JPH08143788A - 粉体塗料及びその製法 - Google Patents

粉体塗料及びその製法

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JPH08143788A
JPH08143788A JP6308407A JP30840794A JPH08143788A JP H08143788 A JPH08143788 A JP H08143788A JP 6308407 A JP6308407 A JP 6308407A JP 30840794 A JP30840794 A JP 30840794A JP H08143788 A JPH08143788 A JP H08143788A
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powder
particles
coating material
resin
coating
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JP6308407A
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English (en)
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Masaki Uemae
昌己 上前
Noriyuki Tonami
範之 砺波
Yukinori Nakazato
幸徳 中里
Hiroshi Serizawa
芹沢  洋
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Nippon Carbide Industries Co Inc
Original Assignee
Nippon Carbide Industries Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種の色彩の調色が容易に行え、生産効率が
良く、経済性の優れた粉体塗料、製造方法、塗装塗膜及
び調色方法を提供することにある。 【構成】 粉体塗料が2種類以上の色彩の異なる粉体粒
子からなり、且つ該粉体塗料を塗装融着するのみで、均
一な色彩の塗膜を形成し得ることを特徴とする粉体塗
料、製造方法、塗装塗膜及び調色方法。 【効果】 必要とされる塗膜の色ごとに溶融混練りした
塊状原料を粉砕、分級することなく、色彩の異なる粉体
粒子を混合して調色するので、色合わせが容易で、又少
種類の基本色彩の粉体粒子の組み合わせにより、各種の
色彩の粉体塗料が得られる。それ故、生産効率、調色効
率が高く、意匠性及び経済性に優れた粉体塗料が得られ
るといった特段の効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光沢、鮮映性、耐候
性、その他物理的化学的性質に優れた塗膜を形成し、車
両、船舶、家庭電化製品、塗装鋼板等の塗料として有用
な粉体塗料、及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塗料として、溶剤に樹脂などの塗
料主成分を溶解し、着色剤、硬化剤等の副成分を添加し
た溶剤型塗料が多く使用されていた。近年、溶剤型塗料
は火災の危険性がある、安全衛生に悪影響を及ぼす、環
境を汚染する等の問題の高まりに応じて、特に溶剤を発
生しない塗料として、エマルジョン型塗料、粉体塗料が
注目されるようになった。
【0003】しかしながら、エマルジョン型塗料は、水
媒体中に樹脂粒子及び顔料を安定に分散させるために、
乳化剤等の親水性物質が使用され、必然的にその塗料塗
膜は耐水性、耐アルカリ性等の物性が劣るとともに、被
着体に対する密着性も低い欠点があった。又、成膜する
ためには水を飛散させる必要があり、乾燥に時間がかか
り、短時間で乾燥する場合にはコストがかかるという問
題点も抱えている。
【0004】一方、粉体塗料の場合は、エマルジョン型
塗料と異なり、その塗膜性能は溶剤型塗料に較べて同等
以上に優れ、塗膜は強靱で、傷がつきにくものであり、
何よりも全く揮発成分を含まないことにより、多くの長
所を具備している。即ち、前記火災の危険性、安全衛生
上への悪影響、環境汚染とは無縁であり、保管も通常の
倉庫でよい。又、塗装ブースでの換気量も最小でよく、
換気も室内に戻すことができ、従ってエネルギー効率が
非常によい。更に塗膜乾燥時に溶媒蒸気の発生によるワ
キと呼ばれる気泡が塗膜中に発生しない等の長所を具備
しているのである。
【0005】かかる無溶剤であるがための長所以外に
も、使用を始めても、粘度、固形分%等の調整は必要な
く、そのまま使用でき、回収が容易であって作業場を汚
すことなく、廃棄物も出ない利点がある。更には自動化
が可能であって、塗料費、塗装前処理、塗装費、設備費
等を含めたトータルコストを勘案したとき、粉体塗料は
非常に経済的な塗料といえるのである。
【0006】しかしながら粉体塗料は上記の数々の優れ
た特性を有しているにもかかわらず、その利用は未だに
低迷している。その理由は、粉体塗料が本質的に重大な
欠陥を有しているからである。即ち、塗料は本来、被塗
物を外的環境から保護する役割を持つと同時に、被塗物
に美粧を施すという重要な要求特性があり、通常多種類
の色彩の塗料のラインアップが求められるが、粉体塗料
はその製造工程の特性上、色彩を持つ塗料を製造するの
には適していないという欠陥である。
【0007】粉体塗料を製造する場合には、種々の製造
により得られる樹脂に、硬化剤、流動調整剤、着色剤、
随意帯電制御剤等をブレンドした後、押出し機等で一旦
加熱・溶融・混練し、次いで冷却・粉砕・分級すること
によって製造され、塗料ができあがるまでに多くの工程
を必要とする。それ故、個々の色彩を持つ粉体塗料を得
るためには、その色彩の塗料毎に上記の多くの工程をと
る必要があり、多種類のの色彩の異なる塗料を製造する
場合には、多大な工数及び費用がかかるともに、各種の
