JPH08151917A - ブリーザ装置付きエンジン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】ブリーザ装置付きエンジンにおいて、次のよう
にした。すなわち、シリンダヘッド３とシリンダ４のう
ち、少なくとも一方を空冷するための冷却風通路６を備
え、シリンダヘッド３とシリンダ４のうち、少なくとも
一方の周壁に沿って冷却排風案内ケース９を設け、この
冷却風案内ケース９内に冷却排風通路１０を設け、冷却
風通路６から排出された冷却排風１１を冷却排風通路１
０に導入するようにし、排気ポート１２と排気マフラ１
３との間に介在する排気管１４を冷却排風通路１０内に
収容し、排気管１４の周囲を通過した冷却排風１５を、
冷却排風通路１０でブリーザパイプ２に導くようにし
た。 【効果】排気管１４からの放熱を受けて昇温した高温の
冷却排風１５でブリーザパイプ２が加温されるので、寒
冷時のブリーザパイプ２内の氷結による閉塞を防止する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ブリーザ装置付きエン
ジンに関し、詳しくは、ブリーザパイプ内の氷結による
閉塞を防止するものに関する。

【０００２】

【従来技術】ブリーザ装置付きエンジンの従来技術とし
て、本発明と同様、ブリーザ室からエンジンの外側にブ
リーザパイプを導出したものがある。

【０００３】この種のエンジンでは、ブリーザパイプ
は、特別な加温手段を有することなく外気に晒されてい
る。このため、外気温度が零下３０゜Ｃ程度にまで低下
する寒冷地では、エンジン運転中であっても、ブリーザ
パイプが異常低温になり、ブリーザパイプ内に外気が吸
い込まれると、この外気に含まれる水分の氷結によって
ブリーザパイプ内が閉塞されることがある。

【０００４】例えば、寒冷地でエンジン発電機を運転す
る場合、夜間には、外気温度が著しく低下するうえ、電
気使用量の低下でエンジン負荷が低下し、エンジンから
の放熱量も低下する。このような場合には、ブリーザパ
イプが異常低温になる条件が揃い、ブリーザパイプ内が
短時間のうちに氷結によって閉塞する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、寒
冷時に、ブリーザパイプ内が氷結によって閉塞すること
がある。この場合、クランクケース内で発生するブロー
バイスガスがブリーザパイプからエンジン外に抜けず、
クランクケースの内圧が異常上昇し、潤滑油がオイルシ
ールから吹き出し、潤滑油不足によってエンジンが焼き
付くことがある。

【０００６】本発明の課題は、ブリーザパイプ内の氷結
による閉塞を防止できる、ブリーザ装置付きエンジンを
提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、図１に例示す
るように、ブリーザ室１からエンジンの外側にブリーザ
パイプ２を導出した、ブリーザ装置付きエンジンにおい
て、次のようにしたことを特徴とする。

【０００８】すなわち、シリンダヘッド３とシリンダ４
のうち、少なくとも一方を空冷するための冷却風通路６
を設け、シリンダヘッド３とシリンダ４のうち、少なく
とも一方の周壁に沿って冷却排風案内ケース９を設け、
この冷却排風案内ケース９内に冷却排風通路１０を設
け、冷却風通路６から排出された冷却排風１１を冷却排
風通路１０に導入するようにし、排気ポート１２と排気
マフラ１３との間に介在する排気管１４を冷却排風通路
１０内に収容し、排気管１４の周囲を通過した冷却排風
１５を、冷却排風通路１０でブリーザパイプ２に導くよ
うにしたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】図１に示すように、冷却風通路６を通過する冷
却風８は、シリンダヘッド３とシリンダ４のうち、少な
くとも一方を冷却し、その放熱を受けて昇温し、冷却排
風１１となって冷却排風通路１０に導入される。この冷
却排風１１は、冷却排風通路１０を通過する過程で、排
気管１４を冷却し、その放熱を受けて更に昇温し、高温
の冷却排風１５となってブリーザパイプ２に導かれ、こ
れを加温する。

【００１０】

【発明の効果】本発明では、次の効果を奏する。 排気管１４からの放熱を受けて昇温した高温の冷却排
風１５でブリーザパイプ２が加温されるので、寒冷時の
ブリーザパイプ２内の氷結による閉塞を防止することが
できる。このため、ブローバイガスによるクランクケー
スの内圧の異常上昇が抑制され、オイルシールからの潤
滑油の吹き出しが防止されて、潤滑油不足によるエンジ
ンの焼き付きが防止される。

