JPH0814339A - オートテンショナ用ダンパ装置 - Google Patents

オートテンショナ用ダンパ装置

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JPH0814339A
JPH0814339A JP14945294A JP14945294A JPH0814339A JP H0814339 A JPH0814339 A JP H0814339A JP 14945294 A JP14945294 A JP 14945294A JP 14945294 A JP14945294 A JP 14945294A JP H0814339 A JPH0814339 A JP H0814339A
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JP
Japan
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cylinder
piston
damper device
viscous liquid
belt
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Application number
JP14945294A
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English (en)
Inventor
Ryoichi Otaki
大滝  亮一
Masahiko Yamazaki
雅彦 山崎
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H7/00Gearings for conveying rotary motion by endless flexible members
    • F16H7/08Means for varying tension of belts, ropes, or chains
    • F16H7/0848Means for varying tension of belts, ropes, or chains with means for impeding reverse motion
    • F16H2007/0859Check valves

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  • Devices For Conveying Motion By Means Of Endless Flexible Members (AREA)
  • Fluid-Damping Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度特性が良く、しかも気泡混入による性能
劣化の可能性が低い装置を安価に得る。 【構成】 ベルトの張力が増大する際、逆止弁27を閉
じた状態のまま、粘性液体17中でピストン19が下降
する。この粘性液体17として、温度−粘度特性が良
く、空気溶解度が低く、しかも安価な高精製度鉱油をベ
ースとした作動油をを使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係るオートテンショナ
用ダンパ装置は、自動車用エンジンのタイミングベル
ト、或はオルタネータやコンプレッサ等の補機を駆動す
る為のベルト(以下これらを総称して単に『ベルト』と
する。)に適正な張力を付与するオートテンショナに組
み込み、上記ベルトの振動を抑え付けるのに利用する。
【0002】
【従来の技術】ベルトに適正な張力を付与する為、オー
トテンショナと呼ばれる張力付与装置が知られている。
このオートテンショナの構造及び作用に就いて、実願平
4−67543号に記載された構造を示す、図4により
説明する。シリンダブロックの前面等に固定される固定
部材1に設けられた固定軸2の周囲には揺動部材3の基
端部を、回転自在に支持している。そして、この揺動部
材3の先端部に、上記固定軸2と平行な枢軸4を設けて
いる。そして、この枢軸4の周囲にプーリ5を回転自在
に支持し、このプーリ5に、張力を付与すべきベルト6
を掛け渡している。上記固定軸2の周囲には捩りコイル
ばね7のコイル部8を配置している。又、この捩りコイ
ルばね7の両端部に設けた1対の係止部9a、9bを上
記固定部材1と上記揺動部材3とにそれぞれ係止する事