原料の管理、工程の管理が非常に煩雑なものであった。
【0008】更に1種類の色彩の塗料を製造した後、同
じ装置で別の色彩の塗料製造を行う場合には、製造に使
用するあらゆる装置のクリーニングを厳密に行わない
と、先に製造した塗料が混入することとなる。それ故、
充分なクリーニングが困難な場合には、別系列の製造装
置が必要となり、多数の色彩の異なった塗料を製造する
場合には、多数の系列の塗料製造装置が必要であり、製
造上の観点からは他の種類の塗料に較べて非常に不利で
あった。このようにして得られる塗膜の色彩は、工程の
最初に混合される着色剤の種類及び量、各工程の処理条
件等により決まるが、前記全行程を経た塗料を塗装して
始めて、塗膜の色彩が確認されるため、調色作業も多大
な工数及び時間がかかった。
【0009】
【発明が解決すべき課題】本発明は、粉体塗料の長所を
維持しながら、粉体塗料の持つ固有の欠点を取り除くと
ともに、溶剤型塗料の長所も兼ね備えた全く新しい粉体
塗料を開発しようとするものである。即ち、本発明の目
的は、各種の色彩の調色が容易に行える粉体塗料を提供
することである。本発明の別の目的は、生産効率が良
く、経済性の優れた粉体塗料を提供することにある。本
発明の更に別の目的は、上記粉体塗料の製造方法、塗装
塗膜、調色方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記粉体塗料の
問題点を解決するものであり、粉体塗料が2種類以上の
色彩の異なる粉体粒子からなり、且つ該粉体塗料を塗装
融着するのみで、均一な色彩の塗膜を形成し得ることを
特徴とする粉体塗料を提供するものである。好ましく
は、上記粉体粒子の平均粒径が1μm以上、17μm以下で
あり、更に好ましくは3μm以上、10μm未満であり、好
ましくは、上記粉体粒子の軟化点が50〜120℃であり、
更に好ましくは、70〜110℃であり、好ましくは、上記
粉体粒子がポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、
ポリスチレン−アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエ
ステル樹脂から選ばれた樹脂を結着樹脂としており、好
ましくは、上記粉体粒子がエマルジョン粒子から得られ
た微粒子からなる粉体塗料を提供するものである。
【0011】更に本発明は、粉体粒子が2種類以上の色
彩の異なる粉体粒子からなることを特徴とする粉体塗料
を得る粉体塗料製造方法を提供するものである。更に本
発明は、粉体塗料が2種類以上の色彩の異なる粉体粒子
からなり、且つ該粉体塗料を塗装融着するのみで、均一
な色彩の塗膜を形成し得る粉体塗料から、塗装融着する
ことにより形成されたことを特徴とする塗料塗膜を提供
するものである。更に本発明は、粉体塗料が、塗装融着
するのみで均一な色彩の塗膜を形成する、2種類以上の
色彩の異なる粉体粒子を混合することを特徴とする粉体
塗料調色方法を提供するものである。
【0012】しかして、本発明によれば、色ごとに溶融
混練りした塊状原料を粉砕・分級することなく、色彩の
異なる粉体粒子を混合して調色をするので、色合わせが
容易で、また少数の基本色の組み合わせで多種類の色彩
の異なる塗料が得られるので、生産効率・調色効率も良
好で、意匠性及び経済性が共に優れた粉体塗料を得るこ
とができる。
【0013】以下本発明の構成要因について詳しく説明
する。本発明の粉体塗料の粉体粒子は、少なくとも2種
類以上の色彩の異なる粉体粒子から構成される。該粉体
粒子は着色された粉体粒子、着色されない粉体粒子、透
明な粉体粒子のいずれでもよいが、着色されていること
が好ましい。
【0014】更に上記粉体粒子は重合体樹脂からなる粒
子であって、好ましく着色剤、硬化剤、帯電制御剤が含
まれる。
【0015】上記重合体樹脂を構成する樹脂の主成分と
しては、一般には粉体塗料を製造する場合に結着樹脂と
してもちいられているものであれば、どのような樹脂で
あってもよく、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メ
タ)アクリル系樹脂、ポリスチレン−(メタ)アクリル
系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスル
フォン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ブ
タジエン系樹脂等の熱可塑性樹脂、あるいは尿素樹脂、
ウレタン樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性
樹脂、さらにはこれらの共重合体、ブロック重合体、グ
ラフト共重合体およびポリマーブレンド等を用いること
ができるが、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリ
ル系樹脂、ポリスチレン−(メタ)アクリル系樹脂、エ
ポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれた樹脂が好
ましく、特にポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリ
ル系樹脂、ポリスチレン−(メタ)アクリル系樹脂から
選ばれた樹脂が好ましい。
【0016】なお、上記樹脂としては、例えば、熱可塑
性樹脂のような完全なポリマーの状態にあるものに限ら
れず、熱硬化性樹脂におけるようなオリゴマーまたはプ
レポリマー等を含んだものを用いることも可能であり、
好ましくは共重合体、ブロック重合体、グラフト共重合
体およびポリマーブレンドが挙げられる。
【0017】上記ポリスチレン系樹脂を形成するビニル
単量体の例としては、スチレン、o-メチル スチレン、m
-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレ
ン、p-エチ ルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-
ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルス
チレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、
p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキ
シスチレン、p-フエニルスチレン、p-クロルスチレン、
3,4-ジクロルスチレン、p-クロロメチルスチレンなどを
挙げることができ、スチレンが特に好ましい。
【0018】ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂を形成する単
量体の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸i-ブチル、アクリ
ル酸プロピル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ドデ
シル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシ
ル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロルエチ
ル、α-クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチ
ル、メタア クリル酸エチル、メタアクリル酸プロピ
ル、メタアクリル酸n-ブチル、メタアクリル酸i-ブチ
ル、メタアクリル酸n-オクチル、メタアクリル酸ドデシ
ル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸2-エチル
ヘキシル、メタアクリル酸ステアリルを挙げることがで
きるが、中でも炭素数1〜12、好ましくは3〜8の脂肪
族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを1種または
2種以上を組み合せて用いられる。
【0019】前記重合体微粒子を構成する樹脂には極性
基が含有されることが好ましい。樹脂中に含有される極
性基としてはカルボキシル基、スルホン基、燐酸基、ホ
ルミル基等の酸性極性基:アミノ基等の塩基性極性基:
アミド基、ヒドロキシル基、シアノ基、エポキシ基等の
中性極性基等が挙げられる。上記極性基は極性基を有す
る単量体の共重合、極性基を持つ低分子の縮合重合、付
加重合、重合体に反応により極性基を導入する方法等に
よって得られる。
【0020】上記極性基を持つ単量体、あるいは低分子
は全反応材料中好ましくは0.01〜50重量%、更に好まし
くは0.1〜30重量%使用できる。
【0021】上記極性基を有する単量体中、酸性極性基
を有する単量体としては、例えば、カルボキシル基を有
するα、β-エチレン性不飽和化合物及びスルホン基を
有するα,β-エチレン性不飽和化合物を挙げることが
できる。
【0022】上記カルボキシル基を有するα,β-エチ
レン性不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メ
タアクリル酸、フマ−ル酸、マレイン酸、イタコン酸、
ケイ皮酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチ
ルエステル、マレイン酸モノオクチルエステルを挙げる
ことができる。上記スルホン基を有するα,β-エチレ
ン性不飽和化合物としては例えば、スルホン化エチレ
ン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコ
ハク酸オクチルを挙げることができる。
【0023】上記極性基を有する単量体中、塩基性極性
基を有する単量体としては、例えば、アミノ基、アミノ
基の塩及び4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜1
2、好ましくは2〜8、特に、好ましくは炭素原子数2の
脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、Nを
環員として有する複素環基で置換されたビニ−ル化合物
及びN,N-ジアリル-アルキルアミンあるいはその4級アン
モニウム塩を挙げることができる。中でも、アミノ基、
アミノ基の塩あるいは4級アンモニウム基を有する脂肪
族アルコ−ルの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性を
有するコモノマ−として好ましく用いられる。
【0024】上記アミン基、アミノ基の塩あるいは4級
アンモニウム基を有する脂肪族アルコ−ルの(メタ)ア
クリル酸エステルとしては、例えば、ジメチルアミノエ
チルアクリレ−ト、ジメチルアミノエチルメタクリレ−
ト、ジエチルアミノエチルアクリレ−ト、ジエチルアミ
ノエチルメタクリレ−ト、これらの4級塩、3-ジメチル
アミノフェニルアクリレ−ト、2-ヒドロキシ-3-メタク
リルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げ
ることができる。
【0025】上記Nを環員として有する複素環基で置換
されたビニ−ル化合物としては、例えば、ビニルピリジ
ン、ビニルピロリドン、ビニルN-メチルピリジニウムク
ロリド、ビニルN-エチルピリジニウムクロリド等を挙げ
ることができる。上記N,N-ジアリル-アルキルアミンと
しては、例えば、N,N-ジアリルメチルアンモニウムクロ
リド、N,N-ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙
げることができる。
【0026】上記極性基を有する単量体中、中性極性基
を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸アミドあ
るいは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又