【００１１】排気管１４が冷却排風１１で冷却され、
排気マフラ１３に導入される排気の圧力が低下するの
で、排気マフラ１３から大気中に放出される排気の膨張
比が小さくなり、排気騒音が低減される。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例では、強制空冷式の単気筒ガソリンエンジン
を用いている。このエンジンの構成は次の通りである。
すなわち、図１（Ｂ）に示すように、シリンダ４の上部
にシリンダヘッド３を組み付け、その上部にヘッドカバ
ー１７を組み付けてある。ヘッドカバー１７にはブリー
ザ室１を内設し、ここからエンジンの外側にブリーザパ
イプ２を導出してある。

【００１３】この実施例では、ブリーザパイプ２内の氷
結による閉塞を防止するため、次のような構成を採用し
た。すなわち、図１（Ａ）に示すように、シリンダヘッ
ド３とシリンダ４とを空冷するための冷却風通路６を設
ける。そして、シリンダヘッド３とシリンダ４の周壁に
沿って冷却排風案内ケース９を設け、この冷却風案内ケ
ース９内に冷却排風通路１０を設け、冷却風通路６から
排出された冷却排風１１を冷却排風通路１０に導入する
ようにし、排気ポート１２と排気マフラ１３との間に介
在する排気管１４を冷却排風通路１０内に収容し、排気
管１４の周囲を通過した冷却排風１５を、冷却排風通路
１０でブリーザパイプ２に導くようにしてある。

【００１４】このような構成によれば、冷却風通路６を
通過する冷却風８は、シリンダヘッド３とシリンダ４の
周壁を冷却し、その放熱を受けて昇温し、冷却排風１１
となって冷却排風通路１０に導入される。この冷却排風
１１は、冷却排風通路１０を通過する過程で、排気管１
４を冷却し、その放熱を受けて更に昇温し、高温の冷却
排風１５となってブリーザパイプ２に導かれ、これを加
温する。

【００１５】具体的構成は次の通りである。シリンダヘ
ッド３とシリンダ４の両周壁を冷却風案内カバー５で覆
い、冷却風案内カバー５内に冷却風通路６を形成し、エ
ンジン冷却ファン７で起こした冷却風８を冷却風通路６
に導くようにしてある。エンジン冷却ファン７はクラン
クケースの前部に設け、ファンケース１９で覆ってあ
る。

【００１６】シリンダ軸線２０と平行な向きに見て、冷
却風案内カバー５は、シリンダヘッド３とシリンダ４の
横周壁と後周壁に沿ってＬ字状に形成してある。冷却風
通路６の通路始端部２１はファンケース１９に連通さ
せ、通路終端部２２はシリンダヘッド３とシリンダ４の
後部で開口させてある。

【００１７】シリンダ軸線２０と平行な向きに見て、冷
却排風案内ケース９は、シリンダヘッド３とシリンダ４
の後周壁と横周壁に沿ってＬ字状に形成してある。冷却
排風通路１０の通路始端部２３は、冷却風通路６の通路
終端部２２に対向させ、冷却風通路６から排出された冷
却排風１１を冷却排風通路１０に導入するようにしてあ
る。

【００１８】排気ポート１２はシリンダヘッド３の後周
壁で開口させ、排気管１４は排気ポート１２からシリン
ダヘッド３の後周壁に沿って横向きに導出してある。そ
して、冷却排風案内ケース９のうち、シリンダヘッド３
とシリンダ４の後周壁に沿って左右方向に延びた部分２
５に排気管１４を収容してある。

【００１９】シリンダヘッド３の前周壁には吸気ポート
２６を開口し、この吸気ポート２６からシリンダヘッド
３の前周壁に沿って吸気管２７を横向きに導出し、吸気
管２７の導出端にキャブレータ２８を取り付け、これに
エアクリーナ２９を取り付けている。冷却排風案内ケー
ス９のうち、シリンダヘッド３とシリンダ４の横周壁に
沿って前後方向に延びた部分３０の終端に冷却排風通路
１０の通路終端部２４を設け、この通路終端部２４にキ
ャブレータ２８を臨ませてある。

