JPH08147663A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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Publication number
JPH08147663A
JPH08147663A JP28695294A JP28695294A JPH08147663A JP H08147663 A JPH08147663 A JP H08147663A JP 28695294 A JP28695294 A JP 28695294A JP 28695294 A JP28695294 A JP 28695294A JP H08147663 A JPH08147663 A JP H08147663A
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JP
Japan
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layer
lubricant
magnetic
metal
substrate
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Pending
Application number
JP28695294A
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English (en)
Inventor
Takeshi Sato
毅志 佐藤
Tsutomu Isobe
勤 磯部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高密度記録に対応する為、磁気ヘッドの低浮
上化を可能とし、かつ、磁気ヘッドの貼り付きが起き
ず、更には磁性層が密着していて剥離し難く、そして摩
擦係数が一層低減し、走行性及び耐久性に一層優れたフ
ァインな表面粗さを持つ磁気記録媒体を提供することを
目的とする。 【構成】 基板と、この基板上に設けられた金属M
1 (M1 はカーバイドを形成し得る金属)を構成要素と
する第1層と、この第1層上に設けられたAl−M
2(M2 はカーバイドを形成し得る金属、M2 はM1
同じでも異なっていても良い。)系合金材料よりなる第
2層と、この第2層上に設けられた金属系磁性層と、表
面に設けられた潤滑剤層とを具備し、前記潤滑剤層が気
相重合で形成されたものである磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摩擦係数が低く、走行
性及び耐久性に優れた磁気ディスク等の磁気記録媒体に
関する。
【0002】
【発明の背景】コンピュータ等の外部記憶装置に使用さ
れる磁気ディスクにおいては、磁気ディスクと磁気ヘッ
ドとの間の距離、すなわち磁気ヘッドの浮上高さを低く
することが再生出力などの点から求められている。従っ
て、磁気ディスクの表面は平滑であることが好ましいと
言える。しかし、表面が平滑すぎると、磁気ヘッドが磁
気ディスクに貼り付き、磁気ディスクや磁気ヘッドに損
傷の恐れが有る。よって、表面を適度な粗さにする為、
テクスチャ処理が基板に施されることになる。
【0003】このテクスチャ処理として、従来より幾つ
かの手法が提案されている。例えば、アルミニウム基板
に対しては機械的研磨法が提案されている。ガラス基板
に対しては、化学的エッチング法(特開昭64−377
18号公報)や、微粒子含有塗料の塗布法(特開平1−
194128号公報)が提案されている。又、カーボン
基板に対しては、熱酸化法(特開平4−214225号
公報)が提案されている。しかし、これらの方法では、
磁気ヘッドの浮上高さの一層の低下が要求される今日に
あっては十分にその要求を満たすことが出来なくなって
いる。
【0004】すなわち、優れた耐久性を維持しつつ、磁
気ヘッドの一層の低浮上化を可能とするテクスチャ技
術、つまり平滑でありながらも適度な粗さを有する表面
特性が求められている。このような要望に沿った技術と
して、Sn,In等の低融点金属を真空蒸着させて凹凸
を形成する方法(特開昭60−211614号公報、特
開昭61−240429号公報)、Al,Cu等の低融
点金属をスパッタして不連続な島状構造とする方法(特
開平3−73419号公報)、Cr,Mo,W等の高融
点金属を用いて粗面とする方法(特開平2−26772
2号公報)等が提案されている。
【0005】これらの技術は、テクスチャ処理と磁性層
の形成を真空系で一貫して行える特長が有る。しかし、
低融点の単一金属を用いた場合には凹凸度が良くなく、
かつ、基板との密着性が悪く、剥離し易く、実用に耐え
ない。又、高融点金属を用いた場合には、凹凸度が良く
なく、耐久性(CSS特性)が悪いと言う問題が有っ
た。
【0006】又、磁気記録媒体の耐久性は、潤滑剤層の
組成、厚さ、あるいは潤滑剤層の製法等に大きく左右さ
れる。現在までに、それらに関する多くの技術が提案さ
れている。例えば、特開昭60−101715号公報、
特開昭61−113126号公報、特開昭61−248
218号公報、特開平5−166173号公報、特開昭
62−114122号公報、特開平1−171101号
公報、特開平2−73514号公報、特開平3−257
20号公報、特開平3−207020号公報、特開平4
−102224号公報、特開平4−286720号公
報、特開平4−311812号公報、特開平6−202
62号公報などに示されるように、ディップコート法や
スピンコート法によって潤滑剤層を形成する技術が有
る。
【0007】しかし、これらの技術では潤滑剤の濃度変
動や保護層の表面状態などが潤滑剤付着量に微妙に影響
し、その厚さの制御、引いては潤滑特性の安定化が困難
であった。更には、潤滑性能が経時的に劣化する問題も