により、上記揺動部材3に上記プーリ5をベルト6に向
け押圧する方向の弾力を付与している。
【0003】又、上記固定部材1に設けた固定側腕片1
0と上記揺動部材3に設けた揺動側腕片11との間に
は、本発明の対象となるダンパ装置12を、これら両腕
片10、11同士の間で突っ張る様に設けている。この
ダンパ装置12は、シリンダ筒13とプランジャ14と
を有する。図示の構造の場合には、固定側腕片10の先
端部に、シリンダ筒13の下部を内嵌固定し、揺動側腕
片11の先端部に固定した受ブロック15の下面にプラ
ンジャ14の上端部を突き当てている。尚、図4に示し
た状態では、上記固定部材1に対する揺動部材3の変位
は、ストッパピン16により阻止している。このストッ
パピン16は、オートテンショナをエンジンに組み付
け、プーリ5にベルト6を掛け渡した後に引き抜く。
【0004】又、実願平5−29569号には、図5に
示す様なオートテンショナが記載されている。この図5
に示したオートテンショナでは、図4に示した構造から
固定部材1を省略している。そして、揺動側腕片11の
先端部にダンパ装置12を支持し、このダンパ装置12
の下端部で上記揺動側腕片11の下面から突出した部分
を、エンジンのシリンダブロック前面等の固定部分に形
成した突部(図示せず)に突き当て自在としている。
又、捩りコイルばね7の係止部9aは、上記固定部分に
係止している。
【0005】何れの構造を有するオートテンショナの場
合でも、上記ダンパ装置12は、図6又は図7に示す様
に構成されている。内部にシリコンオイル等の粘性液体
17を封入したシリンダ筒13は、上端部が開口し、下
端部が塞がれた有底円筒状である。このシリンダ筒13
の内側下半部にはピストン19を、昇降自在に嵌装して
いる。尚、シリンダ筒13の内周面とピストン19の外
周面との間には微小な隙間が存在する。上記ピストン1
9の上側と下側とに存在する粘性液体17は、この微小
な隙間を通じて緩徐に流通する。又、上記ピストン19
の下面と上記シリンダ筒13の底部上面との間には圧縮
コイルばねである付勢ばね20を設け、このピストン1
9を上方に付勢している。更に、上記シリンダ筒13の
内側上半部には前記プランジャ14の基部21を、昇降
自在に嵌装している。シリンダ筒13の内周面と基部2
1の外周面との間にはシールリング22を設けて、両周
面間の液密保持を図っている。尚、上記ピストン19の
上端面には複数の切り欠き23、23を形成し、この切
り欠き23、23を通じて、上記基部21及びピストン
19の突き合わせ部内側に存在する内側空間24と上記
微小な隙間とを連通させている。
【0006】一方、上記ピストン19を構成する隔壁2
5の中央部には通孔26を形成して、このピストン19
の上下を連通する通路を構成している。そして、上記隔
壁25の下側部分に、上記通孔26を開閉する逆止弁2
7を設けている。この逆止弁27は、ばね28の弾力に
よりボール29を、上記通孔26の下端開口部に向け弾
性的に押圧して成り、上記ピストン19が前記付勢ばね
20の弾力により上方に変位する場合にのみ開く機能を
有する。
【0007】更に、図6に示した第1例のダンパ装置1
2の場合には、前記プランジャ14の先半部30の外径
寸法を、前記シリンダ筒13の内径寸法よりも十分に小
さくしている。そして、この先半部30の外周面と上記
シリンダ筒13の上部内周面との間の上部空間31の下
半部にも、前記粘性液体17を注入している。そして、
前記基部21と先半部30との連続部に設けた連通孔3
2、32を通じ、上記上部空間31と前記内側空間24
との間での粘性液体17の流通を自在としている。上記
シリンダ筒13の上端部内周面と上記先半部30の外周
面との間にはシールリング33を設けて、上記上部空間
31の上端開口部を塞いでいる。
【0008】一方、図7に示した第2例のダンパ装置1
2の場合には、先半部30aを比較的大径にし、この先
半部30aの内部容積を大きくする代わりに、プランジ
ャ14の内外を通じさせる連通孔32、32(図6)を
省略している。この図7に示したダンパ装置12を前記
図5に示したオートテンショナに組み込む場合、図示の
例では、シリンダ筒13を揺動側腕片11の下面から突
出させて、このシリンダ筒13の下端面を、エンジンの
シリンダブロック前面等の固定部分に形成した突部の上
面に突き当て自在としている。尚、図7(A)はダンパ
装置の収縮状態を、同図(B)は伸長状態を、それぞれ
