JPH08152598A - 液晶装置及びその駆動方法 - Google Patents

液晶装置及びその駆動方法

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JPH08152598A
JPH08152598A JP6321443A JP32144394A JPH08152598A JP H08152598 A JPH08152598 A JP H08152598A JP 6321443 A JP6321443 A JP 6321443A JP 32144394 A JP32144394 A JP 32144394A JP H08152598 A JPH08152598 A JP H08152598A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 単安定強誘電性液晶素子(単安定FLC素
子)と、この液晶素子を駆動するTFT等のアクティブ
マトリックス素子と、フィルタ素子とを組み合わせた液
晶表示デバイス。 【効果】 広視野角で高速応答性があり、階調表示を可
能にし、更には、解像度も向上させ得る液晶装置(特に
フルカラー表示装置)とその駆動方法を提供することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶装置(例えば透明電
極及び配向膜をこの順に設けた一対の基板が所定の間隙
を置いて対向配置され、前記間隙内に強誘電性液晶が配
されている強誘電性液晶素子を用いた表示装置)及びそ
の駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】液晶表示素子は、薄型で低消費電力で駆動
が可能であるという利点から、フラットパネルディスプ
レイとしての需要が伸びてきている。特に、アクティブ
マトリックス駆動のツイストネマチック液晶表示素子
(TN−LCD)では、その画質が近年飛躍的に向上し
ている。
【0003】しかしながら、ディスプレイの大画面化に
伴い、TN液晶が分子配向のねじれを持っているため
に、視野角の狭さ、階調の反転、更には、応答速度が遅
いために生じる尾引き等の残像が問題となっている。
【0004】視野角の拡大に関しては、位相補償フィル
ムの採用、配向膜の工夫によるツイスト構造のキャンセ
ル等の手法が開発されつつあるが、まだ不十分である。
また、応答速度に関しては、現在のTFT(薄膜トラン
ジスタ)の駆動電圧ではもちろん、駆動電圧を高くして
も、電解除去時のツイスト構造への復帰の応答時間は数
十ミリ秒以下に短縮することはできないため、例えば、
ノーマリーホワイトの表示素子では黒から白への応答が
極めて遅く、特に尾引き等の残像が目立つ結果となる。
【0005】この広視野角、高速応答を同時に実現する
液晶材料としては、強誘電性液晶(ferroelectric liqu
idcrystals(FLCs))が考えられる。表面安定型強
誘電性液晶表示素子(SSFLCD)は、TN液晶の約
1000倍の高速応答性とメモリ性により、パッシブマトリ
ックス駆動で1000本以上の走査線数、広視野角で安価な
大画面フラットパネルディスプレイを実現する技術とし
て期待され、検討されている。
【0006】こうした強誘電性液晶(更には、反強誘電
性液晶の液晶)では、電解印加による液晶ダイレクタの
スイッチング挙動は液晶辞典p150(培風館)に記載され
ている南部−ゴールドストーンモードに従って液晶分子
が仮想的なコーン上を動き、更に、電傾効果を有するス
メクチックA液晶(液晶辞典p145(培風館))では、液
晶辞典p119(培風館)に記載されているソフトモードを
利用した場合でも、コーン角に類似した各液晶組成物に
固有のコーン角を有している。
【0007】即ち、図23に示すような電極間に挟まれた
液晶のコーンモデルを考える。コーンの開き角をコーン
角θrと呼び、このコーン角の透明電極の付いたガラス
基板への投影を見かけのコーン角θaと呼ぶ。光学的に
はこの見かけのコーン角θaについて考えれば良い。こ
こで、コーン角の測定については、2つのスイッチ状態
における液晶ダイレクタのなす角を測定するものであ
り、具体的には液晶セルを偏光子が直交した偏光顕微鏡
下で、消光位(回転して暗くなる位置)でのステージの
回転角から求めた。
【0008】しかしながら、従来のFLC、特にSSF
LCDでは、FLC分子の永久双極子と電界との強い相
互作用のために高速応答性を示すが、図23に示したよう
に、液晶分子が配向膜分子からの束縛により双安定化さ
れる。
【0009】従って、この等エネルギーの2状態間での
スイッチングでは、電圧印加に対する急峻な閾値特性の
ために傾き角θaを連続的に制御することができす、階
調表示が困難であった。
【0010】SSFLCDのパッシブ駆動での階調表示
法としては、タイムインテグレーション法や一つの画を
分割した面積階調法等、デジタル的な方法が提案されて
いる。しかし、このデジタル法では、まだ十分な階調数
を得るには至っていない。
【0011】一方、最近になって、TN液晶素子におい
て用いているアクティブマトリックス素子とFLCとを
組み合わせることにより、双安定メモリ性を用いない階
調表示法も提案されている。
【0012】例えば、カイラルスメクチックC相でのピ
ッチ長が光学波長よりも短いFLCを用いて、そのねじ
れたヘリックス構造を電界印加により解き、液晶ダイレ