はジ−置換された(メタ)アクリル酸アミド、水酸基を
有する(メタ)アクリル酸エステル、シアノ基を有する
(メタ)アクリロニトリル、エポキシ基を有する(メ
タ)アクリログリシジル、(メタ)アリールアルコール
のアルキルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0027】上記(メタ)アクリル酸アミドあるいは随
意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノまたはジ−
置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、例え
ば、アクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、N,N-ジ
ブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メ
タクリルアミド、N-ブチルメタクリルアミド、N,N-ジメ
チルアクリルアミド、N-オクタデシルアクリルアミド等
を挙げることができる。
【0028】上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステルとしては(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等を挙
げることができる。
【0029】上記エポキシ基を有する(メタ)アクリロ
グリシジルとしては、(メタ)アクリル酸グリシジル、
(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)ア
クリル酸N−グリシジルアミドを挙げることができる。
【0030】前記縮合重合或いは付加重合に使用される
カルボキシル基を極性基として有する低分子としては、
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸無水フタル酸、
ベンゼン1・2・4トリカルボン酸、ベンゼン1・2・5トリカル
ボン酸、ナフタレン2・5・7トリカルボン酸、ナフタレン1
・2・4トリカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘ
キサヒドロ無水フタル酸、イタコン酸、マレイン酸、フ
マル酸、メサコン酸、シトラコン酸、1・2・4ブタントリ
カルボン酸、ヘキサン1・2・5トリカルボン酸、1・3−ジカ
ルボキシ−2−カルボキシメチルプロペン、1・3−ジカル
ボキシ−2−メチル−2−カルボキシメチルプロパン、テ
トラ(カルボキシメチル)メタン、オクタン1・2・7・8テ
トラカルボン酸、無水マレイン酸等の脂肪族カルボン
酸;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メ
チルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル
酸、メチルハイミック酸、トリアルキルテトラヒドロフ
タル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸等の脂環式
カルボン酸及びそれらの無水物等があげられる。
【0031】前記縮合重合或いは付加重合に使用される
アミノ基を極性基として有する低分子としては、エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテト
ラミン、テトラエチレンベンタミン、ジプロピレンジア
ミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレン
ジアミン等の鎖状脂肪族アミン;メンセンジアミン、イ
ソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジン
クロヘキシル)メタン、ジアミノジンクロヘキシルメタ
ン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノ
エチルピペラジン等の環状アミン;メタフェニレンジア
ミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニル
スルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタン等の芳
香族アミン等があげられる。
【0032】前記縮合重合或いは付加重合に使用される
水酸基を極性基として有する低分子としては、水、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、へキシレング
リコール、グリセリン、トリメチレンプロパン、ヘキサ
ントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、
ペンタエリスリトール、メチルグリコジット等の脂肪族
ジオール;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の
脂肪族のヒドロキシフェニル置換物、ポリオキシエチレ
ン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、ポリオキシエチレン(4,0)−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン
(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン等エーテル化ビスフェノール化合物等があげられる。
【0033】前記縮合重合或いは付加重合に使用される
極性基を有するその他の低分子として、上記各種化合物
に更にスルフォン基、燐酸基、ホルミル基等が結合した
化合物等も使用できる。
【0034】本発明で用いられる重合体樹脂のTgは−9
0〜100℃、好ましくは、−30〜80℃、最も好ましくは、
−10〜60℃であり、またそのゲル化度は、アセトン還流
下ソックスレー抽出時の不溶分で表わして0〜99.9重量
%、好ましくは1〜30重量%である。Tgが100℃以下で