示している。
【0009】上述の様に構成されるダンパ装置12を組
み込んで前述の様に構成される先発明のオートテンショ
ナは、例えば図8に示す様にエンジンに組み込んで、カ
ムシャフトを駆動する為のベルト6に適正な張力を付与
する。尚、この図8に示した例に於いては、図4に示し
たオートテンショナを示しているが、図5に示したオー
トテンショナに於いても同様に組み込み、ベルト6に適
正な張力を付与する。この図8に示した様なオートテン
ショナの使用状態に於いては、捩りコイルばね7の弾力
に基づいて揺動部材3が揺動し、この揺動部材3の先端
部の枢軸4に回転自在に支持されたプーリ5を、ベルト
6に向け弾性的に押圧する。プーリ5がベルト6に押し
付けられる事で、上記揺動部材3の揺動は制限される。
この状態で、固定側腕片10(図4の構造の場合)又は
シリンダブロック等の固定部分に形成した突部(図5の
構造の場合)と揺動側腕片11との間に設けられたダン
パ装置12が、上記固定側腕片10又は突部と揺動側腕
片11との間で、前記付勢ばね20の弾力に基づいて突
っ張った状態となる。
【0010】この状態からベルト6が弛むと、前記捩り
コイルばね7の弾力に基づいて揺動部材3が揺動し、上
記プーリ5をベルト6の動きに追従させる。この際、上
記ダンパ装置12を構成するプランジャ14の変位は少
し遅れる。この為、このプランジャ14の先端と受ブロ
ック15の下面とが(図4に記載した構造の場合)、或
はシリンダ筒13の下面と突部の上面とが(図5に示し
た構造の場合)、それぞれ離隔する。従って、ベルト6
が弛む際には、プーリ5をベルト6の動きに追従させる
べく揺動部材3を回動させる事に対し、上記ダンパ装置
12が全く抵抗とはならない。この結果、上記プーリ5
をベルト6の動きに対し迅速に追従させて、このベルト
6の張力が低下する事を防止できる。上記ダンパ装置1
2の全長は、前記付勢ばね20の弾力により、上記揺動
部材3の動きよりも僅かに遅れて伸長する。
【0011】この様に、付勢ばね20の弾力に基づいて
ダンパ装置12が伸長する際には、前記逆止弁27が開
く。即ち、前記ばね28の弾力に抗してボール29が下
降し、前記隔壁25に形成した通孔26の下端開口を開
く。この結果、隔壁25の上側から下側への粘性液体1
7の移動が円滑に行なわれ、ピストン19並びにプラン
ジャ14の上昇は比較的迅速に行なわれ、極く短時間の
後に、上記ダンパ装置12が上記固定側腕片10又は突
部と揺動側腕片11との間で突っ張る。
【0012】反対にベルト6の張力が増大すると、上記
揺動部材3が捩りコイルばね7の弾力に抗して回動する
傾向となる。この状態では、前記揺動側腕片11が上記
ダンパ装置12を圧縮方向に押圧する。従って、この場
合には上記揺動部材3を回動させる為に、上記プランジ
ャ14並びにピストン19を、前記付勢ばね20の弾力
に抗して、シリンダ筒13内に押し込まなければならな
い。この際に上記逆止弁27は閉じられたままとなる
為、上記ピストン19を下降させるべく、このピストン
19の下側に存在する粘性液体17をピストン19の上
側に移動させるのは、前記シリンダ筒13の内周面とピ
ストン19の外周面との間に存在する微小な隙間を通じ
て行なわなければならない。この微小な隙間を通じて流
れる粘性液体17の量は限られたものである為、上記ピ
ストン19並びにプランジャ14の変位は緩徐にしか行
なわれなくなる。この結果、上記揺動部材3に支持され
たプーリ5の変位も、上記ダンパ装置12の作用により
緩徐にしか行なわれなくなり、上記ベルト6はプーリ5
により抑え付けられ、このベルト6の振動が成長する事
がなくなる。尚、図8に於いて、42はエンジンのクラ
ンクシャフトにより回転駆動される駆動プーリ、43は
カムシャフトの端部に固定された従動プーリ、44はベ
ルト6を案内するガイドプーリである。
【0013】尚、上述の様なオートテンショナに組み込
み可能なダンパ装置としては、前記図6〜7に示した様
な構造の他、図9に示す様な構造も、実開平3−650
41号公報に記載されている様に、従来から知られてい
る。この図9に示した構造の場合には、シリンダケース
34内にシリンダライナ35を内嵌する事でシリンダ筒
13を構成している。そして、シリンダライナ35の内
側に摺動自在に内嵌したピストン19にロッド状のプラ
ンジャ14の下端部を結合している。又、このプランジ
ャ14の中間部に係止した上部止め輪36の下面と、上