クタの平均的傾きを制御することにより、階調制御する
ものである。しかしながら、液晶配向が縞状の組織構造
を有するために、そのコントラストは低い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、広視
野角で高速応答性があり、階調表示を可能にし、更には
解像度も向上させ得る液晶装置(特にフルカラー表示装
置)とその駆動方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、単安定
強誘電性液晶素子(単安定FLC素子)と、この液晶素
子を駆動するTFT等のアクティブマトリックス素子
と、フィルタ素子とを組み合わせた液晶装置(LCD)
に係るものである。
【0015】本発明の液晶装置によれば、液晶素子とし
て単安定FLC素子を用いているので、後述することか
ら明らかなように、TN素子では不可能であった、広視
野角で1msec以下の高速応答性の表示を階調性良く実現
することができる。このような広視野角、高速応答性の
単安定FLC素子をTFT等のアクティブマトリックス
素子で駆動し、フィルタ素子(特に1msec以下で色順次
に切り替え可能なカラーフィルタ等のフィルタ素子)に
よって、対応する色の表示を再現性良く高階調度に得る
ことができる。
【0016】本発明の液晶装置のように、FLCをTF
T等のアクティブマトリックスで駆動し、階調性を発現
させるためには、少なくとも2つの駆動条件が必要とな
る。即ち、(1)各画素に1フィールド間に印加され続
ける電圧の強度により階調性が制御されること、(2)
液晶に電荷が蓄積されないようにフィールド間或いはフ
レーム間で印加電圧を反転した駆動方法が適用できるこ
とである。
【0017】これらの(1)、(2)の駆動条件を実現
するには、印加電界強度に対して液晶分子の傾き角がほ
ぼリニアに変化し、極性反転により等価な傾き角を有す
ることが重要である。
【0018】その実現のために、本発明者は、図13に示
すように、液晶分子と配向膜界面との相互作用を強め、
仮想的なコーンの下側の一つの状態で液晶分子を安定化
させれば、電界と液晶分子の自発分極との直接的相互作
用により発生するトルクと液晶ダイレクタのSplay変形
(広がり変形)に伴う弾性との釣合いにより、液晶分子
の傾き角θaを印加電圧により連続的に制御でき、更
に、この構造を実現すれば、液晶のモノドメイン化も容
易であると考えた。
【0019】そこで、本発明者は、光学波長よりもピッ
チの長いFLC組成物を調製し、更に配向規制力が大き
いと予想される低プレチルトの配向膜材料と組み合わせ
ることにより、液晶分子配向が配向処理方向に配列し、
安定化した単安定FLCモードをモノドメインで実現で
きることを見出した。
【0020】このような単安定FLCモードは、電界を
印加しないとき分子の配列方向が配向処理方向に安定化
し、電界印加により、その極性に応じて左右にその分子
の配列方向が傾く。この傾き角は電界強度により制御で
きるので、TFTによる電圧制御によりアナログ階調が
可能である。また、モノドメイン化により暗レベルを下
げ、高コントラスト比を得ることができる。
【0021】更に、この単安定FLCを例えば 0.7イン
チ、10.3万画素のTFT素子と組み合わせることによ
り、FLC表示素子の特徴である広視野角、高速応答性
を生かし、大画面化に伴ってTN液晶で問題となってい
る視野角特性、中間階調の応答性を向上させたカラーデ
ィスプレイを実現することができる。
【0022】本発明の液晶表示装置においては、単安定
FLC素子(特に1msec以下の応答速度を有する単安定
FLC素子)とアクティブマトリックス素子とを組み合
わせてモノクロの表示素子が構成され、この表示素子と
表示観測位置(例えば観測者)との間にフィルタ素子
(特に1msec以下で色順に次切り替え可能なもの)が配
置されているのがよい。
【0023】即ち、アクティブマトリックスのTN液晶
表示素子において、カラーフィルタを配置したもので
は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの画素の組で
一つの画素となるため、その表示素子の解像度を低下さ
せていた。しかし、上記のように表示素子をモノクロと
し、フィルタ素子を色順次に切り替えるようにすると、
一つの画素でR、G、Bを兼用でき、その分だけ画素密
度を高め、高解像度(例えば従来の3倍)を実現でき
る。
【0024】勿論、単安定FLC素子とアクティブマト
リックス素子とカラーフィルタ素子とを組み合わせてカ
ラーの表示素子として構成されてもよい。
【0025】本発明はまた、上記した本発明の液晶装置
を駆動するに際し、アクティブマトリックス素子によっ
て単安定FLC素子を駆動し、この駆動と同期してフィ
ルタ素子を切り替える、液晶装置の駆動方法も提供する
ものである。
【0026】この駆動方法においては、単安定FLC素
子の駆動を1msec以下の応答時間で行い、フィルタ素子
の切り替えも1msec以下で行うことができる。
【0027】また、単安定FLC素子に対する情報書き
込み過程(特に異なる色表示の間)においてフィルタ素
子を黒の状態にすると、色の切り替え時に色残りをなく
し、色の純度バランス(画質の品位)を向上させること
ができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例について更に詳細に説
