ
ニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメタン、
4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4'−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリ
ン)、4,4'ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジ
アミノトルエン、4,4'−エチレンジアニリン、4,4'
−ジアミノジフェノキシエタン、4,4'−ジアミノジフ
ェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4'−ジアミ
ノジフェニルエ−テル(オキシジアニリン)等が挙げら
れる。
【0014】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やスラリ
ー重合法等の多様なエステル形成法などにより製造する
ことができる。
【0015】本発明に用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーの重量平均分子量は、約2,000〜200,00
0、好ましくは約4,000〜100,000である。分
子量の測定は、例えば圧縮フィルムについて赤外分光法
により末端基を測定して求めることができる。また溶液
状で行う一般的な測定法としてGPCを用いることもで
きる。
【0016】これらのモノマーから得られるサーモトロ
ピック液晶ポリマーのうち、一般式化1で表わされるモ
ノマー単位を必須成分として含む(共)重合体である芳
香族ポリエステルが好ましい。特に好ましいものは、上
記モノマー単位を5モル%以上含む芳香族ポリエステル
である。
【0017】
【化1】
【0018】本発明の特に好ましい芳香族ポリエステル
の1つは、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびジ
ヒドロキシビフェニルの3種の化合物からそれぞれ誘導
される繰返し単位を有する化2で表わされるポリエステ
ルであるが、このポリエステルのジヒドロキシビフェニ
ルから誘導される繰返し単位は、その一部または全部を
ジヒドロキシベンゼンから誘導される繰返し単位により
置換することができる。また、p−ヒドロキシ安息香酸
およびヒドロキシナフトエ酸の2種の化合物からそれぞ
れ誘導される繰返し単位を有する化3で表わされるポリ
エステルも好ましいものである。
【0019】
【化2】
【化3】
【0020】本発明のサーモトロピック液晶ポリマー
は、1種または2種以上の混合物として使用することも
できる。
【0021】本発明において使用する耐熱性樹脂成形体
は、フィルムやシートなどの板状体、円柱などの柱状
体、中空パイプなどの中空の柱状体など、任意の形状に
することができる。定着ロールとしては、好ましくは中
空のパイプ状の成形体が用いられる。この中空パイプは
従来公知の射出成型法あるいは押出成形法によって成形
することができる。例えば、サーモトロピック液晶ポリ
マー製の中空パイプの場合には、均一でかつ機械的強度
の大きい中空パイプを得るために、出願人の先の出願で
ある国際公開WO 94/25243号公報に記載した
方法を用いることが好ましい。上記成形体は、発熱積層
構造体の構造を支持するものであるため、一定の厚みが
必要である。通常、この厚みは0.1〜50mmの範囲
から選択される。
【0022】本発明においては、耐熱性樹脂からなる成
形体の上に発熱体層を形成する。ここで発熱体層とは、
通電あるいはマイクロ波放電により発熱する材料により
形成された層をいう。発熱体用材料としては、従来公知
の単一発熱体、発熱複合体、回路化金属蒸着薄膜などを
採用することができる。例えば、従来公知の単一発熱体
としては、ニクロムなどを例示することができる。発熱
複合体としては、ステンレス鋼、銅、ニッケル、鉄、ア
ルミニウム、クロム、コバルト等の金属;炭素;あるい
はTiO2、SnO2、ZnO2またはその混合物などの金属
化合物;マンガン等の磁性体などの繊維または粉体を適
宜の樹脂に分散させて得られる樹脂分散体を例示するこ
とができる。さらに回路化された金属蒸着薄膜を発熱体
層として用いることも可能である。回路化に使用される
金属としては、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、
クロム、チタン、白金、パラジウム、ステンレス鋼、銅
−亜鉛合金、ニクロム等を例示することができる。上記
のように、通電あるいはマイクロ波放電によって発熱す
る材料であれば、特に制限なく使用することが可能であ
る。
【0023】前述のように、発熱積層構造体を定着ロー
ルとして用いる場合には、200℃の高温に加熱するこ
とが必要であり、その消費電力は発熱積層構造体の大き
さや形状などによっても異なるが、通常の定着ロールに
おいては、100〜300W程度が必要である。従っ
て、商用の100V電源を使用した場合、発熱体層の抵