記シリンダライナ35の上端縁に係止した下部止め輪3
7との間に、圧縮ばね38を設けている。従って上記プ
ランジャ14は、逆止弁27の下側に設けた付勢ばね2
0の弾力だけでなく、上記圧縮ばね38によっても、上
昇方向の弾力を付与される。ベルトの振動が成長するの
を抑える際の作用自体は、前記図6〜7に示した構造と
ほぼ同様である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述の様に
構成され、オートテンショナに組み込まれた状態で上述
の様に作用するオートテンショナ用ダンパ装置の場合、
ベルト6(図4〜5)の振動防止効果の点で、次に述べ
る様な解決すべき点がある。即ち、ベルト6の張力が急
激に上昇した際にダンパ装置12は、このベルト6を抑
えつつ全長を縮めるが、この際、ダンパ装置12の全長
を所定長さ寸法だけ縮めるべく、粘性液体17をピスト
ン19の下側から上側に流しつつこのピストン19が変
位する為に要する、所謂リークダウン時間T(sec/mm)
は、上記粘性液体17の粘性係数に影響される。
【0015】例えば、ピストン19の外周面でシリンダ
筒13の内周面と対向する部分の軸方向長さ寸法をL
(mm)とし、この部分のピストン19の外径寸法をD
(mm)とし、粘性液体17の粘性係数をμ(kgf・s/mm
2 )とし、シリンダ筒13とピストン19とが偏心して
いない状態での上記微小隙間の厚さ寸法をε(mm)と
し、ベルト6の張力上昇に伴うピストン19下側の空間
(高圧室)内の圧力をP(kgf/mm2 )とし、大気圧をP
0 (1×10-2kgf/mm2 )とし、偏心係数をK(シリン
ダ筒13とピストン19とが同心の場合はK=1、最も
偏心した場合はK=2.5)とした場合に、上記リーク
ダウン時間Tは次式で表される。 T={24μ・L・D}/{K・ε3 ・(P−P0 )・104
【0016】この式から明らかな通り、リークダウン時
間Tは粘性液体17の粘性係数μに比例し、この粘性係
数μが大きい程、上記リークダウン時間Tが長くなり、
延ては上記ベルト6の振動を防止する効果が大きくな
る。
【0017】一方、自動車用エンジンに組み込まれた状
態で使用されるオートテンショナの使用温度範囲は、−
30℃(寒冷地で使用開始直後)乃至120℃(温暖地
で使用開始後エンジンが暖まった状態)と、相当に広く
なる。従って、この温度範囲でできるだけ上記リークダ
ウン時間Tの変動を抑え、ベルト1の振動防止効果に差
が生じるのを防止する為には、上記粘性液体17として
温度−粘度特性が良いもの(粘度指数が大きいもの)、
言い換えれば温度により粘度が変化する程度が小さいも
のを使用する必要がある。この為従来から、上記粘性液
体17として、シリコンオイルを一般に使用していた。
【0018】ところが、シリコンオイルの場合、温度−
粘度特性が良い為、上記リークダウン時間Tを安定さ
せ、温度により上記振動防止効果に差が生じる事を防止
できる反面、次の様な問題を生じる可能性がある。即
ち、シリコンオイルは空気を溶け込ませる割合(空気溶
解度)が大きく、特に低温時には相当量の空気を溶け込
ませる。この様にして、シリコンオイルである粘性液体
17に混入した空気が、温度上昇或は運転に伴う振動に
より、ピストン19の下側で析出し、このピストン19
の下側に気体が存在する様になると、逆止弁27が閉じ
られた状態でも、この気体の弾性変形分だけピストン1
9が昇降自在となり、ベルト6の振動防止効果が損なわ
れる。
【0019】この様な問題を解決する為には、粘性液体
17として、シリコンオイルに代えて、合成油を使用す
る事も考えられる。合成油の場合、温度−粘度特性が良
く、しかも空気溶解度が低い為、温度変化に拘らず安定
した性能を発揮し、しかも空気析出による性能低下を防
止できる。ところが、合成油は高価である為、これを粘
性液体17として使用したダンパ装置12の価格が高く
なってしまう。
【0020】本発明のオートテンショナ用ダンパ装置
は、この様な事情に鑑みて発明したもので、温度変化に
拘らず安定した性能を発揮し、しかも空気析出による性
能低下を防止できるダンパ装置を、安価に提供するもの
である。
【0021】
【課題を解決する為の手段】本発明のオートテンショナ
用ダンパ装置は、内部に粘性液体を封入したシリンダ筒
と、このシリンダ筒の内部に軸方向に亙る変位自在に嵌
装されたピストンと、このピストンとシリンダ筒との間
に設けられ、このピストンを一方向に付勢する付勢ばね