明する。
【0029】単安定強誘電性液晶(単安定FLC)とそ
の特性 まず、本発明に使用可能な単安定FLCとその特性につ
いて説明する。
【0030】1.液晶材料 単安定FLCモードの基本動作を確認するため、強誘電
性液晶として、高速応答性付与のためにカイラル部にフ
ッ素を導入した自発分極の大きな図14に示す如き強誘電
性液晶を新規に合成し、そのカイラル分子を、室温でス
メクチックC相を示すホスト液晶に添加したFLC組成
物を調製した。
【0031】ホスト液晶としてはSplay弾性率(広がり
の弾性定数)が高く、液晶層傾斜角δとコーン角θを等
しくなるようにブレンドしたフェニルピリミジン系液晶
を用いた。下記の表1に、FLC組成物の代表的な物性
値を示す。
【0032】
【0033】これらのFLC組成物はいずれも、室温で
カイラルスメクチックC相を有し、数%のカイラル液晶
の添加で自発分極値は2〜12nC/cm2を示した(FLC
1、FLC2)。一般的には、自発分極値Psが大きい
方が高速化されるが、応答時間τは粘性係数ηと印加電
界強度Eを用いて τ∝η/(Ps・Ε) で表されるため、粘性にも影響される。
【0034】一方、SmC* 相でのヘリカルピッチ長は
光学波長よりも長く、狭ギャップセル中では、配向膜と
の相互作用により螺旋が解けるため、一様な液晶配向を
達成できる。
【0035】更に、実用的な液晶材料として、高速化、
広い動作温度を実現した材料(FLC3)を選択した。
【0036】2.配向膜材料とセルの作製 配向膜材料は、FLC組成物との相互作用が強く、低プ
レチルト角を与えるポリイミド系配向膜材料の中から良
配向を与えるものを選択した。具体的には、宇部興産社
製U−ワニス等を用いた。
【0037】ホモジニアス配向セルの作製は、ガラス基
板上の透明電極にポリイミド配向膜を形成し、ラビング
処理方向の組み合わせかたにより、平行セル、反平行セ
ルを作製した。
【0038】3.単安定評価用の波形 単安定FLC評価用の駆動波形を図15に示す。波形は、
印加電圧強度が徐々に増大するバイポーラパルスからな
り、その印加電圧強度に応じた階調を評価した。バイポ
ーラパルスを用いたのは、偏った電圧印加による蓄積電
荷のために液晶材料に電気化学的なダメージを与えない
ためである。更に、バイポーラパルス間の0V電圧の挿
入は、印加電圧解除時の立ち下がり応答時間の計測のた
めである。
【0039】また、電気光学特性の評価のための光学系
を図16に示す。液晶の単安定時のダイレクタ(配向処理
方向)に平行した偏光子(P方向)を配置し、検光子
(A方向)をそれと垂直に配置した。
【0040】4.TFT素子との組み合わせ アクティブマトリックス素子としては、ビューファイン
ダ用の 0.7インチ、10.3万画素のポリ−Si−TFTを
用いた。対向させるコモン電極はR、G、Bのカラーフ
ィルタ付きの基板を用い、セルギャップは触媒化成工業
の真糸球をスペーサとして用い、 1.2〜1.5 μmとした
(図1参照)。液晶は減圧下で等方相温度で注入した。
【0041】5.結果とその考察 (1)液晶の組織と電気光学特性 偏光顕微鏡下で液晶注入したセルを観察すると、平行配
向セルでは、SSFLCによく見られるマルチドメイン
組織を示し、その電気光学特性は±22V/μm印加で60
μsec の応答時間を有し、双安定のメモリ性(メモリコ
ーン角:40.5度)を示した。
【0042】一方、反平行セルでは、ラビング処理方向
に平行な 2.3μmピッチの縞状組織を示した。このスト
ライプは、液晶のダイレクタが配向処理方向に対して約
±4度傾いた周期的構造であることが分かった。
【0043】この反平行セルの電気光学特性は、電界を
印加しないときには、液晶ダイレクタは偏光子又は検光
子の偏光軸にほぼ平行となるために、透過率は常に0を
示し、電界印加により光透過率はその極性に関係なく電
界強度と共に増大する。この透過率変化は0〜5Vの範
囲では小さく、かつ高速であるが、5V以上では透過率
変化は大きく、やや遅い。この閾値電圧を有する2段階
のスイッチング挙動は、低電圧領域の連続的なチルト角
変化と、これに続くドメインスイッチングにより、説明
できる。
【0044】更に、電界印加により傾斜した液晶ダイレ
クタが、電界の除去によりもとの配列状態に速やかに戻
るという単安定性を示した。電界除去時のダイレクタの
元の配列への復帰は、液晶分子がポリイミド配向膜によ
る相互作用により束縛されたことが要因と考えられる。
しかしながら、この系では、ストライプ組織のために最
大コントラストが46と小さい。
【0045】(2)アナログ階調性の改善 コントラスト及びアナログ階調性を改善するために、セ
ルを 700Hz、20〜50Vの交流電界印加により電界処理し
た。この電界処理により、規則的なストライプ組織から
層の回転を伴い、モノドメイン組織へと変えることがで
きる。このモノドメイン化によるストライプドメインの
消失により、コントラストは81を達成した。
【0046】このモノドメイン組織における液晶ダイレ
クタの傾き角の電圧依存性を図17に示す。印加電圧強度
の増大に伴い、傾き角は閾値電圧を待たず、低電圧から
一様に増大し、約7Vで約22度傾斜することが分かる。
更に、その印加電圧の極性がダイレクタの傾く方向を決
定する。また、応答時間もストライプ組織の時よりも約
1msecと高速化された。
【0047】また、このセルの透過率変化の一例を図18