あった。一方、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を
塗布後にプラズマ処理して潤滑剤を保護層表面に固定す
る技術(特開平5−174354号公報)や、フッ素系
ガスを保護層表面上で表面重合させることによって、潤
滑剤分子端を保護層表面に固定する技術(特開平3−1
04015号公報、特開平4−311812号公報、特
開平6−220185号公報)が有る。
【0008】これらの中、前者の技術には塗布方式の不
安定性が依然として残っている。これに対して、後者の
技術は、パーフルオロポリエーテルの商業的合成法の代
表である光酸化重合法を応用し、潤滑剤分子を保護層表
面に固定したものである。すなわち、ヘキサフルオロプ
ロペン等のフッ素系ガスと酸素とを導入し、かつ、ディ
スク表面に直接レーザ光を照射し、ディスク表面上のみ
で光酸化重合(表面重合)させたものである。この表面
重合を進行させる為には、ディスクを−70〜−30℃
に冷却し、原料ガスを凝縮させる等の特別な操作が必要
である。又、重合が表面で起こる為に下記の問題が有
る。 (1) 保護層表面はミクロ的にはかなり不均一なの
で、表面エネルギの揺らぎ、微細突起・凹部の存在、化
学的活性部位の偏在等が原料ガス吸着・凝縮の揺らぎを
もたらし、重合反応がミクロ的に不均一に進行する。よ
って、ディスク全面にわたって均質・均一膜厚の潤滑剤
層の形成が難しく、安定した耐久性を発現できていな
い。 (2) 強力なレーザ光をディスク表面に照射する為、
照射部の磁性層や保護層の特性が変動や劣化の恐れがあ
る。 (3) 表面重合を行う為、又、レーザ光をディスク表
面に照射する為、枚葉処理となり、量産に適していな
い。 (4) 表面固定を促進する為、保護層表面の酸化、エ
ッチング、光・電磁波照射が必要で、工程が複雑にな
り、コスト高となる。 (5) ディスクを−30℃以下の極低温に冷却する必
要があり、反応効率を考慮すると、量産性やコストの点
で実用的でない。 (6) 多量のディスクを素早く冷却する為に、大がか
りな設備が必要である。 (7) 極低温から室温に短時間で戻すと、表面の微細
凹凸部に毛管凝縮現象で結露が生じるから、長時間かけ
て戻す必要があるので、生産効率が悪い。
【0009】加えて、高密度記録化に伴い、磁気ディス
ク回転の高速化や磁気ヘッドの浮上量の低下が図られて
おり、磁気ディスク表面に要求される耐磨耗性、耐久性
は年々高度なレベルが要求されている。
【0010】
【発明の開示】前記の問題に対する検討が本発明者によ
って鋭意押し進められて行った。すなわち、磁性層、あ
るいは磁性層の下地層とガラス状カーボン基板との間に
凹凸が容易に形成される層を設け、この層の密着性の向
上を図ることを考えた。この指針に沿った研究を精力的
に行っている中に、Al−Si系合金材料をスパッタ等
の手段で設けたものは、凹凸形成が容易で、かつ、適度
な凹凸が形成され、更には密着性に富むことが判って来
た。更に、他の材料についても検討を行った結果、Al
−Si系合金の他にもAl−Cr系合金、Al−Ta系
合金、Al−Ti系合金、Al−Zr系合金、Al−Y
系合金、Al−Mo系合金、Al−W系合金、Al−V
系合金の層を設けたものにあっても、凹凸形成が容易
で、かつ、適度な凹凸が形成され、更には密着性に富む
ことが判って来た。
【0011】これらの知見を基にして考察して行く中
に、カーバイドを形成し得る金属Mを含有するAl−M
系金属層(凹凸形成層)がカーボン基板上に設けられて
いると、カーボン基板のC成分とカーバイドを形成する
金属Mの存在によってカーボン基板とAl−M系金属層
(凹凸形成層)との間の結合は強く、従ってこの上に金
属磁性層、あるいは下地層(金属層)を介して金属磁性
層を設けた場合には、適度な凹凸が表面に形成されてお
り、摩擦係数が小さく、耐久性に優れ、更には剥離の問
題も解決されると推察された。しかし、より一層の信頼
性向上の観点から、更なるCSS耐久性の向上、摩擦係
数の低減が要望された。
【0012】上記の磁気ディスクの表面をSEMやAM
Fで観察しているうちに、Al−M層の凹凸に起因した
表面の凹凸高さは略均一で、かつ、滑らかであることか
ら、初期摩擦係数の低減に限界があることが判った。こ
れを解決する為の研究が鋭意押し進められて行くうち
に、金属層を複数層、例えば二層構成とし、これらの各
層に凹凸を形成させたならば、記録媒体の表面を好まし
い表面形状に出来、これによって摩擦係数の一層の低
減、及びCSS耐久性の向上を得ることが出来ると推察
するに至った。
【0013】又、気相重合によって潤滑剤を合成し、こ
れを垂直方向に立てた、あるいは水平方向に寝かせた磁
気記録媒体の表面に析出することによって、当該媒体の
最表面に潤滑剤層が形成される。つまり、気相で重合し
たフッ素系化合物(潤滑剤組成物)が拡散により表面に
到達して付着し、固定される。これによって潤滑剤層が
形成される。この重合反応は気相中で進行するので、デ
ィスク表面の不均一性に左右されず、又、表面凝縮を促
進させる為にディスクを冷却する必要がなく、生産性に
も優れている。かつ、潤滑剤層を気相重合で形成した磁
気ディスクは、極性基を持つ潤滑剤と極性基を持たない
潤滑剤とからなる混成潤滑剤層を塗布により設けた従来
の磁気ディスクに比べて、CSSテストが高いレベルで
安定したものであり、格段に優れた特性を示すことが判
明した。気相重合による潤滑剤層の分子構造については
完全には判っていない。又、従来の潤滑剤層との構造差
も現時点では解明していないが、潤滑剤層を気相重合で
形成することが耐久性の向上には重要であることが判っ
た。
【0014】本発明は上記の知見を基にして達成された
ものであり、高密度記録に対応する為、磁気ヘッドの低
浮上化を可能とし、かつ、磁気ヘッドの貼り付きが起き
ず、更には磁性層が密着していて剥離し難く、そして摩
擦係数が一層低減し、走行性及び耐久性に一層優れたフ
ァインな表面粗さを持つ磁気記録媒体を提供することを