あれば、焼付性、平滑性が悪くなるなどの傾向が回避で
きるので好ましく、また−90℃以上であれば、粉体塗料
の流動性が低下するなどの傾向が回避できるので好まし
い。一方、ゲル化度が50重量%以下であれば、焼付型、
平滑性が悪くなるなどの傾向が回避できるので好まし
い。
【0035】本発明の粉体塗料を構成する粉体粒子は、
重合体樹脂100重量部当り、着色剤を好ましくは0〜300
重量部、更に好ましくは0〜200重量部、最も好ましく
はO〜100重量部%含有することができる。
【0036】本発明で用いることのできる上記着色剤と
しては、無機顔料、有機顔料などの顔料類;有機染料な
どの染料類を例示でき、これらは必要に応じて2種以上
組合せて用いることができる。
【0037】上記の無機顔料としては、例えば、亜鉛
粉、鉄粉、銅粉等の金属粉系顔料;例えば、マグネタイ
ト、フェライト、ベンガラ、酸化チタン、亜鉛華、シリ
カ、酸化クロム、ウルトラマリーン、コバルト青、セル
リアンブルー、ミネラルバイオレット、四酸化三鉛等の
金属酸化物系顔料;例えば、カーボンブラック、サーマ
トミックカーボン、ランプブラック、フアーネスブラッ
ク等のカーボン系顔料;例えば、硫化亜鉛、カドミウム
レッド、セレンレッド、硫化水銀、カドミウムイエロー
等の硫化物系顔料;例えば、モリブデンレッド、バリウ
ムイエロー、ストロンチウムイエロー、クロムイエロー
等のクロム酸塩系顔料;例えば、ミロリブルー等のフェ
ロシアン化化合物系顔料;などが好適である。
【0038】また前記の有機顔料としては、例えば、ハ
ンザイエロー G、ベンジジンイエロー、ベンジジンオレ
ンジ、パーマネントレッド 4R、ピラゾロンレッド、リ
ソールレッド、ブリリアントスカーレット G、ボンマル
ーンライト等のアゾ系顔料;例えば、オレンジII、アシ
ットオレンジ R、エオキシン、キノリンイエロー、ター
トラジンイエロー、アシッドグリーン、ピーコックブル
ー、アルカリブルー等の染料を沈殿剤により沈殿したも
のや、ローダミン、マゼンタ、マラカイトグリーン、メ
チルバイオレット、ビクトリアブルー等の染料をタンニ
ン酸、吐酒石、PTA、PMA、PTMAなどで沈殿したもの等の
酸性染料系顔料及び塩基性染料系顔料;例えば、ヒドロ
キシアンスラキノン類の金属塩類、アリザリンマーダー
レーキ等の媒染染料系顔料;例えば、フタロシアニンブ
ルー、スルホン化銅フタロシアニン等のフタロシアニン
系顔料;例えばキナクリドンレッド、キナクリドンバイ
オレット、カルバゾールジオキサジンバイオレット等の
キナクリドン系顔料及びジオキサン系顔料;例えば、有
機蛍光顔料、アニリンブラック等のその他の有機顔料;
などが挙げられる。
【0039】また、前記の有機染料としては、ニグロシ
ン染料、アニリン染料が用いられる。
【0040】本発明の粉体塗料を構成する粉体粒子は、
重合体100重量部当り、硬化剤を好ましくは0〜300重量
部、更に好ましくは1〜200重量部、最も好ましくは3
〜100重量部含有することができる。このような硬化剤
としては、固体状または疎水性液体状のものの水分散物
が用いられる。これら硬化剤は所望により1種または2
種以上を適宜組合わせて用いることができる。
【0041】上記硬化剤としては、水分散性ブロックイ
ソシアネート、水分散性エポキシ樹脂、水分散性アミノ
樹脂、水分散性アジリジン化合物、多価カルボン酸等が
好適である。
【0042】本発明の粉体粒子は、必要に応じ、さらに
帯電制御剤を含有させることができる。このような帯電
制御剤としては、プラス用としてニグロシン系の電子供
与性染料、その他ナフテン酸または高級脂肪酸の金属
塩、アルコキシル化アミン、四級アンモニウム塩、アル
キルアミド、キレート、顔料、フッ素処理活性剤など;
マイナス用として電子受容性の有機錯体、その他塩素化
パラフイン、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエス
テル、銅フタロシアニンのスルホニルアミンなどが例示
できる。
【0043】このような帯電制御剤によって、静電塗装
の際、摩擦帯電方式、コロナ帯電方式等種々の方式のガ
ンを使用することができる。
【0044】本発明における粉体粒子は不定形の粒子で
あって、その平均粒径は一般に1〜75μm、好ましく
は1μm以上、17μm以下、最も好ましくは3μm以上、1
0μm未満である。上記粉体粒子を製造するには、前記各
種の樹脂に硬化剤、流動調整剤、着色剤、随意帯電制御
剤等をドライブレンドした後、押出し機等で溶融混練
し、次いで粉砕して粉体粒子を得る溶融粉砕法;前記各
種の樹脂を形成するモノマー、着色剤、重合触媒等を均
一に混合し、該混合液を水中に懸濁した後、懸濁重合し
て粉体粒子を得る懸濁重合法;前記各種の樹脂の重合体
微粒子と硬化剤、流動調整剤、着色剤、随意帯電制御剤
等を凝集せしめて会合粒子を得る会合法等、粉体粒子が
得られる方法であればいずれの方法でも良いが、粒径分
布の狭い粒子が得られ、製造効率がよい;粒径の小さい
粉体粒子でも容易に製造できる;着色剤の粒子中の分散
性が良く、その結果、着色剤の発色性がよい等の観点か
ら、会合法が好ましい。
【0045】上記重合体微粒子は、通常0.01〜2μm、
好ましくは0.05〜2μmの平均粒径を有する熱可塑性重
合体の粒子であって、この粒径を持つ熱可塑性重合体の
製造方法であればその製造方法は如何なる製造方法でも
よく、例えば乳化重合法、懸濁重合法等が使用可能であ
るが、粒径の小さい粒子が得られるという観点から、乳
化重合法によって好適に得られる。
【0046】上記会合粒子は前記重合体微粒子から直接
生成されたものでも、また重合体微粒子の二次粒子が更
に会合して生成したものでもよいが、粒径の調整が容易
であるため、上記重合体微粒子の二次粒子の会合粒子で
あることが好ましい。
【0047】会合粒子を重合体微粒子から直接生成する
方法としては、重合体微粒子の分散液をスプレーし、液
滴を高温で乾燥して、強制的に液滴内の重合体微粒子を
会合せしめるスプレードライ法、重合微粒子の水分散液