に示す。ここでの光透過率は10V印加時の透過率で規準
化した。光透過率は0V〜2Vまでほぼリニアに変化
し、その後は緩やかな変化となり、6V〜7V以上でほ
ぼ一定となる。このように、電圧が印加されていないと
きには、液晶分子が配向膜界面で配向処理方向に並び、
安定化した状態を実現した。また、直交した偏光子Pと
検光子Aの間に、単安定化した液晶分子の配向方向を偏
光子Pに平行に配置することにより、低電圧での電圧の
制御で光透過率を制御し、アナログ階調を実現できた。
【0048】単安定FLCでは複屈折モードを用いてい
るため、最大透過率を得るためには見かけのチルト角は
45度が望ましく、この時、TNモードとほぼ同じ透過率
となる。
【0049】更に、このデバイスの高速化、及び駆動温
度範囲の拡大のために、液晶材料(FLC3)を調製
し、組み合わせる配向膜の検討を行い、次に示す単安定
FLC素子を実現した。但し、FLC3の見かけのチル
ト角は約22度である。
【0050】(3)応答時間 図19、図20には、新たに見出した単安定FLC組成物と
配向膜とを組み合わせた単安定FLC素子(FLC3)
の立ち上がり応答時間と立ち下がり応答時間の電圧依存
性、温度特性を示す。室温で電圧依存性を見ると、電圧
印加時の立ち上がり時間は電圧の増大に伴い高速化さ
れ、5Vで約50μsec にも達した。
【0051】一方、電圧除去時の応答時間(立ち下がり
時間)は、それまで印加されていた電圧、即ちダイレク
タの傾き角の大きさには依存せずに一定であり、かつ約
120μsec と高速である。
【0052】更に、応答時間は、立ち上がり、立ち下が
り共に同様の温度依存性を示し、主に粘性の温度依存性
の影響によるものと考えられる。それでも、−5℃にお
いても1msec以下の応答時間を達成することができた。
特に、立ち下がり時間が電圧に依らず一定で高速である
のは、電圧印加によって応答したFLC自身の自発分極
による反電界の発生により、元の配向状態に戻ろうとす
るためであると考えられる。
【0053】(4)視野角特性 図21にTN液晶素子の典型的な視野角特性を、図22に単
安定FLCの視野角特性を示した。ここでの透過率は大
塚電子社製のLCD評価装置(平行光源使用)を用いて
測定し、視野角0度の最大透過率で規格化した。これら
の視野角特性はいずれも、位相補償などによる広視野角
化を行っていない上下方向の透過率変化である。
【0054】これによれば、TN液晶では、正面でのコ
ントラストは 100以上と大きいが、本質的に液晶分子配
列にねじれ構造を有するために、視野角の変化に伴い黒
レベル(0%)と、白レベル(100%)が共にコントラス
トを低下させる方向に変動する。そのために、コントラ
ストの視野角依存性が大きい。更に、中間調レベル、例
えば50%での変動が極めて大きいため、特に上下方向の
視野角特性において階調の反転が生じてしまう。
【0055】しかしながら、単安定FLC素子では、現
状の正面でのコントラストは最大100程度であるが、液
晶の配列構造にねじれのないこと及びこれによりオプテ
ィカルパスが短いことを反映して、視野角の変化に伴う
黒レベル、白レベル、及び中間階調レベルの変動は非常
に少なく、TN液晶に見られるような階調の反転挙動は
見られず、視野角は全方位50度以上と広いことが特徴的
である。
【0056】(5)TFT素子との組み合わせ 下記の表2に、単安定FLCDとTN−LCDの視野角
特性と応答時間をまとめた。
【0057】これによれば、単安定FLCDでは、FL
Cの有する高速応答性と広視野角を活かして、アクティ
ブマトリックス駆動が可能であることが分かる。そし
て、特徴的なのは、駆動電圧が5V程度とFLCとして
は比較的低電圧で駆動できるため、従来のTN液晶用の
TFT素子及び駆動回路を変更することなく、組み合わ
せ可能な点である。
【0058】これに反し、従来のTN−LCDでは、立
ち上がりと立ち下がりの応答時間の和τr +τf は25℃
においても約30msecと遅く、1フィールドの16.7msecの
画像情報を十分に再現できない。特に0℃では約90msec
となり、さらに尾引き現象は顕著になる。しかし、単安
定FLCDの応答時間τr +τf は25℃で 0.2msec、0
℃においても1msec以下であるため、各フィールドの中
間階調の情報を忠実に再現できることが予想される。
【0059】
【0060】単安定FLCDを従来のTN液晶用のTF
Tアクティブマトリックス(0.7インチ、10.3万画素ビュ
ーファインダ用)と組み合わせたデバイス(これについ
ては、後で詳しく説明する。)において、配向処理プロ
セスの改良、ギャップ精度の向上により、これまでは段
差構造上では困難と考えられていたFLCの均一な液晶
配向性を達成した。
【0061】駆動法として、TN液晶と同様、ライン反
転或いはフィールド反転を適用することにより、上記の
広い視野角を有するビデオレートのカラー表示を実現し
た。実際に、ビデオカメラでの撮像している被写体の高
速な移動においても尾引きは非常に少ないことを確認し
た。
【0062】駆動モードとしては、電界が offの時に暗
レベルとなるノーマリブラックモードが、単安定FLC
では電気的中性を保つという点及び高コントラストとい
う点で好ましい。
【0063】次に、上記した本発明に基づく単安定FL
Cをアクティブマトリックス素子であるTFTと組み合
わせて表示デバイスを作製し、その特性を測定した例を