と、この付勢ばねの弾力に基づく上記ピストンの変位に
伴って、上記シリンダ筒からの突出量を増すプランジャ
と、上記ピストンの軸方向両端面同士を連通する通路
と、この通路を開閉する逆止弁を備えている。そして、
この逆止弁は上記ピストンが上記付勢ばねの弾力に基づ
いて変位する場合にのみ開く機能を有している。
【0022】特に、本発明のオートテンショナ用ダンパ
装置に於いては、上記粘性液体が高精製度鉱油をベース
(基油)とした作動油である。更に好ましくは、この作
動油として、粘度(粘性係数)が40℃で10〜100
cSt 、粘度指数(JIS K 2284)が100以上、流動点が
−20℃以下(更に好ましくは−30℃以下)のものを
使用する。
【0023】
【作用】上述の様に構成される本発明のオートテンショ
ナ用ダンパ装置が、オートテンショナに組み込まれた状
態でベルトの振動を抑えるべく、プーリを支持した揺動
部材の変位を制限する際の作用自体は、前述した先発明
のオートテンショナに組み込まれたダンパ装置、或は前
述した従来のダンパ装置の場合と同様である。
【0024】特に、本発明のオートテンショナ用ダンパ
装置によれば、温度変化に拘らず安定した性能を発揮
し、しかも空気析出による性能低下を防止できるダンパ
装置を、安価に提供できる。即ち、高精製度鉱油は、安
価にも拘らず温度−粘度特性が良く、しかも空気溶解度
が低い。この為、高精製度鉱油をベースとした作動油は
温度変化に拘らず安定した性能を発揮し、しかも空気析
出による性能低下を防止できるダンパ装置を得られ、し
かもこのダンパ装置の価格が高くなる事もない。
【0025】
【実施例】図1は本発明の実施例を示す縦断面図で、左
半部は最も縮んだ状態を、右半部は最も伸長した状態
を、それぞれ示している。上端が開口した有底円筒状の
シリンダ筒13の内部には粘性液体17である高精製度
鉱油をベースとした作動油を封入すると共に、ピストン
19を昇降自在に嵌装している。そして、このピストン
19の下面と上記シリンダ筒13の底部上面との間に付
勢ばね20を設けて、上記ピストン19に上昇方向の弾
力を付与している。
【0026】上記粘性液体17として使用する作動油の
基油である高精製度鉱油とは、飽和炭化水素分(特にイ
ソパラフィン、一環ナフテン)を主成分とし、これに一
環の芳香族成分を含むものである。この様な高精製度鉱
油は、 硫黄、窒素成分等の不純物が少ない為、酸化安定
性、熱安定性に優れている等、長寿命特性を有する。 ワックス分が少ない為、低温でも流動性が優れてい
る等、低温粘度特性が良い。 粘度指数が高いイソパラフィンを含む為、高粘度指
数特性を持ち、高温で油膜を形成するのに十分な粘度を
有し、しかも低温でも大幅な粘度増加を起こさない。 と言った特性を有する。この高精製度鉱油に適当な添加
剤を混合した作動油は、長寿命であると共に粘度指数が
100以上、流動点が−20℃以下と言った、ダンパ装
置に封入する粘性液体17として好ましい特性を具備
し、且つ安価である。
【0027】又、石油系オイルである、この高精製度鉱
油は、シリコンオイルに比べて空気溶解度が低い。即
ち、25℃のシリコンオイル中には、図2の実線aで示
す様に、圧力の上昇と共に比較的多量の空気が溶け込
む。これに対して上記高精製度鉱油中に溶け込む空気の
量は、同図に破線bで示す様に、比較的少ない。従っ
て、高精製度鉱油をベースとした作動油を粘性液体17
として使用した場合には、この粘性液体17中に溶け込
む空気の量が少なくなる。
【0028】一方、前記ピストン19の上側にはプラン
ジャ14aを設けている。このプランジャ14aのシリ
ンダ筒13からの突出量は、前記付勢ばね20の弾力に
基づく上記ピストン19の上昇に伴って増す。更に、上
記ピストン19の隔壁25の中央部には通孔26を形成
し、このピストン19の上側と下側とを(軸方向両端面
同士を)連通する通路としている。更に、上記隔壁25
の下側部分に、ばね28とボール29とから成る逆止弁
27を設けている。この逆止弁27は、上記ピストン1
9が上記付勢ばね20の弾力に基づいて上昇する場合に
のみ開く。
【0029】又、上記プランジャ14aの下半部には、
上記シリンダ筒13の内周面と摺接する円筒状部39
を、上半部には上記シリンダ筒13の内径寸法よりも十
分に小さな外径寸法を有するロッド状部40を、それぞ
れ形成している。このロッド状部40は、前記図6、図
7に示した先発明構造とは異なり、充実体である。そし