のpH調整、塩添加、架橋剤の添加等により、重合体微
粒子の分散液の分散安定性を低下せしめる、粒子同士を
強制的に結合せしめる等の方法で水媒体中で重合体微粒
子を会合せしめる水媒体会合法が使用できるが、水媒体
中で会合せしめて会合粒子を得る水媒体会合法が、崩壊
しない強固な粒子が得られ、好ましい。
【0048】前記重合体微粒子の二次粒子は、重合体微
粒子が、好ましくは着色剤と共にイオン性結合、水素結
合、金属配位結合、弱酸−弱塩基結合、或いはファンデ
アワールス力等の結合力によって凝集している粒子であ
って、一般に0.05〜5μm、好ましくは0.1〜5μmの平
均粒径をもつ。二次粒子は加熱、pH調整、塩添加、架
橋剤の添加等により、重合体微粒子の分散安定液の安定
性を低下せしめる、粒子同士を強制的に結合せしめる等
の方法を使用し、重合体微粒子が凝集して、凝集体が上
記の二次粒子の粒径になる条件に調整して反応して得ら
れる。
【0049】上記二次粒子から会合粒子を得るには、重
合体微粒子から二次粒子を得た方法と同様の方法を二次
粒子に用い、その要素因子を強くする、あるいは処理時
間を調節する等により会合粒子を得る。本発明の好適な
態様では、上記会合粒子を構成する重合体微粒子および
二次粒子間の接触部分の少なくとも一部、好ましくは重
合体微粒子および二次粒子間の接触部分の大半が造膜融
着している会合粒子が用いられる。
【0050】更に本発明の粉体塗料は塗膜の平滑性改良
剤を含有してもよい。このような平滑性改良剤の例とし
ては、オレフィン系樹脂(低分子量ポリエチレン、低分
子量ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、ポリ四弗化エ
チレンなど)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチ
レン-ブタジエン系共重合体(モノマ−比5/95〜30/7
0)、オレフィン系共重合体(エチレン-アクリル酸共重
合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレ
ン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エス
テル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、エチレ
ン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂)、ポリビ
ニルピロリドン、メチルビニルエーテル-無水マレイン
酸共重合体、マレイン酸-フエノール樹脂、フエノール
変性テルペン樹脂などがあげられ、好ましくはオレフイ
ン系樹脂などである。粉体粒子が会合法により得られる
場合にはこれら樹脂は水分散エマルジョンとして、重合
体微粒子の水分散液と混合して、その後凝集行程を取る
のが好ましい。
【0051】また、本発明の粉体塗料は、必要によりさ
らに流動化剤を用いることができ、そのような流動化剤
としては疎水性シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム
等の微粉末を例示でき、粉体塗料100重量部当り約0.01
〜5重量部、好ましくは約0.1〜1重量部用いられる。
【0052】また本発明の粉体塗料は耐湿性向上の目的
でシランカップリング剤及びチタンカップリング剤で表
面を処理してもよい。これらのカップリング剤は1種ま
たは2種以上を必要に応じて組合せて使用してもよい。
【0053】本発明の粉体粒子の好適な製法を例示すれ
ば、以下の通りである。乳化重合により得られた極性基
を有する重合体のエマルジョンに、必要に応じて所要量
の着色剤粉末、硬化剤、及び/又は、帯電制御剤を添加
混合して均一に分散させ、一般に0.5〜4時間、好まし
くは1〜3時間 攪拌を続けると極性基を有する重合体
の一次粒子と着色剤粒子は次第に凝集して0.05〜5μm
の平均粒径をもった二次粒子に成長する。このような分
散体を更にそのまま、一般に0.5〜3時間、好適には1
〜2時間攪拌を続けると二次粒子が更に凝集して3〜70
μmの平均粒子径をもった会合粒子に成長する。該会合
粒子を乾燥して粉体粒子を得る。
【0054】本発明の粉体粒子の最も好適な製法では、
上記の会合粒子の分散液を、更に、粉体を構成する重合
体のTg以上、Tgより85℃高い温度以下の温度に1〜6
時間、好適には2〜4時間攪拌を続けると二次粒子間の
接触部分の少くとも一部が造膜融着した会合粒子が生成
し、該会合粒子を乾燥して、粉体粒子を得る。このよう
な会合粒子は、二次粒子間が造膜融着しているので、貯
蔵、輸送、塗装時に殆んど崩壊することが無いので静電
塗装用粉体塗料としては特に好適である。
【0055】本発明の粉体塗料は上記のごとく製造した
少なくとも2種以上の色彩の異なる粉体粒子を混合して
作成される。限られた種類の色彩の粉体粒子を、製造し
ておき、各種類の粉体粒子の配合量と、該配合塗料から
得られる塗料塗膜の色彩の関係を調べておけば、需要に
応じて、限られた種類の色彩の粉体粒子を選び出し、要
望された塗膜の色彩に応じて、粉体粒子を配合し、短時
間に、しかも容易に任意の色彩の粉体塗料が得られるの
である。
【0056】本発明の粉体塗料を塗装すると均一な色彩
の塗膜が得られる。ここで均一な色彩とは通常の人が塗
膜から1m離れて塗膜を観察した場合に、塗膜中に混合
した色彩の異なる塗料粒子が個別に存在すると認識され
ず、あたかも1種類の色彩の粉体粒子が存在するかのよ
うに認識される色彩を言う。塗装塗膜の色彩は、粉体塗
料を構成するそれぞれの粉体粒子の色彩とは異なり、そ
れぞれの色彩の混合色彩となる。
【0057】本発明の粉体塗料の塗料塗布厚みに制限は
ないが、好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜40
μm、特に好ましくは15〜35μmであって、通常の粉体塗
料に較べて薄い塗膜でも、均一、平滑で隠蔽性のある塗