目的とする。
【0015】この本発明の目的は、基板と、この基板上
に設けられた金属M1 (M1 はカーバイドを形成し得る
金属)を構成要素とする第1層と、この第1層上に設け
られたAl−M2 (M2 はカーバイドを形成し得る金
属、M2 はM1 と同じでも異なっていても良い。)系合
金材料よりなる第2層と、この第2層上に設けられた金
属系磁性層と、表面に設けられた潤滑剤層とを具備し、
前記潤滑剤層が気相重合で形成されたものであることを
特徴とする磁気記録媒体によって達成される。
【0016】特に、カーボン基板(中でもガラス状カー
ボン基板)と、このカーボン基板上に設けられた金属M
1 (M1 はカーバイドを形成し得る金属)を構成要素と
する第1層と、この第1層上に設けられたAl−M
2 (M2 はカーバイドを形成し得る金属、M2 はM1
同じでも異なっていても良い。)系合金材料よりなる第
2層と、この第2層上に設けられた金属系磁性層と、表
面に設けられた潤滑剤層とを具備し、前記潤滑剤層が気
相重合で形成されたものであることを特徴とする磁気記
録媒体によって達成される。
【0017】又、基板と、この基板上に設けられた金属
1 (M1 はカーバイドを形成し得る金属)を構成要素
とする第1層と、この第1層上に設けられたAl−M2
(M 2 はカーバイドを形成し得る金属、M2 はM1 と同
じでも異なっていても良い。)系合金材料よりなる第2
層と、この第2層上に設けられたCrあるいはCr合金
からなる下地層と、この下地層上に設けられた金属系磁
性層と、表面に設けられた潤滑剤層とを具備し、前記潤
滑剤層が気相重合で形成されたものであることを特徴と
する磁気記録媒体によって達成される。
【0018】特に、カーボン基板(中でもガラス状カー
ボン基板)と、このカーボン基板上に設けられた金属M
1 (M1 はカーバイドを形成し得る金属)を構成要素と
する第1層と、この第1層上に設けられたAl−M
2 (M2 はカーバイドを形成し得る金属、M2 はM1
同じでも異なっていても良い。)系合金材料よりなる第
2層と、この第2層上に設けられたCrあるいはCr合
金からなる下地層と、この下地層上に設けられた金属系
磁性層と、表面に設けられた潤滑剤層とを具備し、前記
潤滑剤層が気相重合で形成されたものであることを特徴
とする磁気記録媒体によって達成される。
【0019】又、前記金属系磁性層の上に保護層が設け
られてなる磁気記録媒体によって達成される。尚、本発
明において、第1層の表面には微細な第1の凹凸が形成
され、第2層の表面には第1の凹凸の影響による凹凸と
第2層自身によって形成される前記第1の凹凸よりも大
きめの凹凸とが複合した構造の第2の凹凸が形成されて
なることが好ましい。又、第1層の厚さは10〜200
nm、第2層の厚さは5〜100nmが好ましい。そし
て、凹凸層(第1層や第2層)は、図1に示す如く、表
面に凹凸構造を有し、下層部が連続しているタイプであ
ることが好ましい。
【0020】又、前記潤滑剤層は潤滑剤分子が当該媒体
の最表面に固定された固定潤滑剤分子と潤滑剤分子が当
該媒体の最表面には固定されていないフリー潤滑剤分子
との混成でなるものが好ましい。特に、潤滑剤層の厚さ
は2〜200Åで、この潤滑剤層おけるフリー潤滑剤分
子/固定潤滑剤分子が重量比で1/10〜10/1の割
合が好ましい。
【0021】以下、本発明について詳述する。本発明に
おいて、基板は磁性を有するものでも非磁性のものでも
良いが、一般的には非磁性のものが用いられる。例え
ば、カーボン(特公昭63−46004号公報、特開平
3−11005号公報など)、強化ガラス、結晶化ガラ
ス、AlあるいはAl合金、チタンあるいはチタン合
金、セラミックス、樹脂、あるいは前記材料の複合材料
が用いられる。中でも、カーボン、特にガラス状カーボ
ンは、耐熱性、スパッタによって磁性層などを設ける際
の加熱によるガス発生が少ないこと等から、本発明の場
合には最も好ましい。
【0022】そして、例えばRa(中心線平均粗さ)が
0.5〜0.9nmのカーボン基板上に、直接、金属M
1 (M1 はカーバイドを形成し得る金属であって、S
i,Cr,Ta,Ti,Zr,Y,Mo,W及びVの群
の中から選ばれる一種以上)からなる第1層を10〜2
00nm厚さ設ける。すなわち、真空蒸着、スパッタリ
ングあるいはイオンプレーティング等のPVD手段でT
i層、Mo層、W層、Si層、Cr層、Ta層、Zr
層、Y層、V層を設ける。Ti層の場合には、その厚さ
が10〜150nm(望ましくは50〜120nm)が
好ましい。Mo層の場合には、その厚さが10〜120
nm(望ましくは50〜100nm)が好ましい。W層
の場合には、その厚さが10〜120nm(望ましくは
40〜100nm)が好ましい。Si層の場合には、そ
の厚さが10〜150nm(望ましくは40〜120n
m)が好ましい。Cr層の場合には、その厚さが5〜2
00nm(望ましくは30〜120nm)が好ましい。
Ta層の場合には、その厚さが10〜130nm(望ま
しくは50〜120nm)が好ましい。Zr層の場合に
は、その厚さが10〜150nm(望ましくは50〜1
20nm)が好ましい。Y層の場合には、その厚さが1
0〜140nm(望ましくは50〜130nm)が好ま
しい。V層の場合には、その厚さが10〜140nm
(望ましくは60〜120nm)が好ましい。これによ
って、第1層の表面には微細な凹凸(Raが9〜11
Å、最大中心線高さRpが20〜40Å)が形成され
る。
【0023】この金属M1 からなる第1層上に、直接、
Al−M2 (M2 はカーバイドを形成し得る金属)系合
金材料よりなる第2層を設ける。このAl−M2 系合金
の具体例としては、M2 がSi,Cr,Ta,Ti,Z
r,Y,Mo,W,V等の元素の中から選ばれる少なく
とも一種以上を含むAl−M2 系合金が挙げられる。例
えば、Al−Si系合金(好ましくはSiが0.2〜1