抗値は30〜100Ωとなるように設定するのが好まし
い。通常、発熱体層の厚みは、1mm以下、好ましくは
500μm以下である。
【0024】発熱体層は、耐熱性樹脂からなる成形体、
例えば中空パイプなどの外表面上に形成する。形成方法
としては、従来公知の方法を用いることができる。例え
ば、単体からなる発熱体用材料を原料とする場合に、溶
液からの薄膜形成方法としては、無電解メッキ法、電気
メッキ法、ポリマーコーティング法などが挙げられ、真
空中での薄膜形成方法としては、真空蒸着法およびスパ
ッタリング法などを例示することができる。真空蒸着法
による場合には、圧力10-5〜10-7Torr の真空槽内
において、発熱体の試料を通電加熱によって蒸発させ、
耐熱性樹脂からなる中空パイプの外表面に固着積層する
ことにより発熱体層を形成する。またスパッタリング法
においては、電子ビームあるいは放電などで励起され、
あるいはイオン化された希ガス(例えばアルゴン)など
を、発熱体の原料である固体試料の表面に照射し、表面
の試料を弾き飛ばして、耐熱性樹脂からなる中空パイプ
の外表面に固着積層することにより発熱体層を形成す
る。無電解メッキ法は、金属塩を化学的に還元し、還元
金属の析出により被膜を形成する方法である。電気メッ
キ法は、導電層を電極とし、金属塩の溶液から電気的に
還元された金属を導電層に電着させる方法である。しば
しば無電解メッキを行った後に、さらに電気メッキを施
すことにより薄膜を形成することが行われる。上記のい
ずれの方法によっても薄層を形成することができる。
【0025】発熱体用材料として発熱複合体を用いる場
合には、塗装あるいは融着一体化などの方法を用いるこ
とができる。塗装による場合は、例えば電気伝導性粉体
とテフロンなどのフッ素樹脂、シリコーン樹脂などの適
宜の樹脂粉体とを適宜の溶媒に分散させた分散液を、耐
熱性樹脂からなる成形体の外表面に塗装して乾燥する。
融着一体化による場合は、電気伝導体の繊維または粉体
を分散混合した樹脂のシートにより、耐熱性樹脂の中空
パイプをすし巻きにして、熱処理により発熱複合体を融
着して一体化する。
【0026】発熱体用材料として回路化金属蒸着薄膜を
用いる場合には、蒸着薄膜は上述のような真空蒸着法あ
るいはスパッタリング法によって作製することができ
る。回路化は従来公知のエッチング等の処理によって行
うことができる。
【0027】その他、発熱体フィルムを適宜の耐熱性両
面接着テープ、接着剤等により接着し、発熱体層を形成
することもできる。通電により発熱体層を加熱する場合
には、電源に接続するための適宜の電極端子を任意の箇
所、例えば積層体端部などに設けることができる。
【0028】本発明においては、発熱体層の上にさらに
熱伝導体層を形成する。この熱伝導体層は、良好な熱伝
導により、前記発熱体層で発生した熱を均一に分布させ
るためのものである。発熱体層よりも熱伝導率が大き
く、かつ熱伝導率が50W・m-1・K-1以上の材料を用い
て形成する。この条件を満たす限り、従来公知のいずれ
の材料も採用することができる。例えば、炭素繊維、
金、銅、銀、ニッケル、TiN、人工ダイヤモンド等の
熱伝導性が良好で耐熱性のある無機材料を例示すること
ができる。熱伝導体層の膜厚は、熱伝導によって積層体
の温度分布を均一化し得る大きさであれば十分であり、
通常5mm以下、好ましくは2mm以下である。
【0029】熱伝導体層は、前記のような真空蒸着法、
スパッタリング法、気相成長法、蒸着重合法、ポリマー
溶液塗布法、電気メッキ法、無電解メッキ法、融着一体
化法、または両面接着テープもしくは接着剤等により接
着する方法などのいずれの方法によっても形成すること
ができる。
【0030】なお、発熱体層や熱伝導体層の形成方法と
しては、上述した真空蒸着法、スパッタリング法、気相
成長法、蒸着重合法、電気メッキ法、無電解メッキ法、
またはポリマーの分散液もしくは溶液からなる塗料を塗
布する方法などの薄膜コーティング法により形成するこ
とが好ましい。
【0031】上記の方法により、本発明の発熱積層構造
体が得られるが、熱伝導体層の上に適宜の保護層を設け
ることもできる。例えば、熱伝導体層に重ねて、さらに
電気絶縁体層を保護層として形成することができる。こ
こで電気絶縁体層とは、上記発熱体層を電気的に絶縁す
るための層であって、電気絶縁性が良好であり、発熱体
層の抵抗値の100倍以上の抵抗値を有する材料からな
るものである。この条件を充足する限り、従来公知の材
料を採用することができる。例えば、無機材料としては
SiO2、NaCl 等を例示することができる。有機材料
では、シリコーン樹脂、ポリフェニレンサルファイド、
ポリサルホン、全芳香族ポリエステル、ポリエーテルイ
ミド、ポリエーテルエーテルケトン、熱収縮性フッ素樹
脂などの耐熱性熱可塑性樹脂が例示される。電気絶縁体
層の膜厚は、発熱体層の抵抗値の100倍以上の抵抗値
を与える大きさであれば十分であり、通常100μm以
下、好ましくは1〜50μmである。
【0032】電気絶縁体層の形成方法としては、発熱体
層の形成方法において述べた方法、すなわち無機材料の