膜が得られる。本発明の粉体塗料は、静電塗装あるいは
流動浸漬によって、各種金属板、プラスチック、材木、
無機材料等に塗装でき、該基材に意匠性、機能性を付与
できる。
【0058】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本実施例における試験方法及び評価方法は以
下のとおりである。
【0059】(1) 試験片の作成 JIS G-3141に定める自動車用鋼板に、日本ペイント(株)
製のカチオン電着塗料「U-600」を用いて電着塗装した
鋼板(以下、ED板と称することがある)(厚さ0.8×100
×200mmのもの)に、下記の中塗塗料をエアスプレーに
て乾燥膜厚が50μmになるように吹き付け、160℃で20分
間焼付した。この時60゜光沢は92であった。
【0060】
【表1】
【0061】上記の塗料配合物をガラスビーズと共にガ
ラスビンに仕込みペイントシェーカーにて2時間攪拌し
て塗料を作成する。
【0062】得られた中塗塗装ED板に市販のコロナ帯電
方式スプレーガンを用いて本発明の粉体塗料を膜厚が30
μmになるように静電塗装した。負荷された電圧は60kv
で、粒子は負 に荷電された。次いで180℃で30分間焼付
けて試験片とした。
【0063】(2) 光沢 東京電色(株)「カラーアナライザー TOPSCAN MODEL TC-
1800 MKII」を用いて、(1)により得られた試験片の60゜
鏡面光沢値を測定した。
【0064】(3) 色彩 本発明の粉体塗料の塗膜の外観を観察するとともに、下
記の溶剤型塗料を作成し、塗布乾燥して、塗膜を作成
し、本発明の粉体塗料の塗膜の色彩と比較した。攪拌
機、還流冷却器及び温度計を備えた反応容器に酢酸エチ
ル100重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニ
トリル0.3重量部を仕込み、窒素フローしながら70℃に
昇温した。次に反応容器内を70℃に保ちながら、メタク
リル酸メチル45重量部、アクリル酸ブチル40重量部、メ
タクリル酸グリシジル15重量部、更にアゾビスイソブチ
ロニトリル0.3重量部からなる単量体混合物を4時間連
続的に添加して更に4時間加熱し、冷却後トルエン20
重量部添加して固形分約45重量%の重合体溶液を得た。
上記重合体溶液に、それぞれの粉体塗料試料に使用した
着色剤と同一の着色剤を、樹脂固形分に対する配合比率
で粉体塗料の場合と同量混合し、均一に攪拌して、溶剤
型塗料を作成した。該溶剤型塗料を、前記中塗塗装ED
板に乾燥膜圧が30μmとなるように塗布し、乾燥した。
粉体塗料の塗装塗膜の色彩と該溶剤型塗料の塗布乾燥塗
膜の色彩とを比較した。
【0065】(4) 密着性 前(1)項において、乾燥膜厚が約30μmとなるように塗装
して得た試験片を、ゴバン目試験機〔スガ試験機(株)
製〕を用いて、表から縦、横それぞれ1mm間隔で基材に
達する深さのカット線を入れて1cm2中に100個のゴバン
目を作製する。このゴバン目に24mm巾のセロハンテープ
〔ニチバン(株)製〕を貼り付け、手で素速く180゜剥離を
行い、塗膜の残存した目を数えて塗膜残存目数/100と
表示する。
【0066】(5) 耐酸性 前(1)項において得た試験片を20℃、5重量%の塩酸中
に48時間浸漬後取り出し、塗膜の外観(ツヤ、ブリスタ
ー等)軟化の程度を評価した。この時の評価基準は次の
通りである。 ◎・・・・・・全くく異常なし ○・・・・・・若干軟化及びツヤビケが認められる(但し、室
温で放置しておくと元に戻る。) △・・・・・・軟化、ツヤビケが大きい ×・・・・・・塗膜が溶解または剥離
【0067】(6) 耐汚染性 前(1)項で作成した試験片に、油性フェルトペンで線を
引き、次いでこれを酢酸エチルを染み込ませたガーゼで
ふき取り、この時の塗膜状態を基準に従って評価する。
【0068】 ◎・・・・・・塗膜異常なし ○・・・・・・塗膜やゝ軟化するが復元する △・・・・・・塗膜膨潤する ×・・・・・・塗膜溶解する
【0069】(7) 耐衝撃性 前(1)項において、試験片をJIS K-5400に準じてデュポ
ン式耐衝撃テストを行う。この時の条件は、試験器に半
径6.35±0.03mmの撃ち型と受け台を取り付け、試験片の
塗膜面を上向きにしてその間に挟み、質量500±1gの重
りを最大50cmの高さから撃ち型の上に落とし、塗膜にハ
ガレ、クラック等の損傷を与えない最大の高さで評価す
る。
【0070】参考例1 撹拌機、還流冷却機および温度計を備えた反応容器に、
水100重量部、ノニオン界面活性剤「エマルゲン 950」
〔(商品名);花王(株)製〕1重量部、アニオン界面活性
剤「ネオゲン R」〔(商品名);花王(株)製〕1.5重量部
及び重合開始剤過硫酸カリウム(KPS)0.5重量部を仕込
み、窒素フローしながら70℃に昇温した。次に反応容器
内を同温度に保ちながら、メタクリル酸メチル(MMA)4
5重量部、アクリル酸ブチル(BA)40重量部、メタアク
リル酸グリシジル(GMA)15重量部、さらに2-メルカプ
トエタノ−ルからなる単量体混合物を4時間連続的に添
加して、8時間 重合させて固形分約50重量%の重合体
エマルジョンを得た。
【0071】次に、得られた重合体エマルジョン100重
量部、ドデカ二酸6重量部、フタロシアニンブル−3重
量部及び水400重量部の混合物を、スラッシャーで分散
攪拌しながら硝酸を添加し、PHを約1.0に調整し、約3
0℃で2時間保持した。この間顕微鏡で観察して、重合
体粒子同士が約1μmの二次粒子になるのが確認され
た。その後、さらに攪拌しながら70℃に加温して3時間
保持した。この間顕微鏡で観察して、二次粒子が粒子同
士が約8μmの会合粒子になるのが確認された。冷却し
て、得られた水性スラリー状物をブフナー濾過、水洗
し、50℃真空乾燥10時間させて青色系の粉体を調製し
た。
【0072】この得られた粉体100重量部に流動化剤と
してシリカ〔「アエロジル R-972」日本アエロジル(株)
製〕を0.5重量部添加混合し、青色の粉体粒子とした。