5wt%、より好ましくはSiが1〜10wt%)、A
l−Cr系合金(好ましくはCrが0.1〜10wt
%、より好ましくはCrが1〜5wt%)、Al−Ta
系合金(好ましくはTaが0.1〜3wt%、より好ま
しくはTaが1〜2wt%)、Al−Ti系合金(好ま
しくはTiが0.5〜15wt%、より好ましくはTi
が1〜10wt%)、Al−Zr系合金(好ましくはZ
rが0.1〜9wt%、より好ましくはZrが1〜5w
t%)、Al−Y系合金(好ましくはYが0.1〜10
wt%、より好ましくはYが1〜5wt%)、Al−M
o系合金(好ましくはMoが0.2〜10wt%、より
好ましくはMoが1〜5wt%)、Al−W系合金(好
ましくはWが0.2〜10wt%、より好ましくはWが
1〜8wt%)、Al−V系合金(好ましくはVが0.
5〜8wt%、より好ましくはVが1〜5wt%)等が
挙げられる。又、Al−5wt%Si−5wt%Cr系
合金、Al−5wt%Si−3wt%Mo系合金、Al
−5wt%Si−3wt%W系合金などの三元以上の系
のAl合金も挙げられる。中でも、特に好ましいのはA
l−Si系合金やAl−Cr系合金である。
【0024】Al−M2 系合金材料よりなる層はスパッ
タリング等のPVD手段で設けられる。この時のカーボ
ン基板の温度は80〜500℃(より好ましくは120
〜350℃)が好ましい。その厚さは5〜100nm
(望ましくは5〜60nm)が好ましい。すなわち、P
VD手段でAl−M2 系合金層を形成するに際して、前
記のような厚さに制御することにより、Al−M2 系合
金層の表面には微細な凹凸(Raが10〜50Å、より
好ましくは10〜30Å。Rpが20〜300Å、より
好ましくは30〜80Å。)が形成される。尚、この第
2層の表面に形成される凹凸をSEM(走査型電子顕微
鏡)やAFM(原子間力顕微鏡)によって観察すると、
第1層自身によって形成される凹凸と第2層自身によっ
て形成される凹凸とが複合化した凹凸模様となってい
る。従って、このような凹凸が形成されたAl−M2
合金層の上に磁性層などを設けたならば、前記の凹凸が
ほぼそのまま引き継がれ、表面が適度に粗面化されたも
のとなる。従って、磁気ヘッドの貼り付き現象を防止で
き、耐久性に富み、又、摩擦係数が小さく、走行性に優
れたものになる。
【0025】本発明の磁気記録媒体は金属薄膜型のもの
である。すなわち、基板上の金属薄膜型磁性層はPVD
手段で設けられる。磁性層を構成する材料としては、例
えばCoCr,CoCrX,CoNiX,CoWX等で
表されるCoを主成分とするCo系の磁性合金が挙げら
れる。尚、ここでXとしては、Ta,Pt,Au,T
i,V,Cr,Ni,W,La,Ce,Pr,Nd,P
m,Sm,Eu,Li,Si,B,Ca,As,Y,Z
r,Nb,Mo,Ru,Rh,Ag,Sb,Hfよりな
る群から選ばれる1種又は2種以上の元素が挙げられ
る。中でも、CoCrやCoCrPtを好ましいものと
して挙げることが出来る。このような磁性層の膜厚は通
常300〜1000Å程度である。
【0026】金属薄膜型の磁性層の下地層(Al−M2
系合金層の上に設けられる)としてCrあるいはCr合
金からなる非磁性のCr系層がPVD手段で設けられ
る。尚、この非磁性の下地層(Cr系膜)は、上層に設
けられる磁性層の配向性などを向上させる為に設けられ
る。そして、その厚さは10〜100nmが好ましい。
金属薄膜型の磁気記録媒体では、一般的に、磁性層上に
保護層がPVD手段やCVD手段で設けられる。保護層
の材料としては、耐摩耗性の点から硬度の高いものが望
ましい。例えば、Al,Si,Ti,Cr,Zr,N
b,Mo,Ta,W等の金属の酸化物、窒化物、炭化物
などがある。又、カーボンあるいはボロンナイトライド
等も挙げられる。中でも、ガラス状カーボンやダイヤモ
ンドライクカーボン、あるいはこれらのカーボンとセラ
ミックスとの複合材のようなカーボン系の材料は好まし
い。尚、保護膜の厚さは100〜300Åが好ましい。
【0027】走行性や耐久性を向上させる為に、保護層
上には、例えば厚さが2〜200Å程度の潤滑剤の層が
設けられる。潤滑剤は気相重合で形成されたものであ
る。特に、潤滑剤分子が当該媒体の最表面(例えば、保
護層)に固定された固定潤滑剤分子と潤滑剤分子が当該
媒体の最表面には固定されていないフリー潤滑剤分子と
の混成でなり、気相重合で形成されたものが好ましい。
例えば、フリーな潤滑剤分子が存在しなかった場合に
は、ファインな表面粗度を与えるテクスチャ表面を持つ
ものでは、CSSテストにおいて摩擦係数が大きくな
り、昨今のニーズを満たさない。実験を繰り返した結
果、フリー潤滑剤分子層を気相重合で形成させる点がポ
イントで、この割合(フリー潤滑剤分子/固定潤滑剤分
子)は重量比で1/10〜10/1、望ましくは2/5
〜5/1であることが好ましかった。
【0028】潤滑剤層は厚すぎるとスペーシングロスが
大きくなり、逆に、薄すぎると潤滑効果が乏しいことか
ら、潤滑剤層の厚さは2〜200Åが好ましい。潤滑剤
層の厚さの上限値のより好ましい値は100Å、もっと
好ましい値は約80Å、更に好ましい値は約50Åであ
る。潤滑剤層の厚さの下限値のより好ましい値は10
Å、もっと好ましい値は約20Åである。
【0029】潤滑剤層は気相重合で形成される。本発明
において、気相重合とは、反応物質が気相に保たれてい
て、重合反応(特に、高分子量化)が気相のみで起こる
反応を意味する。例えば、プラズマ重合やCVD(特
に、光CVD)によって行われる。光CVDで行う場
合、レーザ光を被析出物体表面には直接照射せず、原料
ガス中にのみ照射して行う。
【0030】光CVDを行う場合、光源には、例えば紫
外線か赤外線が用いられる。これらは、各々の持ってい
る光子エネルギが異なることから、次の相違点がある。
先ず、引き起こされる化学反応が異なる。例えば、炭酸
ガス等の赤外レーザを用いる場合、反応は振動励起で起