【００２０】ブリーザパイプ２は、ブリーザ室１とエア
クリーナ２９との間に架設したクローズドブリーザ方式
のもので、冷却排風通路１０の通路終端部２４内を横断
させてある。このため、冷却排風通路１０で導かれた冷
却排風１５が確実にブリーザパイプ２に吹き当たり、ブ
リーザパイプ２の加温が確実に行われる。

【００２１】図２に示すように、冷却排風案内ケース９
は、シリンダヘッド３の後周壁に取り付けられる排気管
カバー３１と、シリンダヘッド３の横周壁に取り付けら
れる対カバー３２・３３と、冷却排風通路１０とエアク
リーナ２９との間に介在される遮風カバー３４とからな
り、これらを組み立てて構成する。

【００２２】図１（Ｂ）に示すように、対カバー３３の
内底壁３５は空燃混合器２８の吸気通路壁３６に向けて
上り傾斜させ、冷却排風通路１０の通路終端部２４がキ
ャブレータ２８の吸気通路壁３６と対向するようにして
ある。このため、冷却排風通路１０で案内された冷却排
風１５がキャブレータ２８の吸気通路壁３６に集中的に
吹き当たり、吸気通路内のメインノズルやスロットル弁
の凍結を防止できる。また、冷却排風１５がキャブレー
タ２８のフロート室３７に吹き当たるのを抑制し、パー
コレーションが起こるのを抑制できる。

【００２３】また、図１（Ａ）に示すように、シリンダ
軸線２０と平行な向きに見て、遮風カバー３４は遮風壁
４０と遮熱壁４１とでＬ字形に形成し、遮風壁４０を冷
却排風通路１０とエアクリーナ２９との間に介在させる
とともに、遮熱壁３８をエアクリーナ２９と排気マフラ
１３との間に介在させてある。このため、エアクリーナ
２９が不要な冷却排風１５や排気マフラ１３からの放熱
に晒されず、吸気温度の不要な上昇が抑制されて、吸気
効率の低下が抑制される。

【００２４】本発明の実施例の内容は以上の通りである
が、本発明は上記実施例の内容に限定されるものではな
い。例えば、ブリーザパイプ２は、オープンブリーザ方
式のものであってもよく、この場合には、ブリーザパイ
プ２の導出端はエアクリーナ２９には接続されず、大気
中に解放される。冷却風通路６は、シリンダヘッド３と
シリンダ４のうち、少なくとも一方を冷却するものであ
ればよい。また、シリンダヘッド３を冷却する冷却風通
路６は、シリンダヘッド３内に設けてもよい。本発明を
適用するエンジンは、ガスエンジン等、他の火花点火式
エンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンであっ
てもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係るエンジンを説明する図
で、図１（Ａ）は一部横断平面図、図１（Ｂ）は図１
（Ａ）のＢ−Ｂ線断面図である。

【図２】図１のエンジンで用いる冷却排風案内ケースの
分解斜視図である。

【符号の説明】

１…ブリーザ室、２…ブリーザパイプ、３…シリンダヘ
ッド、４…シリンダ、６…冷却風通路、９…冷却排風案
内ケース、１０…冷却排風通路、１１…冷却排風、１２
…排気ポート、１３…排気マフラ、１４…排気管、１５
…冷却排風。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブリーザ室(１)からエンジンの外側にブ
   リーザパイプ(２)を導出した、ブリーザ装置付きエンジ
   ンにおいて、 シリンダヘッド(３)とシリンダ(４)のうち、少なくとも
   一方を空冷するための冷却風通路(６)を設け、シリンダ
   ヘッド(３)とシリンダ(４)のうち、少なくとも一方の周
   壁に沿って冷却排風案内ケース(９)を設け、この冷却排
   風案内ケース(９)内に冷却排風通路(１０)を設け、冷却
   風通路(６)から排出された冷却排風(１１)を冷却排風通
   路(１０)に導入するようにし、排気ポート(１２)と排気
   マフラ(１３)との間に介在する排気管(１４)を冷却排風
   通路(１０)内に収容し、排気管(１４)の周囲を通過した
   冷却排風(１５)を、冷却排風通路(１０)でブリーザパイ
   プ(２)に導くようにした、ことを特徴とするブリーザ装
   置付きエンジン。