詳細に説明する。
【0064】例1(アクティブマトリックス駆動型単安
定FLC表示デバイスIの作製) アクティブマトリックスの素子としては、例えばTFT
(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を用いる
ことができる。ここでは、R、G、Bカラーフィルタ対
応のTFT素子を用いた。
【0065】図1に、カラーフィルタ付きアクティブマ
トリックス駆動型単安定FLC表示デバイスIの構成を
示す。ガラス基板1a上のTFT6の側に宇部興産社製
U−ワニスのN−メチル−2−ピロリドン溶液をスピン
キャスト法により塗布し、 200℃で焼成し、 500Åのポ
リイミド配向膜5aを形成し、更にアセテート系の布を
巻いたローラでラビング配向処理をした。また、コモン
電極4側は、ガラス基板1b上にクロムのブラックマト
リックス2、カラーフィルタ3、透明電極(ITO)4
をこの順番に形成し、その透明電極の面に上記と同様に
ポリイミド膜5bを形成し、ラビング配向処理を施し
た。
【0066】このようにして作製した配向膜付きのTF
T側パネルとカラーフィルタ側パネルとを、その配向処
理方向が対向面で反平行となるように組み、そのスペー
サ7として目的ギャップ長に応じたガラスビーズ(真糸
球:直径 0.8〜1.5 μm(触媒化成工業社製))を用い
た。スペーサ7は周囲を接着するシール剤8(UV硬化
型の接着剤(フォトレック:セキスイ化学(株)社
製))中に 0.3wt%程度分散させることにより、基板間
のギャップを制御し、かつ、セルの周囲を液晶の注入孔
を確保して上記シール剤で接着した。
【0067】その後、単安定強誘電性液晶組成物9を等
方相温度又はカイラルネマチック相温度の流動性を示す
状態で減圧下で注入した。液晶注入後、徐冷し、注入孔
周囲のガラス基板上の液晶を除去した後、UV硬化型接
着剤で封止し、単安定強誘電性液晶素子を作製した。こ
こで用いた強誘電性液晶9は上記した表1に記載のFL
C3(ピッチ長10μm、自発分極16nC/cm2)又は本出願
人による特願平3−25131号による組成物、例えば
フェニルピリミジン系液晶FLC2(カイラル成分2wt
%、ピッチ長21.2μm、自発分極 2.5nC/cm2)を用い
た。
【0068】上記の各パネルに配向処理方向と平行又は
直交して偏光板10a、10bを設け、デバイス両面に配置
した。配置した偏光板10は互いに直交させた。更に、こ
のパネルのTFT素子側にバックライト11を配置するこ
とにより、単安定強誘電性液晶表示デバイスIを完成し
た。
【0069】例2(アクティブマトリックス駆動型単安
定FLC表示デバイスIの駆動) カラーフィルタ用アクティブマトリックスの素子構成の
レイアウトを図2に示す。NTSC信号をデコーダによ
りR、G、Bの各輝度信号に変換し、同時にTFTを駆
動するためのH、Vシフトレジスタ用クロックパルスを
パルスドライバから発生させた。このTFTパネルにお
ける各端子信号について下記の表3にまとめて示す。
【0070】この表示デバイスIの駆動に際しては、各
端子から下記の表3に示す所定の信号をHシフトレジス
タから各ゲートトランジスタTRを介して選択的にTF
Tに入力し、Vシフトレジスタからのゲート制御信号に
応じて、TFTによって単安定FLC9にスイッチング
電圧を印加する(Csは信号電荷を1フレーム時間蓄積
するためのキャパシタ、COMはコモン電位を供給する
素子部である)。
【0071】
【0072】 *HとVの位相 180度、周波数は任意。 この電圧印加で液晶に+4.5 VのDCが印加される。
【0073】この例では、60Hzのフィールド周波数で画
像表示したところ、 200マイクロ秒以下と高速で、±50
度以上の広い視野角を有するディスプレイを実現でき
た。
【0074】例3(カラーフィルタのないアクティブマ
トリックス駆動型単安定FLC表示デバイスIIの作製) アクティブマトリックス素子としては、例えばTFT
(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を用いる
ことができる。ここでは、モノクロ用のTFT素子を用
いた。
【0075】図3に、カラーフィルタレスのアクティブ
マトリックス駆動型単安定FLC表示デバイスIIの構成
を示す。ガラス基板1aのTFT6の側に宇部興産社製
U−ワニスのN−メチル−2−ピロリドン溶液をスピン
キャスト法により塗布し、 200℃で焼成し、 500Åのポ
リイミド配向膜5aを形成し、更にアセテート系の布を
巻いたローラでラビング配向処理をした。また、コモン
電極4の側は、ガラス基板1b上にクロムのブラックマ
トリックス2、透明電極(ITO)4をこの順番に形成
し、その透明電極面4に同様にポリイミド膜5bを形成
し、ラビング配向処理を施した。
【0076】このようにして作製した配向膜付きのTF
T側パネルとカラーフィルタ側パネルとを、その配向処
理方向が対向面で反平行となるように組み、そのスペー
サ7として目的ギャップ長に応じたガラスビーズ(真糸
球:直径 0.8〜1.5 μm(触媒化成工業社製))を用い
た。スペーサ7は周囲を接着するシール剤8(UV硬化
型の接着剤(フォトレック:セキスイ化学(株)社
製))中に 0.3wt%程度分散させることにより、基板間
のギャップを制御し、かつ、セルの周囲を液晶の注入孔
を確保して上記シール剤で接着した。