きる。この場合、光励起エネルギは炭酸ガスレーザ(波
長10.6μm)で約3kcal/molであり、化学
結合(炭素−炭素の一重結合、二重結合や三重結合、炭
素−酸素結合)を切るには不充分である。又、基本的に
振動励起による反応であるから、本質的に熱反応と同じ
であり、サイドリアクションが起きる。この為、目的外
のものが出来る恐れが有る。一方、紫外レーザを用いた
場合、電子励起により反応が起きるから、化学結合を一
光子の吸収で切ることが出来、光化学反応が容易に起き
る。かつ、熱反応の関与は極めて低く、サイドリアクシ
ョンの恐れが低い。この為、潤滑剤を得るのに、フッ素
化合物を光分解し、重合させるには、紫外レーザを用い
ることが好ましい。
【0031】気相重合にはフッ化炭素系の化合物を用い
る。例えば、モノフルオロエチレン、ジフルオロエチレ
ン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、
モノフルオロプロペン、ジフルオロプロペン、トリフル
オロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオ
ロプロペン、ヘキサフルオロプロペン、モノフルオロブ
テン、ジフルオロブテン、トリフルオロブテン、テトラ
フルオロブテン、ペンタフルオロブテン、ヘキサフルオ
ロブテン、モノフルオロペンテン、ジフルオロペンテ
ン、トリフルオロペンテン、テトラフルオロペンテン、
ペンタフルオロペンテン、ヘキサフルオロペンテン、パ
ーフルオロ−1−ペンテン、モノフルオロブタジエン、
ジフルオロブタジエン、トリフルオロブタジエン、テト
ラフルオロブタジエン、ペンタフルオロブタジエン、ヘ
キサフルオロブタジエン等が用いられる。勿論、これ以
外の重合性フッ化炭素を用いることも出来る。又、一種
類のみでなく、二種類以上を併用できる。
【0032】又、フッ化炭素系の化合物のみでなく、酸
素を併用することが好ましい。例えば、モル比(フッ化
炭素/酸素)で1/0.5〜1/100(より好ましく
は1/1〜1/10、更に好ましくは1/2〜1/5)
の割合にした重合性化合物と酸素とを用いることが出来
る。これにより、効率良く潤滑剤成分(パーフルオロポ
リエーテル)を生成できる。例えば、上記割合が1/1
00より低いと、レーザー光の吸収効率が低下して好ま
しくない。
【0033】気相重合の雰囲気ガス圧は1〜1000T
orr、より好ましくは10〜200Torr、更に好
ましくは50〜150Torrが好ましい。圧力が高す
ぎても低すぎても、重合反応が起こり難い。上記原料ガ
スはAr,He,N2 ,H2 等のキャリアガスで搬送で
きる。このキャリアガスは原料ガスに対してモル比で等
量〜数百倍量まで変化させることが出来る。キャリアー
ガスの導入量は1〜2000Torrで良い。
【0034】ディスク基板温度は10〜90℃に設定さ
れていることが好ましい。10℃未満の温度では本発明
の潤滑剤層が得られず、90℃を越えた温度でも本発明
の潤滑剤層が得られ難い。より好ましい温度は約15〜
50℃である。光酸化による気相重合によって潤滑剤層
を形成する方法は、例えばレーザ透過窓をもったチャン
バ内の下部に複数のディスク基板を一定間隔にセット
(立設)する。そして、一度、チャンバ内を真空ポンプ
で排気し、この後パーフルオロオレフィン等の重合性フ
ッ化炭素と酸素とを原料ガスとして導入する。次に、レ
ーザ光、例えばエキシマレーザ光をディスク基板上部と
チャンバ天井との間の空間を透過する(ディスク基板に
は当たらない)ように照射する。尚、レーザ光とディス
ク基板との間の距離は大きい方が好ましい。このように
して第1の気相重合により潤滑剤層を形成する。この
後、チャンバ内に大気、特に雰囲気湿度が30〜90
%、より好ましくは40〜90%の大気を導入(チャン
バ内に、少なくとも100Torr程度以上に大気を導
入)し、そして、再度、チャンバ内を真空ポンプで排気
し、次いでパーフルオロオレフィン等の重合性フッ化炭
素と酸素とを原料ガスとして導入し、例えばエキシマレ
ーザ光を前記のように照射する。これを必要に応じて繰
り返して潤滑剤層を形成する。尚、2度目のCVD工程
と3度目のCVD工程との間では、チャンバ内に湿度が
30〜90%大気を導入しても、しなくても良い。
【0035】そして、上記のように構成させた磁気記録
媒体は、適度な凹凸(好ましくは中心線平均粗さRaが
10〜50Å)が形成されたAl−M(Mはカーバイド
を形成し得る金属)系合金層を介在させたので、このA
l−M系合金層が基板に強固に結合しており、このAl
−M系合金層に対して磁性層あるいはCr系の下地層が
強固に結合しているので、密着性が高く、そして表面に
適度な凹凸が形成されているので、摩擦係数が小さく、
走行性に優れ、耐久性(CSS耐久性)に優れたものに
なる。
【0036】かつ、表面に形成した潤滑剤層を気相重合
で形成したものとしたから、走行性及び耐久性(CSS
耐久性)が一層優れたものになる。以下、具体的な実施
例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0037】
【実施例】
〔実施例1〕密度1.5g/cm3 、ビッカース硬度6
50の特性のガラス状カーボンを用いてカーボン基板1
を作製した。このカーボン基板1は、Raが0.8nm
(触針式表面粗さ計により評価)である。
【0038】このカーボン基板1上に、Arガス圧2m
Torr、カーボン基板温度を250℃の条件でDCマ
グネトロンスパッタリングにより100nm厚さのTi
層2を設けた。尚、このTi層2の表面はRaが1.0
nmであった。次いで、Arガス圧2mTorr、カー
ボン基板温度を260℃の条件でDCマグネトロンスパ
ッタリングによりTi層2上に20nm厚さのAl−1
0wt%Si合金層3を設けた。尚、Ti層を設けず、
基板上に直接このAl−10wt%Si合金層3のみを