て、上記円筒状部39とロッド状部40との連続部には
連通孔32、32を設けて、上部空間31と内側空間2
4とを連通させている。
【0030】又、図示の実施例の場合、シリンダ筒13
の上端開口を、耐油性ゴム等の可撓性を有する材料によ
り造られたブーツ18により塞いでいる。この様なブー
ツ18により上記上端開口を塞ぐ結果、周囲の温度変化
に拘らず、シリンダ筒13上部に存在する上部空間31
内の圧力変化が抑えられる。この結果、圧力上昇に伴っ
て粘性液体17中に混入した空気が、圧力低下時に析出
する事がなくなり、粘性液体17として高精製度鉱油を
ベースとした作動油を使用した事と相まって、析出空気
がピストン19の下側に入り込む事をより確実に防止で
きる。
【0031】更に、図示の実施例の場合には、上記ブー
ツ18の基部に設けた芯金41の一部を、上記シリンダ
筒13の内周面よりも直径方向内方に突出させる事で、
前記プランジャ14aの抜け止め用のストッパとしての
機能を持たせている。即ち、上記芯金41の内径寸法R
41を、上記シリンダ筒13の内径寸法R13よりも小さく
(R41<R13)すると共に、上記プランジャ14aの肩
部に対向する折り曲げ角部を上記耐油性ゴム等の弾性体
で覆っている。従って、上記プランジャ14aが上昇し
た場合には、上記肩部が弾性体に衝合し、このプランジ
ャ14aがシリンダ筒13から抜け出る事を防止する。
上記芯金41の下端部は、シリンダ筒13の上部外周面
に形成した溝部45にかしめ付けている為、この芯金4
1がシリンダ筒13から不用意に脱落する事はない。
【0032】上述の様に構成される本発明のオートテン
ショナ用ダンパ装置が、前記図4或は図5に示す様なオ
ートテンショナに組み込まれた状態で、ベルト6の振動
を抑えるべく、プーリ5を支持した揺動部材3の変位を
制限する際の作用自体は、前述した先発明のオートテン
ショナに組み込まれたダンパ装置の場合と同様である。
【0033】特に、本発明のオートテンショナ用ダンパ
装置の場合、粘性液体17として高精製度鉱油をベース
とした作動油を使用するが、高精製度鉱油は温度−粘度
特性が良い為、温度変化に拘らず安定した性能を発揮す
る。即ち、低温時から高温時まで、リークダウン時間T
の変化が少なく、ダンパ装置12及びこのダンパ装置1
2を組み込んだオートテンショナの性能が安定する。
又、高精製度鉱油は空気溶解度が低い為、空気析出によ
る性能低下を防止できる。即ち、粘性液体17中に溶け
込んだ空気がピストン19の下側で析出する程度が、従
来粘性液体17として使用されているシリコンオイルの
場合に比べて低い為、このピストン19の下側に気泡が
発生しにくい。この結果、気泡混入によるダンパ装置1
2の性能劣化の可能性が低くなる。更に、粘性液体17
のコストを低く抑えられる為、ダンパ装置12及びこの
ダンパ装置12を組み込んだオートテンショナの価格を
高くする事がない。
【0034】尚、上記粘性液体17を構成する、高精製
度鉱油をベースとする作動油として好ましくは、40℃
での粘度が10〜100cSt 、粘度指数が100以上、
流動点が−20℃以下のものを使用する。この様に、好
ましい作動油の物性を限定する理由は、次の通りであ
る。
【0035】粘度は、粘性液体17がキャビテーション
を発生する事を防止し、且つ、優れたリークダウン特性
を得る(リークダウン時間を長くする)為に規制する。
40℃での粘度が100cSt 以上であった場合には、シ
リンダ筒13内でのピストン19の往復移動に伴って、
上記粘性液体17中にキャビテーションを発生し易くな
る。そして、キャビテーションの結果、上記ピストン1
9の下側に気泡が存在する状態になると、このピストン
19が弾性的に昇降自在な状態となって、ダンパ装置1
2によるベルトの振動防止機能が損なわれてしまう。反
対に、40℃での粘度が10cSt 未満であった場合に
は、リークダウン時間が短くなり過ぎて、やはりベルト
の振動防止機能が損なわれてしまう。
【0036】又、粘度指数は温度変化に拘らずリークダ
ウン時間を安定させる為に規制する。ダンパ装置12の
温度はエンジンの運転に応じて大きく変化するが、上記
リークダウン時間は温度変化に拘らず安定している事が
好ましい。例えば本発明者がVG46で粘度指数が異な
る複数種類の作動油を使用して、40℃でのリークダウ
ン時間T40と100℃でのリークダウン時間T100 との
比T40/T100 と粘度指数との関係を求めたところ、図