【0077】その後、単安定強誘電性液晶組成物9を等
方相温度又はカイラルネマチック相温度の流動性を示す
状態で減圧下で注入した。液晶注入後、徐冷し、注入孔
周囲のガラス基板上の液晶を除去した後、UV硬化型接
着剤で封止し、単安定強誘電性液晶素子を作製した。こ
こで用いた強誘電性液晶9は例1と同様の組成物を用い
た。
【0078】上記の各パネルに配向処理方向と平行又は
直交して偏光板10a、10bを設け、デバイス両面に配置
した。配置した偏光板10は互いに直交させた。更に、こ
のパネルのTFT素子側にバックライト11を配置するこ
とにより、カラーフィルタレスの単安定強誘電性液晶表
示デバイスIIを完成した(但し、カラーフィルタは、F
LC素子とは別に設けるが、ここでは図示省略した:後
記の図12参照)。
【0079】例4(アクティブマトリックス駆動型単安
定FLC表示デバイスIIの駆動) カラーフィルタレス(モノクロ)用アクティブマトリッ
クスの素子構成のレイアウトを図4に示す。NTSC信
号をデコーダによりR、G、B信号に変換し、同時にT
FTを駆動するためのH、Vシフトレジスタ用クロック
パルスをパルスドライバから発生させた。このTFTパ
ネルにおける各端子信号については上記の表3に示した
が、この例では、各R、G、Bの各輝度信号を3番の共
通端子から入力した。
【0080】この例でも、60Hzのフィールド周波数で画
像表示したところ、 200マイクロ秒以下と高速で、±50
度以上の広い視野角を有するディスプレイを実現でき
た。しかも、カラーフィルタレスでR、G、Bの各信号
を共通端子から入力できるため、カラーフィルタ用のT
FTに比較して、有効な画素数を3倍にすることがで
き、高解像度化が可能である。
【0081】例5(色順次切り替え用液晶フィルタの作
製方法) セルの構成は図5に示す通りである。即ち、透明ガラス
基板1a、1b上に透明電極4a、4b(100Ω/□のI
TO)を付け、更にその上に液晶配向膜としてSiOの
斜方蒸着膜5a、5bを形成した。このSiO斜方蒸着
膜の形成方法としては、真空蒸着装置内に、SiO蒸着
源から鉛直上に基板を配し、鉛直の線と基板法線のなす
角を85度として設置した。SiOを基板温度 170℃で真
空蒸着後、 300℃、1時間の焼成を行った。
【0082】このようにして作製した配向膜付きの基板
をその配向処理方向が対向面で反平行となるように組
み、そのスペーサ7として目的ギャップ長に応じたガラ
スビーズ(真糸球:直径 0.8〜3.0 μm(触媒化成工業
社製))を用いた。スペーサ7は透明基板の大きさによ
り小さい面積の場合は周囲を接着するシール剤8(UV
硬化型の接着剤(フォトレック:セキスイ化学(株)社
製))中に 0.3wt%程度分散させることにより、基板間
のギャップを制御した。更に基板面積が大きい場合に
は、上記真糸球を基板上に平均密度で 100個/mm2 散布
したのち、ギャップをとり、セルの周囲を液晶の注入孔
を確保して上記シール剤で接着した。
【0083】その後、強誘電性液晶9(例えばチッソ
(株)社製CS−1014)を等方相温度又はカイラル
ネマチック相温度の流動性を示す状態で減圧下で注入し
た。液晶注入後、徐冷し、注入孔周囲のガラス基板上の
液晶を除去した後、エポキシ系の接着剤で封止し、強誘
電性液晶素子を作製した。
【0084】用いる強誘電性液晶はチッソ(株)社製、
メルク(株)社製、BDH社製、或いは他の公知の強誘
電性液晶化合物又は非カイラル液晶との組成物でも可能
であるが、その制限はなく、その相系列の制限も必要と
せず、必要なのは使用温度範囲でカイラルスメクチック
液晶相をとることである。更に、カイラルスメクチック
液晶以外でもスイッチングスピードが高速であれば、例
えば、反強誘電性液晶(AFLC)や電傾効果を示すス
メクチックA相でも適用可能である。
【0085】この例による色順次切り替え用液晶フィル
タの電気光学特性は下記の表4に示す通りである。
【0086】
【表1】
【0087】これによれば、この液晶フィルタ(FLC
液晶素子)は、使用光学波長の約半分の位相差を示して
おり、入射光の偏光面を約90度回転できるスペックを有
していることが分かる。
【0088】例6(色順次切り替え用液晶フィルタの駆
動波形) 例5の強誘電性液晶素子の駆動法としては、従来の一般
的なFLCの駆動法が適用できる。図6〜図9に、1フ
レーム内でスイッチ状態を1回切り替える駆動波形の一
例を示す。
【0089】図6は方形波駆動である。1フレームで電
気的中性条件を保つ方法であって、パルス駆動に比べて
DC電圧が印加されている時間が長いが、素子の絶縁性
が高い場合には信頼性の高い駆動法である。FLCの
他、AFLC、電傾効果型スメクチックAにも使用でき
る。
【0090】図7はリセットパルス付きのパルス駆動で
あり、書き込み直前にリセットパルスを加えてフィール
ド内での電気的中性条件を保つ方法であり、液晶に長時
間の直流成分が印加され難い。
【0091】図8はリセットパルス無しのパルス駆動で
あり、1フレーム内での電気的中性条件を保つ方法であ
る。
【0092】図9はリセットパルス無しのパルス駆動で
あり、パルス印加後の印加電圧保持により、メモリー効
果の少ない液晶材料系でもスイッチ状態を保持でき、同
時に1フレーム内での電気的中性条件を保つ方法であ
る。FLCの他、AFLCにも使用できる。
【0093】上記の駆動波形によるスイッチング特性を