形成した後の表面はRaが1.8nmであった。従っ
て、Ti層2上にAl−10wt%Si合金層3が設け
られた場合の表面プロフィールは、図1に示す如くの複
合凹凸模様を呈している。
【0039】この後、Al−10wt%Si合金層3上
にDCマグネトロンスパッタリングで40nm厚さのC
r層4を設け、次いで50nm厚さのCoCrPt系合
金磁性層5を設けた。更に、DCマグネトロンスパッタ
リングによりCoCrPt系合金磁性層5上に保護層
(ガラス状カーボン層)6を15nm厚さ設けた。
【0040】この磁気ディスクをCVD装置のチャンバ
8内に所定の間隔を設けて図2に示すように立設し、チ
ャンバ8内を5×10-2Torrに排気した後、分圧が
10Torrのヘキサフルオロプロペンと60Torr
の酸素とを導入し、ArFエキシマレーザ(波長193
nm)からのレーザ光(パワー150mJ、繰り返し速
度2Hz)を12分間かけて1500パルス照射した。
尚、この間、磁気ディスクを回転していた。
【0041】この後、チャンバ8内に100Torrの
大気(湿度60%)を導入した。大気導入後、再び、チ
ャンバ8内を1×10-2Torrに排気した後、分圧が
10Torrのヘキサフルオロプロペンと60Torr
の酸素とを導入し、上記と同じレーザ光を12.5分間
かけて1500パルス照射した。尚、レーザ光は磁気デ
ィスクに直接照射されないよう、図2中、矢印方向に照
射した。又、上記光CVD処理に際して、磁気ディスク
の温度は室温(22℃)であった。
【0042】以上の工程により、磁気ディスクの表面に
は、保護層6表面に化学結合により分子の一部が固定さ
れた固定潤滑剤分子と、潤滑剤分子が表面には固定され
ていないフリー潤滑剤分子との混成からなる混成潤滑剤
層(厚さ29Å、フリー潤滑剤分子/固定潤滑剤分子=
10/19)7が形成された。尚、混成潤滑剤層7が固
定潤滑剤分子とフリー潤滑剤分子との混成からなること
は、フッ素系溶剤で10分間超音波洗浄することによる
重量減少により確認された。かつ、潤滑剤分子が残存し
ていることはESCA(VGサイエンス社製のESCA
LAB 200C、AlKα線使用)分析により確認さ
れた。又、混成潤滑剤層6についてのESCA分析によ
ればC1sについて294.8〜250eVにピークが認
められ、これは市販の潤滑剤の−(CF2O)n −(CF2CF2
O)m −の(CF2O)n ユニットのC1sスペクトルと一致し
たので、潤滑剤分子は−(CF2O) n −の構造単位を有す
るものであると考えられる。但し、−CF2O−由来と考え
られるC1s,F1s,O1sのスペクトル強度比は、C:
F:O=1.0:5.21:2.86なので、−(CF
2O)n −の構造単位以外のものが存在する可能性もあ
る。
【0043】〔実施例2〕実施例1の光CVD処理の繰
り返し回数を3回にした以外は実施例1に準じて、磁気
ディスクを得た。尚、本実施例における混成潤滑剤層
は、厚さが38Å、フリー潤滑剤分子/固定潤滑剤分子
=19/19であった。
【0044】〔実施例3〕実施例1の光CVD処理の繰
り返し回数を4回にした以外は実施例1に準じて、磁気
ディスクを得た。尚、本実施例における混成潤滑剤層
は、厚さが55Å、フリー潤滑剤分子/固定潤滑剤分子
=34/21であった。
【0045】〔実施例4〕実施例1の光CVD処理の繰
り返し回数を8回にした以外は実施例1に準じて、磁気
ディスクを得た。尚、本実施例における混成潤滑剤層
は、厚さが78Å、フリー潤滑剤分子/固定潤滑剤分子
=58/20であった。
【0046】〔実施例5〜36〕実施例2における10
0nm厚さのTi層2を100nm厚さの表−1に示す
1 層に、かつ、20nm厚さのAl−10wt%Si
合金層3を20nm厚さの表−1に示すAl−M2 合金
層にした以外は実施例2に準じて、磁気ディスクを得
た。
【0047】 表−1 M1 層 Al−M2 合金層 M1 層表面のRa 実施例5 Ti Al−5wt%Cr 1.0 実施例6 Ti Al−8wt%W 1.0 実施例7 Ti Al−10wt%Ti 1.0 実施例8 Ti Al−2wt%Ta 1.0 実施例9 Ti Al−5wt%Zr 1.0 実施例10 Ti Al−5wt%Y 1.0 実施例11 Ti Al−5wt%V 1.0 実施例12 Ti Al−5wt%Mo 1.0 実施例13 Cr Al−10wt%Si 1.1 実施例14 Cr Al−5wt%Cr 1.1 実施例15 Cr Al−8wt%W 1.1 実施例16 Cr Al−10wt%Ti 1.1 実施例17 Cr Al−2wt%Ta 1.1 実施例18 Cr Al−5wt%Zr 1.1 実施例19 Cr Al−5wt%Y 1.1 実施例20 Cr Al−5wt%V 1.1 実施例21 Cr Al−5wt%Mo 1.1 実施例22 W Al−10wt%Si 1.0 実施例23 W Al−5wt%Cr 1.0 実施例24 Si Al−10wt%Si 0.9 実施例25 Si Al−5wt%Cr 0.9 実施例26 Ta Al−10wt%Si 1.0 実施例27 Ta Al−5wt%Cr 1.0 実施例28 Zr Al−10wt%Si 1.0 実施例29 Zr Al−5wt%Cr 1.0 実施例30 Y Al−10wt%Si 0.9 実施例31 Y Al−5wt%Cr 0.9 実施例32 V Al−10wt%Si 1.0 実施例33 V Al−5wt%Cr 1.0 実施例34 Mo Al−10wt%Si 1.1 実施例35 Mo Al−5wt%Cr 1.1 実施例36 Ti Al-5wt%Si-5wt%Cr 1.0 〔比較例1〕実施例2における100nm厚さのTi層
2を設けなかった以外は実施例2に準じて、磁気ディス
クを得た。
【0048】〔比較例2〕実施例2における20nm厚
さのAl−10wt%Si合金層を設けなかった以外は
実施例2に準じて、磁気ディスクを得た。 〔比較例3〕実施例2における20nm厚さのAl−1