この粉体粒子の軟化点は100℃、平均粒径は8.5μmであ
った。この粉体粒子を参考のための粉体塗料として用
い、前記(1)に従って塗装試験片を作成したところ、平
滑性が高い、青色塗膜が得られた。得られた塗膜の物性
測定結果を第1表に示す。
【0073】参考例2〜3 参考例1において、フタロシアニンブル−3重量部を用
いる代わりに、参考例2ではビスマスイエロ−、参考例
3ではキナクリドンを用いる以外は同様にして黄色系の
粉体粒子及び赤色系の粉体粒子を得た。以下参考例1と
同様に、それぞれを参考のための粉体塗料とし、前記
(1)に従って塗装試験片を作成した。得られた塗膜物性
の測定結果を第1表に示す。
【0074】実施例1 参考例1で得られた粉体粒子と参考例2で得られた粉体
粒子を同重量混合し、粉体塗料を得た得られた粉体塗料
を使用し、前記(1)に従って塗装試験片を作成した。こ
の粉体塗料に用いた重合体の組成、配合組成及び諸特性
を第1表に、塗膜物性の測定結果を第2表に示す。
【0075】実施例2〜4 実施例1において、参考例1と参考例2の粉体粒子を混
合する代わりに、実施例2では参考例1と参考例3、実
施例3では参考例2と参考例3、実施例4では参考例1
と参考例2と参考例3の粉体粒子をそれぞれ同重量比で
混合する以外は、実施例1と同様にして粉体塗料を得、
塗装試験片を得た。塗膜物性の測定結果を第1表に示
す。
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、必要とされる塗膜の色
ごとに溶融混練りした塊状原料を粉砕、分級することな
く、色彩の異なる粉体粒子を混合して調色するので、色
合わせが容易で、又少種類の基本色彩の粉体粒子の組み
合わせにより、多種類の色彩の異なる粉体塗料が得られ
る。それ故、生産効率、調色効率が高く、意匠性及び経
済性に優れた粉体塗料が得られるといった特段の効果を
奏するものである。

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉体塗料が2種類以上の色彩の異なる粉
    体粒子からなり、且つ該粉体塗料を塗装融着するのみ
    で、均一な色彩の塗膜を形成し得ることを特徴とする粉
    体塗料。
  2. 【請求項2】 上記粉体粒子の平均粒径が1μm以上、1
    7μm以下である請求項1記載の粉体塗料。
  3. 【請求項3】 上記粉体粒子の平均粒径が3μm以上、1
    0μm未満である請求項2記載の粉体塗料。
  4. 【請求項4】 上記粉体粒子の軟化点が50〜120℃であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の粉体塗料。
  5. 【請求項5】 上記粉体粒子の軟化点が70〜110℃であ
    る請求項4に記載の粉体塗料。
  6. 【請求項6】 上記粉体粒子が重合体微粒子を含む会合
    粒子からなる請求項1〜5いずれかに記載の粉体塗料。
  7. 【請求項7】 上記重合体微粒子が重合体エマルジョン
    から得られた微粒子である請求項6に記載の粉体塗料。
  8. 【請求項8】 上記会合粒子が上記重合体微粒子の二次
    粒子の会合粒子である請求項6又は7のいずれかに記載
    の粉体塗料。
  9. 【請求項9】 上記粉体粒子がポリスチレン系樹脂、ポ
    リアクリル系樹脂、ポリスチレン−アクリル系樹脂、エ
    ポキシ樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれた樹脂を結着
    樹脂とする請求項1〜8いずれかに記載の粉体塗料。
  10. 【請求項10】 粉体塗料が、塗装融着するのみで均一
    な色彩の塗膜を形成する、2種類以上の色彩の異なる粉
    体粒子を混合することを特徴とする粉体塗料の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 上記粉体粒子の平均粒径が1μm以
    上、17μm以下である請求項10記載の粉体塗料の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 上記着樹脂色粒子の軟化点が50〜120
    ℃である請求項10又は11のいずれかに記載の粉体塗
    料の製造方法。
  13. 【請求項13】 上記粉体粒子が重合体微粒子を含む会
    合粒子からなる請求項10〜12いずれかに記載の粉体
    塗料の製造方法。
  14. 【請求項14】 粉体塗料が2種類以上の色彩の異なる
    粉体粒子からなり、且つ該粉体塗料を塗装融着するのみ
    で、均一な色彩の塗膜を形成し得る粉体塗料から、塗装
    融着することにより形成されたことを特徴とする塗料塗
    膜。
  15. 【請求項15】 上記塗膜が40μm以下である請求項1
    4記載の塗料塗膜。
  16. 【請求項16】 上記着樹脂色粒子の軟化点が50〜120
    ℃である請求項14〜15のいずれかに記載の塗料塗
    膜。
  17. 【請求項17】 上記粉体粒子が重合体微粒子を含む会
    合粒子からなる請求項14〜16いずれかに記載の塗料
    塗膜。
  18. 【請求項18】 粉体塗料が、塗装融着するのみで均一
    な色彩の塗膜を形成する、2種類以上の色彩の異なる粉
    体粒子を混合することを特徴とする粉体塗料調色方法。
  19. 【請求項19】 上記粉体粒子の平均粒径が1μm以
    上、17μm以下である請求項18記載の粉体塗料の調色
    方法。
  20. 【請求項20】 上記粉体粒子が重合体微粒子を含む会
    合粒子からなる請求項18〜19いずれかに記載の粉体
    塗料の調色方法。
  21. 【請求項21】 上記会合粒子が上記重合体微粒子の二
    次粒子の会合粒子である請求項20に記載の粉体塗料の
    調色方法。
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