上記の表4に示した。立ち上がり(10−90%T)及び立
ち下がり(90−10%T)とも、いずれもマイクロ秒オー
ダーの高速応答を示しており、1フィールド内での十分
な応答を保証している。
【0094】例7(色順次駆動型単安定FLC表示デバ
イスの構成) 例5(又は例3)のFLC素子(スイッチ素子)とカラ
ー偏光板(カラーフィルタ)とを組み合わせることによ
り、透過光の色をR、G、Bに切り替え可能な素子を実
現できる。図10に、色順次駆動単安定FLC表示デバイ
スの構成を示す。
【0095】即ち、例3で作製した図3のモノクロタイ
プのアクティブマトリックス駆動型単安定FLC表示デ
バイスの偏光板10B(P1)の前面に高速で偏光面を90
°回転することのできるFLC素子12a(FLC1)、
カラー偏光板13(P2)、FLC素子12b(FLC
2)、カラー偏光板14(P3)をこの順に配置した。F
LC1、FLC2の異常光軸のスイッチ状態1の方向を
偏光板10b(P1)の光透過容易軸に対して直交或いは
平行に配置し、更に、偏光板P1の光透過容易軸に対し
てカラー偏光板P2のB光透過容易軸、カラー偏光板P
3のR光透過容易軸を平行に配置した。
【0096】スイッチ状態1とスイッチ状態2では、異
常光軸が約45°傾斜しており、そのレタデーションを 2
70nmとすることにより、例えば、偏光板P1を通った
R、G、B光はFLC1のスイッチ状態が15(スイッチ
状態1)の時、偏光面の回転を受けないでカラー偏光板
P2のB光透過容易軸に平行に入射するために、カラー
偏光板P2を透過するのはB光だけとなる。
【0097】この時、FLC2のスイッチ状態が15であ
れば、同様にB光は偏光面の回転を受けずにカラー偏光
板P3のR光透過容易軸に平行に入射するため、B光は
透過できず、黒となる。即ち、この場合は、単安定FL
C素子での階調に拘わらず、常に黒を実現できる。
【0098】一方、偏光板P1を通ったR、G、B光は
FLC1のスイッチ状態が16(スイッチ状態2)の時、
偏光面は90°回転し、カラー偏光板P2のR、G光透過
容易軸に平行に入射するために、カラー偏光板P2を透
過するのはR、G光だけとなる。
【0099】この時、FLC2のスイッチ状態が15であ
れば、R、G光は偏光面の回転を受けずにカラー偏光板
P3のG、B光透過容易軸に平行に入射するため、R光
は透過できず、Gだけ透過する。即ち、この場合は、単
安定FLC素子での階調に応じた緑の表示を実現でき
る。
【0100】また、この時、FLC2のスイッチ状態が
16であれば、同様にR、G光偏光面は90°回転し、カラ
ー偏光板P3のR光透過容易軸に平行に入射するため、
G光は透過できず、Rだけ透過する。即ち、この場合
は、単安定FLC素子での階調に応じた赤の表示を実現
できる。
【0101】下記の表5に、FLC1とFLC2のスイ
ッチ状態と透過光の種類についてまとめた。
【0102】
【0103】このように、FLC素子FLC1とFLC
2のスイッチ状態の組み合わせにより、色の切り替えが
可能であった。
【0104】例8(色順次駆動法) 例5で作製したパネルの駆動法について説明する。図11
に、色順次駆動型単安定FLC表示デバイスの駆動回路
の構成を示す。
【0105】入力信号はNTSC、Y/C、RGB信号
を問わないが、デコーダによりR、G、B信号にし、1
フィールド分をフィールドメモリ1に取り込む。次のフ
ィールドを取り込む前に、次のバッファメモリ(フィー
ルドメモリ)2へ転送しておく。更に、次のフィールド
を取り込んでいる間に、パルスドライバからのシフトレ
ジスタ駆動パルスに同期させて、バッファメモリ2から
R信号、G信号、B信号を単安定FLC素子の信号端子
3番に入力し、同時に色順次切り替えをそれと同期させ
て行うことにより、フルカラーの表示素子を実現でき
る。
【0106】この色順次駆動型単安定FLC表示デバイ
スの駆動のタイミングテーブルを図12に示す。ここで
は、1フィールド内にR、G、Bを各1回点灯する方法
(図6の方形波を使用)において、単安定FLCへの書
き込み過程では、色フィルタを黒の状態にして画質の劣
化を防止しているのが特徴的である。
【0107】通常、NTSC方式では、1フィールドは
1/60 秒であり、各色は、書き込み過程とホールド時を
含めて 16.67秒で完了しなければならない。しかしなが
ら、1フィールド内で、R、G、Bを各1回書き込むだ
けでは、その表示特性はいわゆる色割れ(画像のエッジ
でR、G、Bの各色が別れて表示される。)を生じてし
まう。
【0108】そのために、R、G、Bを2回(R/G/
B/R/G/B)或いは3回(R/G/B/R/G/B
/R/G/B)繰り返すことにより、色割れを減ずるこ
とができる。しかしながら、1回の場合には各スイッチ
状態は1/180秒、2回の場合には各スイッチ状態は1/3
60秒、3回の場合には各スイッチ状態は1/540秒(1.85
msec)の期間しか与えられていないため、色フィルタの
切り替え速度はかなりの高速性が要求される。
【0109】そこで、液晶素子として上記のFLC(強
誘電性液晶)であれば、上記の表4や図19に示したよう
に立ち上がり時間は 0.1msec以下を達成できるため、上
記の切り替え速度に対応した十分高速なスイッチングが
可能となった。
【0110】以上、本発明を実施例について説明した
が、上述した実施例は本発明の技術的思想に基づいて更
に変形が可能である。