0wt%Si合金層を20nm厚さのAl(純Al)層
にし、又、気相重合で形成された潤滑剤の代わりにフォ
ンブリンZ03(モンテカチーニ社製の潤滑剤)溶液を
塗布(潤滑剤の塗布厚さ20Å)した以外は実施例2に
準じて、磁気ディスクを得た。
【0049】〔比較例4〕比較例3における100nm
厚さのTi層及び20nm厚さのAl層を設けるテクス
チャ処理の代わりにテープテクスチャ処理を採用した以
外は比較例3に準じて、磁気ディスクを得た。 〔特性〕上記各例で得た磁気ディスクについて、その表
面粗さRa、磁性層の密着性、グライドハイトテストG
HT、初期摩擦係数μ0 、及びCSS耐久性を調べたの
で、その結果を表−2に示す。
【0050】 表−2 Ra(nm) 密着性 GHT μ0 CSS耐久性 実施例1 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例2 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例3 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例4 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例5 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例6 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例7 1.6 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例8 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例9 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例10 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例11 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例12 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例13 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例14 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例15 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例16 1.6 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例17 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例18 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例19 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例20 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例21 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例22 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例23 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例24 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例25 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例26 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例27 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例28 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例29 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例30 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例31 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例32 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例33 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例34 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例35 1.4 ○ ○ 0.05 200000回以上 実施例36 1.5 ○ ○ 0.05 200000回以上 比較例1 1.6 ○ ○ 0.1 110000回 比較例2 1.0 ○ ○ 貼り付き発生 比較例3 1.8 × 評価出来ず − 評価出来ず 比較例4 2.3 ○ △ 0.25 30000回 *Ra:触針式表面粗さ計により評価 *密着性の評価:ニチバンセロテープNo.405(幅18mm、ニチバン製 )を用い、ASTM D3359−87に準じて剥離試験を行った。○は剥離な し、×は基板界面で一部または全面剥離。
【0051】*GHT:PROQUIP社製MG150
Tを用い、50%スライダヘッドを用いて行った。1.