3に示す様になった。この図3の表示点脇に記載した括
弧書き中、左側の数値は粘度指数の値を、右側の数値は
40/T100 の値を、それぞれ示している。この図3の
記載から明らかな通り、粘度指数の値が大きい程、T40
/T100 の値が小さくなる(温度変化に伴うリークダウ
ン時間の変化が少なくなる)。そこで、この比T40/T
100 の値を小さくすべく、粘度指数を100以上とする
事が好ましい。
【0037】更に、流動点が−20℃以下とするのは、
寒冷地での始動時にもダンパ装置12が機能する為であ
る。流動点が寒冷地での温度よりも高い場合には、始動
時、未だエンジンが暖まっていない場合に、シリンダ筒
13からプランジャ14aが出入りする事ができず、上
記ダンパ装置12が機能しなくなる。そこで、粘性液体
17の流動点を、好ましくは自動車が使用される可能性
のある−20℃以下、更に好ましくは−30℃以下にす
る。
【0038】
【発明の効果】本発明のオートテンショナ用ダンパ装置
は、以上に述べた通り構成され作用するので、ダンパ装
置の価格を高くする事なく、ダンパ装置及びこのダンパ
装置を組み込んだオートテンショナがベルトの振動を防
止する機能を安定させる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す縦断面図。
【図2】シリコンオイルと高精製度鉱油との空気溶解度
を比較する為の線図。
【図3】温度変化に伴うリークダウン時間の変化率と粘
度指数との関係を示す線図。
【図4】先発明に係るオートテンショナの第1例を示す
正面図。
【図5】同第2例を示す正面図。
【図6】先発明に係るオートテンショナに組み込まれた
ダンパ装置の第1例を示す縦断面図。
【図7】同第2例を、収縮状態と伸長状態とで示す縦断
面図。
【図8】先発明に係るオートテンショナの使用状態の1
例を示す正面図。
【図9】従来のダンパ装置の1例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 固定部材 2 固定軸 3 揺動部材 4 枢軸 5 プーリ 6 ベルト 7 捩りコイルばね 8 コイル部 9a、9b 係止部 10 固定側腕片 11 揺動側腕片 12 ダンパ装置 13 シリンダ筒 14、14a プランジャ 15 受ブロック 16 ストッパピン 17 粘性液体 18 ブーツ 19 ピストン 20 付勢ばね 21 基部 22 シールリング 23 切り欠き 24 内側空間 25 隔壁 26 通孔 27 逆止弁 28 ばね 29 ボール 30、30a 先半部 31 上部空間 32 連通孔 33 シールリング 34 シリンダケース 35 シリンダライナ 36 上部止め輪 37 下部止め輪 38 圧縮ばね 39 円筒状部 40 ロッド状部 41 芯金 42 駆動プーリ 43 従動プーリ 44 ガイドプーリ 45 溝部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に粘性液体を封入したシリンダ筒
    と、このシリンダ筒の内部に軸方向に亙る変位自在に嵌
    装されたピストンと、このピストンとシリンダ筒との間
    に設けられ、このピストンを一方向に付勢する付勢ばね
    と、この付勢ばねの弾力に基づく上記ピストンの変位に
    伴って、上記シリンダ筒からの突出量を増すプランジャ
    と、上記ピストンの軸方向両端面同士を連通する通路
    と、上記ピストンが上記付勢ばねの弾力に基づいて変位
    する場合にのみ上記通路を開く逆止弁とを備えたオート
    テンショナ用ダンパ装置に於いて、上記粘性液体が高精
    製度鉱油をベースとした作動油である事を特徴とするオ
    ートテンショナ用ダンパ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004102656A (ja) * 2002-09-10 2004-04-02 Fuji Latex Kk 緩衝装置及びそれを具備する自動販売機
WO2013047283A1 (ja) * 2011-09-28 2013-04-04 Ntn株式会社 チェーンテンショナ
CN104235293A (zh) * 2014-09-11 2014-12-24 绵阳富临精工机械股份有限公司 一种发动机附件皮带液压张紧器

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