【0111】例えば、液晶の種類をはじめ、液晶素子の
各構成部分の材質、構造、形状、組み立て方法等は種々
に変更することができる。基板(例えば上述の1a、1
b)はディスプレイとして、少なくとも一方が光学的に
透明であればよい。
【0112】なお、上述した実施例では、表示素子に好
適な液晶素子について説明したが、表示素子では特に階
調性(中間調)を実現できる点で好ましいものである。
しかし、本発明は、表示素子に限らず、液晶素子をフィ
ルタやシャッタ、OA機器のディスプレイ画面、スクリ
ーンやウォブリング用の位相制御素子等にも適用可能で
ある。
【0113】
【発明の作用効果】本発明の液晶素子によれば、上述し
た如く、単安定強誘電性液晶素子(単安定FLC素子)
と、この液晶素子を駆動するTFT等のアクティブマト
リックス素子と、フィルタ素子とを組み合わせているの
で、液晶素子として単安定FLC素子を用いていること
によって、TN素子では不可能であった、広視野角で1
msec以下の高速応答性の表示を階調性良く実現すること
ができる。
【0114】このような広視野角、高速応答性の単安定
FLC素子をTFT等のアクティブマトリックス素子で
駆動し、フィルタ素子(特に1msec以下で色順次に切り
替え可能なカラーフィルタ等のフィルタ素子)によっ
て、対応する色の表示を再現性良く高階調度に得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく液晶表示デバイスの概略断面図
である。
【図2】同駆動用のアクティブマトリックスのレイアウ
ト図である。
【図3】本発明に基づく他の液晶表示デバイスの概略断
面図である。
【図4】同駆動用のアクティブマトリックスのレイアウ
ト図である。
【図5】本発明に使用可能な液晶セルの概略断面図であ
る。
【図6】液晶素子の駆動波形図である。
【図7】同液晶素子の他の駆動波形図である。
【図8】同液晶素子の他の駆動波形図である。
【図9】同液晶素子の更に他の駆動波形図である。
【図10】本発明に基づく色順次駆動型単安定FLC素子
デバイスの概略分解斜視図である。
【図11】同表示デバイスの駆動回路図である。
【図12】同表示デバイスの駆動時のタイミングテーブル
である。
【図13】本発明に使用可能な単安定FLC素子のモード
を示す説明図である。
【図14】同単安定FLCの分子構造図である。
【図15】同単安定FLC素子の電気光学特性図である。
【図16】同単安定FLC素子の電気光学特性評価のため
に用いる光学系の説明図である。
【図17】同単安定FLC素子のチルト角の印加電圧依存
性を示すグラフである。
【図18】同単安定FLC素子の透過率の印加電圧依存性
を示すグラフである。
【図19】同単安定FLC素子の立ち上がり時間の温度及
び印加電圧依存性を示すグラフである。
【図20】同単安定FLC素子の立ち下がり時間の温度依
存性を示すグラフである。
【図21】従来のTN素子の透過率の視野角依存性を示す
グラフである。
【図22】本発明に使用可能な単安定FLC素子の透過率
の視野角依存性を示すグラフである。
【図23】従来の双安定FLC素子のモードを示す説明図
である。
【符号の説明】
1a、1b・・・基板 2・・・ブラックマトリックス 3・・・カラーフィルタ 4・・・透明電極層 5a、5b・・・液晶配向膜(液晶配向膜制御層) 6・・・透明電極及びTFT 9、12a、12b、FLC・・・強誘電性液晶又は素子 10a、10b・・・偏光板 11・・・バックライト 13、14・・・カラー偏光板 TFT・・・薄膜トランジスタ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単安定強誘電性液晶素子と、この液晶素
    子を駆動するアクティブマトリックス素子と、フィルタ
    素子とを組み合わせた液晶装置。
  2. 【請求項2】 単安定強誘電性液晶素子が1msec以下の
    応答時間を有し、フィルタ素子が1msec以下で色順次に
    切り替え可能である、請求項1に記載した装置。
  3. 【請求項3】 単安定強誘電性液晶素子とアクティブマ
    トリックス素子とを組み合わせてモノクロの表示素子が
    構成され、この表示素子と表示観測位置との間にフィル
    タ素子が配置されている、請求項1又は2に記載した装
    置。
  4. 【請求項4】 単安定強誘電性液晶素子とアクティブマ
    トリックス素子とカラーフィルタ素子とを組み合わせて
    カラーの表示素子として構成されている、請求項1又は
    2に記載した装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載した
    液晶装置を駆動するに際し、アクティブマトリックス素
    子によって単安定強誘電性液晶素子を駆動し、この駆動
    と同期してフィルタ素子を切り替える、液晶装置の駆動
    方法。
  6. 【請求項6】 単安定強誘電性液晶素子の駆動を1msec
    以下の応答時間で行い、フィルタ素子の切り替えも1ms
    ec以下で行う、請求項5に記載した方法。
  7. 【請求項7】 単安定強誘電性液晶素子に対する情報書
    き込み過程においてフィルタ素子を黒の状態にする、請
    求項5又は6に記載した方法。
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