2μインチの浮上高さで合格のものを○、1.6μイン
チの浮上高さで合格のものを△で表示した。 *CSSテスト:ヤマハ社製の薄膜ヘッド(Al2 3
・TiC製スライダ)を用い、ヘッド荷重3.5g、ヘ
ッド浮上量2.8μインチ、4500rpmで5秒間稼
働、5秒間停止のサイクルを繰り返して行い、静摩擦係
数(μs)が0.6になるまでの回数を調べた。 これによれば、基板上に金属M1 層、Al−M2 系合金
層を設け、この上に金属系磁性層を設けたので、金属M
1 層が基板に、Al−M2 系合金層が金属M1層に強固
に結合しており、この強固に結合した中間Al−M2
合金層を介して磁性層が基板に強固に結合しているの
で、密着性が高く、耐久性に優れている。
【0052】しかも、ファインな凹凸を有するAl−M
2 系合金層を形成したので、その上に設けられた磁性層
などにもファインな凹凸が形成され、磁気ヘッドの低浮
上化が達成でき、走行性に優れ、CSS耐久性にも優れ
ている。更には、初期摩擦係数が小さく、走行性が良
い。そして、気相重合で形成された潤滑剤を用いたか
ら、CSS耐久性が格段に向上した。
【0053】特に、基板としてカーボン基板を採用した
場合には、一段と優れた効果を奏している。
【0054】
【効果】本発明によれば、磁気ヘッドの低浮上化が図
れ、高密度記録に対応でき、かつ、走行性及び耐久性に
優れた磁気記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体の概略図
【図2】磁気記録媒体製造装置の概略図
【符号の説明】 1 カーボン基板 2 Ti層 3 Al−10wt%Si合金層 4 Cr層 5 CoCrPt系合金磁性層 6 保護層 7 潤滑剤層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、この基板上に設けられた金属M
    1 (M1 はカーバイドを形成し得る金属)を構成要素と
    する第1層と、この第1層上に設けられたAl−M
    2 (M2 はカーバイドを形成し得る金属、M2 はM1
    同じでも異なっていても良い。)系合金材料よりなる第
    2層と、この第2層上に設けられた金属系磁性層と、表
    面に設けられた潤滑剤層とを具備し、前記潤滑剤層が気
    相重合で形成されたものであることを特徴とする磁気記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 基板と、この基板上に設けられた金属M
    1 (M1 はカーバイドを形成し得る金属)を構成要素と
    する第1層と、この第1層上に設けられたAl−M
    2 (M2 はカーバイドを形成し得る金属、M2 はM1
    同じでも異なっていても良い。)系合金材料よりなる第
    2層と、この第2層上に設けられたCrあるいはCr合
    金からなる下地層と、この下地層上に設けられた金属系
    磁性層と、表面に設けられた潤滑剤層とを具備し、前記
    潤滑剤層が気相重合で形成されたものであることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 第1層の表面には微細な第1の凹凸が形
    成され、第2層の表面には第1の凹凸の影響による凹凸
    と第2層自身によって形成される前記第1の凹凸よりも
    大きめの凹凸とが複合した構造の第2の凹凸が形成され
    てなることを特徴とする請求項1または請求項2の磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 第1層の厚さが10〜200nmであ
    り、第2層の厚さが5〜100nmであることを特徴と
    する請求項1〜請求項3いずれかの磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 金属系磁性層の上に保護層が設けられて
    なることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの磁
    気記録媒体。
  6. 【請求項6】 潤滑剤層は、潤滑剤分子が当該媒体の最
    表面に固定された固定潤滑剤分子と潤滑剤分子が当該媒
    体の最表面には固定されていないフリー潤滑剤分子との
    混成でなることを特徴とする請求項1〜請求項5いずれ
    かの磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 潤滑剤層の厚さが2〜200Åであり、
    この潤滑剤層おけるフリー潤滑剤分子/固定潤滑剤分子
    が重量比で1/10〜10/1の割合であることを特徴
    とする請求項1〜請求項6いずれかの磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 基板がカーボン基板であることを特徴と
    する請求項1〜請求項7いずれかの磁気記録媒体。
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