真空蒸着法、スパッタリング法、耐熱性樹脂分散液の塗
装、耐熱性樹脂フィルムの融着一体化、耐熱性樹脂フィ
ルムの両面接着テープあるいは接着剤等による接着など
の他に、気相成長法、蒸着重合法なども用いることがで
きる。気相成長法は、原料ガスを真空槽に導入し、光、
熱、プラズマなどによりエネルギー的に活性化された状
態にして電気絶縁体の作製と薄膜化を行う方法であり、
蒸着重合法は、真空槽内で、高温に熱した基板等にモノ
マー原料を蒸着し、同時に重合を行うことにより電気絶
縁体層を形成する方法である。
【0033】ここで、添付図に基づいて、本発明を説明
する。図1は、定着ロールとしての発熱積層構造体の一
実施例を示す略示部分断面斜視図である。発熱積層構造
体1は、例えば全芳香族ポリエステルの中空パイプから
なる耐熱性樹脂成形体2の外表面上に、ニクロムなどの
発熱体層3を設け、その上に、例えば炭素のような熱伝
導体層4を設けた構造を有する。さらにその上に、好ま
しい保護層として、例えば有機溶剤に溶かしたシリコー
ン樹脂の塗布層あるいは収縮性フッ素樹脂などの電気絶
縁体層5が設けられている。発熱積層構造体1の両端部
は、熱伝導体層4および電気絶縁体層5で覆われず、発
熱体層3が露出しており、その部分に通電用の電極端子
が設けられている。
【0034】
【作用】本発明の発熱積層構造体において、発熱体層3
に通電すると、発熱体層3が発熱し、その熱が熱伝導に
より熱伝導体層4に伝達される。熱伝導体層4は、発熱
体層3に比べて大きな熱伝導率を有するため、発熱体層
3で生じた温度のばらつきが熱伝導体層4においては均
等化され、ほぼ均一の温度分布になる。発熱体層3およ
び熱伝導体層4は薄い膜状であるため、温度の上昇に要
する時間は非常に短い。また、耐熱性樹脂成形体2から
なる芯材を用いているため軽量である。さらに好ましい
態様として、電気絶縁体層5で全体を被覆することによ
り、寿命を長く保つことができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳述する。 <実施例1>耐熱性熱可塑性合成樹脂として、p−ヒド
ロキシ安息香酸、テレフタル酸、4,4'−ジヒドロキシ
ビフェニルおよびイソフタル酸を構成単位とする4元コ
ポリエステルであって、320℃以上の溶融温度におい
て溶融異方性を示すサーモトロピック液晶ポリエステル
樹脂60重量%と、ガラス繊維40重量%とを二軸押出
機(池貝(株)製)により溶融混練したものを用いた。得
られた樹脂組成物を射出成形により成形して得た中空パ
イプ(外径1cm、内径0.6cm、長さ30cm)の
外表面上に、スパッタリング法によりニクロムのコーテ
ィングを行い、厚み100nmの発熱体層を形成した。
パイプの両端には接着性の弱いテープを巻き付けた。発
熱体層の上に、炭素ペースト(藤倉化成(株)製)のコー
ティングを行って厚み1mmの熱伝導体層を形成した。
さらにその上にシリコーン樹脂塗料(商品名:耐熱スプ
レー、ロックペイント(株)製)を塗布し乾燥して、厚み
10μmの電気絶縁体層を形成して、発熱積層構造体を
得た。最後に、発熱積層構造体の両端に巻き付けたテー
プを取り除き、ニクロム層を露出し、その部分に通電用
の電極端子を設けた。発熱積層構造体の温度のばらつき
の評価は、サーモグラフィー(商品名:TVS−12
0、日本アビオニクス(株)製)を用いて行い、評価の際
には発熱積層構造体の表面に黒体輻射用塗料を塗布し乾
燥した。発熱積層構造体の両端に商用の100V電圧に
より通電したところ、10秒間で200℃に到達し、温
度のばらつきは2℃以下であった。すなわち、本実施例
によれば、温度の上昇が速く、温度のばらつきがほとん
どない、小型軽量の定着ロールとしての発熱積層構造体
を作製することが可能である。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、例えば
定着ロールとして用いる場合に、温度の上昇が速く、温
度のばらつきがほとんどなく、かつ小型軽量で長寿命の
発熱積層構造体を提供することができる。また電気絶縁
体層により全体を被覆することにより、さらに寿命を長
く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発熱積層構造体の一実施例の略示部分断面斜視
図である。
【符号の説明】
1 発熱積層構造体 2 耐熱性樹脂成形体 3 発熱体層 4 熱伝導体層 5 電気絶縁体層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性樹脂成形体の外表面に発熱体層お
    よび熱伝導体層をこの順に形成してなる発熱積層構造
    体。
  2. 【請求項2】 前記耐熱性樹脂成形体が中空パイプであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の発熱積層構造体。
  3. 【請求項3】 前記発熱体層および熱伝導体層が薄膜コ
    ーティングにより形成されてなることを特徴とする請求
    項1に記載の発熱積層構造体。
  4. 【請求項4】 前記耐熱性樹脂がサーモトロピック液晶
    ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の発熱
    積層構造体。
  5. 【請求項5】 前記熱伝導体層の熱伝導率が発熱体層の
    熱伝導率より大きく、かつ50W・m-1・K-1以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の発熱積層構造体。
JP6332130A 1994-12-12 1994-12-12 発熱積層構造体 Pending JPH08156164A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6332130A JPH08156164A (ja) 1994-12-12 1994-12-12 発熱積層構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6332130A JPH08156164A (ja) 1994-12-12 1994-12-12 発熱積層構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08156164A true JPH08156164A (ja) 1996-06-18

Family

ID=18251494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6332130A Pending JPH08156164A (ja) 1994-12-12 1994-12-12 発熱積層構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08156164A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006182847A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Sumitomo Chemical Co Ltd 全芳香族ポリエステル膜およびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006182847A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Sumitomo Chemical Co Ltd 全芳香族ポリエステル膜およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3834528B2 (ja) 熱伝導性高分子成形体の製造方法
JPH0548249B2 (ja)
JPH0425140B2 (ja)
US6994896B2 (en) Liquid crystalline polymer composites, method of manufacture thereof, and articles formed therefrom
JPH051137B2 (ja)
TW200422345A (en) Aromatic liquid crystal polyester and film thereof
JP2004523886A (ja) 多層回路および該回路を製造する方法
US20110017588A1 (en) Fabrication process for a thick film by magnetron sputtering
EP1679558A1 (en) Heating member, method of producing heating member surface layer, fixing member, heating device, fixing method, fixing device, and image forming device
JPH0375939B2 (ja)
US5945020A (en) Laminated heating structure
JPH0673179B2 (ja) 磁気デイスク
JPH08156165A (ja) 発熱積層構造体
JP2006501688A (ja) 回路材料、回路、多層回路、及びそれらの製造方法
US6761834B2 (en) Electrostatic deposition of high temperature, high performance liquid crystalline polymers
JPH08156164A (ja) 発熱積層構造体
JP4621690B2 (ja) 多層回路の製造方法
JPS62100577A (ja) 熱伝導性組成物
JP2986195B2 (ja) 金属板接着用フィルムおよび複合金属板
JPH0982459A (ja) 加熱用積層構造体
JPH0816016A (ja) 加熱用積層構造体
JPH06197669A (ja) 釣竿用ソリッド穂先
JPH07108652A (ja) サーモトロピック液晶ポリマー構造体
JPH02252738A (ja) 金属板接着用フィルム
JPH09174740A (ja) 加熱用積層構造体